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【発明の名称】 電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法
【発明者】 【氏名】牧 公一

【氏名】金田 貴光

【氏名】上野 明

【要約】 【課題】搬送時における電気銅自体のずれや停止位置のずれを防止すると共に、ベルトコンベアを用いた従来の搬送装置の場合のような煩わしいメンテナンスを不要とすることが可能な電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法を提供する。

【解決手段】電解製錬により精製された電着金属2を陰極板1から剥ぎ取り、剥ぎ取られた電着金属2を搬送する電着金属搬送装置10において、陰極板1から剥ぎ取られ、2枚1組に重ねられた電着金属2をウォーキングビーム式の搬送手段10によって搬送するようにしたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解製錬により精製された電着金属を陰極板から剥ぎ取り、剥ぎ取られた前記電着金属を搬送する電着金属搬送装置において、
前記陰極板から剥ぎ取られ、2枚1組に重ねられた前記電着金属をウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送するようにしたことを特徴とする電着金属搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電着金属搬送装置において、
前記ウォーキングビーム式の搬送手段は、前記電着金属を載置して搬送を開始する搬送開始位置からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了位置に至るまでの間に中継点がない連続したビームを備えていることを特徴とする電着金属搬送装置。
【請求項3】
電解製錬により精製された電着金属を陰極板から剥ぎ取り、剥ぎ取られた前記電着金属を搬送する電着金属搬送方法において、
剥ぎ取られた前記電着金属を2枚1組にして重ねてウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送するようにしたことを特徴とする電着金属搬送方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電着金属搬送方法において、
前記電着金属を載置して搬送を開始する搬送開始位置からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了位置に至るまでの間に中継点がない連続したビームを備えたウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送することを特徴とする電着金属搬送方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は,電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法に関し、さらに詳しくは、電解製錬により精製された電着金属を陰極板から剥ぎ取り、剥ぎ取られた電着金属を搬送する際の電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ISA方式によるパーマネントカソード(PC)を用いた金属の電解製錬、例えば、銅の電解製錬は、電解液が貯えられた電解槽中に多数のステンレス製の陰極板(カソード板)と、粗銅を鋳込んだ陽極板(アノード板)とを交互に浸漬して通電することにより、陰極板の両面に電気銅を電着させることによって行なわれる。そして、陰極板表面に電着した電気銅は、剥取装置によって剥ぎ取られ製品とされる。具体的には、図1に示すように、陰極板1はステンレス製の板状材で、その両サイド部には合成樹脂製のプロクテクタ5が嵌め込まれると共に、上端部にはクロスバー4が設けられている。また、クロスバー4の下部には2つの窓部3、3が設けられており、この窓部3、3に図示しない電極板搬送装置のフックを掛止することにより電解槽への装入及び取り出し並びに搬送が行なわれるようになっている。ステンレス製の陰極板1は、丈夫で且つ繰り返し使用が可能であると共に、平面性が良いことから電解製錬時のショートが起きにくいという利点があることから近年広く採用されるに至っている。そして、陰極板1の両面からそれぞれ剥ぎ取られた電気銅は2枚一組として搬送装置によって運ばれ、平面性を確保するためのフラットプレス、さらに電気銅を波打ったような凹凸を付すためのコルゲーションが行われて製品として供されることとなる。
【0003】
従来の電気銅板の回収システムとしては、例えば、特開2005−240146号(特許文献1)がある。この電気銅板回収システムは、電解製錬が終了し、表面に電気銅が析出したSUS板との合板が搬入される合板搬入部と、これら合板を洗浄する洗浄装置と、SUS板から電気銅板を引き剥がす剥取装置と、引き剥がし後のSUS板を回収するSUS搬出部と、剥取工程中に引き剥がしに失敗した不良品を摘出する不良品摘出部と、引き剥がし後の電気銅板を接合する接合装置と、接合された電気銅板を積載して保持する積載装置と、積層された電気銅板を梱包する梱包装置と、梱包後の電気銅板を回収する銅板搬出部とを含み、それぞれの装置又は搬入・搬出部の間には、搬送コンベアが設けられて構成されている。
【0004】
また、他の電気銅搬送システムとしては特開平11−92986号(特許文献2)がある。この電気銅搬送システムは、電解精製によって得られた電気銅を受け入れて次工程に送ると共に必要に応じて一時的に滞留させる受入コンベアと、最終処理が終了した電気銅を受けとって外部に搬出すると共に必要に応じて一時的に滞留させる搬出コンベアと、前記受入コンベアの電気銅を取り出して前記搬出コンベアまで搬送する搬送コンベアと、を少なくとも有する電気銅搬送システムにおいて、前記搬送コンベアのいずれかの部位に、該搬送コンベアで搬送される電気銅を順次洗浄する電気銅洗浄装置を設けたことを特徴とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2005−240146号公報
【特許文献2】特開平11−92986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電気銅板の回収システムや電気銅搬送装置では、電気銅を搬送するのにベルト式やチェーン式のコンベアが用いられていた。そのため、ベルトやチェーン等の張りを常に調整しておかないとコンベアの停止位置がずれるおそれがあった。また、コンベアに載置された2枚1組の電気銅が互いにずれたり、電気銅自体の位置ずれを起こすことがあり、その都度位置合わせをし直さなければならないという問題もあった。そのため、フラットプレスやコルゲーションに支障をきたすことがあり作業負担が大きかった。また、ベルトコンベアでは搬送時に生じる振動のために装置自身のボルトの緩みが発生することがあり、搬送装置全体のメンテナンスに負担がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、搬送時における電気銅自体のずれや停止位置のずれを防止すると共に、ベルトコンベアを用いた従来の搬送装置の場合のような煩わしいメンテナンスを不要とすることが可能な電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、電解製錬により精製された電着金属を陰極板から剥ぎ取り、剥ぎ取られた電着金属を搬送する電着金属搬送装置において、陰極板から剥ぎ取られ、2枚1組に重ねられた電着金属をウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送するようにしたことを特徴とする。
陰極板の両側から剥ぎ取られた電着金属、例えば、電気銅を2枚1組にして重ね、ウォーキングビーム式のコンベアによって搬送する。これまで電解製錬における電着金属の搬送においてウォーキングビーム式のコンベアに着目した例はなく、かかる搬送手段を採用することによって停止位置のずれや電気銅自体のずれを効果的に防止することが可能となる。
【0009】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電着金属搬送装置において、ウォーキングビーム式の搬送手段は、電着金属を載置して搬送を開始する搬送開始位置からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了位置に至るまでの間に中継点がない連続したビームを備えていることを特徴とする。
ウォーキングビーム式の搬送手段は、中継点を設けることなく連続したビームによって形成されている。従って、搬送開始からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了までが一連の動作で、しかもずれなく完了する。
【0010】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、電解製錬により精製された電着金属を陰極板から剥ぎ取り、剥ぎ取られた電着金属を搬送する電着金属搬送方法において、剥ぎ取られた電着金属を2枚1組にして重ねてウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送するようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の電着金属搬送方法において、電着金属を載置して搬送を開始する搬送開始位置からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了位置に至るまでの間に中継点がない連続したビームを備えたウォーキングビーム式の搬送手段によって搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法によれば、ウォーキングビーム式のコンベアによって陰極板の両側から剥ぎ取られた電着金属、例えば、電気銅を2枚1組にして重ねて搬送することとしたので、停止位置のずれや電気銅自体のずれを防止することが可能となるという効果がある。
また、本発明に係る電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法によれば、
ウォーキングビーム式の搬送手段は、中継点を設けることなく連続したビームを備えているので、搬送開始からフラットプレス及びコルゲーションを終了して搬出する搬送終了までが一連の動作で、しかもずれなく完了するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。図2は電着金属の回収システムの一実施形態の概要図、図3は本発明に係る電着金属搬送装置の一実施形態の側面図、図4は図3の電着金属搬送装置の平面図、図5は搬送の様子を示す図である。
【0014】
はじめに、電着金属である電気銅を回収するシステムの概要について図2に基づいて説明する。電気銅を回収するシステム100は、図1に示すような表面に電気銅2が析出したステンレス製の陰極板1(以下、「合板A」という)がロードイントロリーによって搬入される搬入部101と、搬入された合板Aを洗浄する洗浄装置102と、洗浄した合板Aをトラバースコンベアに移載してチゼリングにより合板Aから電気銅2を引き剥がす剥取装置103と、電気銅2が引き剥がされた後の陰極板1を回収する陰極板搬出部104と、不良の陰極板1を除去する不良品摘出部105と、引き剥がされた電気銅板を2枚1組に重ね合わせる重合装置107と、重ね合わされた電気銅2を搬送する電着金属搬送装置である電気銅搬送装置10と、電気銅搬送装置10によって搬送しながらフラットプレス及びコルゲーションを行うプレス装置108と、プレスが終わった電気銅2を所定の枚数ずつ積載して秤量し、ラベリング、結束、マーキング等を行った後梱包し、梱包後の電気銅2を回収する銅板搬出部109とを含んで構成されている。
【0015】
次にこの電気銅を回収するシステムの動作の概要について説明する。まず、合板Aがロードイントロリーによって吊り下げられた状態で搬入部101に搬入される。搬入された合板Aは、図示しない搬送コンベアにより合板A表面に対して垂直な方向に搬送されながら洗浄装置102まで運ばれる。そして、合板Aは洗浄装置102によって所定の枚数毎に同時に洗浄が行なわれる。洗浄された合板Aは、図示しない搬送コンベアにより搬送され、今度はトラバースコンベアにより合板Aの搬送方向を合板面に対して平行な方向(すなわちクロスバー4の軸方向)に偏向して1枚ずつ連続的に剥取装置103まで搬送される。
【0016】
剥取装置103は、合板Aを1枚ずつ受け取ると、陰極板1から電気銅2を引き剥がして両者を分離し、陰極板1は陰極板搬出部104に送られて再度電解製錬に供せられる。尚、不良の陰極板1は不良品摘出部105によってラインから除かれる。一方、引き剥がされた電気銅2は重合装置107によって2枚1組に重ね合わせられると共に、少なくとも2箇所以上の位置で適当な方法にて接合を行い固定されて電気銅搬送装置10に移載される。2枚1組に重ね合された電気銅2は、電気銅搬送装置10によって搬送されつつプレス装置108によってフラットプレス及びコルゲーションが行われる。そして、プレスが終わった電気銅2は所定の枚数ずつ積載して秤量し、ラベリング、結束、マーキング等を行った後梱包され、銅板搬出部109から回収される。
【0017】
本発明に係る電着金属搬送装置は、例えば、上述したような構成及び動作を行なう電気銅の回収システムにおける電気銅搬送装置10に関するものである。すなわち、図3及び図4に示すように、2枚1組に重ね合された電気銅2を搬送しつつプレス装置108によるフラットプレス及びコルゲーションが行われる一連の動作を継ぎ目なく連続して行なうことが可能な搬送装置である。図示された電気銅搬送装置10は、ウォーキングビーム式の搬送装置であり、少なくとも搬送開始地点から搬出地点に至る長さを有する水平ビーム12と、所定のストロークで搬送方向における前後及び上下に可動可能に配置された可動ビーム11と、可動ビーム11と水平ビーム12とを所定の位置において連結する複数のリンク13と、可動ビーム11の外側に位置し合板Aを支持する支持ビーム15を備えて構成されている。
【0018】
支持ビーム15には、電気銅2を定位置に載置するためのピン15aがストロークに対応した位置にそれぞれ配置されており(図5参照)、同様にして可動ビーム11にもピン11aが配置されている。そして、このピン11a及びピン15aにより、電気銅2は可動ビーム11と支持ビーム15との交互の乗せ替えが行われるたびに位置合わせが行われることになる。
また、水平ビーム12を搬送(水平)方向における前後に可動させる油圧シリンダ16と、可動ビーム11を搬送(水平)方向における前後に可動させる送り機構を構成するモータ19、ラック18及びピニオン17を備えている。
【0019】
さらに、電気銅搬送装置10には、2枚1組に重ね合された電気銅2の両側を押圧して両者をきちんと揃えて正しい位置に配置させるための幅寄装置23と、搬送されてきた電気銅2を90°回転させるターン機構25と、平面性を確保するためのフラットプレス装置108a、さらに電気銅を波打ったような凹凸を付すためのコルゲーション装置108cを備えている。尚、図2に示された電気銅搬送装置10には、予備のプレス装置として予備プレス装置108bが備えられている。
【0020】
上述した電気銅搬送装置10の動作について図5を参照しつつ説明する。まず、図5(a)に示すように、電気銅2は支持ビーム15の所定位置に載置された状態となっている。そして、油圧シリンダ16を動作させて水平ビーム12を搬送方向に対して後ろ側(図における左側)に移動させる。すると、リンク13が立ち上がった状態となりそれによって可動ビーム11が上方側に移動させられる(図5(b))。このとき、可動ビーム11は支持ビーム15よりも上側に至る位置まで上昇するようになっているので電気銅2は可動ビーム11によって運ばれ支持ビーム15から離れる。この状態において、モータ19によるピニオン17の回転によりラック18が搬送方向(図における右側)に可動され、それに伴って可動ビーム11も搬送方向に移動する(図5(c))。
【0021】
そして、可動ビーム11が1ストローク分移動したら今度は油圧シリンダ16を動作させて水平ビーム12を搬送方向に対して前側(図における右側)に移動させる。すると、これまでリンク13が立ち上がった状態であったものが再び横倒しの状態となり、それによって可動ビーム11が下方側に移動させられる(図5(d))。このとき、可動ビーム11は支持ビーム15よりも下側に至る位置まで下降するようになっているので電気銅2は可動ビーム11が支持ビーム15の高さ位置を通過する際、可動ビーム11から離れて支持ビーム15によって支持されることになる(図5(e))。以後、これを順次繰り返すことによって電気銅2は幅寄装置23、ターン機構25を通過し、フラットプレス装置108a及びコルゲーション装置108cに至り、それぞれプレスが行われた後、秤量、ラベリング、結束、マーキングが行われた後梱包され、銅板搬出部10
9から搬出される。
【0022】
このように、本発明に係る電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法によれば、ウォーキングビーム式のコンベアによって陰極板の両側から剥ぎ取られた電着金属、例えば、電気銅を2枚1組にして重ねて搬送することとしたので、停止位置のずれや電気銅自体のずれを防止することが可能な電着金属搬送装置及び電着金属搬送方法を実現することができる。
【0023】
以上のように、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パーマネントカソードを示す斜視図である。
【図2】電着金属の回収システムの一実施形態の概要図である。
【図3】本発明に係る電着金属搬送装置の一実施形態の側面図である。
【図4】図3に示す電着金属搬送装置の平面図である。
【図5】(a)〜(e)はそれぞれ電気銅の搬送の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 陰極板
2 電着金属
3 窓部
4 クロスバー
5 プロテクタ
10 電気銅搬送装置
11 可動ビーム
12 水平ビーム
13 リンク
15 支持ビーム
16 油圧シリンダ
17 ピニオン
18 ラック
19 モータ
23 幅寄装置
25 ターン機構
108a フラットプレス装置
108b 予備プレス装置
108c コルゲーション装置
【出願人】 【識別番号】591007860
【氏名又は名称】日鉱金属株式会社
【出願日】 平成19年3月20日(2007.3.20)
【代理人】 【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一


【公開番号】 特開2008−231500(P2008−231500A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−72176(P2007−72176)