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【発明の名称】 |
整経装置、布帛の製造方法およびエアバッグ |
| 【発明者】 |
【氏名】八幡 大介 【氏名】谷口 淳也 |
【課題】産業用織物、とくに、エアバッグ用織物に求められる高密度織物を高品位に、しかも経済的に製造するための織物の製造装置、また、それを用いた織物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】整経される糸に交絡を付与する手段を備えたことを特徴とする整経装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 整経される糸に交絡を付与する手段を備えたことを特徴とする整経装置。 【請求項2】 前記交絡を付与する手段がエアノズル方式のものである、請求項1記載の整経装置。 【請求項3】 前記交絡を付与する手段が整経クリール出口部に置かれた、請求項1または2記載の整経装置。 【請求項4】 整経において糸に交絡を付与してから製織することを特徴とする布帛の製造方法。 【請求項5】 製織される織物がエアバッグ用織物である、請求項4記載の布帛の製造方法。 【請求項6】 請求項4または5記載の布帛の製造方法により製造された布帛を用いてなることを特徴とするエアバッグ。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、整経装置、布帛の製造方法およびエアバッグに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、エアバッグ、シートベルト、重布などの産業資材用織物の分野においては、織物強度が高く、高密度な織物の需要が高まっている。特に、エアバッグ用の織物においては、エアバッグ作動時の衝撃に耐えうる強度とともに、織物表面の通気性を抑えるために高密度化の要求が高まっている。 【0003】 織物の強度を高くするためには例えば、合成繊維フィラメントの強度を上げることが考えられる。ポリアミドなどの合成繊維フィラメントで強度を高める場合、製糸工程における延伸倍率を高く設定することが考えられるが、これは、倍率を上げるほど、製糸生産性が悪化し、合成フィラメントを構成する単繊維が切れる毛羽が増える傾向にあり、結果として、製織工程の生産性が悪化するばかりでなく、織物品位も悪化することになる。上述のエアバッグ用高密度織物の場合、合成フィラメントの品位悪化による製織生産性と織物品位への悪影響は深刻であり、この問題を解決するために検討が行われてきた。 【0004】 例えば、整経工程において、タテ糸に糊剤を付与するサイジングを行う手段が開示されている(例えば特許文献1参照)。この手段は、糊剤を付与することで、合成繊維フィラメントの収束性を高め、製織工程の通過性を高める物であるが、糊剤を使用することと、製織後に糊剤を除去する工程が必要となるため、コスト面で問題があった。 【0005】 サイジングを行わずに製織工程の生産性と織物品位を上げる方法として、合成繊維フィラメントに交絡を付与する方法が開示されている(例えば特許文献2、特許文献3など)。この手段は、合成繊維フィラメントの製造工程において交絡を付与することでフィラメントの収束性を高め、製織工程の生産性を高めようとするものである。また、交絡付与の状態を調整することで織物物性を所定の範囲に収めようとするものである。しかし、上述の通り、産業資材用の合成繊維フィラメントは、高強度化の要請が高いことから、一般的に延伸倍率が高く設定されており、製糸工程における合成繊維フィラメントの張力は、非常に高い状態に保たれている。また、生産性を高めるために数千m/分の高速でフィラメントが走行する中で交絡を付与するため、安定的な交絡付与は非常に困難であった。特に、エア交絡装置を使用した場合、十分な交絡を付与するために、大量の圧縮空気が必要とされるため、経済面でも好ましくなかった。 【0006】 このように、従来技術では、産業資材用織物、特にエアバッグ、シートベルト用の高密度で高強度な織物を安価に製造する手段は実現されていない。 【特許文献1】特開2001−270407号公報(請求項1) 【特許文献2】特開2001−288638号公報(請求項1) 【特許文献3】特開2003−003340号公報(請求項1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、産業用織物、とくに、エアバッグ用織物に求められる織物を高品位に、しかも経済的に提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 すなわち本発明は、整経される糸に交絡を付与する手段を備えたことを特徴とする整経装置である。 【0009】 また本発明は、整経において糸に交絡を付与してから製織することを特徴とする布帛の製造方法である。 【0010】 また本発明は、本発明の布帛の製造方法により製造された布帛を用いてなることを特徴とするエアバッグである。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、以下に説明するとおり、従来の方法では解決できなかった問題点、すなわち、産業用織物、とくに、エアバッグ用織物に求められる高密度織物を高品位に、しかも経済的に提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 整経装置は、織物を製造するためのタテ糸を引きそろえるためのもので、通常、糸のボビンを仕掛けるクリール、ボビンから引き出され並列された複数の糸をシート状に巻き取る巻取り部からなる。 【0013】 クリールは、ボビンから糸を引き出すためのスタンドで、400から1000本程度のボビンが仕掛けられるようになっている。 【0014】 本発明の整経装置は、整経される糸に交絡を付与する手段を備えたことが重要である。整経において糸に交絡を付与することで、製糸工程において高度に交絡を付与したりタテ糸に糊剤を付与するサイジングを行ったりしなくても、糸に高い収束性を低エネルギーで効率よく付与することができる。また、交絡の程度も容易に調節できる。というのは、整経工程における糸速・糸張力は製糸工程における糸速・糸張力よりも低速・低張力であり、糸速度および糸張力はともに小さい方が繊維同士が絡合しやすく、交絡がかかりやすいからである。また、製糸工程で交絡を付与する従来の方法では、交絡付与後に糸が高い張力のままトラバース装置やガイド類を通過するため、一旦付与された交絡がなくなることがあったが、整経において糸に交絡を付与することで、以降は殆どガイド類を通過することなく、そのまま整経ビームに巻き取らせることが可能であるため、付与された交絡がそのままの状態で維持され、交絡の均一性の面からも好ましい。 【0015】 糸に高い収束性を付与することにより、優れた工程通過性を付与することができる。また、糸が毛羽を有していても、糸の中に毛羽を丸め込み、見かけ上、糸の毛羽を無くすことができ、これも工程通過性の改善にとって好ましい。 【0016】 交絡を付与する手段としては、エアノズル方式の交絡付与装置が好ましい。エアノズル方式を採用することで、油剤等の糸の表面付着物の状態を変えることなく交絡が付与できる。また、エア圧の調整により、交絡状態を任意に調整できる。 【0017】 交絡を付与する手段の設置位置としては、ボビンから引き出したあとの張力調整ガイド部、クリール出口部、整経ビーム巻取り直前部などを採用しうる。なかでもクリール出口部は、交絡付与以降のガイド類の通過機会が少ないという点から好ましい。また、クリール出口部では、クリールの仕掛け段ごとにボビンから引き出された糸を数十本ごとに整列させているため、適当な大きさの交絡ノズルを採用することで前記整列させた数十本の糸に一挙に交絡を付与することができ、交絡ノズルの数を極端に増やす必要がなく、管理面でも好ましい。 【0018】 ボビンから引き出された糸は、張力調整ガイドや糸道規制ガイドを経て一定の張力に調整されながらシート状に整列され、タテ糸ボビンに巻き取られる。 【0019】 巻取り部の手前には、糸の品質を管理するための糸タルミ検知センサーや、後の製織工程通過性を向上させるための追油装置などを、必要に応じて設置しても良い。 【0020】 次に、本発明の布帛の製造方法について説明する。 【0021】 布帛の製造に用いる糸を構成する繊維としては、例えばエアバッグ用織物を製織する場合には、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維、ポリサルホン系繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の合成繊維を用いることができる。 【0022】 ポリアミド繊維としては例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合ポリアミド、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸、アミン等を共重合させた共重合ポリアミド等からなるものを、エアバッグ用織物用の好ましい例として挙げることができる。 【0023】 また、ポリエステル繊維としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またこれらに酸成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合させた共重合ポリエステル等からなるものを、エアバッグ用織物用の好ましい例として挙げることができる。 【0024】 なかでも、大量生産性や経済性に優れたポリアミド繊維やポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。とりわけ、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維は耐衝撃性に特に優れており、エアバッグ用織物用として好ましい。 【0025】 また、合成繊維は、製糸工程や加工工程での生産性、あるいは、特性改善のために熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。 【0026】 合成繊維の単繊維繊度としては、エアバッグ用織物用としては2.5〜7dtexが好ましい。 【0027】 また、糸の総繊度としては、エアバッグ用織物用としては200〜600dtexが好ましい。 【0028】 本発明の布帛の製造方法は、整経において糸に交絡を付与してから製織することが重要である。そうすることで、製糸工程において高度に交絡を付与したり、整経の後でタテ糸に糊剤を付与するサイジングを行ったりしなくても、糸に高い収束性を低エネルギーで効率よく付与することができる。また、交絡の程度も容易に調節できる。 【0029】 製織に用いる織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルームおよびレピアルーム等を採用することができる。なかでもウォータージェットルームは、高速製織が比較的容易で、生産性を高める上で好ましい。 【0030】 エアバッグ用の高密度織物を製造する場合には、必要に応じて織機に、カム駆動方式の開口装置、積極イージング装置、バーテンプルなどを設置することが好ましい。 【0031】 次に製織工程が終わると、必要に応じて、精練、熱セット等の加工を施す。特にエアバッグ用等の織物として小さい通気量が求められる場合には、必要に応じて、基布表面に樹脂等を塗布してコート布としたり、フィルムを貼り付けてもよい。 【0032】 本発明の布帛の製造方法は、産業用織物、特にエアバッグ用織物の製造に好適である。タテ糸に高い収束性を付与することで、糊剤を付与するサイジングを行ったりしなくても、高品位な高密度織物を得ることができる。もっとも、サイジングを行っても構わない。 【0033】 本発明は、本発明の布帛の製造方法により製造された布帛を用いてなることを特徴とするエアバッグである。 【0034】 本発明のエアバッグは、運転席用、助手席用および後部座席用、側面用エアバッグなどに使用することができる。 【実施例】 【0035】 [測定方法] (1)整経毛羽個数 レーザー型毛羽検出装置を整経装置巻取り部直前に設置し、毛羽個数を測定した。一定整経長に対する毛羽検知回数[個/千万m]で評価した。 【0036】 (2)製織性 一定織長さに対する織機停台回数[回/千m]で評価した。 【0037】 (3)欠点個数 布帛の表面状態をタテ方向500mにわたって観察し、タテ糸の毛羽が原因で発生する、単繊維切れ、毛玉、タテ糸切れ単繊維の浮き、を欠点として、タテ方向100mあたりの平均個数を算出した。 【0038】 (4)通気量 JIS L 1096−1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れが無いように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で計測し、5枚の試験片についての平均値を算出した。 【0039】 [実施例1] (タテ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有する、フィラメント数72、総繊度470dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%で、無撚りのマルチフィラメントを、タテ糸として使用した。 【0040】 (ヨコ糸) 上記タテ糸と同様のマルチフィラメントをヨコ糸として使用した。 【0041】 (整経装置) クリール出口部に40糸条対応のエア交絡ノズルを設置した整経装置を用いた。 【0042】 (整経) 上記整経装置を用い、上記タテ糸にエア圧0.02MPaにて交絡を付与しながら、整経速度100m/minで粗巻きビームを作成した。次いで、粗巻きビームを6本引き揃え、製織用ビームを作成した。 【0043】 (製織) 上記製織用ビームと上記ヨコ糸とを用い、ウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度54.5本/2.54cm、ヨコ糸の織密度54.5本/2.54cmの平織物を製織した。 【0044】 (精練・熱セット) 上記織物に、熱水収縮槽を通過させ、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で180℃にて1分間の熱セット加工を施した。 【0045】 得られたエアバッグ用織物の特性を表1に示す。得られたエアバッグ用織物は、製織性に優れ、整経毛羽、織物欠点がともに少なく、また、低通気性についても優れていた。 【0046】 [実施例2] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1で用いたのと同様のものを、タテ糸およびヨコ糸として使用した。 【0047】 (整経装置) クリール内の各ボビンからの原糸引き出し部に、1糸条対応のエア交絡ノズルを設置した整経装置を用いた。 【0048】 (整経) 上記整経装置を用い、上記タテ糸にエア圧0.04MPaにて交絡を付与しながら、整経速度100m/minで粗巻きビームを作成した。次いで、粗巻きビームを6本引き揃え、製織用ビームを作成した。 【0049】 (製織) 上記製織用ビームと上記ヨコ糸とを用い、実施例1と同様にして平織物を製織した。 【0050】 (精練・熱セット) 上記織物に、実施例1と同様にして精練および熱セットを施した。 【0051】 得られたエアバッグ用織物の特性を表1に示す。得られたエアバッグ用織物は、製織性に優れ、整経毛羽、織物欠点がともに少なく、また、低通気性についても優れていた。 【0052】 [比較例1] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1で用いたのと同様のものを、タテ糸およびヨコ糸として使用した。 【0053】 (整経装置) 整経装置には交絡付与装置を設置しなかった。 【0054】 (整経) 上記整経装置を用い、整経速度100m/minで粗巻きビームを作成した。次いで、粗巻きビームを6本引き揃え、製織用ビームを作成した。 【0055】 (製織) 上記製織用ビームと上記ヨコ糸とを用い、実施例1と同様にして平織物を製織した。 【0056】 (精練・熱セット) 上記織物に、実施例1と同様にして精練および熱セットを施した。 【0057】 得られたエアバッグ用織物の特性を表1に示す。得られたエアバッグ用織物は、低通気性は問題ないが、整経毛羽が多く、製織性も悪く、織物欠点が多かった。 【0058】 [比較例2] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1で用いたのと同様のものを、タテ糸およびヨコ糸として使用した。 【0059】 (整経装置) 整経装置には交絡付与装置を設置しなかった。 【0060】 (整経) 上記整経装置を用い、整経速度100m/minで粗巻きビームを作成した。次いで、粗巻きビームを6本引き揃え、製織用ビームを作成した。 ビーム作成後に、サイジングとして、アクリル酸エステル共重合体からなる糊剤をローラーサイジング方式にて3.0%付着させた。 【0061】 (製織) 上記製織用ビームと上記ヨコ糸とを用い、実施例1と同様にして平織物を製織した。 【0062】 (精練・熱セット) 上記織物に、熱水収縮槽を通過させて糊剤を除去し、実施例1と同様にして熱セットを施した。 【0063】 得られたエアバッグ用織物の特性を表1に示す。得られたエアバッグ用織物は、整経毛羽は多いが製織性および織物欠点は問題なかった。しかし、通気量が大きかった。 【0064】 [比較例3] (タテ糸) 実施例1で用いたのと同様のマルチフィラメントにリング撚糸機にて150回/mのS撚りを施したものをタテ糸として使用した。 【0065】 (ヨコ糸) 実施例1で用いたのと同様のものをヨコ糸として使用した。 【0066】 (整経装置) 整経装置には交絡付与装置を設置しなかった。 【0067】 (整経) 上記整経装置を用い、整経速度100m/minで粗巻きビームを作成した。次いで、粗巻きビームを6本引き揃え、製織用ビームを作成した。 【0068】 (製織) 上記製織用ビームと上記ヨコ糸とを用い、実施例1と同様にして平織物を製織した。 【0069】 (精練・熱セット) 上記織物に、実施例1と同様にして精練および熱セットを施した。 【0070】 得られたエアバッグ用織物の特性を表1に示す。得られたエアバッグ用織物は、整経毛羽、停台回数、織物欠点は問題ないが、通気量が大きかった。 【0071】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0072】 本発明による整経装置は、産業用織物、とくに、エアバッグ用織物に求められる高密度織物を高品位に、しかも経済的に製造するのに好適である。
特許の図
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年4月25日(2007.4.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−266857(P2008−266857A) |
| 【公開日】 |
平成20年11月6日(2008.11.6) |
| 【出願番号】 |
特願2007−115130(P2007−115130) |
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