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【発明の名称】 鉄道用枕木
【発明者】 【氏名】斉藤 康宏

【要約】 【課題】枕木本体を合成樹脂で成形した場合でも枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ枕木本体に作用する荷重による枕木本体の破損を防止することができる鉄道用枕木を提供する。

【構成】複数の管状部材11を互いに積み重ねることにより枕木本体12を形成し、各管状部材11を互いに結合部材13により結合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管状部材を互いに積み重ねることにより形成された枕木本体と、前記各管状部材を互いに結合する結合部材とを備えることを特徴とする鉄道用枕木。
【請求項2】
前記各管状部材は、それぞれ軸線が互いに平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用枕木。
【請求項3】
前記各管状部材はそれぞれ合成樹脂製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用枕木。
【請求項4】
複数の前記管状部材のうち少なくとも一つの前記管状部材の内方又は外方には、該管状部材を補強する補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【請求項5】
前記補強部材は複数の繊維であり、該各繊維の各端部はそれぞれ前記管状部材の各端部に係合していることを特徴とする請求項4に記載の鉄道用枕木。
【請求項6】
前記補強部材は前記管状部材内に充填される充填物であることを特徴とする請求項4に記載の鉄道用枕木。
【請求項7】
前記充填物は粉体であり、該粉体が充填された前記管状部材の両端部には、前記両端部をそれぞれ閉鎖する栓部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の鉄道用枕木。
【請求項8】
複数の前記管状部材のうち少なくとも一つの前記管状部材の外周面には、前記管状部材を補強するためのリブが前記外周面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【請求項9】
前記リブは前記管状部材の軸線方向に伸びることを特徴とする請求項8に記載の鉄道用枕木。
【請求項10】
前記リブは前記管状部材の周方向に伸びることを特徴とする請求項8又は9に記載の鉄道用枕木。
【請求項11】
前記枕木本体の外周には、該枕木本体の周囲から巻き付けられる巻付部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レールが列車から受ける荷重を分散させるための鉄道用枕木に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動を抑制する鉄道用枕木として、熱可塑性樹脂材料からなる柱状の枕木本体を備える鉄道用枕木が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この鉄道用枕木では、枕木本体の長手方向の中央部内に枕木本体の長手方向に伸びる複数の中空部が互いに平行に形成されている。これにより、枕木本体に振動が与えられたとき、各中空部内の空気が各中空部内で前記振動の周波数と同一の周波数で単振動することにより各中空部内の空気と各中空部の周面との間に摩擦が生じ、この摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換される。これにより、枕木本体に与えられた振動が吸収される。
【0003】
このような鉄道用枕木を製造する際、例えば、枕木本体となる合成樹脂材料を加熱することにより溶融し、溶融した合成樹脂材料を成形用金型内に注入し、その後、合成樹脂材料を冷却することにより固化させる。これにより枕木本体が製造される。各中空部は、それぞれ枕木本体の成形中または成形後に枕木本体に形成される。
【特許文献1】特開平06−41901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、枕木本体に与えられた振動を吸収するために、複数の中空部を枕木本体に形成する必要があることから、枕木本体の成形作業が煩雑になる。
【0005】
また、枕木本体を製造する際、加熱により溶融した合成樹脂材料を冷却して固化させる必要があることから、枕木本体となる溶融樹脂を固化すべく冷却したとき、特に中空部が形成されていない肉厚部分ではその外面からのみ冷却されるため、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じ、成形された枕木本体に撓み変形やいわゆるヒケ等が生じる虞がある。枕木本体に撓み変形やヒケ等が生じると、枕木本体に寸法精度の低下を招き、また、各中空部を枕木本体にその成形中に形成した場合には各中空部が部分的に塞がれてしまうため各中空部の振動吸収効果が低減する。
【0006】
更に、枕木本体に複数の中空部が部分的に形成されていることから、枕木本体に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、枕木本体の中空部が形成された薄肉な部分に応力が集中して生じるため、該部分に破損が生じやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は、枕木本体を合成樹脂で成形した場合でも枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ枕木本体に作用する荷重による枕木本体の破損を防止することができる鉄道用枕木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の管状部材を互いに積み重ねることにより形成された枕木本体と、前記各管状部材を互いに結合する結合部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記各管状部材は、それぞれ軸線が互いに平行になるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記各管状部材はそれぞれ合成樹脂製であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、複数の前記管状部材のうち少なくとも一つの前記管状部材の内方又は外方には、該管状部材を補強する補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記補強部材は複数の繊維であり、該各繊維の各端部はそれぞれ前記管状部材の各端部に係合していることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記補強部材は前記管状部材内に充填される充填物であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記充填物は粉体であり、該粉体が充填された前記管状部材の両端部には、前記両端部をそれぞれ閉鎖する栓部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発明において、複数の前記管状部材のうち少なくとも一つの前記管状部材の外周面には、前記管状部材を補強するためのリブが前記外周面から突出するように設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記リブは前記管状部材の軸線方向に伸びることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の発明において、前記リブは前記管状部材の周方向に伸びることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発明において、前記枕木本体の外周には、該枕木本体の周囲から巻き付けられる巻付部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、枕木本体が複数の管状部材を互いに積み重ねることにより形成されていることから、枕木本体に振動が与えられたとき、枕木本体に複数の中空部が形成された従来の場合と同様に、各管状部材内の空気が各管状部材内で前記振動の周波数と同一の周波数で単振動することにより各管状部材内の空気と各管状部材の内周面との間に摩擦が生じ、この摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換される。これにより、枕木本体に与えられた振動を確実に吸収することができる。
【0020】
また、互いに積み重なった複数の管状部材を結合部材により結合することによって枕木本体を形成することができることから、枕木本体の成形時に、加熱により溶融した合成樹脂材料を冷却して固化させる必要はないので、合成樹脂材料を固化させるべく冷却することによる従来のような撓み変形やいわゆるヒケ等が成形された枕木本体に生じることが防止される。従って、枕木本体に撓み変形やヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体の寸法精度の低下を確実に防止することができる。また、枕木本体に撓み変形やヒケ等が生じることが防止されることから、撓み変形及びヒケ等による従来のような振動吸収効果の低下を招くことはない。
【0021】
更に、枕木本体が複数の管状部材で構成されていることから、枕木本体に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、枕木本体に生じる応力を分散させることができるので、従来のように中空部が枕木本体に部分的に形成されている場合のような枕木本体の部分的な破損を確実に生じ難くすることができる。
【0022】
また、枕木本体を構成する各管状部材が結合部材により互いに結合されていることから、枕木本体に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、該荷重により各管状部材が互いに分離することを防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、各管状部材はそれぞれ軸線が互いに平行になるように配置されていることから、互いに隣接して配置された各管状部材はそれぞれの外周面で線接触又は面接触する。これにより、枕木本体に該枕木本体を各管状部材の積層方向に圧縮する圧縮力が作用したとき、各管状部材が互いに点接触する場合とは異なり、各管状部材にそれらの横断面積を小さくする方向に圧縮する外力が一部に集中することなく分散させることができる。従って、前記圧縮力により各管状部材が圧縮変形することをより確実に防止することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、各管状部材はそれぞれ合成樹脂製であることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、複数の管状部材のうち少なくとも一つの管状部材の内方又は外方には、該管状部材を補強する補強部材が設けられていることから、補強部材による管状部材の補強作用により、外力に対する枕木本体全体の強度を向上させることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、補強部材は複数の繊維であり、該各繊維の各端部はそれぞれ管状部材の各端部に係合していることから、枕木本体に作用する外力が管状部材に該管状部材を曲げる曲げ力として作用したとき、該曲げ力が各繊維に該各繊維を管状部材の各端部間で引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、前記曲げ力が各繊維で受け止められるので、前記曲げ力による管状部材の曲げ変形が防止される。従って、枕木本体が前記外力により変形することを確実に抑制することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、補強部材は管状部材内に充填される充填物であることから、充填物による管状部材の補強作用により該管状部材の強度を高めることができるので、枕木本体全体の外力に対する強度を確実に高めることができる。これにより、列車からレールを介して受ける荷重による枕木本体の破損をより確実に防止することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、充填物は粉体であることから、所定の管状部材内に粉体を充填することにより枕木本体全体の強度を容易に高めることができる。また、粉体が充填された管状部材の両端部に該両端部をそれぞれ閉鎖する栓部材が設けられていることから、管状部材内に充填された粉体が管状部材内からその外方に流出することを確実に防止することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、複数の管状部材のうち少なくとも一つの管状部材の外周面には、管状部材を補強するためのリブが外周面から突出するように設けられていることから、リブによる管状部材の補強作用により、外力に対する管状部材の強度を高めることができるので、外力に対する枕木本体全体の強度を確実に高めることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、リブが管状部材の軸線方向に伸びることから、リブが設けられた管状部材に該管状部材を曲げる曲げ力が作用したとき、リブには該リブをその伸長方向に圧縮する圧縮力又はリブをその伸長方向に引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、管状部材に作用した前記曲げ力がリブで受け止められるので、前記曲げ力により管状部材が曲げ変形することが防止される。従って、鉄道からレールを介して枕木本体に作用する押圧力が管状部材に前記曲げ力として作用した場合でも、該曲げ力により枕木本体が容易に曲げ変形することを確実に防止することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、リブが管状部材の周方向に伸びることから、管状部材に該管状部材をその横断面積を小さくする方向に圧縮する圧縮力が作用したとき、リブには該リブをその伸長方向に圧縮する圧縮力又はリブをその伸長方向に引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、管状部材に作用した前記圧縮力がリブで受け止められるので、前記圧縮力により管状部材が圧縮変形することが防止される。従って、鉄道からレールを介して枕木本体に作用する押圧力が管状部材に前記圧縮力として作用した場合でも、該圧縮力により枕木本体が容易に曲げ変形することを確実に防止することができる。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、枕木本体の外周に該枕木本体の周囲から巻き付けられる巻付部材が設けられていることから、枕木本体に巻付部材を巻付けることにより、各管状部材間の相互の結合の解除をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0034】
本発明に係る鉄道用枕木10は、図1に示すように、複数の管状部材11からなる枕木本体12と、該各管状部材を相互に結合するための結合部材13とを備える。
【0035】
各管状部材11は、図示の例では、それぞれ円筒状をなしており、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂及びアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる。枕木本体12の原材料にポリ塩化ビニルのような安価な材料を用いることにより、コストの削減を図ることができる。各管状部材11の外径の大きさは特に限定されないが、互いに大きさが異なる管状部材を混在させることができる。尚、各管状部材11の外径の大きさは、図示の例では、5mm以上に設定されている。各管状部材11の外径の大きさが5mmより小さいと各管状部材11の成形が困難になるが、本実施例では、前記したように、各管状部材11の外径の大きさが5mm以上であることから、各管状部材11を容易に成形することができる。また、各管状部材11の外径で規定される断面積に対する内径で規定される断面積の割合は、図示の例では、30〜90%に設定されている。各管状部材11の外径で規定される断面積に対する内径で規定される断面積の割合が30%より小さいと材料の削減を図ることができず、前記割合が90%よりも大きいと各管状部材11の強度の低下を招くが、本実施例では、前記したように、前記割合が30〜90%に設定されていることから、材料の削減を図ることができ且つ各管状部材11の強度の低下を防止することができる。
【0036】
また、各管状部材11は、図2に示すように、それぞれ軸線が互いに平行になるように配置され、更に、枕木本体12の幅方向(図2で見て横方向である。)に直列的に整列して配置されており、更に、枕木本体12の幅方向に互い違いになるように枕木本体12の厚さ方向(図2で見て上下方向である。)に積層されている。これにより、各管状部材11は、それぞれ隣接して配置された他の管状部材11に線接触している。各管状部材11の積層により、枕木本体12は、図示の例では、全体的に直方体をなしている。
【0037】
各管状部材11を相互に結合する結合部材13は、図示の例では、熱硬化性を有する発泡ウレタンで構成されている。結合部材13は、枕木本体12の外周を覆うように設けられており、更に、枕木本体12を構成する各管状部材11間に形成された隙間に充填されている。すなわち、枕木本体12は結合部材13である発泡ウレタン内に埋設されており、これにより、各管状部材11は整列して積層した状態に保持される。
【0038】
複数の管状部材11のうち少なくとも一つの管状部材11の内方又は外方には、該管状部材を補強する補強部材14が設けられている。
【0039】
補強部材14は、図示の例では、複数の繊維15で構成されている。各繊維15は、それぞれ例えばガラス繊維及びカーボン等の無機繊維、鉄等からなる金属繊維、ポリエステル繊維のような樹脂繊維、及び、ジュート及び竹等の天然繊維等で構成される。鉄道用枕木10に対する繊維15の重量の割合は、図示の例では、5%以上に設定されている。
【0040】
各繊維15は、図示の例では、最下層を構成する各管状部材11、最下層の直上の層を構成する各管状部材11、最上層を構成する各管状部材11及び該各管状部材の直下の層を構成する各管状部材11のそれぞれの外方でそれら各管状部材11の軸線に沿って伸び且つそれら管状部材11に近接して配置されており、それら管状部材11間で結合部材13内に埋設されている。各繊維15の端部15aは、図1に示すように、それぞれ前記各管状部材11の端部11aに例えば図示しない接着剤により固定されている。
【0041】
尚、繊維15が設けられた管状部材11の本数の管状部材11全本数に対する割合は、図示の例では、30%以上に設定されている。繊維15が設けられた管状部材11の前記割合が30%より小さいと繊維15による管状部材11の補強作用が低下するが、本実施例では、前記したように、前記割合が30%以上であることから、繊維15による管状部材11の補強作用が低下することを防止することができる。
【0042】
このような鉄道用枕木10を形成する際、例えば予め各繊維15が設けられた各管状部材11を含む複数の管状部材11を図示しない成形用金型内に前記した態様で配置し、発泡剤が混入された液状のウレタン樹脂を前記成形用金型内に流し込み、加熱することによりウレタン樹脂を発泡させる。その後、ウレタン樹脂を硬化させることにより、発泡ウレタンすなわち結合部材13によって各管状部材11が互いに結合され、これにより、各繊維15が設けられた枕木本体12を備える鉄道用枕木10が形成される。
【0043】
本実施例によれば、前記したように、枕木本体12が複数の管状部材11を互いに積み重ねることにより形成されていることから、枕木本体12に振動が与えられたとき、枕木本体12に複数の中空部が形成された従来の場合と同様に、各管状部材11内の空気が各管状部材11内で前記振動の周波数と同一の周波数で単振動することにより各管状部材11内の空気と各管状部材11の内周面との間に摩擦が生じ、この摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換される。これにより、枕木本体12に与えられた振動を確実に吸収することができる。
【0044】
また、互いに積み重なった複数の管状部材11を結合部材13により結合することによって枕木本体12を形成することができることから、枕木本体12の成形時に、加熱により溶融した合成樹脂材料を冷却して固化させる必要はないので、合成樹脂材料を固化させるべく冷却することによる従来のような撓み変形やいわゆるヒケ等が成形された枕木本体12に生じることが防止される。従って、枕木本体12に撓み変形やヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体12の寸法精度の低下を確実に防止することができる。また、枕木本体12に撓み変形やヒケ等が生じることが防止されることから、撓み変形及びヒケ等による従来のような振動吸収効果の低下を招くことはない。
【0045】
更に、枕木本体12が複数の管状部材11で構成されていることから、枕木本体12に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、枕木本体12に生じる応力を分散させることができるので、従来のように中空部が枕木本体12に部分的に形成されている場合のような枕木本体12の部分的な破損を確実に生じ難くすることができる。
【0046】
また、枕木本体12を構成する各管状部材11が結合部材13により互いに結合されていることから、枕木本体12に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、該荷重により各管状部材11が互いに分離することを防止することができる。
【0047】
また、前記したように、各管状部材11がそれぞれ隣接して配置された他の管状部材11に線接触していることから、枕木本体12に該枕木本体を各管状部材11の積層方向すなわち枕木本体12の厚さ方向に圧縮する圧縮力が作用したとき、各管状部材11が互いに点接触する場合とは異なり、各管状部材11にそれらの横断面積を小さくする方向に圧縮する外力が一部に集中することなく分散させることができる。従って、前記圧縮力により各管状部材11が圧縮変形することをより確実に防止することができる。
【0048】
更に、前記したように、各管状部材11はそれぞれ合成樹脂製であることから、枕木本体12が木製である場合に比べて枕木本体12に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体12がコンクリート製である場合に比べて枕木本体12の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体12に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体12の耐用年数の低下及び枕木本体12の重量が重いことによる枕木本体12の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0049】
また、前記したように、複数の管状部材11のうち少なくとも一つの管状部材11の内方又は外方には、該管状部材を補強する補強部材14が設けられていることから、補強部材14による管状部材11の補強作用により、外力に対する枕木本体12全体の強度を向上させることができる。
【0050】
更に、前記したように、補強部材14が複数の繊維15で構成されており、該各繊維の各端部15aがそれぞれ管状部材11の各端部11aに係合していることから、枕木本体12に作用する外力が管状部材11に該管状部材を曲げる曲げ力として作用したとき、該曲げ力が各繊維15に該各繊維を管状部材11の各端部11a間で引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、前記曲げ力が各繊維15で受け止められるので、前記曲げ力による管状部材11の曲げ変形が防止される。このとき、鉄道用枕木10に対する繊維15の重量の割合が5%より小さいと繊維15による管状部材11の補強作用が低下してしまうが、本実施例では、前記したように、繊維15の前記割合が5%以上であることから、繊維15による管状部材11の補強作用が低下することを防止することができる。従って、枕木本体12が前記外力により変形することを確実に抑制することができる。
【0051】
また、前記したように、各管状部材11が枕木本体12の幅方向に互い違いになるように枕木本体12の厚さ方向に積層されていることから、各管状部材11はそれぞれその下方で二つの管状部材11に当接する。これにより、枕木本体12に例えばその上方から押圧力が作用したとき、例えば最上層を構成する各管状部材11に作用する力は該各管状部材からそれぞれの直下の層を構成する各管状部材11のうち当接する二つの管状部材11に伝わる。従って、各管状部材11を枕木本体12の幅方向に互い違いになることなく枕木本体12の厚さ方向に単に直列的に積層した場合に比べて、各管状部材11にその上方から作用する力の大部分を分散させることができるので、各管状部材11に作用する力により各管状部材11が変形することを、より確実に抑制することができる。
【0052】
本実施例では、補強部材14である複数の繊維15が所定の各管状部材11の外方に配置された例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、各繊維15を所定の各管状部材11の内方に設けることができる。
【0053】
例えば、各繊維15が所定の各管状部材11の内方に設けられる場合、図3に示すように、各管状部材11(図3には一の管状部材11が示されている。)内にそれぞれ複数の繊維15を配置することができる。図3に示す例では、各管状部材11の両端部11aにそれぞれ該各端部を閉鎖する栓部材16が設けられており、各繊維15の両端部15aがそれぞれ各栓部材16に固定されている。各栓部材16は、図示の例では、管状部材11と同様に、ポリ塩化ビニルのような熱可塑性樹脂で形成されている。これに代えて、各栓部材16を例えば金属及び無機材料等のように樹脂材料以外の材料で形成することができる。また、各栓部材16は、それぞれ例えば融着により各管状部材11に接合されている。
【0054】
図3に示す例によれば、各管状部材11内に配置された各繊維15の各端部15aがそれぞれ各管状部材11の各端部11aに設けられた栓部材16にそれぞれ固定されていることから、枕木本体12に作用する外力が管状部材11に該管状部材を曲げる曲げ力として作用したとき、該曲げ力が各繊維15に該各繊維を両栓部材16間で引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、前記曲げ力が各繊維15で受け止められるので、前記曲げ力による管状部材11の曲げ変形が防止される。
【0055】
また、本実施例では、補強部材14が複数の繊維15で構成された例を示したが、これに代えて、図4に示すように、補強部材14を管状部材11内に充填される充填物17で構成することができる。
【0056】
図4に示す例では、充填物17は粉体18で構成されている。粉体18には、例えば砂、土、灰、鉄粉及び樹脂の切断粉等が用いられる。粉体18が充填された管状部材11の本数の管状部材11全本数に対する割合は、図示の例では、30%以上に設定されている。粉体18が充填された管状部材11の前記割合が30%より小さいと粉体18による管状部材11の補強作用が低下するが、図4に示す例では、前記したように、前記割合が30%以上であることから、粉体18による管状部材11の補強作用が低下することを防止することができる。粉体18は、図示の例では、複数の管状部材11のうち枕木本体12の下半部を構成する各管状部材11内に充填されている。すなわち、粉体18が充填された管状部材11の本数の前記割合は50%である。
【0057】
また、粉体18が充填された各管状部材11の両端部11aには、図5に示すように、それぞれ図3で示したと同様の栓部材19が設けられている。
【0058】
図4及び図5に示す例によれば、前記したように、補強部材14が管状部材11内に充填される充填物17で構成されていることから、各管状部材11内に充填物17を充填することにより、各管状部材11の剛性を確実に向上させることができる。これにより、充填物17による管状部材11の補強作用により外力に対する該管状部材の強度を高めることができるので、枕木本体12全体の外力に対する強度を確実に高めることができる。これにより、列車からレールを介して受ける荷重による枕木本体12の破損をより確実に防止することができる。
【0059】
また、前記したように、充填物17が粉体18であることから、所定の管状部材11内に粉体18を充填することにより枕木本体12全体の強度を容易に高めることができる。また、粉体18が充填された各管状部材11の両端部11aに該両端部をそれぞれ閉鎖する栓部材19が設けられていることから、各管状部材11内に充填された粉体18が各管状部材11内からその外方に流出することを確実に防止することができる。
【0060】
更に、粉体18が複数の管状部材11のうち枕木本体12の下半部を構成する各管状部材11内に充填されていることから、枕木本体12の下半部の重量が重くなるので、枕木本体12を安定した姿勢で配置することができる。
【0061】
図4及び図5に示す例では、粉体18が複数の管状部材11のうち枕木本体12の下半部を構成する各管状部材11内に充填された例を示したが、これに代えて、図示しないが粉体18を例えば複数の管状部材11のうち枕木本体12の各レールが配置される部分に対応する各管状部材11に粉体18を充填させることができる。この場合、枕木本体12に前記レールを固定するための図示しないボルトのような締結具を打ち付けたときに、該締結具を各管状部材11内の粉体18に打つことができるので、各管状部材11内に粉体18が充填されていない場合に比べて、前記締結具を枕木本体12に打ち付け易く且つ枕木本体12から引き抜き難くすることができる。
【0062】
また、図4及び図5に示す例では、充填物17が粉体18で構成された例を示したが、これに代えて、例えばモルタル及びセメント等の有機材料、ウレタン樹脂及びポリ塩化ビニル樹脂等の有機樹脂材料、及び、無機充填物料が混合された樹脂材料等を充填物17に用いることができる。
【0063】
図1乃至図5に示す実施例において、図6(a)及び図6(b)に示すように、複数の管状部材11のうち少なくとも一つの管状部材11の外周面11bに該外周面から突出する複数のリブ20を設けることができる。
【0064】
図6(a)に示す例では、各リブ20は、それぞれ管状部材11の軸線方向に伸び且つ管状部材11の周方向に所定の間隔をおいて配置されている。
【0065】
図6(a)に示す例によれば、各リブ20がそれぞれ管状部材11の軸線方向に伸びることから、各リブ20が設けられた管状部材11に該管状部材を曲げる曲げ力が作用したとき、各リブ20には該リブをその伸長方向に圧縮する圧縮力又は各リブ20をその伸長方向に引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、前記管状部材11に作用した前記曲げ力が各リブ20で受け止められるので、前記曲げ力により前記管状部材11が曲げ変形することが防止される。従って、鉄道からレールを介して枕木本体12に作用する押圧力が管状部材11に前記曲げ力として作用した場合でも、該曲げ力により枕木本体12が容易に曲げ変形することを確実に防止することができる。
【0066】
他方、図6(b)に示す例では、各リブ20は、それぞれ管状部材11の周方向に伸びる環状をなしており、管状部材11の軸線方向に互いに所定の間隔をおいて配置されている。
【0067】
図6(b)に示す例によれば、各リブ20がそれぞれ管状部材11の周方向に伸びることから、管状部材11に該管状部材をその横断面積を小さくする方向に圧縮する圧縮力が作用したとき、各リブ20には該リブをその伸長方向に圧縮する圧縮力又は各リブ20をその伸長方向に引っ張る引っ張り力として作用する。これにより、前記管状部材11に作用した前記圧縮力が各リブ20で受け止められるので、前記圧縮力により前記管状部材11が圧縮変形することが防止される。従って、鉄道からレールを介して枕木本体12に作用する押圧力が管状部材11に前記圧縮力として作用した場合でも、該圧縮力により枕木本体12が容易に曲げ変形することを確実に防止することができる。
【0068】
また、図6(a)及び図6(b)に示す例によれば、前記したように、複数の管状部材11のうち少なくとも一つの管状部材11の外周面11bに該外周面から突出する複数のリブ20が設けられていることから、結合部材13に例えば発泡ウレタンを用いた場合、各管状部材11を結合部材13により互いに結合した状態で各リブ20を結合部材13に噛ませることができるので、枕木本体12に曲げ力が作用したときに各リブ20と結合部材13との間でそれらを圧縮する圧縮力として作用するので、前記曲げ力を各リブ20及び結合部材13で受け止めることができる。
【0069】
図6(a)及び図6(b)に示す例では、管状部材11の軸線方向に伸びる複数のリブ20又は管状部材11の周方向に伸びる複数のリブ20が設けられた例を示したが、これに代えて、図示しないが、管状部材11に管状部材11の軸線方向に伸びる複数のリブ20及び管状部材11の周方向に伸びる複数のリブ20をそれぞれ設けることができる。この場合、管状部材11を曲げる曲げ力及び管状部材11の横断面積を小さくする方向に圧縮する圧縮力の両方の力に対する管状部材11の強度を確実に向上させることができる。
【0070】
図1乃至図6に示す実施例において、図7に示すように、枕木本体12の外周に該枕木本体の周囲から巻き付ける巻付部材21を設けることができる。
【0071】
図7に示す例では、枕木本体12には、その長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された二つの巻付部材21が設けられている。各巻付部材21は、図示の例では、例えばガラス及びカーボン等の無機材料、鉄のような金属材料、ポリエステルのような樹脂材料、及び、ジュート及び竹等の天然材料等から形成されており、引っ張り力に対する強度が確保されている。また、各巻付部材21は、それぞれ帯状をなしており、枕木本体12を構成する各管状部材11が互いに密着するように枕木本体12をその周囲から締め付けている。
【0072】
図7に示す例によれば、枕木本体12の外周に該枕木本体の周囲から巻き付けられる巻付部材21が設けられていることから、各管状部材11を結合部材13により結合したとき、結合部材13による結合作用に加えて各巻付部材21の締め付け力により、各管状部材11が互いに密着した状態を保持することができるので、各管状部材が互いに分離することをより確実に防止することができる。
【0073】
図1乃至図7に示す例では、各管状部材11がポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂及びアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる例を示したが、これに代えて、例えば熱硬化性樹脂にように熱可塑性樹脂以外の樹脂材料、又は、金属、無機材料及び竹のように樹脂材料以外の材料で各管状部材11を形成することができる。
【0074】
また、図1乃至図7に示す例では、各管状部材11がそれぞれ円筒状をなした例を示したが、これに代えて、横断面形状が楕円形又は矩形状をなした管状部材を本発明に適用することができる。
【0075】
更に、図1乃至図7に示す例では、各管状部材11を互いに結合させるための結合部材13が発泡ウレタンで構成された例を示したが、これに代えて、例えばポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂等の樹脂材料やモルタル及びセメント等の無機材料にように発泡ウレタン以外の材料で結合部材13を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る鉄道用枕木を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線に沿った横断面図である。
【図3】内部に繊維が設けられた管状部材を概略的に示す縦断面図である。
【図4】図1及び図2とは別の実施例に係る鉄道用枕木を概略的に示す横断面図である。
【図5】内部に粉体が充填された管状部材を概略的に示す縦断面図である。
【図6】(a)及び(b)はそれぞれ外周面にリブが設けられた管状部材を概略的に示す縦断面図である。
【図7】本発明に係る巻付部材が設けられた枕木本体を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
11 管状部材
12 枕木本体
13 結合部材
10 鉄道用枕木
14 補強部材
15 繊維
17 充填物
18 粉体
19 栓部材
20 リブ
21 巻付部材
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−69512(P2008−69512A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−246661(P2006−246661)