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【発明の名称】 塗装前処理装置及び電着塗装装置
【発明者】 【氏名】石丸 昭夫

【要約】 【課題】被処理物の進行方向に関して後方の水洗槽でも充分な水位を確保でき、且つ前方の水洗槽からオーバーフローした汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽で直ちに被処理物の洗浄に利用できる塗装前処理装置、電着塗装装置を提供する。

【構成】薬液処理槽と、被処理物の進行方向に関して薬液処理槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる塗装前処理装置であって、水洗槽からオーバーフローした洗浄水を直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給する配管を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液処理槽と、被処理物の進行方向に関して薬液処理槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる塗装前処理装置であって、水洗槽からオーバーフローした洗浄水を直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給する配管を備えることを特徴とする塗装前処理装置。
【請求項2】
循環ポンプは水洗槽の水面よりも下方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装前処理装置。
【請求項3】
電着槽と、被処理物の進行方向に関して電着槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる電着塗装装置であって、水洗槽からオーバーフローした洗浄水を直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給する配管を備えることを特徴とする電着塗装装置。
【請求項4】
循環ポンプは水洗槽の水面よりも下方に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の電着塗装装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装前処理装置及び電着塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬液処理槽と、被処理物の進行方向に関して薬液処理槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる塗装前処理装置が特許文献1等に開示されている。
電着槽と、被処理物の進行方向に関して電着槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる電着塗装装置が特許文献2等に開示されている。
特許文献1、2等に開示された従来の塗装前処理装置、電着塗装装置においては、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水の後方の水洗槽への順送りは、傾斜した配管を利用した自然水流により行なっていた。
【特許文献1】特開2002−102788号公報
【特許文献2】特開2003−105594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の塗装前処理装置、電着塗装装置には、前方の水洗槽から後方の水洗槽へ向けて水位を順次低くせざるを得ず、後方の水洗槽では洗浄水量が少なくなり洗浄水の汚染度が高くなって充分な洗浄効果が得られないという問題がある。また前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水は単に後方の水洗槽へ流入するのみなので、前方の汚染度の少ない洗浄水を直ちに被処理物の洗浄に利用できず、充分な洗浄効果が得られないという問題もある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、被処理物の進行方向に関して後方の水洗槽でも充分な水位を確保でき、且つ前方の水洗槽からオーバーフローした汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽で直ちに被処理物の洗浄に利用できる塗装前処理装置、電着塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、薬液処理槽と、被処理物の進行方向に関して薬液処理槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる塗装前処理装置であって、水洗槽からオーバーフローした洗浄水を直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給する配管を備えることを特徴とする塗装前処理装置を提供する。
また本発明においては、電着槽と、被処理物の進行方向に関して電着槽の前方に直列に配列された複数の水洗槽とを備え、水洗槽はスプレーノズルと水洗槽からスプレーノズルに至る配管と配管の途上に配設された循環ポンプとを有し、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水が後方の水洗槽へ順送りされる電着塗装装置であって、水洗槽からオーバーフローした洗浄水を直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給する配管を備えることを特徴とする電着塗装装置を提供する。
本発明に係る塗装前処理装置、電着塗装装置においては、前方の水洗槽からオーバーフローした洗浄水は直近後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給され、直近後方の水洗槽から前記循環ポンプへ吸い込まれた当該水洗槽内の洗浄水と混合されて、スプレーノズルから吐出する。
前方の水洗槽から後方の水洗槽への洗浄水の順送りは、傾斜した配管を利用した自然水流では無く強制水流によるので、水洗槽内の水位を前方の水洗槽から後方の水洗槽へ向けて順次下げる必要は無い。従って後方の水洗槽でも充分な水位を確保して洗浄水の汚染度の増加を抑制でき、充分な洗浄性能を確保できる。
前方の水洗槽から後方の水洗槽へ送られた汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽が有する循環ポンプの吸込口に供給するので、当該汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽で直ちに被処理物の洗浄に利用でき、充分な洗浄性能を確保できる。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、循環ポンプは水洗槽の水面よりも下方に配設されている。
循環ポンプを水洗槽の水面よりも下方に配設することにより、循環ポンプ吸込口での負圧(ゲージ圧)の発生を抑制し、直近前方の水洗槽と前記吸込口とを接続する配管を介して循環ポンプが空気を吸い込むのを阻止することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、被処理物の進行方向に関して後方の水洗槽でも充分な水位を確保でき、且つ前方の水洗槽からオーバーフローした汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽で直ちに被処理物の洗浄に利用できる塗装前処理装置、電着塗装装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例を説明する。
以下の説明において、図1の矢印I、II、III、IVの方向をそれぞれ前方、後方、上方、下方と呼ぶ。
図1に示すように、塗装前処理装置Aは、後方から前方へ向けて順次直列に配列された、薬液処理槽1、第1水洗槽2、第2水洗槽3、第3水洗槽4を備えている。薬液処理槽1には被処理物の表面処理のための薬液が貯留され、第1水洗槽2、第2水洗槽3、第3水洗槽4には、洗浄水が貯留されている。
槽1、2、3、4は、槽直上に配設されたスプレーノズル1a、2a、3a、4aと、槽下部からスプレーノズル1a、2a、3a、4aへ延びる循環用配管1b、2b、3b、4bと、循環用配管1b、2b、3b、4bの途上に配設された循環ポンプ1c、2c、3c、4cと、槽後部上端に配設されたオーバーフロー堰1d、2d、3d、4dとを有している。
循環ポンプ1c、2c、3c、4cは、槽1、2、3、4の水面よりも下方、好ましくは槽1、2、3、4の底壁よりも下方に配設されている。
【0008】
薬液処理槽1の前部上端に薬液供給配管5が接続している。オーバーフロー堰1dから薬液排出配管6が下方へ延びている。
第3水洗槽4の前部上端に新鮮水供給配管7が接続している。
オーバーフロー堰4dから延びる送水配管8が、循環ポンプ3cの吸込口に、より正確には循環ポンプ3c直近上流の循環用配管3bに接続している。
オーバーフロー堰3dから延びる送水配管9が、循環ポンプ2cの吸込口に、より正確には循環ポンプ2c直近上流の循環用配管2bに接続している。
オーバーフロー堰2dから洗浄水排出配管10が下方へ延びている。
【0009】
槽1、2、3、4の上方に、前後に延在するにオーバーヘッドレール11が配設されている。オーバーヘッドレール11に、前後方向に互いに所定間隔を隔てて複数のタクト式搬送装置12が係合している。タクト式搬送装置12はオーバーヘッドレール11に沿って、後方から前方へ向けて移動する。タクト式搬送装置12に被処理物である自動車ボデーAが載置固定されている。
【0010】
本実施例に係る塗装前処理装置の作動を説明する。
新鮮水供給配管7を介して新鮮水が第3水洗槽4に供給される。第3水洗槽4内の洗浄水は、槽下部から循環用配管4bと循環ポンプ4cとを経てスプレーノズル4aへ送られ、スプレーノズル4aから吐出して槽上部へ戻る。オーバーフロー堰4dを越えて第3水洗槽4から溢れ出た洗浄水は、送水配管8を経て第2水洗槽3の循環ポンプ3cに吸い込まれる。
第2水洗槽第3内の洗浄水は、槽下部から循環用配管3bを経て循環ポンプ3cに吸い込まれ、送水配管8を経て第3水洗槽4から供給された洗浄水と混合された後、スプレーノズル3aへ送られ、スプレーノズル3aから吐出して槽上部へ戻る。オーバーフロー堰3dを越えて第2水洗槽3から溢れ出た洗浄水は、送水配管9を経て第1水洗槽2の循環ポンプ2cに吸い込まれる。
第1水洗槽第2内の洗浄水は、槽下部から循環用配管2bを経て循環ポンプ2cに吸い込まれ、送水配管9を経て第2水洗槽3から供給された洗浄水と混合された後、スプレーノズル2aへ送られ、スプレーノズル2aから吐出して槽上部へ戻る。オーバーフロー堰2dを越えて第1水洗槽2から溢れ出た洗浄水は、洗浄水排出管10を経て廃液処理槽へ送られる。
薬液供給配管5を介して薬液が薬液処理槽1に供給される。薬液処理槽1内の薬液は、槽下部から循環用配管1bと循環ポンプ1cとを経てスプレーノズル1aへ送られ、スプレーノズル1aから吐出して槽上部へ戻る。オーバーフロー堰1dを越えて薬液処理槽1から溢れ出た薬液は、薬液排出管6を経て廃液処理槽へ送られる。
【0011】
タクト式搬送装置12が槽1〜4上方を後方から前方へ移動し、スプレーノズル1a、2a、3a、4aの上方で停止して自動車ボデーAをスプレーノズル1a、2a、3a、4aの位置まで降下させ、所定時間経過後自動車ボデーAを上昇させてスプレーノズル1a、2a、3a、4aから離脱させる。
スプレーノズル1aから吐出した薬液が自動車ボデーAを表面処理する。スプレーノズル2a、3a、4aから吐出した洗浄水が、自動車ボデーAに付着した余分の薬液を洗い落とす。水洗槽2、3、4の順に、洗浄水の汚染度が低くなるので、自動車ボデーAは、水洗行程が進行するにつれて、より清浄な洗浄水で洗浄されることになる。
【0012】
自動車ボデーAの進行方向に関して前方の水洗槽4、3から後方の水洗槽3、2への洗浄水の順送りは、自然水流では無く循環ポンプ3c、2cを用いた強制水流によるので、水洗槽内の水位を前方の水洗槽4、3から後方の水洗槽3、2へ向けて順次下げる必要は無い。従って後方の水洗槽3、2でも充分な水位を確保して洗浄水の汚染度の増加を抑制でき、充分な洗浄性能を確保できる。
前方の水洗槽4、3から後方の水洗槽3、2へ送られた汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽3、2が有する循環ポンプ3c、2cの吸込口に供給するので、当該汚染度の少ない洗浄水を後方の水洗槽3、2で直ちに自動車ボデーAの洗浄に利用でき、充分な洗浄性能を確保できる。
【0013】
循環ポンプ3c、2cを水洗槽3、2の水面よりも下方に、好ましくは水洗槽3、2の底壁よりも下方に配設することにより、循環ポンプ3c、2c吸込口での負圧(ゲージ圧)の発生を抑制したので、水洗槽4、3の水位がオーバーフロー堰4d、3dよりも低下し、水洗槽4、3からの洗浄水のオーバーフローが停止しても、送水配管8、9を介して循環ポンプ3c、2cは空気を吸い込まない。
【0014】
薬液処理装置1を電着槽に置換した電着塗装装置にも本発明を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、スプレーノズル付きの水洗槽を備える塗装前処理装置、電着塗装装置に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る塗装前処理装置の構成図である。
【符号の説明】
【0017】
1 薬液処理装置
2 第1水洗槽
3 第2水洗槽
4 第3水洗槽
1a、2a、3a、4a スプレーノズル
1b、2b、3b、4b 循環用配管
1c、2c、3c、4c 循環ポンプ
1d、2d、3d、4d オーバーフロー堰
5 薬液供給配管
6 薬液排出配管
7 新鮮水供給配管
8、9 送水配管
10 洗浄水排出配管
11 オーバーヘッドレール
12 タクト式搬送装置
【出願人】 【識別番号】391022658
【氏名又は名称】パーカーエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦


【公開番号】 特開2008−24960(P2008−24960A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195360(P2006−195360)