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【発明の名称】 電着塗装における被塗物の水洗方法および装置
【発明者】 【氏名】大嶋 克巳

【要約】 【課題】被塗物を十分に水洗することのできる新規な電着塗装における被塗物の水洗方法およびそのための装置を提供する。

【構成】電着塗装において被塗物(5)を電着槽(1)内の電着液(3)中に浸漬した後に水洗するに際し、電着槽(1)から取り出した電着液(3)の一部を第1限外濾過(9a)に、その残部を第2限外濾過(9b)に付す。第1限外濾過より第2限外濾過のほうが限外濾過膜の孔径が小さく、第1限外濾過(9a)にて、塗料成分濃度が上昇した第1UF濃縮液と、塗料成分濃度が低下した第1UF濾液とに分離し、第2限外濾過(9b)にて、塗料成分濃度が第1UF濃縮液より上昇した第2UF濃縮液と、塗料成分濃度が第1UF濾液より低下した第2UF濾液とに分離する。第1UF濃縮液および第2UF濃縮液は電着槽(3)へ戻す。電着槽(3)から取り出した被塗物(5)を第1UF濾液および第2UF濾液を順次用いて水洗する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗する方法であって、
電着槽から取り出した電着液の一部を第1限外濾過に、その残部を第2限外濾過に付し、
第1限外濾過にて、限外濾過膜を用いて、塗料成分の濃度が上昇した第1UF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1UF濾液とに分離し、
第2限外濾過にて、第1限外濾過における限外濾過膜より孔径が小さい限外濾過膜を用いて、塗料成分の濃度が第1UF濃縮液より上昇した第2UF濃縮液と、塗料成分の濃度が第1UF濾液より低下した第2UF濾液とに分離し、
第1UF濃縮液および第2UF濃縮液を電着槽へ戻し、
電着槽から取り出した被塗物を第1UF濾液および第2UF濾液を順次用いて水洗する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗するための装置であって、
電着液を収容する電着槽と、
電着槽から取り出される電着液が並列に供給される第1限外濾過器および第2限外濾過器であって、第1限外濾過器より第2限外濾過器のほうが用いる限外濾過膜の孔径が小さい第1限外濾過器および第2限外濾過器と、
第1限外濾過器より得られる第1UF濃縮液および第2限外濾過器より得られる第2UF濃縮液を電着槽に戻すラインと、
第1限外濾過器より得られる第1UF濾液を、電着槽から取り出した被塗物の水洗に供するラインと、
第2限外濾過器より得られる第2UF濾液を、第1UF濾液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと
を備える装置。
【請求項3】
電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗する方法であって、
電着槽から取り出した電着液を限外濾過に付し、
限外濾過にて、塗料成分の濃度が上昇したUF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下したUF濾液とに分離し、
UF濃縮液を電着槽へ戻し、
UF濾液の一部を第1逆浸透に、その残部を第2逆浸透に付し、
第1逆浸透にて、逆浸透膜を用いて、塗料成分の濃度が上昇した第1RO濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1RO濾液とに分離し、
第2逆浸透にて、第1逆浸透における逆浸透膜より孔径が小さい逆浸透膜を用いて、塗料成分の濃度が第1RO濃縮液より上昇した第2RO濃縮液と、塗料成分の濃度が第1RO濾液より低下した第2RO濾液とに分離し、
電着槽から取り出した被塗物を第2RO濃縮液および第1RO濃縮液、第1RO濾液ならびに第2RO濾液を順次用いて水洗する
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗するための装置であって、
電着液を収容する電着槽と、
電着槽から取り出される電着液が供給される限外濾過器と、
限外濾過器より得られるUF濃縮液を電着槽に戻すラインと、
限外濾過器より得られるUF濾液が並列に供給される第1逆浸透装置および第2逆浸透装置であって、第1逆浸透装置より第2逆浸透装置のほうが用いる逆浸透膜の孔径が小さい第1逆浸透装置および第2逆浸透装置と、
第1逆浸透装置より得られる第1RO濃縮液および第2逆浸透装置より得られる第2RO濃縮液を、電着槽から取り出した被塗物の水洗に供するラインと、
第1逆浸透装置より得られる第1RO濾液を、第2RO濃縮液および第1RO濃縮液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと、
第2逆浸透装置より得られる第2RO濾液を、第1RO濾液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと
を備える装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗する方法およびそのような方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電着塗装は、一般的に知られているように、塗料成分を水相中に含む電着液(単に、電着塗料とも言う)に導電性の被塗物を浸漬し、被塗物を一方の電極として電着液中の他方の電極(対向電極とも言う)との間に電圧を印加し、被塗物と反対の電荷を帯びた塗膜形成成分を被塗物表面に電着させることによって被塗物を塗装するものである。
【0003】
このような電着塗装は他の塗装方法に比べて自動化が容易であり、塗料の被塗物へのつきまわり性が良く、均一な厚さの塗膜が得られ、塗料の損失が少なく、環境に対する負荷が小さく、安全性が高いなどの利点があり、例えば自動車ボディの下塗りなどの塗装ラインに用いられている。
【0004】
塗装ラインでは被塗物を搬送しながら、電着槽の電着液中に浸漬し、その後、電着液から取り出して十分に水洗している。被塗物の水洗には大量の水を要し、その廃液は微量の塗料成分および雑イオンなどを含むため、そのまま外部へ排出することは適切でない。よって、クローズドシステムの確立を指向して、電着槽からオーバーフローさせた電着液を限外濾過に付し、塗料成分濃度が上昇した濃縮液は電着槽に戻しつつ、塗料成分が実質的に除去された濾液を被塗物の水洗に利用している(例えば特許文献1を参照のこと)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−183396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電着塗装において良好な塗装品質を得るためには被塗物を十分水洗する必要がある。上記のように、従来の電着塗装においては電着液を限外濾過(UF)した濾液を水洗に用いているが、被塗物を十分水洗するためには大量の濾液が必要とされる。十分な量の濾液を得るには、濾過モジュールの数を増やし、これに相応してポンプ能力を増大させるために寸法のより大きいポンプを用いる必要があり、この結果、装置の大型化を招くことになる。あるいは、濾過圧力を高くして、濾過モジュール当りの処理量を増やすことも考えられるが、モジュール自体の寿命が短くなり、濾過膜(またはフィルター)を頻繁に交換しなければならないという別の問題が生じる。またあるいは、モジュール当りの処理量を増やすために濾過膜の孔径を大きくすることも考えられるが、濾液中の塗料成分の濃度が高くなって、水洗に適さないという別の問題が生じる。被塗物を十分水洗するためには濾液中の塗料成分はより低いほうが望ましく、具体的には、濾液中の固形成分(NV)の濃度が1%以下となるように規定されている。尚、塗料成分の濃度は固形成分(NV)の濃度により代表され、本明細書を通じて、一般的には「塗料成分」と記載し、具体的数値を言うときは「固形成分(NV)」と記載するものとする。
【0007】
また従来、電着液を限外濾過(UF)した後、得られた濾液を逆浸透(RO)に付し、逆浸透により得られた濃縮液および濾液をそれぞれ上流および下流にて水洗に用いることも行われているが、このような場合には限外濾過のみを実施する場合に比べて濾過処理の負担が増し、十分な量の濾液を得ることは一層困難である。
【0008】
要するに、被塗物を十分に水洗するために、装置の大型化や濾過モジュールの寿命の短縮を招くことなく、濾液中の塗料成分濃度(具体的には固形成分濃度)を低く維持しつつ、十分な量の濾液(水洗水)を得ることは困難である。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、被塗物を十分に水洗することのできる新規な電着塗装における被塗物の水洗方法およびそのための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の要旨によれば、電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗する方法であって、
電着槽から取り出した電着液の一部を第1限外濾過に、その残部を第2限外濾過に付し、
第1限外濾過にて、限外濾過膜を用いて、塗料成分の濃度が上昇した第1UF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1UF濾液とに分離し、
第2限外濾過にて、第1限外濾過における限外濾過膜より孔径が小さい限外濾過膜を用いて、塗料成分の濃度が第1UF濃縮液より上昇した第2UF濃縮液と、塗料成分の濃度が第1UF濾液より低下した第2UF濾液とに分離し、
第1UF濃縮液および第2UF濃縮液を電着槽へ戻し、
電着槽から取り出した被塗物を第1UF濾液および第2UF濾液を順次用いて水洗する
ことを特徴とする方法が提供される。
【0011】
従来、電着槽から取り出した電着液は1種のみの限外濾過(UF)に付し、塗料成分の濃度が上昇したUF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下したUF濾液とに分離し、UF濃縮液は電着槽へ戻し、他方、UF濾液はそのまま被塗物の水洗に利用していた(特許文献1を参照のこと)。これに対して本発明の上記水洗方法によれば、孔径が互いに異なる限外濾過膜を用いて2種の限外濾過を並列に実施している。限外濾過膜の孔径は第1限外濾過より第2限外濾過のほうが小さく、よって、第1限外濾過では処理量を多くして十分な量の第1UF濾液を得ることができ、他方、第2限外濾過では塗料成分の濃度が低い、好ましくは固形成分(NV)の濃度が1%以下の第2UF濾液を得ることができる。このような第1UF濾液および第2UF濾液を順次用いることにより、被塗物を十分に水洗することができる。また、第1UF濃縮液および第2UF濃縮液は電着槽へ戻して再利用できる。このような本発明の水洗方法は、装置の大型化をさほど要することなく、限外濾過器を1種追加する比較的簡単な装置変更で実現できる。また、本発明の上記水洗方法は、第1限外濾過にて濾液の量を確保できるので、濾過圧力を高くし過ぎる必要がなく、濾過モジュールの寿命を長く保つことができる。
【0012】
本発明の第2の要旨によれば、電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗するための装置であって、
電着液を収容する電着槽と、
電着槽から取り出される電着液が並列に供給される第1限外濾過器および第2限外濾過器であって、第1限外濾過器より第2限外濾過器のほうが用いる限外濾過膜の孔径が小さい第1限外濾過器および第2限外濾過器と、
第1限外濾過器より得られる第1UF濃縮液および第2限外濾過器より得られる第2UF濃縮液を電着槽に戻すラインと、
第1限外濾過器より得られる第1UF濾液を、電着槽から取り出した被塗物の水洗に供するラインと、
第2限外濾過器より得られる第2UF濾液を、第1UF濾液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと
を備える装置が提供される。
【0013】
このような装置は本発明の上記第1の要旨による水洗方法を実施するために用いられ、これと同様の効果を奏する。
【0014】
本発明の第3の要旨によれば、電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗する方法であって、
電着槽から取り出した電着液を限外濾過に付し、
限外濾過にて、塗料成分の濃度が上昇したUF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下したUF濾液とに分離し、
UF濃縮液を電着槽へ戻し、
UF濾液の一部を第1逆浸透に、その残部を第2逆浸透に付し、
第1逆浸透にて、逆浸透膜を用いて、塗料成分の濃度が上昇した第1RO濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1RO濾液とに分離し、
第2逆浸透にて、第1逆浸透における逆浸透膜より孔径が小さい逆浸透膜を用いて、塗料成分の濃度が第1RO濃縮液より上昇した第2RO濃縮液と、塗料成分の濃度が第1RO濾液より低下した第2RO濾液とに分離し、
電着槽から取り出した被塗物を第2RO濃縮液および第1RO濃縮液、第1RO濾液ならびに第2RO濾液を順次用いて水洗する
ことを特徴とする方法もまた提供される。
【0015】
従来、電着槽から取り出した電着液を限外濾過(UF)に付し、得られたUF濃縮液を電着槽に戻しつつ、UF濾液を1種のみの逆浸透(RO)に付し、塗料成分の濃度が上昇したRO濃縮液と、塗料成分の濃度が低下したRO濾液とに分離し、RO濃縮液およびRO濾液を被塗物の水洗に利用することも行われていた。これに対して本発明の上記水洗方法によれば、孔径が互いに異なる逆浸透膜を用いて2種の逆浸透を並列に実施している。逆浸透膜の孔径は第1逆浸透より第2逆浸透のほうが小さく、よって、第1逆浸透では処理量を多くして十分な量の第1RO濾液を得ることができ、他方、第2逆浸透濾過では塗料成分の濃度が非常に低い、好ましくは固形成分(NV)の濃度が0.1%以下の第2RO濾液を得ることができる。このような第1RO濾液および第2RO濾液を順次用いることにより、被塗物を十分に水洗することができる。また、第2RO濃縮液および第1RO濃縮液は粗水洗に使用可能な塗料成分濃度を有し、これらは第1RO濾液を水洗に用いるよりも上流にて、被塗物の水洗に利用できる。加えて、UF濃縮液は電着槽へ戻して再利用できる。このような本発明の水洗方法は、装置の大型化をさほど要することなく、逆浸透装置を1種追加する比較的簡単な装置変更で実現できる。また、本発明の上記水洗方法は、第1逆浸透にて濾液の量を確保できるので、濾過圧力を高くし過ぎる必要がなく、濾過モジュールの寿命を長く保つことができる。
【0016】
本発明の第4の要旨によれば、電着塗装において被塗物を電着槽内の電着液中に浸漬した後に水洗するための装置であって、
電着液を収容する電着槽と、
電着槽から取り出される電着液が供給される限外濾過器と、
限外濾過器より得られるUF濃縮液を電着槽に戻すラインと、
限外濾過器より得られるUF濾液が並列に供給される第1逆浸透装置および第2逆浸透装置であって、第1逆浸透装置より第2逆浸透装置のほうが用いる逆浸透膜の孔径が小さい第1逆浸透装置および第2逆浸透装置と、
第1逆浸透装置より得られる第1RO濃縮液および第2逆浸透装置より得られる第2RO濃縮液を、電着槽から取り出した被塗物の水洗に供するラインと、
第1逆浸透装置より得られる第1RO濾液を、第2RO濃縮液および第1RO濃縮液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと、
第2逆浸透装置より得られる第2RO濾液を、第1RO濾液を用いる水洗より下流にて被塗物の水洗に供するラインと
を備える装置が提供される。
【0017】
このような装置は本発明の上記第3の要旨による水洗方法を実施するために用いられ、これと同様の効果を奏する。
【0018】
本発明の上記第1および第2の要旨による特徴は、上記第3および第4の要旨による特徴とそれぞれ組み合わせて、限外濾過および逆浸透の双方を並列に実施することももちろん可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電着槽より得られる電着液に対して2種の限外濾過を並列に実施しているので、孔径のより大きい限外濾過膜を用いる第1限外濾過にてより多くの量の濾液を得ることができ、他方、孔径のより小さい限外濾過膜を用いる第2限外濾過にて塗料成分の濃度がより小さい濾液を得ることができる。そして、第1限外濾過および第2限外濾過にて得られた濾液および濃縮液をそれらの塗料成分濃度に応じて、該濃度(具体的には固形成分濃度)が小さいもの程、より下流の水洗に利用することにより、被塗物を十分に水洗することができる。
【0020】
また、本発明によれば、電着槽より得られる電着液を限外濾過した後、これにより得られる濾液に対して2種の逆浸透を並列に実施しているので、孔径のより大きい逆浸透膜を用いる第1逆浸透にてより多くの量の濾液を得ることができ、他方、孔径のより小さい逆浸透膜を用いる第2逆浸透にて塗料成分の濃度が非常に小さい濾液を得ることができる。そして、第1逆浸透および第2逆浸透にて得られた濾液および濃縮液をそれらの塗料成分濃度に応じて、該濃度(具体的には固形成分濃度)が小さいもの程、より下流の水洗に利用することにより、被塗物を十分に水洗することができる。
【0021】
これら本発明によれば、装置の大型化をさほど要することなく、比較的簡単な装置変更で実現でき、また、濾過モジュールの寿命を長く保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の2つの実施形態における電着塗装のための水洗方法および装置について、図面を参照しながら以下に詳述する。
【0023】
第1の実施形態
図1を参照して、本実施形態における装置30は、自動車ボディなどの被塗物5を図中一点鎖線矢印にて示す方向に搬送しながら、電着槽1内の電着液3中に浸漬し、その後、電着液3から取り出した被塗物5を水洗するものである。図示する水洗系においては、塗料成分を回収しつつ、水洗が実施される。
【0024】
装置30は水洗系において、電着槽1から取り出した電着液3を限外濾過する第1限外濾過器9aおよび第2限外濾過器9bを備える。これら限外濾過器9aおよび9bは並列に配置され、第1限外濾過器9aに用いられる限外濾過膜に比べて、第2限外濾過器9bに用いられる限外濾過膜のほうが孔径が小さい。尚、図示する装置30においては、流体輸送のためにポンプ(図示せず)および流量調節などのためのバルブなどが適宜備えられるが、簡略化のために説明を省略する。
【0025】
電着液3は電着槽1(より詳細にはこれに隣接するオーバーフロー槽)からライン7を通じて、その一部が第1限外濾過器9aへ、その残部が第2限外濾過器9bに送られる。第1限外濾過器9aにおいて電着液3は、塗料成分の濃度が上昇した第1UF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1UF濾液とに分離される。また、第2限外濾過器9bにおいて電着液3は、塗料成分の濃度が上昇した第2UF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第2UF濾液とに分離される。
【0026】
限外濾過膜の孔径は第1限外濾過器9aより第2限外濾過器9bの方が小さいので、塗料成分の濃度は第2UF濃縮液、第1UF濃縮液、第1UF濾液および第2UF濾液の順に小さくなる。
【0027】
第1限外濾過器9aおよび第2限外濾過器9bには当該技術分野において既知の任意の適切な限外濾過膜を用いることができる。例えば第1限外濾過器9aは約0.1〜10μm、第2限外濾過器9bは約0.01〜0.1μmの孔径の限外濾過膜を約0.4〜4.0MPaの圧力下にて使用し得る。
【0028】
上記により得られた第1UF濃縮液および第2UF濃縮液はそれぞれライン11aおよび11bを通じて電着槽1へ戻される。ライン11aおよび11bは、図示するように途中で合流して電着槽1へ接続され得る。
【0029】
他方、第1UF濾液はライン13aを通じて、また、第2UF濾液はライン13bを通じて被塗物5の水洗に順次利用される。水洗は、例えば図示するように4段で実施でき、第1段目、第2段目、第3段目および第4段目の水洗水はそれぞれ回収槽21、22、23および24に回収され、各段の水洗に循環利用されると共に、第4回収槽24から第3回収槽23、第2回収槽22、第1回収槽22、そして電着槽1(より詳細にはこれに隣接するオーバーフロー槽)へとオーバーフローにより順次送られるようになっている。本実施形態において、第1UF濾液はライン13aを通じて第2段目の水洗に利用され、第2UF濾液はライン13bを通じて第4段目の水洗に利用される。このような構成により、被塗物5が搬送されるにつれて、塗料成分(または固形成分)濃度のより低い水洗水で順次水洗できるようになっている。水洗は、例えばライザーおよびノズルなどから被塗物5に向かって水洗水を噴射することにより実施できる。
【0030】
このようにして、電着液3を第1限外濾過器9aおよび第2限外濾過器9bにより濾過し、得られた第1UF濃縮液および第2UF濃縮液を電着槽3へ戻し、他方、得られた第1UF濾液および第2UF濾液を被塗物5の水洗に利用できる。第1限外濾過器9aでは孔径の比較的大きな限外濾過膜を用いているので十分な量の第1UF濾液を確保でき、他方、第2限外濾過器9bでは孔径の比較的小さな限外濾過膜を用いているので塗料成分の濃度が低い、好ましくは固形成分(NV)の濃度が1%以下の第2UF濾液を得ることができる。被塗物5を十分な量の第1UF濾液で水洗し、その後、塗料成分濃度がより低い第2UF濾液で水洗できるので、被塗物を十分に水洗することができる。
【0031】
以上、本発明の第1の実施形態について説明してきたが、本実施形態は種々の改変が可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では水洗を4段にて実施し、第1UF濾液を第2段目の水洗に利用し、第2UF濾液を第4段目の水洗に利用するものとして示したが、第1UF濾液より第2UF濾液が下流にて水洗に供される限り、水洗は任意の段数および形態により実施してよい。
【0033】
また、第1UF濃縮液および第2UF濃縮液をライン11aおよび11bより、合流させて電着槽1に導くものとしたが、個別に電着槽1へ導くようにしてもよい。
【0034】
第2の実施形態
図2を参照して、本実施形態における装置31は1つの限外濾過器9と、第1逆浸透装置15aおよび第2逆浸透装置15bとを備え、これら逆浸透装置15aおよび15bは並列に配置され、第1逆浸透装置15aに用いられる逆浸透膜に比べて、第2逆浸透装置15bに用いられる逆浸透膜のほうが孔径が小さい。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、特に断りのない限り図1の実施形態と同様である。
【0035】
電着液3は電着槽1(より詳細にはこれに隣接するオーバーフロー槽)からライン7を通じて限外濾過器9に送られる。限外濾過器9において電着液3は、塗料成分の濃度が上昇したUF濃縮液と、塗料成分の濃度が低下したUF濾液とに分離される。
【0036】
これにより得られたUF濃縮液はライン11を通じて電着槽1へ戻される。
【0037】
他方、UF濾液はライン13を通じて、その一部が第1逆浸透装置15aへ、その残部が第2逆浸透装置15bに送られる。第1逆浸透装置15aにおいてUF濾液は、塗料成分の濃度が上昇した第1RO濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第1RO濾液とに分離される。また、第2逆浸透装置15bにおいてUF濾液は、塗料成分の濃度が上昇した第2RO濃縮液と、塗料成分の濃度が低下した第2RO濾液とに分離される。
【0038】
逆浸透膜の孔径は第1逆浸透装置15aより第2逆浸透装置15bの方が小さいので、塗料成分の濃度は第2RO濃縮液、第1RO濃縮液、第1RO濾液および第2RO濾液の順に小さくなる。
【0039】
限外濾過器9ならびに第1逆浸透装置15aおよび第2逆浸透装置15bには当該技術分野において既知の任意の適切な限外濾過膜ならびに逆浸透膜を用いることができる。例えば限外濾過器9は約0.1〜10μmの孔径の限外濾過膜を約0.4〜4.0MPaの圧力下にて使用し得、第1逆浸透装置15aは約0.01〜1.0μm、第2逆浸透装置15bは約0.01〜0.05μmの孔径の逆浸透膜を約0.4〜4.0MPaの圧力下にて使用し得る。
【0040】
上記により得られた第1RO濃縮液および第2RO濃縮液はそれぞれライン17aおよび17bを通じて、また、第1RO濾液はライン19aを通じて、第2RO濾液はライン19bを通じて被塗物5の水洗に順次利用される。水洗は、例えば図示するように4段で実施でき、本実施形態において、第1RO濃縮液および第2RO濃縮液はそれぞれライン17aおよび17bを通じて第1段目の水洗に利用され、また、第1RO濾液はライン19aを通じて第2および/または第3段目の水洗に利用され、第2RO濾液はライン19bを通じて第4段目の水洗に利用される。このような構成により、被塗物5が搬送されるにつれて、塗料成分(または固形成分)濃度のより低い水洗水で順次水洗できるようになっている。
【0041】
このようにして、電着液3を限外濾過器9により濾過し、得られたUF濃縮液を電着槽3へ戻し、他方、UF濾液を第1逆浸透装置15aおよび第2逆浸透装置15bにより濾過し、得られた第1RO濃縮液および第2RO濃縮液、第1RO濾液ならびに第2RO濾液を被塗物5の水洗に利用できる。第1逆浸透装置15aでは孔径の比較的大きな逆浸透膜を用いているので十分な量の第1RO濾液を確保でき、他方、第2逆浸透装置15bでは孔径の比較的小さな逆浸透膜を用いているので塗料成分の濃度が非常に低い、好ましくは固形成分(NV)の濃度が0.1%以下の第2RO濾液を得ることができる。被塗物5を第1RO濃縮液および第2RO濃縮液で水洗した上、十分な量でかつ塗料成分濃度がより低い第1RO濾液で水洗し、その後、塗料成分濃度が非常に低い第2RO濾液で水洗できるので、被塗物を十分に水洗することができる。
【0042】
以上、本発明の第2の実施形態について説明してきたが、本実施形態は種々の改変が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では水洗を4段にて実施し、第1RO濃縮液および第2RO濃縮液を第1段目の水洗に利用し、第1RO濾液を第2および/または第3段目の水洗に利用し、第2RO濾液を第4段目の水洗に利用するものとして示したが、第1RO濃縮液および第2RO濃縮液より第1RO濾液が下流にて、更に、第1RO濾液より第2RO濾液が下流にて水洗に供される限り、水洗は任意の段数および形態により実施してよい。例えば、第1RO濃縮液および第2RO濃縮液の双方、またはより塗料成分濃度の高い第2濃縮液のみを、被塗物5を電着槽3から取り出す際(即ち出槽時)の水洗(図示せず)に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態における装置の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における装置の概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電着槽
3 電着液
5 被塗物
7、11、11a、11b、13、13a、13b、17a、17b、19a、19b ライン
9 限外濾過器
9a 第1限外濾過器
9b 第2限外濾過器
15a 第1逆浸透装置
15b 第2逆浸透装置
21、22、23、24 水洗水回収槽
30、31 装置
【出願人】 【識別番号】000230054
【氏名又は名称】日本ペイント株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦

【識別番号】100107180
【弁理士】
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵


【公開番号】 特開2008−24965(P2008−24965A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195881(P2006−195881)