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【発明の名称】 ポット処理方法およびそれに用いるポット処理装置
【発明者】 【氏名】高橋 正志

【氏名】山田 克志

【氏名】萬代 恒男

【要約】 【課題】比較的実機に近い処理条件で生地等の試料を処理することができ、しかも、その処理において、試料にしわがつかず、処理むらも生じない、優れた処理試験を行うことのできるポット処理方法と、それに用いるポット処理装置を提供する。

【解決手段】支持テーブル17に、処理対象物と処理液とを収容してなるポット11を取り付け、上記支持テーブル17の左右両端部に、クランクシャフト41、41′とカム板42、42′からなる機構を連結し、上記カム板42、42′を回転させることにより、上記支持テーブル17を繰り返し上下動させて、ポット11内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受された支持テーブルに、処理対象物と処理液とを収容してなる開閉蓋付有底筒状のポットを起立姿勢で取り付け、上記支持テーブルを上下方向に往復移動させることにより、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにしたことを特徴とするポット処理方法。
【請求項2】
初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受された支持テーブルに、処理対象物と処理液とを収容してなる開閉蓋付有底筒状のポットを起立姿勢で取り付け、上記支持テーブルの相対する少なくとも2個所を、互いに異なるタイミングで上下方向に往復移動させることにより、上記支持テーブルを、テーブル面を揺動させながら繰り返し上下動させ、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにしたことを特徴とするポット処理方法。
【請求項3】
上記ポットの深さHに対し、ポット内での処理液の深さDが、上記Hの2/3以下になるよう処理液を収容し、支持テーブルに対する上下方向の往復移動のストロークを、上記ポットの深さHより長く設定した請求項1または2記載のポット処理方法。
【請求項4】
請求項1記載のポット処理方法に用いられる装置であって、処理対象物と処理液とを収容しうる開閉蓋付有底筒状ポットと、上記ポットを起立姿勢で取り付けるための支持テーブルと、上記支持テーブルを、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受する支受手段と、上記支持テーブルを上下方向に往復移動させる移動手段とを備え、上記移動手段の作動によって、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃が与えられるようになっていることを特徴とするポット処理装置。
【請求項5】
請求項2記載のポット処理方法に用いられる装置であって、処理対象物と処理液とを収容しうる開閉蓋付有底筒状ポットと、上記ポットを起立姿勢で取り付けるための支持テーブルと、上記支持テーブルを、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受する支受手段と、上記支持テーブルの相対する少なくとも2個所を、互いに異なるタイミングで上下方向に往復移動させる移動手段とを備え、上記移動手段の作動によって、上記支持テーブルが、テーブル面を揺動させながら繰り返し上下動して、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃が与えられるようになっていることを特徴とするポット処理装置。
【請求項6】
上記支持テーブルの支受手段が、支持テーブルの四隅を下から弾力的に保持する4本の圧縮ばねで構成されている請求項4または5記載のポット処理装置。
【請求項7】
上記支持テーブルの移動手段が、一端側が支持テーブルの一端部に取り付けられ他端が第1のカム板に連結される第1のクランクシャフトと、他端側が支持テーブルの他端部に取り付けられ他端が第2のカム板に連結される第2のクランクシャフトとで構成されている請求項4または5記載のポット処理装置。
【請求項8】
上記支持テーブルの移動手段が、一端側が支持テーブルの一端部に取り付けられ他端が第1のカム板に連結される第1のクランクシャフトと、他端側が支持テーブルの他端部に取り付けられ他端が第2のカム板に連結される第2のクランクシャフトとで構成されており、上記第1のカム板による上死点の位置と、上記第2のカム板による上死点の位置とが、所定角度だけずれるよう設定されている請求項5記載のポット処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、布や糸等に対し試験的に処理を行うのに適したポット処理方法およびそれに用いるポット処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、布や糸等の染色処理等を行う場合、実機による処理に先立って、少量単位の処理を、処理条件を変えて試験的に行うことにより、処理見本を作製したり、処理条件を調整したりすることが行われている。
【0003】
上記処理試験には、通常、布等の試料と処理液とを入れた小さな有底筒状の密閉容器(ポット)が用いられ、これに、適宜の振動動作や回転動作を与えて処理を行うようになっている。このような処理試験用の装置としては、さまざまなタイプのものが提案され、実用化されている。例えば、図8(a)および(b)に示すように、試料1と処理液2とを収容したポット3を、水平に支持されたポット回転車輪4上に載置し、上記ポット回転車輪4に正逆回転を与えてポット3を回転させるとともに、下方に設けたヒータ5で加熱することにより、ポット3内の試料1を処理するようにしたもの(特許文献1参照)が提案されている。
【0004】
また、図9に示すように、ポット3を支持軸6に対し所定角度で取り付け、その支持軸6を回転させることにより、ポット3に対し特殊な回転動作を与えて試料1を処理液2で処理するようにしたもの(特許文献2参照)も提案されている。
【特許文献1】特開平8−271338号公報
【特許文献2】特開2002−309476公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの試験機は、低浴比処理を行うことができ、ポット3ごとに個別に温度制御することができるという利点を有する反面、ポット3に、単一の回転動作もしくはその逆回転動作が繰り返し与えられるにすぎず、ポット3内での試料および処理液の動きが少なく、しわが固定されたり、もみ効果が低く処理むらが生じやすいという問題がある。
【0006】
また、実機として、例えば液流染色機を用いる場合、液流によって装置内を循環する布帛には、大きな加速度に伴う衝撃が、繰り返し角度を変えてかかることがわかっているが、そのような複雑な衝撃を、容積の小さいポット3内の試料にかけることは難しく、試験機では、実機とはかけ離れた処理条件にならざるを得ない場合が多いという問題もある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、比較的実機に近い処理条件で生地等の試料を処理することができ、しかも、その処理において、試料にしわがつかず、処理むらも生じない、優れた処理試験を行うことのできるポット処理方法と、それに用いるポット処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受された支持テーブルに、処理対象物と処理液とを収容してなる開閉蓋付有底筒状のポットを起立姿勢で取り付け、上記支持テーブルを上下方向に往復移動させることにより、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにしたポット処理方法を第1の要旨とする。
【0009】
また、本発明は、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受された支持テーブルに、処理対象物と処理液とを収容してなる開閉蓋付有底筒状のポットを起立姿勢で取り付け、上記支持テーブルの相対する少なくとも2個所を、互いに異なるタイミングで上下方向に往復移動させることにより、上記支持テーブルを、テーブル面を揺動させながら繰り返し上下動させ、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにしたポット処理方法を第2の要旨とする。
【0010】
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記ポットの深さHに対し、ポット内での処理液の深さDが、上記Hの2/3以下になるよう処理液を収容し、支持テーブルに対する上下方向の往復移動のストロークを、上記ポットの深さHより長く設定したポット処理方法を第3の要旨とする。
【0011】
さらに、本発明は、上記第1の要旨であるポット処理方法に用いられる装置であって、処理対象物と処理液とを収容しうる開閉蓋付有底筒状ポットと、上記ポットを起立姿勢で取り付けるための支持テーブルと、上記支持テーブルを、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受する支受手段と、上記支持テーブルを上下方向に往復移動させる移動手段とを備え、上記移動手段の作動によって、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃が与えられるようになっているポット処理装置を第4の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、上記第2の要旨であるポット処理方法に用いられる装置であって、処理対象物と処理液とを収容しうる開閉蓋付有底筒状ポットと、上記ポットを起立姿勢で取り付けるための支持テーブルと、上記支持テーブルを、初期状態において水平もしくは所定角度を保つよう支受する支受手段と、上記支持テーブルの相対する少なくとも2個所を、互いに異なるタイミングで上下方向に往復移動させる移動手段とを備え、上記移動手段の作動によって、上記支持テーブルが、テーブル面を揺動させながら繰り返し上下動して、上記支持テーブルに取り付けられたポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃が与えられるようになっているポット処理装置を第5の要旨とする。
【0013】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記支持テーブルの支受手段が、支持テーブルの四隅を下から弾力的に保持する4本の圧縮ばねで構成されているポット処理装置を第6の要旨とし、上記支持テーブルの移動手段が、一端側が支持テーブルの一端部に取り付けられ他端が第1のカム板に連結される第1のクランクシャフトと、他端側が支持テーブルの他端部に取り付けられ他端が第2のカム板に連結される第2のクランクシャフトとで構成されているポット処理装置を第7の要旨とする。
【0014】
そして、本発明は、上記第5の要旨であるポット処理装置のなかでも、特に、上記支持テーブルの移動手段が、一端側が支持テーブルの一端部に取り付けられ他端が第1のカム板に連結される第1のクランクシャフトと、他端側が支持テーブルの他端部に取り付けられ他端が第2のカム板に連結される第2のクランクシャフトとで構成されており、上記第1のカム板による上死点の位置と、上記第2のカム板による上死点の位置とが、所定角度だけずれるよう設定されているポット処理装置を第8の要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
すなわち、本発明の第1の要旨であるポット処理方法によれば、処理対象物と処理液とを密閉収容した筒状ポットを、支持テーブルに取り付け、この支持テーブルに上下動を繰り返し与えて、ポット内の処理対象物と処理液に、繰り返し衝撃を与えるようにしたものである。この方法によれば、低浴比であっても、処理対象物が処理液とともに上下動を繰り返し、ポットの天井面や底面、内周面に叩きつけられながら処理液と充分に接触するため、均一に処理が行われ、処理むらやしわが生じない。しかも、処理試験を行う場合、上記支持テーブルの上下動のストロークや処理液の量を調整することにより、処理対象物に対し、実機に近い強い衝撃を与えることができ、高い再現性を奏することができる。
【0016】
また、本発明の第2の要旨であるポット処理方法によれば、支持テーブルに、上下動だけでなく、テーブル面の揺動動作も加えるため、ポット内の処理対象物と処理液に、より複雑な衝撃を与えることができ、さらに優れた効果を得ることができる。
【0017】
そして、本発明のポット処理装置によれば、上記ポット処理方法を、効率よく実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この形態に限るものではない。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態であるポット処理装置の正面図(部分的に断面を表示)を示し、図2は、そのA−A′断面図を示している。これらの図において、10は、ベース板10aによって上下2つの部分に仕切られた本体フレームで、その内部の上段は、ポット11を装填して処理を行う処理部12になっており、下段は、上記ポット11を動かすための駆動部13になっている。なお、上記本体フレーム10の上部には、図2において鎖線で示すように上方に開く開閉蓋14が設けられている。また、15は、装置内に熱風を吹き込んで所定温度に加熱するための加熱手段である。
【0020】
上記処理部12には、図3に示すように、ベース板10aから立設する4本の圧縮ばね16によって水平かつ弾力的に支受される支持テーブル17が設けられており、この支持テーブル17に形成された8個の係合穴17aを利用して、処理対象物と処理液とを密閉収容するポット11が8個、並んで保持されるようになっている。
【0021】
上記ポット11は、図4に示すように、本体部20が有底略筒状で、開口部が少し拡径された形状になっており、この拡径部21に、蓋体22がら合されるようになっている。また、本体部20の上部には、環状の凸条23が設けられている。そして、上記凸条23を、上記支持テーブル17の係合穴17aに係合することにより、ポット11を支持テーブル17に保持できるようになっている。なお、上記ポット11の下部は、支持テーブル17から垂下する6本のスタッド18で支受されるガイド板19に形成された係合穴19a内に挿通され、周方向にガイドされるようになっている。
【0022】
そして、上記支持テーブル17に保持されたポット11は、隣り合う2個のポット11に対し1個ずつ設けられるクランプ30(図1、図2参照)により、下向きに押し付け付勢された状態で、支持テーブル17に固定されるようになっている。より詳しく説明すると、上記クランプ30は、支持テーブル17の上面に、ばねを内蔵した蝶番31を介して、図2において矢印Xで示すように、手前に大きく開くことができるように取り付けられており、このように手前に開いた状態でポット11を支持テーブル17に係合させた後、手を離すと、上記蝶番31のばね弾性によって、ポット11の蓋体22の上面を下向きに押し付け付勢した状態で閉じるようになっている。したがって、この装置を作動させ、ポット11に強い衝撃を与えても、ポット11が支持テーブル17の係合穴17aから飛び出さないようになっている。
【0023】
また、上記支持テーブル17を水平かつ弾力的に支受する各圧縮ばね16は、図3に示すように、その下端部が、ベース板10a上に取り付けられたボス32の小径部に外嵌され、その上端部が、支持テーブル17に取り付けられたガイド筒33内に嵌入されている。また、34は、圧縮ばね16の直立姿勢をガイドするためのガイドシャフトで、その上部側に、圧縮ばね16の内側に当接するガイドリング35が設けられている(図1、図2参照)。
【0024】
そして、上記支持テーブル17の左右両端のそれぞれ中央に、下向き略L字状の連結ブロック40、40′を介して、クランクシャフト41、41′の上端部が、前後方向(垂直面方向)に回動自在に連結さられており、上記クランクシャフト41、41′の下端部が、カム板42、42′の周縁部の一個所に、同じく前後方向に回動自在に連結されている。そして、上記カム板42、42′に、駆動部13に設けられたモータ50から回転動作が与えられると、クランクシャフト41、41′が、上記カム板42、42′の回転に伴い上下に往復移動するとともに前後に振動し、その動きを上記支持テーブル17に伝達するようになっている。なお、上記クランクシャフト41、41′の動きを考慮して、ベース板10aには、前後に延びる切欠き穴43が形成されている。
【0025】
なお、上記カム板42、42′と、クランクシャフト41、41′の連結において、カム板42による上死点(下死点)の位置と、カム板42′による上死点(下死点)の位置は、互いに45°だけずれるよう設定されている。
【0026】
したがって、モータ50を作動させて、左右のカム板42、42′を回転させると、左右のクランクシャフト41、41′の昇降動作が、最初に設定された上死点のずれの分だけ互いにずれることになり、支持テーブル17の左右の縁部が、異なるタイミングで上下動を繰り返す。これにより、支持テーブル17のテーブル面が左右に波打つように揺動する。このとき、支持テーブル17を支受する4本の圧縮ばね16は、その内側のガイドリング35より上の部分が、ガイドシャフト34との隙間分だけ側方にずれることができるため、テーブル面の揺動に追従しながら、支持テーブル17を弾力的に支受するようになっている。
【0027】
上記支持テーブル17におけるテーブル面の揺動と上下動の変化を、左右のカム板42、42′の回転動作とともに説明する。まず、図5(a)に示すように、右のカム板42が上死点にあるとき、左のカム板42′は上死点より45°だけ下がった位置にある。したがって、テーブル面は、やや右上がりである。
【0028】
そして、図5(b)に示すように、各カム板42、42′が90°回転した状態では、右側のクランクシャフト41が、上下方向より前後方向(この図では左右方向)に動くため、支持テーブル17の右端があまり下がらないが、左側のクランクシャフト41′は、前後方向には殆ど動かず下向きに大きく動くため、支持テーブル17の左端が大きく下がる。したがって、テーブル面は、さらに右上がりになる。
【0029】
そして、図6(a)に示すように、カム板42、42′がさらに90°回転した状態では、右のカム板42が下死点に位置し、支持テーブル17の右端が最も下がる。これに対し、左のカム板42′は、下死点を通過してさらに45°だけ回転するため、支持テーブル17の左端は一旦下がった後、再び上がる。したがって、テーブル面は、やや左上がりである。
【0030】
そして、図6(b)に示すように、各カム板42、42′がさらに90°回転した状態では、右側のクランクシャフト41が、上下方向より前後方向(この図では左右方向)に動くため、支持テーブル17の右端があまり上がらないが、左側のクランクシャフト41′は、前後方向には殆ど動かず上向きに大きく動くため、支持テーブル17の左端が大きく上がる。したがって、テーブル面は、さらに左上がりになる。
【0031】
しかも、クランクシャフト41、41′が支持テーブル17を昇降させる動作を行う際、上記クランクシャフト41、41′が、垂直方向ではなく、斜め方向に動くため、テーブル面が前後方向にも揺れることになり、より複雑な動きが支持テーブル17に与えられるようになっている。
【0032】
上記ポット処理装置を用い、例えばつぎのようにして、染色処理試験を行うことができる。すなわち、まず、処理対象物である生地と、所定の染色液とを、各ポット11に収容して密閉し、図1〜図3に示すように、上記支持テーブル17に保持させ、クランプ30で固定する。そして、装置内に、加熱手段15から熱風を送って処理部12内を所定温度に加熱するとともに、駆動部13のモータ50を作動させ、左右のカム板42、42′を回転させて、支持テーブル17に上記のような複雑な動きを与え、各ポット11に、向きの異なる衝撃が断続的に与える。このようにして、ポット11内の生地を染色処理することができる。
【0033】
上記処理試験によれば、ポット11に、回転動作と昇降動作とを組み合わせて与えるため、低浴比(例えば1:3〜1:10)であっても、生地を複雑に動かすことができ、染色液に充分かつ均一に接触させることができる。したがって、得られる生地に、染色むらやしわが生じない。また、カム板42、42′の回転速度と上下動のストローク(カム径)とを調整することにより、生地に対し、実機に近い衝撃を与えることができるため、高い再現性を奏する。
【0034】
ちなみに、カム板42、42′の半径R=100mm、回転速度n=180rpmの条件で、支持テーブル17を介してポット11に上下動を与える場合、その垂直方向の加速度αを、回転角度ごとに算出すると、下記の表1に示す数値を得ることができる。ただし、周速度uは、下記の式(1)で求めることができ、垂直方向の速度vは、図7に示すように、下記の式(2)で求めることができる。したがって、垂直方向の加速度αは、下記の式(3)で求めることができる。
【0035】
【数1】


【0036】
【表1】


【0037】
したがって、計算上ではあるが、角度θ=93.6°のとき、最大加速度−3.6G(下向きの加速度)を得ることができ、試料にかかる重力1Gと合わせて、−4.6Gという大きな加速度の衝撃を与えることができる。
【0038】
これに対し、例えば、ポットを水平方向に倒した状態で回転を与える図8や図9に示す従来例の方式において、上記の方法と同様にして最大加速度を算出した場合、試料にかかる重力1Gと合わせても、−1.5G程度までが限界であり、本発明のような強い衝撃を得ることができない。
【0039】
一方、実際の液流染色機(CUT−XF、日阪製作所社製)を用いて染色を行う場合の最大加速度についても、上記と同様の方法で算出した場合、布にかかる重力1Gと合わせて、−1.5〜3.0Gといった値が得られる。したがって、本発明によれば、このような液流染色機において処理される布に匹敵するか、それ以上の加速度を与えることができ、ポット11を用いた処理であるにもかかわらず、非常に高い再現性を有する処理試験を行うことができることがわかる。
【0040】
なお、上記の例において、ポット11の形状は、開閉蓋付有底筒状であれば、特に限定するものではないが、支持テーブル17との係合方法やその固定方法を適宜に設定することができることから、それに応じて、適宜設計変更することができる。
【0041】
そして、上記ポット11内に収容する処理液は、図4に示すように、ポット11の深さHに対し、その深さが、その2/3以下になるよう収容することが好適である。すなわち、この状態で、上記ポット11の深さDより長いストロークで支持テーブル17を上下動させると、処理液がよく動いてポット11内の天井と底面、さらには内周面に強い衝撃で当たり、優れた効果が得られるからである。なお、100は処理対象物である。
【0042】
また、上記の例では、支持テーブル17に複雑な動きを与えるために、支持テーブル17を4本の圧縮ばね16で弾力的に支受し、支持テーブル17の左右2点で、クランクシャフト41、41′を介してカム板42、42′に連結して互いに異なるタイミングで上下動させるようにしたが、支持テーブル17に複雑な動きを与えるための機構は、この例に限るものではない。
【0043】
例えば、クランクシャフト41、41′とカム板42、42′とを組み合わせた機構を、支持テーブル17の四隅に連結し、四隅をそれぞれ異なるタイミングで上下動させるようにしてもよい。そして、上記の例も含めて、このようなカム板によるタイミングのずれを利用する場合、互いの上死点(下死点)の位置のずれを、20〜80°、なかでも40〜60°に設定することが、支持テーブル17に大きな揺動を与えることができ好適である。
【0044】
また、これらの例において、カム板42、42′に与える回転動作は、正転と反転を交互に繰り返すものであっても、正転のみ、もしくは反転のみを繰り返すものであってもよい。そして、所定時間(所定回数)の回転動作の合間に、一定の休止時間を設けた間欠運動としてもよい。
【0045】
さらに、クランクシャフト41、41′とカム板42、42′とを組み合わせた機構に代えて、例えば、支持テーブル17の対角線上の2つの隅か、四隅に、それぞれエアシリンダから延びるシリンダロッドを連結し、各エアシリンダを作動させるタイミングをずらして、支持テーブル17に、揺動と上下動とを繰り返し与えるようにしても差し支えない。
【0046】
そして、より複雑な動きを支持テーブル17に与えるために、4本の圧縮ばね16の強さを互いに異なるものにして、より複雑な揺れが生じるようにしてもよい。
【0047】
なお、上記一連の例では、支持テーブル17のテーブル面17aを揺動させながら上下動するために、左右のカム板42、42′のタイミングをずらしているが、必ずしもタイミングをずらしてテーブル面17aを揺動させる必要はなく、支持テーブル17を上下移動させるだけであっても、前述のように、大きな値の加速度を与えることは可能である。したがって、前記の例の構成における左右のカム板42、42′のタイミングや、これに代えて用いるエアシリンダ等の機構におけるタイミングを、必ずしもずらす必要はない。
【0048】
また、上記支持テーブル17の初期状態における配置を、図1〜図3では水平に示しているが、必ずしも水平にしておく必要はなく、初期状態でやや前傾姿勢にして、ポット11の装填がしやすいように設定する等、適宜の傾斜角度にすることができる。
【0049】
また、本発明のポット処理装置は、染色試験に限らず、各種の処理試験に適用することができる。また、試験に限らず、小ロット単位の実機として用いることもできる。そして、その処理対象も、ポット11内で処理できるものであれば、特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図であって、部分的に断面を含む説明図である。
【図2】図1のA−A′断面図である。
【図3】上記実施例の部分的な斜視図である。
【図4】上記実施例に用いるポットの説明図である。
【図5】(a)、(b)はともに上記実施例における動作説明図である。
【図6】(a)、(b)はともに上記実施例における動作説明図である。
【図7】上記実施例における最大加速度の求め方の説明図である。
【図8】(a)は従来のポット処理試験機の一例を示す正面図、(b)はその右側面図である。
【図9】従来のポット処理試験機の他の例を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0051】
11 ポット
17 支持テーブル
41、41′ クランクシャフト
42、42′ カム板
【出願人】 【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦


【公開番号】 特開2008−88578(P2008−88578A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−268473(P2006−268473)