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【発明の名称】 鉄道用枕木
【発明者】 【氏名】斉藤 康宏

【要約】 【課題】枕木本体を合成樹脂で成形した場合でも枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ枕木本体に作用する荷重による枕木本体の破損を防止することができる鉄道用枕木を提供する。

【構成】鉄道用枕木10の柱状の枕木本体110に、該枕木本体をその長手方向に連続して貫通する複数の中空部を形成し、各中空部の両端をそれぞれ枕木本体11の両端面11bに開放する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の枕木本体を備える鉄道用枕木であって、前記枕木本体には、両端がそれぞれ前記枕木本体の両端面に開放し、前記枕木本体をその長手方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されていることを特徴とする鉄道用枕木。
【請求項2】
前記枕木本体は熱可塑性樹脂からなり、前記中空部の横断面形状は該中空部の伸長方向に一様であることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用枕木。
【請求項3】
前記枕木本体に対する前記中空部の占有率が10%以上90%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用枕木。
【請求項4】
前記枕木本体には、複数の前記中空部が形成されており、該複数の中空部のうち少なくとも一の中空部が、前記枕木本体の下部に該枕木本体の幅方向に伸びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【請求項5】
複数の前記中空部のうち前記一の中空部以外の前記各中空部は、それぞれ前記枕木本体の幅方向に互いに間隔をおき且つ前記枕木本体の厚さ方向に伸びるように前記一の中空部の上方で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鉄道用枕木。
【請求項6】
前記中空部の一部又はその全部には前記枕木本体を補強するための補強材が充填されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【請求項7】
前記補強材は前記枕木本体の成形後に前記中空部内に充填されることを特徴とする請求項6に記載の鉄道用枕木。
【請求項8】
前記中空部内には前記枕木本体に与えられる振動を吸収するための振動吸収材が充填されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【請求項9】
前記振動吸収材は前記枕木本体の成形後に前記中空部内に充填されることを特徴とする請求項8に記載の鉄道用枕木。
【請求項10】
前記中空部の開放した前記両端は、蓋部材により閉鎖されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の鉄道用枕木。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レールが列車から受ける荷重を分散させるための鉄道用枕木に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制振用の鉄道用枕木として、熱可塑性樹脂材料からなる柱状の枕木本体を備える鉄道用枕木が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この鉄道用枕木では、枕木本体の長手方向の中央部に枕木本体の長手方向に伸びる複数の溝状の中空部が互いに平行に形成されており、該中空部に粘性体が充填されている。これにより、枕木本体への荷重の印加時において、中空部の内壁に生じる大きな歪みに伴う振動を減衰させる効果が得られる。
【0003】
また、枕木本体が熱可塑性樹脂材料からなることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下が防止される。
【0004】
このような鉄道用枕木を製造する際、例えば、枕木本体となる合成樹脂材料を加熱することにより溶融し、溶融した合成樹脂材料を成形用金型内に注入し、その後、合成樹脂材料を冷却することにより固化させる。これにより枕木本体が製造される。
【特許文献1】特開平06−41901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、枕木本体が熱可塑性樹脂材料からなり、枕木本体に複数の中空部が枕木本体の長手方向に連続することなく枕木本体の中央部に部分的に形成されていることから、枕木本体を製造する過程において、枕木本体となる溶融樹脂を固化すべく冷却したとき、中空部が形成された枕木本体の中央部はその外面及び中空部の内面から冷却されるので中央部の外周部分の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることはないが、中空部が形成されていない肉厚部分では、外面からのみ冷却されるため、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じ、成形された枕木本体に撓み変形やいわゆるヒケ等が生じる。このため、枕木本体に寸法精度の低下を招く。
【0006】
また、枕木本体に複数の中空部が部分的に形成されていることから、枕木本体に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、枕木本体の中空部が形成された薄肉な部分に応力が集中して生じるため、該部分に破損が生じやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は、枕木本体を合成樹脂で成形した場合でも枕木本体の成形時にヒケ及び撓み変形が枕木本体に生じることを防止することができ且つ枕木本体に作用する荷重による枕木本体の破損を防止することができる鉄道用枕木を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、柱状の枕木本体を備える鉄道用枕木であって、前記枕木本体には、両端がそれぞれ前記枕木本体の両端面に開放し、前記枕木本体をその長手方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記枕木本体は熱可塑性樹脂からなり、前記中空部の横断面形状は該中空部の伸長方向に一様であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記枕木本体に対する前記中空部の占有率が10%以上90%以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記枕木本体には、複数の前記中空部が形成されており、該複数の中空部のうち少なくとも一の中空部が、前記枕木本体の下部に該枕木本体の幅方向に伸びるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、複数の前記中空部のうち前記一の中空部以外の前記各中空部は、それぞれ前記枕木本体の幅方向に互いに間隔をおき且つ前記枕木本体の厚さ方向に伸びるように前記一の中空部の上方で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記中空部の一部又はその全部には前記枕木本体を補強するための補強材が充填されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記補強材は前記枕木本体の成形後に前記中空部内に充填されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記中空部内には前記枕木本体に与えられる振動を吸収するための振動吸収材が充填されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記振動吸収材は前記枕木本体の成形後に前記中空部内に充填されることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の発明において、前記中空部の開放した前記両端は、蓋部材により閉鎖されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、柱状の枕木本体に該枕木本体をその長手方向に連続して貫通する少なくとも一つの中空部が形成されており、中空部の両端はそれぞれ枕木本体の両端面に開放していることから、枕木本体が従来のように合成樹脂からなる場合でも、成形品である枕木本体となる溶融樹脂材料を固化させるべく冷却したとき、枕木本体をその外面及び中空部の内面から全体的に冷却することができる。
【0018】
これにより、中空部が形成されていない肉厚部分を有する従来の枕木本体とは異なり、枕木本体の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止されるので、溶融樹脂材料を冷却したときに従来のような撓み変形やいわゆるヒケ等が成形品である枕木本体に生じることが防止される。
【0019】
従って、枕木本体に撓み変形やヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体の寸法精度の低下を確実に防止することができる。
【0020】
また、中空部が枕木本体に該枕木本体をその長手方向に連続して貫通することから、枕木本体に例えば列車からレールを介して荷重が作用したときに、枕木本体に生じる応力を分散させることができるので、従来のように中空部が枕木本体に部分的に形成されている場合のような枕木本体の部分的な破損を確実に生じ難くすることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、枕木本体は熱可塑性樹脂からなり、中空部の横断面形状は該中空部の伸長方向に一様である。
【0022】
中空部の横断面形状が中空部の伸長方向に一様でなく不均一である場合、枕木本体の肉厚が不均一になるため、枕木本体を成形する際に、成形品である枕木本体となる溶融樹脂材料を固化すべく冷却したとき、肉厚が厚い部分とそれが薄い部分との間に収縮率の差が生じる。このため、枕木本体に歪みが生じる虞がある。また、枕木本体に肉厚が厚い部分と薄い部分とが形成されている場合、枕木本体に作用する荷重による応力が薄肉部分に集中するため、枕木本体の破損を招く虞がある。
【0023】
これに対し、本発明によれば、前記したように、中空部の横断面形状が該中空部の伸長方向に一様であることから、枕木本体の肉厚が不均一である場合のような枕木本体への歪みの発生及び枕木本体の破損をより確実に防止することができる。
【0024】
また、枕木本体が熱可塑性樹脂からなることから、枕木本体が木製である場合に比べて枕木本体に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体がコンクリート製である場合に比べて枕木本体の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体の耐用年数の低下及び枕木本体の重量が重いことによる枕木本体の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、枕木本体に対する中空部の占有率が10%以上90%以下であることから、枕木本体を例えば合成樹脂材料で形成する場合、枕木本体に中空部が形成されていない場合に比べて、枕木本体の成形に必要となる合成樹脂材料の量を低減させることができるので、枕木本体の製造コストの削減を確実に図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、枕木本体には、複数の中空部が形成されており、該複数の中空部のうち少なくとも一の中空部が、枕木本体の下部に該枕木本体の幅方向に伸びるように形成されていることから、枕木本体への前記一の中空部の形成により、枕木本体にはその底面を含む板状の底部が形成される。これにより、枕木本体を例えば砂利上に配置した場合、枕木本体が列車からレールを介して荷重を受けたときに底部が砂利から上方へ向けての押圧力を受けたとき、底部が前記一の中空部内へ向けて撓み変形することにより、枕木本体が砂利から受ける力を吸収することができる。これにより、枕木本体が砂利から受ける前記押圧力により破損することを確実に防止することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、複数の中空部のうち前記一の中空部以外の各中空部は、それぞれ枕木本体の幅方向に互いに間隔をおき且つ枕木本体の厚さ方向に伸びるように前記一の中空部の上方で形成されていることから、枕木本体への各中空部の形成により、枕木本体には各中空部間で枕木本体の厚さ方向に伸びる複数の柱部が形成される。これにより、枕木本体の上方から荷重が作用したとき、前記各柱部には該各柱部をそれぞれの伸長方向に圧縮する圧縮力として作用するので、前記荷重を各柱部で受け止めることができる。従って、枕木本体が上方から受ける荷重により枕木本体が変形することを確実に防止することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、中空部の一部又はその全部には枕木本体を補強するための補強材が充填されていることから、補強材の補強作用により、枕木本体の外力に対する強度を確実に高めることができる。これにより、列車からレールを介して受ける荷重による枕木本体の破損をより確実に防止することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、補強材は枕木本体の成形後に中空部内に充填されることから、例えば補強材を中空部内に枕木本体の成形時に充填させることによって補強材が枕木本体の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、中空部内には枕木本体に与えられる振動を吸収するための振動吸収材が充填されていることから、振動吸収材による振動吸収作用により、枕木本体に与えられる振動を確実に吸収することができる。これにより、枕木本体の振動により枕木本体が例えばレールに衝突することによって騒音が発生することを、確実に防止することができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、振動吸収材は枕木本体の成形後に中空部内に充填されることから、例えば振動吸収材を中空部内に枕木本体の成形時に充填させることによって振動吸収材が枕木本体の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、中空部の開放した両端が蓋部材により閉鎖されていることから、中空部内に充填された補強材又は振動吸収材が中空部内からその外方に流出することを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0033】
本発明に係る鉄道用枕木10は、図1に示すように、全体にほぼ直方体をなした柱状の枕木本体11を備える。
【0034】
枕木本体11は、図示の例では、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS及びアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる。枕木本体11の原材料にポリ塩化ビニルのような安価な材料を用いることにより、コストの削減を図ることができる。また、上述の樹脂類に例えばタンカル及びゴムチップのような固形物を混合することができ、これにより、枕木本体11の剛性を高めることができる。
【0035】
また、枕木本体11は、図示の例では、砂利12上に配置されている。枕木本体11の上面11a上には、一対の板状のタイプレートTが枕木本体11の長手方向に互いに間隔をおいて設けられており、各タイプレートT上に図示しないレールが枕木本体11の長手方向に直交するように配置される。
【0036】
枕木本体11には、その長手方向に伸び、該枕木本体を連続して貫通する複数の中空部13〜19が形成されている。各中空部13〜19の端部13a〜19aは、それぞれ枕木本体11の長手方向で互いに向かい合う一対の端面11bで枕木本体11の外方に開放している。各中空部13〜19は、それぞれの横断面形状が該各中空部の伸長方向に一様になるように形成されており、更に、枕木本体11に対する各中空部13〜19の占有率が10%以上90%以下となるように形成されている。図示の例では、枕木本体11に対する各中空部13〜19の占有率は、40〜60%に設定されている。
【0037】
各中空部13〜19のうち一の中空部19は、図2に示す例では、枕木本体11の下部11cに枕木本体11の幅方向(図2で見て左右方向である。)に伸びるように形成されている。前記一の中空部19の横断面形状は、枕木本体11の厚さ方向に沿った幅寸法が枕木本体11の幅方向に沿って一様であり且つ半円形の両端部を有するほぼ矩形状をなしている。枕木本体11への前記一の中空部19の形成により、枕木本体11には、その底面11dを含む板状の底部20が形成されている。
【0038】
前記一の中空部19以外の各中空部13〜18は、それぞれ前記一の中空部19の上方で枕木本体10の幅方向に互いに間隔をおき且つ枕木本体10の厚さ方向(図2で見て上下方向である。)に伸びるように形成されている。各中空部13〜18の横断面形状は、それぞれ枕木本体11の幅方向に沿った幅寸法が枕木本体11の厚さ方向に沿って一様であり且つ半円形の両端部を有するほぼ矩形状をなしている。枕木本体11への各中空部13〜18の形成により、枕木本体11には、その幅方向で互いに対向する一対の側面11eを含む一対の板状の側部21と、各中空部13〜18間で枕木本体11の厚さ方向に伸びる5本の板状の柱部22,23,24,25,26が形成されている。
【0039】
各中空部13〜18のそれぞれの枕木本体11の幅方向の幅寸法は、図示の例では、それぞれ各側部21と各柱部22〜26のうち中央部に配置された3本の各柱部23〜25とのそれぞれの板厚寸法が枕木本体11の幅寸法の5%〜7.5%になるように設定されている。また、各中空部13〜18のそれぞれの枕木本体11の幅方向の幅寸法は、図示の例では、各柱部22〜26のうち両側に配置された各柱部22,26の板厚寸法が枕木本体11の幅寸法の約15%になるように設定されている。これにより、両側の各柱部22,26の板厚寸法は、各側部21及び各柱部23〜25の板厚寸法の2〜3倍の大きさを有する。
【0040】
本実施例では、各中空部13〜18の全て又は一部に枕木本体11を補強するための補強材27が充填されている。補強材27は、図示の例では、各中空部13〜18のうち両側に配置された各中空部13,18を除く各中空部14〜17の内部にそれぞれ充填されている。補強材27は、図示の例では、固化した熱可塑性樹脂材料で構成されており、熱可塑性樹脂材料に代えて、モルタルセメント及び熱硬化性樹脂材料等を用いることができ、また、枕木本体11の補強作用を高めるべく、これらの材料に珪砂、タンカル及び溶融スラグ等の固体の充填材や、鉄棒及びガラス繊維等の強化長尺部材を混合することができる。補強材27は、図示の例では、各中空部14〜17内に全体的に充填されている。
このような枕木本体10は、従来よく知られた押し出し成形法を用いて成形される。押し出し成形法を用いることにより、単位時間当たりの生産能力が高く、また、成形が定常状態の場合、作業者の負担が低いので、生産コストを低くすることができる。
【0041】
枕木本体11を成形する際、枕木本体11の原料である合成樹脂材料を加熱することにより流動化し、図示しない成形用金型内を通過させることにより形が与えられた合成樹脂製の長尺体を形成する。続いて、その長尺体を所定の長さ寸法に切断することにより複数の図示しない樹脂ブロックを形成し、前記各樹脂ブロックをそれぞれ冷却することにより固化させる。これにより、複数の中空部13〜19がそれぞれ形成された枕木本体11が形成される。
【0042】
次に、各中空部14〜17内に補強材27を充填させる。これにより、補強材27により補強された枕木本体11が形成される。
【0043】
このように、柱状の枕木本体11に該枕木本体をその長手方向に連続して貫通する複数の中空部13〜19が形成されており、該各中空部の両端部13a〜19aはそれぞれ枕木本体11の両端面11bに開放していることから、成形品である枕木本体11となる溶融樹脂材料を固化させるべく冷却したとき、枕木本体11をその外面及び各中空部13〜19の内面から全体的に冷却することができる。
【0044】
これにより、中空部が形成されていない肉厚部分を有する従来の枕木本体とは異なり、枕木本体11の外周部の収縮率と内部の収縮率との間に大きな差が生じることが防止されるので、溶融樹脂材料を冷却したときに従来のような撓み変形やいわゆるヒケ等が成形品である枕木本体11に生じることが防止される。
【0045】
従って、枕木本体11に撓み変形やヒケ等が生じることによる従来のような枕木本体11の寸法精度の低下を確実に防止することができる。
【0046】
また、各中空部13〜19がそれぞれ枕木本体11に該枕木本体をその長手方向に連続して貫通することから、枕木本体11に例えば列車から前記レールを介して荷重が作用したときに、枕木本体11に生じる応力を分散させることができる。これにより、従来のように中空部が枕木本体に部分的に形成されている場合のような枕木本体11の部分的な破損を確実に生じ難くすることができる。
【0047】
また、前記したように、枕木本体11は熱可塑性樹脂からなり、各中空部13〜19の横断面形状はそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様である。
【0048】
各中空部13〜19の横断面形状がそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様でなく不均一である場合、枕木本体11に形成された底部20、各側部21及び各柱部22〜26の厚さ寸法がそれぞれ各中空部13〜19の長手方向に不均一になるため、枕木本体11を成形する際に、成形品である枕木本体11となる溶融樹脂材料を固化すべく冷却したとき、肉厚が厚い部分とそれが薄い部分との間に収縮率の差が生じる。このため、枕木本体11に歪みが生じる虞がある。また、枕木本体11に肉厚が厚い部分と薄い部分とが形成されている場合、枕木本体11に作用する荷重による応力が薄肉部分に集中するため、枕木本体11の破損を招く虞がある。
【0049】
これに対し、本発明によれば、前記したように、各中空部13〜19の横断面形状がそれぞれ該各中空部の伸長方向に一様であることから、底部20、各側部21及び各柱部22〜26の厚さ寸法がそれぞれ各中空部13〜19の長手方向に均一になるので、それらの厚さ寸法が不均一である場合のような枕木本体11への歪みの発生及び枕木本体11の破損をより確実に防止することができる。
【0050】
また、前記したように、枕木本体11が熱可塑性樹脂からなることから、枕木本体11が木製である場合に比べて枕木本体11に腐食及び損傷が発生し難く、また、枕木本体11がコンクリート製である場合に比べて枕木本体11の重量が軽くなるので、従来と同様に、枕木本体11に腐食及び損傷が発生し易いことによる枕木本体11の耐用年数の低下及び枕木本体11の重量が重いことによる枕木本体11の敷設作業の効率の低下を確実に防止することができる。
【0051】
更に、前記したように、枕木本体11に対する各中空部13〜19の占有率が10%以上90%以下であることから、枕木本体11に各中空部13〜19が形成されていない場合に比べて、枕木本体11の成形に必要となる合成樹脂材料の量を低減させることができるので、枕木本体11の製造コストの削減を確実に図ることができる。
【0052】
また、前記したように、複数の中空部13〜19のうち前記一の中空部19を枕木本体11の下部11cに該枕木本体の幅方向に伸びるように形成することにより、枕木本体11にその底面11dを含む板状の底部20が形成されることから、砂利12上に配置された枕木本体11が列車から前記レールを介して荷重を受けたときに底部20が砂利12から上方へ向けての押圧力を受けたとき、底部20が前記一の中空部19内へ向けて撓み変形することにより、枕木本体11が砂利12から受ける力を吸収することができる。これにより、枕木本体11が砂利12から受ける前記押圧力により破損することを確実に防止することができる。
【0053】
更に、前記したように、複数の中空部13〜19のうち前記一の中空部19以外の各中空部13〜18をそれぞれ枕木本体11の幅方向に互いに間隔をおき且つ枕木本体11の厚さ方向に伸びるように前記一の中空部19の上方で形成することにより枕木本体11に各側部21と各中空部13〜18間で枕木本体11の厚さ方向に伸びる複数の柱部22〜26が形成されることから、枕木本体11の上方から荷重が作用したとき、各側部21及び各柱部22〜26にはそれらをそれぞれの伸長方向に圧縮する圧縮力として作用するので、前記荷重を各側部20及び各柱部22〜26で受け止めることができる。従って、枕木本体11が上方から受ける荷重により枕木本体11が変形することをより確実に防止することができる。
【0054】
また、前記したように、各側部21と中央部に配置された3本の各柱部23〜25とのそれぞれの板厚寸法は、枕木本体11の幅寸法の5%〜7.5%であり、また、両側に配置された各柱部22,26の板厚寸法は枕木本体11の幅寸法の約15%であり、両側の各柱部22,26の板厚寸法は、各側部21及び各柱部23〜25の板厚寸法の2〜3倍の大きさを有する。
【0055】
従来、枕木本体11の外観の悪化を防止すべく枕木本体11への撓み変形やヒケ等の発生を防止するために各側部21の厚さ寸法をそれぞれ薄くすると上方及び側方からの荷重に対する枕木本体11の強度の低下を招き、また、上方及び側方からの荷重に対する枕木本体11の強度を高めるために各側部21の厚さ寸法をそれぞれ厚くすると、枕木本体11の成形時に側部21の外面に撓み変形やヒケ等が発生し枕木本体11の外観の悪化を招く。
【0056】
これに対し、本発明によれば、前記したように、各側部21が枕木本体11の幅寸法に比して薄肉であることから、枕木本体11の成形時に枕木本体11への撓み変形やヒケ等の発生が防止されるので、枕木本体11の外観の悪化を防止することができる。また、前記したように、両側の各柱部22,26の板厚寸法が各側部21の板厚寸法の2〜3倍の大きさを有することから、枕木本体11にその上方又は側方から荷重が作用したときに、薄肉部分である各側部21で受け止め切れない力を各柱部22,26で受け止めることができるので、各側部21を薄肉にしたことによる上方及び側方からの荷重に対する枕木本体11の強度の低下を各柱部22,26で補うことができる。
【0057】
更に、前記したように、枕木本体11を補強するための補強材27が、各中空部13〜18のうち両側に配置された各中空部13,18を除く各中空部14〜17の内部に充填されており、補強材27が固化した熱可塑性樹脂材料のように固形物で構成されていることから、枕木本体11にその上方又は側方から外力が作用したとき、該外力を補強材27に該補強材を圧縮する圧縮力として受け止めることができるので、この補強材27の補強作用により、前記外力による枕木本体11の変形を確実に防止することができる。これにより、列車からレールを介して受ける荷重による枕木本体の破損をより確実に防止することができる。
【0058】
また、補強材27が各中空部14〜17の内部に全体的に充填されていることから、枕木本体11に例えば列車から前記レールを介して荷重が作用したときに、枕木本体11に生じる応力が部分的に集中することなく全体的に補強材27に分散されるので、枕木本体11の一部に応力が集中することによる該部分の破損を確実に防止することができる。
【0059】
更に、補強材27が固形物であることから、枕木本体11にその各中空部14〜17に対応する位置で例えば前記レールを枕木本体11に締結するための図示しない釘を打ち付けたときに、該釘を各中空部14〜17内の補強材27に打つことができるので、各中空部14〜17内に補強材27が充填されていない場合に比べて、前記釘を枕木本体11から引き抜き難くすることができる。
【0060】
また、前記したように、補強材27が枕木本体11の成形後に各中空部14〜17内に充填されることから、例えば補強材27を各中空部14〜17内に枕木本体11の成形時に充填させることによって補強材27が枕木本体11の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0061】
本実施例では、補強材27が各中空部14〜17の内部に全体的に充填された例を示したが、これに代えて、補強材27を各中空部14〜17の内部に部分的に充填させることができる。
【0062】
また、本実施例では、補強材27が各中空部14〜17内に充填された例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、各中空部14〜17以外の各中空部13,18,19の全てに又はそれらのうちの一部の内部に補強材27を全体的に又は部分的に充填することができる。
【0063】
更に、本実施例では、各中空部13〜19のうち一の中空部19が枕木本体11の下部11cに形成され、前記一の中空部19以外の6つの中空部13〜18がそれぞれ前記一の中空部19の上方で枕木本体11に形成された例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、枕木本体11に対する中空部の占有率が10%以上90%以下の範囲内であれば、枕木本体11に形成する中空部の数を適宜変更することができる。
【0064】
また、本実施例では、各側部21と中央部に配置された3本の各柱部23〜25とのそれぞれの板厚寸法が枕木本体11の幅寸法の5%〜7.5%であり、また、両側に配置された各柱部22,26の板厚寸法が枕木本体11の幅寸法の約15%であり、両側の各柱部22,26の板厚寸法が各側部21及び各柱部23〜25の板厚寸法の2〜3倍の大きさを有するように各中空部13〜19の幅寸法の大きさが設定された例を示したが、これに代えて、枕木本体11に対する中空部の占有率が10%以上90%以下の範囲内であり且つ両側の各柱部22,26の板厚寸法が各側部21の板厚寸法よりも大きくなるよう設定されれば、各中空部13〜19の幅寸法を適宜変更することができる。
【0065】
更に、本実施例では、各中空部13〜18の全て又は一部に枕木本体11を補強するための補強材27が充填された例を示したが、これに代えて、各中空部13〜18の全て又は一部に、枕木本体11に与えられる振動を吸収するための振動吸収材28を充填することができる。
【0066】
振動吸収材28は、図2に示す例では、軟質ウレタンのように軟質な材料からなり、補強材27と同様に、各中空部13〜18のうち両側に配置された各中空部13,18を除く各中空部14〜17の内部に充填されている。また、振動吸収材28は、枕木本体11の成形後に各中空部14〜17内に充填される。
【0067】
これによれば、枕木本体11に例えば前記レールを介して列車から振動が伝わったとき、枕木本体11に各中空部14〜17間で形成された3本の各柱部23〜25が振動したとき、各中空部14〜17に充填された振動吸収材28が各柱部23〜25から圧力を受ける。これにより、各中空部14〜17内の内圧が上昇することによって各柱部23〜25の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されるので、各柱部23〜25の振動が吸収される。この振動吸収材28による振動吸収作用により、枕木本体11に与えられる振動の大部分を確実に吸収することができるので、枕木本体11の振動により枕木本体11が例えば前記レールに衝突することによって騒音が発生することを、確実に防止することができる。
【0068】
また、振動吸収材28が枕木本体11の成形後に各中空部14〜17内に充填されることから、例えば振動吸収材28を各中空部14〜17内に枕木本体11の成形時に充填させることによって振動吸収材28が枕木本体11の内側からの冷却の妨げになることを、確実に防止することができる。
【0069】
また、本実施例では、各中空部13〜19の横断面形状がそれぞれほぼ矩形状をなした例を示したが、これに代えて、例えば図3に示すように、前記一の中空部19の上方に形成された各中空部13〜18のうち中央に配置された二つの中空部15,16を挟んで配置された二つの中空部14,17を、それらの横断面形状がそれらの上端14a,17aから下端14b、17bに向けて枕木本体11の幅方向に沿った幅寸法が漸増する台形をなすように形成することができる。
【0070】
図3に示す例では、台形の横断面形状を有する各中空部14,17の横断面積及び該各中空部間に配置された各中空部15,16の幅寸法がそれぞれ図2に示した例におけるそれらよりも大きくなるように設定されている。これにより、前記一の中空部19の上方で枕木本体11に形成された各中空部13〜18間に形成された各柱部22〜26の板厚寸法が、それぞれ図2に示した例における場合に比べて薄くなる。
【0071】
従って、図3に示す例によれば、枕木本体11の成形時に該枕木本体の原材料である溶融樹脂を固化させるべく冷却したとき、各柱部22〜26に撓み変形やヒケ等が生じることをより確実に防止することができる。
【0072】
また、図3に示す例によれば、各中空部14,17がそれぞれ台形をなした横断面形状を有することから、枕木本体11にその上方から荷重が作用したときに各柱部22,26に下方へ向けて圧縮力が作用したとき、各柱部22,26には各中空部14,17の内方に向けての分力が生じる。これにより、各柱部22,26に作用する圧縮力が分散されるので、該圧縮力により各柱部22,26が破損することをより確実に防止することができる。また、各柱部22,26に生じた前記分力は、枕木本体11の上部に該上部を枕木本体11の幅方向に圧縮する圧縮力として作用するので、枕木本体11の上部で受け止められる。これにより、枕木本体11が前記分力により各中空部14,17の上端14a,17aにおける幅寸法が小さくなるように変形することを、より確実に防止することができる。
【0073】
従って、各中空部14,17をその横断面形状が台形をなすように形成することにより、枕木本体11にその上方から作用する荷重による枕木本体11の変形をより確実に防止することができることから、各柱部22〜26の板厚寸法をそれぞれ図2に示した例における場合に比べて薄くしたことによる枕木本体11の強度の低下を確実に補うことができる。
【0074】
図3に示す例では、各中空部14,17をその横断面形状が台形をなすように形成した例を示したが、これに代えて、横断面形状が例えば上端14a,17aから下端14b,17bに向けて幅寸法が漸増する半楕円形をなすように各中空部14,17を形成することができる。
【0075】
また、図3に示す例では、各中空部14,17の横断面形状を変形させた例を示したが、これに代えて、又は、これに加えて、各中空部14,17以外の各中空部13,18の横断面形状を変形させることができる。
【0076】
また、図1乃至図3に示す例において、特に各中空部13〜19内に補強材27又は振動吸収材28を充填させた場合、各中空部13〜19の開放した両端部13a〜19aを図示しない蓋部材により閉鎖することができる。これにより、各中空部13〜19内からの補強材27及び振動吸収材28の流出を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る鉄道用枕木を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線に沿った横断面図である。
【図3】図1及び図2に示す実施例とは別の実施例に係る鉄道用枕木を概略的に示す横断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 鉄道用枕木
11 枕木本体
13,14,15,16,17,18,19 中空部
27 補強材
28 振動吸収材
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−57102(P2008−57102A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−231449(P2006−231449)