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【発明の名称】 鉄道用分岐器のふく進防止装置
【発明者】 【氏名】佐藤 泰生

【要約】 【課題】鉄道用分岐器の基本軌条と分岐床板との間に発生するふく進を防止する。基本軌条にふく進防止板を取り付ける際に使用するボルトを小さくすることが可能で、トングレールの断面を縮小して強度が低下することのないようにする。

【構成】鉄道用分岐器の基本軌条1と外向突起30を突設したふく進防止用腹板3とを基本軌条1の腹部に添着した接着材2を介してボルト4・ナット4´締めする。ふく進防止座金5に嵌合部50を設け、嵌合部50を外向突起30に外嵌する。床板6上に間隔をおいて対向する上向突起60、60を突設する。ふく進防止座金5を対向する上向突起60、60に嵌挿するとともに床板6に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用分岐器の基本軌条と外向突起を突設したふく進防止用腹板とを前記基本軌条の腹部に添着した接着材を介してボルト・ナット締めし、ふく進防止座金に嵌合部を設け、前記嵌合部を前記外向突起に外嵌し、床板上に間隔をおいて対向する上向突起を突設し、前記ふく進防止座金を前記対向する上向突起に嵌挿するとともに前記床板に固定することを特徴とする鉄道用分岐器のふく進防止装置。
【請求項2】
ふく進防止用腹板のレール長手方向に挿入孔を穿設し、前記挿入孔に融雪用のポイントヒーターを挿入することを特徴とする請求項1の鉄道用分岐器のふく進防止装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道用分岐器において、基本軌条とまくら木における分岐床板の間で生じる軌条の長手方向への移動つまりふく(匐)進を防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道用分岐器の基本軌条に取り付けて基本軌条を固定する座金あるいはレールブレスは、基本軌条の腹部および底部と床板に接触してボルト・ナットで床板に締め付けられ、ボルト・ナットの締め付け力により基本軌条と床板の間に発生するふく進を防止しているが、ボルト・ナットが弛緩した場合には、座金の締め付け力が緩んで基本軌条がレール長手方向に移動して、基本軌条と床板間でふく進が生じ、それに伴う部材の移動等、各種の不都合、例えば転轍棒や1対のトングレールの先端に取付けてあるフロントロッドが分岐まくら木に接触する不都合が生じることがある。
【0003】
また従来から鉄道用分岐器の融雪器に使用するポイントヒーターは、軌条と離間距離の大きい床板に取り付けられており、基本軌条とトングレールの間の融雪は間接的に行われている。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1に本発明は、鉄道用分岐器の基本軌条と分岐床板との間に発生するふく進を防止することを課題とする。
【0005】
第2に本発明は、基本軌条にふく進防止板を取り付ける際に使用するボルトを小さくすることが可能で、トングレールの断面を縮小して強度が低下することのないようにすることを課題とする。
【0006】
第3に本発明は、前記第1、2の課題に加えて基本軌条とトングレールの間の融雪効果を大きくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、鉄道用分岐器の基本軌条と外向突起を突設したふく進防止用腹板とを前記基本軌条の腹部に添着した接着材を介してボルト・ナット締めし、ふく進防止座金に嵌合部を設け、前記嵌合部を前記外向突起に外嵌し、床板上に間隔をおいて対向する上向突起を突設し、前記ふく進防止座金を前記対向する上向突起に嵌挿するとともに前記床板に固定することを特徴とするものである。
【0008】
第2の本発明は、前記の手段に加えて、ふく進防止用腹板のレール長手方向に挿入孔を穿設し、前記挿入孔に融雪用のポイントヒーターを挿入することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、基本軌条の腹部に外向突起を有するふく進防止用腹板をボルト・ナットと接着材により取り付け、このふく進防止用腹板の外向突起に嵌合するふく進防止座金を床板に取り付け、このふく進防止座金に嵌合する上向突起を床板に設けることにより基本軌条の床板上でのふく進を防止する効果がある。
【0010】
また、ふく進防止用腹板を基本軌条の腹部にボルト・ナットと接着材により取り付けることにより、ふく進防止用腹板を取り付けるボルトに作用するふく進力が接着材により基本軌条に分散し、これによりボルトに作用するふく進力は緩和されて弛緩や折損が防止されるため、必要なボルトの大きさを小さくでき、ふく進防止用腹板のボルトがトングレールに接触する等干渉することがなくなり、トングレールの強度低下を招かない効果がある。
【0011】
請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果に加えてふく進防止用床板に使用するふく進防止用腹板において、レール長手方向に穿孔し、この孔に融雪を目的とするポイントヒーターを挿入するため、ポイントヒーターが従来より基本軌条とトングレールに接近し、融雪を効果的に、かつ簡便にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の実施の形態について説明する。基本軌条1は外向突起30を固着したふく進防止用腹板3と添接板3a、3bに挟まれ、それぞれボルト4、ナット4´により固定されている。
【0013】
基本軌条1とふく進防止用腹板3の間および基本軌条1と添接板3a、3bの間には熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグからなる接着材2を挟み、加熱硬化させて基本軌条1にふく進防止用腹板3、添接板3a、3bを接着してある。
【0014】
図中、符号a1、a2、a3、a4は前記ボルト4を挿通する孔である。
【0015】
基本軌条1とトングレール10を載せている床板6には、ふく進防止座金5と嵌合する1対の上向突起60、60が間隔をおいて設けてある。その間にT字孔63を貫通し、さらにその外側にもT字孔64を貫通してある。
【0016】
基本軌条1に取り付けたふく進防止用腹板3に固着した外向突起30に、ふく進防止座金5に設けた嵌合部50を外嵌し、床板6に設けた1対の上向突起60、60に、ふく進防止座金5を嵌合させ、ふく進防止座金5の貫通孔5aをT字ボルト51に外挿し床板6にナット締めする。なお、T字ボルト51はその頭部をT字孔63に挿入し、軌条1の方向に動かして床板6に立設した従来から周知のものである。
【0017】
ふく進防止座金5には、ふく進防止用腹板3に設けた外向突起30に外嵌する寸法に嵌合部50が設けられており、またふく進防止座金5は床板6に設けた1対の直方体からなる上向突起60、60の間に嵌挿する寸法に設定されている。このようにして、基本軌条1に発生するふく進力は基本軌条1に取り付けられたふく進防止用腹板3を通じてふく進防止座金5に作用し、その反力は床板6から上向突起60、60を通じてふく進防止座金5に作用し、基本軌条1と床板6の間に発生するふく進が防止される。
【0018】
ふく進防止用腹板3には、ポイントヒーター7を挿入する挿入孔31が穿設されて、ポイントヒーター7を挿入する。
【0019】
基本軌条1はふく進防止用腹板3と添接板3a、3bに挟まれてボルト4、ナット4´で締め付けられ、同時に接着材2により接着されており、ふく進防止用腹板3に固着され、しかも下面に傾斜面を有する直方体状の外向突起30には、ふく進防止座金5が嵌合し、同時にふく進防止座金5は床板6に設けられた上向き突起60、60に嵌合している。
【0020】
床板6は従来から周知の角とめ釘9若しくは図示を省略したTボルト又は締結用ばねを用いて分岐まくら木bに強固に締着する。また、ふく進防止座金5の外部には従来から周知で楔式と通称されている調節式座金8を用いて、ふく進防止座金5をふく進防止用腹板3に接触させ、固定させることができる。つまりT字ボルト51と同様にして床板6に立設したT字ボルト80に調節式座金8に貫通した斜孔81を外挿し、この調節式座金8の脚片8aを床板6に穿設した傾斜細溝61に摺動させて楔作用によりふく進防止座金5への押圧力を調節し、T字ボルト80をナット締めする。
【0021】
基本軌条1とトングレール10との隙間には、添接板3a、3bとボルト4の頭部が位置しているが、添接板3a、3bおよびふく進防止用腹板3は接着材(プリプレグ)2により基本軌条1に接着されており、基本軌条1からふく進防止用腹板3に作用するふく進力は接着材2によりふく進防止用腹板3に分散されてボルト4、ナット4´に作用する力が緩和されるため、ボルト4、ナット4´の寸法を小さくすることができ、トングレール10に接触、衝突する等、干渉させないようにすることが出来る。したがって従来と同一の断面を有するトングレール10がそのまま使用でき、トングレール10の強度を低下させることはない。
【0022】
次に第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は原理的に第1の実施形態と同様であり、共通する部分については同一の符号を付けて重複説明を省略する。
【0023】
第2の実施の形態は第1の実施の形態で用いられた調節式座金8を使用しないものである。
【0024】
そのためふく進防止用腹板3の外向突起30は外方になるに従い、下向きに傾斜する斜面32aを有する傾斜ブロック32と、傾斜ブロック32から立ち上がる略直方体のブロック33を一体化してなり、またふく進防止座金5が断面略倒ホームベース状であり、その内向面53に凹溝52を穿つとともに内向面に傾斜ブロック32と当接する斜面53を形成する。
【0025】
また上向突起60、60の外方にふく進防止座金5の外向斜面50に当接する斜面61を有する連結ブロック62を立設し、上向突起60、60間にT字孔63を穿設する。
【0026】
そしてブロック33に凹溝52を外嵌し、傾斜ブロック32の斜面32aに内向面53を当接し、傾斜面61にふく進防止座金5の外向斜面50上部を当接する。
【0027】
このとき床板6から立設つまりT字孔63頭部にT字ボルト82の頭部を挿入かつ図5示のように基本軌条1の方向へずらして立設したT字ボルト82にふく進防止座金5の貫通孔5aを外挿し、ナット83の締め付けによりふく進防止座金5を前後・上下動させることができ、位置調節が可能となり、効果的な位置でT字ボルト82をナット83により締着する。
【0028】
この結果、基本軌条1に発生するふく進力は基本軌条1に取り付けられたふく進防止用腹板3を通じてふく進防止座金5に作用し、その反力は床板6から突起60を通じてふく進防止座金5に作用し、基本軌条1と床板6の間に発生するふく進が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す一部切欠き正面図である。
【図2】同上の各部材の分解斜視図である。
【図3】同上の左側面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す一部切欠き正面図である。
【図6】同上の各部材の分解斜視図である。
【図7】同上の左側面図である。
【図8】同上の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 基本軌条
2 接着材
3 ふく進防止用腹板
4 ボルト
4´ ナット
5 ふく進防止座金
6 床板
7 ポイントヒーター
30 外向突起
31 挿入孔
50 嵌合部
60 上向突起
【出願人】 【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100073081
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 敏夫

【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹


【公開番号】 特開2008−25273(P2008−25273A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201091(P2006−201091)