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【発明の名称】 表面処理電解銅箔及びその製造方法、並びに回路基板
【発明者】 【氏名】齋藤 貴広

【氏名】松本 貞雄

【氏名】鈴木 裕二

【要約】 【課題】銅箔のドラム表面から転写するスジに影響されるS面ではなく、表面の凹凸を減少させた、平滑なM面を有する表面処理電解銅箔を提供することを目的とする。

【構成】電解銅箔のドラムに接した面と反対側の面であるM面に表面処理を施し、該M面のRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とした表面処理電解銅箔である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解銅箔のドラムに接した面と反対側の面であるM面に表面処理を施し、該M面のRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とした表面処理電解銅箔。
【請求項2】
表面処理を施したM面において、面積が50μm×50μmの範囲に存在する平均直径2μm以上の大きさの銅の突起物が3個以下である請求項1に記載の表面処理電解銅箔。
【請求項3】
表面処理を施した銅箔のM面側にフィルムを貼り付け、該貼り付けた銅箔をエッチング処理して削除した時のフィルムのヘーズ値が30以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理電解銅箔。
【請求項4】
銅箔は粒状結晶である請求項1に記載の表面処理電解銅箔。
【請求項5】
引張強さが400N/mm2以下であり且つ伸びが3%以上である請求項1に記載の表面処理電解銅箔。
【請求項6】
表面処理を施したM面にNi、Zn、Cr、Co、Mo、Pの単体、またはそれらの合金、または水和物が少なくとも1種類以上付着されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理電解銅箔。
【請求項7】
銅濃度が50〜80g/l、硫酸濃度が30〜70g/l、液温が35〜45℃、塩素濃度が0.01〜30ppm、有機硫黄系化合物・低分子量膠・高分子多糖類の添加濃度が合計で0.1〜100ppm、TOCが400ppm以下である硫酸銅浴を用い、電流密度が20〜50A/dmの条件で電解銅めっきを行って銅箔を製造し、該銅箔のM面に表面処理を施し、該M面のRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とした表面処理電解銅箔の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の表面処理銅箔のM面にフィルムを貼り付けてなる回路基板。
【請求項9】
請求項7に記載の表面処理銅箔の製造方法により製造した表面処理銅箔のM面にフィルムを貼り付けてなる回路基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電解銅箔の製造時にドラムと接していない面(以下M面という)のRz、Raが小さく、かつ、表面の凹凸が少ない表面処理電解銅箔、その製造方法、並びに該表面処理銅箔を用いた回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコン、携帯電話やPDAの表示部である液晶ディスプレイを駆動するIC実装基板で高密度化が進んでいる。IC実装基板はICが直接基板フィルム上に載せられるところからチップオンフィルム(COF)と呼ばれている。
【0003】
チップオンフィルム実装では銅箔による配線パターンを形成したフィルムを透過する光によってIC位置を検出する。チップオンフィルムの視認性(光によるIC位置検出能力)に大きく影響するものとして銅箔の表面の粗さがある。光を透過させるフィルム部は銅回路部以外の不要な銅箔部がエッチング除去された部分であり、銅箔をフィルムに貼り付けた時に銅箔表面の凹凸がフィルム面上に転写されて残る。よって、銅箔の表面が粗いとフィルム表面の凹凸が大きくなり、光が通過する際その凹凸のため直進できる光の量が少なくなり視認性が悪くなる。
【0004】
現在、多くの電解銅箔は視認性を考えフィルム部と張り合わせる面を電解ドラムに接している面(S面、前記M面と反対側の面)を使用することで対応をしているが、S面はドラム表面を転写するため、ドラム表面が粗くなるとドラムの交換を余儀なくされる。特に、ドラムを長く使用すると、使用するに従って発生するドラムの粗さから銅箔表面(S面)にスジが生じ、このスジが視認性を悪くし、耐屈曲性、伸びにも悪影響を与えることから、ドラムの維持管理費が増加し、通常製品の製造コストが上がり生産能力も低下する。
また、品質的にはドラム表面のスジはRzが小さいといえども銅箔表面に転写されることからエッチング時などに障害をきたすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の表面処理銅箔は視認性を考えフィルムを貼り付ける面にS面を使用し、このS面に表面処理を施して対応している。しかし、ドラム表面が粗くなると、この表面を転写する銅箔表面にスジ状の凹凸が入り、該凹凸は視認性を悪くする。従ってドラム表面の平滑度を維持するためには頻繁にドラムを変える必要があり、銅箔の生産性を落すと共にコスト高を招く不利益がある。
【0006】
本発明はドラム表面から転写するスジに影響されるS面ではなく、表面の凹凸を減少させた、平滑なM面を有する表面処理電解銅箔を提供し、該銅箔を使用することで、ファインパターンの回路形成が可能で、特に視認性に優れたプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム(以下これらを総称して回路基板という)用の電解銅箔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表面処理銅箔は、電解銅箔のドラムに接した面と反対側の面であるM面に表面処理を施し、該M面のRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下としたことを特徴とする。
【0008】
本発明の表面処理銅箔は、前記M面において、面積が50μm×50μmの範囲に存在する平均直径2μm以上の大きさの銅の突起物が3個以下であることが好ましい。
また、前記銅箔のM面側にフィルムを貼り付け、銅箔をエッチング除去した時、エッチング除去した部分のフィルムのヘーズ値が30以下であることが好ましい。
【0009】
前記電解銅箔は粒状結晶であることが好ましい。また、前記銅箔は引張強さが400N/mm2以下であり且つ伸びが3%以上であることが好ましい。
更に、前記表面処理を施したM面にNi、Zn、Cr、Co、Mo、Pの単体、またはそれらの合金、または水和物が少なくとも1種類以上が付着されていることが好ましい。
【0010】
本発明の表面処理銅箔の製造方法は、銅濃度が50〜80g/l、硫酸濃度が30〜70g/l、液温が35〜45℃、塩素濃度が0.01〜30ppm、有機硫黄系化合物・低分子量膠・高分子多糖類の添加濃度が合計0.1〜100ppm、TOCが400ppm以下である硫酸銅浴を用い、電流密度が20〜50A/dm2の条件で電解銅めっきを行って銅箔を製造し、該銅箔のM面に表面処理を施し、該M面のRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の回路基板は、前記表面処理銅箔のM面にフィルムを貼り付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によればM面の粗さがRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とした、平滑な表面処理電解銅箔を提供することができる。よって、本発明表面処理電解銅箔はM面のRz,Raが小さく表面の凹凸が少ないので、M面を使用した回路基板(プリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム)用銅箔として優れた視認性を有し、ファインパターン回路を構成することができる。
また、本発明の銅箔製造方法によれば、M面の粗さが平滑で、ドラムを長時間使用することができ、したがって、生産性が向上し、品質が長く維持される製造方法を提供でき、コストが抑えられ電解銅箔を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において表面処理銅箔に使用する電解銅箔の厚みは1μm〜70μmが好適である。銅箔の厚みが1μmより薄いと製造時に電解ドラムからうまく剥がせず、例え剥がせたとしてもシワなどが入りうまく巻き取れないため現実的ではない。
また、箔厚が70μmより厚い場合は、COF用又はFPC用銅箔の仕様から外れるため好ましくないが、これらの用途以外で要求があれば上記厚さに関係なく厚い銅箔を採用することは可能である。
【0014】
本発明電解銅箔においては、M面の粗さがRz:1μm以下であり且つRa:0.2μm以下である。
Rzを1.0μm以下とするのはフィルムの視認性を重視するためで、Rzが1.0μm以上では表面が粗くフィルムの視認性が十分でなくなるためである。また、Raを0.2μm以下とするのは銅箔表面のうねりを小さく抑えるためであり、たとえRzが1.0μm以下であってもRaが0.2μm以上ではうねりが影響してフィルムの視認性に影響がでるためである。Rz:1.0μm以下であり且つRa:0.20μm以下であればフィルムに貼り付けエッチングした時、エッチングした部分のフィルムのヘーズ値を30以下とすることができる。なお、より好ましくはRz:0.8μm以下であり且つRa:0.
15μm以下である。
【0015】
本発明において、電解銅箔のM面に表面処理を施す電解銅箔(以下未処理電解銅箔という)を製造するには、銅めっきの浴として硫酸銅めっき浴を用いる。本発明では従来の浴よりも硫酸濃度、浴温、塩素濃度を下げて添加剤の効き目を増大させM面の平滑性を高めている。従来の硫酸銅めっき浴と本発明の浴条件の比較を表1に示す。
【0016】
【表1】


【0017】
上記電解銅箔を製造する硫酸銅めっき浴には添加剤として有機硫黄系化合物並びにそれ以外の少なくとも1種以上の有機化合物を添加する。有機硫黄系化合物としては3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。また、その他の有機化合物としては膠、高分子界面活性剤、含窒素有機化合物等が使用できる。膠は特に低分子量のものが好ましい。高分子界面活性剤としてはヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。含窒素有機化合物としてはポリエチレンイミン、ポリアクリル酸アミド等が挙げられる。添加剤は有機硫黄系化合物並びにそれ以外の少なくとも1種以上の有機化合物を0.1〜100ppmの範囲内で量・比率を変えて添加する。また、添加剤を入れる場合のTOC(TOC=Total・Organic・Carbon=全有機炭素。液中に含まれる有機物中の炭素量)の測定結果が400ppm以下であることが好ましい。TOCの数値が大きいと銅箔に不純物が多く入り再結晶等に大きく影響することからめっき浴中のTOCの値は400ppm以下が好ましい。
【0018】
また、上記電解銅箔は常態で引張強さは400N/mm2以下であることが好ましい。
一般に、ほとんど不純物等が含まれない電解銅箔では熱履歴がかかった時、歪を背負っている方が軟化しやすい。このため、通常引張強さが高い銅箔の方が軟化しやすい傾向を示す。熱軟化が激しいと表面処理銅箔をフィルムと張り合わせるときの熱で伸び・シワ等の不具合が発生しやすくなるため、ある程度の引張強さを維持した銅箔の方が好ましい。このためには、常態にて引張強さが高くない銅箔の方がプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム用配線板には向いている。このようなことから、引張強さは400N/mm2以下とすることが好ましい。
また、伸びが低過ぎると箔切れが発生したりラインでの扱いが困難になったりするため常態で3%以上の伸びを持つ銅箔が好ましい。
このように、M面を表面処理した銅箔の引張強さと伸びを、常態にて引張強さが400N/mm2以下で、伸びが3%以上と規定するのは、かかる銅箔がプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム用配線板に適しているからである。
【0019】
上記未処理電解銅箔の少なくともM面に表面処理を行う。表面処理は少なくとも1種類以上の金属をめっきする。その金属にはNi、Zn、Cr、Co、Mo、Pの単体、またはそれらの合金、または水和物が上げられる。金属をめっきする処理の一例としてはNi、Mo、Co、Pの少なくとも1種類の金属または1種類の金属が含有する合金をめっきした後、ZnをめっきしてCrをめっきする。NiまたはMo等はエッチング性が悪くなるため3mg/dm2以下であることが好ましい。また、Znについてはめっき量が多いとエッチング時に溶けピール強度の劣化の原因になることがあるため2mg/dm2以下であることが好ましい。上記金属のめっき浴とめっき条件の一例を下記する。
【0020】
Niめっき浴
Ni 10〜100g/l
BO1〜50g/l
PO1〜10g/l
浴温 10〜70℃
電流密度 1〜50A/dm
処理時間 1秒〜2分
pH 2.0〜4.0
【0021】
Ni−Moめっき浴
Ni 10〜100g/l
Mo 1〜30g/l
クエン酸3ナトリウム2水和物 30〜200g/l
浴温 10〜70℃
電流密度 1〜50A/dm
処理時間 1秒〜2分
pH 1.0〜4.0
【0022】
Mo−Coめっき浴
Mo 1〜20g/l
Co 1〜10g/l
クエン酸3ナトリウム2水和物 30〜200g/l
浴温 10〜70℃
電流密度 1〜50A/dm
処理時間 1秒〜2分
【0023】
Znめっき浴
Zn 1〜30g/l
NaOH 10〜300g/l
浴温 5〜60℃
電流密度 0.1〜10A/dm
処理時間 1秒〜2分
【0024】
Crめっき浴
Cr 0.5〜40g/l
浴温 20〜70℃
電流密度 0.1〜10A/dm
処理時間 1秒〜2分
pH 3.0以下
【0025】
好ましくはこれらをめっきした表面上にシランを塗布する。塗布するシランについては一般的に使用されているアミノ系、ビニル系、シアノ基系、エポキシ系が上げられる。特に貼り付けるフィルムがポリイミドの場合はアミノ系、またはシアノ基系シランがピール強度を上げる効果を示す。
これらの処理を施した表面処理銅箔にフィルムを貼り付けプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム用配線板、フレキシブル配線板となる。
【0026】
上記表面処理銅箔のM面において50μm×50μmの範囲をn=20で上から観察した場合、突起物の大きさが平均直径2μm以上のものが平均3個以下である銅箔であることが好適である。突起物の数が多くなれば視認性に影響を与えるばかりではなくエッチングの処理時間を長くしなければならず、ファインパターン性を落す結果になりかねないからである。
【0027】
上記表面処理銅箔にフィルムを貼り付け、貼り付けた銅箔をエッチングしてヘーズ値を計測した場合、そのヘーズ値は30以下であることが好ましい。ヘーズ値が30より大きいと視認性が悪くなり、好ましくないからである。
上記表面処理銅箔は平滑性等が保たれれば、結晶粒の形状は柱状でも粒状でも問題はないが、屈曲性、エッチング性などを考えると上記表面処理銅箔は粒状晶であることが望ましい。
【0028】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製箔1、実施例1〜16>
表2に示す組成の硫酸銅めっき液(以後電解液という)を活性炭フィルターに通して清浄処理した。本実施例において使用した添加剤は有機硫黄系化合物は3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム(MPS)、低分子量膠はPBF(株式会社ニッピ製)、高分子多糖類はヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。これらの添加剤を表3に示す濃度となるように清浄処理した電解液に添加して実施例1〜16の製箔用電解液を調整した。このようにして調製した電解液を用い、アノードには貴金属酸化物被膜チタン電極、陰極にはチタン製回転ドラムを用いて、表3に示す電解条件の下に電解製箔によって銅箔を製造した。
【0029】
<製箔2、比較例1〜18>
表2に示す組成の電解液を活性炭フィルターに通して清浄処理した。次いで、この電解液に表3に示す添加剤をそれぞれの濃度となるように添加して比較例1〜18の製箔用電解液を調整した。このようにして調製した電解液を用い、実施例と同様に、アノードには貴金属酸化物被膜チタン電極、陰極にはチタン製回転ドラムを用いて、表3に示す電解条件の下に電解製箔によって銅箔を製造した。
【0030】
<表面処理1、実施例1〜16>
前記実施例1〜16で製箔した未処理電解銅箔に表面処理を行った。アノードに不溶性電極を用いNi、Zn、Crの順に各めっき浴の槽が並んだラインに銅箔を通してめっきを行った。Ni、Zn、Crめっき後にアミノ系シランを塗布し表面処理銅箔を製造した。めっき条件及びシラン塗布量を表4、表5に示す。
【0031】
<表面処理2、比較例1〜18>
前記比較例1〜18で製箔した未処理電解銅箔に表面処理を行った。実施例と同様、アノードに不溶性電極を用いNi、Zn、Crの順に各めっき浴の槽が並んだラインに銅箔を通してめっきを行った。Ni、Zn、Crめっき後にアミノ系シランを塗布し表面処理銅箔を製造した。めっき条件及びシラン塗布量を表4、表5に示す。
【0032】
<表面粗さの評価>
各実施例及び各比較例で製造した表面処理銅箔の表面粗さRz、Raを接触式表面粗計を用いて測定した。表面粗さRz、RaとはJIS B 0601−1994「表面粗さの定義と表示」に規定されものであり、Rzは「十点平均粗さ」、Raは「算術平均粗さ」である。基準長さは0.8mmで行った。結果を表6に示す。
【0033】
<ヘーズ値の評価>
ヘーズ値とはJIS K 7105−1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に規定され、透明性の評価指標である。値が小さいほど透明性が高い。実施例、比較例で製造した前記表面処理銅箔のM面にフィルムを貼り付けた後に貼り付けた銅箔をエッチング除去し、エッチング除去したフィルム面をヘーズメーターを用いて測定した。測定結果を表6に併記した。
【0034】
<引張強さ、伸び特性の評価>
各実施例及び各比較例で製造した前記表面処理銅箔の常態及び窒素雰囲気中300℃で1時間加熱処理後の引張強さ、伸び特性を引張試験機を用いて測定した。結果を表7に示す。
【0035】
<表面突起物の評価>
各実施例及び各比較例で製造した未処理銅箔について50μm×50μmの範囲を、顕微鏡で拡大観察し、大きさが平均直径2μm以上の銅の突起物の数を目視にて計数した。計数は銅箔表面をランダムに20点とり行った。結果を表8に示す。
【0036】
<エッチング特性の評価>
各実施例及び各比較例で製造した未処理銅箔についてエッチング特性の評価を行った。評価方法はM面にL/S(Line and Space)=10μm/10μm、L/S=30μm/30μm、L/S=50μm/50μmにてマスキングしたサンプルに塩化銅溶液にて一定時間のエッチングを行い回路パターンの直線性を評価した。結果を表9に示す。
【0037】
【表2】


【0038】
【表3】


【0039】
【表4】


【0040】
【表5】


【0041】
【表6】


【0042】
【表7】


【0043】
【表8】


【0044】
【表9】


【0045】
上記表面粗さ及びヘーズ値の評価において実施例1〜16はM面のRz、Ra、ヘーズ値がそれぞれ1.0μm以下、0.20μm以下、30以下となっている。これに対して比較例1〜18は実施例1〜16と比較してM面のRz、Ra、ヘーズ値が大きくRa、ヘーズ値がそれぞれ0.20μm以上、30以上となっている。また、比較例においてはM面のRzが実施例と同等でもRa及びヘーズ値は大幅に大きくなっている。よって、実施例は比較例に対してM面の粗さが小さいだけでなく表面の大きな凹凸が少なくなっていると考えられる。
【0046】
上記引張強さ、伸び特性の評価において実施例1〜16及び比較例1〜14が常態で引張強さが300〜330N/mm2、窒素中300℃、1時間加熱処理後で230〜250N/mm2なのに対して、比較例15〜18が常態で引張強さが550〜570N/mm2、窒素中300℃、1時間加熱処理後で170〜180N/mm2である。フィルムを貼り付けてプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルムとして使用する場合、熱軟化が激しいと箔を設置させる時に伸び・シワ等の不具合が発生しやすくなるため、ある程度の引張強さを維持した銅箔の方が好ましい。よって、実施例1〜16はプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム用銅箔として使用するのに適している。
【0047】
表面突起物の評価において実施例1〜16は50μm×50μmの範囲における大きさが平均直径2μm以上の銅の突起物の数は全て2個以下であった。これに対して比較例1〜18は50μm×50μmの範囲における大きさが平均直径2μm以上の銅の突起物の数は3個以上であった。よって、実施例は比較例に対して表面の突起物が少なく平滑性に優れていると考えられる。
【0048】
エッチング特性の評価において実施例1〜16はL/S=10μm/10μm、L/S=30μm/30μm、L/S=50μm/50μすべてにおいて回路パターンは良好な直線性を示した。それに対して比較例1〜14はL/S=10μm/10μmの回路パターンは良い直線性が得られなかった。さらに、比較例15〜18はL/S=10μm/10μm、L/S=30μm/30μmの回路パターンは良い直線性が得られなかった。よって、実施例は比較例に対してエッチング特性に優れていると考えられる。
【0049】
本発明によればM面の粗さがRz:1.0μm以下、Ra:0.2μm以下とした、平滑な表面処理電解銅箔を提供することができる。よって、本発明表面処理電解銅箔はM面のRz,Raが小さく表面の凹凸が少ないので、M面を使用した回路基板(プリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム)用銅箔として優れた視認性を有し、ファインパターン回路を構成することができる。
また、本発明の銅箔製造方法によれば、M面の粗さが平滑で、ドラムを長時間使用することができ、したがって、生産性が向上し、品質が長く維持される製造方法を提供でき、コストが抑えられ電解銅箔を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】591056710
【氏名又は名称】古河サーキットフォイル株式会社
【出願日】 平成19年5月18日(2007.5.18)
【代理人】 【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久


【公開番号】 特開2008−13847(P2008−13847A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−132577(P2007−132577)