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【発明の名称】 電気めっき装置
【発明者】 【氏名】永島 敦

【氏名】押部 弘

【要約】 【課題】ウエフアーをウエフアーホルダーに確実に保持すると共に、十分に通電できるようにする。

【構成】めっき液を収容するめっき槽と、該プめっき槽1の底部1aに貫設された、嵌合穴3aを有するカソードホルダ3と、前記嵌合穴の上端に設けられたカソード補助電極5と、前記カソードホルダーの下面側から前記嵌合穴に着脱される、上下動可能なウエフアーホルダー10と、前記ウエフアーホルダーの上面に設けられた電極収容凹部12と、前記電極収容凹部に固定され、ウエフアーフォルダーに載置されたウエフアーのバックサイドWBを押圧するスプリングコンタクト式カソード電極18と、前記ウエファーホルダーの上面に設けられたパッド収容凹部14と、前記パッド収容凹部に固定され、前記ウエフアーホルダーに載置されたウエファーのバックサイドに吸着する吸着パッド16と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液が収容されるめっき槽と、
該めっき槽の底部に貫設された、嵌合穴を有するカソードホルダーと、
前記嵌合穴の上端に設けられたウエフアー押さえと、
前記カソードホルダーの下面側から前記嵌合穴に着脱される、上下動可能なウエフアーホルダーと、
前記ウエフアーホルダーの上面に設けられた電極収容凹部と、
前記電極収容凹部に固定され、前記ウエフアーホルダーに載置されたウエフアーのバックサイドを押圧するスプリングコンタクト式カソード電極と、
前記ウエファーホルダーの上面に設けられたパッド収容凹部と、
前記パッド収容凹部に固定され、前記ウエフアーホルダーに載置されたウエファーのバックサイドに吸着する吸着パッドと、
を備えていることを特徴とする電気めっき装置。
【請求項2】
前記スプリングコンタクト式カソード電極が、環状の固定部と、複数の上向傾斜部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の電気めっき装置。
【請求項3】
複数の上向き傾斜部が、基端側から自由端側に向かって次第に細くなっていることを特徴とする請求項2記載の電気めっき装置。
【請求項4】
前記ウエフアー押さえが、円環状のカソード補助電極の内周部であることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の電気めっき装置。
【請求項5】
前記ウエフアー押さえとウエフアーのフロントサイドとの間に、シール手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気めっき装置。
【請求項6】
前記シール手段が、前記カソード補助電極の内周部の下面に設けられたシールゴムであることを特徴とする請求項5記載の電気めっき装置。
【請求項7】
前記スプリングコンタクト式カソード電極の先端及び前記吸着パッドの上端が、前記ウエフアーホルダーの上面から突出しており、前記カソード電極の突出量は前記吸着パッドの突出量より小さいことを特徴とする請求項1記載の電気めっき装置。
【請求項8】
前記スプリングコンタクト式カソード電極の突出量は、0.1〜1mmであり、前記吸着パッドの突出量は、1〜2mmであることを特徴とする請求項7記載の電気めっき装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品用の基板、IC用のウエフアー、薄膜磁気ヘッド用のウエフアーなどのめっきに用いられる、電気めっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエフアーのめっき面(「フロントサイド」という)には、めっき薄膜が付けられるが、この薄膜は、電気めっき装置により成膜されている。この電気めっき装置では、めっき膜を形成したいフロントサイドに導電性の下地膜を設け、この下地膜を陰極としてめっき液中で電通させることにより、前記下地膜上にめっき膜を析出させている。
従来の電気めっき装置として、ウエフアーのフロントサイドを下側にしてめっきする方式(「下面めっき方式」という)と、それを上側にしてめっきする方式(「上面めっき方式」という)が用いられている。
【0003】
前記下面めっき式の電気めっき装置は、めっき槽の底部にアノード電極を設け、その上部側にウエフアーホルダーを上下動可能に設け、該ウエフアーホルダーにフロントサイドを下側にしたウエフアーを載置した後、該ウエフアーホルダーにカソードホルダーを挿着し、皿状に形成されたスプリングコンタクト式カソード電極をウエフアーのバックサイドに圧接し、該ウエフアーに通電している。
【0004】
この下面めっき方式では、ウエフアーとウエフアーホルダーとを人の手によりセットし、フロントサイドを下側にしてめっきするので、作業能率が良くない。そこで、作業能率を向上させる為に、自動化することが考えられる。
しかし、前記カソード電極とウエフアーのセット工程の自動化は、非常に煩雑であり、方向性をつけるために磁場をかけてめっきするパーマロイのめっき装置においては、この方式での自動化は、困難となり、まだ実用化されるに至っていない。
【0005】
又、前記上面めっき方式の電気めっき装置では、めっき槽の上部側にアノード電極を設け、その底部に嵌合穴を有するカソードホルダーを設け、前記嵌合穴にウエフアーホルダーを着脱自在に設け、前記ウエフアーホルダーにフロントサイドを上側にしてウエフアーを載置する。その後、スプリングコンタクト式カソード電極が収容されている、ウエフアーホルダーの電極収納凹部を真空引きしてウエフアーを保持し、前記電極をウエフアーのバックサイドに当接させるとともに、前記ウエフアーホルダーを上昇させて前記嵌合穴に挿入し、前記底部を密閉する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記上面めっき方式のメッキ装置には、次の様な問題がある。
即ち、電気めっき装置を自動化するためには、ウエフアーをウエフアーホルダーに載置したときに、該ウエフアーを確実に保持させると共に、カソード電極をウエフアーのバックサイドに所定の接触圧で接触させ、確実に通電できるようにしなければならない。
【0007】
ところが、前記カソード電極の先端は、たわみ代を考慮してウエフアーホルダーの上面より少し上方に配置されおり、前記カソード電極が、ウエフアーをウエフアーホルダーから離す方向に押圧するので、前記ウエフアーはウエフアーホルダーの上面に当接することができない。そのため、真空ラインを駆動して前記電極凹部を真空状態にすることができないので、ウエフアーをウエフアーホルダーに確実に保持することができず、又、所望のカソード電極の接触圧を得ることも困難である。
【0008】
この問題を解決するために、次の様にすることが考えられる。
ウエフアーホルダーの電極収容凹部に、カソード電極を変位させる昇降手段を設け、ウエフアーをウエフアーホルダーに載置する際に、前記カソード電極を下方に移動させ、その先端部がウエフアーホルダーの上面から突出しないようにし、該ウエフアーを載置したウエフアーホルダーが嵌合穴に挿入された後に、前記昇降手段を駆動して前記カソード電極を上昇させ、その先端部をウエフアーのバックサイドに圧接させる。
【0009】
しかし、この方法では、小さなウエフアーホルダー内に前記昇降手段を設けなければならないので、非常に煩雑な装置となり、実用化するのは困難である。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑み、ウエフアーをウエフアーホルダーに確実に保持すると共に、十分に通電できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、めっき液が収容されるめっき槽と、該めっき槽の底部に貫設された、嵌合穴を有するカソードホルダーと、前記嵌合穴の上端に設けられたウエフアー押さえと、前記カソードホルダーの下面側から前記嵌合穴に着脱される、上下動可能なウエフアーホルダーと、前記ウエフアーホルダーの上面に設けられた電極収容凹部と、前記電極収容凹部に固定され、ウエフアーフォルダーに載置されたウエフアーのバックサイドを押圧するスプリングコンタクト式カソード電極と、前記ウエファーホルダーの上面に設けられたパッド収容凹部と、前記パッド収容凹部に固定され、前記ウエフアーホルダーに載置されたウエファーのバックサイドに吸着する吸着パッドと、を備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明の前記スプリングコンタクト式カソード電極が、環状の固定部と、複数の上向傾斜部とから構成されていることを特徴とする。前記複数の上向き傾斜部が、基端側から自由端側に向かって次第に細くなっていることを特徴とする。前記ウエフアー押さえが、円環状のカソード補助電極の内周部であることを特徴とする。
【0013】
前記ウエフアー押さえとウエフアーのフロントサイドとの間に、シール手段が設けられていることを特徴とする。前記シール手段が、前記ウエフアー押さえの下面に設けられたシールゴムであることを特徴とする。前記スプリングコンタクト式カソード電極の先端及び前記吸着パッドの上端が、前記ウエフアーホルダーの上面から突出しており、前記電極の突出量は前記吸着パッドの突出量より小さいことを特徴とする。前記スプリングコンタクト式カソード電極の突出量は、0.1〜1mmであり、前記吸着パッドの突出量は、1〜2mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、以上のように構成したので、ウエフアーホルダーに載置されたウエフアーは、そのバックサイドを吸着パッドに吸着されて保持され、該ウエフアーホルダーに固定される。又、ウエフアーホルダーが嵌合穴に挿入され、ウエフアーがウエフアー押さえに当接すると、カソード電極は、ウエフアーのバックサイドに押し付けられてたわみ、十分に接触するので、確実に通電を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施の形態を図1〜図5により説明する。
めっき槽1の底部1aには、嵌合穴3aを有するカソードホルダー3が設けられている。この嵌合穴3aの上端には、円環状のカソード補助電極5が設けられている。この電極5はウエフアーW外周部の電流の集中を防ぐので、膜厚の均一化を図ることができる。前記補助電極5の内周部5aは、前記嵌合穴3a内に突出しており、該内周部5aは、ウエフアーホルダー10が嵌合穴3aに挿入された時の、ウエフアー押さえとしても機能する。この内周部5aの下面には、シール手段が設けられているが、このシール手段として、例えば、シールゴム7が採用されている。
【0016】
前記カソードホルダー3の下方には、ウエフアーホルダー10が設けられている。このウエフアーホルダー10の上面10a中央部には、円形状のパッド収納凹部12が設けられ、その外方には円環状の電極収納凹部14が設けられている。
【0017】
前記パッド収納凹部12には、吸着パッド、例えば、ゴム製の真空パッド、16が固定されている。この吸着パッド16は、逆円錐台状に形成され、その上端面16aはウエフアーホルダー10の上面10aから僅かに突出している(図1、図3参照)。この突出量T2は、ウエフアーWのバックサイドWBをウエフアーホルダー10の上面10aに密着して保持することが可能な範囲で選ばれ、例えば、前記突出量T2として、1〜2mmが選択される。
【0018】
前記電極収納凹部14には、スプリングコンタクト式カソード電極18が固定されている。この電極18は、図4に示すように、円環状の固定部18aと、上向傾斜部18bとから構成されている。この傾斜部18bは、前記固定部18aの外周縁に、周方向に同一間隔をおいて複数枚、例えば、34枚、形成されている。
【0019】
前記各傾斜部18bは、基端18c側から先端18d側に向かって次第に細くなり、かつ、上向きに傾斜している。前記上向傾斜部18bの先端18dは、ウエフアーホルダー10の上面10aから突出しているが、この突出量T1は、前記先端18dがウエフアーWのバックサイドWBと当接したときに、たわんで所定の接触圧が得ることができる範囲で選択され、例えば、その突出量T1として、前記吸着パッド16の突出量T2よりも小さい値、例えば、T1=0.1〜1mm、が選択される。
【0020】
前記カソード電極18を前記海星状に形状にすると、たわみ量が大きくて丈夫なカソード電極18を得ることができる。なお、上向傾斜部18bの形状、傾斜角、枚数等は、必要に応じて適宜選択される。
【0021】
ウエフアーホルダー10には、前記吸着パッド16に連通する吸引通路22が設けられ、該吸引通路22は真空ライン24に連結されている。又、前記ウエフアーホルダー10には、カソードウエフアー電極26が設けられ、該カソードウエフアー電極26は、カソードウエフアー電源28に連結されている。ウエフアーホルダー10には、上下動手段、例えば、昇降シリンダー30が連結されている。
【0022】
図において、31はカソード補助電極電源、32はめっき槽1内に配設されているアノード(プラス電極)、34はめっき槽1内を摺動するパドル、36はパドル摺動アーム、38はオーバーフローしためっき液を溜めて循環タンク(図示省略)に戻すオーバーフロー部、40はめっき液循環供給部42に前記循環タンクからのめっき液を供給するめっき供給管、44は磁石、46は循環タンクへの戻り、47は自動弁、をそれぞれ示す。
【0023】
次に、本実施の形態の作動について説明する。
図1に示すように、被めっき物、例えば、IC用のウエフアーWのバックサイドWBを下側にして、ウエフアーホルダー10に載置すると、該ウエフアーWは吸着パッド16の上端面16aに当接する。前記吸着パッド16の上端面16aはウエフアーホルダー10の上面10aからT2だけ離れているので、該ウエフアーWは、ウエフアーホルダー10の上面10には密着しない。
【0024】
この時、カソード電極18の先端18dの突出量T1は、前記パッド16の上端面16aより少ないので、該カソード電極18は、前記ウエフアーWに接触しない。
【0025】
図示しない吸引駆動装置を始動させると、真空ライン24,吸引通路22を介して真空引きが行われ、前記吸着パッド16はウエフアーWのバックサイドWBに吸着するので、該ウエフアーWは確実に固定され保持される。
【0026】
この状態で、昇降シリンダ30を駆動させ、図2に示す様に、ウエフアーホルダー10をカソードホルダー3の嵌合穴3aに挿入し、ウエフアーWのフロントサイドWFをシールゴム7に押し付ける。
【0027】
そうすると、吸着パッド17は変形し、その上端面10aはウエフアーホルダー10の上面10aと面一となり、又、前記カソード電極18の先端18dはたわんで、ウエフアーホルダー10の上面10a位置まで降下し、該ウエフアーWのバックサイドWBを押圧する。前記ウエフアーWとカソード補助電極5との間は、シールゴム7によりシールされ、この状態では、めっき槽1の底部1aは、完全に密閉された状態となる。
【0028】
前記密閉状態において、めっき槽1にめっき液Mを充填し、各電極5、18、26、32に給電を行い、ウエフアーWのフロントサイドWFにめっきする。
【0029】
めっき処理終了後、めっき槽1内のめっき液Mを循環タンクに戻し、該めっき槽1内を空にした後、昇降シリンダー30を駆動させてウエフアーホルダー10を下降させ、カソードホルダー3の嵌合穴3aから抜き出す。
【0030】
前記昇降シリンダー30が元の位置に到達したら前記吸引駆動装置の駆動を停止させ、吸着パッド18の吸着を解除し、めっき処理が完了したウエフアーWをウエフアーフォルダー10から外して所定の場所に保管する。
【0031】
前記ウエフアーWのウエフアーホルダー10への着脱などの作業は、ロボットにより自動的に行うが、ロボットを使用しないで人間が手動で行っても良いことは勿論である。
【0032】
本発明の実施の形態は、上記に限定されるものではなく、例えば、次の様にしても良い。
(1)前記実施の形態では、被めっき物としてIC用のウエフアーを用いたが、本件発明の対象とする被めっき物は、IC用のウエフアーのみならず、電子部品用の基板、薄膜磁気ヘッド用のウエフアー等にも及ぶが、ここでいう「ウエフアー」には、前記被めっき物が全て含まれている。
(2)ウエフアー押さえは、前記カソード補助電極内周部の代わりに、押さえ爪を用いてもよい。この押さえ爪は、例えば、前記嵌合穴の外周部に、周方向に間隔をおいて複数突設される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本件発明の実施の形態を示す図で、図1(A)はめっき槽の底部の縦断面図、図1(B)はウエフアーホルダーの縦断面図である。
【図2】カソードホルダーにウエフアーホルダーを挿着した状態を示す縦断面図である。
【図3】ウエフアーホルダーの要部拡大図である。
【図4】ウエフアーホルダーの平面図である。
【図5】めっき装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 めっき装置
3 カソードホルダー
5 カソード補助電極
7 シールゴム
10 ウエフアーホルダー
10a上面
12 パッド収納凹部
14 電極収納凹部
16 吸着パッド
16a上端面
18 スプリングコンタクト式カソード電極
30 昇降シリンダー
T1 カソード電極の突出量
T2 吸着ホッパの突出量
W ウエフアー
M めっき液
【出願人】 【識別番号】593129423
【氏名又は名称】株式会社東設
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100061284
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 侑

【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦


【公開番号】 特開2008−24962(P2008−24962A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195686(P2006−195686)