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【発明の名称】 橋枕木固定用フックボルト、座金及び橋枕木
【発明者】 【氏名】関口 龍一郎

【氏名】江幡 卓典

【要約】 【課題】レールの橋枕木を橋桁に固定するためのフックボルトにおいて、複雑な加工を必要とすることなく、極めて簡易な構成により、フックボルトの締結時および装着時において、回転を防止し、安定した装着を可能にする。

【構成】鋼材に係止するフック部と、橋枕木41に予め形成されるボルト穴43に挿通される胴部と、橋枕木のボルト穴を通過して上方に突出しナットと契合するネジ部からなる橋枕木を鋼材に対して固定するボルト及び前記ボルトを固定するための座金42において、前記ボルトの前記ネジ部の形状が非円形形状であり、前記座金の前記ボルトの穴が前記非円形形状と同じ形状であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材に係止するフック部と、橋枕木に予め形成されるボルト穴に挿通される胴部と、橋枕木のボルト穴を通過して上方に突出しナットと契合するネジ部からなる橋枕木を鋼材に対して固定するボルト及び前記ボルトを固定するための座金において、前記ボルトの前記ネジ部の形状が非円形形状であり、前記座金の前記ボルトの穴が前記非円形形状と同じ形状であることを特徴とする橋枕木固定用ボルト及び座金。
【請求項2】
前記非円形形状が切り欠部を有する円形形状であることを特徴とする請求項1に記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
【請求項3】
前記座金が楕円形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の橋枕木固定用ボルト及び座金。
【請求項4】
前記座金が橋枕木の横幅を超える長さの長辺を有する長方形形状であり、その両端部が橋枕木の角に沿って下方に折り曲げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
【請求項5】
前記ボルトの穴と前記座金の穴部との間にクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載のボルト及び座金を用いて鋼材に固定される橋枕木であって、前記橋枕木の上面には、前記座金がはまり込み、前記座金の回転を防止するための座繰りが設けられていることを特徴とする橋枕木。
【請求項7】
前記座繰りの形状は、前記座金の外形と相似形であることを特徴とする請求項6に記載の橋枕木。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、橋枕木固定用フックボルトに関するもので、特に、回り止め機能を具備した橋枕木固定用フックボルト、座金及び橋枕木に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の橋梁における鋼材に橋枕木を固定するためのフックボルトは、列車が通行するための振動や、気温変化によるレールと橋桁の収縮差により、フックボルトが回転し、緩み、それに伴ってフックボルト先端のフック部が鋼材からはずれ易くなることがあった。また、従来の円形形状のフックボルトの場合、ナット締め付けの際ボルトが共回りしてしまい、作業が困難になるという問題があった。
【0003】
さらに、フックボルトは橋上で危険性の高い作業環境で使用されるため、この補修作業を行うには、足場や落下防止網を設置して大掛かりな工事が必要になり、経費が膨大になるという問題を有している。
【0004】
そこで、フックボルトの回転を防止するためにいくつかの提案がなされてきている。例えば、特許文献1では、フックボルトの下部構造箇所の曲がり部分に、左右両端に翼を延ばし、翼がぶつかることにより回転防止することが提案されているが、翼の部分にフックボルトを層通する穴を設ける必要があり、工程が煩雑であり、コスト高になるという問題がある。特許文献1では、さらに、座金の四隅にツメを設け、ツメが枕木に食い込むことによって座金の回り止めを図ることが提案されているが、枕木の材質によってはツメが食い込むことができない場合がある。例えば、高硬度の樹脂枕木の場合、ツメが食い込まず回り止め機能が働かない。また、木製の枕木であっても、枕木の風化、肉痩せなどによりツメの回り止め機能が不十分になってしまう。
【0005】
また、特許文献2では、フックボルトと枕木のボルト穴の形状を非真円形状とすることが提案されているが、枕木に例えば四角穴をあけるには特殊工具が必要であり、また、鋼材にリベットが施してある場合、リベットからボルトフック部を逃して締結することができない。リベットにフック部が当る場合、フックボルトと鋼材の設置面積が減少するため、不安定な締結となってしまうという問題がある。
【特許文献1】特開平10−82407号公報
【特許文献2】特開2001−49620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、レールの橋枕木を橋桁に固定するためのフックボルトにおいて、複雑な加工を必要とすることなく、極めて簡易な構成により、フックボルトの締結時および装着時において、回転を防止し、安定した装着を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フックボルトのネジ部の形状を非円形形状とし、座金の穴の形状を前記非円形形状と同じ形状とすることによって、フックボルトの回転を防止するものである。特に、ネジ部の形状及び座金の穴の形状を切りかけ円形形状とすることにより、極めて簡易にフックボルトの回転を防止するものである。また、橋枕木の上面に、座金がはまり込み、座金の回転を防止するための座金の外形と相似の形状の座繰りを設けることによって、極めて簡易に座金と橋枕木の回転を防止するものである。これら、座金と橋枕木の両者の構成を合わせることで、より効果的に橋枕木とフックボルトの回転を防止することができる。
本発明の構成は次のとおりである。
(1)鋼材に係止するフック部と、橋枕木に予め形成されるボルト穴に挿通される胴部と、橋枕木のボルト穴を通過して上方に突出しナットと契合するネジ部からなる橋枕木を鋼材に対して固定するボルト及び前記ボルトを固定するための座金において、前記ボルトの前記ネジ部の形状が非円形形状であり、前記座金の前記ボルトの穴が前記非円形形状と同じ形状であることを特徴とする橋枕木固定用ボルト及び座金。
(2)前記非円形形状が切り欠部を有する円形形状であることを特徴とする上記(1)に記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
(3)前記座金が楕円形状であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の橋枕木固定用ボルト及び座金。
(4)前記座金が橋枕木の横幅を超える長さの長辺を有する長方形形状であり、その両端部が橋枕木の角に沿って下方に折り曲げられていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
(5)前記ボルトの穴と前記座金の穴部との間にクリアランスが設けられていることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の橋枕木固定用ボルト用ボルト及び座金。
(6)上記(1)ないし(5)に記載のボルト及び座金を用いて鋼材に固定される橋枕木であって、前記橋枕木の上面には、前記座金がはまり込み、前記座金の回転を防止するための座繰りが設けられていることを特徴とする橋枕木。
(7)前記座繰りの形状は、前記座金の外形と相似形であることを特徴とする上記(6)に記載の橋枕木。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のような構成をとることにより、低コストでフックボルトが共回りして、鋼材から外れることを防止できる。特に、フックボルトのネジ部に切り欠け部を有する円形形状にするには、通常のボルトに切り欠け部を形成するだけで済み、極めて簡易に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を説明する。
図1に示すように、フックボルト1は橋枕木8を橋桁7に固定する部材であって、棒鋼からなり上部を雄ねじ4とした直線状のボルト部2と、その下部に連続する曲線状のフック部3とを備える。このフックボルト1は、橋枕木8に設けたボルト穴にボルト部2を挿通し、ナット6で固定して、フック部3を橋桁8の下面に圧接させることにより橋枕木8を橋桁7に固定するものである。
【0010】
本発明のフックボルトは、ネジ部21の断面形状22を非円形形状、例えば図2に示すように、切り欠け部23を有する円形、切り欠け円形形状とするものである。この際、図1の5に示される座金の穴の形状も切り欠け円形形状とし、前記座金が橋枕木8上で動かない構造とすることによって、フックボルトが固定された座金に契合し、フックボルトの回転を防止することができる。
【0011】
フックボルトのネジ部を切り欠け部を有する円形形状にするためには、通常の円形形状のボルトを機械加工することによって極めて簡単に形成することができる。
【0012】
座金5を固定化する方法としては、図3に示されるように、座金の形状を楕円形にして、かつ、橋枕木に座金がはまりこむ座繰りを設けるとよい。座繰りの形状は、座金が座繰りにはまり込んで座金の外周が座繰りの内周に何点か接触することで、座金が回転しないものであればよい。ただし、座金の外周との接触点が多いほど、座金が回転しようとするときに橋枕木に対する圧力が減るため、座金の外周の形状と相似形であることが好ましい。すなわち、座金が楕円形である場合、座繰りも同様の楕円形であることが好ましい。このような座金と橋枕木に設けた座繰りによって、フックボルトの枕木に対する回転を防止することができる。
【0013】
また、例えば、図4に示されるように、座金を橋枕木の幅を超える長辺を有する長方形としその端部を橋枕木の角部に沿って下方に直角に折り曲げた構造とすることによっても、座金の回転を防止することができる。
【0014】
また、鋼材にリベットがある場合、本発明のフックボルトの穴と座金の穴部との間にクリアランスが設けることが好ましい。前記特許文献2のフックボルトの場合、ボルトの方向は枕木にあけられた角穴の位置で固定されてしまい、鋼材にリベットが施工してある場合、リベットからボルトフック部を逃して締結することができなかった。本発明のフックボルトにおいては、前記クリアランスを設けることによりフック部の設置をリベットから逃して締結することができる。これによって、安定した締結を可能にする。
【0015】
本発明のフックボルトは、好ましくは枕木からフックボルトが飛び出さない程度の長さとする。フックボルトは橋上で危険性の高い作業環境で使用されるが、枕木のほうにフックボルトのネジ部が飛び出していると施工・メンテナンス及び点検を行う際の邪魔となり、危険であるからである。
【0016】
本発明の橋枕木の材質は、特に問わない。木、合成樹脂、繊維強化プラスチック樹脂(FRP)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましくは、座繰りの穴の形状が長期にわたって安定して保持できる材質がよく、ガラス繊維強化されたウレタン樹脂発砲体が特に好ましい。上記の実施例においては、橋枕木として、ガラス繊維強化されたウレタン樹脂発砲体(積水化学製エスロンネオランバーFFU)を使用したが、座繰りの穴の形状を安定して使用することが確認できた。
【0017】
本発明のフックボルトを使用する際、好ましくは、ナット及びボルトの腐食を防止するため、プラスチック樹脂、ゴムなどの非金属製のキャップを使用する。これによって、雨水などの浸水を防ぎ、フックボルト及びナットの腐食を防止し、寿命を延ばすことができる。
【0018】
本発明のフックボルトの材質は十分な強度を有することが好ましい。従来は、一般構造用圧延鋼(SS400、SS499)などが用いられていたが、より強度の高い構造用炭素鋼(S45C)などを特殊熱処理を施すことにより強度を向上させて使用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】フックボルトの使用時の側面図を示す。
【図2】本発明のフックボルトの側面及び平面図を示す。
【図3】本発明の座金の実施例を示す。
【図4】本発明の座金の実施例を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 フックボルト
2 胴部
3 フック部
4 ネジ部
5 座金
6 ナット
7 鋼材
8 枕木
9 ボルト穴
21 ネジ部
22 ネジ部の切り欠け円形形状
23 切り欠け部
31 楕円形座金
32 切り欠け円形形状の穴部
32 切り欠け部
42 枕木
42 座金
44 切り欠け円形形状穴部
【出願人】 【識別番号】502406317
【氏名又は名称】東北ネヂ製造株式会社
【出願日】 平成19年6月19日(2007.6.19)
【代理人】 【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二

【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司

【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子

【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅


【公開番号】 特開2008−25335(P2008−25335A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−161191(P2007−161191)