| 【発明の名称】 |
強化繊維織物の製造方法およびその製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀部 郁夫
【氏名】和田原 英輔
【氏名】児嶋 雄司
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| 【要約】 |
【課題】強化繊維織物を織成するにあたってたて糸の糸長差による織物ぼこつきやよこ糸蛇行が発生しにくい強化繊維織物の製造方法およびその製造装置を提供する。
【構成】次の(A)〜(E)の工程を有することを特徴とする強化繊維をたて糸2に有する強化繊維織物の製造方法。(A)複数の強化繊維束を、織物12のたて糸として幅方向に実質的に等間隔に位置決めする強化繊維束の位置決め工程、(B)強化繊維束の糸厚みを揃えながら強化繊維束を並行に引き揃える強化繊維束の糸厚み調整工程、(C)強化繊維束をシート状のたて糸シートとして織成部に送り出す強化繊維束の送り出し工程、(D)ヘルドフレーム8の開閉口による張力変動を、接触ローラがローラ軸と平行移動するイージング機構により緩和する強化繊維束の張力調整工程、および(E)強化繊維束からなるたて糸シートを開口し、杼口によこ糸10を打ち込んで織物を織成する織成工程。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 次の(A)〜(E)の工程を有することを特徴とする強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造方法。 (A)ボビンから解舒された複数の強化繊維束を、織物のたて糸として幅方向に実質的に等間隔に位置決めする強化繊維束の位置決め工程、 (B)ローラ上での各強化繊維束の糸厚みのばらつきが10%以下になるように、強化繊維束の糸厚みを揃えながら強化繊維束を並行に引き揃える強化繊維束の糸厚み調整工程、 (C)糸厚みのばらつきが調整され、引き揃えられた複数の強化繊維束をシート状のたて糸シートとして織成部に送り出す強化繊維束の送り出し工程、 (D)引き揃えられた強化繊維束のヘルドフレームの開閉口による張力変動を、接触ローラがローラ軸と平行移動するイージング機構により緩和する強化繊維束の張力調整工程、および (E)強化繊維束からなるたて糸シートを開口し、杼口によこ糸を打ち込んで織物を織成する織成工程。 【請求項2】 強化繊維束の糸厚み調整工程において、少なくとも一対のガイドローラと左右に揺動する揺動ローラとで構成される強化繊維束を屈曲させて通過させる屈曲パス機構に、強化繊維束を接触させながら通過させることにより、糸厚みを揃えることを特徴とする請求項1記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項3】 強化繊維束の送り出し工程において、強化繊維束からなるたて糸シートをニップローラに90°未満の角度で接触させ、かつ、ニップローラによりニップしながら織機主軸の回転に連動させてニップローラを回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出すことを特徴とする請求項1または2記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項4】 強化繊維束の送り出し工程において、摩擦により引き揃え強化繊維束の送り出し量を規制する直径が200〜500mmのテンションローラに接触角度が90〜270°の範囲で、引き揃え強化繊維束をスリップしないように接触させ、織機主軸の回転に連動させてテンションローラを回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出すことを特徴とする請求項1または2記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項5】 強化繊維束の送り出し工程において、張力調整工程におけるイージング機構の接触ローラの位置を検出するセンサーからの信号をもとに強化繊維束の送り出し量をコントロールすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項6】 強化繊維束の送り出し工程と張力調整工程との間にたて糸シートの張力検出工程を有し、前記強化繊維束の送り出し工程において、たて糸シートが接触する接触ローラに取り付けられたロードセルからの信号をもとに強化繊維束の送り出し量をコントロールすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項7】 強化繊維束の張力調整工程において、強化繊維束をたて糸のヘルドフレーム毎に異なるローラに接触させ、これらのローラのそれぞれが独立してローラ軸と平行移動するイージング機構を有する張力調整手段により、強化繊維束の張力を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項8】 織成工程において、たて糸シートの開閉口部に押さえガイドを有する織成手段により、該たて糸シートの横方向全幅にわたってたて糸を押さえることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維織物の製造方法。 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の強化繊維織物の製造方法によって得られた、たて糸の糸長差が1%以下であることを特徴とする強化繊維織物。 【請求項10】 次の(a)〜(e)の手段を有することを特徴とする強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造装置。 (a)たて糸ボビンを搭載するクリール装置と糸厚み調整手段の間に設置された、複数の円柱状バーが垂直に配置されてなる強化繊維束の位置決め手段、 (b)中心軸が平行かつ同一水平面上にはない少なくとも2つ以上のローラまたは水平バーを有するたて糸としての強化繊維束の糸厚み調整手段、 (c)少なくとも1つのローラが駆動ローラである一対のニップローラからなる強化繊維束の送り出し手段、 (d)複数のローラにより構成され、そのうちの少なくとも1つのローラがローラ軸と平行移動するイージング機構を有する張力調整手段、および (e)強化繊維束からなるたて糸シートを開口する開口手段と、杼口によこ糸を打ち込むよこ糸打ち込み手段とを有する織物織成手段。 【請求項11】 強化繊維束の糸厚み調整手段が、少なくとも一対のガイドローラと左右に揺動する揺動ローラとで構成される強化繊維束を屈曲させて通過させる屈曲パス機構を有し、これらの屈曲パス機構に強化繊維束を接触させながら通過させる構成のものであることを特徴とする請求項10記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項12】 強化繊維束の送り出し手段が、強化繊維束の糸厚み調整手段における最下流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度、および、強化繊維束の張力調整手段の最上流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度とが、それぞれ90°未満の角度となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するニップローラが配置された構成のものであることを特徴とする請求項10または11記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項13】 強化繊維束の送り出し手段が、直径が200〜500mmのテンションローラを、強化繊維束の糸厚み調整手段における最下流のローラの軸中心と前記テンションローラの軸中心との成す角度、および、強化繊維束の張力調整手段の最上流のローラの軸中心と前記テンションローラの軸中心との成す角度とが、それぞれ90〜270°の範囲となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するテンションローラが配置された構成のものであることを特徴とする請求項10または11記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項14】 強化繊維束の送り出し手段が、張力調整手段におけるイージング機構のローラ軸と平行移動する接触ローラの位置を検出するセンサーを有し、その検出するセンサーからの信号をもとに駆動軸の回転速度を変化させることにより送り出し量をコントロールする構成のものであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項15】 強化繊維束の送り出し手段と張力調整手段との間にたて糸シートの張力検出手段を有し、前記強化繊維束の送り出し手段が、たて糸シートが接触する接触ローラに取り付けられたロードセルを有し、そのロードセルからの信号をもとに駆動軸の回転速度を変化させることにより強化繊維束の送り出し量をコントロールする構成のものであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項16】 強化繊維束の張力調整手段が、たて糸のヘルドフレーム毎に異なるイージング機構を用いる構成のものであることを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の強化繊維織物の製造装置。 【請求項17】 織成手段が、たて糸シートの開閉口部に該たて糸シートの横方向全幅にわたって押さえバーを設けた織成手段であることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の強化繊維織物の製造装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造方法およびその製造装置に関するものである。より詳しくは、本発明は、織物のぼこつきやよこ糸蛇行が顕著に発生しやすい一方向性織物を製造するにあたって好適な強化繊維束からなるたて糸の供給手段を改良してなる、強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造方法とその製造装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、航空機構造部材などの高品質が要求される繊維強化ブラスチックス(FRP)の製造においては、強化繊維を中間基材の形態にして用いられることが一般的であり、その中間基材としては、強化繊維を織物の形態にしたものが多用されている。そして、そのような織物の中でも、強化繊維束をたて糸として一方向にのみ配列して細繊度のよこ糸で織成した、いわゆる一方向性織物が土木・建築分野の補修・補強などで多く用いられている(特許文献1参照。)。 【0003】 しかしながら、この一方向性織物は、強化繊維束であるたて糸がほとんど屈曲していないことから、織物織成時、たて糸供給時の送り量のばらつきや、たて糸シートの開閉口時の張力変動によって生じる各たて糸の僅かな糸長差により、部分的なたて糸の盛り上がりによる織物ぼこつき(たて糸糸長の不揃いにより形成される不規則な凹凸状表面状態)やよこ糸蛇行が顕在化し易くなるという課題があり、かかる課題を解決する手段が求められていた。 【0004】 上記課題に対して、織物たて糸供給方法として、強化繊維束からなるたて糸を開繊した後、ニップローラでニップしながら供給する方法が提案されている(特許文献2参照。)。この方法では、たて糸を開繊しながら供給することから糸幅が拡がり、目隙の小さい織物が得ることができる。しかしながら、この方法では、たて糸の糸幅や糸厚みを規制する手段を有していないことから、各たて糸毎に開繊状態が異なり、開繊後の糸の断面形状が不揃いとなることから、たて糸毎に糸幅および糸厚みに違いが生じる。そのため、次工程のニップローラを用いたたて糸送り出し工程において、ニップされる糸とニップされない糸が生じることから、たて糸の送り出し量を揃えることができず、たて糸長差が生じる場合があった。さらに、織成工程におけるたて糸シートの開閉口によりニップされていないたて糸は、引っ張り出されて織物のたて糸糸長差が大きくなり、特に一方向性織物を織成した際には、ぼこつきやよこ糸蛇行が顕著に発生し易くなってしまうという問題がある。 【0005】 また別に、ボビンから解舒された強化繊維束からなるたて糸を、コームによりたて糸の配列位置を規制した後、2本の水平ガイドバーにS字に巻回しながら揺動させてたて糸を開繊する方法が提案されている(特許文献3参照。)。この方法では、たて糸を開繊させることから、上記の特許文献2の方法と同様に目隙の小さい強化繊維織物を得ることができる。しかしながら、この方法では、たて糸の配列位置を規制していることから、開繊後のたて糸の断面における糸幅は揃えられるものの、たて糸の糸厚みまでは揃えてはいないことから、たて糸毎に糸厚みに違いが生じる。そのため、2本の水平ガイドバーをS字に通過させる際にガイドバーに接触させながらたて糸を通過させるときに、たて糸の糸厚みが異なるとガイドバー中心からの糸束中心までの曲率半径に相違が生じ、糸束厚みが大きいほど送り出し量が大きくなり、たて糸の送り量を揃えることができず、たて糸に糸長差を生じることになる。さらに、開繊後のたて糸は水平ガイドを追加させた後、そのままたて糸シートの開口部まで導かれることから、たて糸シートの開閉口によるたて糸の張力変動により織成された織物のたて糸の糸長差が大きくなり、特に細繊度のよこ糸を用いた一方向性織物を織成した際には、ぼこつきやよこ糸蛇行が顕著に発生しやすくなってしまう。 【0006】 また別に、たて糸のヘルドフレーム毎にイージング機構を設けたたて糸の供給方法が提案されている(特許文献4参照。)。この方法では、たて糸シートの開閉口における張力変動は改善できるものの、たて糸の送り出しは、繰り出しローラに接触しながら送り出される糸長となる。そのため、前述したように、各たて糸の糸厚みに違いがあれば、送り出される糸量は異なることになり、織成された織物のたて糸に糸長差が生じることから、特に一方向性織物においては、ぼこつきや緯糸蛇行が顕著に発生しやすい。 【0007】 上述した従来技術では、たて糸の開繊やたて糸シートの開閉口時の張力変動を制御することにより織物における目隙を小さくできる効果を得るための方法であっても、たて糸の糸長を制御する織物の製造方法は得られていなかったのである。 【0008】 このように従来技術により得られた強化繊維織物は、たて糸の糸長差が不揃いのため、織物にした場合にぼこつきやよこ糸蛇行生じやすいとともに、FRPに成形した場合、高い力学的特性が発揮できないばかりか、表面平滑性に優れた成形品を得ることができないという課題があった。 【特許文献1】特開平10−121345号公報(図2) 【特許文献2】特開2000−226754号公報(図1) 【特許文献3】特開平7−300738号公報(図1) 【特許文献4】特開平2005−290624号公報(図4) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物を織成するにあたって、たて糸の糸長差による織物ぼこつきやよこ糸蛇行が発生しにくい強化繊維織物の製造方法およびその強化繊維織物の製造装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明の強化繊維織物の製造方法は、次の(A)〜(E)の工程を有することを特徴とする強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造方法である。 (A)ボビンから解舒された複数の強化繊維束を、織物のたて糸として幅方向に実質的に等間隔に位置決めする強化繊維束の位置決め工程、 (B)ローラ上での各強化繊維束の糸厚みのばらつきが10%以下になるように、強化繊維束の糸厚みを揃えながら強化繊維束を並行に引き揃える強化繊維束の糸厚み調整工程、 (C)糸厚みのばらつきが調整され、引き揃えられた複数の強化繊維束をシート状のたて糸シートとして織成部に送り出す強化繊維束の送り出し工程、 (D)引き揃えられた強化繊維束のヘルドフレームの開閉口による張力変動を、接触ローラがローラ軸と平行移動するイージング機構により緩和する強化繊維束の張力調整工程、および (E)強化繊維束からなるたて糸シートを開口し、杼口によこ糸を打ち込んで織物を織成する織成工程。 【0011】 本発明の強化繊維織物の製造方法は、次の好ましい態様を有するものである。 【0012】 (1)前記(B)の強化繊維束の糸厚み調整工程において、少なくとも一対のガイドローラと左右に揺動する揺動ローラとで構成される強化繊維束を屈曲させて通過させる屈曲パス機構に、強化繊維束を接触させながら通過させることにより、糸厚みを揃えること。 【0013】 (2)前記(C)の強化繊維束の送り出し工程において、強化繊維束からなるたて糸シートをニップローラに90°未満の角度で接触させ、かつ、ニップローラによりニップしながら織機主軸の回転に連動させてニップローラを回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出すこと。 【0014】 (3)前記(C)の強化繊維束の送り出し工程において、摩擦により引き揃え強化繊維束の送り出し量を規制する直径が200〜500mmのテンションローラに接触角度が90〜270°の範囲で、引き揃え強化繊維束をスリップしないように接触させ、織機主軸の回転に連動させてテンションローラを回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出すこと。 【0015】 (4)前記(C)の強化繊維束の送り出し工程において、前記(D)の張力調整工程におけるイージング機構の接触ローラの位置を検出するセンサーからの情報をもとに強化繊維束の送り出し量をコントロールすること。 【0016】 (5)前記(C)の強化繊維束の送り出し工程と前記(D)の張力調整工程との間に、たて糸シートの張力検出工程を有し、前記強化繊維束の送り出し工程において、たて糸シートの張力検出工程のたて糸シートが接触する接触ローラに取り付けられたロードセルからの信号をもとに、強化繊維束の送り出し量をコントロールすること。 【0017】 (6)前記(D)の強化繊維束の張力調整工程において、強化繊維束をたて糸のヘルドフレーム毎に異なるローラに接触させ、これらのローラのそれぞれが独立してローラ軸と平行移動するイージング機構を有する張力調整手段により、強化繊維束の張力を調整すること。 【0018】 (7)前記(E)の織成工程において、たて糸シートの開閉口部に該たて糸シートの横方向全幅にわたって押さえガイドを有する織成手段により、たて糸を押さえること。 【0019】 また、本発明の強化繊維織物は、前記いずれかの強化繊維織物の製造方法によって得られた、たて糸の糸長差が1%以下である強化繊維織物である。 【0020】 また、本発明の強化繊維織物の製造装置は、次の(a)〜(e)の手段を有することを特徴とする強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造装置。 (a)たて糸ボビンを搭載するクリール装置と糸厚み調整手段の間に設置された、複数の円柱状バーが垂直に配置されてなるたて糸としての強化繊維束の位置決め手段、 (b)中心軸が平行かつ同一水平面上にはない少なくとも2つ以上のローラまたは水平バーを有する強化繊維束の糸厚み調整手段、 (c)少なくとも1つのローラが駆動ローラである一対のニップローラからなる強化繊維束の送り出し手段、 (d)複数のローラにより構成され、そのうちの少なくとも1つのローラがローラ軸と平行移動するイージング機構を有する張力調整手段、および (e)強化繊維束からなるたて糸シートを開口する開口手段と、杼口によこ糸を打ち込むよこ糸打ち込み手段とを有する織物織成手段。 【0021】 また、本発明の強化繊維織物の製造装置は、次の好ましい態様を有するものである。 【0022】 (1)前記(b)の強化繊維束の糸厚み調整手段が、少なくとも一対のガイドローラと左右に揺動する揺動ローラとで構成される強化繊維束を屈曲させて通過させる屈曲パス機構を有し、これらの屈曲パス機構に強化繊維束を接触させながら通過させる構成のものであること。 【0023】 (2)前記(c)の強化繊維束の送り出し手段が、前記(b)の強化繊維束の糸厚み調整手段における最下流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度、および、前記(d)の強化繊維束の張力調整手段の最上流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度とが、それぞれ90°未満の角度となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するニップローラが配置された構成のものであること。 【0024】 (3)前記(c)の強化繊維束の送り出し手段が、直径が200〜500mmのテンションローラを、前記(b)の強化繊維束の糸厚み調整手段における最下流のローラの軸中心と前記テンションローラの軸中心との成す角度、および、前記(d)の強化繊維束の張力調整手段の最上流のローラの軸中心と前記テンションローラの軸中心との成す角度とが、それぞれ90〜270°の範囲となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するテンションローラが配置された構成のものであること。 【0025】 (4)前記(c)の強化繊維束の送り出し手段が、前記(d)の張力調整手段におけるイージング機構のローラ軸と平行移動する接触ローラの位置を検出するセンサーを有し、その検出するセンサーからの信号をもとに駆動軸の回転速度を変化させることで送り出し量をコントロールする構成のものであること。 【0026】 (5)前記(c)の強化繊維束の送り出し手段と前記(d)の張力調整手段との間にたて糸シートの張力検出手段を有し、前記強化繊維束の送り出し手段が、たて糸シートの張力検出手段であるたて糸シートが接触する接触ローラに取り付けられたロードセルを有し、そのロードセルからの信号をもとに駆動軸の回転速度を変化させることで送り出し量をコントロールする構成のものであること。 【0027】 (6)前記(d)の強化繊維束の張力調整手段が、たて糸のヘルドフレーム毎に異なるイージング機構を用いる構成のものであること。 【0028】 (7)前記(e)の織成手段が、たて糸シートの開閉口部に押さえバーを設けた織成手段であること。 【発明の効果】 【0029】 本発明によれば、たて糸の厚みを揃えた後シート状態でたて糸を織成部に送り出すとともに、ヘルドフレームの開閉口による張力変動をイージング機構により緩和することができることから、たて糸供給量を均一化することができ、強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物における織物ぼこつきやよこ糸の蛇行を抑えることができる。 【0030】 本発明の強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造方法およびその製造装置で得られた強化繊維織物は、強化繊維からなるたて糸の糸長差が1%未満となることから強化繊維が真直に配向されているので、FRPに成形した場合、高い強度および弾性率などの力学的特性を発現するだけでなく、織物ぼこつきのない優れた外観品位を達成することができる。上記の効果は、一方向性織物において最大限に発揮される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0031】 本発明の強化繊維織物の製造方法は、次の(A)〜(E)の工程を有することを特徴とするものである。 (A)ボビンから解舒された複数の強化繊維束を、織物のたて糸として幅方向に実質的に等間隔に位置決めする強化繊維束の位置決め工程、 (B)ローラ上での各強化繊維束の糸厚みのばらつきが10%以下になるように、強化繊維束の糸厚みを揃えながら強化繊維束を並行に引き揃える強化繊維束の糸厚み調整工程、 (C)糸厚みのばらつきが調整され、引き揃えられた複数の強化繊維束をシート状のたて糸シートとして織成部に送り出す強化繊維束の送り出し工程、 (D)引き揃えられた強化繊維束のヘルドフレームの開閉口による張力変動を、接触ローラがローラ軸と平行移動するイージング機構により緩和する強化繊維束の張力調整工程、および (E)強化繊維束からなるたて糸シートを開口し、杼口によこ糸を打ち込んで織物を織成する織成工程。 【0032】 また、本発明の強化繊維織物の製造装置は、次の(a)〜(e)の手段を有することを特徴とする強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物の製造装置。 (a)たて糸ボビンを搭載するクリール装置と糸厚み調整手段の間に設置された、複数の円柱状バーが垂直に配置されてなるたて糸としての強化繊維束の位置決め手段、 (b)中心軸が平行かつ同一水平面上にはない少なくとも2つ以上のローラまたは水平バーを有する強化繊維束の糸厚み調整手段、 (c)少なくとも1つのローラが駆動ローラである一対のニップローラからなる強化繊維束の送り出し手段、 (d)複数のローラにより構成され、そのうちの少なくとも1つのローラがローラ軸と平行移動するイージング機構を有する張力調整手段、および (e)強化繊維束からなるたて糸シートを開口する開口手段と、杼口によこ糸を打ち込むよこ糸打ち込み手段とを有する織物織成手段。 【0033】 以下、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。 【0034】 図1は、本発明にかかる強化繊維をたて糸に有する強化繊維織物を製造するための製造装置の一実施態様を示す概略側面図である。本発明の強化繊維織物の製造方法においては、たて糸ボビン1から解舒された複数の強化繊維束を織物12のたて糸2とし、幅方向に等間隔に位置決めしながらローラ上で糸厚みのばらつきが10%以下になるように糸厚みを揃えながら並行に引き揃えたて糸シートとしてシート化した後、それを織成部に送り出すとともに、イージング機構によりヘルドフレーム8の開閉口における張力変動を調整しながらよこ糸10を織成部の杼口に挿入することにより、織物ぼこつきやよこ糸蛇行がない強化繊維織物を得ることができるものである。 【0035】 以下、本発明の強化繊維織物の製造方法にかかる(A)強化繊維束の位置決め工程、(B)強化繊維束の糸厚み調整工程、(C)強化繊維束送り出し工程、(D)強化繊維束の張力調整工程および(E)織成工程、および、本発明の強化繊維織物の製造装置にかかる(a)強化繊維束の位置決め手段、(b)強化繊維束の糸厚み調整手段、(c)強化繊維束の送り出し手段、(d)強化繊維束の張力調整手段および(e)織成手段について、それぞれ図1を参照しながら詳細に説明する。 【0036】 (A)強化繊維束の位置決め工程と(a)強化繊維束の位置決め手段 強化繊維束の位置決め工程においては、たて糸ボビン1から解舒された複数の強化繊維束を織物のたて糸2として、たて糸2の配列位置決め手段(コーム3)により幅方向に実質的に等間隔に位置決めする。そして、たて糸位置決め工程を経て、次工程の糸厚み調整工程へと導かれる。 【0037】 ここで、強化繊維束(たて糸2)の配列位置決め手段としては、クリール装置と強化繊維束の糸厚み調整手段の間に配置された、複数の円柱状バーを垂直に配置した強化繊維束の位置決め手段、いわゆる位置決めガイドを用いるとよい。このようなたて糸位置決めガイドの代表的なものとしては、コームがある。コームは、織物のたて糸2の配列間隔と同じ間隔に複数のワイヤを垂直に配置したもので、このワイヤ間にたて糸を1本ずつ通すことによって、多数本のたて糸2を織物の幅方向に対する配列位置の位置決めを行うことができ、たて糸2を所望の配列密度にすることができる。ここで、配列密度とは、単位長さあたりに存在する繊維束の本数であり、強化繊維織物のたて糸の本数から1を減じた数を、強化繊維織物の両端のたて糸の繊維束の中心の間の距離で除した値と定義する。このたて糸位置決めガイドは、コームに限定されるものではなく、たて糸2を所定ピッチに配列できるものであればよく、例えば、溝つきローラであっても構わない。 【0038】 また、たて糸2が、糸厚みに対して糸幅が大きい扁平糸の場合においては、コーム3のワイヤへの接触により、たて糸2の糸幅や糸厚みが変動しやすいことから、後述する強化繊維束の糸厚み調整工程において糸厚みを調整しやすいように、たて糸2の扁平面がコーム3のワイヤのみに接触するようにすれば、たて糸2の断面形状を保持することができる。 【0039】 ここで、織物のたて糸2として幅方向に実質的に等間隔に位置決めするとは、たて糸2を幅方向に等間隔となる位置に平行に配列させることを指すものとし、平行および等間隔とは、その位置に対して、たて糸間隔の±10%以内のずれは許容するものとする。 【0040】 (B)強化繊維束の糸厚み調整工程と(b)強化繊維束の糸厚み調整手段 強化繊維束の糸厚み調整工程においては、織物のたて糸2として幅方向に対して実質的に等間隔になるように位置決めされた複数の強化繊維束からなるたて糸2が、複数のガイドローラ4(4a、4b、4c、4d、4e)上での各強化繊維束の糸厚みのばらつきが、10%以下となるように糸厚みを揃えながら並行に引き揃えられ、次工程の強化繊維束の送り出し工程へと導かれる。 【0041】 本発明は、かかる工程を経ることにより本発明の課題を解決できることを見い出したことに大きな意義がある。背景技術に記載した従来のたて糸の供給方法、すなわち、たて糸の開繊拡幅処理、あるいは、このたて糸の開繊拡幅処理とたて糸の配列ピッチを規制する方法の組み合わせでは、本発明の課題を解決することはできない。何故ならば、たて糸2の糸長差発生をなくするためには、たて糸2の送り出し量を揃えるとともに、たて糸2の供給張力の変動を極力小さくすることが重要となるからである。 【0042】 ここで、たて糸2の送り出し方法として、たて糸2をローラによりニップしながら送り出す方法やローラ表面にたて糸を接触させて送り出す方法がある。 【0043】 たて糸2をニップしながら送り出す方法においては、糸厚みが揃っていないとニップされている糸の送り出し量は揃えることができるが、ニップされない糸はすべってしまうことから、複数のたて糸2の送り出し量すべてを揃えることができない。一方、ローラに接触させながらたて糸2の送り出す方法においては、たて糸厚みの違いによりローラに接触させた際の周長差が生じることから、複数のたて糸2の送り出し量をすべて揃えることができない。また、織成工程においては、よこ糸挿入のためこれら複数のたて糸2をヘルドフレーム8毎に開閉口運動させることから張力の変動が生じ、この開閉口運動時にたて糸2の糸長差があれば糸長が短い糸に極端に張力が付与され、過大な張力が付与されたたて糸2は送り出し量が多くなり、糸長差の発生が顕著となる。 【0044】 本発明においては、強化繊維束の位置決め工程および後述する強化繊維束の送り出し工程の間に、この糸厚み調整工程を有することにより、糸厚みのばらつきを10%以下にすることができるとともに、強化繊維束の張力調整工程において接触ローラの移動により張力変動を緩和させ、複数のたて糸2の糸長差発生をなくすことができるものである。 【0045】 すなわち、本発明においては、強化繊維束の位置決め工程で、織物のたて糸2として幅方向の配列位置を規制するとともに、強化繊維束の糸厚み調整工程でその配列位置を保持しながら糸厚みを調整することにより、強化繊維束の糸幅と糸厚みが揃えることができる。そして、糸厚みが揃った複数のたて糸2を、次工程の強化繊維束の送り出し工程に導くとともに、この強化繊維束の送り出し工程を経て複数のたて糸長が揃った状態でたて糸2を、たて糸シートとして織成部に導くことができる。 【0046】 この強化繊維束の糸厚み調整工程における糸厚み調整手段としては、中心軸が平行かつ同一水平面上にはない少なくとも2つ以上のローラまたは水平バーを有する糸厚み調整手段(後述する手段)が挙げられる。そして、この少なくとも2本のローラや水平ガイドバーローラにS字状にたて糸2を接触させながら通過させることにより、位置決めされて導かれたたて糸2を、糸幅を拡げつつ糸厚みを薄くすることにより、糸厚みを調整することができる。もともと糸厚みが薄いたて糸2については、糸幅が広いことから先の位置決め工程における位置決めガイドを通過させることにより、糸幅が狭められ糸厚みを小さくすることができ、これにより配列ピッチと同じ糸幅になるように糸幅を規制しつつ、糸厚みのばらつきを10%以内に調整することができる。 【0047】 ここで、本発明における糸幅および糸厚みとは、強化繊維束の糸厚み調整手段における最終ローラ上での糸幅と糸厚みのことであり、非接触のレーザ変位計などで測定時に糸幅や糸厚みが変化しない計測方法で測定したものである。また、糸厚みのばらつきとは、糸厚みの標準偏差を糸厚みの平均値で除した値のことをいう。 【0048】 また、この強化繊維束の糸厚み調整手段の好ましい態様としては、前記の強化繊維束の糸厚み調整手段において、少なくとも一対のガイドローラ4と左右に揺動する揺動ローラとで構成される強化繊維束を屈曲させて通過させる屈曲パス機構を有し、これらの屈曲パス機構に強化繊維束からなるたて糸2を接触させながら通過させることにより、強化繊維束の糸厚みを調整することが好ましい。このようにすることにより、たて糸2を開繊し易くなることから、たて糸2の糸幅と糸厚みを調整し易くなる。 【0049】 ここで、少なくとも一対のガイドローラと左右に揺動する揺動ローラについて、図1を用いて説明すると、4aと4cを一対のガイドローラとし、4bを左右に揺動する揺動ローラとすることにより、2つのガイドローラ間に位置する揺動ローラの揺動によるたて糸の糸厚みを調整することができる。さらに糸厚みの調整が不十分であれば、4a、4cおよび4eをガイドローラとし、4bと4dを左右に揺動する揺動ローラとするとより糸厚みを調整しやすくなり、必要に応じてさらにガイドローラや揺動ローラの数を増やしていけばより糸厚みを調整しやすくなる。 【0050】 また、たて糸2を強化繊維束の糸厚み調整工程に導く前に、あらかじめ約50〜100℃の温度に予熱してサイジング剤を軟化させることが好ましい態様である。このようにすることにより、たて糸2の巻き癖を取り除くことができ、後工程における仮撚りにより糸幅が狭くなることを防止することができる。 【0051】 さらに、複数のたて糸2をシート化し、たて糸シートとする前に、たて糸2を一旦2シートに分けて導き、たて糸2の配列ピッチ以上に開繊拡幅した後、糸幅を狭めつつたて糸2の配列ピッチと合わせるようにして、1シートにして糸厚みを調整するようにしてもよい。このようにすることにより、糸幅を拡げつつ糸厚みを薄くするよりも糸厚みを狭めながら糸厚みを大きくする方が容易であり、より簡便に糸厚みを調整することができる。 【0052】 (C)強化繊維束の送り出し工程と(c)強化繊維束の送り出し手段 強化繊維束の送り出し工程においては、糸厚みが前記のばらつきの範囲に調整され、引き揃えられた複数の強化繊維束をシート状のたて糸シートとし、織成部に送り出す。そして、次工程の強化繊維束の張力調整工程へと導かれる。 【0053】 この強化繊維束の送り出し工程の好ましい態様としては、たて糸シートをニップローラ5aに90°未満の角度で接触させ、かつ、他方のニップローラ5bによりニップしながら織機主軸の回転に連動させてニップローラ5a、5bを回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出す強化繊維束の送り出す態様が含まれる。ここで、90°未満の角度で接触させ、かつ、ニップローラ5a、5bによりニップすると、ニップローラ5a、5bへのたて糸シートの接触角度が小さいことから、織成開始時にたて糸2の配列位置がずれていて、補正が必要な場合に、たて糸2のニップを一時解放させた状態で送り出した後再度ニップすることにより、織成開始時のたて糸2のゆるみを防止するとともに、織物の幅方向への位置のずれの修正を速やかに行うことができる。 【0054】 さらに、この送り出し工程の別の好ましい態様を図2に示す。図2は、本発明に係る強化繊維織物を製造する装置の他の一例を示す部分概略側面図である。 【0055】 図2において、強化繊維束の送り出し手段においては、たて糸2との摩擦によりたて糸2の送り出し量を揃えるテンションローラ20を有し、ガイドローラ21を介して導かれたたて糸2は、テンションローラ20に接触させつつガイドローラ22を経て強力調整工程へと導かれる。そして、このテンションローラ20は直径が200〜500mmで、かつ、接触角度が90〜270°の範囲で、たて糸2がスリップが生じないようにテンションローラ20にたて糸2を接触させるとともに、織機主軸の回転に連動させてテンションローラ20を回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出す態様が含まれる。 【0056】 このように、テンションローラ20の直径を200mm以上と大径にすることにより、各強化繊維束の糸厚みのばらつきがあった際に、テンションローラ中心からの強化繊維糸束中心までの曲率半径の相違による糸長差を小さくすることができる。テンションローラ20の直径が500mmを超えると、糸長差をより小さくすることはできるが、テンションローラ20の取り扱いなど作業性の問題が生じることから、テンションローラ20の直径を200〜500mmの範囲とすることが好ましい。 【0057】 また、テンションローラ20への接触角度が90°未満であると、テンションローラ上でのたて糸の滑りを生じやすく、また接触角度が270°を超えるとテンションローラにおける滑りの問題はないものの、糸道を規制するのに困難であることから、接触角度は90°〜270°の範囲であることが好ましい。 【0058】 さらに、織機主軸の回転に合わせてテンションローラ20を回転させることにより、たて糸2の作用する張力を低減させ、過張力による毛羽発生を防止することができる。このようなことから、ここでは、たて糸2との摩擦によりたて糸2の送り出し量を揃えるテンションローラ20を有し、このテンションローラ20の直径が200〜500mmで、かつ、接触角度が90〜270°の範囲で、たて糸2のスリップが生じないようにテンションローラ20にたて糸2を接触させるとともに、織機主軸の回転に連動させてテンションローラ20を回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出す手段を有する態様も含まれる。 【0059】 このように、強化繊維束の送り出し工程における強化繊維束の送り出し手段としては、少なくとも1つのローラが駆動ローラである機構を有していると、駆動ローラの回転により強化繊維束が送り出されることからたて糸2の作用する張力を低減させ、過張力による毛羽発生を防止することができる。 【0060】 本発明における強化繊維束の送り出し手段の好ましい構成としては、前記(b)強化繊維束の糸厚み調整手段の最下流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度、および(d)強化繊維束の張力調整手段の最上流のローラの軸中心とニップローラのニップとの成す角度が、いずれも90°未満の角度となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するニップローラ5a、5bが配置された構成が含まれる。 【0061】 このように前記(b)強化繊維束の糸厚み調整手段の最下流のローラの軸中心とニップローラのニップ部との成す角度、および(d)手段の最上流のローラの軸中心とニップローラのニップとの成す角度が、いずれも90°未満の角度となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するニップローラが配置された、強化繊維束送り出す機構にすることにより、角度が90°未満と小さいことから強化繊維束とローラの摩擦抵抗を小さくすることができる。そのため、織成開始時にニップを一時解放することにより、ローラとたて糸に滑りを生じさせることによりたて糸2の配列位置決めやたて糸張力の調整を容易にすることができる。 【0062】 本発明における強化繊維束の送り出し手段の別の好ましい態様を図3に示す。図3は、本発明に係る強化繊維束の送り出し装置ならびに張力調整装置の一例を示す部分概略側面図である。図3において、張力調整工程にイージング機構のローラ軸と平行移動する接触ローラ(イージングローラ6)の位置を検出するセンサー6Sを取り付け、このセンサー6Sからの信号をもとに強化繊維束の送り出し量をコントロールすることが好ましい。このようにすることにより、織機の運転開始時や停機時のように織機の巻き取りとたて糸の送り出しのタイムラグによってたて糸2の作用する過張力をさらに低減させることが可能であり、より安定して過張力による毛羽発生を防止することができる。 【0063】 また別の好ましい態様としては、強化繊維束の送り出し工程と張力調整工程との間にたて糸シートの張力検出工程を経るようにして、強化繊維束の送り出し工程において、たて糸シートの張力検出工程でのたて糸シートが接触する接触ローラに取り付けられたロードセル(図示せず)からの信号をもとに強化繊維束の送り出し量をコントロールすることもできる。 【0064】 また、上記の強化繊維束の送り出し手段の別の好ましい構成としては、強化繊維束の送り出し手段が、直径が200〜500mmのテンションローラ20を、(b)強化繊維束の糸厚み調整手段最下流のローラの軸中心と前記テンションローラ20の軸中心との成す角度、および、(d)手段の最上流のローラの軸中心と前記テンションローラ20の軸中心との成す角度が、いずれも90〜270°の範囲となる位置に、織機主軸の回転に連動して回転するテンションローラ20が配置された強化繊維束の送り出す手段を有する構成が含まれる。 【0065】 前述したように、テンションローラ径は200mm以上と大径にすることにより、各強化繊維束の糸厚みのばらつきがあった際に、テンションローラ中心から強化繊維糸束中心までの曲率半径の相違による糸長差を小さくすることができる。テンションローラ径が500mmを超えると糸長差をより小さくすることができるが、テンションローラの取り扱いなど作業性の問題が生じることから、テンションローラ径は200〜500mmの範囲であることが好ましい。 【0066】 また、テンションローラ20への接触角度は90°未満であると、テンションローラ滑りを生じやすく、270°を超えるとテンションローラ20における滑りの問題はないものの糸道を規制するのに困難であることから、その接触角度は90°〜270°の範囲であることが好ましい。 【0067】 さらに、織機主軸の回転に合わせてテンションローラ20を回転させることによりたて糸2の作用する張力を低減させ、過張力による毛羽発生を防止することができる。 【0068】 このようなことから、たて糸2との摩擦によりたて糸2の送り出し量を揃えるテンションローラ20を有し、このテンションローラ20の直径が200〜500mmで、かつ、接触角度が90〜270°の範囲で、たて糸2のスリップが生じないようにテンションローラ20にたて糸を接触させるとともに織機主軸の回転に連動させて、テンションローラ20を回転させることにより、たて糸シートを織成部に送り出す構成であることが好ましい。 【0069】 (D)強化繊維束の張力調整工程と(d)強化繊維束の張力調整手段 強化繊維束の張力調整工程においては、強化繊維束の送り出し工程から導かれたたて糸シートに関して、ヘルドフレーム8の開閉口による前記強化繊維束の張力変動を接触ローラ(イージングローラ6)がローラ軸と平行移動するイージング機構により緩和し、ガイドローラ7を経て、次工程である織成工程に導く。 【0070】 イージング機構による張力調整工程を有することにより、次工程の織成工程でよこ糸10が挿入される際のたて糸2への過剰な張力作用による局所的なたて糸2の突っ張りを抑制することができ、これに伴ってよこ糸蛇行やたて糸毛羽発生を防ぐことができる。 【0071】 また、本発明の強化繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、たて糸2のヘルドフレーム8毎(8a、8b、・・・)に異なるイージングローラ6(6a、6b、・・・)に接触させ、これらのローラのそれぞれが独立して、ローラ軸と平行移動によるイージング機構により張力調整を行う手段が含まれる。このようにすることにより、上下動するヘルドフレーム8毎に張力調整ができることから、いずれの織組織においても安定して張力変動を緩和することができる。 【0072】 (E)織成工程と(e)織成手段 織成工程においては、強化繊維束の張力調整工程から導かれたたて糸2(2a、2b)を開口し、よこ糸ボビン9から解舒されたよこ糸10を杼口に打ち込んで織物12を織成する。そして、織物12は、引取ガイドローラ14、15、17と、引取ローラ16に接触しながら引き取られ、巻芯18に巻き取られ巻物19となる。 【0073】 杼口によこ糸10を挿入する方法としては、シャトル、レピア、グリッパ、エアージェットあるいはウォータジェットなどの手段によって、よこ糸ボビン9から解舒されたよこ糸10が打ち込まれる。そして、よこ糸10は、次いで筬11によって筬打されて、ヘルドフレーム8(8a、8b、・・・)が再び上下運動して閉口し、織物12が織成される。 【0074】 本発明の強化繊維織物の製造方法の好ましい態様によれば、この織成工程において、たて糸シートの開閉口部にたて糸シートの横方向全幅にわたってたて糸2を押さえる押さえガイド13を設けた手段が含まれる。押さえガイド13を用いることにより、細繊度で曲げ剛性の小さいよこ糸10を用いた場合において、たて糸2の開閉口時の張力が勝る場合に、よこ糸10が屈曲し蛇行することを防止することができる。 【0075】 ここで、織成手段としては、たて糸2を開口する開口手段と、杼口によこ糸10を打ち込むよこ糸打ち込み手段とを有するものである。本発明は、織物のぼこつきやよこ糸蛇行の発生を抑え、FRPにした場合に優れた力学的特性を発揮できる強化繊維織物の製造方法およびその製造装置を提供することにあり、少なくとも、たて糸2に強化繊維を用いるものである。 【0076】 本発明で用いられるこの強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維などを用いることができる。強化繊維としては、比強度および比弾性率に優れている炭素繊維が好ましく、なかでも、繊維直径が5〜10μのポリアクリルニトリル系の炭素繊維で、引張強度が3〜7GPaであり、引張弾性率が200〜500GPaのマルチフィラメント(繊維束)を用いることにより、より高い力学的特性を発揮するFRPが得られる。 【0077】 本発明で好ましく用いられる炭素繊維束のたて糸またはよこ糸の総繊度は、400〜5,000テックスの範囲であることが好ましい。 【0078】 ここで、炭素繊維束の総繊度が400テックスより小さいと、糸厚みのばらつきの影響が顕著に出にくく、かつ、よこ糸挿入によるたて糸の屈曲箇所が多くなり、各たて糸の糸長差が発生してもこの屈曲により糸長差が内在する状態で見えにくくなりだけで、実質的には織物ぼこつきやよこ糸蛇行は解消されず、本発明の意義が希薄となる傾向がある。 【0079】 また、炭素繊維束の総繊度が5,000テックスを超えると、糸幅を均一に拡げることが困難で、繊維分散が均一な織物が得られ難く、力学的特性を十分に発揮させる強化繊維織物を得ることが難しい。より好ましい炭素繊維束の総繊度は、800テックスから3,200テックスである。 【0080】 また、炭素繊維束のマルチフィラメントの本数は、好ましくは6,000本〜75,000本程度である。より好ましいマルチフィラメントの本数は、12,000本から60,000本である。 【0081】 本発明で製造される強化繊維織物は、強化繊維糸条が二方向に配列された、いわゆる二方向性織物であってもよいが、よこ糸に補助糸を用いた、いわゆる一方向性織物で、かつ、よこ糸の総繊度がたて糸の総繊度の1/1,000〜1/10であることが好ましい。その理由は、一方向性織物においては、よこ糸となる補助糸はたて方向に配列した強化繊維束をばらけないように一体化するためのものであることから、ばらけない範囲でできるだけ細ければよく、たて糸の総繊度の1/10以下が好ましい。しかしながら、1/1,000未満のようにあまり細すぎると取扱性が困難になることから、1/1,000〜1/10の範囲が好ましい。 【0082】 このように、よこ糸の総繊度がたて糸の総繊度に比べてかなり小さい一方向織物においては、よこ糸の曲げ剛性が小さいことから、よこ糸がたて糸を押さえる力が小さく、たて糸長差があると織物ぼこつきが顕著に発生しやすいので、本発明の効果が効果的に発現されるからである。 【0083】 また、補助糸の材料としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリアラミド繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、および炭素繊維などから選択することができ、ガラス繊維に低融点ナイロン繊維を引き揃えることやカバリングするなどした複合糸であってもよい。 【0084】 また、よこ糸に強化繊維を用いる場合は、前述のものの中でも、たて糸の1/5以下の総繊度である糸を用いた一方向性織物の形態であることが好ましい。たて糸よりもよこ糸が細い場合、特によこ糸の蛇行や目曲がりが生じやすく、本発明の効果が最大限に発現することができる。 【0085】 本発明で用いられる織物組織としては、少なくとも強化繊維からなる糸条をたて糸とした平織、綾織、朱子織、あるいはノンクリンプ組織(強化繊維糸が真っ直ぐに配向し、たて糸とよこ糸の補助糸が互いに交錯して一体化された組織)などが好ましく用いられる。 【0086】 本発明においては、畝織りとして1本のたて糸が2〜4本の強化繊維束を引き揃えたものにも適用することが可能である。ここで、2〜4本の強化繊維束を引き揃えたものを1本のたて糸とした場合の1本のたて糸とは、2〜4本の強化繊維束を同じ状態に並べたものである。 【0087】 本発明においては、糸厚み調整工程を有することにより、2〜4本の強化繊維束を引き揃えた場合に、集束状態によりたて糸毎の糸厚みが異なったとしても調整することができる。 【0088】 本発明で得られる強化繊維織物は、構造物の補修・補強、輸送機器(自動車、船舶、航空機および自転車など)、スポーツ用品およびFRP型をはじめ、その他の一般産業に用いられるFRPの強化材として好適に用いられる。 【実施例】 【0089】 (実施例1) たて糸(強化繊維束)として、引張強度が4,900MPaであり、引張弾性率が230GPaであり、フィラメント数が12,000本のポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維束からなる糸条(総繊度:800テックス)を用い、よこ糸として、ガラス繊維糸ECE225 1/0(総繊度:22.5テックス)を用いた。図1に示した装置(ただし、押さえローラ13はなし)を用いて、以下の手順により、たて糸のみが炭素繊維束から構成される一方向性織物Aを製造した。 (A)強化繊維束の位置決め工程において、まず、たて糸ボビン1から引き出した複数本のたて糸2を、コーム3を用いて配列密度が2.5本/cmになるように、織物のたて糸として実質的に等間隔になるように位置決めした。 (B)強化繊維束の糸厚み調整工程においては、位置決め工程から導いたたて糸2を、図1に示すように、前後および上下方向に交互に配列させた金属製の5本のガイドローラ(4a、4b、4c、4d、4e)からなる屈曲パスに、たて糸を接触させながら糸厚みの調整を行った。これらの金属製のガイドローラは、いずれも直径30mmのガイドローラとした。 (C)強化繊維束の送り出し工程において、強化繊維束の糸厚み調整工程から導いたたて糸を直径15cmの2本のニップローラ(5a、5b)で、たて糸が滑らないようにニップしながら織機の引き取り速度と同じになるように送り出した。ニップローラは、一方(5a)が金属で、他方(5b)が硬質ウレタンゴムを表面にコーティングしたローラであり、たて糸のニップローラへの接触角度は10°であった。 (D)強化繊維束の張力調整工程において、たて糸送り出し工程から送り出されたたて糸を、ヘルドフレーム毎にそれぞれ異なるイージングローラ(6a、6b)に接触させることにより、たて糸シートの開閉口による張力変動を緩和させた。 (E)織成工程において、強化繊維束の張力調整工程から導かれたたて糸を、2枚のヘルドフレーム(8a、8b)のそれぞれの綜絖に分けて交互に通した。そして、2枚のヘルドフレーム(8a、8b)のそれぞれの綜絖に通したたて糸(2a、2b)が開口されたとき、杼口にレピアにて密度が3.0本/cmになるように、よこ糸ボビン9から解舒されたよこ糸10を打ち込み、筬11により筬打ちすることにより、炭素繊維目付が200g/m2平組織の織物12を織成し、ガイドローラ14、15、引き取りローラ16、およびガイドローラ17を介して、織物12を巻芯18に巻き取って巻物19を得た。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラ4e上でのたて糸厚みのばらつきが8%であった。 【0090】 得られた一方向性織物Aは、たて糸厚みのばらつきが8%であるとともに、イージング機構によりたて糸シートの開閉口における張力変動を緩和させたことから、たて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の織物において、織物ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。得られた一方向性織物Aの概略平面図を図4に示す。図4において、たて糸の炭素繊維束32に対してよこ糸31が蛇行することなく等間隔で並行しており、組織の崩れが認められない。 【0091】 (実施例2) 強化繊維束の糸厚み調整工程において、ガイドローラ(4bと4d)が左右に揺動する揺動ローラとした他は、実施例1と同じようにして一方向性織物Bを製造した。ここで、強化繊維束の糸厚み調整手段における最終ローラ上で測定したたて糸厚みのばらつきは4%であった。得られた一方向性織物Bは、糸厚みのばらつきが4%に調整されるとともにイージング機構によりたて糸シートの開閉口における張力変動を緩和させたことから、たて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の織物において、ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0092】 (実施例3) 強化繊維束の強化繊維束送り出し工程において、図2に示すようにニップローラのかわりに、直径が300mmのテンションローラ20に、たて糸を接触角度が200°になるように接触させながら送り出した他は、実施例1と同じようにして一方向性織物Cを製造した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラガイドローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは5%であった。得られた一方向性織物Cは、糸厚みのばらつきが5%に調整されるとともに糸厚みが調整されたたて糸をテンションロールでスリップすることなく送り出すとともにイージング機構によりたて糸シートの開閉口における張力変動を緩和させたことから、たて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の織物において、織物ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0093】 (実施例4) 強化繊維束の強化繊維束送り出し工程において、図3に示すように接触ローラ(イージングローラ6)の位置を検出するセンサー6Sからの信号をもとに、たて糸の送り出し量をコントロールした他は、実施例1と同じようにして一方向性織物Dを製造した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラガイドローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは3%であった。得られた一方向性織物Dは、糸厚みのばらつきが3%に調整されるとともに、糸厚みが調整されたたて糸をテンションロールでスリップすることなく送り出されるともに、イージング機構によりたて糸シートの開閉口における張力変動を緩和させ、かつ、たて糸の送り出し量をコントロールしたことからたて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の織物において、織物ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0094】 (実施例5) 織成工程において、たて糸シートの開閉口部にたて糸シートの横方向全幅にわたってたて糸を押さえる直径が10mmの円筒状押さえガイドを設けた他は、実施例1と同じようにして一方向性織物Eを製造した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラガイドローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは6%であった。得られた一方向性織物Eは、よこ糸挿入後のたて糸シートの開閉口にともなうよこ糸の屈曲をたて糸シートの横方向全幅にわたって押さえガイドとの接触により抑制するとともにイージング機構によりたて糸シートの開閉口による張力変動を緩和できたことから、たて糸糸条毎に糸長差が生じることなく、巻取り後の織物において、織物ぼこつきやよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0095】 (実施例6) たて糸およびよこ糸に、引張強度が4,900MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が12,000本のPAN系炭素繊維束からなる糸条(総繊度:800テックス)を強化繊維として用い、下記の手順により、たて糸およびよこ糸が炭素繊維から構成される二方向性織物Fを製造した。 (A)強化繊維束の位置決め工程においては、たて糸密度を1.2本/cmとした他は、実施例1と同様に実施した。 (B)強化繊維束の糸厚み調整工程は、実施例2と同様に実施した。 (C)強化繊維束の送り出し工程は、実施例1と同様に実施した。 (D)強化繊維束の張力調整工程は、実施例1と同様にして送り出した。 (E)織成工程は、よこ糸をたて糸と同じ炭素繊維束を用いるとともに、よこ糸密度が1.2本/cm、炭素繊維目付が190g/m2平組織の織物とした他は、実施例1と同様に実施した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは4%であった。得られた二方向性織物Fは、糸厚みのばらつきが4%に調整されるとともにイージング機構によりたて糸シートの開閉口における張力変動を緩和させたことから、たて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の織物において、織物ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0096】 (実施例7) 実施例1において、隣接する強化繊維束3本を引き揃えて1本のたて糸とした他は、実施例1と同じようにして一方向織物Gを得た。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは7%であった。得られた一方向性織物Gは、3本の強化繊維束を引き揃えて1本のたて糸としたものの、糸厚み調整工程で糸厚みを調整したことから、たて糸の糸長差発生が見られず、巻取り後の強化繊維織物において、織物ぼこつきおよびよこ糸の蛇行(組織崩れ)が全く観察されなかった。 【0097】 (比較例1) 強化繊維束の糸厚み調整工程を有さず、糸厚みを調整しなかった他は、実施例1と同じようにして一方向性織物Hを製造した。ここで、糸厚み調整手段を用いていないことからニップローラ手前のガイドローラ上での糸厚みを測定したところばらつきが53%であった。得られた一方向性織物Hは、ガイドローラ上でのたて糸糸厚みのばらつきが53%と大きかったことから、強化繊維束の送り出し工程において、ニップされるたて糸とニップされないたて糸が生じたことにより、糸長差が生じ巻取り後の織物において、織物ぼこつきとよこ糸の蛇行(組織崩れ)が生じていた。得られた一方向性織物Fの概略平面図を、図5に示す。図5において、たて糸の炭素繊維束34に対してよこ糸33が蛇行し、組織の崩れが認められる。 【0098】 (比較例2) ニップローラによる強化繊維束の送り出し手段を用いなかった他は、実施例2と同じようにして一方向性織物Iを製造した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは7%であった。得られた一方向性織物Iは、揺動ローラによりたて糸厚みを調整したものの、たて糸送り出し工程を有さなかったことから、たて糸の送り出し量が不揃いとなったことにより、糸長差が生じ、巻取り後の織物において、織物ぼこつきとよこ糸の蛇行(組織崩れ)が生じていた。 【0099】 (比較例3) 実施例1において、イージング機構(張力調整工程)を用いなかった他は、実施例2と同じようにして一方向性織物Jを製造した。ここで、糸厚み調整手段における最終ローラ4e上で測定したたて糸厚みのばらつきは8%であった。得られた一方向性織物Jは、ガイドローラ上でのたて糸厚みのばらつきが8%と小さかったものの、張力調整工程を有さなかったことから、ヘルドフレームの開閉口時の張力変動を緩和できず糸長差が生じ、巻取り後の織物において、織物ぼこつきとよこ糸の蛇行(組織崩れ)が生じていた。 【0100】 上記の各実施例および各比較例の結果を、表1にまとめて示す。 【0101】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0102】 本発明の強化繊維織物の製造方法によれば、たて糸の糸厚みを調整した後たて糸を製織部に送り出すとともに張力調整工程を経るので、たて糸糸長差の発生を抑制することができ、強化繊維織物のぼこつきやよこ糸の蛇行(組織崩れ)を抑えることができる。本発明の強化繊維織物の製造方法で得られた強化繊維織物は、強化繊維が真直に配向されているので、FRPに成形した場合、高い強度および弾性率などの力学的特性を発現するだけでなく、優れた外観品位を達成することができる。かかる強化繊維織物は、構造物の補修・補強、輸送機器(自動車、船舶、航空機および自転車など)、スポーツ用品およびFRP型をはじめ、その他の一般産業に用いられるFRPの強化材として好適に用いられる。 【図面の簡単な説明】 【0103】 【図1】図1は、本発明に係る強化繊維織物を製造する装置の一例を示す概略側面図である。 【図2】図2は、本発明に係る強化繊維織物を製造する装置の他の一例を示す部分概略側面図である。 【図3】図3は、本発明に係る強化繊維織物を製造する装置の他の一例を示す部分概略側面図である。 【図4】図4は、本発明に係る実施例1により製造された強化繊維織物の織組織を示す概略平面図である。 【図5】図5は、本発明の範囲外である比較例1により製造された強化繊維織物の織組織を示す概略平面図である。 【符号の説明】 【0104】 1 : たて糸ボビン 2、2a、2b : たて糸 3 : コーム 4、4a、4b、4c、4d、4e : ガイドローラ(揺動ローラ) 5a、5b : ニップローラ 6、6a、6b : イージングローラ 6S : センサー 7、21、22 : ガイドローラ 8、8a、8b : ヘルドフレーム 9 : よこ糸ボビン 10、31、33 : よこ糸 11 : 筬 12 : 織物 13 : 押さえガイド 14、15、17 : 引取ガイドローラ 16 : 引取ローラ 18 : 巻芯 19 : 巻物 20 : テンションローラ 32、34 : 炭素繊維束
特許の図
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年5月31日(2007.5.31) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−13900(P2008−13900A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2007−144590(P2007−144590) |
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