トップ :: C 化学 冶金 :: C25 電気分解または電気泳動方法;そのための装置

【発明の名称】 めっき装置
【発明者】 【氏名】柳下 芳輝

【氏名】柳下 幸一

【氏名】福田 正

【氏名】大菅 穣一郎

【氏名】加藤 隆

【氏名】佐藤 孝

【要約】 【課題】設置のための広い設置面積を必要としない、コンパクト化が可能なめっき装置を提供する。

【構成】それぞれ1回以上の水洗を伴う前処理工程、めっき工程、及び、後処理工程からなる、被めっき処理物に対してめっき処理を行うめっき装置において、前記水洗を行う水洗槽を1つと前記前処理、めっき工程、及び、後処理工程を実施するための複数の各種工程槽とを備え、前記各水洗の前工程を行った各種工程槽から被めっき処理物を前記水洗槽に搬送するとともに、該水洗槽での水洗済みの被めっき処理物を該水洗槽から、該水洗槽で行った水洗の次の工程を行う各種工程槽へ搬送する搬送手段を備えているめっき装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1回以上の水洗を伴う前処理工程、めっき工程、及び、後処理工程からなる、被めっき処理物に対してめっき処理を行うめっき装置において、
前記水洗を行う水洗槽を1つと前記前処理、めっき工程、及び、後処理工程を実施するための複数の各種工程槽とを備え、
前記各水洗の前工程を行った各種工程槽から被めっき処理物を前記水洗槽に搬送するとともに、該水洗槽での水洗済みの被めっき処理物を該水洗槽から、該水洗槽で行った水洗の次の工程を行う各種工程槽へ搬送する搬送手段を備えていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記搬送手段に搬送中の被めっき処理物からの液だれを受ける液だれ受けを備えていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記液だれ受けが、搬送中の被めっき処理物下方に位置し、かつ、被めっき処理物とともに搬送されることを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記水洗槽及び各種工程槽が列状に配置され、かつ、該列に平行に樋状の液だれ受けが設けられ、かつ、上記搬送手段が、被めっき処理物の搬送時にこれら被めっき処理物を前記樋状の液だれ受け上方に保持しながら搬送することを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記水洗で用いた洗浄水を、水洗水として再度使用可能とする水洗水処理手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき工程と、めっき工程に伴う前処理及び後処理とを行うめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき加工による表面改質技術は、装飾性、防食性、耐磨耗性などに優れていることから、自動車部品、電子部品或いは装飾用など広範囲の工業分野で利用されている。また、被めっき物(素地)も従来の鉄、亜鉛ダイカストなどの金属をはじめ、プラスチック、ガラスなどへのめっき加工も一般化されている。
【0003】
このようなめっき処理は素地の種類に拘わらず、脱脂工程、脱錆工程(被めっき材が金属の場合のみ)、中和工程など金属めっき前の表面処理(前処理)を充分に行った後、金属めっきを施すのが一般的である。
【0004】
さらに、被めっき物によって持ち出されるめっき液など加工液を回収して、次の工程への持込みを防ぐために洗浄水によって洗浄が行われており、このような洗浄を行うための洗浄槽は前処理、めっき工程、及び、後工程でそれぞれ1つ以上設置する。
【0005】
図5は自動車部品を亜鉛めっき、クロム皮膜処理を施すめっき処理のためのめっき装置の例である。このめっき処理は脱脂工程から始まり、酸処理工程、脱脂工程、酸洗浄工程、亜鉛めっき工程、酸処理工程、クロム皮膜処理工程となっており、合計7つの主工程がある。前述のように、各主処理の後には、回収と2〜3回の水洗が続くため、これらのための回収槽と水洗槽とを設置する必要があるから、このめっき工程では処理槽を除いて21〜28槽設置する必要があり、その結果、めっき装置が大型化する(特許文献1)。
【0006】
とくに、都市部の工場では地価が高いこと、設備が増えるに伴って設備経費も高くなること、また、設備のメインテナンスも増えることなどから、設備を極力縮小することが望まれてきた。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術も省スペース化を目指して検討したが、充分ではなく、さらなる省スペース化が求められていた。
【特許文献1】特開平08−269798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、従来の工程を省略することがないので高品質な製品が得られ、かつ、水洗槽を1つとすることができるので、多数の水洗槽とそれに伴う設備が不要となって低コストが実現でき、かつ、設置のための広い設置面積を必要としない、コンパクト化が可能なめっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のめっき装置は上記課題を解決するために、それぞれ1回以上の水洗を伴う前処理工程、めっき工程、及び、後処理工程からなる、被めっき処理物に対してめっき処理を行うめっき装置において、前記水洗を行う水洗槽を1つと前記前処理、めっき工程、及び、後処理工程を実施するための複数の各種工程槽とを備え、前記各水洗の前工程を行った各種工程槽から被めっき処理物を前記水洗槽に搬送するとともに、該水洗槽での水洗済みの被めっき処理物を該水洗槽から、該水洗槽で行った水洗の次の工程を行う各種工程槽へ搬送する搬送手段を備えていることを特徴とするめっき装置である。
【0010】
また、本発明のめっき装置は請求項2に記載の通り、請求項1に記載のめっき装置において、前記搬送手段に搬送中の被めっき処理物からの液だれを受ける液だれ受けを備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のめっき装置は請求項3に記載の通り、請求項2に記載のめっき装置において、前記液だれ受けが、搬送中の被めっき処理物下方に位置し、かつ、被めっき処理物とともに搬送されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のめっき装置は請求項4に記載の通り、前記水洗槽及び各種工程槽が列状に配置され、かつ、該列に平行に樋状の液だれ受けが設けられ、かつ、上記搬送手段が、被めっき処理物の搬送時にこれら被めっき処理物を前記樋状の液だれ受け上方に保持しながら搬送することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のめっき装置は請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のめっき装置において、前記水洗で用いた洗浄水を、水洗水として再度使用可能とする水洗水処理手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のめっき装置によれば、設置のための広い空間を必要としない、コンパクト化が可能なめっき装置が可能となる。
【0015】
請求項2に係るめっき装置によれば、搬送中の被めっき処理物からの液だれによる製品品質への悪影響を防止し、薬液の床状への飛散、延いては環境への影響の懸念を完全に防止することができる。
【0016】
請求項3に係るめっき装置によれば、液だれ受けの設置のためのスペースが不要となる。
【0017】
請求項4に係るめっき装置によれば、単純な機構で確実に液だれ液を回収することができる。
【0018】
請求項5に係るめっき装置によれば、水洗水を有効に用いることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のめっき装置は、それぞれ1回以上の水洗を伴う前処理工程、めっき工程、及び、後処理工程からなる、被めっき処理物に対してめっき処理を行うめっき装置において、前記水洗を行う水洗槽を1つと前記前処理、めっき工程、及び、後処理工程を実施するための複数の各種工程槽とを備え、前記各水洗の前工程を行った各種工程槽から被めっき処理物を前記水洗槽に搬送するとともに、該水洗槽での水洗済みの被めっき処理物を該水洗槽から、該水洗槽で行った水洗の次の工程を行う各種工程槽へ搬送する搬送手段を備えている。
【0020】
ここで、本発明ではめっき処理とは、それぞれ1回以上の水洗を伴う前処理工程、めっき工程、及び、後処理工程からなる、被めっき処理物に対して行うめっき処理を指す。
【0021】
ここで、本発明に係るめっき装置の一例について図を用いて説明する。
図1(b)には、本発明に係るめっき装置の一例を示す。槽は図中左から脱脂剤を容れた第1脱脂槽1、脱脂剤を回収するための脱脂回収槽2、脱脂剤を容れた第2脱脂槽3、希塩酸などの酸洗浄溶液を容れた酸洗浄槽4、酸洗浄溶液を回収するための酸回収槽5、水洗槽6、亜鉛めっき浴を容れためっき槽7、めっき液を回収するためのめっき液回収槽8、希硝酸を容れた希硝酸槽9、希硝酸の回収を行うための硝酸回収槽10、亜鉛めっき表面に化成皮膜処理を行うためのクロメート液を容れたクロメート槽11、及び、クロメート液を回収するためのクロメート回収槽12とが、直線上に列をなして設置されている。
【0022】
第1脱脂槽1、第2脱脂槽3には精製装置が付属していて、例えば油脂類などの分離不純物残渣が除去されるようになっている。
【0023】
酸洗浄槽4、希硝酸槽9、及び、クロメート槽11にはそれぞれ精製装置が付属しており、重金属などの不純物はイオン交換樹脂によって選択的に吸着・除去される。
【0024】
水洗槽には水洗で用いた洗浄水を水洗水として再度使用可能とする、フィルターとイオン交換装置(代わりに逆浸透装置を用いても良いし、両者を併用しても良い)からなる、水洗水処理手段としての洗浄水回収循環装置が付属し、洗浄水を繰り返し使用することが可能となっている。
【0025】
めっき槽7には精製・濾過装置が付属し、めっき液回収槽8には蒸発濃縮装置からなる蒸発濃縮回収手段が設けられて、めっき液回収槽に持ち出されためっき液成分がめっき槽7に回収されるようになっている。
【0026】
上記水洗槽及び各種工程槽からなる列の脇にはこの列と平行に、搬送手段が設けられている。
【0027】
このような搬送手段についての説明を、めっき槽付近のモデル断面図である図2(a)〜図2(d)を用いて説明する。
【0028】
図2(a)は被めっき処理物は搬送状態、すなわち、引き上げられた状態を示す。
被めっき処理物αは、ハンガ枝β1を介して、ハンガβによって保持され、ハンガβは搬送装置本体δから支柱δ2によって槽列上方側に張り出した、ハンガ操作部δ1内の図示しないモータに連動するラック・ピニオン装置により上下に移動可能となっている。
【0029】
被めっき物αの下方には、搬送中の被めっき処理物αからの液だれを受ける液だれ受けγがハンガ操作部δ1下方から延びた支柱δ1aによって保持されている。
搬送装置本体δは図2(a)前後方向、すなわち、槽列に平行な方向に台床εが設けられ、台床ε上面にはレールε1が敷かれ、そのレールε1上を搬送装置Aはその搬送装置本体部δが内部に有するモータ(図示しない)と車輪δ3により自走可能となっている。なお搬送装置本体δはレールε1付近に設置された図示しない位置センサによって、自位置を検知することが可能となっている。
【0030】
図2(b)は、被めっき処理物αがめっき槽7のめっき浴7aに浸漬された状態を示すモデル断面図である。すなわち、ハンガ操作部δ1内の図示しないモータに連動するラック・ピニオン装置によりハンガバーβ2が一旦上方に引き上げられ、図示しない連動装置により、このハンガバーβ2の引き上げに連動し、液だれ受けγはその回動軸γ2(液だれ受けγ付近のモデル断面図である図2(c)及び図2(d)参照)を軸として上方に回動し、退避される。この回動の過程で、液だれ受けγに受けられた薬液は液だれ受けγの軸側に設けられた溝γ3から図2(d)に示すように廃液管ηへと排出される。廃液管ηは図示しない廃液処理装置に連結されており、液だれ受けγに受けられた薬液は適切に廃液処理される。
【0031】
ハンガバーβ2が一旦、高い位置(液だれ受け回動位置)まで引き上げられ、液だれ受けγが回動して退避した状態となった後、再びハンガバーβ2が降ろされ、被めっき処理物αはめっき浴7aに浸漬される。このときハンガβ上端に設けられた電気接点β3が陰極バー7dと接触し、その結果ハンガ枝β1を介して被めっき処理物αは陰極バー7dと電気的に接続する。
【0032】
一方、めっき浴7aに浸漬された陽極7bは陽極バー7cと電気的に接続しているため、図2(b)の状態で、陰極バー7dと陽極バー7cとの間に設けられた、図示しない電源により通電されて、被めっき処理物αは電気めっきされる。
【0033】
電気めっき終了後、ハンガバーβ2が一旦、高い位置(液だれ受け回動位置)まで引き上げられ、このハンガバーβ2の引き上げに連動し、退避していた液だれ受けγは、再度、被めっき処理物α下方の、被めっき処理物αからの液だれを受ける位置に復帰し、その後、ハンガバーβ2が図2(a)に示す位置(搬送位置)まで引き下ろされた後、めっき工程の次の工程を行う槽へと搬送装置Aが台床ε上面のレールε1上を自走する。
【0034】
上記では、めっき槽7での搬送装置Aの動作について説明したが、水洗では、めっき槽7中のめっき浴の代わりに水洗槽6内の水洗水に浸漬され、水洗槽には陰極バー7d、陽極7b、陽極バー7c、及び、電極がなく、かつ、通電処理が行われない点で異なり、水洗槽で行われる動作は、その他の各種工程槽で同様に行われるが、それぞれの槽での浸漬時間は、それぞれ適切な時間とする。
【0035】
このような搬送手段(搬送装置A)は、リレーとタイマーを組み合わせて有する、あるいは、マイクロコンピュータを有することで、複数の水洗処理を含むめっき処理を行うことができ、各水洗の前工程を行った各種工程槽から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送し、かつ、被めっき処理物αを水洗槽6から、この水洗槽6で行った水洗工程の次の工程を行う各種工程槽へ搬送する搬送手段に該当する。
【0036】
ここで、図1(b)に示すめっき装置での、上記搬送装置によるめっき処理の一例について図1(a)を用いて説明する。
【0037】
図1(a)は矢印方向に搬送手段により被めっき処理物は順次搬送される。矢印途中に”●”がある場合には、この”●”図中下方に位置するめっき槽7、水洗槽6、あるいは各種工程槽に搬送装置により適切な時間、浸漬されることを示す(ただし、めっき槽では上述のように電源により通電処理されてめっきが行われる)。
【0038】
すなわち、この例では、第1脱脂槽1における第1脱脂工程、脱脂回収槽2における第1脱脂回収工程、水洗槽6における第1水洗工程、酸洗浄槽4における第1酸洗浄工程、酸回収槽5における第1酸回収工程、水洗槽6における第2水洗工程、第2脱脂槽3による第2脱脂工程、脱脂回収槽2における第2脱脂回収工程、水洗槽6における第3水洗工程、酸洗浄槽4における第2酸洗浄工程、酸回収槽5における第2酸回収工程、水洗槽6における第4水洗工程(以上、前処理工程)、めっき槽7におけるめっき工程、めっき液回収槽8におけるめっき液回収工程、水洗槽6における第5水洗工程(めっき工程から第5水洗工程が、めっき工程)、希硝酸槽9における希塩酸処理工程、硝酸回収槽10における希塩酸回収工程、水洗槽6における第6水洗工程、クロメート槽11におけるクロメート処理工程、クロメート回収槽12におけるクロメート回収工程、及び、水洗槽6における第7水洗工程をこの順で行い、このとき、7回の水洗工程がすべて1つの水洗槽6で行うことができる。なお、第7水性工程後には乾燥を行い、めっき処理が完了する(希塩酸処理工程から第7水洗工程までが後工程)。
【0039】
このことより、このめっき装置の搬送手段は、第1水洗工程の前工程である第1脱脂回収工程を行った脱脂回収槽2から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第1水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第1水洗工程の次の工程である第1酸洗浄工程を行う酸洗浄槽4へ搬送し、
第1水洗工程の前工程である第1脱脂回収工程を行った脱脂回収槽2から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第1水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第1水洗工程の次の工程である第1酸洗浄工程を行う酸洗浄槽4へ搬送し、
第2水洗工程の前工程である第1酸回収工程を行った酸回収槽5から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第2水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第2水洗工程の次の工程である第2脱脂工程を行う第2脱脂槽3へ搬送し、
第3水洗工程の前工程である第2脱脂回収工程を行った脱脂回収槽2から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第1水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第3水洗工程の次の工程である第2酸洗浄工程を行う酸洗浄槽4へ搬送し、
第4水洗工程の前工程である第2酸回収工程を行った酸回収槽5から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第1水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第4水洗工程の次の工程であるめっき工程を行うめっき槽7へ搬送し、
第5水洗工程の前工程であるめっき液回収工程を行っためっき液回収槽8から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第5水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第5水洗工程の次の工程である希塩酸処理工程を行う希硝酸槽9へ搬送し、
第6水洗工程の前工程である希塩酸回収工程を行った硝酸回収槽10から被めっき処理物αを水洗槽6に搬送するとともに、水洗槽6での第6水洗工程により水洗済みの被めっき処理物αを水洗槽6から第6水洗工程の次の工程である乾燥工程を行う乾燥機へ搬送するものであること、及び、本来であればこのような一連のめっき処理を行うために水洗槽が6つ必要であったのに対し、このような構成により、上記本発明に係るめっき装置では1つの水洗槽6だけで済むことが判る。
【0040】
また、上記めっき処理は複数回の水洗工程を有するにもかかわらず、水洗工程を行う水洗槽は1つだけであることも判る。
【0041】
さらに、上記めっき装置は、複数回の水洗工程と該水洗工程以外の複数の各種工程とからなる、被めっき処理物に対してめっき処理を行うめっき装置において、前記水洗工程を行う水洗槽を1つと前記各種工程のそれぞれに対応する各種工程槽とを備え、前記めっき処理を行うために必要な前記水洗槽及び前記各種工程槽相互間の搬送をすべて行う搬送装置を備えている。
【0042】
ここで、第1脱脂工程〜第4水洗工程は図中左側の第1脱脂槽1〜水洗槽6を用い、第4水洗工程〜第7水性工程は図中右側の水洗槽6〜クロメート回収槽12を用いるため、搬送装置Aを2つ備えることで、水洗槽6の同時使用を避けるよう各工程での処理時間を調整することで、第4水洗工程以前と第4水洗工程以降とを2つ同時に行うことができ、また、第4水洗工程で図中右側に設置した搬送装置と図中左側に設置した搬送装置との間で、ハンガβを受け渡し可能とすることにより、被めっき処理物の受け渡しをすることで、めっき装置のより効果的な利用が可能となる。また、装置のレイアウト、及び、搬送装置の稼働範囲を変更することで、搬送装置Aを3つ以上備えて、それら間で、被めっき処理物の受け渡しをするようにしてもよく、その場合も等存本発明に含まれる。
【0043】
なお、上記搬送装置Aでは、搬送中に被めっき物下方に搬送手段に搬送中の被めっき処理物からの液だれを受ける液だれ受けを有し、かつ、液だれ受けが、搬送中の被めっき処理物下方に位置し、かつ、被めっき処理物とともに搬送されるものであったが、槽列に平行に樋状の液だれ受けを設け、被めっき処理物の搬送時には、被めっき処理物をこの樋状の液だれ受け上方に保持しながら搬送するものとしても良い。
【0044】
このような搬送手段の例を図3(a)及び図3(b)に示す。搬送装置Bは上述の搬送装置Aとほぼ同じであるが、搬送装置B自体には液だれ受けを有さない。搬送装置本体δ’から槽列上方側に支柱δ2’により張り出して支持されるハンガ操作部δ1’が搬送時には、搬送装置本体δ’に設けられた図示しないモータとラック・ピニオン装置により搬送装置本体δ’側に退避可能となっている。また、水洗槽、めっき槽及び各種工程槽は図1(b)に示すように一列に配置されている。
【0045】
このハンガ操作部δ1’の退避時には被めっき処理物αは台床ε’から槽列側につきだした支柱ε4’によって支持される樋状の液だれ受けε3’上方に位置する。
【0046】
樋状の液だれ受けε3’は槽列に平行に設けられているために、搬送中に被めっき処理物αからの液は、この樋状の液だれ受けε3’に回収され、樋状の液だれ受けε3’に連結された図示しない廃液処理装置、液だれ受けε3’に受けられた薬液は適切に廃液処理される。なお、樋状の液だれ受けε3’と各槽との間を被めっき処理物αが搬送されるときに液だれが床に落ちないよう、樋状の液だれ受けε3’から各槽へオーバーハングする庇部ε3a’が樋状の液だれ受けε3’の各槽側に設けられている。
【0047】
各槽での処理時には図3(b)にめっき工程中のモデル断面図に示したようにハンガ操作部δ1’は各槽直上に突き出されて、上記搬送装置Aを用いたときと同様に各槽で処理される。
【0048】
本発明において、図4(a)にモデル的に示すようにスペースが許す限り、あるいは、付属設備の配置の都合で、槽を1列に配置してもよく、図4(b)にモデル的に示すように2列に配置してもよく、さらに図4(c)にモデル的に示すようにU字状に配しても良い。2列槽配置あるいはU字型の槽列配置を用いるときには、台床ε上のレールε1あるいはε1’をU字型に配しても良いし、また、レールε1あるいはε1’は直線とし、支柱δ2あるいはδ2’をレール長手方向に対して、モータ等により回動可能とすることで対応できる。
【0049】
また、液だれ受けが、搬送中の被めっき処理物下方に位置し、かつ、被めっき処理物とともに搬送されるものである場合、槽の配置は列をなしてなくてもよく、例えばルーチンのめっき処理に新たな工程(例えば貴金属回収工程等)を追加する場合などにも柔軟に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のめっき装置は設置のための広い設置面積を必要としない、コンパクト化が可能なめっき装置であるため、従来のめっき装置に置き換えて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)図1(b)に示した本発明に係るめっき装置によるめっき処理の一例における、被めっき処理物の搬送順序について説明する図である。(b)本発明に係るめっき装置の各槽の配置を示すモデル図である。
【図2】(a)本発明に係る一例のめっき装置の搬送装置Aについて説明するモデル断面図である(被めっき処理物を搬送中の状態)。(b)被めっき処理物のめっき工程の状態を示すモデル断面図である。(c)液だれ受けγ付近のモデル断面図である(液がたまった状態)。(d)液だれ受けγ付近のモデル断面図である(液を排出している状態)。
【図3】(a)本発明に係る他の例のめっき装置の搬送装置Bについて説明するモデル断面図である(被めっき処理物を搬送中の状態)。(b)被めっき処理物のめっき工程の状態を示すモデル断面図である。
【図4】本発明のめっき装置の各層の配置例を示すモデル図である。(a)一列配置(b)2列配置(c)U字状配置。
【図5】従来技術のめっき装置の各槽の配列を示すモデル図である。
【符号の説明】
【0052】
1 第1脱脂槽
2 脱脂回収槽
3 第2脱脂槽
4 酸洗浄槽
5 酸回収槽
6 水洗槽
7 めっき槽
7a めっき浴
7b 陽極
7c 陽極バー
7d 陰極バー
8 めっき液回収槽
9 希硝酸槽
10 硝酸回収槽
11 クロメート槽
12 クロメート回収槽
A、B 本発明に係るめっき装置で用いる搬送装置の例
α 被めっき処理物
β ハンガ
β1 ハンガ枝
β2 ハンガバー
β3 電気接点
γ 搬送中の被めっき処理物下方に位置し、かつ、被めっき処理物とともに搬送される液だれ受け
γ2 回動軸
γ3 溝
η 廃液管
δ 搬送装置本体
δ2 支柱
δ1 ハンガ操作部
δ1a 支柱
ε 台床
ε1 レール
ε3’ 樋状の液だれ受け
ε4’ 支柱
【出願人】 【識別番号】000144418
【氏名又は名称】株式会社三進製作所
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄

【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男

【識別番号】100075421
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 勇


【公開番号】 特開2008−24982(P2008−24982A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198281(P2006−198281)