トップ :: C 化学 冶金 :: C25 電気分解または電気泳動方法;そのための装置

【発明の名称】 スパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法及び樹脂成形品を固定する吊り掛け治具
【発明者】 【氏名】柿原 邦博

【氏名】野田 義則

【氏名】王路 貴史

【要約】 【課題】従来のクロム酸のような化学薬品を使用せず、乾式法により樹脂成形品に樹脂表面粗化をすると共に導電性を付与することで、このような化学薬品による樹脂成形品の樹脂表面の薬品劣化を防止し、一方このような環境負荷が大きい化学薬品を使用せず、環境負荷物質の削減を図り、また樹脂めっき品の表層剥離を防止してその安全性は確保する。

【構成】樹脂成形品の表面をプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化する樹脂表面洗浄・活性化工程S1と、次に、樹脂成形品の表面に金属をスパッタリングにより成膜する金属薄膜成膜工程S2と、続いて、樹脂成形品に成膜した金属薄膜上にスパッタリングによりニッケル又は銅等の導電化膜を成膜する導電化膜成膜工程S4と、最後にこの樹脂成形品を電気めっきする電気めっき工程とから成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリング装置内において、真空雰囲気状態で樹脂成形品(W)の表面をプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化する樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)と、
次に、同じくスパッタリング装置内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、金属をスパッタリングにより樹脂との密着性を確保するために成膜する金属薄膜成膜工程(S2)と、
続いて、前記金属薄膜成膜工程(S2)により樹脂成形品(W)に成膜した金属薄膜上に、スパッタリングにより導電化膜を成膜する導電化膜成膜工程(S4)と、
前記導電化膜成膜工程(S4)が終了した樹脂成形品(W)を電気めっきする電気めっき工程と、から成り、
樹脂成形品(W)の凹凸面に金属を均一に成膜する際に、前記スパッタリング装置内において樹脂成形品(W)を回転させながらその表面にスパッタリング処理する、ことを特徴とするスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項2】
スパッタリング装置内において、真空雰囲気状態で吊り掛け治具(11)に取り付けた樹脂成形品(W)を自転するように回転させながらプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化する樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)と、
次に、同じくスパッタリング装置内において、吊り掛け治具(11)に取り付けた樹脂成形品(W)を金属ターゲット(52)の前へ公転するように移動させ、そこで自転させながら、金属をスパッタリングにより樹脂との密着性を確保するために成膜する金属薄膜成膜工程(S2)と、
続いて、前記金属薄膜成膜工程(S2)により金属薄膜を成膜した樹脂成形品(W)を別の金属ターゲット(52)の前に公転するように移動させ、そこで自転させながら、スパッタリングにより導電化膜を成膜する導電化膜成膜工程(S4)と、
前記導電化膜成膜工程(S4)が終了した樹脂成形品(W)を電気めっきする電気めっき工程と、から成る、ことを特徴とするスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項3】
前記金属薄膜成膜工程(S2)の次に、樹脂成形品(W)に成膜した金属薄膜をプラズマ処理による表面改質処理で活性化する成膜表面活性化処理工程(S3)を更に備えた、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項4】
前記スパッタリング装置の真空チャンバー内において、吊り掛け治具(11)に樹脂成形品(W)を吊り下げ、該吊り掛け治具(11)をその回転軸線(L)で回転させながらスパッタリング処理する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項5】
前記スパッタリング装置の真空チャンバー内において、複数の吊り掛け治具(11)に樹脂成形品(W)を吊り下げ、
各吊り掛け治具(11)をその回転軸線(L)で回転させながら、複数の吊り掛け治具(11)をその回転軸が円形の軌跡上をなぞり、公転するように移動させてスパッタリング処理する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、空気を微量残留させた状態でアルゴンガスのプラズマ処理する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、アルゴンと微量酸素を注入してプラズマ処理による表面改質処理する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項8】
前記金属薄膜成膜工程(S2)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に酸素との結合力が強い金属の単一又は酸素との結合力の強い金属を含む合金をスパッタリングにより成膜する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項9】
前記金属薄膜成膜工程(S2)は、真空雰囲気内において、0.01〜50%にイオン化された金属を、前記樹脂成形品(W)の表面に成膜する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項10】
前記金属薄膜成膜工程(S2)では、膜厚が0.01〜2.0μm程度になるように成膜する、ことを特徴とする請求項1、2又は9のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項11】
前記導電化膜成膜工程(S4)は、ニッケル又は銅を成膜する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項12】
前記導電化膜成膜工程(S4)では、膜厚が0.1〜5.0μm程度になるように成膜する、ことを特徴とする請求項1、2又は11のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項13】
前記電気めっき工程は、光沢硫酸銅めっき(S6)、半光沢ニッケルめっき(S7)、光沢ニッケルめっき(S8)、MPニッケルめっき(マイクロポーラスニッケルめっき)(S9)の順で各めっき処理を施し、最後に装飾仕上げめっき(S10)を施してめっき処理を終了する、ことを特徴とする請求項1又は2のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項14】
前記装飾仕上げめっき(S10)では、3価クロムめっき、クロムめっき、錫/ニッケル合金めっき、ルテニウム又は金めっきなどのめっき処理を施す、ことを特徴とする請求項13のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法。
【請求項15】
アルゴンプラズマ放電により金属ターゲット(52)の金属をスパッタリングして樹脂成形品(W)に成膜する際に、該樹脂成形品(W)を固定する吊り掛け治具(11)であって、
真空チャンバー内において回転する吊り下げ棒(12)と、該吊り下げ棒(12)に取り付けた、該樹脂成形品(W)を着脱自在に固定する引っ掛け具(13)と、から成り、
前記真空チャンバー内において、前記吊り下げ棒(12)を回転させながらスパッタリング処理するように構成した、ことを特徴とするスパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具。
【請求項16】
アルゴンプラズマ放電により金属ターゲット(52)の金属をスパッタリングして樹脂成形品(W)に成膜する際に、該樹脂成形品(W)を固定する吊り掛け治具(11)であって、
真空チャンバー内において、上下方向に配置した2枚の回転板(14)と、
前記回転板(14)の間に、円周方向に間隔を開けて着脱自在に立て掛けた複数の吊り下げ棒(12)と、
各吊り下げ棒(12)に取り付けた、該樹脂成形品(W)を着脱自在に固定する引っ掛け具(13)と、から成り、
前記真空チャンバー内において、前記上下の回転板(14)を回転させると同時に、各吊り下げ棒(12)も回転させながらスパッタリング処理するように構成した、ことを特徴とするスパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具。
【請求項17】
前記回転板(14)の間において、立て掛けた隣接する吊り下げ棒(12)の間に隔壁(15)を更に設けた、ことを特徴とする請求項16のスパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品に金属めっきを施す樹脂めっき技術に係り、特に樹脂めっきの表面調整工程、エッチング工程から導電化処理工程までの樹脂めっきの前処理について、6価クロム酸を用いずにスパッタリング処理により実施するスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法及び樹脂成形品を固定する吊り掛け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な樹脂めっき成膜方法は、図20に示すように、めっきする樹脂成形品に、その樹脂成形品の表面粗化するエッチング工程、エッチング中和工程、触媒付与工程、導電化工程(又は無電解めっき)等のダイレクトめっき前処理工程や化学めっき工程を施し、前処理した樹脂成形品に、光沢銅めっき、半光沢ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、MPニッケルめっき(マイクロポーラスニッケルめっき)の順で各めっき処理を施し、最後にクロムめっきを施して終了するめっき方法である。このように樹脂成形品は非導電性のため、電気めっきの前処理として樹脂に導電性を付与する導電化工程(ダイレクトめっき前処理又は無電解めっき)が必要である。
なお、従来の塗装用の樹脂成形品と、樹脂めっき用の樹脂成形品では、原料収縮率が異なるため塗装用の金型と樹脂めっき用の金型の2種類を準備する必要があった。
【0003】
一般的な湿式法による樹脂めっきをする樹脂成形品の導電化工程(又は無電解めっき)は、図21に示すように、高濃度のクロム酸(6価クロム)と硫酸の混酸を使用してエッチング処理し、水洗してからクロム酸中和し、水洗してからPd/Sn等の触媒付与し、水洗してから活性化して水洗した後に無電解めっきをする。
【0004】
樹脂成形品に無電解めっきを施す際のめっき前処理技術としては、例えば特許文献1の特開平5−132785号公報「無電解めっき前処理方法」のように、ガラス繊維を含有するポリイミド樹脂からなる絶縁物質の表面に無電解めっきを施すに際し前処理として行なわれる該絶縁物質のエッチング処理において、該絶縁物質の表面を無水クロム酸および硫酸を含有する溶液を用いてエッチング処理した後、ヒドラジンを含有する溶液でエッチング処理する二段エッチング処理を行なう無電解めっき前処理方法が提案されている。
【特許文献1】特開平5−132785号公報
【0005】
この樹脂めっきの基本である樹脂の表面粗化する樹脂のエッチング工程は、現在でも高濃度のクロム酸(6価クロム)と硫酸の混酸が使用されている。このクロム酸を使ったエッチング工程はその廃液処理だけでなく、処理工程中の作業にも人体に悪影響を及ぼすおそれがあった。現在は、このクロム酸を使ったエッチング工程を樹脂めっき工程から廃止すべく様々な技術が提案されている。しかし、樹脂めっきの基本性能であるめっき密着性規格、例えば自動車部品規格の様な厳格な条件を充足する前処理が提案されていなかった。
【0006】
例えば、PA樹脂(ポリアミド樹脂、6−ナイロン)の樹脂成形品は、塩酸系エッチング液を用いて樹脂の表面粗化をすることができる。POM樹脂(ポリアセタール)は、塩酸/硫酸混酸もしくはリン酸/硫酸混酸を用いてエッチングすることができる。LCP樹脂(液晶ポリマー)は、苛性カリエッチングを用いてエッチングすることができる。このように樹脂材料によっては、クロム酸系のエッチング液を使わないでエッチングすることが可能である。
【0007】
PPE樹脂(ポリフェニルエーテル)のように比較的酸化に弱い樹脂の樹脂成形品については、過マンガン酸系のエッチング液を用いて表面粗化することが可能である。
【0008】
ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂)のような汎用樹脂の樹脂成形品は、マンガン酸系エッチング液を用いてエッチングすることができる。溶剤プリエッチング工程等を付加して過マンガン酸系エッチングのような弱いエッチング液でもエッチングすることができる。
【0009】
また、樹脂基材の導電化処理技術としては、例えば特許文献2の特開平6−212405号公報「ポリフェニレンサルファイド支持体上に銅をめっきする方法」のように、ポリフェニレンサルファイド支持体を、真空下にてRFアルゴンプラズマでエッチングする。真空を破ることなく、エッチングされた表面にチタンの層をスパッタリングし、そしてチタンによりスパッタリングされた表面に第1の銅層をスパッタリングし、スパッタリング手順の後、支持体に第2の銅層を所望の厚さに電気めっきする方法が提案されている。
【特許文献2】特開平6−212405号公報
【0010】
この特許文献2のめっきする方法は、4.5〜5.5ポンド/インチの剥離強さが得られる。この方法は、EMIシールド用やプリント回路基板用の製品を造るのに有用であるとされている。
【0011】
更に、樹脂成形品にスパッタリング処理する技術としては、例えば特許文献3の特表平9−511792号公報「負圧又は真空中において材料蒸気によって基板を被覆する装置」のように、材料蒸気源、及び陽極と陰極との間にプラズマを発生しかつ材料蒸気によって援助されるアーク放電内において材料蒸気をイオン化するために冷陽極と冷陰極とからなるイオン化装置が設けられており、その際、材料蒸気源とイオン化装置の陽極及び陰極とが、互いに電気的に切離されている、負圧又は真空中において材料蒸気によって基板を被覆する装置が提案されている。
【特許文献3】特表平9−511792号公報
【0012】
従来のスパッタリング装置は、図22に示すように、真空チャンバー51内においてプラズマ放電により励起されたアルゴン等の衝突により金属ターゲット52より原子を飛び出させ、樹脂成形品(W)に成膜させる装置である。このスパッタリング処理により樹脂成形品Wに金属ターゲット52を成膜する。このスパッタリング装置では、平面的な形状の樹脂成形品W、又は凹凸のある形状であってものその片面のみを成膜処理する樹脂成形品Wでは、その樹脂成形品Wを装置内に固定するだけで十分であった。しかし、凹凸面を有する樹脂成形品Wにその表面に均一に成膜することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述した湿式法のエッチング工程では、高濃度のクロム酸と硫酸との混酸のように様々な化学薬品を使用して導電化を行うため、樹脂成形品がこれらの薬品によって劣化することがあり、更に樹脂成形品の表面に薬品が残留するおそれがあった。その結果、樹脂めっきした製品の一部には樹脂成形品の表層薄膜が剥離し、その上のめっき膜と共に浮き上がり、めっき膜に亀裂が入ることがあった。この浮き上がっためっき膜は30〜50μm程度の金属膜で、その樹脂めっきした製品を使用したときにユーザーが指を切るなどの不具合が発生することがあった。
【0014】
また、樹脂成形品の樹脂素材によっては、上述したような湿式法による導電化処理できないか、あるいは困難な場合があった。例えば、自動車用ドアハンドルのめっきには、PC/ABS樹脂が主に用いられている。同じ製品の塗装用樹脂材料には、PC/PBTやPC/PETなどのPC/ポリエステル系の材料が使われており、用途別に材料が使い分けられている。これは、ドアハンドル用の樹脂材料としてはPC/ポリエステル系材料の方が適しているが、めっきが難しく、自動車仕様を満足できる樹脂めっきドアハンドルが作れないからである。
【0015】
エッチング工程で、高濃度のクロム酸と硫酸との混酸を使用するため作業環境が悪く、取り扱いも危険であった。無電解めっき工程で、発ガン性物質のホルマリンやアンモニアを使用するため作業環境が悪かった。また強い錯化剤を必要とするため、廃水処理が困難であった。各処理工程後に水洗工程を必要とするため、水の使用量が多いという問題を有していた。
【0016】
一方、マグネトロン・スパッタリングなどの加速度を付けて樹脂に金属を叩き込む成膜方法も創案されているが、アルゴンで樹脂表面が叩かれて処理表面温度が高くなる可能性があり、ABS樹脂などのような低融点の材料は熱変形しやすいという問題を有していた。
【0017】
グロー放電プラズマ法による成膜方法では、イオン化率が低く、十分な金属の加速ができないので樹脂めっき規格のピーリング密着強度は得られないという問題を有していた。
【0018】
特許文献2、特許文献3に示すスパッタリング処理により樹脂成形品にターゲットの金属を成膜するスパッタリング装置では、基板のような平面的な形状の樹脂成形品、又は凹凸のある形状であってものその片面のみを成膜処理する技術であった。そこで、樹脂成形品では、その樹脂成形品を装置内に固定するだけで十分であった。しかし、凹凸面を有する樹脂成形品Wにその表面に均一に成膜することができないという問題を有していた。
【0019】
また、従来のスパッタリング装置では、吊り掛け治具に固定した樹脂成形品について、吊り掛け治具を回転するので、樹脂成形品の外周側は金属ターゲットに近づくことができる。一方、樹脂成形品の内周側は金属ターゲットに近づくことがない。そこで、樹脂成形品の外周側は常時金属が厚く成膜され、逆に樹脂成形品の内周側は金属が薄く成膜されやすく、スパッタリング金属の成膜厚が不均一になりやすいという問題を有していた。
【0020】
従来の樹脂成形品の装飾用途のクロムスパッタ法では、基材プラスチックの上にアンダーコートを施し、クロムスパッタを500〜1000Å程度ごく薄く成膜し、その上に保護コートであるトップコートを塗布する構造となっている。そのために皮膜の耐久力が乏しく、洗車ブラシなどによる磨耗や砂利によるチッピング・風雨や強い紫外線の影響にさらされる自動車用途には性能を満足せず使用が困難であった。
【0021】
更に、樹脂成形品の上に性能向上のためハードコートなどの耐磨耗塗装をオーバーコートしたとしても、湿式電気めっき法による樹脂めっきの金属膜の耐久性・耐摩耗性には及ばないため、自動車部品のめっき用途には湿式の樹脂めっきが使われるのが通例であった。
従来の装飾用途のクロムスパッタ法では、アンダーコートやトップコート・ハードコート塗装に起因するゴミ・ブツなどの歩留り低下の不安が大きく、多額な投資で塗装用クリーンルームを設置する必要があった。
【0022】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、従来のエッチング工程と導電化工程におけるクロム酸と硫酸との混酸のような化学薬品を使用しない処理法、即ち乾式法により樹脂成形品に樹脂表面粗化をすると共に導電性を付与することで、このような化学薬品によって樹脂の表層が劣化することがなくなり、樹脂間剥離によるめっき浮き・割れが防止でき、樹脂めっき品の安全性は確保できる装飾めっき品の製造方法を提供することにもある。
【0023】
本発明の他の目的は、湿式電気めっき法による樹脂めっきの金属膜の耐久性・耐摩耗性を維持し、塗装用クリーンルームなどの多額な設備投資や、製品のゴミ・ブツなどの歩留り低下リスクが高い塗装工程を不要にすることにある。
本発明の成膜皮膜は真空チャンバー中でのスパッタされた金属と湿式電気めっきによる金属めっき膜であり、積層する膜はすべて金属となっており自動車用途に耐える耐磨耗性や耐久性などが付与可能である。また、塗装工程がないのでゴミ・ブツ不良を低減できる。従って、従来の一般的な湿式法による樹脂めっき法と装飾用クロムスパッタ法の欠点を同時に解消することができる装飾めっき品の製造方法を提供することにある。
【0024】
また、本発明の目的は、樹脂成形品の変形抑制や低温でハイレートにスパッタリングができるように改良したスパッタリング装置を使用することで、乾式法で樹脂成形品に導電性を付与することにより、湿式法ではめっきが難しかった樹脂材料のめっきを可能にして、多種類の樹脂成形品の前処理工程を容易に実施することができる装飾めっき品の製造方法を提供することにもある。
【0025】
更に、本発明の目的は、真空チャンバー内で樹脂成形品の全周囲が金属ターゲットに向くように回転させることで、過熱することなく凹凸のある樹脂成形品の表面に金属を均一に成膜することができる樹脂成形品を固定する吊り掛け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の製造方法によれば、スパッタリング装置内において、真空雰囲気状態で樹脂成形品(W)の表面をプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化する樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)と、次に、同じくスパッタリング装置内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、金属をスパッタリングにより樹脂との密着性を確保するために成膜する金属薄膜成膜工程(S2)と、続いて、前記金属薄膜成膜工程(S2)により樹脂成形品(W)に成膜した金属薄膜上に、スパッタリングにより導電化膜を成膜する導電化膜成膜工程(S4)と、前記導電化膜成膜工程(S4)が終了した樹脂成形品(W)を電気めっきする電気めっき工程と、から成り、樹脂成形品(W)の凹凸面に金属を均一に成膜する際に、前記スパッタリング装置内において樹脂成形品(W)を回転させながらその表面にスパッタリング処理する、ことを特徴とするスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法が提供される。
【0027】
例えば、スパッタリング装置内において、真空雰囲気状態で吊り掛け治具(11)に取り付けた樹脂成形品(W)を自転するように回転させながらプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化する樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)と、次に、同じくスパッタリング装置内において、吊り掛け治具(11)に取り付けた樹脂成形品(W)を金属ターゲット(52)の前へ公転するように移動させ、そこで自転させながら、金属をスパッタリングにより樹脂との密着性を確保するために成膜する金属薄膜成膜工程(S2)と、続いて、前記金属薄膜成膜工程(S2)により金属薄膜を成膜した樹脂成形品(W)を別の金属ターゲット(52)の前に公転するように移動させ、そこで自転させながら、スパッタリングにより導電化膜を成膜する導電化膜成膜工程(S4)と、前記導電化膜成膜工程(S4)が終了した樹脂成形品(W)を電気めっきする電気めっき工程と、から成る装飾めっき品の製造方法である。
前記金属薄膜成膜工程(S2)の次に、樹脂成形品(W)に成膜した金属薄膜をプラズマ処理による表面改質処理で活性化する成膜表面活性化処理工程(S3)を更に備えることが好ましい。
【0028】
前記スパッタリング装置の真空チャンバー内において、吊り掛け治具(11)に樹脂成形品(W)を吊り下げ、該吊り掛け治具(11)をその回転軸線(L)で回転させながらスパッタリング処理することが好ましい。
前記スパッタリング装置の真空チャンバー内において、複数の吊り掛け治具(11)に樹脂成形品(W)を吊り下げ、各吊り掛け治具(11)をその回転軸線(L)で回転させながら、複数の吊り掛け治具(11)をその回転軸が円形の軌跡上をなぞり、公転するように移動させてスパッタリング処理することが好ましい。
【0029】
前記樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、空気を微量残留させた状態でプラズマ処理することが好ましい。
前記樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に、アルゴンと微量酸素を注入してプラズマ処理による表面改質処理することが好ましい。
【0030】
例えば、前記金属薄膜成膜工程(S2)は、真空雰囲気内において、前記樹脂成形品(W)の表面に酸素との結合力が強い金属の単一又は酸素との結合力の強い金属を含む合金をスパッタリングにより成膜する。
例えば、前記金属薄膜成膜工程(S2)は、真空雰囲気内において、0.01〜50%にイオン化された金属を、前記樹脂成形品(W)の表面に成膜することができる。
前記金属薄膜成膜工程(S2)では、膜厚が0.01〜2.0μm程度になるように成膜する。
【0031】
前記導電化膜成膜工程(S4)は、ニッケル又は銅を成膜することができる。
前記導電化膜成膜工程(S4)では、膜厚が0.1〜5.0μm程度になるように成膜することが好ましい。
【0032】
前記電気めっき工程は、光沢硫酸銅めっき(S6)、半光沢ニッケルめっき(S7)、光沢ニッケルめっき(S8)、MPニッケルめっき(マイクロポーラスニッケルめっき)(S9)の順で各めっき処理を施し、最後に装飾仕上げめっき(S10)を施してめっき処理を終了することができる。
例えば、前記装飾仕上げめっき(S10)では、3価クロムめっき、クロムめっき、錫/ニッケル合金めっき、ルテニウム又は金めっきなどのめっき処理を施す。
【0033】
本発明の吊り掛け治具によれば、プラズマ放電により励起されたアルゴン等の衝突により金属ターゲット(52)より原子を飛び出させ、樹脂成形品(W)に成膜させるスパッタリング処理する際に、該樹脂成形品(W)を固定する吊り掛け治具(11)であって、真空チャンバー内において回転する吊り下げ棒(12)と、該吊り下げ棒(12)に取り付けた、該樹脂成形品(W)を着脱自在に固定する引っ掛け具(13)と、から成り、前記真空チャンバー内において、前記吊り下げ棒(12)を回転させながらスパッタリング処理するように構成した、ことを特徴とするスパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具が提供される。
【0034】
また、プラズマ放電により励起されたアルゴン等の衝突により金属ターゲット(52)より原子を飛び出させ、樹脂成形品(W)に成膜させるスパッタリング処理する際に、該樹脂成形品(W)を固定する吊り掛け治具(11)であって、真空チャンバー内において、上下方向に配置した2枚の回転板(14)と、前記回転板(14)の間に、円周方向に間隔を開けて着脱自在に立て掛けた複数の吊り下げ棒(12)と、各吊り下げ棒(12)に取り付けた、該樹脂成形品(W)を着脱自在に固定する引っ掛け治具(13)と、から成り、前記真空チャンバー内において、前記上下の回転板(14)を回転させると同時に、各吊り下げ棒(12)も回転させながらスパッタリング処理するように構成することができる。
前記回転板(14)の間において、立て掛けた隣接する吊り下げ棒(12)の間に隔壁(15)を更に設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
上述したように、本発明の製造方法では、樹脂表面洗浄・活性化工程(S1)においてスパッタリング装置内で、樹脂成形品(W)の表面を、プラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化し、次に、金属薄膜成膜工程(S2)で同じくスパッタリング装置内で、酸素との結合力の強い金属の単一、又は酸素との結合力の強い金属を含む合金を、成膜し、続いて、導電化膜成膜工程(S4)でこの樹脂成形品(W)に成膜した金属薄膜上に、所定の金属をスパッタリングにより導電化膜を成膜することで、乾式法により樹脂成形品(W)に成膜を行い導電性を付与することができる。そこで、従来の湿式法では不可能であった新素材特殊材料に低温で成膜できるので、従来のように加熱により樹脂成形品(W)が軟化し、更に変形するといった不具合を防止することができる
スパッタリング装置内において、凹凸面を有する樹脂成形品(W)を回転させながらその表面にスパッタリング処理することにより、その表面に金属を均一に成膜することができる。
【0036】
更に、電気めっき後あるいは乾式法めっき後の最外層に高付加・高機能膜(透明性保護膜、高硬度膜など)を付与することができるため、乾式法を利用しためっき前処理技術以外の表面処理技術としての応用が可能である。
樹脂との密着性を得る目的で処理する金属薄膜成膜工程(S2)の次に成膜表面活性化処理工程(S3)を付け加えることで、導電化膜成膜工程(S4)の際に処理する導電化膜の密着力が強固になる。
導電化膜成膜工程(S4)の次に通常の樹脂めっきと同様な電気めっきを施すだけで、最終の樹脂めっき製品を生産することができる。
【0037】
また、樹脂めっきの前処理、即ち樹脂成形品(W)の導電化処理について、従来のような6価クロムを用いる湿式法から乾式法に変更することにより、樹脂めっき製造における環境負荷が大きい化学薬品を使用する湿式導電化処理ではないため、環境負荷物質を激減することができる。従来のように、6価クロム等の廃液処理が不必要又は激減することができる。
【0038】
本発明の吊り掛け治具では、真空チャンバー内において、樹脂成形品(W)を吊り掛け治具(11)に固定し、この吊り掛け治具(11)を回転させながらスパッタリング処理することにより、凹凸形状の樹脂成形品(W)であっても金属ターゲット(52)から等間隔を維持しているので、樹脂成形品(W)の表側と裏側の両面は勿論のこと、凹凸面を有する樹脂成形品(W)の全表面に金属を均一に成膜することができる。
【0039】
また、真空チャンバー内において、上下の回転板(14)を回転させ、同時に個々の吊り下げ棒(12)を回転させながらスパッタリング処理することにより、樹脂成形品(W)であって金属ターゲット(52)の金属から等間隔を維持することにより、凹凸面を有する樹脂成形品(W)の全表面に均一に成膜することができるだけでなく、樹脂成形品(W)を金属ターゲット(52)の金属から遠ざけて冷却することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法は、樹脂めっきの湿式導電化法を乾式導電化法へ変更した前処理方法である。その導電化後は通常通り湿式電気めっきする。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法を示す工程図である。図2は光沢ニッケルめっき方法の一例を示すものであり、(a)は樹脂導電化処理の工程図、(b)は湿式電気めっき工程図である。
本発明の実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法は、樹脂成形品Wを治具にセットし、樹脂表面洗浄・活性化工程S1で、スパッタリング装置内において、真空雰囲気状態で樹脂成形品Wの表面をプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化し、次に、金属薄膜成膜工程S2で、同じくスパッタリング装置内において、樹脂成形品Wの表面に、酸素との結合力の強い金属の単一、又は酸素との結合力の強い金属を含む合金を、をスパッタリングにより成膜し、続いて金属薄膜成膜工程S2の次の成膜表面活性化処理工程S3で、樹脂成形品Wに成膜した金属薄膜をプラズマ処理による表面改質処理で活性化し、最後に導電化膜成膜工程S4で、樹脂成形品Wに成膜した金属薄膜上に、所定の金属をスパッタリングにより導電化膜を成膜する方法である。
このように、乾式法のマグネトロン・スパッタ法等により、樹脂成形品Wの表面改質と金属成膜を行い、導電性を付与する。この樹脂導電化処理を施した樹脂成形品Wは治具から取り外し、後述するように電気めっき工程S5〜S10で電気めっき処理を施す。
【0042】
マグネトロン・スパッタリングで用いるスパッタリング装置は、真空雰囲気内においてプラズマ放電により励起されたアルゴン等の衝突によりタ金属ターゲットから原子を飛び出させ、樹脂成形品Wに成膜させる装置である。このスパッタリング処理により樹脂成形品Wにターゲットの金属を成膜し、または樹脂成形品Wにプラズマを照射する。
【0043】
本発明の装飾めっき品となる樹脂成形品Wは、自動車用樹脂めっき部品、シャワーや蛇口部品等の住宅関連樹脂めっき部品等のいわゆる「外観製品」である。従来の装飾めっき品の製造方法では樹脂成形品Wの樹脂間剥離でめっき膜が浮き上がり、手を切るなどの人身致傷の原因なることがあったので、「外観製品」の外観の仕上がりは重要である。因みに、プリント基板のような「機能製品」であれば、このような装飾めっきを施す必要はない。
【0044】
樹脂表面洗浄・活性化工程S1では、真空度を例えば10−1(=10の−1乗)Pa程度の真空チャンバーのような真空雰囲気内で樹脂表面をプラズマ処理により洗浄及び表面改質活性化する。例えば、空気を微量残留させた状態でアルゴンプラズマ処理する。又はアルゴンと微量酸素を注入してのプラズマ処理をする。
この樹脂表面洗浄・活性化工程S1は、マグネトロン・スパッタ法の他に、アークプラズマ蒸着法でのプラズマ処理法を使用することができる。
【0045】
金属薄膜成膜工程S2は、真空チャンバーのような真空雰囲気内でマグネトロン・スパッタ法により、樹脂とめっき膜との密着性を確保するための工程である。真空度を例えば10−2〜3(10の−2〜3乗)Pa程度に引き上げ、プラズマによって0.01〜50%にイオン化されたクロム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、ニッケル、パラジウムなどの酸素との結合力の強い金属(親酸素金属)の単一もしくは、それらの金属を含む合金を樹脂成形品Wに成膜する。
【0046】
また、金属薄膜成膜工程S2では、ニッケルクロム合金(合金比=50:50)や金属クロムを用いることが好ましい。樹脂とめっき膜との密着性を確保するための金属薄膜は、樹脂との密着性が良好なだけではなく、次工程の電気めっきを円滑に処理するための導電化膜との密着性が良好な金属を使用する必要がある。金属薄膜成膜工程S2では、クロム単体、クロム・ニッケル合金、アルミニウム、銅合金などを使用することが好ましい。合金比率は特に規定しない。樹脂の種類や成形条件等によって密着の良い成膜金属材料を選択する。例えば金属銅を使用することができる。めっき密着力を確保するための膜厚に制限はないが、めっき応力等を考えると0.05μm〜0.5μmが適当であった。
【0047】
金属薄膜成膜工程S2が終了した樹脂成形品Wに、更に成膜表面活性化処理工程S3で活性化処理を施すことが好ましい。例えば、樹脂成形品Wに0.01μm〜2.0μmで成膜した金属薄膜をアルゴンプラズマ処理による表面改質処理で活性化する。これにより樹脂成形品Wと金属薄膜との密着力が高くなる。
【0048】
導電化膜成膜工程S4は、樹脂成形品Wに電気めっき処理するための導電化膜を成膜する工程である。電気めっき用の導電化膜は、電気めっき処理するための導電化膜であるが、乾式めっき法で形成しためっき膜と電気めっき法で成膜する膜とのめっき密着性を確保するための酸処理や希薄な酸化剤によるソフトエッチングもしくは、電解活性化処理に耐えうる金属膜である必要がある。そこで、この導電化膜成膜工程S4による膜厚は、例えば金属銅の場合は0.5μmから2.0μmが適当であった。この導電化膜成膜工程S4による成膜は、下層金属との密着力が良く、更に後工程である湿式電気めっき(電気銅めっきや電気ニッケルめっき)の前処理(活性化工程)S5が簡単で密着性も高い金属であれば金属銅以外の金属を成膜することができる。
【0049】
図3はスパッタリング処理の際に樹脂成形品Wを固定する吊り掛け治具の一例を示す斜視図である。図4は吊り掛け治具の吊り下げ棒と金属ターゲットとの位置関係を示す説明平断面図である。
本発明のスパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具11は、真空チャンバー(図示していない)内において回転するように設けた吊り下げ棒12と、この吊り下げ棒12に樹脂成形品Wを固定する引っ掛け具13を取り付けたものである。このよう構成した吊り掛け治具11には、各引っ掛け具13に樹脂成形品Wを取り付ける。図示例の樹脂成形品Wは自動車のドアハンドルを示している。このドアハンドルは一例に過ぎず、凹凸形状を有する樹脂成形品Wであれば本発明の吊り掛け治具11に適している。
【0050】
樹脂成形品Wを取り付けている吊り掛け治具11は、スパッタリング装置の真空チャンバー内に入れ、プラズマ放電により励起されたアルゴン等の衝突により金属ターゲット52より原子を飛び出させ、樹脂成形品(W)に成膜させる際に利用する治具である。特に実施例1では、真空チャンバー内において吊り掛け治具11を回転させながらスパッタリング処理することにより、凹凸形状の樹脂成形品Wであってもその全表面に金属を均一に成膜することができる。
【0051】
図5は真空チャンバー内に入れる吊り掛け治具を示す斜視図である。
吊り掛け治具11は、真空チャンバー内において、上下方向に配置した2枚の回転板14と、上下回転板14の間に、円周方向に間隔を開けて着脱自在に立て掛けて使用するようになっている。上下回転板14の間において、吊り掛け治具11の間に隔壁15を設けた。この隔壁15は、金属ターゲット52からスパッタリングされた金属が目的とする樹脂成形品Wに隣接する別の樹脂成形品Wに成膜することを防止するためである。
【0052】
吊り掛け治具11では、真空チャンバー内において、上下の回転板14を回転させ、同時に個々の吊り掛け治具11を回転させながらスパッタリング処理することができる。即ち、個々の樹脂成形品Wは、自転しながら公転しているので、凹凸形状の樹脂成形品Wであっても金属ターゲット52から等距離を維持することにより、凹凸面を有する樹脂成形品Wにその表面に均一に成膜することができる。更に、樹脂成形品Wを金属ターゲット52から遠ざけ、冷却することもできる。
【0053】
このような構造のスパッタリング装置内において、樹脂表面洗浄・活性化工程S1では、真空雰囲気状態で吊り掛け治具11に取り付けた樹脂成形品Wを自転するように回転させながらプラズマ処理で洗浄及び表面改質活性化し、金属薄膜成膜工程S2では、引っ掛け具12に取り付けた樹脂成形品Wを金属ターゲット52の前へ公転するように移動させ、そこで自転させながら、金属をスパッタリングにより樹脂との密着性を確保し、続いて、導電化膜成膜工程S4では、金属薄膜成膜工程S2により金属薄膜を成膜した樹脂成形品Wを別の金属ターゲット52の前に公転するように移動させ、そこで自転させながら、スパッタリングにより導電化膜を成膜して樹脂導電化処理を完了させる。
【0054】
このように樹脂表面洗浄・活性化工程S1、金属薄膜成膜工程S2及び導電化膜成膜工程S4が終了した乾式めっきで導電化処理まで終わった樹脂成形品は、真空チャンバーから取り出し、電気めっき用の治具に掛け替えて通常の電気めっき工程で仕上げる。
【0055】
湿式電気めっきでは、図2(b)に示すように、マグネトロン・スパッタリングにより樹脂導電化処理を施した樹脂成形品Wを活性化工程S5で乾式めっき膜を活性化する。この活性化工程S5は、電気めっきとの密着を確保するための工程である。例えば、乾式めっきの最終導電化金属として銅を用いたときは、20g/Lの過硫酸Na溶液に30秒間浸漬するソフトエッチング工程でおこなった。なお、この活性化工程S5は、乾式めっきで使う導電化金属の種類によって様々な方法がある。乾式めっき膜と電気めっき膜との密着性が確保できる方法であれば、その方法は限定しない。
【0056】
電気めっき工程S6〜S10は光沢硫酸銅めっき等通常の樹脂めっきや金属めっきに用いられる電気めっきが適応できる。例えば図示するように光沢硫酸銅めっきS6、半光沢ニッケルめっきS7、光沢ニッケルめっきS8、MPニッケルめっき(マイクロポーラスニッケルめっき)S9の順で各めっき処理を施す。
最後に3価クロムめっき、錫/ニッケル合金めっき、ルテニウム又は金めっきなどの装飾仕上げめっきS10を施してめっき処理を終了する。勿論、従来から利用されている6価クロムからのクロムめっきも使用可能である。
この電気めっき工程S6〜S10は一例であって、これ以外の金属をめっき処理できることは勿論である。
【0057】
図6は実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化処理した樹脂成形品の断面図である。図7は実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法によりめっきしためっき被膜の断面図である。
光沢硫酸銅めっき30μm、半光沢ニッケルめっき10μm、光沢ニッケルめっき10μm、マイクロポーラスニッケルめっき1.3μm、クロムめっき0.35μm程度の電気めっきを行い、後述するピーリング密着試験や、サーマルサイクル試験等の樹脂めっき機能試験を実施し、めっき製品の評価を行った。
【0058】
本発明の実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法によりめっきした製品のめっきの密着力に関する実験について説明する。図8は「表1 プレート密着測定結果」を示す表である。図9は「表2 スパッタリング実験条件」を示す表である。図10は「表3 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No1」を示す表である。図11は「表4 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No2」を示す表である。図12は「表5 実製品密着測定結果(Cr)」を示す表である。
(1)予備試験(樹脂プレート)
樹脂プレートを使って材料別の密着強度、成膜前の樹脂の表面洗浄・活性化に酸素注入の効果があるか、樹脂材料による差、無機フィラーの影響等を概略的に調べた結果を図8の「表1 プレート密着測定結果」に示した。この表1の結果のように樹脂表面洗浄処理時の酸素ガス注入によって密着性が向上することがわかった。但し、ABS樹脂プレートに関しては酸素ガス注入の効果は高くなかった。ABS樹脂プレート試験には樹脂厚みを変えた3段プレート(ゲート=3mm/2mm/1mm=下段)を使って試験をおこなった。膜厚が厚いところの方が密着力が高く、形状や成形条件でも密着が変化することを予測させる結果となった。材料的には、ナイロン系、ABS系の樹脂の密着強度が高いことがわかった。
【0059】
(2)実成形品での試験結果
試験条件を図9の「表2 スパッタリング実験条件」に示した。めっき密着性用成膜金属はニッケル・クロム合金(合金比=50:50)とクロム(99.9%)品の2種類の試験をおこなった。導電化膜は金属銅(99.9%)をターゲットとして使用した。
【0060】
(3)実製品密着測定結果
図10〜図12の「表3 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No1」、「表4 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No2」にニッケル・クロム合金での結果を、「表5 実製品密着測定結果(Cr)」にクロムでの結果を示した。
「表2 スパッタリング実験条件」に示した実験条件4、実験条件8、実験条件10の条件で密着力の高い樹脂めっきが作れることがわかった。特に、PA/ABS樹脂は密着力がmax4.75Kgf/cm=約47N/cmの高い数値を示した。その他の材料でも適正な条件を選択すれば量産化が可能である。
【0061】
(4)サーマルショック試験結果
PC/ABS樹脂めっき試作品(Ni/Cr実験条件10の製品)及びPA/ABS樹脂めっき試作品(同じ条件)を−30℃/0.5Hr⇒80℃/0.5Hrを1サイクルとして、120サイクルのサーマルショック試験をおこなったが、パート部分の樹脂層薄膜剥離によるめっき浮き現象は確認されなかった。従って、本発明の方法を使えば安全な樹脂めっき部品を量産化できることがわかった。
【0062】
本発明のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法は、樹脂めっきの前処理にスパッタリングの乾式めっき法を利用していので、従来のクロム酸による導電化処理法と異なり種々の樹脂を対象とすることができる。例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、PC/ABS樹脂(ポリカーボネイト/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、PC/PET樹脂(ポリカーボネイト/ポリエチレンテレフタレート)、PC/PBT樹脂(ポリカーボネイト/ポリブチレンテレフタレート)、LCP樹脂(液晶ポリマー)、PA樹脂(ポリアミド)、PA/ABS(ポリアミド/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル)、PP樹脂(ポリプロピレン)、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)、SPS樹脂(結晶性ポリスチレン)、PS樹脂(ポリスチレン)、MMA樹脂(メタクリル酸メチル)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)、PC樹脂(ポリカーボネイト)等がある。更にこれらの樹脂のポリマーアロイも対象とすることができる。
【0063】
特にナイロン系樹脂と乾式めっき膜との密着性が良い。ナイロン系樹脂は、湿式めっきでは塩酸等のエッチング処理により製品表面が荒れてしまい綺麗なめっき外観が得ることが難しい材料であるが、乾式法では製品外観が悪くなることはなくABS樹脂めっき品のような綺麗な外観を得ることができた。
【0064】
一般的に樹脂めっきに使用されるABS樹脂においても1Kgf/cm(9.8N/cm)以上のめっき密着力が得られた。本発明の乾式めっきを利用した樹脂めっき前処理工程(樹脂の導電化工程)では、めっき密着強度をピーリング強度で0.5Kgf/cm(4.9N/cm)を合格目標値として試験をおこなった。なお、自動車規格では1.0Kgf/cm(9.8N/cm)を努力目標値として設定されているが、実使用上0.5Kgf/cm(4.9N/cm)で使用可能である。
【0065】
乾式めっき前に樹脂のクリーニングと共に、酸素プラズマ(空気によるプラズマ処理を含む)処理をすることにより、密着性が向上することができる。但し、その条件は樹脂や成形条件によって変更する必要がある。
【0066】
樹脂めっきの前処理(樹脂の導電化処理)を従来の6価クロムを用いる湿式法から乾式法に変更することで樹脂めっき製造における環境負荷は激減すると考える。
【0067】
[樹脂表面洗浄・活性化工程後の表面観察]
樹脂表面洗浄・活性化工程S1を実施した後の表面観察を走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)およびAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)を用いて行った。
SEM観察結果を図13に、AFM観察結果を図14に示す。
SEM観察ではプラズマ未処理と処理表面との差が不明瞭であったが、AFM観察ではプラズマ処理を行うことで、樹脂表面に凹凸が出来ることが確認することができた。
従来の樹脂めっきでは、このSEM像程度の凹凸ではめっきのアンカー効果が得られないため、自動車部品規格を満足するめっき密着力は得られるものではないが、本方法では現状程度の表面凹凸で自動車部品規格を満足する密着力が得られている。
【0068】
プラズマ処理品と未処理品の表面について、ぬれ張力試験混合液(関東化学(株)製)を用いてぬれ張力試験を実施したところ、いずれの樹脂(PA,PA/ABS,PC/ABS,ABS,PP,PC/PET)においてもぬれ性が向上した。このことから、プラズマ処理により樹脂表面に親水性官能基が生成しているものと思われる。
この官能基が金属薄膜成膜工程S2のスパッタリング金属が化学結合することで樹脂との密着力が発生する。
【0069】
図15の「表21 イオン照射処理の実験結果」にPA/ABS(PA比率50%,70%,フィラー入り)とPC/ABS,PC/PETの自動車内装ドアハンドル製品について種々のプラズマ処理(樹脂表面洗浄・活性化工程S1)条件の実験を行った結果を示す。
その結果、原料によって密着の良い条件と悪い条件があり、原料によってプラズマ処理条件を選択する必要があることが分かった。また、ドアハンドルのRH(右側)とLH(左側)でも、密着力が大きく異なる場合もあることから、成形の条件によっても密着力が異なることが分かった。
【0070】
さらに上記の自動車内装ドアハンドル製品を使用し、上記原料で金属薄膜成膜工程S2のスパッタリング金属をNi系,Cr系,Cu系について実験を行った。その結果を図16の「表22-1 Ni系ターゲットでの実験結果1/2」、図17の「表22-2 Ni系ターゲットでの実験結果2/2」、図18の「表23 Cr系ターゲットでの実験結果」、図19の「表24 Cu系ターゲットでの実験結果」に示す。
【0071】
[Ni系のスパッタリング]
図16の表22-1、図17の表22-2に示すように、いずれの樹脂も樹脂表面洗浄・活性化工程S1のイオン照射が未実施であれば密着性が悪く、湿式電気めっき工程後でフクレが発生する傾向が見られた。PA系樹脂はNi系のスパッタリングが良好であるが、PC/ABSは湿式電気めっき工程後の製品外観においてめっきフクレが無い状態で密着の良い条件が少なく、PC/PETについては、いずれの条件も湿式電気めっき工程でめっきフクレが発生し、密着力の良い条件は見いだせなかった
【0072】
[Cr系のスパッタリング]
図18の表23に示すように、プラズマ処理未実施であればいずれの樹脂も、Ni系のスパッタリング実験(表22-1)と同様に密着性が得られない。プラズマ処理を実施すると、Ni系のスパッタリング実験とは逆の結果を示し、PA系の原料は密着性が悪く、PC/ABSとPC/PETは1.0kgf/cm以上のピーリング強度が得られた。
【0073】
[Cu系のスパッタリング]
図19の表24に示すように、プラズマ処理未実施であればいずれの樹脂も密着性が得らない。PA/ABS(フィラー入り)の1条件以外はいずれも密着性が悪かった。
【0074】
上記のことより、いずれのスパッタリング金属も、プラズマ処理未実施では表23のNi−Cr系の実験時と同様に密着力の良いものは得られない。また樹脂原料によって密着力が得られる金属薄膜成膜工程S2のスパッタリング金属の種類があり、樹脂原料に応じてスパッタリング金属を選択する必要があることが分かった。
【0075】
本発明では、同一形状の成形品で、めっき用(PC/ABS)/塗装用(PC/PET)のように樹脂原料の仕様を使い分けている製品に対して、金型を統一化できる(PC/ABS成形用の金型、PC/PET成形用の金型のように原料毎の金型を作成しなくてもよい)、樹脂の統一化を図ることができるので成形作業の準備工数(原料変更作業、成形機への金型取り付け作業)が省略できる、といったコスト削減が可能である。
【0076】
なお、本発明は、従来のエッチング工程と導電化工程におけるクロム酸と硫酸との混酸のような化学薬品を使用しない処理法、即ち乾式法により樹脂成形品Wに樹脂表面粗化をすると共に導電性を付与することで、このような化学薬品による樹脂成形品Wの樹脂表面の薬品劣化を防止し、樹脂の表層剥離を防止して樹脂めっき品の安全性は確保できれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0077】
また、本発明は、乾式法で導電性を付与することにより、湿式法ではめっきが不可能だった樹脂材料へのめっきを可能にした。また多種類の樹脂成形品Wの前処理工程を容易に実施することができれば、上述した樹脂に限定されない。
【0078】
本発明は、真空チャンバー内で樹脂成形品Wの全周囲が金属ターゲット52に向くように回転させることで、過熱することなく凹凸のある樹脂成形品Wの表面に金属を均一に成膜することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法は、高耐食性と耐ヒートサイクル性が要求されるラジエターグリル、ドアレギュレーターハンドル、バックドアガーニツシュ、モール類等の自動車用樹脂めっき部品、高耐食性は要求されないハンドル、つまみ類の家電用樹脂めっき部品、高耐食性が要求されるノートパソコン筐体、カメラ筐体、携帯電話筐体等の樹脂めっき剛性筐体等の製品等の様々な用途に利用することができる。
【0080】
特に、本発明のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法は、自動車用内装ドアハンドル、外装ドアハンドル、外装ハンドルカバー部品等のような自動車用樹脂めっき部品、シャワーヘッド、蛇口部品等のような住宅関連樹脂めっき部品、更に携帯電話部品のように直接人が手に触れる製品に適している。
【0081】
また、本発明の吊り掛け治具は、凹凸形状を有する樹脂成形品Wに成膜する装置であれば利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法を示す工程図である。
【図2】光沢ニッケルめっき方法を示すものであり、(a)は樹脂導電化処理の工程図、(b)は湿式電気めっき工程図である。
【図3】スパッタリング処理の際に樹脂成形品を固定する吊り掛け治具の吊り下げ棒の一例を示す斜視図である。
【図4】吊り掛け治具の吊り下げ棒と金属ターゲットとの位置関係を示す説明平断面図である。
【図5】真空チャンバー内に入れる吊り掛け治具を示す斜視図である。
【図6】実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化処理した樹脂成形品の断面図である。
【図7】実施例1のスパッタリングによる樹脂導電化を利用した装飾めっき品の製造方法によりめっきしためっき被膜の断面図である。
【図8】「表1 プレート密着測定結果」を示す表である。
【図9】「表2 スパッタリング実験条件」を示す表である。
【図10】「表3 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No1」を示す表である。
【図11】「表4 実製品密着測定結果(Ni−Cr)No2」を示す表である。
【図12】「表5 実製品密着測定結果(Cr)」を示す表である。
【図13】SEM観察写真である。
【図14】AFM観察写真である。
【図15】「表21 イオン照射処理の実験結果」を示す表である。
【図16】「表22-1 Ni系ターゲットでの実験結果1/2」を示す表である。
【図17】「表22-2 Ni系ターゲットでの実験結果2/2」を示す表である。
【図18】「表23 Cr系ターゲットでの実験結果」を示す表である。
【図19】「表24 Cu系ターゲットでの実験結果」を示す表である。
【図20】従来の光沢ニッケルめっき方法を示す工程図である。
【図21】従来の樹脂導電化処理方法を示す工程図である。
【図22】スパッタリング処理装置を示す概念図である。
【符号の説明】
【0083】
S1 樹脂表面洗浄・活性化工程
S2 金属薄膜工程
S3 成膜表面活性化処理工程
S4 導電化膜成膜工程
S5 活性化工程
S6 光沢硫酸銅めっき
S7 半光沢ニッケルめっき
S8 光沢ニッケルめっき
S9 MPニッケルめっき(マイクロポーラスニッケルめっき)
S10 装飾仕上げめっき
11 吊り掛け治具
12 吊り下げ棒
13 引っ掛け具
14 回転板
15 隔壁
52 金属ターゲット
W 樹脂成形品
【出願人】 【識別番号】594035138
【氏名又は名称】柿原工業株式会社
【出願日】 平成19年7月3日(2007.7.3)
【代理人】 【識別番号】100099667
【弁理士】
【氏名又は名称】武政 善昭

【識別番号】100120101
【弁理士】
【氏名又は名称】畑▲崎▼ 昭


【公開番号】 特開2008−31555(P2008−31555A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−175071(P2007−175071)