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【発明の名称】 電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法
【発明者】 【氏名】染矢 和昭

【要約】 【課題】最外周部分に平坦領域を有する電鋳体を歩留まりよく得るための電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法を提供する。

【構成】電鋳用基板SBは、電鋳体に転写するための微細パターンを有する微細パターン領域FAと、微細パターン領域FAを取り囲む平坦領域MAと、平坦領域MAよりも外側に配置されたアンカーパターン領域AAとを備えている。アンカーパターン領域AAは、微細パターン領域FAに形成された少なくとも1つの微細パターンの深さと同一の寸法のアンカーパターンを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電鋳により上面に電鋳体を形成するための電鋳用基板であって、
前記電鋳体に転写するための少なくとも1つの微細パターンを有する微細パターン領域と、
前記微細パターン領域を取り囲む平坦領域と、
前記平坦領域よりも外側に配置され、かつ前記微細パターン領域に形成された少なくとも1つの前記微細パターンの深さと同一の寸法のアンカーパターンを有するアンカーパターン領域とを備えた、電鋳用基板。
【請求項2】
電鋳により上面に電鋳体を形成するための電鋳用基板であって、
前記電鋳体に転写するための微細パターンを有する微細パターン領域と、
前記微細パターン領域を取り囲む平坦領域と、
前記平坦領域よりも外側に配置され、かつ500nm以上1μm以下の寸法のアンカーパターンを有するアンカーパターン領域とを備えた、電鋳用基板。
【請求項3】
前記平坦領域の幅が6mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電鋳用基板。
【請求項4】
前記アンカーパターンが、複数の孤立パターンが少なくとも1本の線状に配列されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電鋳用基板。
【請求項5】
前記孤立パターンの平面パターンが円形であることを特徴とする、請求項4に記載の電鋳用基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電鋳用基板を用いた電鋳体の製造方法であって、
前記電鋳用基板の前記微細パターン領域、前記平坦領域および前記アンカーパターン領域上に前記電鋳により電鋳膜を形成する電鋳工程と、
前記微細パターン領域が転写された領域よりも外側であり、かつ前記アンカーパターン領域が転写された領域よりも内側の位置において前記電鋳膜を切断する切断工程とを備えたことを特徴とする、電鋳体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法に関し、特に、微細パターン領域を取り囲む平坦領域を備えた電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、微細パターンを有する電鋳用基板を用いた電鋳法により、微細パターンを有する電鋳体を製造する方法が知られている。図21は、電鋳用基板に電鋳体が形成される様子を示す断面図である。図21を参照して、電鋳用基板SB上に電鋳膜EFが電着される。電鋳用基板SBの電鋳膜EFが形成される側の面は、微細パターンを有する微細パターン領域FAと、その外側のパターンのない領域NAとを有する。この電鋳膜EFが電鋳用基板SBから分離されることにより、微細パターンが転写された領域と、その外側のパターンのない領域とを有する電鋳体を得ることができる。
【0003】
なお、微細パターンを有する電鋳体を製造する方法は、たとえば特開2005−283814号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2005−283814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の方法では、図22に示すように、電着の際にパターンのない外周側で電鋳膜EFの反りや捲れ(図中のPL部)が発生しやすいという問題があった。このため、電鋳体の製造歩留まりが低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、微細パターンが転写された領域とその外側のパターンのない領域とを有する電鋳体を、高い歩留まりで製造するための、電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に従う電鋳用基板は、電鋳により上面に電鋳体を形成するためのものである。この電鋳用基板は、電鋳体に転写するための少なくとも1つの微細パターンを有する微細パターン領域と、この微細パターン領域を取り囲む平坦領域と、この平坦領域よりも外側に配置されたアンカーパターン領域とを備えている。このアンカーパターン領域は、微細パターン領域に形成された少なくとも1つの微細パターンの深さと同一の寸法のアンカーパターンを有している。
【0007】
本発明の一の局面に従う電鋳用基板によれば、電鋳用基板は平坦領域よりも外側にアンカーパターン領域を備えている。これにより、平坦領域の外側で電鋳膜が電鋳用基板に固定される。よって、平坦領域の外側での電鋳膜の反りや捲れを抑制することができる。また、この電鋳用基板によれば、アンカーパターンの寸法は、微細パターン領域に形成された少なくとも1つの微細パターンの深さと同一である。これにより、微細パターンとアンカーパターンとを同時に形成できる。よって、アンカーパターンを付加することによる製造コストの増大を抑制することができる。
【0008】
本発明の他の局面に従う電鋳用基板は、電鋳により上面に電鋳体を形成するためのものである。この電鋳用基板は、電鋳体に転写するための微細パターンを有する微細パターン領域と、この微細パターン領域を取り囲む平坦領域と、この平坦領域よりも外側に配置されたアンカーパターン領域とを備えている。このアンカーパターン領域は、500nm以上1μm以下の寸法のアンカーパターンを有している。
【0009】
本発明の他の局面に従う電鋳用基板によれば、電鋳用基板は平坦領域よりも外側にアンカーパターン領域を備えている。これにより、平坦領域の外側で電鋳膜が電鋳用基板に固定される。よって、平坦領域の外側での電鋳膜の反りや捲れを抑制することができる。また、この電鋳用基板によれば、アンカーパターンの寸法は500nm以上である。これにより、電鋳膜が電鋳用基板に固定される作用を、より確実に得ることができる。また、アンカーパターンの寸法が1μm以下であることにより、この作用が過度とならず、電鋳膜と電鋳用基板とを破損させることなく分離することができる。
【0010】
本発明のいずれの局面の電鋳用基板においても好ましくは、平坦領域の幅が6mm以上とされる。
【0011】
これにより、電鋳体の最外周部分に、この6mmの寸法から電鋳膜の切断マージンを差し引いた寸法の幅以上の平坦部分を形成することができる。
【0012】
また好ましくは、アンカーパターンは複数の孤立パターンが少なくとも1本の線状に配列されたものとされ、さらに好ましくは、この孤立パターンの平面パターンが円形とされる。
【0013】
これにより、アンカーパターンが線状に連続的には存在しなくなる。よって、電鋳膜が電鋳用基板から分離される際に、アンカーパターンに沿って電鋳膜が連続的に破断することを防ぐことができる。また、孤立パターンの平面パターンが円形とされることにより、この分離をどの方位からも安定的に行なうことができる。
【0014】
本発明の電鋳体の製造方法は、上記の電鋳用基板を用いた電鋳体の製造方法である。この電鋳体の製造方法は、電鋳用基板の微細パターン領域、平坦領域およびアンカーパターン領域上に電鋳により電鋳膜を形成する電鋳工程と、この電鋳膜を微細パターン領域が転写された領域よりも外側でありかつアンカーパターン領域が転写された領域よりも内側の位置において切断して電鋳体を切り出す切断工程とを備えている。
【0015】
本発明の電鋳体の製造方法によれば、パターン形成面の最外周部分にパターンのない領域を有する電鋳体を歩留まり良く製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の電鋳用基板およびこれを用いた製造方法によれば、微細パターンが転写された領域とその外側のパターンのない領域とを有する電鋳体を、高い歩留まりで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
はじめに、本実施の形態の電鋳用基板の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電鋳用基板の構成を概略的に示す平面図である。また、図2は、図1のII−II線における概略的な断面図である。
【0018】
主に図1を参照して、たとえばシリコン基板などから形成される電鋳用基板SBの上面には、微細パターン領域FA(図中破線正方形内部の領域)が設けられている。この微細パターン領域FAを取り囲むように、枠状の平坦領域MAが設けられている。この平坦領域MAの外側に、枠状のアンカーパターン領域AAが設けられている。このアンカーパターン領域AAの外側は、周辺領域OAが設けられている。
【0019】
主に図2を参照して、微細パターン領域FAは、少なくとも1つの微細パターンを有している。この微細パターンは、たとえば深さEDが500nmの円錐状の多数の凹部パターンであり、パターン間のピッチは、たとえば300nmとすることができる。平坦領域MAはパターンが形成されていない領域であり、たとえば鏡面研磨されたシリコン基板表面のように高い平滑性を有している領域とすることができる。平坦領域MAの幅(図2のWM)は、好ましくは6mm以上である。アンカーパターン領域AAはアンカーパターンAP1、AP2を有している。このアンカーパターンAP1、AP2は、微細パターン領域FAの微細パターンの深さEDと同一の寸法を有する。好ましくは、隣り合うアンカーパターンAP1、AP2の間の領域SP(図1)の幅寸法WS(図2)は、1mm以上である。なお、周辺領域OAの表面形状は特に限定されない。
【0020】
次に、本実施の形態の電鋳用基板SBを用いた電鋳体の製造方法について、図3〜図7を用いて説明する。
【0021】
図3は、本実施の形態1における電鋳体の製造工程の第1段階を概略的に示す平面図である。また、図4は、図3のIV−IV線における概略的な断面図である。主に図3を参照して、微細パターン領域FA、平坦領域MA、およびアンカーパターン領域AAを包含するように、たとえばニッケル膜などの電鋳膜EFが電鋳により形成される。具体的には、まず、深さED(図2)に比して十分に薄い離型剤(図示せず)が、たとえばディッピング法により形成される。たとえば深さEDが500nmの場合、離型剤の厚みは数nm〜数十nmとすることができる。この後、スパッタ法などにより厚さ約100nmのニッケル層が下地層として形成される。次いで、この下地層上に電着がなされ、電鋳膜EFが形成される。主に図4を参照して、電鋳膜EFの微細パターン転写領域TFAには、電鋳用基板SBの微細パターン領域FAの微細パターンが転写形成される。電鋳膜EFの平坦転写領域TMAには、電鋳用基板SBの平坦領域MAの平坦性に対応した平坦面が形成される。電鋳膜EFのアンカーパターン転写領域TAAには、電鋳用基板SBのアンカーパターン領域AAのパターンが転写形成される。すなわち、アンカーパターンAP1、AP2の凹部に噛み合うように、転写アンカーパターンTAP1、TAP2が形成される。電鋳膜EFの周辺転写領域TOAは、電鋳用基板SBの周辺領域OAのアンカーパターン領域AAに隣接する部分に電着された膜の領域である。この後、電鋳膜EFが電鋳用基板SBから分離される。
【0022】
なお、上記の離型剤は、電鋳膜EFが電鋳用基板SBから分離されるときに、電鋳用基板SBが電鋳膜EFに固着して部分的に脱離するのを防止するため形成されるものである。よって、電鋳用基板SBの材質如何によっては形成する必要はない。
【0023】
また、上記の下地層は、電鋳用基板SBが絶縁材料からなる場合に形成されるものである。下地層の材料としては、ニッケル以外にアルミニウム、銅、金などを使用することができる。また、下地層の形成方法としては、スパッタ法以外に蒸着法、無電解電鋳法などを用いることができる。
【0024】
図5は、本実施の形態1における電鋳体の製造工程の第2段階を概略的に示す断面図であり、電鋳膜の断面位置は図4と同一である。また、図6は、この段階における電鋳膜を概略的に示す平面図である。主に図5を参照して、平坦転写領域TMAにおけるアンカーパターン転写領域TAAから距離WCの位置の切断線CLに沿って、電鋳膜EFが切断される。距離WCは切断時のマージンであり、たとえば1mmとすることができる。この切断により、平坦転写領域TMAが、微細パターン転写領域TFA側の平坦転写領域TMA1と、アンカーパターン転写領域TAA側の平坦転写領域TMA2とに分断される。主に図6を参照して、上述した切断により、電鋳膜EFの切断線CLよりも内側の部分が切り出されて電鋳体とされる。
【0025】
図7は、本実施の形態1における電鋳体の製造工程により得られる電鋳体を概略的に示す平面図である。電鋳体EBは、最外周部分にパターンのない領域である平坦転写領域TMA1を有している。この平坦転写領域TMA1の内側は微細パターン転写領域TFA、すなわち電鋳用基板SBの微細パターン領域FAに形成されたパターンが転写された領域である。
【0026】
続いて、本実施の形態の電鋳用基板SBの製造方法について、主に図8および図9を用いて説明する。
【0027】
図8は、本実施の形態1における電鋳用基板の製造工程の第1段階を概略的に示す断面図であり、電鋳用基板の断面位置は図2と同一である。図8を参照して、たとえば鏡面研磨されたシリコン基板などの電鋳用基板SB上にレジストパターンPRが形成される。レジストパターンPRのパターニングは、たとえば電子線描画技術を用いて行なわれる。
【0028】
図9は、本実施の形態1における電鋳用基板の製造工程の第2段階を概略的に示す断面図であり、断面位置は図8と同一である。図9を参照して、レジストパターンPRをマスクとして、たとえば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)によりエッチングが行なわれる。この後、たとえば酸素プラズマアッシングによりレジストパターンPRが除去されることにより、図2に示す電鋳用基板SBが得られる。
【0029】
本実施の形態の電鋳用基板SBによれば、図4に示すように、電鋳膜EFの転写アンカーパターンTAP1、TAP2が、電鋳用基板SBのアンカーパターンAP1、AP2の凹部に噛み合うように形成される。これにより、電鋳膜EFが電鋳用基板SBのアンカーパターンAP1、AP2の部分で固定されるアンカー作用が働く。よって、アンカーパターン領域AAのない電鋳用基板SBが用いられる場合(図21)に生じやすい電鋳工程中における反りや捲れ(図22のPL部)を抑制することができる。
【0030】
また、本実施の形態の電鋳用基板SBのアンカーパターン領域AAに形成されたアンカーパターンAP1、AP2は、微細パターン領域FAに形成された少なくとも1つの微細パターンの深さと同一の寸法を有する。これにより、電鋳用基板SBの製造において、アンカーパターン領域AAのアンカーパターンAP1、AP2と微細パターン領域FAの微細パターンとを同時に形成することができる。よって、アンカーパターン領域AAを設けることによるプロセスコストの増大を抑制することができる。
【0031】
また、好ましくは、平坦領域MAの幅WM(図2)は6mm以上とされる。電鋳膜EFの外周側にパターンのない領域、特に鏡面性の高い領域が幅6mm以上存在すると、電鋳膜の反りや捲れ(図22のPL部)が発生しやすくなるが、本実施の形態によれば、上述したアンカー作用によりこれを効果的に抑制することができる。また、たとえば電鋳膜EFから電鋳体EBを切り出す際に距離WC(図5)を1mm以下とすれば、電鋳体EBに幅5mm以上の平坦部分をもたせることができる。
【0032】
また、好ましくは、隣り合うアンカーパターンAP1、AP2の間の領域SP(図1)の幅寸法WS(図2)は1mm以上とされる。これにより、アンカー作用が過度とならないようにすることができる。よって、電鋳工程終了後に、電鋳膜EFと電鋳用基板SBとを破損させることなく分離することができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、アンカーパターンAP1、AP2が正方形の枠状の2本の溝である場合を示したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。溝の形状は、円形、螺旋形などの形状とすることができる。また、溝の本数も2本に限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における電鋳用基板の構成を概略的に示す断面図であり、その断面位置は実施の形態1における断面図(図2)に対応する。図10を参照して、微細パターン領域FAは、任意の微細パターンを有する。この微細パターンは、たとえば深さED1が400nmの円錐形状の多数の凹状パターンである。アンカーパターン領域AAは、500nm以上1μm以下の寸法ED2を有するアンカーパターンAP1B、AP2Bを有する。
【0035】
なお、これ以外の電鋳用基板SBの構成およびこの電鋳用基板SBを用いた電鋳体EBの製造方法については実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
続いて、本実施の形態の電鋳用基板SBの製造方法について説明する。図11〜図15は、本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第1段階〜第5段階を順に示す概略的な断面図であり、その断面位置は図10と同一である。
【0037】
図11を参照して、たとえば鏡面研磨されたシリコン基板などの電鋳用基板SB上にレジストパターンPRが形成される。レジストパターンPRのパターニングは、たとえば電子線描画技術を用いて行なわれる。
【0038】
図12を参照して、レジストパターンPRをマスクとして、たとえば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)によりエッチングが行なわれる。この後、たとえば酸素プラズマアッシングによりレジストパターンPRが除去される。
【0039】
図13を参照して、電鋳用基板SBの微細パターン領域FAとなる部分の加工が完了する。
【0040】
図14を参照して、再度、電鋳用基板SB上にレジストパターンPRが形成される。レジストパターンPRのパターニングは、たとえばフォトリソグラフィ技術を用いて行なわれる。
【0041】
図15を参照して、再度、エッチングが行なわれ、その後レジストパターンPRの除去が行なわれる。これにより、図10に示す電鋳用基板SBが得られる。
【0042】
本実施の形態の電鋳用基板SBによれば、微細パターン領域FAに形成されている微細パターンの深さに関わらず、アンカーパターン領域に形成されているアンカーパターンAP1B、AP2B(図10)の寸法ED2を500nm以上1μm以下とすることができる。アンカーパターンAP1B、AP2Bの寸法ED2が500nm以上であることにより、実施の形態1で説明したアンカー作用を十分に作用させることができる。また、寸法ED2が1μm以下であることにより、アンカー作用が過剰とならないようにすることができ、電鋳工程終了後に、電鋳膜EFと電鋳用基板SBとを破損させることなく分離することができる。
【0043】
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3における電鋳用基板の構成を概略的に示す断面図であり、その断面位置は実施の形態1における断面図(図2)に対応する。図16を参照して、本実施の形態の電鋳用基板SBの表面形状は、実施の形態1の場合の凹凸形状が反転した形状となっている。よって、アンカーパターン領域AAに形成されているアンカーパターンAP1C、AP2Cは凸状の形状を有している。
【0044】
なお、これ以外の電鋳用基板SBの構成およびこの電鋳用基板SBを用いた電鋳体EBの製造方法については実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
本実施の形態の電鋳用基板SBによっても、実施の形態1と同様に、電鋳膜EFが電鋳用基板SBのアンカーパターンAP1C、AP2Cの部分で固定されるアンカー作用が働く。よって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(実施の形態4)
図17は、本発明の実施の形態4における電鋳用基板の構成を概略的に示す平面図である。図17を参照して、実施の形態1におけるアンカーパターンAP1、AP2(図1)の溝の延在方向に沿って線状に、複数の孤立したアンカーパターンAPI、APOが、アンカーパターンAP1、AP2に代わってそれぞれ配列されている。
【0047】
図18は、図17のXVIII−XVIII線における概略的な断面図である。図17および図18を参照して、アンカーパターンAPI、APOは、電鋳用基板SBの主面上に形成された円錐形状の凹部である。
【0048】
なお、これ以外の電鋳用基板SBの構成およびこの電鋳用基板SBを用いた電鋳体EBの製造方法については実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
本実施の形態の電鋳用基板SBによれば、アンカーパターンAPI、APOの平面パターンは円形である。これにより、たとえば電鋳用基板SBの図19(図17のM2部拡大図)に示す部位に形成された電鋳膜EFが分離される方向(たとえば図中矢印方向)がいずれの方向であっても、各アンカーパターンAPOは等方性形状である円形形状であるため、大差なく分離される。よって、分離方向の影響を受けずに安定して電鋳膜EFを分離することができる。
【0050】
なお、実施の形態1の場合は、電鋳工程後にたとえば図20(図1のM1部拡大図)に示す部位に形成された電鋳膜EFが電鋳用基板SBから分離される際に、分離される方向がたとえば図中矢印方向である場合、分離方向に沿ってアンカーパターンAP2が延在する部分Hと分離方向に垂直にアンカーパターンAP2が延在する部分Vとでは分離に要する力や電鋳膜EFの破断強度が異なる。よって、電鋳膜EFを電鋳用基板SBから分離する工程の安定性は、本実施の形態の方が実施の形態1よりも優れている。
【0051】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、微細パターン領域を取り囲む平坦領域を備えた電鋳用基板およびそれを用いた電鋳体の製造方法に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1における電鋳用基板の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線における概略的な断面図である。
【図3】本発明の本実施の形態1における電鋳体の製造工程の第1段階を概略的に示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線における概略的な断面図である。
【図5】本発明の本実施の形態1における電鋳体の製造工程の第2段階を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の本実施の形態1における電鋳体の製造工程の第2段階における電鋳膜を概略的に示す平面図である。
【図7】本発明の本実施の形態1における電鋳体の製造工程により得られる電鋳体を概略的に示す平面図である。
【図8】本発明の本実施の形態1における電鋳用基板の製造工程の第1段階を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の本実施の形態1における電鋳用基板の製造工程の第2段階を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第1段階を示す概略的な断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第2段階を示す概略的な断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第3段階を示す概略的な断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第4段階を示す概略的な断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における電鋳用基板の製造工程の第5段階を示す概略的な断面図である。
【図16】本発明の実施の形態3における電鋳用基板の構成を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態4における電鋳用基板の構成を概略的に示す平面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線における概略的な断面図である。
【図19】本発明の実施の形態4における電鋳膜が電鋳用基板から分離される様子を示す説明図である。
【図20】本発明の実施の形態1における電鋳膜が電鋳用基板から分離される様子を示す説明図である。
【図21】従来の電鋳用基板に電鋳膜が電着された様子を示す概略的な断面図である。
【図22】従来の電鋳用基板上での電鋳膜の反り、捲れを示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0054】
AA アンカーパターン領域、AP1,AP2,AP1B,AP2B,AP1C,AP2C,API,APO アンカーパターン、EB 電鋳体、EF 電鋳膜、FA 微細パターン領域、MA 平坦領域、OA 周辺領域、PR レジストパターン、SB 電鋳用基板、TAA アンカーパターン転写領域、TAP1,TAP2 転写アンカーパターン、TFA 微細パターン転写領域、TMA,TMA1,TMA2 平坦転写領域、TOA 周辺転写領域。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−31508(P2008−31508A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204588(P2006−204588)