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【発明の名称】 電気めっき方法及びその装置
【発明者】 【氏名】永島 敦

【氏名】押部 弘

【要約】 【課題】ウエフアーのめっき膜の厚さを均一にする。

【構成】アノード電極32と、前記アノード電極32と対向するカソード電極18を備えたウエフアーホルダー10と、前記ウエフアーホルダー10が装着されるカソードホルダー3と、該カソードホルダー3に設けられ、前記ウエフアーホルダー10に保持されたウエフアーWの外周部W1側に位置する第1カソード補助電極5と、を備えた電気めっき装置であって;前記第1カソード補助電極5の外側に間隔をおいて第2カソード補助電極6を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極と、前記アノード電極と対向するカソード電極を備えたウエフアーホルダーと、前記ウエフアーホルダーが装着されるカソードホルダーと、該カソードホルダーに設けられ、前記ウエフアーホルダーに保持されたウエフアーの外周部側に位置する第1カソード補助電極と、を備えた電気めっき装置であって;
前記第1カソード補助電極の外側に間隔をおいて第2カソード補助電極を設けたことを特徴とする電気めっき装置。
【請求項2】
前記カソード電極と前記第1カソード補助電極と前記第2カソード補助電極は、それぞれ独立の電源に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電気めっき装置。
【請求項3】
前記第2カソード補助電極は、第1カソード補助電極と同心状に形成された円環状補助電極であることを特徴とする請求項1、又は、2記載の電気めっき装置。
【請求項4】
前記環状補助電極は、複数個に分割されており、分割された各円弧状電極片は互いに離間されていることを特徴とする請求項3記載の電気めっき装置。
【請求項5】
前記各円弧状電極片は、互いに独立した電源に接続されていることを特徴とする請求項4記載の電気めっき装置。
【請求項6】
前記請求項1記載の電気めっき装置を用いる電気めっき方法であって;
ウエフアーをウエフアーホルダーに保持する行程と、
前記ウエフアーホルダーをカソードホルダーに装着する行程と、
めっき液中に位置する前記各電極に給電するとともに、
第1カソード電極の電流量は、ウエフアーに接触している前記カソード電極の電流量と同等又はほぼ同等にし、又、第2カソード補助電極の電流量は、前記第1カソード電極の電流量よりも大きくする行程と、
を備えていることを特徴とする電気めっき方法。
【請求項7】
前記第2カソード補助電極が、複数に分割された円弧状電極片から構成され、前記各円弧状電極片には、互いに独立した電源からそれぞれ給電されることを特徴とする請求項6記載の電気めっき方法。
【請求項8】
前記各電極片には、それぞれ異なった電流量が供給されることを特徴とする請求項7記載の電気めっき方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品用の基板、IC用のウエフアー、薄膜磁気ヘッド用のウエフアーなどのめっきに用いられる、電気めっき方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエフアーのめっき面には、薄膜が付けられるが、この薄膜は、電気めっき装置により成膜されている。この電気めっき装置では、めっき膜を形成するめっき面(「フロントサイド」とも言う)に導電性の下地膜を設け、この下地膜を陰極としてめっき液中で電通させることにより、前記下地膜上にめっき膜を析出させている。
【0003】
従来の電気めっき装置には、めっき槽の上部にアノード電極が設けられ、その下部側にはウエフアーホルダーが上下動可能に設けられている。この装置では、該ウエフアーホルダーにウエフアーを載置した後、該ウエフアーホルダーにカソードホルダーを挿着し、皿状に形成されたスプリングコンタクト式カソード電極をウエフアーのバックサイドに圧接している。
【0004】
前記電気めっき装置では、ウエフアーの外周部に電流が集中するので、該外周部の膜厚が他の部分より厚くなる。そのため、該ウエフアーのめっき面全体に、均一な厚さのめっき膜を形成することができない。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、円環状のカソード補助電極、又は、複数個に分割した円環状のカソード補助電極が用いられている。
この補助電極は、カソードホルダーに、ウエフアーの外周部側を囲むように設けられ、該カソード補助電極に給電することにより該ウエフアーの外周部に電流が集中しないようにするものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記カソード補助電極を設けている場合には、該補助電極に供給する電流量(電流値)を調整することにより、ある程度ウエフアー全体に流れる電流量を均一化することが可能である。しかし、前記ウエフアーの外周部には、どうしても電流が集中しやすく、均一な電流が流れにくいので、該外周部は他の部分と膜厚が異なってしまう。そのため、前記ウエフアーの外周部を捨てなければならないので、製品であるウエフアーの歩留まりが悪くなってしまう。又、複数個に分割した円環状のカソード補助電極では、各分割電極片のつなぎ目(絶縁間隙)に対応するウエフアーの外周部分に、ハイスポットと呼ばれる膜厚部が発生するので、増々めっき膜の膜厚が不均一になってしまう。
【0007】
この発明は、前記事情に鑑み、被めっき物、例えば、ウエフアー、のめっき膜の厚さを均一にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、アノード電極と、前記アノード電極と対向するカソード電極を備えたウエフアーホルダーと、前記ウエフアーホルダーが装着されるカソードホルダーと、該カソードホルダーに設けられ、前記ウエフアーホルダーに保持されたウエフアーの外周部側に位置する第1カソード補助電極と、を備えた電気めっき装置であって;
前記第1カソード補助電極の外側に間隔をおいて第2カソード補助電極を設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明の前記カソード電極と前記第1カソード補助電極と前記第2カソード補助電極は、それぞれ独立の電源に接続されていることを特徴とする。この発明の前記第2カソード補助電極は、第1カソード補助電極と同心状に形成された環状補助電極であることを特徴とする。この発明の前記環状補助電極は、複数個に分割されており、分割された各円弧状電極片は互いに離間されていることを特徴とする。この発明の前記各円弧状電極片は、互いに独立した電源に接続されていることを特徴とする。
【0010】
この発明は、アノード電極と、カソード電極を備えたウエフアーホルダーと、前記ウエフアーホルダーが装着されるカソードホルダーと、該カソードホルダーに設けられ、前記ウエフアーホルダーに保持されたウエフアーの外周部側に位置する第1カソード補助電極と、前記第1カソード補助電極の外側に間隔をおいて第2カソード補助電極とを備えた、電気めっき装置を用いる電気めっき方法であって;
ウエフアーをウエフアーホルダーに保持する行程と、前記ウエフアーホルダーをカソードホルダーに装着する行程と、めっき液中に位置する前記各電極に給電するとともに、第1カソード電極の電流量はウエフアーに接触している前記カソード電極の電流量と同等又はほぼ同等にし、又、第2カソード補助電極の電流量は前記第1カソード電極よりも大きくする行程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明の前記第2カソード補助電極が、複数に分割された円弧状電極片から構成され、前記各円弧状電極片には、互いに独立した電源からそれぞれ給電されることを特徴とする。この発明の前記各電極片には、それぞれ異なった電流量が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、第1カソード補助電極の外側に間隔をおいて第2カソード補助電極を設けたので、前記第1カソード補助電極が従来のカソード補助電極の役割をする。即ち、均一にめっきしにくいウエフアーの外周部は、前記第1カソード補助電極の外周部となる。そのため、ウエフアーと第1カソード補助電極には、該カソード補助電極の外周部を除いて、均一な膜厚のめっき膜を形成することができるので、従来例に比べ、大幅に製品の歩留まり良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の第1実施の形態を図1〜図4により説明する。
めっき槽1の底部1aには、嵌合穴3aを有するカソードホルダー3が設けられている。この嵌合穴3aの上端には、円環状の第1カソード補助電極5が設けられている。
前記補助電極5の内周部5aは、前記嵌合穴3a内に突出しており、該内周部5aは、ウエフアーホルダー10が嵌合穴3aに挿入された時の、ウエフアー押さえとしても機能する。
【0014】
前記第1カソード電極5の外側には、間隔w0をおいて第2カソード補助電極6が設けられている。この電極6は、前記補助電極5と同心状に形成された円環状電極であり、その電源49は前記補助電極5の電源31と別個独立に設けられている。この補助電極6は、前記補助電極5よりも幅(内径と外形の差)が広いが、この幅や形状等は必要に応じて適宜選択される。
【0015】
前記カソードホルダー3の下方には、ウエフアーホルダー10が設けられている。このウエフアーホルダー10の上面中央部には、円形状のパッド収納凹部12が設けられ、その外方には円環状の電極収納凹部14が設けられている。
【0016】
前記パッド収納凹部12には、吸着パッド、例えば、ゴム製の真空パッド、16が固定されている。前記電極収納凹部14には、スプリングコンタクト式カソード電極18が固定されている。
【0017】
ウエフアーホルダー10には、前記吸着パッド16に連通する吸引通路22が設けられ、該吸引通路22は真空ライン24に連結されている。又、前記ウエフアーホルダー10には、カソードウエフアー電極26が設けられ、該カソードウエフアー電極26は、カソードウエフアー電源28に連結されている。ウエフアーホルダー10には、上下動手段、例えば、昇降シリンダー30が連結されている。
【0018】
図において、32はめっき槽1内に配設されているアノード電極(プラス電極)、34はめっき槽1内を摺動するパドル、36はパドル摺動アーム、38はオーバーフローしためっき液を溜めて循環タンク(図示省略)に戻すオーバーフロー部、40はめっき液循環供給部42に前記循環タンクからのめっき液を供給するめっき供給管、44は磁石、46は循環タンクへの戻り、47は自動弁、をそれぞれ示す。
【0019】
次に、本実施の形態の作動について説明する。
被めっき物、例えば、IC用のウエフアーWをウエフアーホルダー10に載置した後、図示しない吸引駆動装置を始動させると、真空ライン24,吸引通路22を介して真空引きが行われ、前記吸着パッド16はウエフアーWに吸着するので、該ウエフアーWは確実に固定され保持される。
【0020】
この状態で、昇降シリンダー30を駆動させ、図3に示す様に、ウエフアーホルダー10をカソードホルダー3の嵌合穴3aに挿入し、ウエフアーWのフロントサイドを第1カソード補助電極5に押し付ける。
【0021】
そうすると、吸着パッド17は変形し、その上端面はウエフアーホルダー10の上面と面一となり、又、前記カソード電極18の先端はたわんで、ウエフアーホルダー10の上面位置まで降下し、該ウエフアーWのバックサイドを押圧する。
【0022】
前記状態において、めっき槽1にめっき液Mを充填し、各電極5,6、18,32に給電を行う。この時、第1カソード補助電極5の電流の値(「電流量」という)は、カソード電極26の電流量と同一、又は、ほぼ同一(例えば、700ミリアンペア)にし、第2カソード補助電極6の電流量は、第1カソード補助電極5の電流量よりも大きくする(例えば、980ミリアンペア)。
【0023】
この様にすることにより、アノード電極32からウエフアーW、第1及び第2カソード補助電極5,6に流れる電流量は、第2カソード補助電極6側が大きくなるので、めっき液M中の金属の陽イオンが第2カソード補助電極6側に多く引かれながら、めっき膜が形成される。
【0024】
この時、前記第2カソード補助電極5は、従来例のカソード補助電極の役割をする。即ち、均一にめっきしにくいウエフアーWの外周部W1は、実質的に前記第1カソード補助電極5の外周部5bに代えられることになるので、ウエフアーWのめっき面と第1カソード補助電極5の上面には、該第1カソード補助電極5の外周部5bを除いて、略均一な膜厚tのめっき膜Fが形成される。従って、ウエフアーWのめっき部分は、すべて製品として使用できるので、従来例に比べ、大幅に製品の歩留まりが向上する。
【0025】
次に、本発明の第2実施の形態を図5により説明するが、前記図1〜図4と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。
この実施の形態と第1実施の形態との相違点は、第2カソード補助電極6が複数に分割されていることである。
【0026】
即ち、円環状の第2カソード補助電極6は、分割された4個の円弧状電極片6a,6b、6c、6dから構成され、各電極片6a〜6dは同一形状に形成され、互いに間隙dをあけて配設されている。この間隔dは絶縁のためであり、この間隙dとして、例えば、3mmが採用される。前記各電極片6a〜6dは、それぞれ別個独立の電源に接続されている。前記電極6の分割数、各補助電極片の形状、間隙d、等は、必要に応じて適宜選択される。
【0027】
この実施の形態では、前記実施の形態と同様に、第1カソード補助電極5の電流量をカソード電極の電流量と同一又は略同一にし、第2カソード補助電極6の電流量を前記第1カソード補助電極5の電流量よりも大きくする。
なお、第2カソード補助電極6の各電極片6a〜6dの電流量は、必要に応じてそれぞれ調節され、例えば、前記各電極片6a〜6dの電流量が全部異なるようにしたり、又は、前記電極片6a、6bの電流量を前記電極片6c、6dの電流量よりも大きくしたりする。
【0028】
この実施の形態では、各補助電極片6a〜6dの間隙d(つなぎ目部)に電流が集中するので、第1カソード補助電極5の前記つなぎ目部に対応する部分に、ハイスポット50と呼ばれる膜厚部が発生する。しかし、該ハイスポット50が発生しても、第1カソード電極5は、製品ではないので、特に問題となることはない。
【0029】
この発明の実施の形態は、上記に限定されるものではなく、例えば、次のようにしても良い。
(1)カソード電極、第1及び第2カソード補助電極に供給される荷電量を電流量で制御したが、電圧の値(電圧量)により制御することもできる。従って、本件発明の「電流量で制御する」には、「電圧の値(電圧値)で制御する」場合も含まれているものとする。
(2)第1カソード補助電極をウエフアーの外周部の上面に接するように設ける代わりに、前記ウエフアーの外周部の外側に、離間して配設しても良い。
(3)被めっき物として、IC用のウエフアーを用いたが、本件発明の対象とする被めっき物は、IC用ウエフアーのみならず、電子部品用の基板、薄膜磁気ヘッド用のウエフアー等にも及ぶが、ここでいう「ウエフアー」には、前記被めっき物が全て含まれている。
(4)ウエファーの上面側にアノード電極を設け、その下面側をカソード電極に当接させて該ウエファーの上面にめっき膜を形成する代わりに、該ウエファーの下面側にアノード電極を設け、その上面側をカソード電極に当接させて該ウエファーの下面にめっき膜を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す平面図である。
【図2】使用状態を示す正面図である。
【図3】図4の要部拡大縦断面図である。
【図4】電気めっき装置を示す縦断面図である。
【図5】第2実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 めっき槽
3 カソードホルダー
5 第1カソード補助電極
6 第2カソード補助電極
10 ウエフアーホルダー
18 スプリングコンタクト式カソード電極
26 カソードウエフアー電極26
32 アノード電極
【出願人】 【識別番号】593129423
【氏名又は名称】株式会社東設
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100061284
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 侑

【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦


【公開番号】 特開2008−25000(P2008−25000A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200588(P2006−200588)