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【発明の名称】 鉄道用枕木
【発明者】 【氏名】斉藤 康宏

【要約】 【課題】枕木本体を合成樹脂で成形した場合でも枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ製造作業に煩雑さを招くことなく枕木本体への締結具の取付強度を確保することができる鉄道用枕木を提供する。

【構成】合成樹脂材料からなる枕木本体11に、両端14a〜19aがそれぞれ枕木本体11の互いに対向する両端面11bに開放し、枕木本体11をその長手方向に連続して貫通する複数の中空部14〜19を形成する。複数の中空部14〜19のうち各中空部14,15の枕木本体11への各レールRの配置位置に対応する部分14b,15bにおける内部に、それぞれ各レールRをそれぞれ枕木本体11に固定すべく該枕木本体に取り付けられた締結具30の各中空部14,15内への突出部分30aが入り込む充填物24を充填する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料からなる枕木本体を備える鉄道用枕木であって、前記枕木本体には、両端がそれぞれ前記枕木本体の互いに対向する両端面に開放し、前記枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されており、該中空部の前記枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部には、それぞれ前記各レールをそれぞれ前記枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けられた締結具の前記中空部内への突出部分が入り込む充填物が充填されていることを特徴とする鉄道用枕木。
【請求項2】
前記充填物は、合成樹脂材料からなり、前記枕木本体の成形後に前記中空部の前記部分内に充填されることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用枕木。
【請求項3】
前記充填物は、流動性を有している状態で前記中空部の前記部分内に注入された後該部分内で硬化し、前記中空部内には、その前記部分内からその外方に前記充填物が流出することを防止するための流出防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用枕木。
【請求項4】
前記流出防止手段は、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟むように配置された一対の板部材であり、前記充填物は前記各板部材間に注入されることを特徴とする請求項3に記載の鉄道用枕木。
【請求項5】
前記流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、該各空気袋は、前記中空部内を閉鎖するように膨張した状態で、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟むように配置され、前記充填物は前記各空気袋間に注入されることを特徴とする請求項3に記載の鉄道用枕木。
【請求項6】
前記流出防止手段は、空気を注入することにより膨張する空気袋であり、該空気袋は、前記中空部内を閉鎖するように膨張した状態で前記中空部の前記部分内に配置され、前記充填物は前記空気袋内に注入されることを特徴とする請求項3に記載の鉄道用枕木。
【請求項7】
合成樹脂材料からなる柱状の枕木本体であって両端がそれぞれ前記枕木本体の互いに対向する両端面に開放し前記枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成された枕木本体を備える鉄道用枕木の製造方法であって、前記中空部が形成された前記枕木本体を成形した後、該中空部の前記枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部に、前記各レールをそれぞれ前記枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けた締結具の前記中空部内への突出部分が入り込む充填物を充填することを特徴とする鉄道用枕木の製造方法。
【請求項8】
前記充填物は、発泡剤が混入した合成樹脂材料からなり、前記充填物が流動性を有している状態で該充填物を前記中空部の前記部分内に注入し、その後、前記充填物を発泡させることにより該充填物を前記中空部の前記部分内に充填させることを特徴とする請求項7に記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項9】
前記充填物を前記中空部の前記部分内に注入する際、前記充填物が前記部分内からその外方に流出することを防止するための流出防止手段を前記中空部内に設けることを特徴とする請求項8に記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項10】
前記流出防止手段は一対の板部材であり、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ前記枕木本体に切り込みを形成し、前記各板部材をそれぞれ前記各切り込みを経て前記中空部内に挿入し、前記枕木本体に前記各板部材間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から前記板部材間に前記充填物を注入することを特徴とする請求項9に記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項11】
前記流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ前記枕木本体に前記中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、前記各空気袋をそれぞれ非膨張状態で前記各挿入孔内に挿入することにより前記中空部内に配置し、前記各挿入孔を経て前記各空気袋内に空気を注入することにより該各空気袋を前記中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、前記枕木本体に前記各空気袋間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から前記空気袋間に前記充填物を注入することを特徴とする請求項9に記載の鉄道用枕木の製造方法。
【請求項12】
前記流出防止手段は、空気を注入することにより膨張する空気袋であり、前記枕木本体に前記中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、前記空気袋を非膨張状態で前記挿入孔内に挿入することにより前記中空部の前記部分内に配置し、前記挿入孔を経て前記空気袋内に空気を注入することにより該空気袋を前記中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、更に、前記挿入孔を経て前記空気袋内に前記充填物を注入することを特徴とする請求項9に記載の鉄道用枕木の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レールが列車から受ける荷重を分散させるための鉄道用枕木に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道用枕木として、合成樹脂材料からなる柱状の枕木本体を備える鉄道用枕木が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この鉄道用枕木によれば、枕木本体が合成樹脂製であることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下が防止される。
【0004】
このような鉄道用枕木を製造する際、例えば、枕木本体となる合成樹脂材料を加熱することにより溶融し、溶融した合成樹脂材料を成形用金型内に注入し、その後、合成樹脂材料を冷却することにより固化させる。これにより枕木本体が製造される。
【0005】
しかしながら、枕木本体を製造する際、枕木本体となる溶融樹脂を固化させるべく冷却したときに溶融樹脂はその外面からのみ冷却されるため、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じ、成形された枕木本体に歪みやいわゆるヒケ等が生じる。このため、枕木本体に寸法精度の低下を招く。
【0006】
そこで、枕木本体の成形時の歪み及びヒケ等を防止するために、枕木本体をその長手方向に連続して貫通する中空部又はその幅方向に貫通する複数の中空部を枕木本体内に形成することが考えられる。これによれば、枕木本体となる溶融樹脂を固化させるべく冷却したとき、枕木本体はその外面及び中空部の内面から冷却されるので、中空部が形成されていない枕木本体とは異なり、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止される。これにより、溶融樹脂を冷却したときに歪みやヒケ等が成形品である枕木本体に生じることが防止されるので、枕木本体に歪みやヒケ等が生じることによる枕木本体の寸法精度の低下を防止することができる。
【特許文献1】特開平06−41901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、枕木本体内への中空部の形成により枕木本体の周面と中空部との間に薄肉部分が形成されることから、枕木本体にレールを固定するためのボルトのような締結具を枕木本体の周面に打ち込んだとき、締結具が前記薄肉部分を貫通して中空部内に部分的に突出してしまう。このため、締結具が部分的に中空部に突出することなく全体的に枕木本体内に埋まるように打ち込まれた場合に比べて、締結具の枕木本体により保持される部分が小さくなるため、引っ張り力に対する枕木本体への締結具の取付強度が低下する。
【0008】
枕木本体への締結具の取付強度を確保するために、枕木本体の周面上にレールと枕木本体との間で例えば補強部材を設け、該補強部材を介して締結具を枕木本体に打ち込むことが考えられるが、例えばレールから受ける力により補強部材が枕木本体から外れることを確実に防止すべく枕木本体への補強板の接合強度を確保するために、例えば補強部材を枕木本体に融着させることにより枕木本体に一体的に接合する必要がある。このため、鉄道用枕木の補強作業が煩雑になる。
【0009】
そこで、本発明は、枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ補強作業に煩雑さを招くことなく枕木本体への締結具の取付強度を確保することができる鉄道用枕木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、合成樹脂材料からなる枕木本体を備える鉄道用枕木であって、前記枕木本体には、両端がそれぞれ前記枕木本体の互いに対向する両端面に開放し、前記枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されており、該中空部の前記枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部には、それぞれ前記各レールをそれぞれ前記枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けられた締結具の前記中空部内への突出部分が入り込む充填物が充填されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記充填物は、合成樹脂材料からなり、前記枕木本体の成形後に前記中空部の前記部分内に充填されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記充填物は、流動性を有している状態で前記中空部の前記部分内に注入された後該部分内で硬化し、前記中空部内には、その前記部分内からその外方に前記充填物が流出することを防止するための流出防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記流出防止手段は、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟むように配置された一対の板部材であり、前記充填物は前記各板部材間に注入されることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、該各空気袋は、前記中空部内を閉鎖するように膨張した状態で、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟むように配置され、前記充填物は前記各空気袋間に注入されることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記流出防止手段は、空気を注入することにより膨張する空気袋であり、該空気袋は、前記中空部内を閉鎖するように膨張した状態で前記中空部の前記部分内に配置され、前記充填物は前記空気袋内に注入されることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、合成樹脂材料からなる柱状の枕木本体であって両端がそれぞれ前記枕木本体の互いに対向する両端面に開放し前記枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成された枕木本体を備える鉄道用枕木の製造方法であって、前記中空部が形成された前記枕木本体を成形した後、該中空部の前記枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部に、前記各レールをそれぞれ前記枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けた締結具の前記中空部内への突出部分が入り込む充填物を充填することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記充填物は、発泡剤が混入した合成樹脂材料からなり、前記充填物が流動性を有している状態で該充填物を前記中空部の前記部分内に注入し、その後、前記充填物を発泡させることにより該充填物を前記中空部の前記部分内に充填させることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記充填物を前記中空部の前記部分内に注入する際、前記充填物が前記部分内からその外方に流出することを防止するための流出防止手段を前記中空部内に設けることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記流出防止手段は一対の板部材であり、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ前記枕木本体に切り込みを形成し、前記各板部材をそれぞれ前記各切り込みを経て前記中空部内に挿入し、前記枕木本体に前記各板部材間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から前記板部材間に前記充填物を注入することを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、前記中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ前記中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ前記枕木本体に前記中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、前記各空気袋をそれぞれ非膨張状態で前記各挿入孔内に挿入することにより前記中空部内に配置し、前記各挿入孔を経て前記各空気袋内に空気を注入することにより該各空気袋を前記中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、前記枕木本体に前記各空気袋間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から前記空気袋間に前記充填物を注入することを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記流出防止手段は、空気を注入することにより膨張する空気袋であり、前記枕木本体に前記中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、前記空気袋を非膨張状態で前記挿入孔内に挿入することにより前記中空部の前記部分内に配置し、前記挿入孔を経て前記空気袋内に空気を注入することにより該空気袋を前記中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、更に、前記挿入孔を経て前記空気袋内に前記充填物を注入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、枕木本体が合成樹脂材料からなることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0023】
また、枕木本体に該枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されており、中空部の両端が枕木本体の互いに対向する両端面に開放していることから、枕木本体の成形時に枕木本体となる溶融樹脂材料を固化させるべく冷却したとき、枕木本体をその外面及び中空部の内面から全体的に冷却することができる。これにより、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止されるので、溶融樹脂材料を冷却したときに従来のような歪みやいわゆるヒケ等が成形品である枕木本体に生じることが防止される。従って、枕木本体に歪みやヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体の寸法精度の低下を確実に防止することができる。
【0024】
更に、中空部の枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部には、それぞれ各レールをそれぞれ枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けられた締結具の中空部内への突出部分が入り込む充填物が充填されていることから、例えば釘のような締結具を枕木本体の周面に打ち込んだとき、枕木本体内への中空部の形成により枕木本体の周面と中空部との間に形成された薄肉部分を貫通して締結具が中空部の前記部分内に部分的に突出したとしても、その突出した部分を中空部の前記部分内に充填された充填物に打ち込むことができる。これにより、締結具を部分的に中空部に突出させることなく全体的に枕木本体及び充填物内に埋め込むことができるので、締結具を枕木本体及び充填物で全体的に保持することができる。これにより、締結具に該締結具を枕木本体から引き抜く方向に外力が作用したとき該外力が充填物で該充填物を圧縮する圧縮力として受け止められる。従って、締結具が部分的に中空部内に突出することによる従来のような引っ張り力に対する枕木本体への締結具の取付強度の低下を確実に防止することができる。
【0025】
また、充填物を中空部の前記部分内に充満させることにより充填物を前記部分内で枕木本体に一体的に固定することができるので、枕木本体への締結具の取付強度を確保するために枕木本体の周面上にレールと枕木本体との間で補強部材を設ける場合のような接合作業を施す必要はない。これにより、枕木本体に前記補強部材を設ける場合に比べて鉄道用枕木の補強作業を容易に行うことができる。
【0026】
更に、枕木本体に中空部が形成されていることから、枕木本体に中空部が形成されることなく充実体である場合に比べて、枕木本体を形成するのに必要となる合成樹脂材料の量を減らすことができるので、枕木本体の製造コストの削減及び枕木本体の重量の軽量化を確実に図ることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、充填物は、合成樹脂材料からなり、枕木本体の成形後に中空部の前記部分内に充填されることから、例えば充填物を中空部の前記部分内に枕木本体の成形時に充填させることによって充填物が枕木本体の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、充填物は、流動性を有している状態で中空部の前記部分内に注入された後該部分内で硬化する。
【0029】
充填物を固体の状態で中空部の前記部分内に設ける場合、充填物を中空部内に円滑に挿入することができるように充填物の断面積を中空部の断面積よりも小さくする必要がある。このため、充填物が中空部の前記部分内に配置された状態で充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成される虞がある。充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成されると、充填物を中空部内に枕木本体と一体的に固定することができず、充填物が中空部内を移動した場合には締結具を充填物に適正に打ち込むことができない。
【0030】
これに対し、本発明によれば、前記したように、流動性を有している状態で中空部の前記部分内に注入された後該部分内で硬化することから、充填物を中空部内に円滑に挿入すべく充填物の断面積を中空部の断面積よりも小さくする必要はない。これにより、硬化した充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成されることが防止されるので、充填物を固体の状態で中空部内に挿入する場合のような充填物への締結具の打ち込み不良を確実に防止することができる。
【0031】
また、中空部内にその前記部分内からその外方に充填物が流出することを防止するための流出防止手段が設けられていることから、流動性を有する充填物が中空部の前記部分の外方に流出することによる該部分内への充填物の充填不良が生じることを確実に防止することができる。これにより、中空部の前記部分内への充填物の充填不良が生じることにより充填物による締結具の保持作用が低減することを、確実に防止することができる。
【0032】
請求項4に記載の発明によれば、流出防止手段は、中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ中空部の前記部分を挟むように配置された一対の板部材であり、充填物は各板部材間に注入されることから、各板部材間に注入された充填物が各板部材により塞き止められるので、充填物が各板部材間からその外方すなわち中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【0033】
請求項5に記載の発明によれば、流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、該各空気袋は、中空部内を閉鎖するように膨張した状態で、中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ中空部の前記部分を挟むように配置され、充填物は各空気袋間に注入されることから、各空気袋間に注入された充填物が各空気袋により塞き止められるので、充填物が各空気袋間からその外方すなわち中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【0034】
請求項6に記載の発明によれば、流出防止手段は空気を注入することにより膨張する空気袋であり、該空気袋は、中空部内を閉鎖するように膨張した状態で中空部の前記部分内に配置され、充填物は空気袋内に注入されることから、中空部の前記部分内に配置された空気袋内に充填物を注入することにより、充填物を中空部の前記部分内に保持することができる。これにより、充填物が中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【0035】
請求項7に記載の発明によれば、枕木本体が合成樹脂材料からなることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0036】
また、枕木本体に該枕木本体をその長手方向又は幅方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されており、中空部の両端が枕木本体の互いに対向する両端面に開放していることから、枕木本体の成形時に枕木本体となる溶融樹脂材料を固化させるべく冷却したとき、枕木本体をその外面及び中空部の内面から全体的に冷却することができる。これにより、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止されるので、溶融樹脂材料を冷却したときに従来のような歪みやいわゆるヒケ等が成形品である枕木本体に生じることが防止される。従って、枕木本体に歪みやヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体の寸法精度の低下を確実に防止することができる。
【0037】
更に、鉄道用枕木を製造する際、枕木本体を成形した後、該中空部の枕木本体への一対のレールの配置位置に対応する部分における内部に、各レールをそれぞれ枕木本体に固定すべく該枕木本体に取り付けられた締結具の中空部内への突出部分が入り込む充填物を充填することから、例えば釘のような締結具を枕木本体の周面に打ち込んだとき、枕木本体内への中空部の形成により枕木本体の周面と中空部との間に形成された薄肉部分を貫通して締結具が中空部の前記部分内に部分的に突出したとしても、その突出した部分を中空部の前記部分内に充填された充填物に打ち込むことができる。これにより、締結具を部分的に中空部に突出させることなく全体的に枕木本体及び充填物内に埋め込むことができるので、締結具を枕木本体及び充填物で全体的に保持することができる。これにより、締結具に該締結具を枕木本体から引き抜く方向に外力が作用したとき該外力が充填物で該充填物を圧縮する圧縮力として受け止められる。従って、締結具が部分的に中空部に突出することによる従来のような引っ張り力に対する枕木本体への締結具の取付強度の低下を確実に防止することができる。
【0038】
また、充填物を中空部の前記部分内に充満させることにより充填物を前記部分内に枕木本体に一体的に固定することができるので、枕木本体への締結具の取付強度を確保するために枕木本体の周面上にレールと枕木本体との間で補強部材を設ける場合のような接合作業を施す必要はない。これにより、枕木本体に前記補強部材を設ける場合に比べて鉄道用枕木の補強作業を容易に行うことができる。
【0039】
更に、枕木本体に中空部が形成されていることから、枕木本体に中空部が形成されることなく充実体である場合に比べて、枕木本体を形成するのに必要となる合成樹脂材料の量を減らすことができるので、枕木本体の製造コストの削減及び枕木本体の重量の軽量化を確実に図ることができる。
【0040】
また、枕木本体を押し出し成形法により成形した後、中空部の前記部分内に充填物を充填することから、例えば充填物を中空部の前記部分内に枕木本体の成形時に充填させることによって充填物が枕木本体の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0041】
請求項8に記載の発明によれば、充填物は、発泡剤が混入した合成樹脂材料からなり、充填物が流動性を有している状態で該充填物を中空部の前記部分内に注入し、その後、充填物を発泡させることにより該充填物を中空部の前記部分内に充填させる。
【0042】
充填物を固体の状態で中空部の前記部分内に設ける場合、充填物を中空部内に円滑に挿入することができるように充填物の断面積を中空部の断面積よりも小さくする必要がある。このため、充填物が中空部の前記部分内に配置された状態で充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成される虞がある。充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成されると、充填物を中空部内に枕木本体と一体的に固定することができず、充填物が中空部内を移動した場合には締結具を充填物に適正に打ち込むことができない。
【0043】
これに対し、本発明によれば、前記したように、充填物が流動性を有している状態で該充填物を中空部の前記部分内に注入し、その後、充填物を発泡させることにより該充填物を中空部の前記部分内に充填させることから、硬化した充填物と中空部の周面との間に大きな隙間が形成されることが防止される。これにより、充填物を固体の状態で中空部内に挿入する場合のような充填物への締結具の打ち込み不良を確実に防止することができる。
【0044】
請求項9に記載の発明によれば、充填物を中空部の前記部分内に注入する際、充填物が前記部分内からその外方に流出することを防止するための流出防止手段を中空部内に設けることから、流動性を有する充填物が中空部の前記部分の外方に流出することによる該部分内への充填物の充填不良が生じることを確実に防止することができる。これにより、中空部の前記部分内への充填物の充填不良が生じることにより充填物による締結具の保持作用が低減することを、確実に防止することができる。
【0045】
請求項10に記載の発明によれば、流出防止手段は一対の板部材であり、中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ枕木本体に切り込みを形成し、各板部材をそれぞれ各切り込みを経て中空部内に挿入し、枕木本体に各板部材間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から板部材間に充填物を注入することから、各切り込みを経て中空部内に挿入した各板部材間に注入孔を経て注入した充填物が各板部材により塞き止められるので、充填物が各板部材間からその外方すなわち中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【0046】
請求項11に記載の発明によれば、流出防止手段は空気を注入することにより膨張する一対の空気袋であり、中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ中空部の前記部分を挟む位置でそれぞれ枕木本体に中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、各空気袋をそれぞれ非膨張状態で各挿入孔内に挿入することにより中空部内に配置し、各挿入孔を経て各空気袋内に空気を注入することにより該各空気袋を中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、枕木本体に各空気袋間に開放する注入孔を形成し、該注入孔から空気袋間に充填物を注入することから、注入孔を経て各空気袋間に注入した充填物が各空気袋により塞き止められるので、充填物が各空気袋間からその外方すなわち中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【0047】
請求項12に記載の発明によれば、流出防止手段は空気を注入することにより膨張する空気袋であり、枕木本体に中空部の前記部分内に開放する挿入孔を形成し、空気袋を非膨張状態で挿入孔内に挿入することにより中空部の前記部分内に配置し、挿入孔を経て空気袋内に空気を注入することにより該空気袋を中空部内が閉鎖される大きさに膨張させ、更に、挿入孔を経て空気袋内に充填物を注入することから、挿入孔を経て中空部の前記部分内に配置した空気袋内に充填物を注入することにより、充填物を中空部の前記部分内に保持することができる。これにより、充填物が中空部の前記部分の外方に流出することを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0049】
本発明に係る鉄道用枕木10は、図1に示すように、全体にほぼ直方体をなした柱状の枕木本体11を備える。
【0050】
枕木本体11は、図示の例では、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS及びアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる。枕木本体11の原材料にポリ塩化ビニルのような安価な材料を用いることにより、コストの削減を図ることができる。また、上述の樹脂類に例えばタンカル及びゴムチップのような固形物を混合することができ、これにより、枕木本体11の剛性を高めることができる。
【0051】
また、枕木本体11は、図示の例では、砂利12上に配置されている。枕木本体11の上面11a上には、一対の板状のタイプレート13が枕木本体11の長手方向に互いに間隔をおいて設けられており、各タイプレート13上にそれぞれレールRが枕木本体11の長手方向に直交するように配置されている。タイプレート13は、従来よく知られているように、各レールRの台座としての機能を有する。各レールRは、それぞれ複数の締結具30により各タイプレート13を介して枕木本体11に固定されている。各締結具30は、図示の例では、それぞれネジ部材で構成されている。
【0052】
枕木本体11には、図示の例で、該枕木本体を連続して貫通する六つの中空部14〜19が形成されている。各中空部14〜19は、図示の例では、それぞれ枕木本体11の長手方向に伸び、それぞれの横断面形状が該各中空部の伸長方向に一様になるように形成されている。各中空部14〜19の端部14a〜19aは、それぞれ枕木本体11の長手方向で互いに向かい合う一対の端面11bで枕木本体11の外方に開放している。
【0053】
複数の中空部14〜19のうち二つの中空部14,15は、図2に示す例では、枕木本体11の幅方向(図2で見て左右方向である。)に互いに間隔をおき且つ枕木本体11の厚さ方向(図2で見て上下方向である。)に伸びるように形成されている。各中空部14,15の横断面形状は、枕木本体11の幅方向に沿った幅寸法が枕木本体11の厚さ方向に沿って一様な矩形状をなしている。枕木本体11への各中空部14,15の形成により、枕木本体11には、その幅方向で互いに対向する側面11cを含む一対の板状の側部20、上面11aを含む板状の頂部21、及び、下面11dを含む板状の底部22がそれぞれ形成され、更に、両中空部14,15間に枕木本体11の厚さ方向に伸び頂部及び底部を互いに連結する柱部23が形成されている。各レールRを枕木本体11に固定するための各締結具30は、それぞれ各タイプレート13を枕木本体11に向けて貫通し、更に、枕木本体11の頂部21を貫通するように該頂部にねじ込まれており、部分的に各中空部14,15内に突出している。
【0054】
各中空部14,15以外の各中空部16〜19のうち二つの中空部16,17は、図示の例では、それぞれ枕木本体11の柱部23の下部23aに枕木本体10の幅方向に互いに間隔をおき且つ枕木本体11の厚さ方向に伸びるように形成されている。他方、残りの二つの中空部18,19は、それぞれ柱部23の上部23bに枕木本体10の幅方向に互いに間隔をおき且つ枕木本体11の厚さ方向に伸びるように形成されている。各中空部16〜19の横断面形状は、それぞれ枕木本体11の幅方向に沿った幅寸法が枕木本体11の厚さ方向に沿って一様であり且つ半円形の両端部を有するほぼ矩形状をなしている。
【0055】
本発明に係る鉄道用枕木10には、図2及び図3に示すように、各中空部14,15の枕木本体11への一対のレールRの配置位置すなわち各タイプレート13の配置位置に対応する各部分14b,15bにおける内部にそれぞれ充填物24が充填されている。
【0056】
充填物24は、図示の例では、熱硬化性を有するウレタン樹脂と塩化ビニルからなるペレット(以下、塩ビペレットと称す。)との混合材料からなる。ウレタン樹脂と塩ビペレットとの重量割合は、図示の例では3:7である。塩ビペレットは、従来よく知られた骨材としての役割を果たす。また、充填物24は、各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填された状態では発泡及び固化しており、後述するように、鉄道用枕木10の製造時に流動性を有している状態で各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に注入され、該各部分内で発泡した後硬化する。充填物24には、図2に示すように、各中空部14,15内に突出した各締結具30の突出部分30aがねじ込まれている。
【0057】
また、各中空部14,15内には、図3に示す例では、それぞれ該各中空部の伸長方向に互いに間隔をおき且つ各中空部14,15の前記各部分14b,15bをそれぞれ挟むように配置された一対の板部材25が設けられている。各板部材25は、それぞれ各中空部14,15の横断面積とほぼ等しい面積を有する。これにより、各板部材25がそれぞれ各中空部14,15内に配置された状態では、該各中空部内が各板部材25により閉鎖されている。
【0058】
このような鉄道用枕木10を製造する際、先ず、枕木本体11を成形する。枕木本体10は、従来よく知られた押し出し成形法を用いて成形される。押し出し成形法を用いることにより、単位時間当たりの生産能力が高く、また、成形が定常状態の場合、作業者の負担が低いので、生産コストを低くすることができる。枕木本体11を成形する際、枕木本体11の原料である合成樹脂材料を加熱することにより流動化し、図示しない成形用金型内を通過させることにより形が与えられた合成樹脂製の長尺体を形成する。続いて、その長尺体を所定の長さ寸法に切断することにより複数の図示しない樹脂ブロックを形成し、該各樹脂ブロックをそれぞれ冷却することにより固化させる。これにより、複数の中空部14〜19がそれぞれ形成された枕木本体11が形成される。
【0059】
次に、枕木本体11に形成された各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填物24を図4に示す方法に従って充填する。
【0060】
前記各部分14b,15b内に充填物24を充填する際、先ず、図4(a)に示すように、枕木本体11の頂部21に各中空部14,15の前記各部分14b,15b(図4(a)には、中空部14の一方の前記部分14bが示されている。)の各中空部14,15の伸長方向の両側でそれぞれ各中空部14,15を横切るように一対の切り込み27を専用のカッター28を用いて形成する。
【0061】
続いて、図4(b)に示すように、各板部材25をそれぞれ各切り込み27内に挿入することにより各中空部14,15内に配置する。これにより、各中空部14,15の前記各部分14b,15bが各板部材25により各中空部14,15内で区画される。
【0062】
次に、各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填物24を充填する。このとき、充填物24に流動性をもたせるように、充填物24を構成するウレタン樹脂は液状であり、従って、充填物24はウレタン樹脂液と塩ビペレットとを混合した流動体である。このような流動性を有する充填物24を各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填する際、図4(c)に示すように、枕木本体11の頂部21に各板部材25間すなわち各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に開放する注入孔29を各切り込み27間でドリルDにより形成し、図4(d)に示すように、注入孔29から各板部材25間に充填物24を注入する。このとき、各板部材25が、前記したように、それぞれ各中空部14,15内に配置された状態で該各中空部内を閉鎖することから、液状の充填物24が各中空部14,15内で前記各部分14b,15bにおける内部からそれらの外方に流出することが防止される。すなわち、各板部材25は、それぞれ充填物24が前記各部分14b,15b内からそれらの外方に流出することを防止するための流出防止手段26を構成する。
【0063】
各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に流動性を有する充填物24を注入した後、図4(e)に示すように、充填物24を加熱することにより該充填物を発泡させる。充填物24の発泡倍率は、図示の例では、約1.2倍である。各中空部14,15の前記各部分14b,15b内を規定する頂部21、底部22及び各板部材25に充填物24が密着するように該充填物を発泡させることにより、前記各部分14b,15b内を充填物24で充満させる。
【0064】
これにより、各中空部14,15の前記各部分14b,15bの内部にそれぞれ充填物24が充填された枕木本体11を備える鉄道用枕木10が形成される。
【0065】
その後、前記各レールを枕木本体11に固定する。前記各レールを枕木本体11に固定する際、先ず、枕木本体11の上面11aに各タイプレート13をそれぞれ例えば図示しない接着材により取り付ける。次に、各タイプレート13上にそれぞれレールRを枕木本体11の長手方向に直交するように配置し、各レールR、各タイプレート13及び枕木本体11の頂部21をそれぞれ貫通するように各締結具30をねじ込む。これにより、各レールRがそれぞれ各タイプレート13を介して枕木本体11に固定される。このとき、充填物24には、各中空部14,15内に突出した各締結具30の突出部分30aがねじ込まれる。
【0066】
本発明に係る鉄道用枕木10における引っ張り力に対する枕木本体11への各締結具30の取付強度を測定した結果、各締結具30に作用する引っ張り力の大きさが51[kN]に達しても各締結具30が枕木本体11から抜け出すことはなかった。尚、各締結具30に作用する引っ張り力の大きさが6[kN]以下のときに各締結具30が枕木本体30から抜け出した場合、各締結具30の取り付けが不良であると判断され、枕木本体11を交換する必要がある。
【0067】
また、18[kN]の大きさの引っ張り力で各締結具30を枕木本体11から引き抜く方向に100万回引っ張った結果、各締結具30に枕木本体11との間で特別ながたつき等は生じることはなく、その後の使用に特別な問題は生じなかった。
【0068】
本実施例によれば、前記したように、枕木本体11が合成樹脂材料からなることから、枕木本体11が木製である場合に比べて枕木本体11に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体11がコンクリート製である場合に比べて枕木本体11の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体11に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体11の耐用年数の低下及び枕木本体11の重量が重いことによる枕木本体11の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0069】
また、枕木本体11に該枕木本体をその長手方向に連続して貫通する複数の中空部14〜19が形成されており、各中空部14〜19の両端14a〜19aがそれぞれ枕木本体11の互いに対向する両端面11bに開放していることから、枕木本体11の成形時に該枕木本体となる溶融樹脂材料を固化させるべく冷却したとき、枕木本体11をその外面及び各中空部14〜19の内面から全体的に冷却することができる。これにより、枕木本体11の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止されるので、溶融樹脂材料を冷却したときに従来のような歪みやいわゆるヒケ等が成形品である枕木本体11に生じることが防止される。従って、枕木本体11に歪みやヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体11の寸法精度の低下を確実に防止することができる。
【0070】
更に、各中空部14,15の枕木本体11への各レールRの配置位置に対応する部分14b,15bにおける内部には、それぞれ各レールRをそれぞれ枕木本体11に固定すべく該枕木本体にねじ込まれた各締結具30の各中空部14,15内に突出した部分30aがねじ込まれる充填物24が充填されていることから、各締結具30を枕木本体11の上面11aにねじ込んだとき、枕木本体11内への各中空部14,15の形成により枕木本体11の上面11aと各中空部14,15との間に形成された薄肉部分である頂部21を貫通して各締結具30が各中空部14,15の前記部分14b,15b内に部分的に突出したとしても、その突出部分30aを各中空部14,15の前記部分14b,15b内に充填された充填物24にねじ込むことができる。これにより、各締結具30を部分的に各中空部14,15に突出させることなく全体的に枕木本体11及び充填物24内に埋め込むことができるので、各締結具30を枕木本体11及び充填物24で全体的に保持することができる。これにより、各締結具30に例えばボルトを用いた場合には充填物24がナットとしての役割を果たすことから、各締結具30に該各締結具を枕木本体11から引き抜く方向に外力が作用したとき該外力が充填物24で該充填物を圧縮する圧縮力として受け止められる。従って、各締結具30が部分的に各中空部14,15内に突出することによる従来のような引っ張り力に対する枕木本体11への各締結具30の取付強度の低下を確実に防止することができる。
【0071】
また、充填物24を各中空部14,15の前記部分14b,15b内に充満させることにより充填物24を前記部分14b,15b内で枕木本体11に一体的に固定することができるので、枕木本体11への各締結具30の取付強度を確保するために枕木本体11の周面上にレールRと枕木本体11との間で補強部材を設ける場合のような接合作業を施す必要はない。これにより、枕木本体11に前記補強部材を設ける場合に比べて鉄道用枕木10の補強作業を容易に行うことができる。
【0072】
更に、枕木本体11に複数の中空部14〜19が形成されていることから、枕木本体11に各中空部14〜19が形成されることなく充実体である場合に比べて、枕木本体11を形成するのに必要となる合成樹脂材料の量を減らすことができるので、枕木本体11の製造コストの削減及び枕木本体11の重量の軽量化を確実に図ることができる。
【0073】
また、前記したように、充填物24は、合成樹脂材料からなり、枕木本体11の成形後に各中空部14,15の前記部分14b,15b内に充填されることから、例えば充填物24を各中空部14,15の前記部分14b,15b内に枕木本体11の成形時に充填させることによって充填物24が枕木本体11の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0074】
更に、前記したように、充填物24は、流動性を有している状態で各中空部14,15の前記部分14b,15b内に注入された後該部分内で硬化する。
【0075】
例えば、充填物24を固体の状態で各中空部14,15の前記部分14b,15b内に設ける場合、充填物24を各中空部14,15内に円滑に挿入することができるように充填物24の断面積を各中空部14,15の断面積よりも小さくする必要がある。このため、充填物24が各中空部14,15の前記部分14b,15b内に配置された状態で充填物24と各中空部14,15の周面との間に大きな隙間が形成される虞がある。充填物24と各中空部14,15の周面との間に大きな隙間が形成されると、充填物24を各中空部14,15内に枕木本体11と一体的に固定することができず、充填物24が各中空部14,15内を移動した場合には各締結具30を充填物24に適正にねじ込むことができない。
【0076】
これに対し、本発明によれば、前記したように、充填物24が流動性を有している状態で各中空部14,15の前記部分14b,15b内に注入された後該部分内で硬化することから、充填物24を各中空部14,15内に円滑に挿入すべく充填物24の断面積を各中空部14,15の断面積よりも小さくする必要はない。これにより、硬化した充填物24と各中空部14,15の周面との間に大きな隙間が形成されることが防止されるので、充填物24を固体の状態で各中空部14,15内に挿入する場合のような充填物24への各締結具30のねじ込み不良を確実に防止することができる。
【0077】
また、前記したように、各中空部14,15内にその前記部分14b,15b内からその外方に充填物24が流出することを防止するための流出防止手段26が設けられていることから、流動性を有する充填物24が各中空部14,15の前記部分14b,15bの外方に流出することによる該部分内への充填物24の充填不良が生じることを確実に防止することができる。これにより、各中空部14,15の前記部分14b,15b内への充填物24の充填不良が生じることにより充填物24による各締結具30の保持作用が低減することを、確実に防止することができる。
【0078】
更に、前記したように、流出防止手段26は、各中空部14,15の伸長方向に互いに間隔をおき且つ該各中空部の前記部分14b,15bを挟むように配置された一対の板部材25であり、充填物24は各板部材25間に注入されることから、各板部材25間に注入された充填物24が各板部材25により塞き止められるので、充填物24が各板部材25間からその外方すなわち各中空部14,15の前記部分14b,15bの外方に流出することを確実に防止することができる。
【0079】
また、前記したように、枕木本体11への各中空部14,15の形成により各中空部14,15間で枕木本体11の厚さ方向に伸びる柱部23が形成されることから、枕木本体11の上方から荷重が作用したとき、各側部21及び柱部23にはそれらをそれぞれの伸長方向に圧縮する圧縮力として作用するので、前記荷重を各側部21に加えて柱部23で受け止めることができる。従って、枕木本体11が上方から受ける荷重により枕木本体11が変形することを確実に防止することができる。
【0080】
更に、前記したように、各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に固形の充填物24が充填されており、更に、各中空部14,15内に流出防止手段26である複数の板部材25が各中空部14,15内を閉鎖するように設けられていることから、枕木本体11にその上方又は側方から外力が作用したとき、該外力が充填物24及び各板部材25にそれらを圧縮する圧縮力として作用するので、前記外力を各側部21及び柱部23に加えて充填物24及び各板部材25で受け止めることができる。これにより、前記外力による枕木本体11の変形をより確実に防止することができるので、列車から各レールRを介して受ける荷重による枕木本体11の変形をより確実に防止することができる。
【0081】
また、前記したように、各中空部14〜19の横断面形状はそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様である。
【0082】
例えば各中空部14〜19の横断面形状がそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様でなく不均一である場合、枕木本体11に形成された各側部20、頂部21、底部22及び柱部23の厚さ寸法がそれぞれ各中空部14〜19の長手方向に不均一になるため、枕木本体11を成形する際に、成形品である枕木本体11となる溶融樹脂材料を固化すべく冷却したとき、肉厚が厚い部分とそれが薄い部分との間に収縮率の差が生じる。このため、枕木本体11に歪みが生じる虞がある。また、枕木本体11に肉厚が厚い部分と薄い部分とが形成されている場合、枕木本体11に作用する荷重による応力が薄肉部分に集中するため、枕木本体11の破損を招く虞がある。
【0083】
これに対し、本発明によれば、前記したように、各中空部14〜19の横断面形状がそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様であることから、各側部20、頂部21、底部22及び柱部23の厚さ寸法がそれぞれ各中空部14〜19の長手方向に均一になるので、それらの厚さ寸法が不均一である場合のような枕木本体11への歪みの発生及び枕木本体11の破損をより確実に防止することができる。
【0084】
本実施例では、鉄道用枕木10の製造時、各板部材25をそれぞれ各中空部14,15内に挿入するために各切り込み27を枕木本体11の頂部21に形成した例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、枕木本体11の各側部20に各切り込み27を形成することができる。この場合、各切り込み27をそれぞれ枕木本体11の頂部21に形成した場合に比べて、枕木本体11への各切り込み27の形成による曲げ力に対する枕木本体11の強度の低下を確実に防止することができる。
【0085】
また、本実施例では、鉄道用枕木10の製造後、各板部材25を各中空部14,15内に残留させる例を示したが、これに代えて、各板部材25を鉄道用枕木10の製造後に各中空部14,15内から取り除くことができる。
【0086】
更に、本実施例では、流出防止手段26が複数の板部材25で構成された例を示したが、これに代えて、図5に示すように、空気を注入することにより膨張する空気袋31で流出防止手段26を構成することができる。
【0087】
空気袋31は、図示の例では、各中空部14,15の伸長方向に互いに間隔をおき且つ各中空部14,15の前記各部分14b,15bをそれぞれ挟むように配置されており、各中空部14,15内を閉鎖するように膨張している。
【0088】
この空気袋31を用いて充填物24を各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填する際、先ず、図6(a)に示すように、枕木本体11の頂部21に各中空部14,15の伸長方向に互いに間隔をおき且つ各中空部14,15の前記部分14b,15bを挟む位置でそれぞれ該各部分内に開放する挿入孔32を例えば前記したドリルDを用いて形成し、各空気袋31をそれぞれ非膨張状態で各挿入孔32内を通して各中空部14,15内に挿入する。挿入孔32を、頂部21に代えて、又は、頂部21に加えて、各側部20に形成することができる。
【0089】
続いて、図6(b)に示すように、各空気袋31に形成された図示しない空気孔を経て各空気袋31内に各挿入孔32から空気を注入することにより該各空気袋を各中空部14,15内が閉鎖される大きさに膨張させる。各空気袋31を膨張させた後、前記空気孔を例えばテープにより塞ぐことができる。
【0090】
次に、図6(c)に示すように、枕木本体11の頂部21に各空気袋31間すなわち前記各部分14b,15b内に開放する注入孔33を例えば前記したドリルDを用いて形成し、注入孔33から各空気袋31間に液状の充填物24を注入する。注入孔33を、頂部21に代えて、又は、頂部21に加えて、各側部20に形成することができる。
【0091】
その後、図4に示したと同様に、充填物24を発泡させることにより該充填物を各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充満させる。これにより、各中空部14,15の前記各部分14b,15b内への充填物24の充填が終了する。
【0092】
図5及び図6に示す例によれば、前記したように、流出防止手段26である複数の空気袋31がそれぞれ各中空部14,15内を閉鎖するように膨張した状態で各中空部14,15内に配置され、充填物24は各空気袋31間に注入されることから、各空気袋31間に注入された充填物24が各空気袋31により塞き止められるので、充填物24が各空気袋31間からその外方すなわち各中空部14,15の前記部分14b,15bの外方に流出することを確実に防止することができる。
【0093】
図5及び図6に示す例では、各空気袋31をそれぞれ各中空部14,15の伸長方向に互いに間隔をおき且つ各中空部14,15の前記各部分14b,15bをそれぞれ挟むように配置された例を示したが、これに代えて、図7に示すように、各空気袋31をそれぞれ各中空部14,15内を閉鎖するように膨張した状態で該各中空部の前記部分14b,15b内に配置することができる。この場合、充填物24は、各空気袋31内に注入することができる。
【0094】
この場合、充填物24を各中空部14,15の前記各部分14b,15b内に充填する際、先ず、図8(a)に示すように、枕木本体11の頂部21に各中空部14,15の各部分14b,15b内に開放する挿入孔34を例えば前記したドリルDを用いて形成し、各空気袋31をそれぞれ非膨張状態で各挿入孔34内を通して各中空部14,15内に挿入する。挿入孔34を、頂部21に代えて、又は、頂部21に加えて、各側部20に形成することができる。
【0095】
続いて、図8(b)に示すように、各空気袋31に形成された図示しない空気孔を経て各空気袋31内に各挿入孔34から空気を注入することにより該各空気袋を各中空部14,15内が閉鎖される大きさに膨張させる。各空気袋31を膨張させた後、前記空気孔を例えばテープにより塞ぐことができる。
【0096】
更に、図8(c)に示すように、各挿入孔34を経て各空気袋31内にそれぞれ充填物24を注入する。
【0097】
その後、図4に示したと同様に、充填物24を発泡させることにより該充填物を各空気袋31内に充満させる。これにより、各中空部14,15の前記各部分14b,15b内への充填物24の充填が終了する。
【0098】
図7及び図8に示す例によれば、各挿入孔34を経て各中空部14,15の前記部分14b,15b内に配置した各空気袋31内に充填物24を注入することにより、充填物24を各中空部14,15の前記部分14b,15b内に保持することができる。これにより、充填物24が各中空部14,15の前記部分14b,15bの外方に流出することを確実に防止することができる。
【0099】
図1乃至図8に示す例では、流出防止手段26が複数の板部材25及び空気袋31で構成された例を示したが、これに代えて、例えば図示しないが、各中空部14,15の前記各部分14b,15bをそれぞれ取り囲む筒部材のように、中空部内の前記部分内からその外方に充填物が流出することを防止することができれば、図1乃至図8に示す構成以外の流出防止手段を本発明に適用することができる。流出防止手段26を前記筒部材で構成した場合、鉄道用枕木10の製造時、枕木本体11の各側部20又は頂部21に例えば円形の切り込みを形成し、前記筒部材を各中空部14,15内に前記切り込みを経て挿入することができる。
【0100】
また、図1乃至図8に示す例では、複数の中空部14〜19のうち各中空部14,15の枕木本体11への一対のレールRの配置位置すなわち各タイプレート13の配置位置に対応する各部分14b,15bにおける内部に充填物24を充填した例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、各中空部14,15以外の各中空部16〜19の各タイプレート13の配置位置に対応する部分にそれぞれ充填物24を充填することができる。
【0101】
更に、図1乃至図8に示す例では、各中空部14〜19がそれぞれ枕木本体11の長手方向に伸びる例を示したが、これに代えて、複数の中空部を枕木本体11にその幅方向に伸びるように形成することができる。
【0102】
また、図1乃至図8に示す例では、枕木本体11に六つ中空部14〜19が形成された例を示したが、これに代えて、枕木本体11に形成する中空部の数を適宜変更することができる。
【0103】
更に、図1乃至図8に示す例では、充填物24がウレタン樹脂と塩化ビニルからなるペレットとで構成された例を示したが、これに代えて、充填物24をウレタン樹脂以外の熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂以外の樹脂、又は、合成樹脂材料以外の材料と、塩ビペレット以外の骨材とで構成することができる。
【0104】
また、図1乃至図8に示す例では、締結具30がねじ部材で構成された例を示したが、これに代えて、例えば釘のようにねじ部材以外の部材で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る鉄道用枕木を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線に沿った横断面図である。
【図3】図1のII−II線に沿った縦断面図である
【図4】(a)、(b)及び(c)はそれぞれ本発明に係る鉄道用枕木の製造方法を概略的に示す説明図である。
【図5】図1及び図4に示す実施例とは別の実施例に係る鉄道用枕木を概略的に示す横断面図である。
【図6】(a)、(b)及び(c)はそれぞれ図5に示す例に係る鉄道用枕木の製造方法を概略的に示す説明図である。
【図7】図1及び図6に示す実施例とは別の実施例に係る鉄道用枕木を概略的に示す横断面図である。
【図8】(a)、(b)及び(c)はそれぞれ図7に示す例に係る鉄道用枕木の製造方法を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0106】
10 鉄道用枕木
11 枕木本体
14,15,16,17,18,19 中空部
14b、15b 部分
24 充填物
25 板部材
26 流出防止手段
27 切り込み
29,33 注入孔
30 締結具
31 空気袋
32,34 挿入孔
R レール
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年9月13日(2006.9.13)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−69526(P2008−69526A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−247468(P2006−247468)