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【発明の名称】 ナノファイバー集合体
【発明者】 【氏名】宇山 浩

【氏名】西尾 俊彦

【氏名】大久保 勉

【氏名】石垣 正一

【要約】 【課題】本発明の目的は、機能性素材を含有するナノファイバー集合体を提供すること、及びそのようなナノファイバー集合体を製造する方法を提供すること。

【構成】ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材と、カテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質とを含有する材料に電界紡糸法を適用することにより、ナノファイバー集合体を製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材と、カテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質とを含有することを特徴とするナノファイバー集合体。
【請求項2】
前記機能性物質が、カテキンであることを特徴とする請求項1に記載のナノファイバー集合体。
【請求項3】
前記カテキンは、非重合型カテキン(A)と重合型カテキン(B)とを含んでおり、非重合型カテキンの含有率(A/(A+B))が0.5〜1であることを特徴とする請求項2に記載のナノファイバー集合体。
【請求項4】
前記カテキンは、非重合型カテキンと重合型カテキンとを含み、このうち非重合型カテキンは、カテキンガレートとエピカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むガレート体(C)と、カテキンとエピカテキンとガロカテキンとエピガロカテキンとを含む非ガレート体(D)とを含んでおり、ガレート率(C/(C+D))が0.3〜1であることを特徴とする請求項2または3に記載のナノファイバー集合体。
【請求項5】
前記カテキンは、エピカテキンとエピガロカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むエピ体(E)と、カテキンとガロカテキンとカテキンガレートとガロカテキンガレートとを含む非エピ体(F)とを含んでおり、エピ体率(E/(E+F))が0.8〜1であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のナノファイバー集合体。
【請求項6】
ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材を電界紡糸法によりナノファイバーを製造し、このナノファイバーにカテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質を含有させることを特徴とするナノファイバーの製造方法。
【請求項7】
ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材と、カテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質とを含有する材料から電界紡糸法によりナノファイバーを製造することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性素材を含有させたナノファイバー集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、ナノメートルサイズのポリマー繊維を電解紡糸法によって製造する技術が知られている(例えば、特許文献1)。この方法を簡単に説明すると、次の通りである。図1に示すように、原材料となる高分子溶液1を貯留した容器2とターゲット電極3とが設けられている。容器2の先端には、高分子溶液1を放出可能なノズル4が設けられている。ここで、ノズル4とターゲット電極3との間に高電圧をかけた状態で、ノズル4から高分子溶液1を放出させると、高分子溶液1がノズル4からターゲット電極3に移動する間に、電気力線に沿って繊維状のファイバーとなり、ターゲット電極3上にナノファイバー5が作製される。
この方法は、10nm−数百nmオーダーのファイバーおよびそのファイバーを集積したシートないしマット(ナノファイバー集合体)を作製できるという特徴を有している。
【0003】
ナノファイバーの径は細く、その集積体であるシートないしマットは気孔率が大きいため、各種用途への幅広い応用が考えられている。ナノファイバー集合体は内部構造・表面構造が微細であるために、比表面積が大きく、例えば吸着材等としての用途に優れた特性を発揮する。しかし、電界紡糸法で作製されたポリマー質のナノファイバーは表面が平滑であり、表面状態の装飾や機能付加は必ずしも容易ではない。例えば、無機物質の機能を活用する目的で、ポリマー中に無機物質を混入させようとすると、無機物質はナノファイバーのポリマー中に埋め込まれてしまい、無機物質の本来の機能を発揮できなくなることがある。
【0004】
また、上記電界紡糸法を用いて、ポリ乳酸やコラーゲンなどの材料からナノファイバーを製造する研究開発が行われている。このような材料は、生分解性に優れ、生体由来の材料であることから、自動車・家電品への応用、及び医薬・化粧品・食品・衛生品への応用が考慮されている。
【特許文献1】米国特許第6656394号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更に、ナノファイバーの機能性を向上させるために、ポリ乳酸やコラーゲンから製造されるナノファイバーに機能性素材を組み合わせるという考え方があり得る。しかしながら、実際にそのようなものが製造可能であるか否かに関しては、十分な検討が行われていなかった。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機能性素材を含有するナノファイバー集合体を提供すること、及びそのようなナノファイバー集合体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の紡糸基材と、機能性物質とを組み合わせて、電界紡糸法を応用することにより、機能性素材含有ナノファイバー集合体を製造できることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1] ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材と、カテキン、カテキンオリゴマー(以下、まとめて「カテキン類」ということがある)からなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質とを含有することを特徴とするナノファイバー集合体。
[2] 前記機能性物質が、カテキンであることを特徴とする[1]に記載のナノファイバー集合体。
[3] 前記カテキンは、非重合型カテキン(A)と重合型カテキン(B)とを含んでおり、非重合型カテキンの含有率(A/(A+B))が0.5〜1であることを特徴とする[2]に記載のナノファイバー集合体。
【0008】
[4] 前記カテキンは、非重合型カテキンと重合型カテキンとを含み、このうち非重合型カテキンは、カテキンガレートとエピカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むガレート体(C)と、カテキンとエピカテキンとガロカテキンとエピガロカテキンとを含む非ガレート体(D)とを含んでおり、ガレート率(C/(C+D))が0.3〜1であることを特徴とする[2]または[3]に記載のナノファイバー集合体。
[5] 前記カテキンは、エピカテキンとエピガロカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むエピ体(E)と、カテキンとガロカテキンとカテキンガレートとガロカテキンガレートとを含む非エピ体(F)とを含んでおり、エピ体率(E/(E+F))が0.8〜1であることを特徴とする[2]〜[4]のいずれかに記載のナノファイバー集合体。
【0009】
[6] ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材を電界紡糸法によりナノファイバーを製造し、このナノファイバーにカテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質を含有させることを特徴とするナノファイバーの製造方法。
[7] ポリ乳酸、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、キトサンからなる群から選択される少なくとも一つの紡糸基材と、カテキン、カテキンオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一つの機能性物質とを含有する材料から電界紡糸法によりナノファイバーを製造することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機能性物質を含有するナノファイバー集合体を製造することができる。このナノファイバー集合体は、ナノファイバーの機能と機能性物質であるカテキン類の機能とを併せ持っているので、抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、消臭作用、有害物質吸着作用などを有している。このため、人工皮膚などの医用部材、エアコン・自動車・空気清浄機用などのフィルター、マスク・ガーゼ・パック・シーツ・医用医療などの衛生用品、NDS(ニュートリション・デリバリー・システム:ミネラル、ビタミン等の栄養素材を安全で効率良く生体内に供給することを目的とする新システム)用基材・脱酸素基材・即溶性基材などの食用品、機能性成分の安定化基材・汚れ取り基材などの化粧用品などに応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
【0012】
本発明に用いられるポリ乳酸とは、乳酸(CHCH(OH)COOH)を単位とし、複数の乳酸が連なって高分子量となった生分解性プラスチックの一種である。ポリ乳酸を製造する材料としての乳酸は、植物(例えば、トウモロコシ、キャツサバ、サトウキビ、ビート、サツマイモなど)から生産することができる。ポリ乳酸を製造するには、一般的に乳酸を環化しラクチドとし、これを開環重合してポリ乳酸とするが、本発明においては、ポリ乳酸の製造方法にはよらない。
【0013】
ポリ乳酸を構成する単体としての乳酸には、L型とD型という二種類の光学異性体が知られている。本発明は、L型及びD型のいずれの乳酸を単位として製造されたポリ乳酸にも(或いは、L型とD型とを任意の比で含むポリ乳酸に対しても)用いることができる。
卵白ペプチドとは、卵白を適当に加水分解して得られるペプチドのことを意味している。卵白とは、全卵(例えば、鶏卵)より卵黄を除去したもののことであり、殻付卵を割卵したもの、凍結卵白を解凍したもの及びこれらを濃縮したもの、卵白粉末を水で戻したもののいずれであっても良く、特に限定されるものではないが、加工性の点から生卵白液または冷凍卵白液が好ましい。卵白を加水分解するには、例えば適当な加水分解酵素で処理することができる。そのような酵素は、植物由来、動物由来または細菌由来のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)であれば特に限定されるものではないが、バチルス(Bacillus)属の菌体より抽出されたプロテアーゼを用いることが好ましく、更にBacillus lichenniformis、 Bacillus thermoproteolyticus Rokko、 Bacillus subtillsからなる群より選ばれる1種以上の菌体より抽出されたプロテアーゼを用いることが好ましい。
【0014】
プロテアーゼ処理の条件は特に限定するものではないが、pH7−10の範囲で加水分解温度が55℃−65℃であることが好ましい。酵素加水分解物の分解度は特に限定するものではないが、好ましくはアミノ基量が原料蛋白質の7倍以上20倍以下になるまで分解されており、かつ酵素加水分解物の平均アミノ酸鎖長が2以上で、遊離アミノ酸含量が20%以下のものが好ましく、更に酵素加水分解物の平均アミノ酸鎖長が2−15のものであることが好ましい。アミノ基量は、蛋白または蛋白加水分解物の末端及びリジン残基のアミノ基量を意味している。アミノ基量、平均アミノ酸鎖長、遊離アミノ酸含量は、ホルモール滴定法、TNBS発色法、またはニンヒドリン発色法等により測定することができる。また、卵白ペプチドとしては、プロフィックス(商標登録:太陽化学株式会社製)を用いることができる。
【0015】
ツェインとは、ゼインとも称される。トウモロコシ種子の主要なタンパク質であり、プロラミンに属する。プロラミンとは、単純タンパク質に属し、60%〜90%エタノールに可溶で、90%以上のエタノール、水、中性塩溶液に不溶のタンパク質の総称であり、他にコムギのグリアジン、オオムギのホルデインなどがある。ツェインは、多様な分子種から構成されており、主要な成分として分子量22000と分子量19000のものがある。
ゼラチンとは、高等動物中に含まれるコラーゲンの立体構造が壊れた物質の総称である。ゼラチンは非常に良く水に溶ける。本発明においては、動物種、コラーゲンの種類については問わずに使用できる。
【0016】
コラーゲンとは、動物の結合組織を構成する主要タンパク質成分を意味している。哺乳類では体の総タンパク質の30%近くを占めている。コラーゲンはI型、II型など10種類以上のタンパク質スーパーファミリーから成り、グリシン、プロリンの含量が高い。本発明においては、いずれの種類のコラーゲン、或いは混合物を問わずに使用できる。
キトサンとは、主としてβ−1,4−ポリグルコサミンのことを意味しており、キチンの脱アセチル化物である。β−1,4−ポリグルコサミン構造が主であるが、キチンを濃アルカリと溶融して製造することから、若干の構造変化物があり得る。
【0017】
カテキンとは、茶などの植物に多く含まれる水溶性の多価フェノールである。カテキンには、非重合型カテキンと重合型カテキンという分類方法がある。また、非重合型カテキンは、カテキンガレートとエピカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むガレート体と、カテキンとエピカテキンとガロカテキンとエピガロカテキンとを含む非ガレート体とを含む。更に、カテキンは、エピカテキンとエピガロカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとを含むエピ体と、カテキンとガロカテキンとカテキンガレートとガロカテキンガレートとを含む非エピ体という分類方法がある。
カテキンオリゴマーとは、3個〜10個の複数のカテキンが結合したものを意味する。カテキンは、上記のように複数の種類を含んでいるが、本発明においては、これらのいずれの分子(同種または異種を含む)が結合したカテキンオリゴマーでも用いることができる。
【0018】
本発明のナノファイバーとは、単糸直径が約1nm〜約800nmの繊維を意味しており、その繊維が集合したものをナノファイバー集合体という。ナノファイバー集合体は、1次元に配向した長繊維または紡積糸状に形成することもできるが、電界紡糸法で作製する場合には、不織布として2次元集合体として得られる。不織布として得られたナノファイバー集合体は、人工皮膚、フィルター、マスク、ガーゼ、その他の基材として用いることができる。
本発明のナノファイバー集合体は、ナノファイバーを製造する各種の方法によっても製造することができるが、特に電界紡糸法(エレクトロスピニング法、或いは静電紡糸法ともいう)を用いることが好ましい。この場合に、カテキン類は、予め紡糸基材と共存させた状態でナノファイバー集合体を製造する方法と、先にナノファイバー集合体を製造しておき、ここにカテキン類を含有させる方法とがある。
【0019】
先にナノファイバー集合体を製造しておき、ここにカテキン類を含有させるには、まず紡糸基材を適当な溶媒(水などの無機溶媒、有機溶媒(プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒を含む)などを含む)に溶解させた後、この溶液により電界紡糸法を実施する。電界紡糸法は、紡糸基材の濃度、溶媒の種類、針の径、射出距離、回転数、電圧、射出速度などの要因によって影響を受け得る。実際にナノファイバー集合体を製造するには、上記要因を適当に組み合わせて実施することができる。
こうして製造されたナノファイバー集合体に、カテキン類を含有させる。そのような方法としては、例えばナノファイバー集合体をカテキン類を溶解させた溶液中に浸漬する方法、或いはナノファイバー集合体にカテキン類を溶解させた溶液を滴下・噴霧する方法などが例示される。
また、上記方法によってナノファイバー集合体を製造する場合には、紡糸基材として、タンパク系の物質(例えば、卵白ペプチド、ツェイン、ゼラチンなど)を用いることが好ましい。そのような物質からナノファイバー集合体を製造する場合には、カテキン類がナノファイバーに結合しやすいためである。
【0020】
また、予め紡糸基材と共存させた状態でナノファイバー集合体を製造するには、紡糸基材と機能性物質とを適当な溶媒(水などの無機溶媒、有機溶媒(プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒を含む)などを含む)に溶解させる。このとき、(1)紡糸基材のみを適当な溶媒に溶解させる一方、機能性物質を別の溶媒に溶解させておき、後に両溶液を混合する方法、或いは(2)紡糸基材と機能性物質の両者を同じ溶媒に溶解する方法とがある。紡糸基材と機能性物質との組合せに応じて、上記(1)または(2)の適当な方法を選択することができる。こうして、紡糸基材と機能性物質とを含有する材料に電界紡糸法を実施する。電界紡糸法は、紡糸基材の濃度、溶媒の種類、針の径、射出距離、回転数、電圧、射出速度などの要因によって、影響を受け得る。実際にナノファイバー集合体を製造するには、上記要因を適当に組み合わせて実施することができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例および試験例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例および試験例によって限定されるものではない。
<実施例1> ポリ乳酸とカテキンとを含有するナノファイバー集合体の製造
90mgのポリ乳酸(重量平均分子量(Mw)=123,000、数平均分子量(Mn)=61,000、商品名レイシア(商標登録)H−900(三井化学株式会社製)と、819mgの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)をサンプル瓶1に加えた。サンプル瓶1にマグネチックスターラーを入れ、スターラーを用いて常温(20℃−25℃)にて、1晩(約10時間以上)撹拌しながら、ポリ乳酸を完全に溶解させた。
【0022】
また、別のサンプル瓶2に、4.5mgのエピガロカテキンガレート(EGCg:太陽化学株式会社製サンフェノンEGCg)と、86.5mgのジメチルホルムアミド(DMF)をサンプル瓶2に加えた。サンプル瓶2にマグネチックスターラーを入れ、スターラーを用いて常温にて、1時間−2時間撹拌しながら、EGCgを完全に溶解させた。
サンプル瓶1のポリ乳酸溶液909mgと、サンプル瓶2のEGCg溶液91mgとを、別のサンプル瓶3に混合し、ボルテックスミキサーを使って、混ざり合うまで振動撹拌した。撹拌後に、溶液は白濁した。
【0023】
サンプル瓶3のサンプル溶液をシリンジへ注入後、シリンジ内の気泡を追い出した。このシリンジを電界紡糸装置のシリンジポンプにセットし、次の条件で電界紡糸法を実施した。
電界紡糸装置として、株式会社井元製作所のもの(型番:IMC−1631型、IMC−163E型、及びIMC−164E型)を使用した。シリンジ針として25Gのもの(外径0.5mm、内径0.32mm:星盛堂医療機器工業株式会社製)を使用し、射出距離10cm、回転数100rpm、電圧10kv、射出速度3mL/hrとした。
結果を図2及び図3に示した。図に示すように、ポリ乳酸−カテキン系を使用した場合に、電界紡糸法により良好なナノファイバーが製造された。このナノファイバーは、外径が約100nm〜500nmであった。
【0024】
<実施例2> ツェインを含有するナノファイバー集合体の製造
60mgのツェイン(太陽化学株式会社製)と、3mLのHFIPをサンプル瓶に加えた。サンプル瓶にマグネチックスターラーを入れ、スターラーを用いて常温(20℃−25℃)にて、1時間−2時間撹拌しながら、ツェインを完全に溶解させた。
このサンプル瓶のサンプル溶液をシリンジへ注入後、シリンジ内の気泡を追い出した。このシリンジを電界紡糸装置のシリンジポンプにセットし、次の条件で電界紡糸法を実施した。
【0025】
電界紡糸装置として、株式会社井元製作所のもの(型番:IMC−1631型、IMC−163E型、及びIMC−164E型)を使用した。シリンジ針として21Gのもの(外径0.8mm、内径0.57mm:星盛堂医療機器工業株式会社製)を使用し、射出距離10cm、回転数100rpm、電圧20kv、射出速度1mL/hrとした。
結果を図4及び図5に示した。図に示すように、ツェインを使用した場合に、電界紡糸法により良好なナノファイバーが製造された。このナノファイバーは、外径が約500nm〜750nmであった。
こうして製造されたツェインを含有するナノファイバー集合体について、カテキン類を溶解させた溶液に浸漬することにより、カテキン類を含有するナノファイバー集合体を製造することができる。
【0026】
<実施例3> 卵白ペプチドとゼラチンとを含有するナノファイバー集合体の製造
45mgのゼラチンと、15mgの卵白ペプチド(プロフィックスO:太陽化学株式会社製)をサンプル瓶に入れ、ここに1.8mLのテトラフルオロエチレン(TFE)と1.2mLの精製水を加えた。サンプル瓶にマグネチックスターラーを入れ、スターラーを用いて常温(20℃−25℃)にて、1時間−2時間撹拌しながら、ゼラチンを完全に溶解させた。
このサンプル瓶のサンプル溶液をシリンジへ注入後、シリンジ内の気泡を追い出した。このシリンジを電界紡糸装置のシリンジポンプにセットし、次の条件で電界紡糸法を実施した。
【0027】
電界紡糸装置として、株式会社井元製作所のもの(型番:IMC−1631型、IMC−163E型、及びIMC−164E型)を使用した。シリンジ針として21Gのもの(前出)を使用し、射出距離10cm、回転数100rpm、電圧25kv、射出速度1mL/hrとした。
結果を図6に示した。図に示すように、卵白ペプチド−ゼラチン系を使用した場合に、電界紡糸法により良好なナノファイバーが製造された。このナノファイバーは、外径が約500nm〜750nmであった。
こうして製造された卵白ペプチドとゼラチンを含有するナノファイバー集合体について、カテキン類を溶解させた溶液に浸漬することにより、カテキン類を含有するナノファイバー集合体を製造することができる。
【0028】
このように本実施例によれば、機能性物質を含有するナノファイバー集合体を製造することができた。このナノファイバー集合体は、ナノファイバーの機能と機能性物質であるカテキン類の機能とを併せ持っているので、抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、消臭作用、有害物質吸着作用などを有している。このため、人工皮膚などの医用部材、エアコン・自動車・空気清浄機用などのフィルター、マスク・ガーゼ・パック・シーツ・医用医療などの衛生用品、NDS(ニュートリション・デリバリー・システム:ミネラル、ビタミン等の栄養素材を安全で効率良く生体内に供給することを目的とする新システム)用基材・脱酸素基材・即溶性基材などの食用品、機能性成分の安定化基材・汚れ取り基材などの化粧用品などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】電界紡糸法の概要を説明する図である。
【図2】実施例1の結果を示す電子顕微鏡写真図である。図中の11個の四角の全幅長が50μmである(隣り合う四角の間は、5μmである)。
【図3】実施例1の結果を示す電子顕微鏡写真図である。図中の11個の四角の全幅長が10μmである(隣り合う四角の間は、1μmである)。
【図4】実施例2の結果を示す電子顕微鏡写真図である。図中の11個の四角の全幅長が100μmである(隣り合う四角の間は、10μmである)。
【図5】実施例2の結果を示す電子顕微鏡写真図である。図中の11個の四角の全幅長が10μmである(隣り合う四角の間は、1μmである)。
【図6】実施例3の結果を示す電子顕微鏡写真図である。図中の11個の四角の全幅長が10μmである(隣り合う四角の間は、1μmである)。
【出願人】 【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100108280
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 洋平


【公開番号】 特開2008−38271(P2008−38271A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211601(P2006−211601)