トップ :: D 繊維 紙 :: D06 繊維または類似のものの処理;ラウンドリ−;他に分類されない可とう性材料

【発明の名称】 拡布センタリング機能を具えた液流処理装置
【発明者】 【氏名】伊藤 昭作

【氏名】伊藤 賢太郎

【要約】 【課題】循環処理系に被処理布を無端状に仕掛けて液流処理を施す際に、処理液面から引き上げられた被処理布を拡布状態で、然も良好にセンタリングしつつ移動させることのできる拡布センタリング機能を具えた液流処理装置を提供する。

【解決手段】循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布5を、処理液面から引き上げられた直後に、第1、第2の拡布螺旋ローラ15、16によって拡布する。搬送される被処理布5が蛇行したとき、その側縁を検知した検知器の通電信号により揺動装置9を作動させて、布送りリール7を、その一端側が高い傾斜状態にすることにより、被処理布5を傾斜面に沿って上昇させ、それにより被処理布5をセンタリング状態に戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系を具え、該循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させる液流処理装置であって、
前記誘導路の上方において、左右方向に延長し且つ前記被処理布を前記移動方向に送るように正回転する布送りリールが配設され、該布送りリールは、揺動装置により、一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成されており、
又、前記処理液槽前端側の、処理液面の稍上側において、該処理液面から引き上げられた被処理布の下面に当接して該被処理布を下方から支持する第1の拡布螺旋ローラと、該被処理布の上面に当接する第2の拡布螺旋ローラとが、前記布送りリールと軸線を平行にして隣り合わせて配設され、該第1、第2の拡布螺旋ローラは、両者の周速度が等しい状態で、前記布送りリールと逆方向に強制回転可能となされており、
該左右の螺旋ローラは共に、軸線方向に長いローラ本体の周面に、ローラ軸線方向に旋回する螺旋突条が突出形成されてなり、該螺旋突条の旋回方向が、該ローラ本体の左側部分と右側部分とでは逆向きとされており、
又、該第2の拡布螺旋ローラと前記布送りリールとの間に、前記被処理布を下方から支持して搬送する複数本の搬送ローラが所要間隔を置いて、水平状態にある前記布送りリールと軸線を平行にして配設されており、
又、前記布送りリールと前記第2の拡布螺旋ローラとの間において、搬送される被処理布を間に挟むように左右両側に位置する如く電極が配設されており、搬送される被処理布の左の側縁が左側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの右端を上昇させると同時にその左端を下降させる一方、該被処理布の右の側縁が右側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの左端を上昇させると同時に右端を下降させることを特徴とする拡布センタリング機能を具えた液流処理装置。
【請求項2】
処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系を具え、該循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させる液流処理装置であって、
前記誘導路の上方において、左右方向に延長し且つ前記被処理布を前記移動方向に送るように正回転する布送りリールが配設され、該布送りリールは、揺動装置により、一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成されており、
該揺動装置は、前記布送りリールの軸線を水平状態で見て、上端の枢着部と下端の枢着部とを有する左右の第1のアームと第2のアームとを、該下端の枢着部が該上端の枢着部よりも、前記軸線の内方に位置する左右対称の形態で有しており、該第1、第2のアームは、該上端の枢着部を回転中心として、垂直面内で同時に時計回りに回転できる一方、該上端の枢着部を回転中心として、垂直面内で同時に反時計回りに回転でき、又、左に位置する第1のアームの下端の枢着部は、前記布送りリールの左端に枢着されると共に、右に位置する第2のアームの下端の枢着部は、前記布送りリールの右端に枢着されており、
又、前記処理液槽前端側の、処理液面の稍上側において、該処理液面から引き上げられた被処理布の下面に当接して該被処理布を下方から支持する第1の拡布螺旋ローラと、該被処理布の上面に当接する第2の拡布螺旋ローラとが、前記布送りリールと軸線を平行にして隣り合わせて配設され、該第1、第2の拡布螺旋ローラは、両者の周速度が等しい状態で、前記布送りリールと逆方向に強制回転可能となされており、
該左右の螺旋ローラは共に、軸線方向に長いローラ本体の周面に、ローラ軸線方向に旋回する螺旋突条が突出形成されてなり、該螺旋突条の旋回方向が、該ローラ本体の左側部分と右側部分とでは逆向きとされており、
又、該第2の拡布螺旋ローラと前記布送りリールとの間に、前記被処理布を下方から支持して搬送する複数本の搬送ローラが所要間隔を置いて、水平状態にある前記布送りリールと軸線を平行にして配設されており、
又、前記布送りリールと前記第2の拡布螺旋ローラとの間において、搬送される被処理布を間に挟むように左右両側に位置する如く電極が配設されており、搬送される被処理布の左の側縁が左側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの右端を上昇させると同時にその左端を下降させる一方、該被処理布の右の側縁が右側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの左端を上昇させると同時に右端を下降させることを特徴とする拡布センタリング機能を具えた液流処理装置。
【請求項3】
前記揺動装置により、前記布送りリールを、その一端を上昇させることによりその他端を同時に下降させ、その際に、該布送りリールを他端側に移動させることを特徴とする請求項1記載の拡布センタリング機能を具えた液流処理装置。
【請求項4】
前記処理液槽の内部の左右に位置させて、左右の下のガイド板が、平面視で、相互間の間隔が後端から前端に向けて幅狭となるように、且つ、相互間の間隔を所要に調節可能に配設されており、該下のガイド板間で、前記被処理布を後方から前方に向けて遊泳移動させる遊泳移動路を形成すると共に、
前記誘導路の内部の左右に位置させて、左右の上のガイド板が、平面視で、相互間の間隔が後端から前端に向けて幅狭となるように、且つ、相互間の間隔を所要に調節可能に配設されており、該上のガイド板間で、前記被処理布を前方から後方に向けて移動させる誘導部を形成し、
前記誘導部の後端の間隔は、前記遊泳移動路の後端の間隔に略等しく設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の拡布センタリング機能を具えた液流処理装置。
【請求項5】
前記布送りリールの稍前側下方に位置させてテンションローラを、該布送りリールと軸線を平行にして配設し、前記搬送ローラで搬送される被処理布を、該テンションローラの下面側に当接させた後に前記布送りリールに巻き掛けることを特徴とする請求項1又は2記載の拡布センタリング機能を具えた液流処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させて、該被処理布に、染色処理や精錬処理、水洗処理、リラックス処理等の液流処理を施すことのできる拡布センタリング機能を具えた液流処理装置に関するものである。
【0002】
より詳しくは、前記処理液中から引き上げられた被処理布を、前記誘導路で移動させるまでの間において、幅方向に拡開(拡布)できながらその幅方向の中心線を所要範囲に位置させるようにセンタリングできる拡布センタリング機能を具えた液流処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の液流処理装置は、例えば図38に示す如く、処理液を収容する処理液槽aと、処理液bと共に被処理布cを移動させる誘導路dを含む循環処理系eに、処理液面fのかなり上方に位置する如く配設された布引上げリールgを経て該被処理布cを処理液槽aと誘導路dとに亘って無端状に仕掛け、該仕掛けられた被処理布cを誘導路dにおける処理液の流速で動かし、布引上げリールgによって被処理布cが処理液槽aより順次引き上げられることにより該被処理布cが循環移動せしめられるようになされていた。
【0004】
かかる液流処理装置においては、処理液面fのかなり上方に位置する布引上げリールgによって引き上げられる被処理布cは、ロープ状やもつれ状態、或いはからみ状態となって引き上げられることとなっていた。それ故、しわが固定されたり布目の崩れが生じたり、風合いが硬くなる等して処理布の商品価値が劣ったものとなる問題があった。
【0005】
そこで本出願人は特開平1−272858号公報において、図39に示すような液流処理装置を提供した。該液流処理装置は、誘導路Aの上端側において左右に延びる如く配設された布送りリールBと、処理液槽前端の処理液面Cの稍上側において該布送りリールBの軸線と並行して左右方向に延びる如く配設された案内ローラDとの間に、布送りリールBの軸線と並行して左右方向に延びる搬送ローラEの所要本数を並設し、該搬送ローラEと布送りリールBと案内ローラDとによって、後方に向け上方に傾斜する搬送面Fが形成される如くなし、搬送される被処理布Gが、その中間部分が並設搬送ローラEに支持された状態で搬送されるように構成された液流処理装置を提供した。
【0006】
該液流処理装置によるときは、処理液槽前端の処理液面から引き上げられて搬送される被処理布Gが、その中間部分が前記並設搬送ローラEによって下方から支持された状態で引き上げ搬送されるため、前記従来の液流処理装置におけるように、処理液面fのかなり上方に配設された布引上げリールgによって被処理布が引き上げる場合に比し、被処理布を比較的安定した拡布状態或いはロープ状態としながら搬送でき、被処理布の引き上げ部に大きなテンションが加わってしわが固定されたり布目の崩れが生じたり、風合いが硬くなる等の問題を解消できる利点があった。しかしながら、並設搬送ローラEによって搬送される被処理布がロープ状やそれに近い状態で搬送されると、被処理布の素材によってはしわが固定されやすく、又、拡布状態で搬送されたとしても布帛の搬送面を左右方向で蛇行しながら搬送されやすかったため、しわが固定されたり該しわ部分でスレが発生しやすい問題があった。
【0007】
そこで本出願人は、前記搬送面を拡布状態で然も被処理布の幅方向の中心線を極力所要位置に保てるようにセンタリングしつつ該被処理布を移動させることが可能な液流処理装置を、特開平9−132863号公報で開示した。
【0008】
該液流処理装置における被処理布の拡布センタリング装置は、図40に示すように、先端を近接状態にして軸線方向に配置された左側の螺旋ローラHと、右側の螺旋ローラJとを具えており、該左右の螺旋ローラH,Jの周面には、旋回方向が逆向きである螺旋突条K,Lが突設されていた。そして、かかる構成の左右の螺旋ローラH,Jによって被処理布Mを下方から支持し、両螺旋ローラH,Jの所要の回転に伴って、処理液槽の処理液面Nから引き上げられた被処理布Mを、拡布状態で且つセンタリング状態を保ちつつ走行させる構成のものであった。
【0009】
より具体的には、今、被処理布Mがその幅方向の中心線が所要に保たれたセンタリング状態で移動するときは、左側の螺旋ローラHと右側の螺旋ローラJとを、被処理布を送り出し方向に向けて通常速度で強制回転させると、両螺旋ローラの前記螺旋突条K,Lの旋回方向が逆向きであるため、被処理布Mが拡布されながら移動されることになる。一方、被処理布Mが右方向或いは左方向に偏位した状態で移動したときは、センサーの検知信号を受けて、左側の螺旋ローラHと右側の螺旋ローラJの内、偏位した側と反対側の螺旋ローラを前記通常速度よりも速い速度で強制回転させることにより、該螺旋ローラの螺旋突条の回転に伴って、被処理布Mを、正しいセンタリング状態に戻すことができるのであった。
【0010】
しかしながら、かかる構成の拡布センタリング装置によるときは、被処理布Mを拡布する動作と、被処理布を正しいセンタリング状態に戻す動作の2つを同時的に行なうことになるため、前記のように被処理布が右方向或いは左方向に偏位した状態で移動したときに、偏位した側と反対側の螺旋ローラを前記通常速度よりも速い速度で強制回転させることになるが、このときに、左右の螺旋ローラH,Jによる被処理布の拡布が左右バランスよく行なわれないことになり、従ってセンタリングも正しく行なわれ難い問題があった。
【0011】
又、かかる左右の螺旋ローラH,Jは、被処理布の移動方向に向けて強制回転させられるものであるため、該螺旋ローラの周速度は該被処理布の移動速度よりも速い速度で高速回転せしめられる。そのため、拡布された被処理布に弛みが生ずる等して被処理布がばたつきやすく拡布効果が悪い問題もあった。
【0012】
【特許文献1】特開平1−272858号公報
【特許文献2】特開平9−132863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させて所要に液流処理を施す際において、該処理液槽の前端側の処理液面から引き上げられた被処理布を、安定した拡布状態で、然も良好にセンタリングしつつ移動させることのできる拡布センタリング機能を具えた液流処理装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決ため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る拡布センタリング機能を具えた液流処理装置(以下液流処理装置という)の第1の態様は、処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系を具え、該循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させる液流処理装置であって、前記誘導路の上方において、左右方向に延長し且つ前記被処理布を前記移動方向に送るように正回転する布送りリールが配設され、該布送りリールは、揺動装置により、一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成されている。又、前記処理液槽前端側の、処理液面の稍上側において、該処理液面から引き上げられた被処理布の下面に当接して該被処理布を下方から支持する第1の拡布螺旋ローラと、該被処理布の上面に当接する第2の拡布螺旋ローラとが、前記布送りリールと軸線を平行にして隣り合わせて配設され、該第1、第2の拡布螺旋ローラは、両者の周速度が等しい状態で、前記布送りリールと逆方向に強制回転可能となされており、該左右の螺旋ローラは共に、軸線方向に長いローラ本体の周面に、ローラ軸線方向に旋回する螺旋突条が突出形成されてなり、該螺旋突条の旋回方向が、該ローラ本体の左側部分と右側部分とでは逆向きとされている。又、該第2の拡布螺旋ローラと前記布送りリールとの間に、前記被処理布を下方から支持して搬送する複数本の搬送ローラが所要間隔を置いて、水平状態にある前記布送りリールと軸線を平行にして配設されている。又、前記布送りリールと前記第2の拡布螺旋ローラとの間において、搬送される被処理布を間に挟むように左右両側に位置する如く電極が配設されており、搬送される被処理布の左の側縁が左側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの右端を上昇させると同時にその左端を下降させる一方、該被処理布の右の側縁が右側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの左端を上昇させると同時に右端を下降させることを特徴とするものである。
【0015】
本件発明に係る液流処理のより具体的な第2の態様は、処理液を収容する処理液槽と、処理液と共に被処理布を移動させる誘導路とを含む循環処理系を具え、該循環処理系に無端状に仕掛けられた被処理布を循環移動させる液流処理装置であって、前記誘導路の上方において、左右方向に延長し且つ前記被処理布を前記移動方向に送るように正回転する布送りリールが配設され、該布送りリールは、揺動装置により、一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成されており、該揺動装置は、前記布送りリールの軸線を水平状態で見て、上端の枢着部と下端の枢着部とを有する左右の第1のアームと第2のアームとを、該下端の枢着部が該上端の枢着部よりも、前記軸線の内方に位置する左右対称の形態で有しており、該第1、第2のアームは、該上端の枢着部を回転中心として、垂直面内で同時に時計回りに回転できる一方、該上端の枢着部を回転中心として、垂直面内で同時に反時計回りに回転でき、又、左に位置する第1のアームの下端の枢着部は、前記布送りリールの左端に枢着されると共に、右に位置する第2のアームの下端の枢着部は、前記布送りリールの右端に枢着されている。又、前記処理液槽前端側の、処理液面の稍上側において、該処理液面から引き上げられた被処理布の下面に当接して該被処理布を下方から支持する第1の拡布螺旋ローラと、該被処理布の上面に当接する第2の拡布螺旋ローラとが、前記布送りリールと軸線を平行にして隣り合わせて配設され、該第1、第2の拡布螺旋ローラは、両者の周速度が等しい状態で、前記布送りリールと逆方向に強制回転可能となされており、該左右の螺旋ローラは共に、軸線方向に長いローラ本体の周面に、ローラ軸線方向に旋回する螺旋突条が突出形成されてなり、該螺旋突条の旋回方向が、該ローラ本体の左側部分と右側部分とでは逆向きとされている。又、該第2の拡布螺旋ローラと前記布送りリールとの間に、前記被処理布を下方から支持して搬送する複数本の搬送ローラが所要間隔を置いて、水平状態にある前記布送りリールと軸線を平行にして配設されている。又、前記布送りリールと前記第2の拡布螺旋ローラとの間において、搬送される被処理布を間に挟むように左右両側に位置する如く電極が配設されており、搬送される被処理布の左の側縁が左側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの右端を上昇させると同時にその左端を下降させる一方、該被処理布の右の側縁が右側の電極に接触したとき、その通電信号により前記揺動装置が、前記布送りリールの左端を上昇させると同時に右端を下降させることを特徴とするものである。
【0016】
前記第1の態様において、前記揺動装置により、前記布送りリールを、その一端を上昇させることによりその他端を同時に下降させる際、該布送りリールを他端側に移動させるのがよい。
【0017】
前記第1、第2の態様において、前記処理液槽の内部の左右に位置させて、左右の下のガイド板を、平面視で、相互間の間隔が後端から前端に向けて幅狭となるように、且つ、相互間の間隔を所要に調節可能に配設し、該下のガイド板間で、前記被処理布を後方から前方に向けて遊泳移動させる遊泳移動路を形成すると共に、前記誘導路の内部の左右に位置させて、左右の上のガイド板を、平面視で、相互間の間隔が後端から前端に向けて幅狭となるように、且つ、相互間の間隔を所要に調節可能に配設し、該上のガイド板間で、前記被処理布を前方から後方に向けて移動させる誘導部を形成し、前記誘導部の後端の間隔を、前記遊泳移動路の後端の間隔に略等しく設定するのがよい。
【0018】
前記第1、第2の態様において、前記布送りリールの稍前側下方に位置させてテンションローラを、該布送りリールと軸線を平行にして配設し、前記搬送ローラで搬送される被処理布を、該テンションローラの下面側に当接させた後に前記布送りリールに巻き掛けるのがよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る液流処理装置によるときは、処理液槽前端側の処理液面から引き上げられた被処理布を、第1、第2の拡布螺旋ローラによって良好に拡布できる。そして、このように拡布状態とされた被処理布を、該拡布状態の被処理布を間に挟むように左右に配設された電極を含む検知器と、その通電信号によって動作する揺動装置とにより、センタリング状態を保ちながら安定的に前記誘導路に導入できる。しかも、該第1、第2の拡布螺旋ローラによって、被処理布の表面側と裏面側を同時にしわ伸ばしできる。
これらによって、被処理布に「スレ」や「折れ」、「しわの固定」等の損傷を生じさせることなく該被処理布に染色処理や精錬処理、水洗処理等の所要の液流処理を施すことができる。
【0020】
(2) そして、前記第1、第2の拡布螺旋ローラは前記布送りリールと逆方向に回転するものであるため、布送りリールと同方向に回転する場合とは異なり、被処理布を、ばたつきを生じさせることなく安定的に拡布できる。
しかも、該第1、第2の拡布螺旋ローラが処理液面の稍上側で配設されているため、被処理布は多くの処理液を含んだ状態にある。そのため、被処理布と第1、第2の拡布螺旋ローラとの間に処理液の液膜を形成でき、かかることから、該第1、第2の拡布螺旋ローラが逆回転するものではあっても、該液膜の緩衝作用によって被処理布の損傷を防止できることになる。
【0021】
(3) 本発明に係る液流処理装置によるときは、布送りリールを、その一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成しているため、一端側の上昇量以上に布送りリールを傾斜させることができ、従って該上昇量をそれ程大きくしなくても、該布送りリールの傾斜角度を所要に設定できる。かかることから、該布送りリールの傾動のための時間短縮が図られることとなるので、蛇行した被処理布をそれだけ短時間のうちにセンタリング状態に戻すことができる。
【0022】
(4) 特に、循環処理系を構成する前記誘導路に、左右の上のガイド板を所要間隔で配置してその間に被処理布の誘導部を形成することとし、又、前記処理液槽に、左右の下のガイド板を所要間隔で配置してその間で被処理布の移動路を形成する場合は、被処理布を、蛇行を生じさせることなく安定的に先の方に順次移動させることができる。その結果、前記処理液槽の処理液面から引き上げられた被処理布の中心線を前記第1の拡布螺旋ローラの中心に合致させやすく、前記第1、第2の拡布螺旋ローラによるより安定的な拡布を行ない得ることとなる。
【0023】
(5) 特に、前記揺動装置を、前記布送りリールの軸線を水平状態で見て、左右対称に配置された第1のアームと第2のアームとを具える如く構成したときは、該布送りリールの一端を上昇させたときにその他端の下降量を小さくできる。
かかることから、該他端が下降するために生ずる該他端側の部分に対する被処理布の接触圧力の低下を極力小さくできる。加えて、該布送りリールの一端を上昇させたときに、該布送りリールの全体を他端側に移動させることができるため、該他端側における被処理布の接触圧力を極力高めることができる。これらの相乗効果として、被処理布を、ばたつきを生じさせることなく円滑に前記一端に向けて上昇させることができる。
【0024】
(6) 前記テンションローラを配設したときは、前記布送りリールに対する被処理布の巻き掛け角度をより大きく設定でき、該布送りリールに対する被処理布の接触圧力をより大きくできることから、伸縮性に富む被処理布であっても、被処理布のセンタリングをより良好に行なわせることができる。
【実施例1】
【0025】
図1〜3において本発明に係る液流処理装置1は、例えばオーバーフロー型液流処理装置として応用されており、処理液2を収容する処理液槽3と、処理液2と共に被処理布5を移動させる誘導路6とを含む循環処理系を具え、該循環処理系に無端状に仕掛けられた該被処理布5を循環移動させる基本構成を有しており、該被処理布5に、染色処理や精錬処理、水洗処理、リラックス処理等の所要の液流処理を施すものである。
【0026】
そして、前記誘導路6の上端側の稍上方において、左右方向に延長し且つ前記被処理布5を前記移動方向に送るように回転する布送りリール7が配設され、該布送りリール7は、揺動装置9により、一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成されている。
【0027】
又、前記処理液槽3の前端側(後述する遊泳移動路31の前端側28)12の、処理液面13の稍上側において、第1の拡布螺旋ローラ15と第2の拡布螺旋ローラ16とが上下に隣り合わせて配設されている。ここに、第1の拡布螺旋ローラ15と第2の拡布螺旋ローラ16を配設する高さである、処理液面13の稍上側とは、該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16が、引き上げられた直後の多くの処理液を含んだ状態にある被処理布5に当接することのできる高さを意味する。そして、該第2の拡布螺旋ローラ16と前記布送りリール7との間に、複数本の搬送ローラ17が所要間隔を置いて配設されている。前記布送りリール7、第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16、搬送ローラ17は、何れも、水平状態にある前記布送りリール7と軸線を平行にして配設されている。
【0028】
先ず前記処理液槽3及び前記誘導路6について説明した後、本発明に係る液流処理装置1の構成を具体的に説明する。
【0029】
前記処理液槽3は、本実施例においては図4に示すように、上面全体が開放状態にある舟形状をなし、所要量の処理液2が収容せしめられる。該処理液槽3の内面部左右幅L1は、前後全長に亘って略等しく設定され(該内面部左右幅L1は、後に詳述する誘導路6の左右幅L2よりも若干大きく設定されている)、且つ、その底面部19の前側部20と後側部21は傾斜面部とされており、特に、該前側部20を含めた底面部前側部分22は、多数の液抜用の透孔23(図4においては、その径が実際よりも大きく誇張して表されている)が穿設された孔明き底面部とされている。又、前記処理液槽3の対向する側面部25,25の前側部分26,26に、液面下の部分の略全面に亘る如く多数の液抜用の透孔23(図4においては、その径が実際よりも大きく誇張して表されている)が多数穿設されている。又、図1、図4において符号27は、前記底面部前側部分22及び前記側面部の前側部分26,26の全体を、所要間隔を置いて囲い壁29により囲うことにより形成された処理液吸い出し用のジャケットであり、該ジャケット27は、前記液抜用の透孔23に連通している。
【0030】
そして本実施例においては、図4〜5に示すように、該処理液槽3の内部の左右に位置させて、左右の下のガイド板30,30が相互間の間隔を所要に調節可能に配設されており、該下のガイド板30,30間で、前記被処理布5を後端側24から前端側28に向けて遊泳移動させる遊泳移動路31(図1)を構成する。
【0031】
該下のガイド板30,30は、前記処理液槽3の前後方向全長に亘って連続する、内面32が平滑である平板状に形成されており、一連に形成された前後の側面33,35と下面36が該処理液槽3の内面37から稍浮き上がった状態にある。そしてその上面39は、前記処理液槽3の上端40の稍下側(例えば150mm程度下側)に位置させてある。
【0032】
特に本実施例においては、図6に示すように、被処理布5の中心線が処理液槽3の中心線と合致したとみて、前記遊泳移動路31の左右の側面41,41は、該遊泳移動路31の後端側(被処理布5が導入される側)24においては、該被処理布5の左右の側縁212,213よりも20mm外側に位置するように設定されると共に、該遊泳移動路31の前端側(被処理布5が引き上げられる側)28においては被処理布5の布幅よりも若干小さく(例えば片側で25mm程度小さく)設定されている。これにより、左右の下のガイド板30,30は、平面視で、後端38から前端44に向けて幅狭となるハの字状を呈している。
【0033】
そして左右の下のガイド板30,30間の間隔は、処理される被処理布5の布幅に応じて調節可能となされている。該下のガイド板30,30間の間隔を調節する下の調節手段45は、例えば図4〜5に示すように、該下のガイド板30,30の上端39,39の前後端部分で立設された支持片46,46、46,46を有し、各支持片46の上端には、孔心が左右方向のネジ孔を有する左右のネジ筒49、50の下端部が固定されており、左右対向するネジ孔は軸線が共通で、同径である。又、左右対向する該ネジ孔には、左右端部51,52が、支持部53,53を介して処理液槽上端縁部55,55に固定されたネジ軸56が螺合されている。該ネジ軸56は、その左側部分と右側部分に、逆方向の雄ネジ部57,59が設けられており、左のネジ筒49のネジ孔に左の雄ネジ部57が螺合されると共に、右のネジ筒50のネジ孔に右の雄ネジ部59が螺合されている。そして、該ネジ軸56をその一端突出部60で、ハンドル操作やモータ駆動によって正逆回転させると、前記下のガイド板30,30を同時に接近させ離間させることができ、該下のガイド板30,30間の間隔を、前記被処理布5の布幅に応じて調節できる。
【0034】
前記誘導路6は、図1〜2に示す如く、前記処理液槽3の上方位置において後方に向け下方に傾斜する如く前後方向で配設されている。該誘導路6の底面61は平滑で、その左右幅L2は、前後全長に亘って等しく設定されており、全体として偏平な樋状を呈し、該誘導路6の深さは100mm程度に設定されている。
【0035】
該誘導路6の下流端62は、前記処理液槽3の後側部位と対向する如くなされ、その上流端63は前記処理液槽3の上方稍前側部位において左右方向に延びる如く配置された処理液貯留用の貯液槽65内において上方に開口する。該貯液槽65は、導液管66によって処理液槽底部の前記ジャケット27と連通されており、図示しない液送ポンプの駆動によって吸い出されたジャケット27からの処理液は、図示しない熱交換器により所定温度に加熱されて該貯液槽65に供給せしめられる。
【0036】
そして本実施例においては、図2、図5に示すように、該誘導路6の内部の左右に位置させて、左右の上のガイド板67,67が相互間の間隔を所要に調節可能に配設されており、該上のガイド板67,67間で、前記被処理布5を前端側64から後端側68に向けて移動させる誘導部69を構成する。
【0037】
該上のガイド板67,67は、図2、図5に示すように、前記誘導部69の前後方向全長に亘って連続する、内面70が平滑である平板状に形成されており、その下面71は、摩擦低減材を介して前記誘導路6の下面72と当接状態にある。そしてその上面73は、本実施例においては前記誘導路6の上端75に略合致されている。
【0038】
特に本実施例においては、図6に示すように、被処理布5の中心線が該誘導路6の中心線に合致したとみて、該誘導部69の左右の側面76,76は、その前端側64においては、該被処理布5の左右の側縁212,213よりも75mm外側に位置するように設定されると共に、該誘導部69の後端側68においては、前記遊泳移動路31の後端側24の間隔に略等しく設定されるようになされている。
【0039】
これにより、左右の上のガイド板67,67は、平面視で、前端74から後端78に向けて幅狭となるハの字状を呈する。
【0040】
そして、該左右の上のガイド板67,67間の間隔は、処理される被処理布5の布幅に応じて調節可能となされている。該上のガイド板67,67間の間隔を調整する上の調整手段80は、例えば図2、図5に示すように、該上のガイド板67,67の上面73,73の前後端部分で立設された支持片82,82、82,82を有し、各支持片82の上端には、孔心が左右方向であるネジ孔を有する左右のネジ筒83,85の下端部が固定されており、左右対向するネジ孔は軸線が共通で、同径である。又、左右対向する該ネジ孔には、左右端部86,87が支持部89,89を介して処理液槽上端縁部55,55に固定されたネジ軸90が螺合されている。該ネジ軸90は、その左側部分と右側部分に、逆方向の雄ネジ部91,92が設けられており、左のネジ筒83のネジ孔に左の雄ネジ部91が螺合されると共に、右のネジ筒85のネジ孔に右の雄ネジ部92が螺合されている。そして、該ネジ軸90をその一端突出部93で、ハンドル操作やモータ駆動によって正逆回転させると、前記上のガイド板67,67を同時に接近させ離間させることができ、該下のガイド板67,67間の間隔を、前記被処理布5の布幅に応じて調節できる。
【0041】
前記布送りリール7は、本実施例においては図1、図3に示すように、所要間隔を隔てて対向する左右の円形端面板94,95の対向する周縁部相互を、例えば36度の角度ピッチで10本の連結軸96で連結してなる円筒籠状体97を有している。そして、該円筒籠状体97の中心軸線に沿って回転支持軸99が配設され、その左右の端部分100,101が前記円形端面板94,95から同長さで突出し、該回転支持軸99は、左右の円形端面板94,95の中心部102,103に固設されている。
【0042】
従って前記布送りリール7は、該回転支持軸99の軸線回りの回転によって、前記被処理布5を前記移動方向に送るように正回転(図1において矢印で示す方向の正回転)できる。
【0043】
かかる構成の布送りリール7の軸線方向の長さは、前記誘導路6及び処理液槽3の左右幅よりも稍大きく形成されている。
【0044】
なお本実施例においては、図2〜3に示すように、前記端面板94,95の外側を覆うように、外面が塞がれ且つ内面が開放された円筒状のカバー筒部105,105が装着されている。該カバー筒部105は、処理液が外部に飛び散るのを防止するためのものであり、その外面部106,106には、前記回転支持軸99の上下揺動の障害とならないように上下方向に長い長孔107が開口されている。
【0045】
前記揺動装置9は、図3において左右に位置する第1のアーム109と第2のアーム110を具えており、該第1、第2のアーム109,110は夫々、垂直面内で回動可能となるように、機台112に設けられた支持突片113に突設された軸部115の先端に上枢着部111で枢着されており、その下端部分は、連結具117を介して前記回転支持軸99に下枢着部116で枢着されている。又該第2のアーム110の上端部分119は、連結片120を介して、例えばロボットシリンダとしての駆動シリンダ121のロッド122の先端部に連結されている。
【0046】
前記第1、第2のアーム109,110は、図7に示すように、前記回転支持軸99を水平状態で見て、即ち、前記布送りリール7の軸線を水平状態で見て、側面視で左右対称の形態を有しており、外方に向け斜め上方に傾斜する上傾斜片123の下端に、外方に向け斜め下方に傾斜した下傾斜片125を略90度の角度をなして屈曲形成した、側面視でL字状を呈している。該下傾斜片125は、本実施例においては図8、図9に示すように、前後対向する側片126,126の上端相互を上片127で連結してなる門形部材129の該上片127の中央部で、前記上傾斜片123の下端で外方に向け斜め下方に短く屈曲形成された屈曲部130の下端を連結した構成を有している。
【0047】
前記連結具117は、本実施例においては図8〜9、図10〜11に示すように、前記門形部材129の前後対向する側片131,131の内側に近接状態で配置される前後の内側片132,132の上端相互が内上片133で連結された門形部135の内面が内側端面板136で塞がれてなり、該内側端面板136の前後中央部分には、下端開放の欠切溝137が設けられている。前記回転支持軸99の左右の端部分100,101は、図10〜11に示すように、前記内側端面板136に設けられた該欠切溝137に挿通せしめられた状態で、前記門形部135の内部で、該内側端面板136の外面側で固定された軸受139で支持されている。そして、前記門形部材129と前記門形部135の対向状態にある前記側片126と前記内側片132が枢軸140で連結されており、該門形部135に対して前記門形部材129が垂直面内で回動可能となされている。
【0048】
前記第1、第2のアーム109,110がかかる構成を有することから、該第1、第2のアーム109,110について、前記上枢着部111と前記下枢着部116とを結んだ直線143,145は、図7、図12に示すように、前記回転支持軸99が水平状態において、逆ハの字の左右対称の配置となっている。
【0049】
そして前記第2のアーム110は、図7、図9に示すように、前記上傾斜片123の上端で、垂直片146が立設状態に連設され、該垂直片146の上端部分には、上下に長い長孔147が設けられている。
【0050】
又、前記駆動シリンダ121のロッド122の先端部は、前記第2のアーム110の前記上端部分119に、前記垂直片146に設けられている前記長孔147を挿通する軸部149を有した前記連結片120を介して連結されている。
【0051】
そして、前記回転支持軸99の一方の端部分100には、図3に示すように、該回転支持軸99を前記正回転させるための減速電動機151が、前記連結具117に固定された取付片152を介して設けられている。
【0052】
かかる構成の揺動装置9によるときは、前記駆動シリンダ121のロッド122が図13に示すように前進することにより、前記垂直片146が外方に押される。これにより前記第2のアーム110が、図13に矢印で示す時計回りに回転する。これと同時に、左側に位置する第1のアーム109が、前記回転支持軸99を介して、図13に矢印で示す時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として左側に移動すると共にその右端153が上昇し且つ左端155が下降する。
【0053】
逆に、前記駆動シリンダ121のロッド122が図14に示すように後退することにより、前記垂直片146が内方に引かれる。これにより前記第2のアーム110が、図14に矢印で示す反時計回りに回転する。これと同時に、左側に位置する第1のアーム109も反時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として右側に移動すると共にその左端155が上昇し且つ右端153が下降する。
【0054】
該第1、第2のアーム109,110は、このように共に時計回りに回転し、又、共に反時計回りに回転するのであるが、該第1、第2のアーム109,110の回転状態は異なる。即ち、両アーム109,110が前記のように逆ハの字の左右対称の配置となっていることから、第2のアーム110が時計回り上向きに回転すると、第1のアーム109は時計回り下向きに回転する。
【0055】
かかることから、第2のアーム110が、図15(A)に示す状態から図15(B)に示す状態に時計回りに27度回転した、第1、第2のアーム109,110の回転角度対比図1や、第2のアーム110が図16(A)に示す状態から図16(B)に示す状態に時計回りに16度回転した、第1、第2のアーム109,110の回転角度対比図2から明らかなように(なお該回転角度対比図においては、前記第1、第2のアーム109,110を前記直線143,145によって簡略に図示している)、前記布送りリール7の左端155の下降量H1は、その右端153の上昇量H2よりも小さい。これは、前記ロッド122の前進によって第1、第2のアーム109,110が共に時計回りに回転するものではあっても、該第2のアーム110が上向きに回転するのに対して該第1のアーム109は下向きに回転するからである。しかも、該回転角度対比図1、2から明らかなように、第1のアーム109の回転角度θ1は第2のアーム110の回転角度θ2よりも小さい。それ故、該第1のアーム109の下降量H1は、該第1のアーム109が該第2のアーム110と同角度回転する場合に比べてより小さい。
【0056】
以上のようなことから、第2のアーム110が時計回りに回転することによって前記布送りリール7の右端153が上昇したときにその左端155が下降することになるのであるが、該左端155の下降量H2は右端153の上昇量H1に比べて小さいのである。
【0057】
逆に前記第1のアーム109が反時計回り上向きに回転すると、前記第2のアーム110は反時計回り下向きに回転する。かかることから、第1のアーム109が、図17(A)に示す状態から図17(B)に示す状態に反時計回りに27度回転した、第1、第2のアーム109,110の回転角度対比図3や、第1のアーム109が図18(A)に示す状態から図18(B)に示す状態に反時計回りに16度回転した、第1、第2のアーム109,110の回転角度対比図4の対比から明らかなように(なお該回転角度対比図3、4においては、前記第1、第2のアーム109,110を前記直線143,145で簡略に図示している)、前記布送りリール7の右端153の下降量H2は、その左端155の上昇量H1よりも小さい。しかも、該回転角度対比図3、4から明らかなように、第2のアーム110の回転角度θ2は第1のアーム109の回転角度θ1よりも小さい。以上のようなことから、第2のアーム110が反時計回りに回転することによって前記布送りリール7の左端155が上昇したときにその右端153が下降することになるのであるが、該右端153の下降量H2は左端155の上昇量H1に比べて小さいのである。
【0058】
前記布送りリール7の傾斜角度は、前記ロボットシリンダによって容易に調節できる。本実施例においては、該布送りリール7に対する被処理布5の滑り易さを考慮して複数段階に調節可能とされている。該傾斜角度は、例えば27〜30度程度に設定されている。又前記布送りリール7の左側への移動量、右側への移動量は、例えば145mm程度に設定されている。
【0059】
次に、前記第1の拡布螺旋ローラ15と前記第2の拡布螺旋ローラ16について説明する。該第1の拡布螺旋ローラ15と前記第2の拡布螺旋ローラ16は同一の構成を有しており、図2、図19〜21に示すように、軸線方向に長いローラ本体156の周面160の左側部分157と右側部分159に、旋回方向を逆向きとして螺旋突条161,161が突出形成されている。該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16は、本実施例においては、そのローラ本体156,156の径が100〜125mm程度の同径に設定され、例えば120mmに設定されている。又、該螺旋突条161の傾きやピッチ、その突出量、ローラ本体156の径等の諸元は、被処理布5の素材や厚さ等との兼ね合いで、拡布作用が効果的に発揮されるように設定される。例えば、前記螺旋突条161の、前記ローラ本体156の軸線に対する傾きは5〜25度程度に設定され、螺旋突条161のピッチは50mm程度に設定され、螺旋突条161の突出量は6mm程度に設定されている。
【0060】
そして該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16には、その両端面163,163、163,163に、中心軸線の延長方向で支持軸165,165、165,165が突設されている。そして図20〜21に示すように、前記第1の拡布螺旋ローラ15に係る前記左右の支持軸165,165は、機台164に固定された左右の軸受166,166で軸支され、左右に配設された、上下に稍長いギアケース167の内部の下端側に収められた軸部分169,169には、駆動平歯車170,170が固設されている。又、該ギアケース167,167の外方に突出した軸部分171は、該ギアケース167の外面172に固設された軸受173,173で支持されている。そして、一方の支持軸165aの外端部175は、機台164に固設された減速電動機176の駆動軸に連結されている。
【0061】
前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の長さは、前記処理液槽3の左右幅に略等しく設定されている。
【0062】
又、前記第2の拡布螺旋ローラ16に係る左右の支持軸165,165の、左右に配設された前記ギアケース167の内部の上端側に収められた軸部分177,177には、駆動平歯車179,179が固設されている。そして、該ギアケース167,167の外方に突出した軸部分180,180は、該ギアケース167の外面172に固設された軸受181,181で支持されている。
【0063】
又、左右のギアケース167,167の内部には、上下2個の中間平歯車182,183、182,183が互いに噛合し得るように、前記ギアケース167の外面部185でケース内に向けて突設された軸186,187に回転自在に取り付けられている。そして、下に位置する中間平歯車183は前記下に位置する駆動平歯車170に噛合されると共に上に位置する中間平歯車182は前記上に位置する駆動平歯車179に噛合されている。
【0064】
本実施例においては、前記上下の駆動平歯車179,170は同径に形成されると共に、前記上下の中間平歯車182,183も同径に形成されている。然して、前記減速電動機176が駆動すると、前記第1の拡布螺旋ローラ15が、前記布送りリール7と逆方向に低速度で、例えば毎分7m程度の等しい周速度で逆方向に回転できる。そして該回転に伴い、前記中間平歯車182,183を介して前記第2の拡布螺旋ローラ16が、同様に逆方向に回転せしめられる。
【0065】
なお本実施例においては、被処理布5に対する螺旋突条161の食い込み状態を調節して拡布効果を良好とするため、図22〜24に示すように、前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の前記被処理布5に対する接触圧力を、傾動調節装置189によって調整可能となされている。例えば、カールしやすい被処理布5の場合は、被処理布5に対する前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の前記接触圧力を高めるために、該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16を強く押し付けるのがよい。該被処理布5が正しく拡布されていないと、後述の検知器203と前記揺動装置9による後述のセンタリングが不確実なものになるので、該センタリングの前提として拡布が必須になるのである。
【0066】
該傾動調節装置189は、前記ギアケース167の上端に設けられた回動支持部191に操作軸192を突設すると共に、該操作軸192の先端部分193を、機台164に固定の支持片195に設けられた上下に長い長孔状の挿通孔196に挿通させ、該挿通孔196における所要の挿通状態で、該先端部分193に設けられている雄ネジ部197に螺合するナット199,199を締め付ける構成を採用している。前記ギアケース167が、前記第1の拡布螺旋ローラ15に係る一方の支持軸165aに回転自在に取り付けられていることから、前記操作軸192を介して前記ギアケース167の傾動状態を所要に調節でき、該調節状態を前記ナット199,199の締め付けによって保持できるのである。これにより、前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16に対する被処理布5の接触圧力を所要に調節できることになる。
【0067】
又前記のように、前記布送りリール7と前記第2の拡布螺旋ローラ16との間に、4本の搬送ローラ17,17,17,17が、例えば120mm程度の間隔を隔てて配設されているのであるが、図3に示すように、各搬送ローラ17の両端面には軸部201,201が突設されており、その端部分が、図示しない軸受で支持されている。そして、一端側の軸部の端部には、図示しない同径のスプロケットが固設され、これらが減速電動機でチェンを介して駆動されるように構成されており、これにより、各搬送ローラ17,17,17,17が、前記布送りリール7に向けて搬送される被処理布5との間でほとんどスリップが生じない周速度で回転駆動される。そして、このように配設された4本の搬送ローラ17,17,17,17は、前記被処理布5を前記布送りリール7に向けて搬送する、後方に向け上方に傾斜する搬送面202(図1)を形成する。
【0068】
そして、前記布送りリール7と前記第2の拡布螺旋ローラ16との間において、搬送される被処理布5を間に挟むように左右両側に位置する如く検知器203が配設されている。該検知器203は、図1、図3に示すように電極205を用いて構成されており、例えば上側にある搬送ローラ17,17間に配設されている。
【0069】
該電極205は、本実施例においては図25〜27に示すように垂直棒状に形成されており、その上端に、左右方向に貫通した挿通孔206を有する筒体207が設けられている。そして、前記処理液槽3の左右側において、支持台209,209が機台164に設けられ、該支持台209には、左右方向に水平状態で突設されたガイド軸210が、該支持台209と電気的に絶縁状態で固定されている。該筒体207の挿通孔206に該ガイド軸210が挿通せしめられ、該ガイド軸210に沿って該筒体207がスライドできる。所要のスライド状態で、該筒体207の上端部に設けられた固定ネジ211を締め付けることにより、該電極205とガイド軸210とが一体化される。これにより、電極205を、被処理布5の布幅に合わせて、その左右の側縁212,213から所要距離隔てた位置(例えば左右の側縁212,213から夫々10〜70mm程度外側に離れた位置)で固定できる。この距離は、後述する被処理布5のセンタリング状態を確保できるように設定されるものであり、本実施例では50mm程度に設定している。
【0070】
そして、処理液で濡れた状態にある被処理布5の側縁212,213が該電極205に接触したとき、その通電信号により、該電極205に電気的に接続された図示しない制御手段によって前記揺動装置9が動作するようになされている。即ち、搬送状態にある被処理布5が、図28に示すセンタリング状態から左に移動し、図29に示すようにその左の側縁212が左側の電極205aに接触したとき、その通電信号により、図13に示すように前記駆動シリンダ121のロッド122が前進する。これにより前記垂直片146が外方に押され、前記したように、前記第2のアーム110が図13に矢印で示す時計回りに回転する。これと同時に左側に位置する第1のアーム109も、前記回転支持軸99を介して、時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として左側に移動すると共に、その右端153が上昇し且つ左端155が稍下降する。逆に、前記搬送状態にある被処理布5が、図28に示すセンタリング状態から右に移動し、図30に示すようにその右の側縁213が右側の電極205bに接触したとき、その通電信号により、図14に示すように前記駆動シリンダ121のロッド122が後退する。これにより、前記垂直片146が内方に引かれ、前記したように、前記第2のアーム110が図14に矢印で示す反時計回りに回転する。これと同時に左側に位置する第1のアーム109も、前記回転支持軸99を介して、反時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として右側に移動すると共に、その左端155が上昇し且つ右端153が稍下降する。
【0071】
図1は、前記構成を有する液流処理装置1が形成する循環処理系に被処理布5を無端状に仕掛けた状態を示すものである。該仕掛けた状態で、前記ギアケース167の傾動角度を前記のように所要に調節することにより、被処理布5に対する第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の接触圧力を所要に調節する。なお、第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16を、処理液面13に近接させて、例えば、該処理液面の280mm程度上側に配置しているため、該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16に被処理布5を屈曲状態に仕掛ける作業が容易である。該被処理布5は、織物の他、例えばトリコット編地等の編物であってもよく、その素材は、各種の天然繊維やナイロン等、従来の液流処理装置に仕掛けられている被処理布の全般である。又、該被処理布5の布幅は、例えば90〜165cmであり、図1においては、135cmとしている。
【0072】
処理液槽3の前端側12の処理液面13から引き上げられた被処理布5は、図1に示すように、前記第1の拡布螺旋ローラ15によって下面216が支持されると共に該被処理布5の上面217に前記第2の拡布螺旋ローラ16が当接する。該被処理布5は、その後、前記4本の搬送ローラ17,17,17,17が形成する、後方に向け上方に傾斜する前記搬送面202によって下面216が支持されて拡布状態で搬送され、その後、前記布送りリール7で下方から支持され、前記誘導路6の上流端63内に落下導入される。前記のように、前記貯液槽65内の処理液は順次誘導路6内にオーバーフローするため、該被処理布5は、前記左右の上のガイド板67,67間をなす前記誘導部69を処理液と共に下流側に移動し、該誘導路6の下流端62で、前記処理液槽3の後端側の処理液中に落下導入される。その後図1に示すように、被処理布5は該処理液2内を前方に向けてジグザグ状を呈しながら遊泳移動せしめられ、前記のように、該処理液槽3の前端側12の処理液面13から引き上げられ、これが繰り返されて所要の液流処理が被処理布5に施される。以下、これを各部分毎に詳しく説明する。
【0073】
前記循環処理系に被処理布5を前記のように無端状に仕掛けた状態で、前記液送ポンプと、前記布送りリール用の減速電動機151と、拡布用の減速電動機176とを同時に駆動すると、該布送りリール7が図1に示す矢印方向に正回転すると共に、前記処理液槽3から吸引された処理液は、熱交換器により所定温度に加熱されて前記貯液槽65に送給せしめられ、該貯液槽65内の処理液2が順次前記誘導路6内にオーバーフローする。
【0074】
前記処理液槽3の前端側12で処理液面13から引き上げられた被処理布5は、該第1の拡布螺旋ローラ15の逆回転によって、その下面216側(裏面側)において図19に示す実線の矢印方向に拡布される。その後第2の拡布螺旋ローラ16の逆回転によって、その上面217側(表面側)において図19に示す破線の矢印方向に拡布される。このように第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16によって被処理布5は、その下面(裏面)216と上面(表面)217が同時的に拡布され、しわ伸ばしされる。
【0075】
この拡布は、該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16が前記布送りリール7と逆方向に回転して行われるためにその逆回転は低速でよい。然も、この拡布は、被処理布5が処理液から引き上げられた直後に行なわれるため、拡布される被処理布5は多くの処理液を含んだ状態にある。従って、被処理布5と第1の拡布螺旋ローラ15との間に液膜ができる。
【0076】
かかることから、該第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の回転方向が被処理布5の移動方向に逆らう逆回転ではあっても、該液膜が緩衝作用を発揮し、被処理布5の「スレ」や「折れ」を効果的に防止できる等、被処理布5の損傷を防止できながら良好に拡布でき、しわを伸ばしやすいのである。又、このように良好に拡布できることから、処理液を第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16の軸線方向で良好に分散できる。従って、処理液が染色液である場合、被処理布5に均一に染色を施し得ることとなる。
【0077】
前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16を、もしも、被処理布5の移動方向に正回転させたとすれば、よほど周速度を上げなければ拡布を行うことができないが、周速度を上げれば上げるほど被処理布5にばたつきが生じやすい。そのため、正回転させる場合は拡布を良好に行うことができないばかりか、周速度を上げるほど被処理布5が損傷されやすい問題が発生する。逆回転させる本発明によるときは、前記のように良好に拡布を行うことができるのである。
【0078】
このように拡布された被処理布5は、その下面216が前記搬送ローラ17,17,17,17で支持された状態で布送りリール7に向けて搬送され、図1に示すように、前記布送りリール7に巻き掛け状態となる。
【0079】
処理液槽3から引き上げられて布送りリール7に向けて移動せしめられる被処理布5は、前記のように第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16によって正しく拡布され、該拡布状態を保ちながら移動するのであるが、該被処理布5は、左右方向で蛇行しやすい。このような蛇行を防止し、許容範囲のセンタリング状態を保ちながら被処理布5を移動させるために、前記左右の電極205a,205bと前記揺動装置9が適切に作用する。
【0080】
今、図29に示すように、前記搬送される被処理布5の左の側縁212が左側の電極205aに接触したとき、その通電信号により、前記駆動シリンダ121のロッド122が前進する。これにより、前記垂直片146が外方に押され、前記第2のアーム110が図13に矢印で示す時計回りに回転する。これと同時に、左側に位置する第1のアーム109が時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として左側に移動すると共に、その右端153が上昇し且つ左端155が下降する。これにより該布送りリール7は図13に示すように、水平状態にあるときよりも右端153が高くなり且つ左端155が低くなった傾斜状態となる。その結果、布送りリール7の持ち上がった側204において該布送りリール7に対する被処理布5の接触圧力が大きくなり、左側に移動した被処理布5は、該布送りリール7の傾斜面219を、図13に実線で示す状態から一点鎖線で示す状態となるように、同図に矢印で示す如く右上に上昇する。所要に上昇した状態で、前記被処理布5の左の側縁212が左側の電極205aを離れる。その後前記ロッド122が後退し、該布送りリール7は図7に示す水平状態に戻る。
【0081】
被処理布5のこの上昇に付いてより詳しく説明すれば、前記布送りリール7の右端153を上昇させるとその左端155が下降するため、該布送りリール7の左側の部分220に対する被処理布5の接触圧力が低下する。一般に、この左側の部分220に対する接触圧力が弱くなると、この部分で被処理布5にばたつきが生じ易く、その結果、被処理布5が損傷され易く、前記上昇も円滑に行われないことになる。このような問題を生じにくくするため、本実施例においては、前記のように、布送りリール7の右端153が上昇しても左端155の下降量が少なくなる構成を採用し、該接触圧力の低下を極力防止している。加えて、該布送りリール7の右端153を上昇させたときに布送りリール7の全体を左側に移動させるように構成し、該左側の部分220における被処理布5の接触圧力を極力高めるようにしている。これらの相乗効果として、被処理布5を、ばたつきを生じさせることなく円滑に右上に上昇させることができるのである。
【0082】
又本実施例においては、前記被処理布5の上昇によって前記布送りリール7の周面221でセンタリング状態が確保されても、暫くは前記傾斜状態を維持するように電気的にタイマー制御している。これによって、布送りリール7を水平状態に戻したときに、被処理布5の左の側縁212が左側の電極205aに暫くの内に接触してしまうのを防止し、被処理布5がセンタリング状態で搬送されやすくしているのである。本発明において、センタリング状態とは、被処理布5の中心線と前記搬送面202の中心線が完全に合致する場合だけを指すのではなく、10〜70mm程度の範囲で位置ずれしている状態も含むものである。
【0083】
逆に、図30に示すように、前記搬送される被処理布5の右の側縁213が右側の電極205bに接触したときは、その通電信号により、前記駆動シリンダ121のロッド122が後退する。これにより、前記垂直片146が内方に引かれ、前記第1のアーム109が図14に矢印で示す反時計回りに回転する。これと同時に、右側に位置する第2のアーム110が反時計回りに回転する。これらの結果、前記布送りリール7は全体として右側に移動すると共に、その左端155が上昇し且つ右端153が下降する。これにより該布送りリール7は図14に示すように、水平状態にあるときよりも左端155が高くなり且つ右端153が低くなった傾斜状態となる。その結果、布送りリール7の持ち上がった側において該布送りリール7に対する被処理布5の接触圧力が大きくなり、右側に移動した被処理布5は、該布送りリール7の傾斜面219を、図14に矢印で示すように左上に上昇する。所要に上昇した状態で、前記被処理布5の右の側縁213が右側の電極205bを離れる。その後前記ロッド122が前進し、該布送りリール7は水平状態に戻る。
【0084】
このような左右の電極205a,205bと揺動装置9による制御動作によって、被処理布5は前記許容のセンタリング状態を保ちながら移動でき、その結果、被処理布5にしわが固定されたり、スレが発生する等の損傷を防止できることになるのである。
【0085】
そして、布送りリール7から前記誘導路6に落下導入された被処理布5は、前記オーバーフローにより、前記上のガイド板67,67間をなす前記誘導部69を、液流に伴われて拡布状態で下流に移動せしめられ、前記処理液槽3内に落下導入される。
【0086】
本実施例においては図2、図6に示すように、上のガイド板67,67が、前端(上端)74から後端(下端)78に向けてハの字状を呈する如く配設されている。そして、被処理布5の中心線が誘導路6の中心線に合致したとみて、前記のように、前記誘導部69の左右の側面76,76が、その前端側64においては、前記被処理布5の左右の側縁212,213よりも75mm外側に位置するように設定されており、且つ、該誘導路69の後端側68においては、該被処理布5の左右の側縁212,213よりも20mm外側に位置するように設定されている。そのため、該被処理布5が、前記布送りリール7から前記誘導部69の前端側64に導入される際、該被処理布5が左に偏ったり右に偏ったりしていたとしてもその偏り量は前記のように最大50mmであるので、該被処理布5を前記誘導部69の前端側64に確実に導入させ得ることとなる。そして、このように該前端側64に導入された被処理布5は、後端側68に向けて徐々に狭くなるハの字状の誘導部69に案内され、左右方向での蛇行を生じにくい状態で、液流に伴われて拡布状態を維持して円滑に下流に移動できることになる。そして、該誘導部69の後端側68に達した被処理布5は前記遊泳移動路31の後端側24で処理液2中に落下導入される。
【0087】
前記のように、処理液槽3内には左右の下のガイド板30,30が設置されており、該左右のガイド板30,30は、図4、図6に示すように、平面視で、後端38から前端44に向けて幅狭となるハの字状を呈し、該下のガイド板30,30間で、後端側24から前端側28に向けて幅狭の遊泳移動路31が形成されている。そして本実施例においては、前記被処理布5の中心線が処理液槽3の中心線に合致したとみて、前記のように、前記遊泳移動路31の左右の側面41,41が、その後端側24においては、該被処理布5の布幅よりも若干大きく(例えば片側で20mm程度大きく)形成されている。加えて前記のように、前記誘導部69の後端側68の幅が、該遊泳移動路31の後端側24の幅と略等しく設定されている。
【0088】
そのため、被処理布5の、該誘導部69から該遊泳移動路31の後端側24への導入が、確実に行なわれることになる。そして、このように導入された被処理布5は前記遊泳移動路31を、ジグザグ状を呈して、その後端側24から前端側28に向けて遊泳移動されるのであるが、本実施例においては、該遊泳移動路31が後端側24から前端側28に向けて幅狭となるハの字状に形成されており、前記中心線が合致したとして、前端側28が、被処理布5の布幅よりも25mm程度小さく設定されていることから、該遊泳移動路31を前方に向けて移動するジグザグ状態の被処理布5は、左右方向での蛇行が規制された状態で前端側28に向けて移動されることになる。
【0089】
このようなことから、前記遊泳移動路31の前端側28(前記処理液槽3の前端側)で処理液面13から引き上げられた被処理布5は、図19に示すように、前記第1の拡布螺旋ローラ15の左右方向の中心と該引き上げられた被処理布5の中心線とが略合致して引き上げられることになる。従って、該第1の拡布螺旋ローラ15による拡布は、被処理布5が左右方向で蛇行することなく安定状態を保って良好に行われることになるのである。
【0090】
以上を述べたサイクルを繰り返すことによって所要の処理物を得ることができる。
【実施例2】
【0091】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0092】
(1) 図31〜32は、揺動装置9の他の態様を示すものであり、図31は、布送りリール7の長さ方向の中央部を支点223として、左右の駆動シリンダ225,226の伸縮により該布送りリール7を上下方向で揺動させる構成のものである。図31(A)は、布送りリール7が水平を呈する状態を示し、図31(B)は、左の駆動シリンダ225の伸長と右の駆動シリンダ226の縮小によって該布送りリール7が前記支点223を中心として回転し、該布送りリール7が右上りとなった傾斜状態を示している。又図31(C)は、右の駆動シリンダ226の伸長と左の駆動シリンダ225の縮小によって該布送りリール7が前記支点223を中心として回転し、該布送りリール7が左上りとなった傾斜状態を示している。
又図32は、該中央部に支点が設けられていないが、該布送りリール7の両端の上下動だけで、中央部に支点224(仮想の支点)があるかのように該布送りリール7を上下方向で揺動させる構成のものである。図32(A)は、布送りリール7が水平を呈する状態を示し、図32(B)は、左の駆動シリンダ225の伸長と右の駆動シリンダ226の縮小によって該布送りリール7が前記仮想の支点224を中心として回転し、該布送りリール7が右上りとなった傾斜状態を示している。又図32(C)は、右の駆動シリンダ226の伸長と左の駆動シリンダ225の縮小によって該布送りリール7が前記仮想の支点224を中心として回転し、該布送りリール7が左上りとなった傾斜状態を示している。
【0093】
(2) 前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16は、図33に示すように水平状態に配置してもよい。又、前記第1、第2の拡布螺旋ローラ15,16は、その周速度が同じであれば、直径が異なることもある。
【0094】
(3) 発明に係る液流処理装置1において前記布送りリール7は、前記のような断面円形状に構成されることの他、例えば図34に示すような断面楕円形状に構成されることもある。
【0095】
(4) 本発明に係る液流処理装置1において、図35に示すように、前記布送りリール7の稍前側下方に位置させてテンションローラ227を、該布送りリール7と軸線を平行にして配設することがある。このようにテンションローラ227を設けるときは、被処理布5が該テンションローラ225の下面側226に当接した後に前記布送りリール7に巻き掛けられる。従って、該テンションローラ225が設けられない場合に比し、前記布送りリール7に対する被処理布5の巻き掛け角度をより大きく設定でき、又、該布送りリール7に対する被処理布5の接触圧力をより大きく設定できる。
かかる構成は、高弾性繊維を用いて伸縮性が向上された被処理布を液流処理する場合に適する。
【0096】
(5) 被処理布5を良好に移動させ得る誘導部69を構成できる限り、前記上のガイド板67,67は該被処理布5の布幅に合わせて平行状態になっていてもよい。同様に、被処理布5を良好に遊泳移動させ得る遊泳移動路31を形成できる限り、前記下のガイド板30,30は、該被処理布5の布幅に合わせて平行状態になってもよい。
又前記誘導路6の左右の側部分235,235間の間隔を被処理布5の布幅に合わせて所要に設定する場合は、前記上のガイド板67,67を省略できると共に、前記処理液槽3の左右の側部分236,236間の間隔を被処理布の布幅に合わせて所要に設定する場合は、前記下のガイド板30,30を省略できる。
【0097】
(6) 上のガイド板67,67間の間隔を調整する上の調整手段80、下のガイド板30,30間の間隔を調整する下の調整手段45は、前記したネジ軸回転方式を採用して構成することの他、図36に示すように、ガイド軸スライド方式を採用する等によっても構成できる。該ガイド軸スライド方式を、上のガイド板67,67の調整を行なう場合について説明すれば、該上のガイド板67,67の上面73,73で立設された支持片46,46の上端に、左右方向の挿通孔222を具えるスライド筒229,229の下端部を固定してなり、左右対向する該スライド筒229,229に、両端部230,230が支持部231,231を介して機台164に固定されたガイド軸232を挿通し、該スライド筒229,229を該ガイド軸232の長さ方向で移動可能としてなる。
従って、左右の上のガイド板67,67間の間隔を被処理布5の布幅に合わせて調節するに際しては、該上のガイド板67,67の上端に設けられている前記スライド筒229,229を、該ガイド軸232の延長方向で左右同量分スライドさせて該上のガイド板67,67間の間隔を所要に設定した後、前記スライド筒229,229の上端部に螺合されている固定ネジ233を締め付ける。
【0098】
(7) 本発明に係る液流処理装置1は、揺動装置9による被処理布のセンタリングを良好に行ない得る限り、布送りリール7を、その一端が上昇することにより他端が同時に下降する如く構成し、その際、該布送りリール7を一端側に移動させるように構成してもよい。例えば、前記した図31,32に示す液流処理装置1において、前記左右の駆動シリンダ225,226を、同時に同角度、時計回りに或いは反時計回りに回転させることによって達成できる。
【0099】
(8) 本発明に係る第1、第2のアーム109,110は、前記実施例で示したような側面視でL字状を呈するものとして構成する他、図37に示すような直線棒状に構成すること等、前記上枢着部111と下枢着部116を有するものとして構成できる。
【0100】
(9) 発明に係る液流処理装置1は、常圧式、高圧式を問わずに応用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る液流処理装置を説明する断面図である。
【図2】その全体斜視図である。
【図3】被処理布の搬送部分の構成を説明する斜視図である。
【図4】処理液槽の構成を説明する斜視図である。
【図5】その断面図である。
【図6】誘導路に設けられた上のガイド板と処理液槽に設けられた下のガイド板の配置状態を説明する平面図である。
【図7】揺動装置を説明する正面図である。
【図8】その左側の構成を説明する斜視図である。
【図9】その右側の構成を説明する斜視図である。
【図10】その左側の構成を説明する断面図である。
【図11】その右側の構成を説明する断面図である。
【図12】第1、第2のアームを直線で簡略に示した揺動装置の原理を説明する正面図である。
【図13】揺動装置を動作させて布送りリールを右上がりに傾斜させた状態を示す正面図である。
【図14】揺動装置を動作させて布送りリールを左上がりに傾斜させた状態を示す正面図である。
【図15】布送りリールを傾斜角度の稍大きい右上がりに傾斜させた場合の、第1、第2のアームの回転角度の対比を示す説明図である。
【図16】布送りリールを傾斜角度の比較的小さい右上がりに傾斜させた場合の、第1、第2のアームの回転角度の対比を示す説明図である。
【図17】布送りリールを傾斜角度の稍大きい左上がりに傾斜させた場合の、第1、第2のアームの回転角度の対比を示す説明図である。
【図18】布送りリールを傾斜角度の比較的小さい左上がりに傾斜させた場合の、第1、第2のアームの回転角度の対比を示す説明図である。
【図19】第1、第2の拡布螺旋ローラによる被処理布の拡布状態を説明する説明図である。
【図20】第1、第2の拡布螺旋ローラの駆動部の構成を説明する断面図である。
【図21】その斜視図である。
【図22】第1、第2の拡布螺旋ローラの被処理布に対する接触圧力を調節する傾動調節装置を説明する斜視図である。
【図23】接触圧力を小さくした調節状態を示す側面図である。
【図24】接触圧力を大きくした調節状態を示す側面図である。
【図25】検知器を構成する電極の配置状態を説明する正面図である。
【図26】電極の取り付け状態を説明する斜視図である。
【図27】検知器を構成する電極の配置状態を示す平面図である。
【図28】被処理布のセンタリング状態を示す斜視図である。
【図29】被処理布が左に移動して左の側縁が左側の電極に接触した状態を示す斜視図である。
【図30】被処理布が右に移動し、右の側縁が右側の電極に接触した状態を示す斜視図である。
【図31】揺動装置の他の態様をその作用と共に示す正面図である。
【図32】揺動装置のその他の態様をその作用と共に示す正面図である。
【図33】第1、第2の拡布螺旋ローラを水平に配置した状態を示す断面図である。
【図34】布送りリールを断面楕円形状に構成した液流処理装置を示す部分断面図である。
【図35】布送りリールの稍前側下方に位置させてテンションローラを配設した状態を示す断面図である。
【図36】上のガイド板間の間隔及び下のガイド板間の間隔を調節する上下の調整手段の他の態様を示す斜視図である。
【図37】第1、第2のアームの他の構成をその配置状態で示す正面図である。
【図38】従来の液流処理装置の問題点を説明する断面図である。
【図39】その問題点を解決する従来の液流処理装置を示す部分断面図である。
【図40】従来の液流処理装置における拡布センタリング装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1 液流処理装置
2 処理液
3 処理液槽
5 被処理布
6 誘導路
7 布送りリール
9 揺動装置
12 処理液槽の前端側
13 処理液面
15 第1の拡布螺旋ローラ
16 第2の拡布螺旋ローラ
17 搬送ローラ
30 下のガイド板
31 遊泳移動路
45 下の調節手段
67 上のガイド板
80 上の調節手段
99 回転支持軸
109 第1のアーム
110 第2のアーム
121 駆動シリンダ
122 ロッド
156 ローラ本体
161 螺旋突条
189 傾動調節装置
202 搬送面
203 検知器
205 電極
225 駆動シリンダ
226 駆動シリンダ
【出願人】 【識別番号】592189413
【氏名又は名称】伊藤工業有限会社
【出願日】 平成19年2月26日(2007.2.26)
【代理人】 【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎


【公開番号】 特開2008−208484(P2008−208484A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−45566(P2007−45566)