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【発明の名称】 鉄道レールにおける継ぎ目構造
【発明者】 【氏名】片山 博貴

【要約】 【課題】鉄道レールの継ぎ目において、施工性に富み、振動や騒音の発生を防止する。

【構成】鉄道レールの継ぎ目構造において、継ぎ目となって互いに突き合わされて接合する各レール部材1,2が、各レール部材1,2の端部10,20同士を連ねて下方に切り欠かかれた切欠き部11,21を有しており、この切欠き部11,21に配置され、各レール部材1,2における切欠き部の上部12,22を支持するレール桁3を備え、レール桁3が少なくとも一つの枕木40に固定され、各レール部材1,2の端部10,20の上面が面一になるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道レールの継ぎ目構造において、継ぎ目となって互いに突き合わされて接合する各レール部材(1,2)が、前記各レール部材(1,2)の端部(10,20)同士を連ねて下方に切り欠かかれた切欠き部(11,21)を有しており、この切欠き部(11,21)に配置され、前記各レール部材(1,2)における切欠き部の上部(12,22)を支持するレール桁(3)を備え、前記レール桁(3)が少なくとも一つの枕木(40)に固定され、前記各レール部材の端部の上面が面一になるように構成されていることを特徴とする鉄道レールの継ぎ目構造。
【請求項2】
前記各レール部材(1,2)の端部(10,20)が、レール幅方向(W)の略中央にレール長手方向(L)に略平行な平行端面(1a,2a)を有しており、前記各平行端面(1a,2a)同士が互いに当接して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道レールの継ぎ目構造。
【請求項3】
前記各レール部材(1,2)の端部(10,20)が共に前記レール桁(3)の上下動に追従する手段(6)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道レールの継ぎ目構造。
【請求項4】
前記レール桁(3)と前記各レール部材(1,2)の切欠き部の上部(12,22)とが互いに係合する手段(32,33)を備えていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の鉄道レールの継ぎ目構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、列車等が走行する鉄道レールにおける継ぎ目構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車等が走行する軌道に敷設される鉄道レールは、運搬や組立て等の施工し易さに加え、温度変化による伸縮性に対応するため、所定の長さに切断されて接合するので、継ぎ目が設けられている。従って、組立て作業等による敷設現場における工事量が多くなる。
【0003】
継ぎ目のあるレール部材からなる一般的な軌道では、隣接するレール部材同士を固定具で連結しているにも拘らず、列車が継ぎ目位置に近づくと段差が生じる。この段差が生じたレール部材上を列車が走行すると、レールの継ぎ目につまずいた状態となって車輪が飛び跳ねたり、列車の車輪とレール部材とが衝突して、衝撃音や振動が発生する。この衝撃音や振動によって、列車の乗客の乗り心地が悪化したり、鉄道沿線の住民に対する騒音問題等が生じている。一方、継ぎ目を溶接するロングレール方式では、レール部材の取替え時に溶断と再溶接を行うので、工事が長期化したり工事費用が増大する。
【0004】
この衝撃音や振動を軽減するために、種々の創意工夫の提案がされている。例えば、衝撃を緩和するために、レール継ぎ目接続装置や(特許文献1等参照)、車輪受け部の両端内側部をL型や斜めに切削して、切削部に連結金具を取り付けてレール部材を連結する方式等がある(特許文献2乃至4等参照)。しかし、上記のレール継ぎ目接続装置では、ボルトで締め込み、伸縮可能な圧力の締付けに熟練を必要とする。又、レール部材を連結金具で連結する方式では、列車の進行方向が限定され、単一軌道上を往復することができない等の問題がある。
【特許文献1】特開平11−336003号公報
【特許文献2】特開平2−43401号公報
【特許文献3】特開平10−338901号公報
【特許文献4】特開平11−36202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、施工性に富み、鉄道レールの継ぎ目における振動や騒音の発生を著しく防止することが可能な継ぎ目構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造は、継ぎ目となって互いに突き合わされて接合する各レール部材が、各レール部材の端部同士を連ねて下方に切り欠かかれた切欠き部を有しており、この切欠き部に配置され、各レール部材における切欠き部の上部を支持するレール桁を備え、レール桁が少なくとも一つの枕木に固定され、各レール部材の端部の上面が面一になるように構成されている。
【0007】
好ましくは、各レール部材の端部が、レール幅方向の略中央にレール長手方向に略平行な平行端面を有しており、各平行端面同士が互いに当接して接合されている。
【0008】
更に好ましくは、各レール部材の端部が共にレール桁の上下動に追従する手段を備えている。
【0009】
更に好ましくは、レール桁と各レール部材の切欠き部の上部とが互いに係合する手段を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造は、上記のように、レール桁でレール部材における切欠き部の上部を支持するよう構成されているので、ボルト連結する必要がなく施工性に富む。更に、レール桁によって、常時、上面が面一となり段差が生じることがないので、列車走行時における衝撃音や振動を極力少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造について、詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造を示す斜視図である。図2は、鉄道レールの継ぎ目構造を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。図3は、レール部材の端部を示す斜視図である。図4は、レール桁を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0013】
図1に示すように、鉄道レールの継ぎ目においては、2本のレール部材1,2が互いに対向している。そして、各レール部材1,2の端部10,20同士が互いに突き合わされ接合されている。レール部材1,2は、複数の枕木40上に敷設されている。レール部材1,2は、枕木40に設けられたL字状の係止部材42でレール部材1,2の下フランジを係止することにより位置固定されており、レール幅方向Wに移動しないようになっている(図1及び図2(a)参照)。レール部材1,2の端部10,20には、レール桁3が設けられている。レール桁3は、ボルト・ナットからなる固定部材41を介して、枕木40に固定されている。
【0014】
図2及び図3の如く、各レール部材1,2は、その端部10,20に、下方に切り欠かれた切欠き部11,21を有している。切欠き部11,21は、各レール部材1,2のウェブ及び下フランジが切り欠かれて構成されている(図2(b)及び図3参照)。切欠き部11,21の側面形状は、各レール部材1,2を接合した際に、連続する略台形状になっている。この切欠き部11,21の形状は、レール桁3の側面形状に適合するように構成されている(図2(b)参照)。従って、各レール部材1,2の切欠き部11,21がレール桁3に配されることにより、レール桁3が各レール部材1,2の切欠き部の上部12,22(各レール部材1,2の上フランジ)を支持するようになっている。
【0015】
本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造は、上記した構成なので、施工時においては、各レール部材1,2の切欠き部11,21をレール桁3に配置するだけで、各レール部材1,2を接合することができる。更に、各レール部材1,2の端部10,20において、その上部12,22がそれぞれレール桁3によって支持されているので、列車走行時においても、各レール部材1,2の上面が面一となり段差が生じない。
【0016】
図2(a)及び図3の如く、各レール部材1,2の端部10,20は、幅方向Wの略中央部において、長さ方向Lに略平行にカットされた平行端面1a,2aを有している。更に、各レール部材1,2の端部10,20は、図2(a)における平行端部1a,2aの左端から左上に傾斜する第一傾斜端面1b,2bと、図2(a)における平行端部1a,2aの右端から右下に傾斜する第二傾斜端面1c,2cとを有している。各端面1a〜1c及び2a〜2cは、各レール部材1,2における切欠き部の上部11,22に形成されている。そして、各レール部材1,2の端部10,20の形状は、幅方向Wに対して互いに対称となっている。
【0017】
図2(a)の如く、各レール部材1,2の端部10,20は、平行端面1a,2aが互いに当接して配置されている。これにより、各レール部材1,2の幅方向Wの位置ずれを防止することができると共に、各レール部材1,2における温度変化による長さ方向Lの伸縮にも対応できる。
【0018】
図4に示すように、レール桁3は、本体部30と脚部31,31とから構成されている。図4(a)の如く、脚部31,31は、プレート状であって、本体部30の下部に設けられている。脚部31には、2つのボルト孔31aが設けられており、このボルト孔31aに固定部材41のボルトを挿通して、レール桁3を枕木40に固定する。
【0019】
本体部30は、上記したように、側面形状が略台形である(図4(b)参照)。そして、各レール部材1,2の切欠き部11,21が、本体部30の台形状に適合するように構成されている。図4(a)の如く、本体部30は、上面32の正面視形状が、中央部に向けて下方に角度α(例えば5°程度)だけ傾斜した逆へ字状になっている。図4(b)の如く、上面32の側面視形状は、上端32a及び下端32bが略水平になっている。
【0020】
更に、本体部30は、上面32の正面視中央部に、図4(a)の図面奥行き方向(レール長さ方向L)にのびる溝部33が設けられている。溝部33は、図4(b)の如く、その底面33aが、側面視中央部から下方に向けて角度θ(例えば5°程度)だけ傾斜したへ字状に構成されている。これにより、溝部33に溜まる水が排水される。
【0021】
各レール部材1,2における切欠き部の上部12,22は、その下面が、本体部30の上面32に沿うように形成されており、更に本体部30の溝部33に嵌合する突部(例えば、図3(b)に示すレール部材2の符号20a)を備えている。これにより、各レール部材1,2がレール桁3に係合して配置されるので、簡単且つ正確に所定位置に設置することができると共に、レール幅方向W及び高さ方向Hの位置ずれを防止することができる。更に、各レール部材1,2は、長さ方向Lにおける伸縮移動も可能となる。これにより、常時、各レール部材1,2の上面が面一となり、継ぎ目における列車の衝突音や振動を最小限に抑えることができる。
【0022】
図5は、他の実施形態に係るレール桁の上部を示す正面図である。図5(a)に示す実施形態のレール桁3では、本体部30の上面32’が凹凸状になっており、この形状に係合するように各レール部材1,2が構成されている。また、図5(b)に示す実施形態のレール桁3では、本体部30の上面32’’が波状になっており、各レール部材1,2がこの形状に係合するようになっている。これによって、各レール部材1,2の設置施工性の向上、衝突音及び振動を防止することができる。
【0023】
図6は、上下動追従手段を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。図6の如く、上下動追従手段6は、水平部分6a及び弧状L字状部分6bからなるプレート部材60と、レール桁3の側面側に取り付けられた当接部材61とからなっている。図6(a)に示すように、2つの上下動追従手段6,6’が、各レール部材1,2の継ぎ目に設けられている。図6(a)及び(b)の如く、一方の上下動追従手段6は、その水平部分6aが、ボルト・ナットからなる固定部材62,62を介して、レール部材1における切欠き部の上部12の下面側に固定されている。そして、上下動追従手段6のL字状部分6bは、その自由端部が当接部材61の下面に当接している。同様に、他方の上下動追従手段6’は、プレート部材がレール部材2に固定され、当接部材がレール桁に取り付けられている。
【0024】
上記のように構成することにより、例えば、列車が図6(b)の右側から左側へ走行する際、車輪Tを介してレール部材1,2に移動荷重が加わる。このとき、上下動追従手段6がないと、列車による移動荷重によって、レール部材1,2が弾むように振動して、レール桁3とレール部材1,2との間に断続的に隙間が生じ、衝撃音や振動が発生する場合がある。しかし、上下動追従手段6を設けることにより、レール桁の上下動に追従して、レール部材1,2が共に上下移動するので、継ぎ目においてレール部材1,2の上面が常に面一となる。更に、上記の上下動追従手段6の構成によれば、レール部材1,2の長さ方向Lの伸縮にも対応できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。レール桁3は、複数の枕木40に跨って支持固定されていたり、側面形状が長方形などであってもよい。上下動追従手段6は、上記した実施形態では、プレート部材60が、各レール部材1,2に夫々一つずつ設けられているが、夫々に複数個設けられていてもよく、又、上記した板バネ状に限らず、コイルバネ状などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る鉄道レールの継ぎ目構造を示す斜視図である。
【図2】鉄道レールの継ぎ目構造を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】レール部材の端部を示す斜視図である。
【図4】レール桁を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】他の実施形態に係るレール桁の上部を示す正面図である。
【図6】上下動追従手段を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1,2 レール部材
10,20 レール部材の端部
11,21 レール部材の切欠き部
12,22 レール部材における切欠き部の上部
1a,2a レール部材の平行端面
3 レール桁
6 上下動追従手段
32,33 レール桁の上面
W レール幅方向
L レール長手方向
【出願人】 【識別番号】596047757
【氏名又は名称】片山 博貴
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所


【公開番号】 特開2008−2148(P2008−2148A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172417(P2006−172417)