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【発明の名称】
【発明者】 【氏名】宮原 文夫

【氏名】斎藤 充範

【氏名】山口 南生子

【要約】 【課題】切断面がほつれにくく、かつ柔軟性と復元性に優れた紗を提供する。

【構成】紗が繊度15〜40デニールの合成樹脂製糸からなる紗であって、紗全体に融着パターンが面積率10〜30%で形成され、織目の最大細孔径が150〜800μm、開口率45〜75%である。緯糸に扁平糸を使用することが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊度15〜40デニールの合成樹脂製糸からなる紗であって、紗全体に融着パターンが面積率10〜30%で形成され、織目の最大細孔径が150〜800μm、開口率45〜75%である紗。
【請求項2】
融着パターンが熱エンボスロールにより形成されている請求項1記載の紗。
【請求項3】
融着パターンが超音波エンボスロールにより形成されている請求項1記載の紗。
【請求項4】
合成樹脂製糸が、芯成分が融点240〜270℃のポリエステル樹脂からなり、鞘成分が融点160〜230℃のポリエステル樹脂からなる芯鞘型複合糸である請求項1〜3のいずれかに記載の紗。
【請求項5】
合成樹脂製糸が、芯成分が融点160〜190℃のポリプロピレン樹脂からなり、鞘成分が融点110〜130℃のポリエチレン樹脂又は融点130〜160℃のエチレンプロピレン共重合体樹脂からなる芯鞘型複合糸である請求項1〜3のいずれかに記載の紗。
【請求項6】
紗上の任意の点から紗面上のいずれの方向にも3.5mm以内に融着パターンが存在する請求項1〜5のいずれかに記載の紗。
【請求項7】
緯糸に扁平糸が使用されている請求項1〜6のいずれかに記載の紗。
【請求項8】
扁平糸が、扁平度1.5〜6、繊度15〜40デニールである請求項7記載の紗。
【請求項9】
扁平糸がポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる請求項7又は8記載の紗。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の紗からなるティーバッグのフィルター材料。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の紗がピラミッド型に成形され、内部に茶葉が充填されているティーバッグ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶、緑茶等のティーバッグのフィルター材料として好適な紗に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティーバッグの充填包装機には、そのバッグ成形時のシール方法によって、主に、ホチキスタイプ、ヒートシールタイプ、超音波シールタイプがある。このうち、ホチキスタイプ、ヒートシールタイプの充填包装機は、1分間に400〜600袋の充填能力があるが、超音波シールタイプの充填包装機はその10分の1程度の充填能力しかない。
【0003】
一方、ティーバッグのフィルター材料としては、高融点不織布層と低融点不織布層を積層した不織布製のシート(特許文献1)や、ナイロン糸を平織にしたナイロン紗が使用されている。不織布製のシートはナイロン紗に比して安価であり、広く使用されているが、透明性が劣るため、ユーザーには、ティーバッグ内の茶葉の性状がわかりにくいという問題点がある。
【0004】
ナイロン紗は透明性に優れ、素材の高級感もあることから、高品質の茶に適している。しかしながら、ナイロン紗は、その表裏に融点差をつけられないため、ヒートシールタイプの充填包装機を使用することができない。そのため、超音波シールタイプの充填包装機を使用することを余儀なくされ、生産性が低く、紗を使用したティーバッグの普及が妨げられていた。
【0005】
これに対し、近年、1分間に350〜500袋程度の充填能力を有する高速の超音波シールタイプの充填包装機が開発された。しかしながら、従前の超音波タイプの充填包装機では、超音波でフィルター材料を溶かすと同時に切断していたが、この高速の超音波タイプの充填包装機では、予めフィルター材料を所定の大きさに切断しておき、その切断しておいたフィルター材料を超音波で溶着する。そのため高速の超音波タイプの充填包装機で、フィルター材料としてナイロン紗を使用すると、切断面から紗がほつれてくるという問題が生じた。
【0006】
織物のほつれを防ぐ方法としては、織物全体を熱風処理し、表面を溶かして糸同士を融着させる技術(熱セット)が知られている(特許文献2)。しかしながら、この手法を紗に適用すると、紗が全体的に硬くなり、紗が本来有する柔軟性が低下し、高級感が損なわれる。また、熱セットした紗でピラミッド型のティーバッグを製造した場合、そのティーバッグのピラミッド型が、商品の外装容器に詰められるなどにより一旦押しつぶされると、もはや元のピラミッド型には容易に復元せず、茶を入れるときにピラミッド型にならないという問題が生じる。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録2513153号
【特許文献2】特開2000−128233号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の従来技術の問題に対し、本発明は、切断面がほつれにくく、かつ柔軟性と復元性に優れた紗を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特定繊度の合成樹脂製糸で紗を織り、かつ、紗全体に融着パターンを所定の面積率で施すことにより、切断面がほつれにくく、柔軟性と復元性に優れた紗を製造できること、特に、緯糸に偏平糸を使用すると、復元性がより優れたものとなり、紗の厚みが薄くなって柔軟性も高まり、また、織り糸間の最大細孔径を小さくでき、これをティーバッグに使用した場合に、微細な茶葉であっても、ティーバッグ内から漏れ出ないようにできることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、繊度15〜40デニールの合成樹脂製糸からなる紗であって、紗全体に融着パターンがパターン面積率10〜30%で形成され、織目の最大細孔径が150〜800μm、開口率が45〜75%である紗を提供する。
【0011】
また、本発明は、上述の紗からなるティーバッグのフィルター材料を提供し、さらに、上述の紗がピラミッド型に成形され、内部に茶葉が充填されているティーバッグを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紗は、繊度15〜40デニールの合成樹脂製の糸からなり、紗全体に融着パターンが形成されているので、任意の部位で切断してもほつれにくくなり、高速の超音波充填包装機にかけることが可能となる。
【0013】
また、この融着パターンは面積率10〜30%で形成され、紗の表面全面に融着処理が施されたものではないため、本発明の紗は、紗本来の優れた透明性と柔軟性と復元性を有する。
【0014】
加えて、織目の最大細孔径が150〜800μmであるため、この紗をティーバッグに使用した場合に、ティーバッグ内の茶葉が微細なものであっても、それがティーバッグ内から漏れ出ることを防止でき、さらに、紗全体の開口率が45〜75%であるため、この紗から形成したティーバッグは透水性に優れ、茶の抽出時に湯中に沈みやすく、かつ湯中から引き上げるときには、水切れがよい。
【0015】
特に、本発明において、扁平糸を使用した場合には、復元性が一層向上する。したがって、扁平糸を使用した本発明の紗からピラミッド型のティーバッグを製造すると、そのティーバッグが商品の外装容器に詰められる等により押しつぶされても、容易に当初のピラミッド型に復元する。また、紗の厚みが薄くなるので柔軟性も高まり、織目の細孔がより小さくなるので、粉状の茶葉の漏れを確実に防止することが可能となる。さらに、シール時にフィルター材料同士の接触面積が広くなるのでシール強度が高まり、その分シール幅を狭くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
本発明の紗は、経糸、緯糸のいずれにも繊度15〜40デニールの合成樹脂製糸を織ったものである。
【0018】
ここで、糸を形成する合成樹脂としては、融着により糸同士の接着を可能とする点から、融点が130〜230℃のものが好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ乳酸等の生分解性樹脂、等をあげることができる。中でも、燃焼時の排気や保存時の変色を防ぐ点からポリエステルやポリオレフィンが好ましい。
【0019】
合成樹脂製糸の形態に関しては、紗の透明性を向上させる点から、モノフィラメントが好ましい。
【0020】
繊度は、コスト、粉状の茶葉の漏れ防止等の点から15〜40デニールとし、好ましくは25〜30デニールとする。繊度が小さすぎると、粉状の茶葉の漏れ防止のため、一定長さあたりの織り糸の本数を多くしなければならず、紗の生産性が低下する。反対に、繊度を大きすぎると糸の原料コストが高くつく。
【0021】
織り糸としては、後に詳述する紗の融着パターンを、熱ロールを用いて形成する場合には、経糸、緯糸の少なくとも一方に芯鞘型複合糸を使用することが好ましい。芯鞘型複合糸としては、芯成分が融点240〜270℃のポリエステル樹脂からなり、鞘成分が融点160〜230℃のポリエステル樹脂からなるものや、芯成分が融点160〜190℃のポリプロピレン樹脂からなり、鞘成分が融点110〜130℃のポリエチレン樹脂又は融点130〜160℃のエチレンプロピレン共重合体樹脂からなるもの等をあげることができる。なお、芯成分と鞘成分の融点差は、融着パターン形成加工がしやすく、更に、超音波シールにてティーバッグを形成する際のシール強度を高めるという点から100℃以下とすることが好ましい。
【0022】
また、織り糸には偏平糸を使用することが好ましく、特に、織りやすさの点から緯糸に扁平糸を使用することが好ましい。扁平糸の使用により、(i)紗の曲げに対する復元性が向上する、(ii)紗の厚みが薄くなるので柔軟性が向上する、(iii)紗の織目の最大細孔径が小さくなるので、紗からティーバッグを製造した場合に、粉状の茶葉の漏れをさらに防止することが可能となる、(iv)製袋時のシールにおいて、紗同士の接触面積が広くなるので、シール強度が高まり、その分シール幅を狭くすることができる、といった利点を得ることができる。
【0023】
扁平糸としては、扁平度1.5〜6、繊度15〜40デニールのものが好ましい。ここで、扁平度とは、扁平糸の横断面において、長軸の幅Aとこれに直交する短軸の幅Bとの比A/Bをいう。扁平度が小さすぎると、柔軟性の向上効果が上がらず、また、織目の最大細孔径を小さくする効果も得られない。反対に、大きすぎると、糸切れが生じ易くなる。
【0024】
扁平糸の熱融着性は、熱融着パターンの形成方法、上述の芯鞘型複合糸の使用の有無等に応じて適宜定めればよく、その構成素材に特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリ乳酸等の生分解性プラスチック等が好ましい。扁平糸の市販品としては、三菱レイヨン社(商品名:AHY)、帝人ファイバー社(商品名:ウェーブロン)、ユニチカファイバー社(商品名:スビオ)、東レ社(エコディアソフトタイプ扁平糸)、東洋紡社(商品名:DDD)、日本エクスラン工業社(商品名:ランビーナ)等を使用することができる。
【0025】
紗の織り方は、平織、綾織、朱子織等とすることができるが、コスト、透明性、抽出性、厚さの薄さの点から、平織が好ましい。
【0026】
本発明の紗は、全体的に融着パターンが形成されていることを特徴としている。これにより、紗を任意の部位で切断してもほつれにくくなり、予め所定の大きさに切断した後、ティーバッグの充填包装機にかけることが可能となる。また、紗に全体的に融着パターン形成することにより、紗に地模様を付与することが可能となり、デザイン的にも優れたものを得ることができる。
【0027】
融着パターンの具体例としては、例えば、図1の紗1Aのように斜め格子柄2、図2の紗1Bのように編み目柄、図3の紗1Cのように波柄などとすることができ、さらに図4の紗1Dのようにロゴを入れても良い。いずれのパターンにおいても、ほつれ防止の点から、紗上の任意の点から紗面上のいずれの方向にも3.5mm以内に融着パターンが存在するようにすることが好ましい。
【0028】
融着パターンの面積率は、小さすぎると、十分にほつれ防止の効果を得られず、大きすぎると熱セットした場合と同様になり、紗本来の透明性、柔軟性、復元性が損なわれるため、10〜30%、好ましくは15〜20%とする。融着パターンの面積率をこの範囲とすることにより、透明度を全光線透過率として70%以上とすることができ、例えば、経糸に丸断面糸、緯糸に扁平断面糸を使用した場合に、柔軟性を、曲げこわさ(カトーテック社、自動化純曲げ試験機)で、縦方向0.10〜0.75gf・cm/cm、横方向0.03〜0.08gf・cm/cmとすることができ、圧縮仕事量(カトーテック社、自動化圧縮試験機)を、0.020〜0.030gf・cm/cmとすることができる。従前の熱セットにより全面を固めた紗織物のティーバッグ用フィルター材料は、一般に、全光線透過率が70%以上だが、曲げこわさが0.10〜0.15gf・cm/cm、圧縮仕事量が0.016〜0.020gf・cm/cmであるから、本発明の紗は、透明性と柔軟性に優れていることがわかる。
【0029】
融着パターンの形成方法としては、熱エンボスロールを用いる熱処理や、超音波エンボスロールを用いる超音波処理等をあげることができる。
【0030】
融着パターンの具体的な形成条件は、使用する糸の種類等に応じて適宜定めることができ、例えば、経糸に芯鞘型複合糸(芯成分:融点260℃のポリエステル、鞘成分:融点213℃のポリエステル)を使用し、緯糸に融点260℃の帝人ファイバー社のウェーブロン(登録商標)を使用する場合、熱エンボスロールの表面温度を210〜220度、線圧力を150〜170N/cmとすることが好ましい。
【0031】
また、本発明においては、融着パターンの形成後の織目の最大細孔径を150〜800μm、好ましくは400〜500μmとし、紗の開口率を45〜75%とする。
【0032】
ここで、最大細孔径は、バブルポイント法から得られる数値である。バブルポイント法では、毛細管現象によって細孔に液体を満たした状態のフィルターに空気圧をかけ、気体流量が発生した時点での入力圧力を測定し、その入力圧力から最大気孔径を算出する。また、開口率は、紗の平面画像における平面的な孔の面積比をいう。
【0033】
織目の最大細孔径がこの範囲よりも小さいときや紗の開口率がこの範囲よりも小さいとは、ティーバッグに使用したときに透水性が劣り、反対に大きいとティーバッグに使用したときの茶葉もれが生じるので好ましくない。
【0034】
融着パターン形成後の織目の最大細孔径や開口率を上述の範囲とするための具体的手法としては、例えば、融着パターン形成前の紗の設計段階で、糸の構成本数を決定する。
【0035】
本発明の紗は、公知の低速乃至高速の任意の熱シール充填包装機や超音波充填包装機にかけることができ、それにより、矩形、ピラミッド型、その他種々の形状のバッグを製造することができる。したがって、本発明の紗は、緑茶、紅茶、だし、コーヒー、入浴剤等のバッグのフィルター材料として有用であり、特に、ティーバッグのフィルター材料として有用である。またこの紗を用いて製造したティーバッグ、特に、茶の抽出時にティーバッグ内での茶葉の開きが良好なピラミッド型のティーバッグを包含する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の紗は、ティーバッグ、その他のフィルター材料等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例の紗の平面模式図である。
【図2】実施例の紗の平面模式図である。
【図3】実施例の紗の平面模式図である。
【図4】実施例の紗の平面模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1A、1B、1C、1D 紗
2 柄

特許の図
【出願人】 【識別番号】396015057
【氏名又は名称】大紀商事株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−13881(P2008−13881A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186785(P2006−186785)