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【発明の名称】 めっき方法
【発明者】 【氏名】加藤 雅也

【氏名】良波 睦男

【氏名】河内 康徳

【氏名】鶴田 守

【要約】 【課題】めっきシード層の抵抗が比較的高い場合であっても均一な膜厚にめっきを施すことができ、製品の形成精度を向上させ、製品の製造歩留まりを向上させる。

【構成】基板10上にめっきを形成する方法において、抵抗体からなる基板10上に、該基板10への導通部16aを有する絶縁層60を形成し、該絶縁層60上に、前記導通部16aを介して前記基板10と電気的に導通するめっきシード層12を形成し、該めっきシード層12を給電層として該めっきシード層12上にめっき膜13を形成することを特徴とするめっき方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にめっきを形成する方法において、
抵抗体からなる基板上に、該基板への導通部を有する絶縁層を形成し、
該絶縁層上に、前記導通部を介して前記基板と電気的に導通するめっきシード層を形成し、
該めっきシード層を給電層として該めっきシード層上にめっき膜を形成することを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
前記基板上に導体層をパターン形成し、該導体パターン上に選択的に前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項1記載のめっき方法。
【請求項3】
陰極のめっき接点が、前記基板の裏面に接触してめっきが施されることを特徴とする請求項1記載のめっき方法。
【請求項4】
前記導通部が、前記ワークに形成される製品の単位形成領域ごとに形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のめっき方法。
【請求項5】
基板上にめっきを形成する方法において、
表面に抵抗体層が形成された絶縁性基板上に、該抵抗体層への導通部を有する絶縁層を形成し、
該絶縁層上に、前記導通部を介して前記抵抗体層と電気的に導通するめっきシード層を形成し、
該めっきシード層を給電層として該めっきシード層上にめっき膜を形成することを特徴とするめっき方法。
【請求項6】
陰極のめっき接点が、前記抵抗体層の裏面に接触してめっきが施されることを特徴とする請求項5記載のめっき方法。
【請求項7】
前記導通部が、前記ワークに形成される製品の単位形成領域ごとに形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載のめっき方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はめっき方法に関し、より詳細には磁気ヘッド等の製造工程においてめっきシード層を用いてめっきを施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドは、セラミック基板(Al2O3-TiOアルチック基板)からなるワークの表面に、磁性層や絶縁層をパターニングしながら積層するようにして形成される。磁性層等の成膜方法としては電解めっきやスパッタリング等の方法が利用され、とくに磁性層などの導体層をパターン形成する際には電解めっき法がよく利用される。電解めっき法は磁気ヘッドの製造に限らず、樹脂基板等の配線基板の製造工程において配線パターンを形成するといった場合にも広く利用されている。
【0003】
電解めっきにより磁性層や銅層などの導体層を形成する際に、ワークの表面に、あらかじめめっきシード層を形成しておき、めっきシード層を給電層として、めっきシード層の表面に磁性層や銅層を形成する方法がある。
図6は、基板10の表面にめっきシード層12を設け、電解めっきによってワーク20の表面にめっきを施す場合のめっき方法の概略図を示す。すなわち、電解めっき液が貯留されている電解槽中にワーク20を浸漬し、ワーク20の表面に形成されているめっきシード層12に陰極30のめっき接点を接触させ、ワーク20に対向して配置された陽極40と陰極30との間に電界を印加してめっきする。
【特許文献1】特開昭59−23892号公報
【特許文献2】特開2005−171307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、磁気ヘッドや配線基板は、磁性層や導体層の層間に絶縁層を介在させ、磁性層や導体層を層間で電気的に絶縁して積層することによって形成される。したがって、めっきシード層は、普通は基板に対して電気的に絶縁されている。図6は、基板10とめっきシード層12との中間に絶縁層14が形成された状態を説明的に示したものである。
めっきシード層12を用いて電解めっきを施す場合に、めっきシード層12の電気抵抗が小さい場合にはさほど問題にならないのであるが、たとえば、めっきシード層12を鉄やコバルトなどの磁性材によって形成する場合のように、めっきシード層12のシート抵抗が大きくなってきた場合には、めっきシード層12自体に電位差が生じ、ワーク20の表面におけるめっき膜厚の分布が不均一になるという問題が生じる。
【0005】
図6は、めっきシード層12の表面での電位がばらついてワーク20の表面のうち陰極30のめっき接点30aに近い側でめっき膜厚が厚くなり、めっき接点30aから離れたワーク20の中央部でめっき膜厚が薄くなった状態を示す。このようなめっきシード層12の表面のめっき膜厚のばらつきは、製品精度を低下させ、製造歩留まりを低下させるという問題につながり、磁気ヘッドのような高精度が求められる製品の製造においては重要な問題となる。
【0006】
また、図6に示すように、従来は、陰極30のめっき接点をワーク20の表面に形成しためっきシード層12に接触させてめっきシード層12と陰極30とを電気的に導通させているから、ワーク20の表面、たとえばワーク20の周縁部にめっき接点を当接させる領域を確保しておく必要があり、このためにワーク20製品の製造に使える実効面積が狭くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたものであり。めっきシード層を用いるめっき方法において、めっきシード層の抵抗が比較的高い場合であっても均一な膜厚にめっきを施すことができ、これによって製品の形成精度を向上させることができるとともに、製品の製造歩留まりを向上させ、ワークの利用面積を拡大することができるめっき方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を備える。
すなわち、基板上にめっきを形成する方法において、抵抗体からなる基板上に、該基板への導通部を有する絶縁層を形成し、該絶縁層上に、前記導通部を介して前記基板と電気的に導通するめっきシード層を形成し、該めっきシード層を給電層として該めっきシード層上にめっき膜を形成することを特徴とする。
【0009】
また、前記基板上に導体層をパターン形成し、該導体パターン上に選択的に前記絶縁層を形成してめっきすることもできる。
また、陰極のめっき接点が、前記基板の裏面に接触してめっきが施されることにより、ワークの全領域を製品を形成する領域として利用することができる。
また、前記導通部が、前記ワークに形成される製品の単位形成領域ごとに形成されていることにより、めっき時における前記めっきシード層の電位のばらつきを抑えて、めっき膜厚を均一形成することができる。なお、単位形成領域ごとに形成するとは、一つの単位形成領域に一つもしくは複数の導通部を形成する場合と、複数の単位形成領域ごとに一つまたは複数の導通部を形成する場合を含む意味である。
【0010】
また、基板上にめっきを形成する方法において、表面に抵抗体層が形成された絶縁性基板上に、該抵抗体層への導通部を有する絶縁層を形成し、該絶縁層上に、前記導通部を介して前記抵抗体層と電気的に導通するめっきシード層を形成し、該めっきシード層を給電層として該めっきシード層上にめっき膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るめっき方法によれば、めっきシード層の比抵抗が比較的大きい場合でも導通部を介してめっきシード層と抵抗体からなる基板とが電気的に導通すること、あるいは基板の表面に設けた抵抗体層とめっきシード層とが導通部を介して電気的に導通することによって、めっきシード層の電位のばらつきを抑制でき、めっき膜厚を均一にすることができる。これによって、基板上で導体部等を高精度に形成することができ、製品の製造歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るめっき方法の実施の形態について、添付図面にしたがって詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すめっき方法は、図6に示す従来のめっき方法と装置構成については同一である。すなわち、基板10の表面に設けためっきシード層12に接触させるめっき接点30aを備えた陰極30と、ワーク22に対向して配置する陽極40と、電源50とを備える。
【0013】
本実施形態のめっき方法において特徴的な構成は、基板10におけるめっきシード層12の構成である。すなわち、図6に示す従来のめっき方法では、ワーク20に形成するめっきシード層12は、ワーク20の基板10に対しては電気的に絶縁された状態に形成されているのに対して、本実施形態では、基板10に対して積極的にめっきシード層12を電気的に導通させた状態とする。
図1は、ワーク22の概略構成を示すもので、基板10の面内にめっきシード層12と基板10とを電気的に導通させる導通部16を均等に分布させるように形成し、これらの導通部16と電気的に導通させてめっきシード層12を設けたことを示す。
【0014】
このように、導通部16を介してめっきシード層12を電気的に接続すること、あわせて基板10を比較的抵抗が低い抵抗体から形成することにより、めっきシード層12が基板10および導通部16を介して電気的に導通された状態になるから、めっきシード層12にめっき接点30aを接触させて電解めっきする場合にめっきシード層12の全体が均一の電位となって、めっきシード層12の表面に形成されるめっきの膜厚を均一にすることができる。
【0015】
すなわち、本実施形態におけるめっき方法は、基板10および導通部16を介してめっきシード層12を陰極30と電気的に接続することにより、めっきシード層12のシート抵抗を実質的に小さくすることができ、めっき時におけるめっきシード層12の面内の電位のばらつきを低減し、めっき膜厚のばらつきを小さくするものである。
【0016】
本実施形態では基板10と導通部16を介してめっきシード層12を電気的に導通させるから、基板10は導電体である必要がある。ただし、基板10はめっきによって形成する導体層の厚さにくらべてはるかに厚いから、基板10としてはある程度の導電性を有するものであればよい。たとえば、磁気ヘッドの製造に用いられるアルチック基板の体積抵抗は3×10−3(Ω・cm)程度であり、導通部16を介してめっきシード層12と導通をとって電解めっきを施すことができる。
【0017】
また、基板10に導通部16を形成する際には、基板10の基板面内で適宜位置に導通部16を形成すればよい。磁気ヘッドや電子部品を製造する際には、ふつう、一つのワークに多数個の製品をつくり込んで製造するから、これらの製品の単位形成領域の配置に合わせて、製品に影響を与えない領域に導通部16を形成することは容易である。
図2は、基板10に磁気ヘッドを作り込む場合の例を説明的に示したものである。基板10には磁気ヘッドが形成される素子領域Aが縦横に整列して形成されており、隣接する素子領域間は、基板10をダイシングして個片のスライダーとする切断領域となっている。したがって、この切断領域に導通部16を形成することによって、製品に影響をあたえずに導通部16を形成することができる。
【0018】
このように多数個の製品を作り込む場合には、各々の素子領域ごとに一つの導通部16を配置することもできるし、複数個の製品領域ごとに一つの導通部16を配置することもできる。めっきシード層12として比抵抗の大きな磁性層を使用するような場合を考慮すると、一つの素子領域ごとに導通部16を形成するといったように、より高密度に形成するのがよい。
【0019】
図3は、基板10に導通部16を形成しながら導体層を積層して形成する例を示す。
図3(a)は、基板10に第1層目の磁性層11を所定パターンに形成した状態を示す。図中で破線部分Dは、後工程で基板10を切断する切断領域を示す。磁性層11をパターニングする際に、この切断領域Dに位置合わせして導通部16aをパターン形成する。導通部16aは磁性層からなり、基板10と電気的に接続された状態にある。
【0020】
図3(b)は、次の工程でワークの表面に絶縁層60を形成した状態を示す。絶縁層60を形成する際には、導通部16aを絶縁層60によって被覆しないように、導通部16aをレジスト等によって保護して成膜する。
図3(c)は、ワークの表面にめっきシード層12を形成した状態を示す。めっきシード層12はスパッタリング等のドライプロセスや無電解銅めっき等のウェットプロセスによって形成される。導通部16aの表面は絶縁層60から露出しているから、めっきシード層12は基板10上に形成されたすべての導通部16aと電気的に導通する。
【0021】
図3(d)は、めっきシード層12をめっき給電層として第2層目の磁性層13をパターン形成した状態を示す。第2層目の磁性層13をパターン形成する際に、導通部16aに位置合わせして2層目の導通部16bを形成する。こうして、導通部16a、16bにより基板10と電気的に導通する導通部16が形成される。
【0022】
図3(e)は、さらに次の工程で、ワークの表面に絶縁層62を形成し、絶縁層62の表面を研磨して、第2層目の磁性層13と導通部16bの表面を絶縁層62の表面に露出させた状態を示す。磁気ヘッドの製造工程では、ワークの表面を絶縁層によって被覆した後、ワーク表面を研磨するといった加工がなされる。このような研磨加工によって導通部16の表面を露出させるようにしてめっきシード層と導通部16とを電気的に接続したり、導通部16と次層の磁性層(導体層)とを電気的に接続するように形成することができる。
【0023】
磁気ヘッドなどの製造工程においては、磁性層や導体層、絶縁層がきわめて複雑な構造として形成される。図3は説明的に簡素化された構成を示したものである。導体層や絶縁層を複雑に積層して形成する場合でも、基本的な製造方法は図3に示す工程と同様であり、層間での電気的接続を考慮しながら導通部16を形成することによって、任意の層において、基板とめっきシード層とを導通部を介して電気的に接続するようにすることができる。
また、上述した導通部16を形成する方法は、磁気ヘッドの製造工程に限らず、一般的な電子部品に使用される多層配線基板の製造工程等においても同様に適用することができる。
【0024】
このように、基板10上に絶縁層、磁性層あるいは導体層を積層して形成する際に、導通部16と基板10とを電気的に導通させることにより、導通部16と基板10とを介してめっきシード層の電位のばらつきを効果的に抑えることが可能となり、めっき膜厚のばらつきを抑えることが可能となる。これによって、所要のパターンを高精度に形成することを可能とし製品の品質を向上させることができるとともに、ワーク内における製品のばらつきを抑えることができることから、製品の歩留まりを向上させることができる。
図3に示すように、導通部16をワークを切断する切断領域に設けるようにすれば、出来上がり製品に悪影響を及ぼすことがない。また、従来の基板10上における素子領域の配置ルールを変えずに製造できるという利点がある。
【0025】
上記実施形態では、めっきシード層12の電位のばらつきを抑えるために、基板10がある程度低抵抗の抵抗体からなることを前提としている。基板10が完全な絶縁体からなる場合は、図4に示すように、基板10の表面に抵抗体層として抵抗膜18を被着形成し、この抵抗膜18に導通部16を電気的に導通させて形成する方法が有効である。
この場合には、導通部16を介してめっきシード層12と抵抗膜18とが電気的に導通することにより、電解めっきを施した際に、めっきシード層12に電位のばらつきが生じることを防止してめっきすることができる。
なお、基板10の表面に抵抗膜18を形成する場合は、製品の特性等に影響を及ぼさない範囲で行うことになる。
【0026】
(第2の実施の形態)
図5は本発明に係るめっき方法についての第2の実施の形態の構成を示す。陰極側に配置するワークの構成として、基板10とめっきシード層12とを基板10の面内に形成した導通部16を介して電気的に導通させた構成とすることは第1の実施の形態と同様である。なお、基板10は導電性を備えた抵抗体として形成されているとする。
本実施の形態において特徴的な構成は、めっきシード層12に電気的に接続する陰極のめっき接点32を基板10の裏面に接触させてめっきするように構成した点にある。
【0027】
従来のめっき装置においては、図1に示すように、陰極30のめっき接点30aはめっきシード層12が形成された面内において、めっきシード層12に直接接触させることによってめっきシード層12を陰極電位としている。これに対して、本実施形態のように基板10の裏面にめっき接点32を配置した場合は、基板の全面を製品を形成する領域に利用することができ、同一寸法の基板であっても基板の利用面積を拡大することが可能になる。
【0028】
なお、本実施形態のように基板10の裏面にめっき接点32を配置してめっきを行うことが可能であるのは、基板10が導電性を備えることと、導通部16を介して基板10とめっきシード層12とが電気的に導通されていることによる。従来のように、基板10に対してめっきシード層12が電気的に絶縁されている場合には本実施形態のような電気的導通は不可能である。また、本実施形態においては、基板10とめっきシード層12とを電気的に接続する導通部16が基板10の面内で均等的に配置することにより、電解めっきの際にめっきシード層12の電位の分布がばらつくことを防止し、めっき膜厚を均一にすることができるという利点もある。
【0029】
本発明方法は、めっきシード層を用いてめっきを施す際に利用できる方法であり、ワークに施すめっきの種類が限定されるものではない。銅めっきにより配線パターンを形成する場合、磁性めっきにより磁性層を形成する場合、端子部分にニッケルあるいは金めっき等の保護めっきを施す等の場合に利用できる。また、ワークの形状も円板状の基板に限らず矩形の配線基板等にも適用でき、セラミック基板の他に半導体ウエハ基板、樹脂基板等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施の形態におけるめっき方法の概略図である。
【図2】基板に導通部を形成した状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係るめっき方法によって、基板にめっきを施す工程を示す説明図である。
【図4】めっき方法の他の例を示す概略図である。
【図5】第2の実施の形態におけるめっき方法の概略図である。
【図6】従来のめっき方法の概略図である。
【符号の説明】
【0031】
10 基板
11、13 磁性層
12 めっきシード層
14 絶縁層
16、16a、16b 導通部
18 抵抗膜
20、22 ワーク
30 陰極
30a、32 めっき接点
40 陽極
60、62 絶縁層
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫

【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春


【公開番号】 特開2008−7830(P2008−7830A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181010(P2006−181010)