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【発明の名称】 搬送装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置
【発明者】 【氏名】齋藤 浩一

【要約】 【課題】帯状のフィルムを一定方向に搬送する際に、めっき槽や洗浄槽の液中ローラとフィルムとのスリップを抑制し、フィルム表面に傷が発生することを抑制する装置の提供。

【構成】めっき槽や洗浄槽に液中ローラ62Aが設けられる。液中ローラ62Aは、固定支持された軸体152と、軸体152が挿通される円筒体154と、円筒体154の両端部を塞ぐ側面体156とを備えている。側面体156は、軸受158を介して軸体152に支持されており、円筒体154には感光ウエブが巻き掛けられている。円筒体154の両端部には複数の開孔160が設けられ、円筒体154の感光ウエブと接触する周面には、スパイラル状の溝162が形成されている。この液中ローラ62Aを備えためっき槽や洗浄槽からなる被膜付きフィルムの製造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムを一定方向に搬送する搬送装置であって、
液槽内の液中で、一定方向に搬送される前記フィルムと接触して送る液中ローラを備え、
前記液中ローラは、前記フィルムと接触する円筒体と、前記円筒体の両端部を塞ぐ側面体と、前記側面体を軸受を介して支持する軸体と、を有して構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記円筒体の両端部に複数の開孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記フィルムと接触する前記円筒体の周面に、スパイラル状の溝が形成されていることを特徴する請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記軸体は前記円筒体を貫通していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記軸受は、樹脂製の転がり軸受、又は滑り軸受であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記液中ローラに巻き掛けられる前記フィルムの張力は、5N/m以上、200N/m以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
帯状のフィルムの導電面をカソード給電ローラに接触させ、前記導電面に電解めっき浴よりめっき被膜を形成する電解めっき浴槽と、
前記電解めっき浴槽の下流側で前記フィルムを洗浄する洗浄槽と、
前記電解めっき浴槽又は前記洗浄槽に請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の搬送装置と、
を有することを特徴とするめっき被膜付きフィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状長尺のフィルムを一定方向に搬送する搬送装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置に係り、特に、フィルムを搬送しながらフィルム導電面にめっき被膜を形成する電解めっき浴槽や、フィルムを洗浄する洗浄液槽などの液槽内に液中ローラを備えた搬送装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状長尺のフィルムに連続的にめっきを行う際には、フィルムを低張力で一定方向に搬送しながら連続的にめっき浴槽を通過させる。
【0003】
このような装置では、めっき浴槽内に配置される液中ローラを外部から力を加えて回転させ、フィルムと液中ローラとのスリップを抑制することが行われている。例えば、特許文献1に記載の装置では、処理浴槽内の液中ローラのフィルムに接触しない部分に羽根を設け、この羽根に液を吹き当てて、液中ローラを回転させている。しかし、羽根に液を吹き当てる構成では、液中ローラの回転速度をフィルムの搬送速度に同期させることは非常に困難であり、また任意の搬送速度への変更に対応することはほとんど無理である。このため、フィルムと液中ローラとのスリップを抑えることができず、フィルム表面に擦り傷が発生してしまう。
【0004】
また、特許文献2に記載の装置では、めっき浴槽の外部に設けた駆動装置と液中ローラの軸部とをチェーンで動作結合して液中ローラを回転させている。この装置では、チェーンはめっき浴槽内の処理液中と空中とを往復移動するため、チェーンに付着した処理液は、チェーンを回転させる空中の回転駆動部品類に転写付着し、水分が蒸発して析出物が発生する。このため、駆動装置の動きが安定しなくなると共に、駆動装置の腐食が進み、フィルム(被めっき製品)に析出物が付着したり、また、フィルム表面に傷を発生させる大きな要因となる。
【特許文献1】特開平10−147897号公報
【特許文献2】特開2000−64089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低張力でフィルムを搬送させてもフィルム表面に傷が発生することを抑制できる搬送装置及びめっき被膜付きフィルムの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る搬送装置は、帯状のフィルムを一定方向に搬送する搬送装置であって、液槽内の液中で、一定方向に搬送される前記フィルムと接触して送る液中ローラを備え、前記液中ローラは、前記フィルムと接触する円筒体と、前記円筒体の両端部を塞ぐ側面体と、前記側面体を軸受を介して支持する軸体と、を有して構成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、液槽内の液中に設けられた液中ローラは、フィルムと接触する円筒体の両端部が側面体で塞がれ、側面体が軸受を介して軸体に支持されている。一定方向に搬送されるフィルムが円筒体に接触すると、円筒体は、軸体に軸受を介して支持された側面体の回転により、フィルムの搬送方向に回転する。円筒体とすることで、重量を軽量化してより少ない力で回転させることができ、低張力でフィルムを搬送させても液中ローラが安定して回転する。これによって、液中ローラの回転速度をフィルムの搬送速度に同期させることが可能となり、フィルムと円筒体とのスリップが抑制され、フィルム表面の傷の発生が抑制される。また、液中ローラの回転速度を任意の搬送速度に変更することが可能であり、搬送速度を変更してもフィルムと円筒体とのスリップが抑制される。また、液中ローラを外部の駆動装置と接続しないので、駆動装置に液が付着して析出物が固着することがなく、液中ローラの回転を安定化させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送装置において、前記円筒体の両端部に複数の開孔が設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、円筒体の両端部に複数の開孔が設けられており、液槽内に液中ローラを浸漬したとき、液中ローラの内部の空気が開孔から液槽内に排出され、液中ローラの内部の空気が液槽内の液で置換される。これにより、軸受の隙間から液槽内の液が液中ローラの内部に浸入し、空気層と液層とができて液中ローラの回転が不安定になることが抑制される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の搬送装置において、前記フィルムと接触する前記円筒体の周面に、スパイラル状の溝が形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、フィルムと接触する円筒体の周面にスパイラル状の溝が形成されているので、フィルムの搬送時に表面に同伴された(付着した)液をスパイラル状の溝に沿って円筒体の脇に逃がす流れができ、フィルムと円筒体とが接触する溝の肩部でフィルムの保持力が発生する。これにより、フィルムと液中ローラとのスリップがよりいっそう抑制され、フィルム表面の擦り傷の発生が抑制される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の搬送装置において、前記軸体は前記円筒体を貫通していることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、軸体は円筒体を貫通しており、軸体に軸受を介して側面体が支持されている。これによって、液中ローラの構成を簡略化し、コストを低減できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の搬送装置において、前記軸受は、樹脂製の転がり軸受、又は滑り軸受であることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、軸受が樹脂製の転がり軸受、又は滑り軸受であり、軸体に軸受を介して支持された側面体及び円筒体をスムーズに回転させることが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の搬送装置において、前記フィルムの引っ張り張力は、5N/m以上、200N/m以下であることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、フィルムの引っ張り張力が、5N/m以上、200N/m以下であるので、フィルムを安定して搬送することが可能となる。フィルムの引っ張り張力が5N/m未満であると、フィルムが蛇行し始め、搬送経路の制御がうまくいかなくなる。また、フィルムの引っ張り張力が200N/mを超えると、フィルムに形成されるめっき被膜などが内部歪みを持つために、製品にカールや折れシワが発生してしまう。
【0018】
請求項7に記載の発明に係るめっき被膜付きフィルムの製造装置は、帯状のフィルムの導電面をカソード給電ローラに接触させ、前記導電面に電解めっき浴よりめっき被膜を形成する電解めっき浴槽と、前記電解めっき浴槽の下流側で前記フィルムを洗浄する洗浄槽と、前記電解めっき浴槽又は前記洗浄槽に請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の搬送装置と、を有することを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、電解めっき浴槽又は洗浄槽に請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の搬送装置が設けられているので、電解めっき浴槽又は洗浄槽の液中に設けられた液中ローラの回転速度をフィルムの搬送速度に同期させることが可能となる。このため、フィルムと円筒体とのスリップが抑制され、フィルム表面の傷の発生が抑制される。また、液中ローラの回転速度を任意の搬送速度に変更することが可能であり、搬送速度を変更してもフィルムと円筒体とのスリップが抑制される。また、液中ローラを外部の駆動装置と接続しないので、駆動装置にめっき液などが付着して析出物が固着することがなく、液中ローラの回転を安定化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記のように構成したので、帯状のフィルムを低張力で搬送しても、液槽内の液中ローラの回転を安定化させ、液中ローラとフィルムとのスリップを抑制することができ、フィルム表面の傷の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄装置200Aが搭載されためっき被膜付きフィルムの製造装置10を示す概略構成図である。
【0023】
このめっき被膜付きフィルムの製造装置10は、図1に示すように、露光装置12、現像装置14、電解めっき装置16、後処理装置17及び巻取装置19から構成されている。
【0024】
まず、露光装置12について説明する。露光装置12は、被めっき素材として、銀塩含有層が設けられた帯状の長尺幅広フィルムからなる光透過性感光ウエブ18を搬送しながら、所望の細線状パターン(例えば、格子状、ハニカム状などのパターン)露光を行う装置である。このパターン露光により、感光ウエブ18の銀塩含有層の露光部にはパターン化された細線状の金属銀部が形成される。
【0025】
露光装置12には、光透過性感光ウエブ18の搬送路に沿って複数の搬送ローラ対20が設けられており、これらの搬送ローラ対20は、駆動ローラとニップローラとから構成される。
【0026】
露光装置12には、搬送方向の最上流部に供給部が設けられている。供給部には、ローラ状に巻かれた長尺幅広の光透過性感光ウエブ18を収納するマガジン22がセットされる。光透過性感光ウエブ18には、光透過性感光ウエブ18を引き出して下流側に向けて搬送するための引出ローラ22Aが設けられている。
【0027】
そして、供給部からの搬送方向下流側は、露光ユニット24が設けられている。この露光ユニット24により、光透過性感光ウエブ18に露光が行われる。露光ユニット24は、フォトマスクを利用した連続面露光ユニットであってもよく、レーザービームによる走査露光ユニットあってもよい。この走査露光ユニットとしては、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく適用することができる。また走査露光ユニットとしては、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等を用いた走査露光方式も適用することができる。
【0028】
また、走査露光ユニットをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を適用することがよい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、半導体レーザーを適用することがよい。
【0029】
走査露光ユニットのレーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく適用でききる。
【0030】
なお、露光装置12は、上記構成に限られず、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の露光装置を適用することができる。
【0031】
次に、現像装置14について説明する。現像装置14は、露光装置12の搬送方向の下流側に配置され、所望の細線状パターン露光が施された光透過性感光ウエブ18を現像・定着・洗浄を行う装置である。
【0032】
現像装置14には、搬送方向の上流側から順に、現像槽26、漂白定着槽28、及び水洗槽30が設けられており、水洗槽30は、第1水洗槽30A、第2水洗槽30B、第3水洗槽30C、及び第4水洗槽30Dからなる。現像槽26には、例えば、現像液26Lが所定量貯蔵され、漂白定着槽28には、漂白定着液28Lが所定量貯蔵され、第1水洗槽30A〜第4水洗槽30Dには、洗浄液30Lが所定量貯蔵されている。各処理槽26〜30内のローラとガイドによって感光ウエブ18が各処理槽26〜30の液内を搬送されることで、現像・定着・洗浄の各処理が行われるようになっている。また、現像槽26の最上流側には、駆動ローラ32Aと従動ローラ32Bとを備えた搬入ローラ対32が配置されており、この搬入ローラ対32は、露光装置12から搬出される感光ウエブ18を現像液26L内に案内している。
【0033】
ここで、現像・定着・洗浄の各処理は、銀塩写真フィルム、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理技術を適用することができる。現像液26L、漂白定着液28L、洗浄液30Lもこれらに準じて適宜適用することができる。例えば、現像液26Lとしては、特に限定しないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液、また、D−85などのリス現像液を用いることができる。なお、定着処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる。
【0034】
また、現像液26Lには、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合特に、ポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
【0035】
なお、現像装置14では、各処理槽26〜30の液内を通過した感光ウエブ18は、乾燥させず現像装置14から排出されるようになっている。
【0036】
次に、電解めっき装置16について説明する。電解めっき装置16は、露光・現像を施され、細線状の金属銀部が形成された感光ウエブ18に対し、電解めっき処理を施し、当該金属銀部に導電性微粒子を担持させめっき(導電性金属部)を形成する装置である。
【0037】
電解めっき装置16には、感光ウエブ18の搬送方向上流側に、水洗槽30を通過した後の感光ウエブ18の水分を除去する水分除去装置40Aが配設されている。水分除去装置40Aには、感光ウエブ18の両側にエアーナイフ装置42、44が配置されており、感光ウエブ18の両側からエアーナイフを吹き付けることで、感光ウエブ18に付着した水分を除去する。
【0038】
図2に示すように、水分除去装置40Aを通過した感光ウエブ18は、支持ローラ46と支持ローラ48によって案内され、感光ウエブ18の金属銀部に接触しながら給電を行うカソード給電ローラ50Aに搬送される。感光ウエブ18を挟んでカソード給電ローラ50Aと対向する位置には、感光ウエブ18の金属銀部をカソード給電ローラ50Aに押圧して接触させる弾性ローラ52Aが配設されている。この弾性ローラ52Aは、回転可能に支持された芯金の外周面にゴムなどからなる弾性体層を備えるものである。弾性体層としてウレタンゴムなどが用いられる。弾性ローラ52Aを押圧することで、感光ウエブ18とカソード給電ローラ50Aとを密着させることができる。
【0039】
カソード給電ローラ50Aより感光ウエブ18の搬送方向下流側には、めっき液61で満たされためっき槽60Aが配置されている。めっき槽60Aのめっき液61中には液中ローラ62Aが設けられており、液中ローラ62Aの周面に感光ウエブ18が巻き掛けられている。この工程では、カソード給電ローラ50Aに接触させた感光ウエブ18の金属銀部をめっき槽60Aのめっき液61中で液中ローラ62Aにより搬送する。銅ボールを積層充填したケース64Aをアノード電極にして、カソード電極をカソード給電ローラ50Aとして、直流電源(整流器)66Aにより給電し、感光ウエブ18に層状のめっき被膜を形成する。本実施形態では、直流電源66Aにより、カソード給電ローラ50Aからアノード電極であるケース64Aへ給電し、感光ウエブ18に、0.2〜10A/dm2の電流密度となるようにしてめっき被膜を形成する。
【0040】
ここで、電解めっき処理として、例えば、プリント配線板などで用いられている電解めっき技術を適用することができ、電解めっきは電解銅めっきであることが好ましい。本実施形態では、めっき液61として、電解銅めっき浴液が適用されている。電解銅めっき浴としては、硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、ホウフッ化銅浴等が挙げられる。電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、めっき液の安定性、導電性を高め、均一電着性の増加を図る硫酸、アノードの溶解促進及び添加剤の補助効果作用の塩素、浴の安定化やめっき緻密性を向上させるための添加剤としてポリエチレンオキサイド、ビピリジン等が挙げられる。
【0041】
なお、めっき槽60Aの下部には循環パイプ(図示省略)が連結されており、めっき槽60A内のめっき液61が循環パイプに供給され、フィルター(図示省略)を通すことでめっき液61中の異物が除去され、めっき槽60A内に戻される構成となっている。
【0042】
図2に示すように、めっき槽60Aより感光ウエブ18の搬送方向下流側には、感光ウエブ18を洗浄する洗浄水71で満たされた洗浄槽70Aが配設されている。めっき槽60Aの上部と洗浄槽70Aの上方には、感光ウエブ18を空中搬送する2つのローラ74、76が略水平に設けられている。ローラ74、76は、感光ウエブ18の移動に伴って従動回転する。また、洗浄槽70A内の洗浄水71中には液中ローラ72Aが設けられており、液中ローラ72Aの周面に感光ウエブ18が巻き掛けられている。これにより、感光ウエブ18は、めっき槽60Aのめっき液61内を通過した後、2つのローラ74、76によって案内され、洗浄槽70Aの洗浄水71内に搬送される。洗浄槽70Aを通過した感光ウエブ18は、液中ローラ72Aと上部に配置された支持ローラ80に案内されて搬送される。
【0043】
また、めっき槽60Aの上部であってローラ74より搬送方向上流側には、感光ウエブ18の表裏に圧接される1対の液絞りローラ82が配設されている。また、洗浄槽70Aの上部であって支持ローラ80より搬送方向上流側には、感光ウエブ18の表裏に圧接される1対の液絞りローラ84が配設されている。液絞りローラ82、84は、感光ウエブ18の移動に伴って従動回転する。液絞りローラ82の周面はめっき液61と接触し、液絞りローラ84の周面は洗浄水71と接触しており、液絞りローラ82、84は常に濡れた状態で使用される。
【0044】
ローラ74とローラ76の下部には、ローラ74、76をそれぞれ洗浄する洗浄装置200A、202Aが設けられている。洗浄装置200A、202Aは、洗浄水205で満たされた樋状の洗浄液受け槽204を備えており、ローラ74、76の下部が洗浄水205に浸漬されている。洗浄液受け槽204の側部のオーバーフロー堰206で洗浄水205をオーバーフローさせることで、洗浄水205の量を一定に保っている。洗浄液受け槽204からオーバーフローした洗浄水205は排出管210を通って排出される。洗浄液受け槽204には、洗浄水205を供給する供給管216が接続されている。洗浄液受け槽204の上方部には、洗浄水管理槽220が配設されており、洗浄水管理槽220内の洗浄水205が複数の供給管216に分岐されて各洗浄液受け槽204に供給される。
【0045】
上記構成の電解めっき装置16では、まず、帯状長尺幅広の感光ウエブ18が矢印方向に搬送され、エアーナイフ装置42、44によって感光ウエブ18に付着した水分が除去される。その後、カソード給電ローラ50Aと弾性ローラ52Aとのニップ部で感光ウエブ18の金属銀部をカソード給電ローラ50Aに接触させた後、めっき槽60Aに搬送する。その際、銅ボールを積層、充填したケース64Aをアノード電極とし、カソード給電ローラ50Aをカソード電極として、直流電源66Aにより給電し、感光ウエブ18の金属銀部の電解めっきにより銅めっき被膜を形成する。さらに、感光ウエブ18は、めっき槽60Aを通過した後、ローラ74、76によって案内されて洗浄槽70Aに搬送され、感光ウエブ18に付着しためっき液が洗浄水71によって洗浄される。
【0046】
図示を省略するが、電解めっき装置16では、水分除去装置40Aと、カソード給電ローラ50Aと、めっき槽60Aと、洗浄槽70Aとを備えたユニットが複数配置されており(本実施形態では8ユニット)、上記のような工程が複数回繰り返されることで、感光ウエブ18に所定の厚みの銅めっきが形成される。
【0047】
さらに、感光ウエブ18の搬送方向下流側には、ニッケルめっきを施すための水分除去装置40Bと、カソード給電ローラ50Bと、めっき槽60Bと、洗浄槽70Bとを備えたユニットが複数配置されており(本実施形態では8ユニット)、上記と同様の工程が複数回繰り返されることで、感光ウエブ18に所定の厚みのニッケルめっきが形成される。
【0048】
このような電解めっき装置16では、めっき槽60A、60Bと洗浄槽70A、70Bに、それぞれ液中ローラ62A、62B、72A、72Bが設けられている。これらの液中ローラ62A、62B、72A、72Bの構成は同じであるので、ここでは、液中ローラ62Aの例を図3から図5に基づき説明する。
【0049】
図3および図4に示すように、液中ローラ62Aは、フレーム166に固定支持された円柱状の軸体152と、この軸体152が挿通される円筒体154を備えている。円筒体154の両端部はそれぞれ側面体156で塞がれており、側面体156は軸受158を介して軸体152に支持されている。すなわち、軸体152が軸受158を介して側面体156を貫通する構成となっている。
【0050】
円筒体154の周面の両端部には、複数の円形状の開孔160が所定の間隔で形成されている。また、開孔160より中央部側の感光ウエブ18と接触する円筒体154の周面には、スパイラル状の溝162が形成されている。また、軸体152の軸受158の両端部には、側面体156の軸方向の移動(ウォーク)を規制する規制板164が、軸受158のボールと接触可能に設けられている。
【0051】
円筒体154は、樹脂で形成されており、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、フッ素樹脂(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など)が用いられている。樹脂は、使用するめっき液61等の耐薬品性から適宜に選定される。
【0052】
軸受158は、樹脂製の転がり軸受、滑り軸受などが用いられる。耐薬品性から転がり軸受の材質として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリプロピレンが望ましく、滑り軸受としては、耐薬品性、耐塵埃、及び、耐析出物付着性(析出物が付着しにくい)からNTN社製ベアリングFL3700などが望ましい。また、軸受158の材質として耐薬品性の樹脂を用いることで、めっき液61中に液中ローラ62Aを配設しても液中ローラ62Aの回転を安定化させることが可能となる。
【0053】
図5に示すように、円筒体154の周面に形成されるスパイラル状の溝162の寸法形状は、ピッチが1〜10mm望ましくは2〜3mm、溝巾が1〜5mm望ましくは1.1〜2mm、溝162の深さが0.1〜3mm望ましくは0.2〜0.5mmに設定されている。また、円筒体154の外周面と溝162上部の肩部円弧R1の半径、溝162の底部円弧R2の半径は、0.2〜1mm望ましくは0.3〜0.6mmに設定されている。
【0054】
このような液中ローラ62Aでは、固定支持された軸体152に軸受158を介して側面体156が支持されており、両端部の側面体156とこれらに支持された円筒体154が回転する。これにより、一定方向に搬送される感光ウエブ18が円筒体154の周面に接触すると、円筒体154が感光ウエブ18に従動してその搬送方向にスムーズに回転する。円筒体154を用いることで、重量を軽量化してより少ない力で回転させることができ、低張力で感光ウエブ18を搬送させても液中ローラ62Aが安定して回転し、感光ウエブ18を送ることができる。
【0055】
これにより、液中ローラ62Aの回転速度を感光ウエブ18の搬送速度に同期させることができ、感光ウエブ18と円筒体154とのスリップを抑制し、感光ウエブ18表面の傷の発生を抑制することができる。また、液中ローラ62Aの回転速度を任意の搬送速度に変更することが可能であり、搬送速度を変更しても感光ウエブ18と円筒体154とのスリップによる感光ウエブ18表面の傷の発生を抑制することができる。また、液中ローラ62Aを外部の駆動装置と接続しないので、駆動装置の部品などにめっき液61が付着して析出物が固着することを抑制できる。このため、液中ローラ62Aの回転が安定化し、感光ウエブ18とのスリップを抑制することができる。
【0056】
また、円筒体154の周面の両端部に複数の開孔160が設けられており、めっき槽60A内に液中ローラ62Aを浸漬したとき、円筒体154の内部の空気が開孔160からめっき槽60A内に排出され、円筒体154の内部の空気がめっき液61で置換される。これにより、軸受158の隙間からめっき液61が液中ローラ62Aの内部に浸入し、空気層と処理液層とができて液中ローラ62Aの回転が不安定になることが抑制される。
【0057】
さらに、円筒体154の周面にスパイラル状の溝162が形成されているので、感光ウエブ18の搬送時に表面に同伴された(付着した)めっき液61をスパイラル状の溝162に沿って脇に逃がす流れが生じる。これにより、感光ウエブ18と円筒体154とが接触する溝162の肩部で感光ウエブ18の保持力が発生し、感光ウエブ18を液中ローラ62Aとスリップさせずに搬送することができ、感光ウエブ18表面の擦り傷の発生を抑制することができる。
【0058】
なお、図3から図5に基づいて液中ローラ62Aの構成及び作用について説明したが、液中ローラ62B、72A、72Bも液中ローラ62Aと同じ構成であり、同様の作用が得られる。
【0059】
次いで、図1に示すように、めっきが施された感光ウエブ18は、フィルム張力を検出できるローラ125を介して、めっき液を除去する洗浄液115(水)の入った水洗部114、めっき被膜を保護する防錆処理液117の入った防錆処理部116を経て、過剰な防錆処理液を除去する洗浄液119(水)の入った水洗部118に搬送される。さらに、めっきが施された感光ウエブ18は、水分を除去する乾燥炉をもつ乾燥工程部120を経て、速度調整部121を経て、バランスローラ部122を経て、張力調整された後、アキュムレータ123を通してロール状フィルム124Aとする。こうしてめっき被膜付きフィルムが得られる。
【0060】
実質的なフィルム搬送張力は、5N/m以上200N/m以下とすることが好ましい。実際に張力を5N/m未満にすると、フィルムが蛇行し始め、搬送経路の制御がうまくいかなかった。また200N/mを超えると、フィルムの形成されるめっき被膜金属が内部歪みを持つために、製品にカールが発生するなどの問題があった。
【0061】
このようにして、感光ウエブ18の細線状金属銀部にめっき(導電性金属部)が形成される。このような工程により、めっき被膜付きフィルムを得ることができる。
【0062】
なお、電解めっき装置16のめっき槽の数は、所望のめっき膜厚(導電性金属部の厚み)に応じて8セット以上増設してもよい。この数に応じて、所望のめっき膜厚(導電性金属部の厚み)を容易に得ることができる。
【0063】
次に、感光ウエブ18について説明する。被めっき素材としての感光ウエブ18は、例えば、光透過性支持体上に銀塩(例えばハロゲン化銀)が含有した銀塩含有層を設けた、感光材料からなる長尺幅広フレキシブル基材である。また、銀塩含有層上には保護層が設けられていてもよく、この保護層とは例えばゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために銀塩含有層上に形成される。保護層の厚みは0.02〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.3〜3μmである。
【0064】
これらの銀塩含有層や保護層の組成などは、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に適用されるハロゲン化銀乳剤層(銀塩含有層)や保護層を適宜適用することができる。
【0065】
特に、感光ウエブ18(感光材料)としては、銀塩写真フィルム(銀塩感光材料)が好ましく、白黒銀塩写真フィルム(白黒銀塩感光材料)が最もよい。また、銀塩含有層に適用する銀塩としては、特にハロゲン化銀が最も好適である。
【0066】
一方、光透過性支持体としては、単層のプラスチックフィルムや、これを2層以上組み合わせた多層フィルムを適用することができる。プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
【0067】
これらの中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、支持体としてのプラスチックフィルムは、銀塩写真フィルム(銀塩感光材料)に通常適用されるポリエチレンテレフタレートフィルムやセルロールトリアセテートフィルム、また、その他、ポリイミドフィルムであることが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが最も好ましい。
【0068】
また、ディスプレイ用の電磁波遮蔽材では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合における光透過性支持体の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。
【0069】
感光ウエブ18の幅は、例えば、50cm以上とし、厚みは50〜200μmとすることがよい。
【0070】
また、感光ウエブ18には、露光・現像後、その露光部に金属銀部が形成されるが、この金属銀部に含まれる金属銀の質量が、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、その後の電解めっき処理で高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0071】
露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与するために、上述の電解めっき装置16によって、金属銀部に導電性金属粒子を担持させる電解メッキ処理を行う。すなわち、めっき被膜付きフィルムの製造装置10では、被めっき素材として、銀塩含有層が設けられた光透過性感光ウエブ18を用い、これの銀塩含有層に露光・現像を行って被めっき部として所望の細線状金属銀部を形成する。この細線状金属銀部は、銀塩含有層に露光・現像して形成されるため、非常に細い細線でパターン化された細線状金属銀部となる。このような光透過性感光ウエブ18に対し、電解めっき処理を施すと、細線状金属銀部上に導電性粒子が担持され、これが導電性金属部となる。このため、得られる電磁波遮蔽材料は、非常に細い細線でパターン化された細線状金属部と大面積の光透過部とを有することとなる。
【0072】
以上のような構成のめっき被膜付きフィルムの製造装置10では、感光ウエブ18を搬送する液中ローラ62A、72A、62B、72Bが設けられているので、感光ウエブ18をめっき液61または洗浄水71中で液中ローラ62A、72A、62B、72Bとスリップさせずに搬送することができ、感光ウエブ18表面の傷の発生を抑制できる。このため、帯状長尺で幅広の感光ウエブ18を低張力で搬送しながら、感光ウエブ18の表面に傷の少ない高品質のめっき被膜を連続的に形成できる。このため、安価な設備で高い生産性を有するめっき被膜付きフィルムの製造装置10を実現できる。
【0073】
なお、上記実施形態では、めっき槽60A、60B、洗浄槽70A、70Bに液中ローラ62A、62B、72A、72Bが配設されているが、この構成に限定するものではない。例えば、汎用の処理液や洗浄液などが入った液槽中に配設される液中ローラにも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態におけるめっき被膜付きフィルムの製造装置を示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示す製造装置で用いられる電解めっき装置に配設されるめっき槽及び洗浄槽付近を示す概略構成図である。
【図3】図2に示すめっき槽内に設けられる液中ローラを示す斜視図である。
【図4】図2に示すめっき槽内に設けられる液中ローラを示す断面図である。
【図5】液中ローラの円筒体の周面を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 めっき被膜付きフィルム製造装置
16 電解めっき装置
18 感光ウエブ(フィルム)
60A めっき槽(液槽)
60B めっき槽(液槽)
62A 液中ローラ
62B 液中ローラ
61 めっき液(液)
70A 洗浄槽(液槽)
70B 洗浄槽(液槽)
71 洗浄水(液)
72A 液中ローラ
72B 液中ローラ
152 軸体
154 円筒体
156 側面体
158 軸受
160 開孔
162 溝
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−7797(P2008−7797A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176288(P2006−176288)