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【発明の名称】 銅の種板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】石田 達夫

【氏名】植田 俊一

【氏名】森川 善昭

【要約】 【課題】電解法により製造される銅の種板において、その電着面が垂直性良好に形成され、製品となる電気銅の品質及び生産性を向上させることができる銅の種板及びその製造方法を提供することにある。

【解決手段】電解槽内に装入され、その電着面4に銅が電着させられる銅の種板10であって、前記種板10は、前記電着面4を有する種板本体1を備えており、前記種板本体1は、電解法によって製造され、前記種板本体1の板厚tが、1.4mm以上1.8mm以下とされており、前記電着面4の垂直性が、0mm/m2以上7mm/m2以下とされていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽内に装入され、その電着面に銅が電着させられる銅の種板であって、
前記種板は、前記電着面を有する種板本体を備えており、
前記種板本体は、電解法によって製造され、
前記種板本体の板厚が、1.4mm以上1.8mm以下とされており、
前記電着面の垂直性が、0mm/m2以上7mm/m2以下とされていることを特徴とする銅の種板。
【請求項2】
請求項1記載の銅の種板の製造方法であって、
前記種板本体を、電流密度240A/m2以上250A/m2以下、電着時間42時間以上48時間以下の条件下で電解法により製造し、
この種板本体にカシメ圧10MPa以上14MPa以下で、該種板本体を電解槽に吊るすための吊り手を接合し、
前記電着面にプレス圧4MPa以上8MPa以下でプレス加工を行ってビードを形成することを特徴とする銅の種板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気銅の製造に用いるための銅の種板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、銅の電解精製においては、銅製の陰極の電着面に銅を電着させることにより、製品となる電気銅を精製するようになっている。通常この陰極としては、板厚0.5mm〜1.0mmの純銅の薄板(通常「種板」と呼ばれる)が用いられている。この種板の製造方法としては、例えば特許文献1に示されるような、電解法によるものが知られている。
【0003】
電解法による種板の製造は、種板電解槽において、ステンレス等から成る陰極(母板)と陽極の粗銅とを用いて電解し、母板に電着して得られた薄板を剥ぎ取ることによってなされている。一般に、この電解は、電流密度240A/m2程度、電着時間24時間程度の条件下で行われている。また前記種板は、この電解により製造される種板本体と、該種板本体を電解槽に吊るすための吊り手とが接合されて形成されている。前記吊り手を種板本体に接合するには吊り手カシメ機が用いられ、一般に、そのカシメ圧は7MPa程度とされている。
【0004】
このようにして得られた種板は、普通電解槽に粗銅と交互に吊るされて装入される。そして電解の進行につれ、粗銅から溶け出した銅がこの種板の電着面上に電着することによって、製品となる電気銅が得られるようになっている。
【0005】
このような従来の銅の電解精製においては、生産性向上のため、粗銅と種板とは可及的小さい間隔をもって電解槽内に装入され、また不利益を生じない限り高い電流密度において電解されるのが好ましいとされている。ここで、種板の形状が不整であった場合には、両極が接触して短絡を起こし、電解不能となったり或いは電解効率を悪化させたりする虞がある。したがって、電解槽に装入される種板としては、その形状(特に電着面の垂直性)が良好に整ったものが求められている。
【0006】
そこで、前記電着面の垂直性を向上させるために、電解槽に装入される前工程において、これらの種板をローラーレベラーやビードプレスにかけ、平坦に仕上げたり歪みを矯正したりすることがなされている。ローラーレベラーは、上下に夫々連設される複数のローラー間に種板を通過させることによって、これらの種板の歪みを矯正させ、電着面の垂直性を向上させるためのものであり、またビードプレスは、種板の電着面に複数のビード(ひも出し加工)をプレス成形することにより、この種板の強度を向上し、垂直性を向上させるためのものである。一般に、ビードプレスのプレス圧については、7MPa程度とされている。
【0007】
また、或いは、特許文献2に示すように、前記電着面に特殊なパターンを形成して、垂直性を向上させるものも知られている。また、特許文献3に示すように、圧延法で製造された銅の種板を用いて、その電着面の垂直性を向上させようとする方式も提案されている。一方、ISA方式等のように、銅の種板を用いず、垂直性のよいステンレス製のカソード板を用いて電気銅の精製を行う方式も提案されている。
【特許文献1】特開平5−222566号公報
【特許文献2】特開2001−49481号公報
【特許文献3】特表2000−510196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ローラーレベラーやビードプレスを用いて電着面の垂直性を向上させるには、従来の種板の板厚(0.5mm〜1.0mm)では強度が不足しており、その矯正には限界がある。また、種板の電着面に特殊なパターンを設ける方式では、その表面が凹凸形状に形成されることに起因してスライム等が付着するため、精製される電気銅の垂直性が損なわれてしまうという課題があった。
【0009】
また、圧延法によって種板を製造する方式では、種板の電着面の垂直性の向上が期待されるものの、設備自体の設計が難しく、圧延設備一式の大規模な設備投資に要する費用対効果を鑑みると、現実的な解決策とは言い難かった。
【0010】
銅の種板の代わりにステンレス製のカソード板を用いる方式においては、このカソード板に電着した電気銅が100kg程度の重みになるとその自重で自然剥離してしまい電解槽内に落下してしまうため、精製される電気銅の単重をある程度までしか大きくできない、という問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、電解法により製造される銅の種板において、その電着面が垂直性良好に形成され、製品となる電気銅の品質及び生産性を向上させることができる銅の種板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。すなわち本発明は、電解槽内に装入され、その電着面に銅が電着させられる銅の種板であって、前記種板は、前記電着面を有する種板本体を備えており、前記種板本体は、電解法によって製造され、前記種板本体の板厚が、1.4mm以上1.8mm以下とされており、前記電着面の垂直性が、0mm/m2以上7mm/m2以下とされていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る銅の種板によれば、従来の種板本体の板厚(0.5mm〜1.0mm)と比較し、その板厚が厚く形成されているため、種板本体の強度が十分に得られ、ローラーレベラーやビードプレスによる歪みの矯正や強度アップが効果的に行われる。また電着面の垂直性が、7mm/m2以下となされているので、これらの種板が電解槽に装入され電解精製される際に、種板(陰極)とこれら種板間に交互に介在されて陽極となる粗銅との各電極が接触し、短絡を起こすことが極力防止され、また電流効率を向上させることができる。よって製品となる電気銅の品質を向上することができる。尚、前記垂直性とは、前記電着面上に設定した基準点に対し、最も変位差の大きいMAX値と最も変位差の小さいMIN値との差分を算出し、その差分値を単位面積あたりに換算した値を以って垂直性とするものである。
【0014】
また前記種板本体の板厚の上限が1.8mm以下となされているため、この種板本体の厚みの偏差を抑えられ、またローラーレベラーやビードプレスにかけた際、その電着面の矯正を良好に行うことができる。
【0015】
また、電解槽内に前記種板を吊るすための吊り手をこの種板本体に取り付ける際に穴あけ・カシメが行われるが、この種板本体の板厚によれば、加工部周辺に応力がかかることによってこの種板本体が歪んでしまうことがなく、これらの加工を良好に行うことができる。
【0016】
また本発明の銅の種板の製造方法は、前記種板本体を、電流密度240A/m2以上250A/m2以下、電着時間42時間以上48時間以下の条件下で電解法により製造し、この種板本体にカシメ圧10MPa以上14MPa以下で、該種板本体を電解槽に吊るすための吊り手を接合し、前記電着面にプレス圧4MPa以上8MPa以下でプレス加工を行ってビードを形成することを特徴とする。
【0017】
この発明に係る銅の種板の製造方法によれば、種板本体の精製のための電流密度については従来の値と特に変わらないが、電着時間については2倍近い時間がかけられて電着されているので、製造される種板本体の板厚を1.4mm以上1.8mm以下に良好に精製させることができる。また、電着後の種板仕上げ工程における吊り手カシメ圧についても、従来の値に対し2倍近い圧がかけられてその歪みが矯正されるので、この種板の電着面の垂直性がより一層向上される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る銅の種板及びその製造方法によれば、電解法により製造される銅の種板において、その電着面が垂直性良好に形成され、製品となる電気銅の品質及び生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態の銅の種板を示す正面図、図2は銅の種板を示す側面図、図3は種板の板厚測定を説明する図、図4は種板の電着面の垂直性測定を説明する図、図5は種板仕上げ工程の概略構成を示す平面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、銅の種板10は、この種板10の本体部分となる平板状の種板本体1と、この種板本体1の一辺の縁部に離間して設けられる2つの吊り手2とを備えている。また、角棒状のハンガーバー3が、これら2つの吊り手2を貫通するようにして、前記一辺と略平行に配置されている。
【0021】
種板本体1の表面及び裏面には、夫々、電着面4が形成されている。これらの電着面4には、種板10を電解槽(不図示)内に装入して電解精製を行う際に、銅が電着されるようになっている。これらの電着面4は、その面に均一に銅が電着されるよう、平坦に形成されており、この電着が行われることによって製品となる電気銅が製造されるようになっている。また電着面4には、図1に示すように、プレスによりひも出し加工された複数のビード5が形成されている。これらビード5は、電着面4の歪みを矯正したり防止したりして、この電着面4の垂直性を向上させるために施されているものである。また、図2において、tはこの種板本体1の板厚を示しており、本発明における板厚tは、1.4mm以上1.8mm以下の間に設定されている。また、電着面4の垂直性は、0mm/m2以上7mm/m2以下の範囲となるようになされている。
【0022】
ここで、前述の板厚t及び電着面4の垂直性については、下記のようにして定義する。
まず、板厚tについては、図3に示すように、例えば、種板10の寸法L1×寸法L2が1m×1mとされる電着面4を均等に縦横3等分し計9箇所のエリアT1〜T9に分け、各エリアの中央部の板厚tを測定し、その結果より夫々上限値、下限値を選定し、これを以って板厚tの範囲とする。
【0023】
また、電着面4の垂直性については、図4に示すように、例えば、種板10の寸法L1×寸法L2が1m×1mとされる電着面4の表面上に、図のように均等に満遍なく測定点Cを20点設定する。そしてこれらの測定点Cの内、2つの吊り手2側に配置され、且つ図4の電着面4の左右両端近傍に夫々配置される2つの測定点を、測定点C1(左)、測定点C2(右)とし、これらを夫々左右のゼロ点(基準点)とする。そして測定点Cの内、図4における電着面4の左半分に配置される10点の測定点Cを測定点Caとし、右半分に配置される10点の測定点Cを測定点Cbとする。
【0024】
また、電着面4の垂直性の測定は、例えば、レーザー変位計を用いて行うことができる。この測定には、まず、測定される種板10の電着面4とレーザー変位計の計測部の配置される面とを、互いに平行となるよう向かい合わせて配置させる。ここで、前記計測部は複数個所設けられており、各計測部が各測定点Cに対向配置されるようになされている。そして、各計測部から各測定点Cまでの距離を、夫々測定する。
【0025】
次に、これら測定結果を用い、前記2つのゼロ点を基準として最も変位差の大きいMAX値と最も変位差の小さいMIN値とを選定する。この選定にあたっては、まず、電着面4の左半分に配置される10点の測定点Caについては、測定点C1をゼロ点として、このゼロ点と夫々の測定点Caとの変位の差分の値を算出する。また、右半分に配置される10点の測定点Cbについては、測定点C2をゼロ点として、このゼロ点と夫々の測定点Cbとの変位の差分の値を算出する。このようにして20点すべての変位の差分の値が算出されたら、次に、これらの値の中からMAX値とMIN値とを夫々1つずつ選定する。そして、選定されたMAX値とMIN値との差分を算出し、その値を以って垂直性を表すものとする。
【0026】
すなわち、本発明における種板10の垂直性は、上記のようにして求められる電着面4の1m×1mあたりの前記MAX値とMIN値との変位の差分が、0mm以上7mm以内に収まるようになされている。そして、その垂直性の割合を表すのに、0mm/m2以上7mm/m2以下と表記するものとする。
【0027】
また、図1において、2つの吊り手2は銅の平板で形成されており、これらの吊り手2は種板本体1を電解槽(不図示)内に吊るすために設けられている。種板本体1と吊り手2とは、夫々独立した工程にて製作されるが、後述する種板仕上げ工程の吊り手カシメ機によって互いにかしめられ、一体に接合されている。これらの吊り手2は、矩形状を有する銅平板の両端を、夫々向かい合わせるようにして180度湾曲させ、その両端面で前記電着面4の縁部を挟み込むようにして接合され、固定されている。これら吊り手2が湾曲されて形成される輪の部分には、ハンガーバー3が貫通して配置されている。種板10は、このハンガーバー3によって電解槽内に装入・装出されるとともに、装入の際にはこのハンガーバー3を介して通電がなされるようになっている。
【0028】
次に、この種板10の製造方法について説明する。
まず、種板10の本体部分となる種板本体1が、予め種板電解槽(不図示)において製造される。この種板本体1は、前記種板電解槽内における電着のための電流密度が、240A/m2以上250A/m2以下とされ、電着時間が、42時間以上48時間以下とされて、製造される。より好ましくは、これらの設定は、電流密度が240A/m2とされ、電着時間が48時間とされるのがよい。このようにして製造された種板本体1の板厚tは、1.4mm以上1.8mm以下の間になるようになされている。また、吊り手2及びハンガーバー3は、この種板本体1とは別工程において製造される。
【0029】
このようにして製造された種板本体1は、図5に示すように、搬入装置11により種板仕上げ工程へと搬入される。搬入された種板本体1は、搬入装置11に隣接して配設されるローラーレベラー12へと送られる。このローラーレベラー12は、その内部の搬送部上下に夫々連設される複数のローラー間にこの種板本体1を通過させることによって、種板本体1の歪みを矯正させ、電着面4の垂直性を向上させるためのものである。
【0030】
ローラーレベラー12を通過した後、この種板本体1は、図5の1aの位置まで搬送装置によって搬送される。この1aの位置において、種板本体1の一辺の縁部近傍には、別工程において製作された2つの吊り手2及びハンガーバー3が、夫々吊り手供給装置13及びハンガーバー供給装置14によって供給されて配置される。そして、1aの位置の工程の下流側に設けられる吊り手カシメ機15によって、これら種板本体1と吊り手2とが互いにかしめられて接合され、かしめられた2つの吊り手2の輪の中にハンガーバー3を貫通させて、種板10となされる。尚、図示しないが、このカシメの前工程において、種板本体1上のかしめられる位置には予め穴あけが施されており、この穴を利用して前記カシメがなされている。また吊り手カシメ機15におけるカシメ圧は、10MPa以上14MPa以下の間に設定されている。より好ましくは、このカシメ圧が、14MPaとされるのがよい。
【0031】
次に、この種板本体1は、吊り手カシメ機15の下流側に隣接されるビードプレス16へと搬送される。このビードプレス16は、種板10の電着面4に複数のビード5をプレス加工・成形することにより、この種板10の強度及び垂直性を向上させるものである。そして、ビードプレス16によって、この種板10にビード5が形成される。このビードプレス16におけるプレス圧は、4MPa以上8MPa以下の間に設定されている。より好ましくは、このプレス圧が、7MPaとされるのがよい。
【0032】
次に、種板10は、ビードプレス16の下流側に配置されるS字反転機17へと搬送される。このS字反転機17により、種板10はその吊り手2側を鉛直方向上方に向けられて、搬送コンベア上に立てられた状態で配置される。
【0033】
S字反転機17の下流側には、垂直度測定器18が設けられている。この垂直度測定器18にはレーザー変位計が備えられており、またこのレーザー変位計には複数の計測部18aが備えられている。またこの垂直度測定器18には、前記レーザー変位計による測定結果を演算するための演算装置(不図示)が備えられている。そして、搬送される種板10の一方の電着面4と、計測部18aの配置される面とが、互いに平行となるように、向かい合わされて配置されるようになっている。そして、この垂直度測定器18によって、前述したように電着面4の測定がなされ、その垂直性が算出される。本発明では、この電着面4の垂直性が、0mm/m2以上7mm/m2以下となるようになされている。そして、万が一、製造不良等に起因し電着面4の垂直性が7mm/m2を超える種板がこの垂直度測定器18に検出された場合には、この不良種板を自動的に搬送工程から排出させるための排出装置(不図示)が設けられており、不良種板が次工程へと搬送されないようになされている。
【0034】
そして、垂直度測定器18による測定が行われた後には、種板10はその下流側に設けられる搬出装置19へと送られていき、この種板仕上げ工程から次工程へと搬出される。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る銅の種板並びにその製造方法によれば、従来一般的とされる種板本体1の板厚(0.5mm〜1.0mm)と比較し、その板厚tが厚く形成されているため、種板本体1の強度が十分に得られ、ローラーレベラー12やビードプレス16による歪みの矯正や強度アップが効果的に行われる。また電着面4の垂直性が、7mm/m2以下となされているので、これらの種板10が電解槽に装入され電解精製される際に、種板10(陰極)と、これら種板10間に交互に介在されて陽極となる粗銅との各電極が接触し、短絡を起こすことが極力防止され、また電流効率を向上させることができる。よって製品となる電気銅の品質を向上することができる。
【0036】
また種板本体1の板厚tの上限が1.8mm以下となされているため、この種板本体1の厚みの偏差を抑えられ、またローラーレベラー12やビードプレス16にかけた際、その電着面4の矯正を良好に行うことができる。
【0037】
また、電解槽内に種板10を吊るすための吊り手2をこの種板本体1に取り付ける際に穴あけ・カシメが行われるが、この種板本体1の板厚tによれば、加工部周辺に応力がかかることによってこの種板本体1が歪んでしまうことがなく、これらの加工を良好に行うことができる。
【0038】
また、種板本体1を製造するための種板電解槽内における電着のための電流密度が240A/m2以上250A/m2以下とされ、電着時間が42時間以上48時間以下とされている。そして、前記電着後、種板本体1に吊り手2を接合させるための吊り手カシメ機15のカシメ圧が、10MPa以上14MPa以下とされ、電着面4にビード5を形成するためのビードプレス16のプレス圧が、4MPa以上8MPa以下とされている。よって、種板本体1の精製のための電流密度については従来の値と特に変わらないが、電着時間については2倍近い時間がかけられて電着されているので、製造される種板本体1の板厚tを1.4mm以上1.8mm以下の範囲に良好に精製させることができる。また、電着後の種板仕上げ工程における吊り手カシメ機15のカシメ圧についても、従来の値に対し2倍近い圧がかけられてその歪みが矯正されているので、この種板10の電着面4の垂直性がより一層向上される。
【0039】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態においては、種板本体1の電着面4の寸法は1m×1mとしたが、これに限られるものではなく、その寸法を増減させても構わない。そして、その垂直性については、前述した算出方法によって、単位面積あたりの値を算出することができる。
【0040】
また、種板本体1は銅の平板から成る2つの吊り手2によって吊り下げられて、電解槽内に装入されるとしたが、種板本体1を電解槽内に安定して装入・装出可能であればこれに限られることはなく、例えば、吊り手2の数量を増減させたり、或いはこれら吊り手2を板以外の銅材料の加工によって形成したりしてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
まず種板電解槽において、電流密度240A/m2、電解時間48時間の設定において、電着面寸法が1m×1m、板厚tが1.4mm〜1.8mmの種板本体1を得た。この板厚tについては、前述した方法で、9等分したエリアT1〜T9の各中央部の板厚を測定し、上記範囲を得た。そしてこの種板本体1を、種板仕上げ工程においてローラーレベラー12により電着面4が平坦となるよう矯正した。次に、吊り手カシメ機15において、この種板本体1と2つの吊り手2とを、カシメ圧14MPaでかしめて接合した。次に、ビードプレス16において、この種板10をプレス圧7MPaでプレス加工して、ビード5を成形した。最後に、レーザー変位計を備える垂直度測定器18を用いて、この種板10の電着面4の垂直性を前述の方法により測定し、算出した。また、製造された種板10を用いて電気銅の電解精製を行い、その電流効率を測定し、精製された電気銅を観察し評価した。その結果を、表1として示す。
【0042】
また比較例として、種板電解槽において電流密度240A/m2、電解時間24時間の設定により、電着面寸法1m×1m、板厚が0.5mm〜1.0mmの種板本体を得た。この種板本体を用い、前記吊り手カシメ機によるカシメ圧を7MPa、またビードプレスのプレス圧を7MPaとした以外は、実施例と同様にして各測定を行った。
【0043】
【表1】


【0044】
表1に示す通り、実施例においては、垂直性が6.4mm/m2となり、またその結果、電気銅の電解精製において電流効率が96.0%に向上されて、良好な電気銅が得られた。一方、比較例においては、垂直性が8.5mm/m2となり、また電流効率も94.7%となって、実施例における電気銅と比較すると劣る結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の銅の種板を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態の銅の種板を示す側面図である。
【図3】銅の種板の板厚測定を説明する図である。
【図4】銅の種板の電着面の垂直性測定を説明する図である。
【図5】銅の種板の種板仕上げ工程の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 種板本体
2 吊り手
4 電着面
5 ビード
10 種板
15 吊り手カシメ機
16 ビードプレス
t 板厚
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−303426(P2008−303426A)
【公開日】 平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願番号】 特願2007−151754(P2007−151754)