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【発明の名称】 ガラス繊維織物
【発明者】 【氏名】水谷 信博

【要約】 【課題】従来のガラス繊維織物と比べて伸びやすいものとすることが可能な、新規なガラス繊維織物を提供する。

【構成】ガラス繊維織物において、経糸もしくは緯糸として、糸の引張強さが3.0cN/dtex以上かつ糸の伸度が3.0%以上であるガラス繊維糸、好ましくはガラス繊維からなるインターレース糸を用いてなることを特徴とするガラス繊維織物であり、好ましくは平織りであり、経糸密度および緯糸密度が12本/25mm以上であり、織物の経糸方向または緯糸方向の伸度が4.0%以上であることを特徴とするガラス繊維織物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維織物において、経糸もしくは緯糸として、糸の引張強さが3.0cN/dtex以上かつ糸の伸度が3.0%以上であるガラス繊維糸を用いてなることを特徴とするガラス繊維織物。
【請求項2】
ガラス繊維織物において、経糸もしくは緯糸として、ガラス繊維からなるインターレース糸を用いてなることを特徴とするガラス繊維織物。
【請求項3】
インターレース糸の伸度が3.0%以上である請求項2に記載のガラス繊維織物。
【請求項4】
ガラス繊維織物において、平織りであり、経糸密度および緯糸密度が12本/25mm以上であり、織物の経糸方向または緯糸方向の伸度が4.0%以上であることを特徴とするガラス繊維織物。
【請求項5】
シランカップリング剤が付与されている請求項1〜4のいずれか1に記載のガラス繊維織物。
【請求項6】
ヒートクリーニングが施されていない請求項5に記載のガラス繊維織物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維織物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維織物(ガラスクロスともいう)は、各種の複合材料における補強材として、その用途が近年ますます広がっている。例えば、高剛性要求、高寸法安定性要求、低熱膨張要求等から、ガラスクロスにマトリックス樹脂を含浸させたフィルム基材が、プリント配線板の用途に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、屋根材等に用いられる積層板として、熱可塑性合成樹脂からなる基板の一面に金属箔が積層され、多面にガラスクロスが貼着されてなる、ガラスクロスを貼着した面の伸びが少ない剛性に優れた積層板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記のように、ガラスクロスは、高剛性で伸びの少ないという特徴を備えており、専らその特徴を生かす用途に利用されている。これは、ガラス繊維自体が伸びの少ない繊維であることから、織物とした場合の伸びとしては、糸条の交錯点における屈曲が引っ張られることによる、いわゆる組織伸び以上にはほとんど伸びが生じないことによる。例えば、最も多用されていると思われる通常の平織りでは、織物の伸びは経方向、緯方向ともに3%には満たない。伸び率が比較的大きいものも知られているが(例えば、特許文献3参照)、織密度が非常に小さいなどの特殊な組織によるものであり、また、伸び率を高くすることを目的とするものではない。
【0005】
【特許文献1】再公表特許WO2004/027136(特許請求の範囲、背景技術)
【特許文献2】特開2002−1868号公報(段落[0005]、[0007])
【特許文献3】特開2001−329466号公報(段落[0032]の表1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のガラス繊維織物は、高剛性かつ伸びが少ないことを特徴とし、各種用途に利用されていた。しかし、伸びが少ないことは、例えば他のシート状物と積層一体化するなど、他の材料と組み合わせて用いた場合には、他の材料の伸びに十分に追随することができないため、例えば積層板に反りが生じるなどの不都合をもたらす場合もあった。
【0007】
そこで、本発明は、従来のガラス繊維織物と比べて伸びやすいものとすることが可能な、新規なガラス繊維織物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するにあたり、組織伸びに依ったのでは、利用範囲が自ずと制限され、また、複雑な組織では製織が難しかったり、屈曲によりガラス繊維の強度を損ねたりする場合もあると考えた。そこで、ガラス繊維からなる糸条を伸びやすいものとすることによって課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1] ガラス繊維織物において、経糸もしくは緯糸として、糸の引張強さが3.0cN/dtex以上かつ糸の伸度が3.0%以上であるガラス繊維糸を用いてなることを特徴とするガラス繊維織物、
[2] ガラス繊維織物において、経糸もしくは緯糸として、ガラス繊維からなるインターレース糸を用いてなることを特徴とするガラス繊維織物、
[3] インターレース糸の伸度が3.0%以上である前項[2]に記載のガラス繊維織物、
[4] ガラス繊維織物において、平織りであり、経糸密度および緯糸密度が12本/25mm以上であり、織物の経糸方向または緯糸方向の伸度が4.0%以上であることを特徴とするガラス繊維織物、
[5] シランカップリング剤が付与されている前請[1]〜[4]のいずれか1に記載のガラス繊維織物、および
[6] ヒートクリーニングが施されていない前項[5]に記載のガラス繊維織物、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガラス繊維織物は、従来のガラス繊維織物に比べて伸びやすいものとすることができるので、補強材として他の材料と組み合わせて用いたときに、他の材料の伸びに追随する能力に優れている。このため、例えば、金属板と積層して用いた場合、反りの少ない積層板を得ることができる。
【0011】
インターレース糸を用いてなる本発明のガラス繊維織物は、撚糸を用いてなる従来のガラス繊維織物に比べて、柔らかくドレープ性に優れたものとなり、立体的な形状の成形体の補強材として用いるときにも、形状に沿いやすく好適である。また、インターレース糸は太細斑のある外観を呈するので、インターレース糸を用いてなる本発明のガラス繊維織物は意匠性に富む織物とすることができ、壁材などに用いて意匠性を高めることができる。さらに、インターレース糸は、エアージェットによって運ばれやすいので、インターレース糸を用いてなる本発明のガラス繊維織物は、エアージェットルームでの製織性が特に良好である。
【0012】
また、シランカップリング材が付与された本発明のガラス繊維織物は、FRPの補強材に用いて樹脂とのなじみが良好であり、また、壁材などに用いて塗料とのなじみが良く、屋根や道路の止水層の補強材に用いてピッチ(石油ピッチもしくは石炭ピッチ)とのなじみが良い。さらに、ヒートクリーニングが施されていない態様においても、上記と同様の樹脂、塗料およびピッチなどとのなじみの良さを具備することができるので、省エネルギーであるとともに、ヒートクリーニングのダメージによる強度低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、ガラス繊維織物とは、ガラス繊維で構成されたフィラメントヤーンであるガラス繊維糸を用いて製織された織物をいう。本発明におけるガラス繊維の組成としては、特に限定されるものではないが、例えばEガラス、Sガラスなどが挙げられる。
【0014】
本発明におけるガラス繊維の平均単糸径としては、特に限定されるものではないが、2〜20μm程度が好ましく、5〜15μmがより好ましい。ガラス繊維織物を薄くしたい場合には細めの単糸を用いるのが効果的であるが、あまり細いものでは単糸切れや強度上の問題を生じやすい傾向にある。なお、ガラス繊維単糸の横断面形状としては、特に限定されるものではなく、扁平断面やその他の異形断面でもよいが、通常は丸断面が用いられる。
【0015】
本発明におけるガラス繊維糸の繊度としては、特に限定されるものではないが、50〜500tex程度が好ましく、60〜300texがより好ましい。また、ガラス繊維糸における単糸本数としては、50〜600本が好ましく、100〜500本がより好ましい。
【0016】
本発明のガラス繊維織物は、従来のガラス繊維織物と比較して、伸びやすいガラス繊維織物とすることができる。この伸びやすさの度合いとしては、織物の経糸方向または緯糸方向の伸度が4.0%以上であることが好ましく、5.0%以上であることがより好ましい。織物の経糸方向または緯糸方向の伸度の上限としては、通常7%程度にとどまる。本発明におけるガラス繊維織物の伸度D(%)は、JIS R 3420(1999)の7.4.2 a)に従ってガラス繊維織物の引張強さを測定する際のつかみ間隔L(mm)と、破断時のつかみ間の長さL(mm)とから、次の式によって算出される値を意味する。
D=(L−L)/L
【0017】
本発明のガラス繊維織物において、織物の経糸方向または緯糸方向の引張強さとしては、その目付けにもよるが、目付け100g/mあたりに換算して、200N/25mm以上が好ましく、300N/25mm以上がより好ましく、400N/25mm以上が特に好ましい。織物の経糸方向または緯糸方向の強度の上限としては、目付けにもよるが、目付け100g/mあたりに換算して、通常は500〜600N/25mm程度にとどまる。本発明におけるガラス繊維織物の引張強さは、JIS R 3420(1999)の7.4.2 a)に従って測定される引張強さを意味する。
【0018】
なお、上記の織物の引張強さの範囲について、目付けが100g/mと異なる場合には、目付けに比例するものとして考えてよい。
【0019】
本発明のガラス繊維織物が、従来のガラス繊維織物と比較して伸びやすいということは、経糸もしくは緯糸として、伸びやすいガラス繊維糸を使用することによって具現され、使用するガラス繊維糸の違い以外の要因、すなわち織組織、経糸密度および緯糸密度や目付けが同等の場合で比較して、従来のガラス繊維織物よりも伸びやすいことを意味する。したがって、上記の伸びやすいガラス繊維糸を経糸に使用すれば、経糸方向に伸びやすいガラス繊維織物とすることができ、緯糸に使用すれば緯糸方向に伸びやすいガラス繊維織物とすることができるのである。
【0020】
もっとも、本発明で使用される伸びやすいガラス繊維糸においては、ガラス繊維の組成が従来のガラス繊維と格別相違するものではないので、ガラス繊維という素材そのものの伸びは従来のガラス繊維糸の場合と同様に小さい。ガラス繊維糸においては、そのような繊維素材そのものの伸びとは別に、構成単糸の立体的な配置に起因する伸び、具体的には張力がかかった際に単糸のたるみが解消されることにより糸条としての伸びが発生するので、本発明ではこの伸びの寄与によって糸の伸度が比較的大きいガラス繊維糸をもって、伸びやすいガラス繊維糸と称しているのである。
【0021】
上記の伸びやすいガラス繊維糸における糸の伸度としては、3.0%以上であることが好ましく、3.0〜5.0%がより好ましい。
【0022】
また、上記の伸びやすいガラス繊維糸における糸の引張強さとしては、3.0cN/dtx以上であることが好ましく、3.0〜6.5cN/dtexがより好ましい。
なお、本発明におけるガラス繊維糸の引張強さおよび伸度は、JIS R 3420(1999)の7.4.2 b)に従って測定される引張強さおよび伸度(伸び)を意味する。
【0023】
本発明におけるガラス繊維織物の組織としては、特に限定されるものではないが、例えば、平織り、朱子織り、綾織りなどが挙げられる。本発明では、目ずれが比較的少なく、平坦なガラス繊維織物が得られやすい点から、平織りが好ましく採用される。なお、朱子織りはドレープ性の向上に効果的であり、綾織りは一方向の組織伸びを増すのに効果的である。
【0024】
本発明のガラス繊維織物における経糸密度および緯糸密度としては、特に限定されるものではないが、10〜40本/25mm程度が好ましく、12〜32本/25mmがより好ましい。
【0025】
ガラス繊維織物が平織りの場合、組織伸びが少ないため、従来のガラス繊維織物では織物の伸びが小さい。しかし、本発明においては、伸びやすい糸条を用いることにより、平織りであって経糸密度および緯糸密度が12本/25mm以上であっても、織物の経糸方向または緯糸方向の伸度が4.0%以上、好ましくは4.0〜5.0%、さらには5.0%以上、好ましくは5.0〜7.0%の織物とすることが可能である。
【0026】
本発明のガラス繊維織物の厚さとしては、特に限定されるものではなく、用途にもよるが、0.1〜0.3mm程度が好ましい。また、ガラス繊維織物の目付けとしては、特に限定されるものではなく、用途にもよるが、100〜400g/m程度が好ましく、100〜300g/mがより好ましい。ガラス繊維織物の厚さや目付けは、使用するガラス繊維糸、織組織、糸密度などを適宜選択して調整することができる。
【0027】
本発明のガラス繊維織物を構成するために用いられるガラス繊維糸としては、ガラス繊維からなるインターレース糸が好ましい。インターレース糸とは、インターレース加工が施された糸のことであり、インターレース加工により、構成フィラメント同士が交絡してなる細い部分すなわち細部と、フィラメント同士が交絡していない太い部分すなわち太部とが交互に形成された太細のある糸となっている。この太部においては、フィラメントが幾分たるんでいるため、インターレース糸に張力がかかった際の伸び代を提供することができる。したがって、伸びの少ないガラス繊維から構成されている糸条であるにもかかわらず、インターレース糸であることにより伸びやすい糸条となることができるのであり、特に強度が損なわれることもない。また、形成された太部には空気を包含させやすいので、エアージェットに乗りやすい糸条となり、エアージェットルームでの製織においては有利となる。
【0028】
また、インターレース糸を使用することにより、風合いの柔らかいドレープ性に優れたガラス繊維織物とすることができ、使用時に立体的な形状に沿わせる場合には有利である。逆に、使用時に硬さが必要な場合には、少量の樹脂を含浸するなどして硬さを付与すればよい。ドレープ性を重視する場合、本発明のガラス繊維織物の剛軟度としては、100mm以下が好ましく、70〜90mmがより好ましい。ここで、剛軟度は、JIS L 1096(1990)の6.19.1 A法(45°カンチレバー法)に従って測定される剛軟度を意味する。
【0029】
さらに付加的な効果として、インターレース糸は細部と太部が交互に形成されていわゆる太細斑のある外観を呈するので、ガラス繊維織物の意匠性を高めることもできる。
【0030】
本発明におけるインターレース糸の伸度としては、3.0%以上が好ましく、3.0〜5.0%がより好ましい。3.0%以上であることは、所望の伸びやすいガラス繊維織物を製織する点でより効果的である。また、交絡度すなわち細部の個数としては、60〜75個/mが好ましく、64〜70個/mがより好ましい。
【0031】
インターレース加工の条件としては、特に限定されるものではなく、公知のインターレースノズルを用いて通常の条件で行えばよいが、あえて記せば、オーバーフィード率としては4.0〜5.0%程度が好ましく、空気圧としては0.2〜0.3MPa程度が好ましい。かかる範囲で適宜条件を選択してインターレース加工を行うことにより、上記のインターレース糸の伸度および交絡度を所望の範囲に調整することができる。
【0032】
インターレース糸を用いてなる本発明のガラス繊維織物において、上記インターレース糸は、経糸のみに用いられていてもよく、緯糸のみに用いられていてもよく、経糸と緯糸の両方に用いられていてもよい。該ガラス繊維織物においては、インターレース糸が用いられている方向に伸びやすい織物とすることができる。
【0033】
本発明のガラス繊維織物は、上記のように通常のガラス繊維糸より伸びやすいガラス繊維糸を用いること以外は、従来のガラス繊維織物と同様にして公知の方法を利用して製造することができる。織機としては、特に限定されるものではなく、レピア式、ウオータージェットルーム、エアージェットルームのいずれでもよいが、エアージェットルームが好ましい。
【0034】
本発明のガラス繊維織物は、種々の用途に利用することができるが、合成樹脂、塗料、ピッチなどを含浸もしくは塗付する用途においては、本発明のガラス繊維織物に表面処理としてシランカップリング剤が付与されていることが好ましい。それにより、ガラス繊維と合成樹脂、塗料、ピッチなどとのなじみが良くなり、浸透性や界面接着性の向上に寄与する。
【0035】
シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、公知のシランカップリング剤を適宜用いればよいが、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。それらのシランカップリング剤は、市販品として入手可能である。
【0036】
ガラス繊維織物にシランカップリング剤を付与する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、上記のシランカップリング剤を含有する処理液を用いて、ガラス繊維織物を該処理液中に浸漬するか、ガラス繊維織物に該処理液を塗布するなどしてから、必要に応じて余剰の処理液を絞り取った後に乾燥する方法が挙げられる。ここで、ガラス繊維に糊剤が付与されていた場合には、シランカップリング剤を付与する前に、糊剤を除去するため通常約300〜400℃で約24〜100時間加熱するヒートクリーニングが行われる。従来のガラス繊維織物においては、製織性を良好にするために糊剤が付与された有糊のガラス繊維糸を用いていることが多く、その場合にはシランカップリング剤を付与する前のヒートクリーニングが通常行われる。しかし、ヒートクリーニングは、ガラス繊維の強度を低下させるという不利益をもたらすので、本発明においては、ヒートクリーニングを行わないこともある。
【0037】
本発明において、ガラス繊維からなるインターレース糸を用いる場合、該インターレース糸は糊剤が付与されない無糊であっても、エアージェットルームにより良好に製織することができる。また、上記インターレース糸には、製織前にシランカップリング剤を付与することができる。したがって、本発明において、無糊でかつ予めシランカップリング剤が付与されたインターレース糸を用いてエアージェットルームで製織することにより、ヒートクリーニングを行うことなくシランカップリング剤が付与されたガラス繊維織物を効率良く得ることができる。このガラス繊維織物は、無糊のためシランカップリング剤の作用に悪影響を与えず、ヒートクリーニングによる強度低下も無いという利点を有する。
【0038】
製織前の糸条にシランカップリング剤を付与する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、糸条を走行させつつ処理液中に浸漬するか、油剤ローラーなどを用いて処理液を糸条に塗布するなどしてから、必要に応じて余剰の処理液を絞りとった後に乾燥する方法が挙げられる。なお、予めシランカップリング剤が付与されたインターレース糸において、該シランカップリング剤は、インターレース加工の前後いずれに付与されたものでも構わない。ガラス繊維の原糸にシランカップリング剤が付与されたが市販品として入手できるので、これをインターレース加工してもよい。
【0039】
本発明のガラス繊維織物の好適な用途を例示すれば、まず、公知の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂と組み合わせて、繊維強化プラスチック成形体の強化材として用いることができる。樹脂フィルムとの積層体として用いることも好適である。
【0040】
また、本発明のガラス繊維織物にピッチを含浸させて止水シートとして用いることができる。そのような止水シートのさらに具体的な使用例としては、建築物の屋根の止水層、貯水地もしくはタンク下の止水層、あるいは透水舗装道路の地下の止水層を形成するための使用などが挙げられる。特に、道路の地下に用いる場合、ガラス繊維織物の伸びが振動を吸収して破損しにくいという点で従来のガラス繊維織物を用いるより有利である。
【0041】
また、本発明のガラス繊維織物は、壁材などの建築資材の補強材として有用である。特に、ガラス繊維織物の形態が表面から視認できるように壁材などの表面近傍に積層する場合、インターレース糸を使用したものは該壁材などの意匠性を高めることができる。
【0042】
また、本発明のガラス繊維織物は、制振鋼鈑の補強材として有用である。この用途に用いる方法としては、例えば、半溶融状態のゴムシートに本発明のガラス繊維織物を積層接着し、さらにこのゴムとの積層体を、ガラス繊維織物とは反対側の面が鋼鈑側となるように鋼鈑と積層接着し、しかる後に熱処理する方法が挙げられる。特にこの用途においては、ガラス繊維織物が伸びやすいことにより、製造時の熱履歴や使用時の熱に起因する反りを低減させることができる。
【0043】
本発明のガラス繊維織物は、上記した例に限らず、従来ガラス繊維織物が用いられている用途および今後新たに生じうるガラス繊維織物の用途に用いることができる。なお、それらの用途においては、上記で例示した効果に限らず、本発明のガラス繊維が伸びやすいものであることに由来する効果が期待できる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明が該実施例に限定されないことはいうまでもない。
なお、糸および織物の引張強さおよび伸度は、いずれも上記したJIS R 3420記載の方法により測定した。該測定には、引張試験機(島津製作所製、「オートグラフ(登録商標)S−500C」)を用い、それぞれサンプル点数を5点として平均値を採用した。試験速度は、糸の試験では250mm/分、織物の試験では200mm/分とした。
また、織物の剛軟度は、上記したJIS L 1096記載の45°カンチレバー法により測定した。5枚の表裏を測定して平均値を採用した。
【0045】
実施例1
平均単糸径9μm、単糸数が200本で無撚のEガラス組成の、アミノ系シランカップリング剤が0.5〜0.7%付与された(それ以外に糊剤が付与されていない)ガラス繊維糸を市販品(セントラルグラスファイバー株式会社製、ERS135−562C−G/SS)として入手した。このガラス繊維糸に、交絡機(株式会社愛機製作所)にてインターレースノズルを用いて、オーバーフィード率4.2%、空気圧0.22MPaで交絡処理(インターレース加工)を施すことにより、予めシランカップリング剤が付与された交絡度68個/mのインターレース糸を得た。
次に、このインターレース糸を経糸および緯糸の全てに用いて、エアージェットルームにて幅1045mmで平織りに製織し、経糸密度19本/25mm、緯糸密度18本/25mm、厚さ0.24mm、目付205g/mのガラス繊維織物を得た。製織性は良好であった。
製織後の織物の経糸および緯糸からそれぞれインターレース糸を抜き出して強伸度を測定したところ、経糸から抜き出したものは引張強さ4.0cN/dtex、伸度3.2%、緯糸から抜き出したものは引張強さ4.1cN/dtex、伸度3.3%であった。
【0046】
比較例1
平均単糸径9μm、単糸数が200本でZ撚数0.7/25mmのEガラス組成の有糊ガラス繊維糸を経糸および緯糸の全てに用いて、エアージェットルームにて幅1044mmで平織りに製織した。次いで、この織物を脱糊のために400℃で36時間ヒートクリーニングした。さらに、表面処理として、アミノ系シランカップリング剤を含む処理液に上記ヒートクリーニング後の織物を走行させつつ浸漬し、絞液後120℃で1分間乾燥することにより、シランカップリング剤を0.09質量%(付与前の織物を100質量%として算出)付与した。
このようにして得られたガラス繊維織物の経糸密度は19本/25mm、緯糸密度は18本/25mm、厚さは0.21mm、目付は200g/mであった。
【0047】
実施例1および比較例1で最終的に得られたガラス繊維織物から試験片を採り、織物の引張強さ、伸度および剛軟度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】


【0049】
上記の結果から明らかなように、実施例1のガラス繊維織物は、比較例1のガラス繊維織物と比較して、織物組織がほぼ同等であるにもかかわらず、経糸および緯糸として、伸びやすい糸条を用いたことにより、伸びやすい織物となった。また、実施例1のガラス繊維織物は、インターレース糸を用いているため、撚糸を用いた比較例1のガラス繊維織物よりも剛軟度が小さく、ドレープ性に優れたものとなった。さらに、実施例1では、無撚で製織できたため、ヒートクリーニングを要さず、ヒートクリーニングによるダメージを受けた比較例1よりもガラス繊維織物の強度に優れていた。

特許の図
【出願人】 【識別番号】500232569
【氏名又は名称】株式会社イセオリ
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍


【公開番号】 特開2008−2016(P2008−2016A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172803(P2006−172803)