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有道床軌道における道床補修方法 - 特開2008−95413 | j-tokkyo
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【発明の名称】 有道床軌道における道床補修方法
【発明者】 【氏名】小谷 隼

【氏名】橋場 孝幸

【氏名】大塲 久良

【要約】 【課題】可能な限り現状の構造を維持したまま噴泥化した道床の補修を行うことによって補修周期を改善し、それにより線路維持に係る経費を抑制することができる低廉な方法を提供する。

【解決手段】本発明は、細粒化されたバラストと水分とが混合することによって生成される噴泥を利用して道床を補修するための方法であり、噴泥を含む道床上における少なくとも1つのまくらぎの下に、該少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、その空間に、噴泥に含まれる水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を配置する工程を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有道床軌道において、細粒化されたバラストと水分とが混合することによって生成される噴泥を利用して道床を補修するための方法であって、
前記噴泥を含む前記道床上における少なくとも1つのまくらぎの下に、前記少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、
前記空間に、前記噴泥に含まれる前記水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を配置する、
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記水吸収結晶化材料は、ケイ素化合物とカルシウム化合物との混合物を含み、前記ケイ素化合物と前記カルシウム化合物との反応によって、前記噴泥内の隙間を埋めるようにケイ酸カルシウムが生成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水吸収結晶化材料は、シリカゲルと水酸化カルシウムとの混合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記空間に合成樹脂からなる液状硬化剤を散布する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記空間に弾性材を配置する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1から請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有道床軌道において道床を補修するための方法であって、
前記道床上における少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部に隣接するバラストを撤去して、前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の端面を露出させ、
前記少なくとも1つのまくらぎの下に、前記少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、
露出させた前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の前記端面方向から、道床を補修するための補修材料を載せた補修材料挿入手段を前記補修材料と共に前記空間に挿入し、
前記補修材料を前記空間に残しながら前記補修材料挿入手段のみを引き抜く、
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記補修材料挿入手段は、板状体の上に紙又は布のシートを載せた挿入手段であり、前記補修材料挿入手段のみを引き抜く前記工程は、前記補修材料と前記紙又は布のシートとを前記空間に残しながら前記板状体のみを引き抜く工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有道床軌道において、細粒化されたバラストと水分とが混合することによって生成される噴泥を利用して道床を補修するための方法であって、
前記噴泥を含む前記道床上における少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部に隣接するバラストを撤去して、前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の端面を露出させ、
前記少なくとも1つのまくらぎの下に、前記少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、
露出させた前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の前記端面方向から、前記噴泥に含まれる前記水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を載せた水吸収結晶化材料挿入手段を前記水吸収結晶化材料と共に前記空間に挿入し、
前記水吸収結晶化材料を前記空間に残しながら前記水吸収結晶化材料挿入手段のみを引き抜く、
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記水吸収結晶化材料挿入手段は、板状体の上に紙又は布のシートを載せた挿入手段であり、前記水吸収結晶化材料挿入手段のみを引き抜く前記工程は、前記水吸収結晶化材料と前記紙又は布のシートとを前記空間に残しながら前記板状体のみを引き抜く工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水吸収結晶化材料は、ケイ素化合物とカルシウム化合物との混合物を含み、前記ケイ素化合物と前記カルシウム化合物との反応によって、前記噴泥内の隙間を埋めるようにケイ酸カルシウムが生成することを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水吸収結晶化材料は、シリカゲルと水酸化カルシウムとの混合物を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
露出させた前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の前記端面方向から、合成樹脂からなる液状硬化剤を前記空間に散布する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項8から請求項11に記載の方法。
【請求項13】
露出させた前記少なくとも1つのまくらぎの前記一方の端部又は両方の端部の前記端面方向から、弾性材を載せた弾性材挿入手段を前記弾性材と共に前記空間に挿入し、
前記弾性材を前記空間に残しながら前記弾性材挿入手段のみを引き抜く、
工程をさらに含むことを特徴とする、請求項8から請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記弾性材挿入手段は、板状体の上に紙又は布のシートを載せた挿入手段であり、前記弾性材挿入手段のみを引き抜く前記工程は、前記弾性材と前記紙又は布のシートとを前記空間に残しながら前記板状体のみを引き抜く工程を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有道床軌道における道床の補修方法に関し、より具体的には、レール継目部などにおける列車通過の衝撃により細粒化されたバラストと雨水などの水分との混合によって噴泥化した道床をそのまま利用し、浮きまくらぎ、軌道狂いなどを抑制するとともに、噴泥箇所がさらに噴泥化することを防止することによって、補修周期を改善し、経費面及び環境面に対する負荷を低減させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有道床軌道は、最も一般的に用いられている軌道であり、路盤上にバラスト(砕石)からなる道床(バラストの集合体)を構築し、その上に、レール締結装置を介してレールをまくらぎに固定した軌きょうを敷設した構造体である。有道床軌道は、車両を案内するとともに、通過する車両の荷重を、レール、まくらぎ、道床、路盤の順に伝達、分散させる機能を有する。有道床軌道におけるレールの継目部などにおいては、列車通過時に衝撃荷重がまくらぎを介して道床に加わる。その結果、まくらぎ下のバラスト(道床を構成する砕石)が、列車通過による繰り返し荷重によって互いにこすれ合って細粒化し、細粒化されたバラストと雨水や地下水などが混合して道床の空隙に充満することによって道床の噴泥化が生じ、これが、道床弾性力の低下、軌道狂い、列車動揺による乗り心地の悪化などをもたらす。また、噴泥化した箇所は、水はけの悪い不透水層を形成するため、雨水や地下水などがさらに滞水する。雨水や地下水などが細粒化されたバラストと混ざり合った泥水が、列車通過時の衝撃で軌道上に飛散することによって、まくらぎ下に空間が生じる。この状態を「浮きまくらぎ」と呼び、浮きまくらぎが発生すると、列車衝撃荷重がさらに増大し、さらなる噴泥化、軌道狂いが生じ、列車動揺が大きくなることから、乗り心地をさらに悪化させることになる。
【0003】
このような噴泥(繰り返し荷重によって細粒化されたバラストと、雨水や地下水などの水分とが混合したもの)を含む道床を補修するために、従来は、小規模な補修方法又は大規模な補修方法が行われてきた。小規模な補修方法は、噴泥を掻き出して溜まった水分を排水し、噴泥を掻き出した部分に、その周囲にある健全なバラストを掻き入れた後、その箇所をタイタンパーなどによって突き固め、道床の弾性を回復するものである。一方、大規模な補修方法は、噴泥を含む道床全体を撤去し、健全なバラストからなる新たな道床に交換するものである。
【0004】
有道床軌道において道床を補修する方法又は噴泥化を防止する方法が、幾つかの特許文献において開示されている。特許文献1は、有道床軌道に作用する過大な衝撃荷重により発生する落ち込み、浮きまくらぎ、噴泥化、並びに軌道狂いなどの各種の障害を抑制し、保守管理の軽減等に有効な弾性構造を構築することができる、有道床軌道の弾性化工法である。本方法は、有道床軌道を弾性化させるため、高分子弾性材の小片をまくらぎ下方のバラスト中に加振しながら埋入し、道床抵抗力を確保するため、高分子弾性材の小片が埋入された道床部分に合成樹脂からなる道床安定剤を散布してバラスト及び高分子弾性材の小片を相互に結合することを特徴とする。本方法は、高分子弾性材の小片が、道床部分を全体的に弾性化する機能を果たし、道床安定剤が、三次元網目状に広がることによって、適度な可撓性をもって互いに隣接するバラストや高分子弾性材の小片を一体化する。
【0005】
特許文献2は、排水不良によって溜まる雨水や水位の上昇した地下水により道床下の路盤表層土が泥状化(スラリー化)することによる路盤噴泥現象を防止するために、鉄道軌道の路盤表層部に噴泥防止用の遮水層を形成する工法である。路盤表層部の土、砂利などに、水硬性ウレタン樹脂の原液又はこれに水を添加した水分散液を浸透又は混合させ、土、砂利などに含まれている水分又は新たに加えた水によって水硬反応を起こさせて、弾性を有しかつ遮水性能の良好な所要厚さの連続した遮水層を路盤表層部に形成する。
【0006】
特許文献3は、レール継目部のまくらぎ下に生じる間隙に、フロータイム及びゲルタイムがコントロールされた安定剤を注入し、道床バラストの間隙を充填して短時間に安定化させることによって、道床バラスト強化を図るための工法である。
【0007】
【特許文献1】特開平11−209903
【特許文献2】特公昭60−24243
【特許文献3】特開2002−242104
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のとおり、噴泥を含む道床を補修する従来の方法は、噴泥を含む道床の一部を撤去するか、又は道床全体を交換するものであった。しかしながら、前者、すなわち噴泥を含む道床の一部を撤去する方法は、雨水や地下水への対策が行われないためあくまでも一時的な補修に過ぎず、雨水や地下水などがバラストの間隙に再び浸入することよって早期に噴泥化が生じることが多い。一方、後者、すなわち道床全体を新たな道床に交換する場合は、道床全体の交換に伴う大きな労力及び経費が必要となる。また、交換後の道床は産業廃棄物となるため、環境面からも問題がある。
【0009】
特許文献1に開示されている技術は、道床の弾性力及び抵抗力を増大させることを目的として、「有道床軌道を弾性化させる」ために高分子弾性材を道床中に「加振しながら埋入」し、「道床抵抗力を確保する」ために道床安定剤を散布するものである。しかしながら、この技術は、道床安定剤を散布することによってバラスト及び高分子弾性材の小片を相互に結合一体化させ、それにより軌道の道床横抵抗を増強することはできるが、道床のバラストの間隙に存在する水分への対策が行われていない。すなわち、道床の噴泥化した部分には水分が存在しており、細粒化したバラストを十分に固着させることはできないため、既に噴泥化した部分に道床安定剤を散布しても必要な固着強度が得られない可能性がある。
【0010】
また、列車通過時の荷重を吸収するためにはまくらぎ下面に隣接する部分に弾性材を投入することが効果的である。しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、まくらぎの間に高分子弾性材を投入し、投入された高分子弾性材をタイタンパーにより加振しながら埋入するため、高分子弾性材をまくらぎの下面に確実に配置することができる技術ではない。
【0011】
特許文献2に開示されている技術は、水を吸収して硬化する樹脂に、路盤中に含まれる水分を吸収させることによって遮水層を形成する技術であるが、この技術は、道床の下に位置する路盤に「予め」遮水層を形成して路盤が噴泥化するのを防止するものである。したがって、この技術は、一部が噴泥化した道床において、噴泥そのものを利用して道床を固化し、噴泥土への雨水又は地下水の混入を防止することによって噴泥化の進行を防止し、浮きまくらぎなどによる列車動揺を抑制する技術ではない。さらに、この技術は、「路盤」の噴泥化に対する対策技術であり、「路盤上の道床」の噴泥化の進行を抑制するものではない。
【0012】
さらに、特許文献1及び特許文献3に開示されている技術は、いずれも道床におけるバラストの間隙に浸入する水分に関する対策が全く行われていない。特に北海道などの積雪寒冷地においては、初冬の降雪時期に降った雪が解けて水になり、その水が道床中に浸透し、細粒化されたバラストと混合して噴泥化することが多い。したがって、特に冬期間に積雪する地域における有道床軌道の噴泥化対策においては、補修後にさらに水分が浸入しないようにすることも重要である。
以上のとおり、可能な限り現状の構造を維持したまま噴泥化した道床の補修を行うことによって補修周期を改善し、それにより線路維持に係る経費及び労力を抑制することができる低廉な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者らは、上記の課題を解決するために、既存の有道床軌道において、図1に示されるように、冬期間においてはまくらぎ下方の噴泥部分(帯水部分)が凍結、すなわち噴泥土粒子同士が固着し、噴泥化した箇所の列車動揺が減少するとともに、泥水の飛散も見られなくなることを発見した。これは、気温低下による凍結によって、噴泥に含まれる細粒化されたバラスト同士が結合し、まくらぎ浮き量が減少するためであると考えられる。
【0014】
本発明は、冬期間及び非冬期間において水分及び浮きまくらぎが噴泥に及ぼす影響を調査検討した結果、非冬期間においても、特にまくらぎの下面近くにおいて噴泥に含まれる水分を除去し、噴泥に含まれる細粒化されたバラスト同士の固着状態を作り出すとともに、水分のさらなる浸入を防ぐことにより噴泥化した箇所の再噴泥化を防止することによって、噴泥を撤去することなく、むしろ噴泥をそのまま利用して、補修周期を改善し、噴泥又は道床全体を交換することによる経費及び労力の増大並びに環境への悪影響を抑制しながら通年で列車動揺を抑えることが可能であるという知見に基づいて完成されたものである。
【0015】
本発明の1つの態様によれば、本発明は、細粒化されたバラストと水分とが混合することによって生成される噴泥を利用して道床を補修するための方法であって、噴泥を含む道床上における少なくとも1つのまくらぎの下に、少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、その空間に、噴泥に含まれる水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を配置する工程を含むことを特徴とする。本発明の方法は、少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間に、噴泥に含まれる細粒化されたバラスト同士を固着させることを主な目的とする合成樹脂からなる液状硬化剤を散布する工程をさらに含むこともできる。また、本発明の方法は、少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間に、列車通過時に少なくとも1つのまくらぎを介して道床に加わる荷重を吸収することを主な目的とする弾性材を配置する工程をさらに含むこともできる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本発明は、有道床軌道において、細粒化されたバラストと水分とが混合することによって生成される噴泥を利用して道床を補修するための方法であって、噴泥を含む道床上における少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部に隣接するバラストを撤去して、少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面を露出させ、少なくとも1つのまくらぎの下に、まくらぎの下面に隣接する空間を設け、露出させた少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面方向から、噴泥に含まれる水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を載せた水吸収結晶化材料挿入手段を水吸収結晶化材料と共に空間に挿入し、水吸収結晶化材料を空間に残しながら水吸収結晶化材料挿入手段のみを引き抜く工程を含むことを特徴とする。本発明の方法は、露出させた少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面方向から、合成樹脂からなる液状硬化剤をまくらぎの下面に隣接する空間に散布する工程をさらに含むこともできる。本発明の方法は、露出させた少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面方向から、弾性材を載せた弾性材挿入手段を弾性材と共にまくらぎの下面に隣接する空間に挿入し、弾性材を空間に残しながら弾性材挿入手段のみを引き抜く工程をさらに含むことができる。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、有道床軌道において道床を補修するための方法であって、道床上における少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部に隣接するバラストを撤去して、少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面を露出させ、少なくとも1つのまくらぎの下に、少なくとも1つのまくらぎの下面に隣接する空間を設け、露出させた少なくとも1つのまくらぎの一方の端部又は両方の端部の端面方向から、道床を補修するための補修材料を載せた補修材料挿入手段を補修材料と共に空間に挿入し、補修材料を空間に残しながら補修材料挿入手段のみを引き抜く工程を含むことを特徴とする。この補修材料挿入手段を、板状体の上に紙又は布のシートを載せた挿入手段として、補修材料挿入手段のみを引き抜く工程を、補修材料と紙又は布のシートとを空間に残しながら板状体のみを引き抜く工程に置き換えることもできる。
【0018】
本発明の方法によれば、まず、まくらぎ下面に隣接する空間に配置された水吸収結晶化材料の水分吸収作用により、まくらぎ下方の噴泥に含まれる水分が除去され、それにより、細粒化されたバラスト同士を固着させる液状硬化剤の働きを妨げる水分が減少するとともに、さらなる噴泥化を抑制することができる。また、水吸収結晶化材料の反応により生成される物質がまくらぎ下方の噴泥内における細粒化されたバラストの間の隙間を充填することによって、噴泥箇所が緻密化して道床の弾性が確保されるとともに、噴泥箇所に水分がさらに浸入するのを防止することができる。また、まくらぎ下面に隣接する空間に散布される合成樹脂からなる液状硬化剤により、噴泥内の細粒化されたバラスト同士を固着させることによって、道床の噴泥箇所を固化させて道床の弾性を確保するとともに、噴泥の流動及び水分のさらなる浸入を防止することができる。さらに、まくらぎ下面に隣接する空間に弾性材を配置することによって、まくらぎ下と道床との間の隙間を充填して浮きまくらぎ状態を解消するとともに、まくらぎがばたついてバラストがさらに粉砕され道床の弾性が失われることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図2は、本発明に係る方法の一実施形態の工程フローである。また、図3は、本発明に係る方法の一実施形態を実施する施工箇所、すなわち噴泥を含む道床上のまくらぎ及び線路を示す斜視図である。以下、図2に示される工程フローにしたがって、各工程を詳細に説明する。まず、工程1において、道床の噴泥箇所すなわち施工箇所におけるまくらぎ2の一方の端部2aに隣接するバラスト3を撤去して端部2aの端面2aaを露出させる(バラスト撤去前は、図2においてまくらぎ2’の端部2a’の近傍に示されるように、まくらぎの端面がバラストによって隠れた状態になっている)。撤去するバラスト3の量は、撤去後にまくらぎ2の端部2aの側方に残るバラストの高さが、少なくともまくらぎ2の底面の高さより低くなるような量であることが望ましい。このようにバラスト3を撤去することによって、後述する水吸収結晶化材料及び弾性材の配置が容易になる。例えば単線区間などにおいては、施工性をより向上させるため、まくらぎ2の一方の端部2aだけでなく、両方の端部2a及び2bに隣接するバラスト3を撤去して端部2a及び2bの端面2aa及び2bbを露出させ、後述するように水吸収結晶化材料及び弾性材をまくらぎ2の両端の端面2aa及び2bb方向から挿入するようにしてもよい。本発明の一実施形態においては、まくらぎ2の端部2a及び/又は2bに隣接するバラスト3を撤去するが、本発明の別の実施形態においては、まくらぎ2の側部、すなわち、まくらぎ2の線路1に垂直な辺の一方(2c又は2d)又は両方(2c及び2d)に隣接するバラストを撤去して2c及び/又は2dの側面を露出させ、このようにしてバラストを撤去した部分を介して後述する工程を行うこともできる。
【0020】
次いで、工程2においては、ジャッキ(図示せず)などの扛上(こうじょう)装置を用いてまくらぎ2をレール1と共にジャッキアップすることによって、図4に示されるように、まくらぎ2の下に所定の高さを有する空間Hを設ける。ジャッキアップは、まくらぎ2の一方の端部2a又は2bにおいて行うか、又は、両方の端部2a及び2bにおいて同時に行う。ジャッキアップ量、すなわち、まくらぎ2の下面とまくらぎ2下の道床4の上面との間に設ける空間Hの高さは、少なくとも、まくらぎ2の落ち込み量と、後述する水吸収結晶化材料及び弾性材を載せた挿入手段の挿入が可能な高さとの合計であることが好ましい。本発明の一実施形態においては、ジャッキアップ量は約30mmである。ジャッキアップは、一度に所定の量まで行うか、又は、工程の経過に応じて何回かに分けて最終的に所定の量になるように行うことができる。
【0021】
次いで、工程3においては、工程2においてまくらぎ2の下に設けた空間Hに、水分を吸収し結晶鉱物を生成する水吸収結晶化材料を配置する。水吸収結晶化材料は、ケイ素化合物とカルシウム化合物との混合物を含むことが好ましく、本発明の一実施形態においては、水吸収結晶化材料は、シリカゲル(SiO・nHO)と水酸化カルシウム(Ca(OH))との混合物を含む。シリカゲル及び水酸化カルシウムは、いずれも単体で水を吸収する作用があり、これらの混合物をまくらぎ2下方の噴泥箇所に配置することによって、噴泥に含まれる水分を吸収することができる。このように噴泥に含まれる水分を吸収することによって、後の工程でまくらぎ2下の空間Hに散布される液状硬化剤による細粒化されたバラスト同士の固着が、効果的に行われる。
【0022】
シリカゲル及び水酸化カルシウムの混合物はまた、「ポゾラン反応」と呼ばれる長期的な反応を生じる。ポゾラン反応は、混合物に含まれるケイ素がカルシウムイオンと反応して、水に不溶の安定した結晶鉱物(ケイ酸カルシウム(CaSiO)水和物)を長期的に生成する反応であり、以下の反応式(1)で表される。
(化1)
SiO+Ca(OH) → CaSiO+HO (1)
まくらぎ2の下にシリカゲルと水酸化カルシウムとの混合物を配置することによりポゾラン反応によって生じた結晶鉱物は、噴泥内における細粒化したバラストの間の隙間にゲル状となって発生し、時間をかけて安定な結晶鉱物となって、噴泥内の隙間を充填する。したがって、まくらぎ2下方の噴泥箇所は、長期的に隙間が減少し緻密化して強度が増加し、透水係数が低くなる。これにより、噴泥箇所の弾性が長期的に維持されるとともに、内部への水の浸入が防止されることになる。
【0023】
本発明の一実施形態においては、混合物中のシリカゲルと水酸化カルシウムとの重量比は、特に限定されないが、1:0.5〜1:5であることが好ましく、1:1〜1:1.2であることがさらに好ましい。理論的には、式(1)から分かるように、シリカゲルと水酸化カルシウムとの重量比が1:1.2の場合に全量が反応する。しかしながら、未反応のシリカゲル又は水酸化カルシウムが存在しても、いずれも噴泥又は周囲のバラスト内の水分を吸水する働きをすると考えられるため、シリカゲルと水酸化カルシウムとの重量比が1:1.2以外であってもよい。配置するシリカゲル及び水酸化カルシウムの量は、噴泥内の水分を吸収するとともに、噴泥内の隙間を埋めるのに十分な量の結晶鉱物を生成させるために必要な量であればよい。
【0024】
本発明の一実施形態においては、水吸収結晶化材料は、シリカゲルと水酸化カルシウムとの混合物であるが、これらに限定されるものではなく、噴泥に含まれる水分を吸収するとともに、ポゾラン反応を生成する混合物であればよい。例えば、水吸収結晶化材料は、シリカゲルと酸化カルシウム(CaO)との混合物、又は酸化アルミニウム(Al)と酸化カルシウムとの混合物とすることもできる。
【0025】
水吸収結晶化材料を、工程2においてまくらぎ2の下に設けた空間Hに配置する方法は、特に限定されない。しかしながら、道床が噴泥化する主な要因は、上述のように、まくらぎ2を介して加わる列車通過時の衝撃加重によりまくらぎ2の下に存在するバラストが細粒化し、これと水が混合することである。したがって、まくらぎ2の下に存在する水分を確実に除去するとともに、まくらぎ2の下に結晶鉱物を生成させるためには、水吸収結晶化材料を、まくらぎ2の下に設けた空間Hの所定の位置に確実に配置することが望ましい。水吸収結晶化材料をまくらぎ2の下に確実に配置するために、工程1においてまくらぎ2の端部2a及び/又は2bに隣接するバラストを撤去する本発明の一実施形態においては、水吸収結晶化材料挿入手段を用いる。図5は、挿入手段と、挿入手段をまくらぎ2の下に設けた空間Hに挿入することによって水吸収結晶化材料を配置する方法とを示す。水吸収結晶化材料挿入手段は、板状体(例えば、ベニヤ板、FRP板など)5の上に、該板状体5の上面の面積と少なくとも同じ面積を有する紙(例えば、障子紙など)又は布6を敷いたものである。挿入手段に用いる板状体5の長さ及び幅は、長さが少なくともまくらぎ2の長さ(約200cm)の半分程度であり、幅が少なくともまくらぎ2の幅(大判まくらぎの場合は約30cm、並まくらぎの場合は約20cm)と同程度であり、好ましくは、長さが約100cm、幅が約20〜30cmである。しかしながら、長さ及び幅は、これらに限定されるものではなく、まくらぎ2の下に設けた空間Hの所定の位置に水吸収結晶化材料7が確実に配置できるものであればよい。工程1において撤去するバラストの位置によって、すなわち、まくらぎ2の一方の端部2a又は2bに隣接するバラストを撤去するか、又はまくらぎ2の両方の端部2a及び2bに隣接するバラストを撤去するかによって、挿入手段の長さを変えることが好ましい。すなわち、一方の端部2a又は2bに隣接するバラストのみを撤去した場合には、まくらぎ2の長さと同程度の長さ、すなわち約200cmの長さの挿入手段を用いることが望ましく、両方の端部2a及び2bに隣接するバラストを撤去した場合には、少なくともまくらぎ2の半分程度の長さ、すなわち約100cmの長さの挿入手段を用いればよい。1つの実施形態においては、相互に連結するための連結手段を各々に設けた、まくらぎ2の半分の長さの板状体5を2枚用意し、両方の端部2a及び2bに隣接するバラストを撤去した場合には半分の長さの板状体5を用い、一方の端部2a又は2bに隣接するバラストを撤去した場合には、2枚の板状体5を連結してまくらぎ2の長さと同程度の長さの板状体として用いることができる。
【0026】
水吸収結晶化材料7の配置は、上述の水吸収結晶化材料挿入手段の上に水吸収結晶化材料7(本発明の一実施形態においては、シリカゲルと水酸化カルシウムとの混合物)を敷き詰め、それを、まくらぎ2の一方の端部2a又は2bの露出させた端面2aa又は2bb方向からまくらぎ2の下に設けた空間Hに挿入し、次いで、水吸収結晶化材料挿入手段のうちの板状体5のみを、例えば振動させながら引き抜くことによって行われる。このような方法で水吸収結晶化材料7を配置することによって、道床や線路の状態をできるだけ維持したまま、まくらぎ2の下に設けた空間Hに確実に水吸収結晶化材料7を配置することが可能になり、これにより、施工性の向上及び経費の低減が可能になる。本発明の他の実施形態においては、工程1において、まくらぎ2の両端2a及び2bに隣接するバラストを撤去する。この場合は、まくらぎ2の一方の端部2a又は2bに隣接するバラストのみを撤去した場合と同様の作業を、まくらぎ2の両端から行うことができ、さらにより確実に水吸収結晶化材料7をまくらぎ2の下に配置することができる。工程1においてまくらぎ2の側部2c及び/又は2dに隣接するバラストを撤去する本発明の別の実施形態においては、上述の水吸収結晶化材料挿入手段をまくらぎ2と平行になるようにまくらぎ2の下の空間Hに挿入し、板状体のみを引き抜くことによって、水吸収結晶化材料を配置することができる。
【0027】
本発明の他の実施形態においては、水吸収結晶化材料挿入手段として、板状体5の上に紙又は布6を敷かずに板状体5のみを用い、その上に水吸収結晶化材料7を直接敷き詰めて、挿入手段及び水吸収結晶化材料7をまくらぎ2の下に設けた空間Hに挿入し、板状体5のみを引き抜く方法によって、水吸収結晶化材料を配置することもできる。なお、水吸収結晶化材料は、コンプレッサを用いてまくらぎ2の下に設けた空間Hに散布することもできる。
【0028】
工程3において水吸収結晶化材料をまくらぎ2の下に設けた空間Hに配置した後、工程4において、該空間に、噴泥内の細粒化されたバラスト同士を固着させるための液状硬化剤を散布する。本発明の一実施形態においては、液状硬化剤は、合成樹脂からなる道床安定剤とすることができ、合成樹脂の例として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エマルジョン樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。合成樹脂からなる道床安定剤は、一般には、道床のバラストを固めることにより軌道の横抵抗力を増大させることを主な目的としてまくらぎ周辺に散布されるものである。しかしながら、本発明においては、道床安定剤は、道床の噴泥箇所を固化させて道床の弾性を確保するとともに、噴泥の流動及び水分のさらなる浸入を防止することを主な目的として、水吸収結晶化材料を配置したまくらぎ2の下の空間Hに散布する。このように、水吸収結晶化材料を配置した箇所に液状硬化剤を散布することにより、噴泥に含まれる水分が水吸収結晶化材料に吸収され、水分が液状硬化剤の働きを阻害する可能性が極めて低くなるという利点がある。
【0029】
液状硬化剤は、本発明の一実施形態においては工程1においてバラストを撤去したまくらぎ2の端部2a及び/又は2bの露出させた端面2aa及び/又は2bb方向から、又は、本発明の別の実施形態においては工程1においてバラストを撤去したまくらぎ2の側部2c及び/又は2dの露出させた側面方向から、まくらぎ2の下に設けた空間Hに管を挿入し、コンプレッサを用いて、該管を通してまくらぎ2の下の空間Hにムラなく散布することが好ましい。しかしながら、液状硬化剤の散布方法はこれに限定されるものではなく、まくらぎ2の下に設けた空間Hに配置された水吸収結晶化材料の上に、できるだけムラにならないように散布できる方法であればよい。また、液状硬化剤を散布する量については、特に限定されるものではなく、細粒化されたバラスト同士を固着させるために必要な量であればよい。
【0030】
次いで、工程5において、まくらぎ2と道床4との間の隙間を充填して、浮きまくらぎ状態を解消するとともに、列車通過時にまくらぎ2を介して道床4に加わる荷重を吸収するための弾性材を、工程1においてまくらぎ2の下に設けた空間Hに配置する。弾性材は、本発明の一実施形態においては古タイヤを破砕したゴムチップを用いるが、これに限定されるものではない。弾性材は、例えばウレタン樹脂又はゴム板などといった、まくらぎ2と道床4との間の隙間を充填することができ、かつ、弾性を有する材料であればよい。本発明の一実施形態においては、ゴムチップの大きさは、約10mm〜約20mmであることが好ましい。また、配置するゴムチップの量は、施工後の列車通過による沈下を考慮して、ジャッキアップしたまくらぎ2を最終的に降ろした状態で10m弦の高低を5〜7mm程度とするのに必要な量であることが好ましい。
【0031】
弾性材をまくらぎ2の下に設けた空間Hに配置するための方法は、工程3において水吸収結晶化材料を配置した方法と同様である(図5を参照されたい)。すなわち、弾性材の配置は、工程2において用いられる水吸収結晶化材料挿入手段と同様の構成の弾性材挿入手段を準備し、弾性材挿入手段の上に弾性材(本発明の一実施形態においては、ゴムチップ)を敷き詰め、それを、まくらぎ2の一方の端部2a又は2bの露出させた端面2aa又は2bb方向からまくらぎ2の下に設けた空間Hに挿入し、次いで、弾性材挿入手段のうちの板状体のみを、例えば振動させながら引き抜くことによって行われる。このような方法で弾性材を配置することによって、まくらぎ2の下に設けた空間Hに確実に弾性材を配置することが可能になる。なお、工程2において説明したように、工程1においてまくらぎ2の両端2a及び2bに隣接するバラストを撤去した場合には、まくらぎ2の一方の端部に隣接するバラストのみを撤去した場合と同様の作業を、まくらぎ2の両端から行うことができ、さらにより容易かつ確実に弾性材をまくらぎ2の下に配置することができる。さらに、工程1においてまくらぎ2の側部2c及び/又は2dに隣接するバラストを撤去する本発明の別の実施形態においても、水吸収結晶化材料を挿入するための上述の方法と同様の方法で、弾性材を配置することができる。
【0032】
本発明の他の実施形態においては、弾性材挿入手段として、板状体の上に紙又は布を敷かずに板状体のみを用い、その上に弾性材を直接敷き詰めて、挿入手段及び弾性材をまくらぎ2下に設けた空間Hに挿入し、板状体のみを引き抜く方法によって、弾性材を配置することもできる。
【0033】
本発明の一実施形態においては、工程4において液状硬化剤(合成樹脂からなる道床安定剤)を散布し、工程5において弾性材(ゴムチップ)を配置するが、液状硬化剤を散布する工程と弾性材を配置する工程の順序は、逆にすることもできる。しかしながら、この順序で施工した場合には、先に配置した弾性材の上から液状硬化剤を散布することになるため、液状硬化剤によって弾性材が固まり、弾性材が本来有する弾性力が完全には得られない可能性もある。したがって、上述のように、先に液状硬化剤を散布し、その後に弾性材を配置することがより好ましい。なお、必要に応じて、工程5において弾性材を配置した後、さらに道床安定剤をまくらぎ2の周囲に散布して、バラストを安定させるようにしてもよい。
【0034】
また、本発明のさらに別の実施形態においては、水吸収結晶化材料を固化させて板状体として、その上面に固化させて板状体にしたゴムチップ又はゴム板若しくはウレタン樹脂板を載せた積層体を準備し、この積層体をまくらぎ2の下に設けた空間Hに挿入することによって、より確実に水吸収結晶化材料及び弾性材の空間Hへの配置が実現可能となる。水吸収結晶化材料及び弾性材は、樹脂で固める、可溶性フィルムによって包装する、バインダーを用いてプレス成形する、又は生分解性プラスチックの容器に入れるなどの手段によって、板状体の形状にすることができる。積層体の大きさは、使用する噴泥箇所のまくらぎの大きさに応じて変えることが好ましく、例えば、大判まくらぎの下に挿入する場合には、幅約30cm、長さ約200cmの大きさのものが好ましい。また、積層体は、幾つかの部分に分割されたものを準備し、現場で必要な長さに組み合わせて使用可能な構成とすることができる。
【実施例】
【0035】
図6〜図8及び図9は、本発明の方法にしたがって道床補修を行った施工箇所における、列車動揺加速度の推移及び軌道高低狂い量の推移をそれぞれ示す。
【0036】
図6〜図8は、噴泥箇所のうち、本発明の方法にしたがって道床補修を行った箇所(以下、施工箇所という)及び補修を行わなかった箇所(以下、非施工箇所という)における、列車動揺加速度値の推移を示す。これらの図において、横軸は測定地点、縦軸は列車動揺加速度値(g)を示し、横軸の測定地点のうち、四角で囲った地点(271086、271112、及び271436)が施工箇所であり、それ以外は非施工箇所である。図6は、工程1においてまくらぎ2の側部2c及び2dに隣接するバラストを撤去してまくらぎ2の側面を露出させ、まくらぎ2の露出させた側面方向から水吸収結晶化材料(シリカゲルと水酸化カルシウムの混合物)及び液状硬化剤(道床安定剤)を投入し、かつ、弾性材(ゴムチップ)を配置した場合(以下、施工方法1とする)の結果である。図7は、施工方法1において弾性材を配置しなかった場合(以下、施工方法2とする)の結果である。また、図8は、工程1においてまくらぎ2の端部2a及び2bに隣接するバラストを撤去してまくらぎ2の端面2aa及び2bbを露出させ、露出させた端面2aa及び2bb方向から水吸収結晶化材料及び液状硬化剤を投入し、かつ、弾性材を配置した場合(以下、施工方法3とする)の結果である。いずれの施工方法においても、レールの継目部に使用される幅30cmの大判まくらぎの下と、その前後2カ所における幅20cmの並まくらぎの下に、上記の各材料を配置又は散布した。水吸収結晶化材料、すなわちシリカゲルと水酸化カルシウムとを、大判まくらぎの下には、それぞれ約1.8kg配置し、並まくらぎの下には、それぞれ約2.2kg(1.1kg×2カ所)配置した。液状硬化剤、すなわち道床安定剤(株式会社アレン製、製品名アレンロックR2)は、1缶当たり15kg入りのものを2缶散布した。また、弾性材、すなわちゴムチップは、大判まくらぎの下には約7kg、並まくらぎの下には約8kg(4kg×2カ所)を配置した。いずれの施工方法においても、施工箇所において、施工前には大きな列車動揺加速度を示していたが、施工直後には列車動揺加速度はほぼ0となり、施工3ヶ月後もその状態を維持していることが分かる。
【0037】
図9は、本発明の方法にしたがって道床補修を行った施工箇所における高低狂い量(5m弦)の推移を示す。図9において、横軸は測定時期を示し、縦軸は、高低狂い量(mm)を示す。図9において、◆で示されるデータは施工方法1による施工箇所であり、■で示されるデータは施工方法2による施工箇所であり、▲で示されるデータは施工方法3による施工箇所である。通常のムラ直しによる補修箇所(図9において、MTT補修箇所及びTT補修箇所として示されるデータ)においては、補修後1週間で約3mm〜約6mmの狂いが生じ、補修後2ヶ月程度でほぼ施工前の狂い量まで戻った。一方、施工方法1、施工方法2、及び施工方法3によって補修を行った場合には、時間の経過による軌道狂い量の大きな変化は見られなかった。特に、施工方法1によって補修を行った場合には、施工後1年間に生じた最大狂い量が約2mm以内に留まり、施工方法3によって補修を行った場合には、施工後の最大狂い量が約1mm以内に留まっていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】列車動揺超過箇所における噴泥起因箇所の割合を月別に示す。
【図2】本発明に係る方法の一実施形態の工程フローを示す。
【図3】本発明に係る方法の一実施形態を実施する施工箇所、すなわち噴泥を含む道床上のまくらぎ及び線路を示す斜視図を示す。
【図4】本発明に係る方法の一実施形態にしたがって、まくらぎの下に所定の高さを有する空間を設けた状態の部分断面斜視図を示す。
【図5】本発明に係る方法の一実施形態にしたがって、挿入手段と、挿入手段をまくらぎの下に設けた空間に挿入することによって水吸収結晶化材料を配置する方法とを示す。
【図6】噴泥箇所のうち、本発明に係る方法の一実施形態にしたがって道床補修を行った箇所、及び補修を行わなかった箇所における、列車動揺加速度の推移を示す。
【図7】噴泥箇所のうち、本発明に係る方法の一実施形態にしたがって道床補修を行った箇所、及び補修を行わなかった箇所における、列車動揺加速度の推移を示す。
【図8】噴泥箇所のうち、本発明に係る方法の一実施形態にしたがって道床補修を行った箇所、及び補修を行わなかった箇所における、列車動揺加速度の推移を示す。
【図9】本発明に係る方法の一実施形態にしたがって、道床補修を行った施工箇所における高低狂い量の推移を示す。
【符号の説明】
【0039】
1:線路
2、2’:まくらぎ
2a、2a’、2b:まくらぎの端部
2c、2d:まくらぎの側部
2aa、2bb:まくらぎの端面
3:まくらぎ2に隣接したバラストを撤去した部分
4:道床
5:板状体
6:紙又は布のシート
7:水吸収結晶化材料又は弾性材
H:まくらぎ下に設けた空間
【出願人】 【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】110000316
【氏名又は名称】特許業務法人ピー・エス・ディ


【公開番号】 特開2008−95413(P2008−95413A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279542(P2006−279542)