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【発明の名称】 鉄道用枕木及びその製造方法
【発明者】 【氏名】岩井 英夫

【氏名】撰 裕喜

【氏名】近藤 博昭

【要約】 【課題】充分な強度、レール締結の容易さを保持しつつ、安価な材料を用いて、製造コストを低減させることが出来る鉄道用枕木を提供する。

【構成】合成枕木10の枕木本体11では、硬質塩化ビニル樹脂材料13に混入されてなる粉砕木材14…が、多数、含有されて構成される芯材12と、この芯材12の周囲に、この芯材12に用いられる硬質塩化ビニル樹脂材料13と同一材料成分である硬質塩化ビニル樹脂材料を有する材料で、被覆することにより、この芯材12の外周面を略全面に渡り覆うように、所定の厚みを有して層状に構成される被覆部15とが、設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状を呈して、鉄道敷地内に敷設される枕木本体が、熱可塑性樹脂材料に混入されてなる体積増量材を含んで構成される芯材と、該芯材の周囲に該芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一材料成分を有する材料で、被覆することにより構成される被覆部とを有していることを特徴とする鉄道用枕木。
【請求項2】
前記体積増量材は、木材で、前記芯材内に、体積率で約10%〜40%含有されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道用枕木。
【請求項3】
前記体積増量材は、無機質粉体で、前記芯材内に、体積率で約10%〜55%含有されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道用枕木。
【請求項4】
前記芯材内には、前記枕木本体の延設方向に沿って、長手方向を揃えた長繊維が配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木。
【請求項5】
前記芯材の材料として、硬質塩化ビニル樹脂材料を使用することを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木。
【請求項6】
前記木材に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて表面処理が施されていることを特徴とする請求項2,4,若しくは請求項5のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木。
【請求項7】
前記芯材を一次プレス成型で形成した後、該芯材の周囲に前記被覆部を二次プレス成型によって形成することを特徴とする請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項8】
前記被覆部を構成する樹脂成型品を、断面略コ字状を呈するように一対、予め形成すると共に、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に、前記一方の樹脂成形品を、上方に開放端縁側を向けて装着して、該開放端縁の内倒れを防止する一組の内倒れ防止板材を該プレス型内で、該開放端縁内側位置に介挿すると共に、前記芯材となる熱可塑性樹脂材料に体積増量材を混入させる為、押出機で加熱混練した体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、該内倒れ防止板材間に投入して、上方から前記混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を所望の厚みに、プレス機にて加圧圧縮することにより、前記芯材を成型する一次プレス成型が行われて、該プレス機を開放して型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材を取り外し、前記他方の樹脂成型品を、下方に開放端縁側を向けて、前記芯材を覆うように被せて装着し、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型を行うことにより、芯材の周囲に前記被覆部を一体となるように固着させることを特徴とする請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項9】
前記被覆部を構成する樹脂成型品を、断面略コ字状を呈するように予め形成すると共に、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に、前記樹脂成形品を、上方に開放端縁側を向けて装着して、該開放端縁の内倒れを防止する一組の内倒れ防止板材を該プレス型内で、該開放端縁内側位置に介挿すると共に、前記芯材となる熱可塑性樹脂材料に体積増量材を混入させる為、押出機で加熱混練した体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、該内倒れ防止板材間に投入して、上方から前記混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を所望の厚みに、プレス機にて加圧圧縮することにより、前記芯材を成型する一次プレス成型が行われて、該プレス機を開放して型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材を取り外し、前記樹脂成型品の開放端縁側を、前記芯材を覆うように折り曲げて、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型を行うことにより、芯材の周囲に前記被覆部を一体となるように固着させることを特徴とする請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項10】
前記体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、混練して該内倒れ防止板材間に投入する際、長繊維を配設することを特徴とする請求項8及び9記載の鉄道用枕木の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道軌道に用いられて、上方に敷設されるレールを支持する鉄道用枕木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図12に示すように、内部に、長繊維としてのガラス繊維2…を含有する長繊維強化発泡熱硬化性樹脂製の平角棒状体を、中実となるように引抜成形して、裁断することにより、断面略方形形状を呈する枕木本体1が知られている。
【0003】
このようなものでは、鉄道の軌道敷地5内に敷設される多数のバラスト3…内に一部埋設されて、一定間隔で、前記枕木本体1…が並設されている。
【0004】
そして、これらの枕木本体1の上方に、一対のレール部材4,4が、敷設されて図示省略の取付金具としての犬釘類、タイプレートが用いられて固定されている。
【特許文献1】実公昭61−23042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の鉄道用枕木では、枕木本体1に材料として用いられるウレタン等の熱硬化性樹脂、ガラス繊維等の長繊維は比較的高価なものであり、原材料コストを増大させてしまうといった問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、充分な強度、レール締結の容易さを保持しつつ、安価な材料を用いて製造コストを低減させることが出来る鉄道用枕木を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、長尺状を呈して、鉄道敷地内に敷設される枕木本体が、熱可塑性樹脂材料に混入されてなる体積増量材を含んで構成される芯材と、該芯材の周囲に該芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一材料成分を有する材料で、被覆することにより構成される被覆部とを有している鉄道用枕木を特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載されたものは、前記体積増量材は、木材で、前記芯材内に、体積率で約10%〜40%含有されている請求項1記載の鉄道用枕木を特徴としている。
【0009】
更に、請求項3に記載されたものは、前記体積増量材は、無機質粉体で、前記芯材内に、体積率で約10%〜55%含有されている請求項1記載の鉄道用枕木を特徴としている。
【0010】
そして、請求項4に記載されたものは、前記芯材内には、前記枕木本体の延設方向に沿って、長手方向を揃えた長繊維が配設されている請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木を特徴としている。
【0011】
また、請求項5に記載されたものは、前記芯材の材料として、硬質塩化ビニル樹脂材料を使用する請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木を特徴としている。
【0012】
更に、請求項6に記載されたものは、前記木材に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて表面処理が施されている請求項2,4,若しくは請求項5のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木を特徴としている。
【0013】
そして、請求項7に記載されたものは、前記芯材を一次プレス成型で形成した後、該芯材の周囲に前記被覆部を二次プレス成型によって形成する請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法を特徴としている。
【0014】
また、請求項8に記載されたものは、前記被覆部を構成する樹脂成型品を、断面略コ字状を呈するように一対、予め形成すると共に、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に、前記一方の樹脂成形品を、上方に開放端縁側を向けて装着して、該開放端縁の内倒れを防止する一組の内倒れ防止板材を該プレス型内で、該開放端縁内側位置に介挿すると共に、前記芯材となる熱可塑性樹脂材料に体積増量材を混入させる為、押出機で加熱混練した体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、該内倒れ防止板材間に投入して、上方から前記混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を所望の厚みに、プレス機にて加圧圧縮することにより、前記芯材を成型する一次プレス成型が行われて、該プレス機を開放して型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材を取り外し、前記他方の樹脂成型品を、下方に開放端縁側を向けて、前記芯材を覆うように被せて装着し、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型を行うことにより、芯材の周囲に前記被覆部を一体となるように固着させる請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法を特徴としている。
【0015】
そして、請求項9に記載されたものは、前記被覆部を構成する樹脂成型品を、断面略コ字状を呈するように予め形成すると共に、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に、前記樹脂成形品を、上方に開放端縁側を向けて装着して、該開放端縁の内倒れを防止する一組の内倒れ防止板材を該プレス型内で、該開放端縁内側位置に介挿すると共に、前記芯材となる熱可塑性樹脂材料に体積増量材を混入させる為、押出機で加熱混練した体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、該内倒れ防止板材間に投入して、上方から前記混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を所望の厚みに、プレス機にて加圧圧縮することにより、前記芯材を成型する一次プレス成型が行われて、該プレス機を開放して型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材を取り外し、前記樹脂成型品の開放端縁側を、前記芯材を覆うように折り曲げて、被せて装着し、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型を行うことにより、芯材の周囲に前記被覆部を一体となるように固着させる請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の鉄道用枕木の製造方法を特徴としている。
【0016】
また、請求項10に記載されたものは、前記体積増量材及び熱可塑性樹脂材料を、混練して該内倒れ防止板材間に投入する際、長繊維を配設する請求項8及び9記載の鉄道用枕木の製造方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された本願発明の請求項1記載のものは、前記体積増量材によって、前記芯材の体積が増大しているので、該芯材を構成する熱可塑性樹脂材料の分量を減少させることができる。
【0018】
このため、例えば、熱可塑性樹脂材料に比して、比重が小さい前記体積増量材を用いれば、前記同一体積で形成される従来の中実の枕木本体に比して、該枕木本体の重量を軽量化することができる。
【0019】
しかも、該熱可塑性樹脂材料は、高価なウレタン等の熱硬化性樹脂材料に比して安価な、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ABS等の樹脂材料を用いることが出来、原材料価格、耐候性、及び物理的強度から硬質塩化ビニル樹脂材料(以下、PVCと記す。)を用いて、原材料コストを更に削減することができる。
【0020】
また、前記芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一材料を被覆することにより構成される被覆部によって、前記芯材の周囲が覆われている。
【0021】
このため、前記体積増量材が、該枕木本体の表面から外部に露出することなく、耐候性が良好で、該体積増量材として用いることが出来る材料の種類を増大させることが出来る。
【0022】
更に、同一材料を被覆することにより、密着性を向上させて、成型後の一体化を容易に図ることができる。
【0023】
例えば、前記被覆部を、ポリ塩化ビニルで形成する場合、耐衝撃性を有するポリ塩化ビニルで形成して、更に、外力からの保護性を向上させることができる。
【0024】
また、請求項2に記載されたものは、前記体積増量材としての木材が、体積率で約10%〜40%の割合で、前記芯材内に、含有されている。
【0025】
このため、該枕木本体の重量を軽量化することができる。
【0026】
また、該枕木本体の芯材の周囲が、前記芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一材料によって、被覆されている。
【0027】
このため、前記木材が、該枕木本体の表面から外部に露出することなく、該木材への水分の吸収が抑制されて、腐食する虞が少ない。
【0028】
しかも、該木材として、既存の木製の枕木を粉砕等して、チップ状として用いれば、原材料資源のリサイクル率を向上させることが出来る。
【0029】
更に、請求項3に記載されたものは、前記体積増量材としての無機質粉体が、体積率で約10%〜55%の割合で前記芯材内に、含有されている。
【0030】
ここで、前記無機質粉体としては、フライアッシュ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ粉体等が用いられる。
【0031】
特に、フライアッシュは、火力発電所等で、大量に生成されて安価である。また、微細な球状であるため、熱可塑性樹脂材料に混合した際に、良好な流動性を発揮させることが出来、含有比率を高い割合とすることができる。
【0032】
しかも、該枕木本体の芯材の周囲が、前記芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一材料によって、被覆されていて、該無機質粉体が、該枕木本体の表面から分離してしまう虞が無い。従って、この点においても、該無機質粉体の含有比率を高い割合とすることができる。
【0033】
そして、請求項4に記載されたものは、前記芯材内に配設された長繊維が、前記枕木本体の延設方向に沿って、長手方向が揃えられて設けられている。
【0034】
ここで、長繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等が用いられる。
【0035】
このため、更に、前記芯材に用いる熱可塑性樹脂材料の量を、更に、減少させることが出来ると共に、該芯材の曲げ方向の強度を向上させることができる。
【0036】
また、請求項5に記載されたものは、前記芯材の材料として、硬質塩化ビニル樹脂材料を使用することにより、更に、安価に前記枕木本体を構成することができる。
【0037】
更に、請求項6に記載されたものは、前記木材の表面処理が、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVAと記す)エマルジョンを用いて行われている。
【0038】
このため、前記芯材に混入する前に、前記体積増量材としての木材に、塗布されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンが、該木材内に浸透して、該芯材を加熱成型する際に、周囲の塩化ビニル樹脂材料等の熱可塑性樹脂材料と、木材との密着性を向上させることが出来る。
【0039】
そして、請求項7に記載されたものは、前記芯材が、一次プレス成型で形成された後、該芯材の周囲に、二次プレス成型によって前記被覆部が、形成される。
【0040】
このため、射出成型機では、射出口に目詰まりや成型不良を引き起こしやすい安価な前記体積増量材であっても、該体積増量材を、芯材を構成する熱可塑性樹脂材料内に混入して、前記一次プレス成型で、容易に、所望の形状に形成出来る。
【0041】
そして、二次プレス成型では、前記体積増量材を前記被覆部の内側に包含させることができると共に、外表面に凹凸形状等を呈するレール締結部位や、或いは、道床抵抗を増大させる凹凸形状を、下面若しくは側面部に、容易に形成出来る。
【0042】
また、請求項8に記載されたものは、予め一対、形成された前記被覆部を構成する一方の樹脂成型品が、断面略コ字状を呈していて、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に、上方に開放端縁側を向けて装着される。
【0043】
そして、前記一組の内倒れ防止板材が、該プレス型内で、該開放端縁内側位置に介挿されて、前記樹脂成型品の開放端縁の内倒れが防止される。
【0044】
次に、前記押出機によって、加熱混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料が、該内倒れ防止板材間に投入されると、一次プレス成型の前記プレス機によって、所望の厚みに加圧圧縮することが出来る。
【0045】
前記芯材が成型されて、該プレス機が、開放されて型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材が取り外されて、前記他方の樹脂成型品が、下方に開放端縁側を向けて、前記芯材を覆うように被せられて、装着される。
【0046】
そして、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型が行われることにより、芯材の周囲に前記被覆部が一体となるように固着される。
【0047】
更に、請求項9に記載されたものは、断面略コ字状を呈するように予め形成された前記被覆部を構成する樹脂成型品が、加熱型プレス金型として、型締めが行われるプレス型に上方に開放端縁側を向けて装着される。
【0048】
そして、該樹脂成型品の開放端縁の内側位置に、前記内倒れを防止する一組の内倒れ防止板材が介挿されて、前記芯材となる熱可塑性樹脂材料に体積増量材を混入させる為、押出機で加熱混練した体積増量材及び熱可塑性樹脂材料が、該内倒れ防止板材間に投入されて、プレス機にて加圧圧縮されることにより、上方から前記混練された体積増量材及び熱可塑性樹脂材料が、所望の厚みの芯材が、一次プレス成型される。
【0049】
該プレス機を開放して型開きが行われた後、前記内倒れ防止板材が取り外されて、前記樹脂成型品の開放端縁側が、前記芯材を覆うように折り曲げられることにより、前記芯材の周囲が、該樹脂成型品によって、覆われる。
【0050】
そして、該芯材の上方から、前記プレス機を用いて、二次プレス成型が行われることにより、芯材の周囲に前記被覆部が一体となるように固着される。
【0051】
また、請求項10に記載されたものは、前記体積増量材及び熱可塑性樹脂材料が、混練されて、該内倒れ防止板材間に投入される際、長繊維が配設される。
【0052】
このため、前記体積増量材が、前記長繊維を、下方から支持するので、別途、前記長繊維を支持するための治具等を簡略化若しくは省略することができる。
【0053】
従って、施工工程が簡略化されて、更に、製造コストの上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の鉄道用枕木について説明する。
【0055】
図1乃至図11は、この発明の実施の形態の鉄道用枕木を示すものである。
【0056】
まず、構成から説明すると、この実施の形態では、図1に示すように、鉄道の軌道敷地5内に、鉄道用枕木としての合成枕木10…が、複数本並設されている。
【0057】
これらの合成枕木10は、長尺状を呈して、主に、軌道敷地5内に敷設される多数のバラスト(砕石)3…内に、一部埋設されて、一定間隔を置いて設けられる枕木本体11と、この枕木本体11の上面側11aに、凹設形成される左,右一対のレール締結部11b,11bとを有して構成されている。
【0058】
そして、これらの枕木本体11の上方に、図2及び図3に示すような一対のレール部材4,4が、敷設されると共に、これらのレール締結部11b,11bの上面側には、取付金具としての及び締付外壁仕上げ材13とボルト9が用いられて、各レール部材4,4が、これらの各レール締結部11b,11bに固着されるように構成されている。
【0059】
また、この実施の形態の合成枕木10は、枕木本体11が、熱可塑性樹脂材料としての硬質塩化ビニル樹脂材料13に混入されてなる体積増量材としての粉砕木材14…が、多数、含有されて構成される芯材12と、この芯材12の周囲に、この芯材12に用いられる硬質塩化ビニル樹脂材料13と同一材料成分を有する材料で、被覆することにより、この芯材12の外周面を略全面に渡り覆うように、所定の厚みを有して層状に構成される被覆部15とが、設けられている。
【0060】
次に、この実施の形態の合成枕木10の作用効果について、加熱型プレス金型装置16を用いた製造方法の順序に沿って説明する。
【0061】
このように構成される実施の形態の鉄道用の合成枕木10では、この合成枕木10を製造する加熱型プレス金型装置16が、主に、上プレス金型18及び下プレス金型19からなる金型本体17と、この金型本体17の周囲に近接配置されて、ヒーター装置若しくは蒸気加熱により、金型本体17の加熱温度を変更可能な加熱板20とを有している。
【0062】
このうち、前記下プレス金型19は、図5中に示すように、前記硬質塩化ビニル樹脂材料13及び粉砕木材14が投入される凹型部19a及び、底面部19cの両側壁部19d,19dの上縁から外側方に向けて突設されて、上プレス金型18のフランジ部18b,18bと共に、上プレス金型18の底面部18aが、この凹型部19a内に、図5(h)中に示すように半挿入された状態で、クリップ状の留め具25,25によって固定されるフランジ部19b,19bが形成されている。
【0063】
また、この加熱型プレス金型装置16には、前記金型本体17の下プレス金型19内に装着される二枚の内倒れ防止板材21,21が設けられている。
【0064】
更に、この加熱型プレス金型装置16には、上方から被成型物を押圧する押圧部材22が設けられている。
【0065】
まず、図5中(a)に示すように、前記加熱板20によって、前記凹型部19aの外側から加熱される下プレス金型19には、この凹型部19aの内側面に沿って、前記樹脂成型品23が、両側の開放端縁23a,23aを上側に向けて装着される。
【0066】
この樹脂成型品23は、予め、硬質塩化ビニル樹脂材料に、MBS樹脂材料等、硬質塩化ビニル樹脂材料の特性を損なわずに耐衝撃性を向上させる強化用樹脂等の改質材を混合させたものが用いられている。
【0067】
しかも、この実施の形態の前記樹脂成型品23,23は、上,下に配置される一組が、同一の金型から形成されて、組み合わせ状態では、図5(f)に示すように、交互に開放端縁23a,23aが重複するように、各開放端縁23a,23aに各々所定の緩傾斜角度αが、一方方向(この実施の形態では、断面視左方向)に与えられて、組み合わせ可能に構成されている。
【0068】
次に、図5中(b)に示すように、前記金型本体17の下プレス金型19内に装着される二枚の内倒れ防止板材21,21が、前記開放端縁23a,23aが、加熱により、自重で垂れ下がって内倒れを起こすことを防止するように、この開放端縁23a,23aの内側壁面に沿って、この凹型部19a内に装着される。
【0069】
そして、図5中(c)に示すように、前記芯材12となる硬質塩化ビニル樹脂材料13内に、体積増量材としての粉砕木材14…を混入させる為、図示省略の押出機7で、加熱混練された前記粉砕木材14及び、硬質塩化ビニル樹脂材料13が、この内倒れ防止板材21,21間に投入される。
【0070】
この実施の形態では、図6に示すように、これらの粉砕木材14…が、鉄道軌道敷地内に用いられていた既存の木製の枕木が、粉砕等されて、チップ状とされて用いられている。
【0071】
この実施の形態では、これらの粉砕木材14…の大きさが、長さで約2mm〜30mm、太さが、約0.1〜5.0φとなるように構成されている。
【0072】
チップ状に粉砕された粉砕木材14…は、計量されて、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて混合して含浸させることにより、表面処理が施されている。
【0073】
また、前記硬質塩化ビニル樹脂材料13は、雨樋或いは配水管等、塩化ビニル樹脂材料で形成された物品を回収して、粉砕することにより、リサイクル塩化ビニル樹脂材料として計量された後、前記押出機7内に投入されて、所定の比率で、混合される。
【0074】
このため、原材料資源のリサイクル率を向上させることが出来る。
【0075】
そして、この押出機7内では、これらのエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンによって、表面処理が施された粉砕木材14…及び、前記リサイクル塩化ビニル樹脂材料が、加熱混練されて、前記内倒れ防止板材21,21間に押し出され、前記凹型部19a内に投入される。この押出機7及び、原材料の供給装置等は、自動化設備とすることにより、少人数、例えば一人で、準備及び監視業務を行うことができる。
【0076】
前記原材料の投入後、図5中(d)に示すように、前記押圧部材22が用いられて、前記粉砕木材14…及び、前記リサイクル塩化ビニル樹脂材料が、この加熱型プレス金型装置16によって加熱圧縮されて、所謂一次圧縮が行われ、芯材12が、断面略方形形状で、長手方向に所定の長さに成型される。
【0077】
次に、一旦、前記加熱型プレス金型装置16が、開放されて、前記押圧部材22の型開きが行われた後、図5中(e)に示すように、前記内倒れ防止部材21,21が取り外される。
【0078】
そして、図5中(f)に示すように、前記他方の樹脂成型品23が、下方に開放端縁23a,23a側を向けて、前記芯材12の両側面側で、前記一方の樹脂成型品23の開放端縁23a,23aと各々上下方向で一部重複させると共に、この芯材12の上面側が、覆われるように被せられて装着される。
【0079】
この他方の樹脂成型品23の上方からは、この加熱型プレス金型装置16の上プレス金型18が、底面部18aをこの凹型部19a内に、半挿入して、図5中(g)に示すように、再び、前記押圧部材22によって、上方から押圧することにより、二次プレス成型が行われる。
【0080】
この際、この実施の形態では、図1に示されるような枕木本体11の上面側11aに、凹状に形成される前記レール締結部11b,11bを形成するため、前記上プレス金型18の底面部18aには、一対の凸部(図示省略)が、下方に向けて凸設されている。
【0081】
このため、芯材12の上面側は、前記他方の樹脂成型品23によって、略全面を覆われた状態で、前記底面部18aによって、プレス成型されるので、外部に露出することなく、前記レール締結部11b,11b位置でも、一定の厚みの被覆部15が形成される。
【0082】
次に、図5(h)中に示すように、上プレス金型18の底面部18aが、押圧状態を維持したまま、この凹型部19a内に半挿入された状態で、クリップ状の留め具25,25によって固定されて、一定時間、冷却される。
【0083】
そして、冷却期間終了後、前記芯材12を形成する硬質塩化ビニル樹脂材料13が、周囲の被覆部15の硬質塩化ビニル樹脂製材料と一体化されて、硬化しているため、前記上プレス金型18を取り除き、型開きを行うことによって、前記下プレス金型19の凹型部19aから取り出された枕木本体11が、芯材12内部の前記粉砕木材14…を、圧縮したままの状態で保持して、所望の合成枕木10の形状が保持される。
【0084】
このため、この実施の形態では、前記粉砕木材14が、体積率で約10%〜40%の割合で、前記芯材12内に、含有されている。
【0085】
このため、この枕木本体11の重量を、全て、硬質塩化ビニル樹脂製材料13で、中実に形成する場合に比して、軽量化することができる。
【0086】
また、枕木本体11の芯材12の周囲が、前記芯材12に用いられる硬質塩化ビニル樹脂製材料と同一材料成分を有する耐衝撃硬質塩化ビニル樹脂製材料によって、被覆されている。
【0087】
このため、前記粉砕木材14…が、枕木本体11の表面から外部に露出することなく、これらの粉砕木材14…への水分の吸収が抑制されて、腐食する虞が少ない。
【0088】
しかも、この粉砕木材14として、この実施の形態では、既存の木製の枕木を粉砕等して、チップ状として用いているので、原材料資源のリサイクル率を向上させることが出来る。
【0089】
また、前記粉砕木材14によって、前記芯材12の体積が増大しているので、この芯材12を構成する硬質塩化ビニル樹脂製材料13の分量を減少させることができる。
【0090】
この実施の形態では、熱可塑性樹脂材料として、安価な硬質塩化ビニル樹脂材料が用いられている。
【0091】
この硬質塩化ビニル樹脂材料は、原材料価格、耐候性、及び所望の物理的強度を有し、合成枕木10として用いて好適で、原材料コストを更に削減することができる。
【0092】
また、この実施の形態では、前記芯材12に用いられる硬質塩化ビニル樹脂材料と、同一材料成分を有する耐衝撃硬質塩化ビニル樹脂材料が用いられて前記芯材12の周囲が、覆われて、一体に被覆部15が構成されている。
【0093】
このため、前記粉砕木材14が、この枕木本体10の表面から外部に露出することなく、耐候性が良好で、粉砕木材14等、体積増量材として用いることが出来る材料の種類を増大させることが出来る。
【0094】
また、同一材料を含む耐衝撃硬質塩化ビニル樹脂材料で、硬質塩化ビニル樹脂材料13を主成分とする芯材12が、被覆されることにより、塩化ビニル成分同士の親和性が良好で、密着性を向上させて、成型後の一体化を容易に図ることができる。
【0095】
更に、この実施の形態では、前記被覆部15が、耐衝撃性を有する耐衝撃硬質塩化ビニル樹脂材料で、形成されているので、更に、外力からの保護性を向上させることができる。
【0096】
また、前記芯材12の材料として、硬質塩化ビニル樹脂材料13を使用することにより、更に、安価に前記枕木本体11を構成することができる。
【0097】
更に、前記木材の表面処理が、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVAと記す)エマルジョンを用いて行われている。
【0098】
このため、前記芯材12に混入する前に、前記体積増量材としての粉砕木材14…に、塗布されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンが、これらの粉砕木材14内に浸透して、この芯材12を加熱成型する際に、周囲の塩化ビニル樹脂材料13と、粉砕木材14との密着性を向上させることが出来る。
【0099】
この実施の形態では、図5及び図6に示すように、前記芯材12が、一次プレス成型で形成された後、この芯材12の周囲に、二次プレス成型によって前記被覆部15が、予め成型された樹脂成型品23,23を用いて形成される。
【0100】
このため、二次プレス成型では、前記一次プレス成型で混入された粉砕木材14を、前記被覆部15の内側に包含させることができる。
【0101】
また、引抜成形では、後加工となってしまう外表面に凹凸形状等を呈するレール締結部11b,11bの凹凸形状の形成も、前記一次及び二次プレス成型時に同時に行うことにより、容易に行うことができる。
【0102】
また、射出成型機では、射出口に目詰まりや成型不良を引き起こしやすい安価な前記粉砕木材14等の体積増量材であっても、吐出口の大きさを形状に左右されることなく大きく設定できる前記押出機7を用いることにより、これらの粉砕木材14を、芯材12を構成する硬質塩化ビニル樹脂材料13内に混入させて、前記押出機7内で加熱混練させた状態で、前記凹型部19a内に、投入することが出来る。
【0103】
このため、粉砕木材14が、前記硬質塩化ビニル樹脂材料13内で、略均等に分散された状態で、前記一次及び二次プレス成型用の下プレス金型19内に投入出来る。従って、下プレス金型19内での再混練等が不要で、直ちに、一次、二次プレス成型及び冷却硬化が行われるので、一つの枕木本体11の成型工程時間を短縮出来、バッチ成型であっても、生産効率を向上させることが出来る。
【0104】
また、この枕木本体11の冷却により、従来、表面に発生していたヒケ等の変形が、内部に圧縮状態で含有された粉砕木材14…によって、内側から膨出力を付与されることにより緩和されて、所望の外形寸法を容易に得られる。
【0105】
冷却、脱型後、図6中に示すように、仕上げ加工或いは、埋込栓加工が行われて、検査により、予め上面部11aの所望の箇所に、レール締結部11b,11bが、左,右一対、凹設形成された枕木本体11を得ることが出来る。
【0106】
このように、外表面の所望の位置に凹凸形状等を呈するレール締結部11b,11bを形成することができるので、前記レール部材4,4が装着される部分に、支持台座を、押出成型後、後加工で、別途形成しなければならないものに比して、製造工程数を減少させることができる。
【0107】
また、従来のPC枕木と同じ位置に、前記レール締結部11b,11bを凹設形成した枕木本体11では、従来のPC枕木と、同一の規格寸法の板バネ8,8及び締結ボルト9,9を用いて、前記レール部材4,4を固定できるので、別途、専用に設計された締結手段等を用いる必要が無く、この点においても、全体の敷設コストの増大を抑制できる。
【0108】
そして、道床抵抗を増大させる凹凸形状を、この枕木本体11の下面側若しくは側面部等、前記バラスト3若しくは地面に接触する部分に、容易に形成出来る。
【0109】
従来の木枕木と同様のタイプレート、ネジ釘を用いてレールを締結する場合、粉砕木材14の充填量が、10%を超えると、下穴の穿孔加工性、ネジ釘の締付トルクが良好なものとなり、40%未満とすることにより、鉄道の合成枕木10として用いて好適な良好な曲げ強度を得られる。
【0110】
従って、硬質塩化ビニル樹脂材料13によって中実に構成されているものに比して、締結ボルト9,9による締結を容易に行えて、施工性を向上させることが出来ると共に、枕木本体11内部では、これらの締結ボルト9,9のネジ山が、前記粉砕木材14…及び粉砕木材14周囲に固着した硬質塩化ビニル樹脂材料13に係止されて、所望の固着力を発揮させることができる。
【0111】
また、図7には、この実施の形態の枕木本体11として、粉砕木材14…を100重量部に対して、前記EVAエマルジョンを約3〜10重量部、混合して含浸させることにより、表面処理が行われているものと、表面処理が行われていないものとを、比較して示している。
【0112】
ここで、共通条件として、芯材12の材料組成が、体積比で、硬質塩化ビニル樹脂材料13を90%、粉砕木材14を10%用いた加熱プレス成型品を使用している。
【0113】
この芯材12の加熱プレス成型品では、加熱プレス成型時に、前記粉砕木材14…の表面に塗布された前記EVAエマルジョンが、前記芯材12を構成する硬質塩化ビニル樹脂材料13と、融着されることにより、前記粉砕木材14…と、硬質塩化ビニル樹脂材料13との接着性が向上されている。
【0114】
この図7に示されるように、粉砕木材14…にEVAエマルジョンを用いて、表面処理を行ったものでは、表面処理を行っていないものに比して、曲げ強度で、約1.5倍の強度を発揮出来る。
【0115】
しかも、この実施の形態では、前記粉砕木材14…を、前記芯材12の硬質塩化ビニル樹脂材料13内に含有させて、前記枕木本体11が形成されている。このため、この実施の形態の枕木本体11では、線膨張率を、約2.95×10−5に抑制することができるので、例えば、硬質塩化ビニル樹脂材料13を単体で成型したもの(線膨張率:約7.0×10−5)に比して、前記一対のレール4,4間の寸法精度を良好に保持出来、軌道安定化を図ることができる。
【0116】
更に、この実施の形態では、前記粉砕木材14…が、鉄道軌道敷地内に用いていた既存の木製の枕木を粉砕等することにより、チップ状とされた原材料を用いている。
【0117】
また、前記硬質塩化ビニル樹脂材料13は、雨樋或いは配水管等、塩化ビニル樹脂材料で形成された物品が回収されて、粉砕されることにより、リサイクル塩化ビニル樹脂材料とされたものを用いている。
【0118】
このように、原材料をリサイクルで得られるものから略全て賄えるので、廃材の発生を抑制して、しかも、製造コストの更なる削減を行える。
【0119】
更に、この実施の形態の前記樹脂成型品23,23は、各開放端縁23a,23aに各々所定の緩傾斜角度αが、一方方向に与えられて、上,下に配置される一組が、同一の金型から形成されても、組み合わせ状態では、図5(f)に示すように、交互に開放端縁23a,23aが重複して、前記芯材12の周囲に連続して被覆部15が形成される。
【0120】
このため、複数の金型を用意する必要が無く、この点においても、製造コストの上昇を抑制できる。
【実施例1】
【0121】
図8に示す実施例1では、硬質塩化ビニル樹脂材料製の芯材12の内部に、体積比で、20%の粉砕木材14…が混入されていると共に、この芯材12の周囲が硬質塩化ビニル樹脂材料製の被覆部15で覆われた合成枕木10の物性を、後述する実施例2と共に、従来から知られている比較例1のブナ製の木製枕木及び、比較例2のポリエチレン製枕木の物性と比較している。
【0122】
ここで、この実施例1の合成枕木10では、比較例1のブナ製の木製枕木及び、比較例2のポリエチレン製枕木に比べて、大きな圧縮強度を与えることができる。
【0123】
また、曲げ強度は、比較例2のポリエチレン製枕木によりも大きい。
【0124】
更に、ネジ釘引抜き強さとして示されるレール締結力は、比較例1の木製枕木と同等の性能を発揮できる。
【0125】
そして、吸水性は、木製枕木よりも優り、前記被覆部15によって、前記破砕木材14…を、前記被覆部15の内側に包含させることが出来る為、殆ど吸水せず、耐腐食性が良好であると共に、難燃性を与えることが出来る。
【0126】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0127】
図8に示す実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の粉砕木材14に代えて、体積増量材としてのフライアッシュが用いられた鉄道用枕木を示すものである。
【0128】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0129】
この実施例1の鉄道用枕木としての合成枕木では、硬質塩化ビニル樹脂材料製の芯材の内部に、体積比で、30%のフライアッシュ…が混入されている。
【0130】
このように構成されたこの実施例2の合成枕木では、火力発電所等で、大量に生成されて安価である。また、微細な球状であるため、熱可塑性樹脂材料に混合した際に、良好な流動性を発揮させることが出来、含有比率を高い割合とすることができる。
【0131】
しかも、枕木本体の芯材の周囲が、前記芯材に用いられる熱可塑性樹脂材料と同一の成分を含む硬質塩化ビニル樹脂材料13によって、被覆されていて、フライアッシュが、枕木本体の表面から分離してしまう虞が無い。
【0132】
従って、この点においても、前記芯材内のフライアッシュの含有比率を高い割合とすることが出来、更に、合成枕木の製造コストを削減出来る。
【0133】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0134】
図9に示す実施例3では、前記実施の形態の前記金型本体17を有する加熱型プレス金型装置16を用いた製造方法の一変形例を示すものである。
【0135】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0136】
この実施例3では、図9中(a)に示すように、前記実施の形態の樹脂成型品23の各開放端縁23a,23aよりも長い寸法を有する開放端縁24a,24aが一体に形成された一つの樹脂成型品24が用いられて、被覆部15を形成するように構成されている。
【0137】
そして、下プレス金型20には、この凹型部19aの内側面に沿って、前記樹脂成型品24が、前記両側の開放端縁24a,24aを上側に向けて装着される。
【0138】
また、図9中(e)では、前記内倒れ防止部材21,21が取り外された状態で、前記開放端縁24a,24aを各々、前記芯材12の上面側に向けて折り畳み、図9中(f)に示すように、開放端縁24a,24aの一部を重ね合わせている。
【0139】
このため、この樹脂成型品24の耐衝撃硬質塩化ビニル樹脂材料で構成される被覆部15は、開放端縁24a,24a間が芯材12の上面側の一箇所で、接合されて、更に、周囲の連続性を良好なものとすることが出来る。
【0140】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0141】
図10及び図11に記載された実施例4では、合成枕木40の一変形例を示すものである。
【0142】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0143】
この実施例4では、合成枕木40の枕木本体41の上面側41aには、他の上面側と、上下方向位置を面一とするレール締結部41b,41bが設けられている。
【0144】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0145】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0146】
即ち、前記実施の形態では、前記合成枕木10の枕木本体11が、熱可塑性樹脂材料としての硬質塩化ビニル樹脂材料13によって、形成されているが、特にこれに限らず、例えば、ポリプロピレン樹脂材料、ポリエチレン樹脂材料、ポリスチレン樹脂材料、ABS樹脂材料、ナイロン樹脂材料、若しくはこれらの混合物等であっても良く、配合比率、発泡率、添加される体積増量材の混合比等が、特に限定されるものではない。
【0147】
また、前記実施の形態の合成枕木10の前記枕木本体11の長手方向に沿って、ガラス長繊維等の長繊維を、複数本埋設してもよい。
【0148】
長繊維としては、特にガラス繊維に限らず、カーボン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維、及び鉄線等及びこれらの混合物が用いられてもよく、前記枕木本体11の長手方向に沿って埋設することにより、芯材12の曲げ方向の曲げ弾性率を、更に向上させて、また、線膨張率を更に、小さくすることにより、前記レール部材4,4間の寸法精度を良好に保持出来、更に、軌道安定化を図ることができる。
【0149】
更に、前記実施の形態では、前記硬質塩化ビニル樹脂材料13に、MBS樹脂材料が添加されて、前記被覆部15が形成されているが、特にこれに限らず、例えば、アクリル系塩化ビニルグラフト重合品等、芯材12の硬質塩化ビニル樹脂材料13と同一材質を有ししている硬質塩化ビニル樹脂材料の特性を損なわずに、耐衝撃性を向上させる強化用樹脂等の改質材を混合させるものであるならば、どのようなものを用いてもよい。
【0150】
更に、この実施の形態では、これらの粉砕木材14…の大きさが、長さで約2mm〜30mm、太さが、約0.1〜5.0φとなるようにチップ状に構成されているが、これに限らず、例えば、粉砕木材14が短冊状若しくは、鋸屑状となっていてもよく、形状、数量及び材質が特に限定されるものではない。
【0151】
更に、前記実施例2では、前記体積増量材としてのフライアッシュが、体積率で約10%〜55%の割合で前記芯材12内に、含有されているが、特にこれに限らず、例えば、前記無機質粉体として、炭酸カルシウム、タルク、シリカ粉体等が用いられてもよい。
【0152】
また、前記実施の形態では、前記締結ボルト9,9を用いて、前記レール部材4,4を固定しているが、特にこれに限らず、従来の木枕木或いは合成樹脂製枕木と同様に、タイプレート及びネジ釘を用いて、前記レール部材4,4を、レール締結部11b,11b或いは41b,41bに固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】この発明の最良の実施の形態の鉄道用枕木で、端面を一部切り欠いた一部断面斜視図である。
【図2】実施の形態の鉄道用枕木で、合成枕木に、レール部材を締結した様子を説明する上面図である。
【図3】実施の形態の鉄道用枕木で、合成枕木に、レール部材を締結した様子を説明する一部断面正面図である。
【図4】実施の形態の鉄道用枕木で、合成枕木の構成を説明する図1中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図5】実施の形態の鉄道用枕木を加熱型プレス金型装置を用いて、バッチプレス成型する様子を説明する作業工程図である。
【図6】実施の形態の鉄道用枕木を加熱型プレス金型装置を用いて、バッチプレス成型する工程順に説明する模式的なブロック図である。
【図7】実施の形態の粉砕木材に表面処理を施した場合と、施していない場合とを比較する物性比較表である。
【図8】実施の形態の実施例1,2を、従来の枕木である比較例1,2と比較する物性比較表である。
【図9】実施の形態の実施例3の鉄道用枕木を加熱型プレス金型装置を用いて、バッチプレス成型する様子を説明する作業工程図である。
【図10】実施の形態の実施例4の鉄道用枕木で、合成枕木に、レール部材を締結した様子を説明する上面図である。
【図11】実施の形態の実施例4の鉄道用枕木で、合成枕木に、レール部材を締結した様子を説明する一部断面正面図である。
【図12】従来例の鉄道用枕木で、構成を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0154】
3 バラスト(砕石)
4,4 レール部材
5 軌道敷地
10,40 合成枕木(鉄道用枕木)
11,41 枕木本体
12 芯材
13 硬質塩化ビニル樹脂材料
14… 粉砕木材(体積増量材)
15 被覆部
16 加熱型プレス金型装置
17 金型本体
18 上プレス金型
19 下プレス金型
19a 凹型部
19c 底面部
21,21 内倒れ防止部材
23,24 樹脂成型品
23a,23a、24a,24a
開放端縁
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−69575(P2008−69575A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−249711(P2006−249711)