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【発明の名称】 金属精錬方法
【発明者】 【氏名】山下 泰一郎

【氏名】山崎 卓

【要約】 【課題】溶融金属塩化物を電解する際に、金属塩の蒸発を効果的に抑えることができ、溶融金属塩化物の液面からの蒸発による回収効率の低下や、蒸発した金属塩化物の配管内への付着を防止することができる金属精錬方法を提供する。

【解決手段】溶融金属塩化物3に浸漬する電極部材11,12,13の上端位置から電解槽5の底面までの領域では、電解槽5の加熱温度T1を、金属塩化物を構成している金属の融点tm以上で、かつ電解可能な温度に設定し、電極部材11,12,13の上端位置より上方で溶融金属塩化物3の液面3aまでの領域では、電解槽5の加熱温度T2を、金属塩化物の融点tc以上で、融点tc+100℃以下の温度範囲に設定し、溶融金属塩化物3の液面3aの直上の気体の温度T3は、金属塩化物の融点tc以下の温度に設定して、溶融金属塩化物3を電解処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽に貯留した溶融金属塩化物を、前記電解槽の周囲に配置した熱源により電解可能な温度に加熱しつつ、前記電解槽内の溶融金属塩化物中に浸漬した複数の電極部材に電位差を与えて前記溶融金属塩化物を電解することにより前記溶融金属塩化物を金属と塩素とに分離する金属精錬方法であって、
前記複数の電極部材は、上端位置が前記溶融金属塩化物の液面より所定の距離L1だけ下方に位置し、かつ下端位置が前記電解槽の底面から離れた位置に位置するように溶融金属塩化物中に配置し、
前記電極部材の上端位置から前記電解槽の底面までの領域では、前記熱源による前記電解槽の加熱温度T1を、前記金属塩化物を構成している金属の融点tm以上で、かつ電解可能な温度とし、
前記電極部材の上端位置より上方で前記溶融金属塩化物の液面までの領域では、前記熱源による前記電解槽の加熱温度T2を、金属塩化物の融点tc以上で前記融点tc+100℃以下の温度とし、
前記溶融金属塩化物の液面直上の気体の温度T3を、金属塩化物の融点tc以下の温度として、
上記の温度管理下で、電解処理を行うことを特徴とする金属精錬方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属精錬方法であって、
前記電解槽に貯留された溶融金属塩化物の液面の上方の気圧を負圧に設定して、電解処理を行うことを特徴とする金属精錬方法。
【請求項3】
請求項2に記載の金属精錬方法であって、
前記電解槽に貯留された溶融金属塩化物の液面の上方の気圧pを、−10Pa≦p≦−1kPaに設定して、電解処理を行うことを特徴とする金属精錬方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の金属精錬方法であって、
前記金属塩化物が塩化亜鉛であり、電解処理により亜鉛を生成することを特徴とする金属精錬方法。
【請求項5】
請求項4に記載の金属精錬方法であって、
前記加熱温度T1を、420℃≦T1≦650℃に設定し、
前記加熱温度T2を、283℃≦T2≦383℃に設定し、
前記温度T3を、室温程度に設定し、
上記の温度管理下で電解処理を実施して、亜鉛を生成することを特徴とする金属精錬方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属塩化物を電解することにより溶融金属塩化物を金属と塩素とに分離する金属精錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池向けの多結晶シリコンの低コスト製造プロセスとして、四塩化珪素の亜鉛還元法が考えられるが、このプロセスでは副生成物として塩化亜鉛が排出され、ここから原料となる亜鉛を回収してプロセス内で再利用することが要求されている。
【0003】
そのため、電解槽に貯留した溶融塩化亜鉛を、電解槽の周囲に配置した熱源により電解可能な温度に加熱しつつ、電解槽内の溶融塩化亜鉛中に浸漬した複数の電極部材に電位差を与えて、溶融塩化亜鉛を電解することにより溶融塩化亜鉛を亜鉛と塩素とに分離する金属精錬プロセスが考えられている。
【0004】
しかし、塩化亜鉛の融点が283℃であるのに対して、電解可能な温度は500〜650℃程度となるため、電解槽を電解温度の500〜650℃に加熱していると、電解槽に貯留した溶融塩化亜鉛の液面からの蒸発が活発化する。
【0005】
塩化亜鉛の蒸発の活発化は、亜鉛の回収効率の低下を招くだけでなく、さらには、蒸発した塩化亜鉛が電解槽に接続されている配管内に固着して、配管を閉塞させてしまうおそれもある。
【0006】
そこで、電解槽内の溶融金属塩化物中に浸漬する電極部材の周囲を保温材で囲うことで、電解反応に関与する電極部材の周囲の溶融金属塩化物のみを電解可能な温度に維持し、それよりも外側の溶融金属塩化物は電解可能な温度よりも低くして、金属塩化物の蒸発を抑止することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−200759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電極部材の周囲を保温材で囲う前記特許文献1の技術では、理論上は、電極部材から一定以上離れた位置の溶融金属塩化物はその温度を電解可能温度よりも低く抑えて、金属塩化物の蒸発を低減させることができる。
【0009】
しかし、実際は、電解反応時の電極部材の発熱が上方に逃げるため、電極部材の周囲を保温材で囲っただけでは、電極部材の上方に位置している溶融金属塩化物の温度を十分に下げることができず、金属塩の蒸発抑止効果を高めることが難しい。そのため、溶融金属塩化物の液面からの蒸発による回収効率の低下や、蒸発した金属塩化物の配管内への付着を十分に防止することは難しい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、溶融金属塩化物を電解する際に、金属塩の蒸発を効果的に抑えることができ、溶融金属塩化物の液面からの蒸発による回収効率の低下や、蒸発した金属塩化物の配管内への付着を防止することができる金属精錬方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決することのできる本発明に係る金属精錬方法は、電解槽に貯留した溶融金属塩化物を、前記電解槽の周囲に配置した熱源により電解可能な温度に加熱しつつ、前記電解槽内の溶融金属塩化物中に浸漬した複数の電極部材に電位差を与えて前記溶融金属塩化物を電解することにより前記溶融金属塩化物を金属と塩素とに分離する金属精錬方法であって、前記複数の電極部材は、上端位置が前記溶融金属塩化物の液面より所定の距離L1だけ下方に位置し、かつ下端位置が前記電解槽の底面から離れた位置に位置するように溶融金属塩化物中に配置し、前記電極部材の上端位置から前記電解槽の底面までの領域では、前記熱源による前記電解槽の加熱温度T1を、前記金属塩化物を構成している金属の融点tm以上で、かつ電解可能な温度とし、前記電極部材の上端位置より上方で前記溶融金属塩化物の液面までの領域では、前記熱源による前記電解槽の加熱温度T2を、金属塩化物の融点tc以上で前記融点tc+100℃以下の温度とし、前記溶融金属塩化物の液面直上の気体の温度T3を、金属塩化物の融点tc以下の温度として、上記の温度管理下で、電解処理を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る金属精錬方法において、前記電解槽に貯留された溶融金属塩化物の液面の上方の気圧を負圧に設定して、電解処理を行うことが好ましい。
【0013】
本発明に係る金属精錬方法において、前記電解槽に貯留された溶融金属塩化物の液面の上方の気圧pを、−10Pa≦p≦−1kPaに設定して、電解処理を行うことが好ましい。
【0014】
本発明に係る金属精錬方法において、前記金属塩化物が塩化亜鉛であり、電解処理により亜鉛を生成することが好ましい。
【0015】
本発明に係る金属精錬方法において、前記加熱温度T1を、420℃≦T1≦650℃に設定し、前記加熱温度T2を、283℃≦T2≦383℃に設定し、前記温度T3を、室温程度に設定し、上記の温度管理下で電解処理を実施して、亜鉛を生成することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による金属精錬方法によれば、溶融金属塩化物を電解する際に、熱源による電解槽の加熱温度自体を、電解槽内の溶融金属塩化物中に浸漬させた電極部材との位置関係に相応して設定するものであり、電極部材の上端位置より上方で溶融金属塩化物の液面までの領域に位置する溶融金属塩化物の温度は、金属塩化物の融点tc以上で前記融点tc+100℃以下の温度範囲に設定され、さらに、溶融金属塩化物の液面よりも上方の気体領域の温度は、金属塩化物の融点tc以下の温度に設定されるため、金属塩の蒸発を効果的に抑えることができる。
したがって、溶融金属塩化物の液面からの蒸発による回収効率の低下や、蒸発した金属塩化物の配管内への付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る金属精錬方法の実施形態の例について、図面を参照しつつ説明する。
図1(A)は本発明に係る金属精錬方法を実施する溶融塩電解装置の実施形態例の概略構成を示す縦断面図、図1(B)は図1(A)に示した溶融塩電解装置において本発明に係る金属精錬方法を実施する場合に設定する電解槽内の溶融金属塩化物及び気体の温度のグラフ図である。
【0018】
図1に示す溶融塩電解装置1は、溶融金属塩化物3を貯留する電解槽5と、電解槽5を加熱するために電解槽5の周囲に配置された熱源である複数のヒータ7,8,9と、溶融金属塩化物3に直立状態で並列に浸漬される複数の電極部材11,12,13と、これらの電極部材11,12,13に所定の電位差を付与したり、前記ヒータ7,8,9を所望の温度に発熱させたりする制御部(図示省略)と、電解槽5及びヒータ7,8,9の外周囲を囲う断熱壁15と、前記電極部材11,12,13を出し入れするための電解槽5の上部開口5aを覆う蓋部材17とを備えた構成となっている。
【0019】
電解槽5の上端面には、電解槽5内に溶融金属塩化物3を導入する塩化物導入路21と、電解槽5内の溶融金属塩化物3の液面3aの上方の気体空間23に窒素ガス(N)等の不活性ガスを導入する気体導入路25と、溶融金属塩化物3の電解により生成される塩素ガス(Cl)を負圧吸引力により排出する塩素排出路27とが設けられている。
また、電解槽5の底部側には、溶融金属塩化物3の電解により生成される金属を排出する生成金属回収路29が設けられている。
【0020】
電解槽5は、液面3aの上方の気体空間23の高さh1が、溶融金属塩化物3に浸漬される各電極部材11,12,13の高さh2と略同等、またはh2よりも大きな値となり、また溶融金属塩化物3に浸漬した各電極部材11,12,13の上端が液面3aから所定の距離L1だけ下方の位置となり、かつ各電極部材11,12,13の下端が電解槽5の底面から所定の距離だけ離れた位置となるように、深さが設定されている。
【0021】
各電極部材11,12,13の上端から液面3aまでの距離L1は、この領域の溶融金属塩化物3が、電極部材11,12,13の発熱の影響で、後述する設定温度以上に過昇温されることを防止できる程度に、深く設定する。例えば、距離L1を200〜600mmの範囲内に設定すれば良い。
【0022】
熱源となる複数のヒータ7,8,9は、電解槽5内の溶融金属塩化物3を、電極部材11,12,13に対する位置に応じて加熱するために、電解槽5の外周に高さ位置を変えて設けられている。
最上位のヒータ7は、電極部材11,12,13の上端位置より上方で溶融金属塩化物3の液面3aまでの領域を所望の温度範囲に加熱する。
中間のヒータ8は、電極部材11,12,13の上端から下端までの領域を所望の温度範囲に加熱する。
最下位のヒータ9は、電解槽5の底部を覆うように設けられていて、電極部材11,12,13の下端から電解槽5の底面までの領域を所望の温度範囲に加熱する。
このように、電解槽5の高さ方向に分けてヒータ7,8,9を配置することで、電解槽5は高さ位置に応じて、所望の温度勾配を設けることができる。
【0023】
複数の電極部材11,12,13のうち、両端の電極部材11,13には、通電棒30A,30Bが接続されており、一方は陰極として、他方は陽極として作動させられる。
これらの両端の電極11,13間に並列に配置される複数個の電極部材12は、隣接する他の電極部材との間に所定の隙間を確保した状態に非導通部材31により連結されており、両端の電極部材11,13からの離間距離に相応した電位差で、電解反応に寄与する。
【0024】
次に、上記溶融塩電解装置1によって実施される金属精錬方法について説明する。
本実施形態の金属精錬方法は、前記電解槽5に貯留した溶融金属塩化物3を、電解槽5の周囲に配置した熱源であるヒータ7,8,9により電解可能な温度に加熱しつつ、電解槽5内の溶融金属塩化物3中に浸漬した複数の電極部材11,12,13に電位差を与えて溶融金属塩化物3を電解することにより、溶融金属塩化物3を金属と塩素とに分離して回収するものである。
【0025】
複数の電極部材11,12,13は、上端位置が前記溶融金属塩化物3の液面より所定の距離L1だけ下方に位置し、かつ下端位置が電解槽5の底面から離れた位置に位置するように溶融金属塩化物3中に配置する。
【0026】
電極部材11,12,13の上端位置から電解槽5の底面までの領域では、ヒータ8,9による加熱によって、この領域の電解槽5の加熱温度(ヒータ8,9の温度)T1を、金属塩化物を構成している金属の融点tm以上で、かつ電解可能な温度に設定する。
【0027】
また、電極部材11,12,13の上端位置より上方で溶融金属塩化物3の液面3aまでの領域では、ヒータ7による加熱によって、この領域の電解槽5の加熱温度(ヒータ7の温度)T2を、金属塩化物の融点tc以上で前記融点tc+100℃以下の温度範囲に設定する。このために距離L1を200〜600mmの範囲内として、ヒータ7,8,9をコントロールする。
【0028】
さらに、溶融金属塩化物3の液面3aよりも上方の気体領域の温度T3(液面直上の気体の温度)は、気体導入路25から供給する不活性ガスの温度を調整することで、金属塩化物の融点tc以下の温度に設定する。
【0029】
以上のように電解槽5の各部の温度を所望温度に設定した温度管理下で、電解処理を行う。これにより、電極部材11,12,13の上端位置から電解槽5の底面までの領域では、金属塩化物の電解を良好に行うとともに、電極部材11,12,13の上端位置より上方では溶融金属塩化物3が蒸発しない程度に加熱されることになり、金属塩の蒸発を効果的に抑えることができる。したがって、溶融金属塩化物3の液面3aからの蒸発による回収効率の低下を生じさせず、また、蒸発した金属塩化物が配管(塩素排出路27)内に付着することを防止することができる。
【0030】
また、本実施形態の金属精錬方法では、電解槽5に貯留された溶融金属塩化物3の液面3aの上方の気体空間23の気圧を負圧に設定して、電解処理を行う。そのため、電解反応によって発生する塩素ガスをより安全に排気処理することができる。また、溶融金属塩化物3の液面3aの上方の気体空間23の気圧を負圧に設定する場合に、負圧吸引力を利用して、窒素ガスまたはその他の不活性ガスを冷却用ガスとして溶融金属塩化物3の液面3aに供給すれば、溶融金属塩化物3の液面3a温度をより確実に所望の温度範囲に設定することができ、金属塩化物の蒸発をさらに確実に抑止することができる。
【0031】
また、本実施形態の金属精錬方法では、電解槽5に貯留された溶融金属塩化物3の液面3aの上方の気体領域の気圧pを、−10Pa≦p≦−1kPaに設定して、電解処理を行う。そのため、溶融金属塩化物3の液面3aの上方の気体空間23の気圧が過度の負圧になることを防止でき、過度の負圧が電解反応で生成された塩素ガスの排気等に影響を及ぼすことを防止できる。
【0032】
上記実施形態の具体的な実施例を、以下に示す。
【実施例1】
【0033】
実施例1の金属精錬方法は、電解槽5に投入する金属塩化物が塩化亜鉛であって、電解処理により、亜鉛を生成するものである。
その場合に、電解槽5の加熱温度は、次のように設定する。
【0034】
電極部材11,12,13の上端位置から前記電解槽5の底面までの領域における電解槽5の加熱温度T1を、420℃≦T1≦650℃に設定する。なお、亜鉛の融点が419.5℃である。
電極部材11,12,13の上端位置より上方で溶融金属塩化物3の液面3aまでの領域における電解槽5の加熱温度T2を、283℃≦T2≦383℃に設定する。なお、塩化亜鉛の融点が283℃である。
溶融金属塩化物3の液面3aの直上の気体の温度T3を、気体導入路25から供給する不活性ガス(窒素ガス)の温度を調整することで、室温程度に設定する。
【0035】
図1(B)は、上記のように温度設定した時の電解槽5内の溶融金属塩化物及び気体の高さ方向の温度勾配を示す。
実施例1では、上記の温度管理下で電解処理を実施して、亜鉛を生成する。
【0036】
この実施例1の金属精錬方法では、金属塩化物が塩化亜鉛で、電解処理により、亜鉛を生成するものであるため、例えば、太陽電池向けの多結晶シリコンを四塩化珪素の亜鉛還元法により製造した際に幅生成物として排出される塩化亜鉛から、亜鉛を効率良く回収して、多結晶シリコンの製造プロセス内で再利用することが容易になる。
【0037】
また、上記実施例1の金属精錬方法では、電極部材11,12,13の上端位置から前記電解槽5の底面までの領域における電解槽5の加熱温度T1を、亜鉛の融点tmが419.5℃以上であることを考慮して、420℃≦T1≦650℃に設定し、電極部材11,12,13の上端位置より上方で前記溶融金属塩化物3の液面3aまでの領域における電解槽5の加熱温度T2を、塩化亜鉛の融点tcが283℃であることを考慮して、283℃≦T2≦383℃に設定し、溶融金属塩化物3の液面3aよりも上方の気体領域の温度T3を、室温程度に設定している。
【0038】
そのため、溶融塩化亜鉛の電解処理の際に、電極部材11,12,13の上方に位置する溶融塩化亜鉛の温度は、塩化亜鉛の融点tcの283℃から+100℃の範囲内に適切に設定され、溶融塩化亜鉛の液面3aよりも上方の気体領域の温度は室温程度に適切に設定され、溶融塩化亜鉛の液面3aよりも上方の気体領域が溶融塩化亜鉛に対して冷却効果を発揮するため、溶融塩化亜鉛の液面3a付近の温度を確実に所望温度以下に抑止して、溶融塩化亜鉛の液面3aからの蒸発をより確実に防止することができる。
【0039】
したがって、溶融塩化亜鉛の電解反応により亜鉛を生成する際に、亜鉛の回収効率を高めることができ、また、蒸発した塩化亜鉛が塩素排出路27内に付着することを防止することができる。
【0040】
以上説明した本実施形態の溶融塩電解装置1及び金属精錬方法は、次のような場面において、特に効果的である。
【0041】
塩化物法により多結晶シリコンを製造する際には、シリコンの塩化物(例えば、四塩化珪素や三塩化シラン)を亜鉛で還元して多結晶シリコンを得ると共に、還元用の亜鉛は塩化亜鉛として取り出される。そして、塩化亜鉛を電解することにより純亜鉛を得て、この純亜鉛を再びシリコン塩化物の還元に用いることができる。この塩化亜鉛を電解する工程において、本実施形態の溶融塩電解装置1および金属精錬方法が好適に用いられる。
【0042】
なお、上記の一実施形態に示した溶融塩電解装置1や金属精錬方法の用途は、塩化亜鉛の電解に限らない。塩化亜鉛以外の各種の金属塩化物に対して、電解により金属と塩素ガスとを分離回収する場合に使用すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(A)は本発明に係る金属精錬方法を実施する溶融塩電解装置の実施形態例の概略構成を示す縦断面図、(B)は図1(A)に示した溶融塩電解装置において本発明に係る金属精錬方法を実施する場合に設定する電解槽内の温度のグラフ図である。
【符号の説明】
【0044】
1 溶融塩電解装置
3 溶融金属塩化物
3a 液面
5 電解槽
7,8,9 ヒータ(熱源)
11,12,13 電極部材
15 断熱壁
17 蓋部材
21 塩化物導入路
23 気体空間
25 気体導入路
27 塩素排出路
29 生成金属回収路
30A,30B 通電棒
31 非導通部材
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成19年5月11日(2007.5.11)
【代理人】 【識別番号】100116182
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 照雄


【公開番号】 特開2008−280594(P2008−280594A)
【公開日】 平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願番号】 特願2007−127345(P2007−127345)