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【発明の名称】 ESR加熱を用いた溶融塩電解による合金インゴットの製造方法
【発明者】 【氏名】竹中 俊英

【氏名】川上 正博

【氏名】小野 有一

【要約】 【課題】金属酸化物を原料として溶融塩電解により効率良く合金インゴットを製造する方法を提供する。

【解決手段】溶融塩電解による合金インゴットの製造方法であって、合金の母相を構成する金属および合金成分を構成する金属のそれぞれの酸化物を溶融塩に溶解させ、溶融塩に通電して上記酸化物を溶融塩電解することを特徴とする合金インゴットの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融塩電解による合金インゴットの製造方法であって、上記合金の母相を構成する金属(以下、「母相金属」と呼ぶ場合がある)および合金成分を構成する金属(以下、「成分金属」と呼ぶ場合がある)のそれぞれの酸化物を溶融塩に溶解させ、上記溶融塩に通電して上記酸化物を溶融塩電解することを特徴とする合金インゴットの製造方法。
【請求項2】
前記溶融塩が、酸化カルシウムおよびフッ化カルシウムから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の合金インゴットの製造方法。
【請求項3】
前記母相金属が、チタン、ニオブ、タンタルのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の合金インゴットの製造方法。
【請求項4】
前記成分金属が、アルミニウム、バナジウム、ニッケル、鉄、シリコンまたはモリブデンの中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の合金インゴットの製造方法。
【請求項5】
前記溶融塩に浸漬配置された陽極を構成する炭素電極と、上記溶融塩を保持した水冷銅容器の底部に配置した陰極を構成する合金インゴットとの間に通電することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合金インゴットの製造方法。
















【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融塩電解による金属酸化物からの合金の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属チタンは、従来航空機用機体材料や構成部品に多く用いられており、また、近年、用途開発が進み、建材や道路、あるいはスポーツ用品等に幅広く用いられている。従来、金属チタンは、四塩化チタンを溶融マグネシウムで還元してスポンジチタンを得るクロール法により製造されており、種々の改良の積み重ねにより製造コストの削減が図られてきた。しかしながら、クロール法は、一連の操作を非連続的に繰り返すバッチプロセスであるため、効率化にも限界があった。
【0003】
上記のような状況に対し、溶融塩中にて酸化チタンを金属カルシウムで還元して直接金属チタンを製造するというFFC法(例えば特許文献1参照)や、酸化チタンを溶融塩中にて金属カルシウムで還元して金属チタンを回収し、副生した酸化カルシウムは塩素化して塩化カルシウムとし、これを溶融塩電解して金属カルシウムを回収するという技術(例えば特許文献2参照)が開示されている。これら技術は共に酸化チタンを出発原料として金属チタンを製造する方法として注目されている。
【0004】
しかしながら、いずれの方法においても、生成されるチタンは塩浴を含有する純度の低い固体チタンであるので、チタンインゴットを得るためには電解生成した固体のチタンから塩浴を分離除去し、更に溶解工程が必要となる。
【0005】
上記した問題を解消すべく、酸化チタンを溶解した溶融塩をチタンの融点以上に加熱し、前記溶融塩を電解して溶融チタンを生成させ、これを電解層底部に沈降浸漬させてチタンインゴットを直接製造する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、この方法においては、純度の高いチタンインゴットは得られるものの、溶融塩電解の電流効率が低く、改善が求められていた。このように、酸化チタンを原料として効率良く金属チタンインゴットを製造する技術が望まれている。
【0007】
さらに、チタン合金の製造においては、クロール法で製造されたスポンジチタンをブリケット化し電子ビーム溶解あるいは前記ブリケットを組み合わせて電極を構成して真空アーク溶解することにより製造されているが、複数の工程が多岐に亘りコスト改善が求められている。上述のいずれの文献においても、合金製造に関する記載は見当たらない。このように、酸化チタンを出発原料としてチタン合金インゴットを効率良く製造する技術が求められている。
【0008】
【特許文献1】WO99/064638号
【特許文献2】特開2003−129268号公報
【特許文献3】特開平06−146049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、金属酸化物を原料として溶融塩電解により効率良く合金インゴットを製造する方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる実情に鑑みて鋭意検討を重ねてきたところ、溶融塩電解による合金インゴットの製造方法であって前記合金の母相金属(主成分である母相を構成する金属)および成分金属(母相に添加される合金成分を構成する金属)のそれぞれの酸化物を溶融塩に溶解させつつ、前記溶融塩に浸漬配置させた炭素電極と前記溶融塩電解を行う容器の底部に配置した合金インゴットとの間に通電加熱することにより合金インゴットを効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明に係る合金インゴットの製造方法は、溶融塩電解による合金インゴットの製造方法であって、上記合金の母相を構成する金属および合金成分を構成する金属のそれぞれの酸化物を溶融塩に溶解させ、溶融塩に通電して酸化物を溶融塩電解することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係る合金インゴットの製造方法は、前記陰極室の底部に配置した陰極としての合金インゴットの頂部と前記陽極室に配置した陽極との間に通電することを特徴とするものである。
【0013】
前記した本発明に係る溶融塩電解槽および電解方法を用いることにより、高い電流効率を維持しつつ、純度の高い合金インゴットを効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る前記の方法を用いることにより、チタン合金のような融点が高くしかも活性の高い金属を母相金属とする合金インゴットを、金属酸化物を原料として効率よく製造することができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の最良の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明における溶融塩電解槽を示した模式図である。符号1は、冷却用の水冷銅壁から構成された電解容器であり、電解容器1内には、溶製する金属の融点以上に加熱された溶融塩浴2が保持されている。前記溶融塩浴2は、本発明においては、酸化カルシウムとフッ化カルシウムから構成することが好ましい。
【0016】
溶融塩浴2は、図示しない加熱手段によって溶融状態に保持され、また溶融塩電解の際の電圧の印加によって溶融塩浴2自体が抵抗となって発熱するので、この発熱を利用して溶融状態とすることもできる。溶融塩浴2の浴面には陽極3が浸漬配置され、溶融塩浴2の底部には陰極として機能するインゴット4が挿入配置されている。インゴット4の溶融塩浴2と接する頂部には、溶融金属プール5が形成されている。
【0017】
符号6は、電解容器1を外界から遮断する蓋であり、蓋6には、溶製する合金インゴット製造のための原料供給ノズル7が設けられている。この原料供給ノズル7からは、合金を製造するための原料が電解容器1内に供給される。原料は、合金の主成分である母相を構成する金属(母相金属)の酸化物および添加される合金成分を構成する金属(成分金属)の酸化物からなり、それぞれを所定の割合で電解容器1内へ投入する。また、蓋6には、不活性ガスを供給するための不活性ガス供給ノズル8、電解容器1内のガスを排出するための排気用ノズル9が設けられている。また、溶融塩浴2の上方には、空間部10が設けられている。
【0018】
本発明においては、高温に保持された溶融塩浴2中に合金インゴットの原料である母相金属の酸化物および成分金属の酸化物を前記溶融塩浴2中に溶解させつつ、前記溶融塩浴2中に浸漬配置させた陽極および前記溶融塩浴2を保持する溶融塩電解槽の底部に挿入保持したインゴット4との頂部との間に通電することにより前記溶融塩浴2の温度を維持しつつ、供給した両酸化物を金属に還元し、電解容器1の底部に配置したインゴット4の頂部に形成させた溶融金属プール5に合体させることができる。
【0019】
前記溶融塩浴2中に浸漬させた陽極3は、カーボンで構成することが好ましい。前記カーボン製の陽極3を用いることにより、溶融塩浴2に溶解させた母相金属の酸化物および成分金属の酸化物中の酸素は、次の(1)式および(2)式に示すような電解反応により還元されて、COおよびCOガスとして系外に分離することができる。
【0020】
C + O2− = CO + 2e ・・・(1)
C + 2O2− = CO + 4e ・・・(2)
【0021】
本発明においては、前記溶融塩浴2に浸漬配置あるいは、溶融塩電解槽の底部に挿入保持したインゴット4の頂部を陰極として用いることが好ましい。このような配置とすることにより、前記インゴット4の頂部において生成した母相金属および成分金属を前記インゴット4と合体させることができるという効果を奏するものである。ここにおいて、溶融塩電解の開始時に反応容器1の底部に挿入配置するインゴット4は、チタン材であればその種類を問わないが、溶融塩電解により生成する合金インゴットの組成と整合させた合金で予め構成しておくことにより溶製されたインゴット全体をチタン合金インゴットとして利用することができるという効果を奏する。
【0022】
前記溶融塩浴2に供給された母相金属の酸化物および成分金属の酸化物は溶解してそれぞれ母相金属イオンMn+および成分金属イオンXm+を生成し、前記インゴット4の頂部において以下に示すような(3)式および(4)式で表せる反応によって生成した母相金属Mおよび成分金属Xが溶解して合金が還元生成する。
【0023】
n+ + ne= M ・・・(3)
m+ + me= X ・・・(4)
(ここで、mおよびnは、正の整数である。)
【0024】
前記還元生成した溶融合金は、元のインゴット4の頂部と合体して一体化するように前記インゴット4の頂部を溶融状態に保持しておくことが好ましい。前記インゴット4の頂部に形成する溶融金属プール5は、溶融塩電解槽の外部から高周波電力を印加することにより比較的容易に保持することができる。
【0025】
このような溶融状態にインゴット4の頂部を保持しておくことにより、前記の電極反応で生成した母相金属Mおよび成分金属Xは、インゴット4の頂部に形成された溶融金属プール5と合体して均一なインゴットを製造することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明において製造できる合金の母相金属は、チタン、ニオブ、タンタル等のいわゆる高融点金属に対して好適に適用することができる。また、前記合金の成分金属は、アルミニウム、バナジウム、ニッケル、鉄、シリコン、あるいはモリブデン等の中から適宜選択することができる。
【0027】
よって、これらの金属酸化物を適宜組み合わせて原料とすることにより、チタン−アルミ合金、チタン−ニッケル合金、あるいはチタン−鉄合金等の合金を好適に製造することができる。
【0028】
本発明の合金製造に用いる原料は、前記したように母相金属と成分金属に対応した酸化物を一緒に用いることが好ましい。例えば、チタン合金を製造する場合には金属酸化チタンを、ニオブ合金では五酸化ニオブ、またタンタル合金では五酸化タンタルをそれぞれ母相原料として用いることが好ましい。
【0029】
前記合金の成分金属はアルミニウム、バナジウム、ニッケル、鉄、シリコン、あるいはモリブデン等の酸化物の中から選択的に適宜用いることができる。また、前記成分金属酸化物の配合量は、目的とする合金の組成により適宜選択すれば良い。
【0030】
合金を構成する母相金属の酸化物原料は、粒状あるいは顆粒状であることが好ましい。チタン合金を製造する場合には、酸化チタンを用いることが好ましく、0.1mm〜1mmの粒度範囲の酸化チタンを用いることが好ましい。このような粒度範囲の酸化チタンを原料とすることにより例えばインジェクション法により効率よく溶融塩中に供給することができる。
【0031】
合金を構成する成分金属についても、0.1mm〜1mmの粒度範囲の原料を用いることが好ましい。このような粒度の成分金属を用いることにより、効率よく溶融塩中に溶解させることができる。
【0032】
本発明に用いる溶融塩は、前記の合金原料が容易に溶解できるような成分および組成を選択しておくことが好ましい。例えば、本願発明を用いてチタン合金を溶製する場合には、酸化カルシウムとフッ化カルシウムで構成した複合塩を用いることが好ましい。前記の複合溶融塩を用いることにより、前記の母相金属酸化物および成分金属の酸化物を効率よく溶解することができるという効果を奏するものである。
前記複合塩を構成する酸化カルシウムに対するフッ化カルシウムの配合比は、溶融塩中に投入する母相金属の酸化物および成分金属酸化物の種類および配合量により、適宜選択することができるが、本願発明においては、1/1〜1/3の範囲から選択しておくことが好ましい。
【0033】
前記の複合塩を用いることにより、前記複合塩の融点を1350℃〜1500℃に調整することができる。その結果、溶融塩電解に好適な電解温度を保持するための加熱に要するエネルギーを低めに抑えることができる。
【0034】
また、合金を構成する成分金属の酸化物の添加量は、目的とする合金の組成に見合う量だけ溶融塩に供給すれば良い。
【0035】
合金を構成する母相金属および成分金属に対応した酸化物を所定量予め混合あるいはそれぞれ別個に独立して溶融塩に連続的に供給することにより、合金インゴットを連続的に製造することができる。
【0036】
次に、本願発明を実施する際に用いる溶融塩電解槽の好ましい装置構成について説明すると共に、これを用いて合金インゴットを溶製する場合の好ましい態様について図1を参照しつつ以下に述べる。
【0037】
電解槽
溶融塩電解槽Fを構成する電解容器1は、高温の溶融塩浴2に耐えるように水冷銅で構成することが好ましい。電解容器1を水冷銅で構成することにより、溶融塩浴2と接している水冷銅壁の表面には、図示しない溶融塩浴2の固相(以下、「溶融塩セルフコート層」と呼ぶ場合がある)が形成される。前記溶融塩セルフコート層は、高温にある溶融塩浴2から電解容器1を構成する水冷銅壁を効果的に保護することができるという好ましい効果を発揮する。
【0038】
溶融塩セルフコート層の厚みは、電解容器1を構成する水冷銅壁への入熱と抜熱とのバランスから決定されるが、本発明においては、溶融塩セルフコート層の厚みを2〜5mm程度に制御することが好ましい。
【0039】
溶融塩セルフコート層は、厚いほど保護機能が増加するが、溶融塩浴2の温度が低下して好ましくない。一方、溶融塩セルフコート層が薄いと、高温の溶融塩浴2が水冷銅壁を損傷するなど保護層としての機能が低下して好ましくない。よって、溶融塩セルフコート層は上記範囲の厚みに制御しておくことが好ましい。
【0040】
電解容器1は、蓋6で大気と遮断するよう構成し、前記蓋6には、雰囲気調整用の不活性ガス供給用ノズル8と排気用ノズル9を設けておくことが好ましい。前記の装置構成をとることにより溶融塩電解槽Fの内部を不活性ガス雰囲気に保持することができる。その結果、カーボンで構成された陽極3の損耗を効果的に抑制することができる。
【0041】
溶融塩浴2上の空間部10には、還元反応で生成したCOおよびCOガスが存在する。前記COガスは、陽極3を構成するカーボンと接触すると、温度によってはCOガスとのカーボンソリューション反応を起こし陽極3が損耗を受ける場合がありその傾向は低温ほど起こりやすいことが知られている。
【0042】
よって、前記空間部10の温度は、カーボンソリューション反応が起こり難いと思われる500℃以上に保持されるように蓋部6を断熱壁で構成することが好ましい。また、陽極3をセラミックあるいは石英管等で覆い、溶融塩浴2から発生するCOガスと接触しないように構成しておくことがより好ましい。
【0043】
電極(陽極・陰極)
陽極3は、蓋6の頂部から下方に向かって貫通配置され、容器1内に保持されている溶融塩浴2に浸漬配置されている。また、前記陽極3は、グラファイトで構成することにより、溶融塩浴2に溶解している酸素イオンの還元剤として効果的に機能させることができる。
【0044】
陽極3を構成するカーボンは還元剤として機能するため運転時間に比例して消耗する。このため時間の経過と共に陰極4を構成する溶融金属プール5と次第に乖離する傾向を示し所定の電流を流すために必要な電圧が上昇する。よって、運転時間の経過に伴って下方に移動できるように陽極3を構成しておくことが好ましい。
【0045】
本願発明に用いる溶融塩は、前記したようにフッ化カルシウムと酸化カルシウムに加えて、合金成分金属に対応した酸化物を添加しているために、前記溶融塩の抵抗値が従来に比べて高めに設定することができる。
【0046】
よって、従来と同じ電圧を印加したとしても、高いジュール熱を発生させることが可能となり、溶融塩浴2を比較的容易に溶融状態に保持することができるという効果を奏するものである。
【0047】
また、溶融塩浴2中に供給された母相金属酸化物および成分金属酸化物は短時間のうちに溶融塩浴2中に溶解して、それぞれ金属イオンと酸素イオンに分かれて、前記酸素イオンは、陽極3を構成するカーボンによって還元されてCOおよびCOガスとなってノズル9を経由して系外に排出される。一方、前記金属イオンは、溶融金属プール5にて溶融金属を生成して溶融金属プール5と合体した後、電解容器1を構成する水冷銅壁より冷却されて合金インゴットとして引抜かれる。
【0048】
原料供給
合金インゴットの原料である母相金属および成分金属に対応した酸化物は、それぞれ蓋6の側壁に付設した原料供給ノズル7より溶融塩浴2中に供給することができる。前記原料は予め予熱しておいてもよい。その結果、原料投入の際に起こりうる溶融塩浴2の温度低下を効果的に抑制することができる。
【0049】
また、酸化チタンのようの前記母相金属に対応した酸化物が、粉末あるいは顆粒状である場合には、インジェクション法を併用することにより、効率よく溶融塩浴2中に供給することができる。
【0050】
生成インゴットの引抜き
電解容器1の底部には、陰極を兼ねたインゴット4が挿入配置されている。また、前記インゴット4の頂部には、溶融金属プール5が形成されるように構成することが好ましい。
【0051】
溶融金属プール5は、溶融塩浴2に浸漬配置した陽極3と陰極を兼ねたインゴット4との間に直流電流を通電することで溶融塩浴2が抵抗発熱することにより加熱形成される。また、溶融金属プール5に対応した電解容器1の外部に高周波コイルを配設することにより、前記溶融金属プール5に高周波電力を印加することができる。その結果、前記溶融金属プール5を所定温度に維持することができる
【0052】
溶融塩中に溶解している母相金属イオンおよび合金成分金属イオンは、前記したように陰極構成する溶融金属プール5から電子の供給を受けて、金属チタンおよび合金成分金属を生成する。生成した前記金属チタンおよび合金成分金属は溶融金属プール5と合体して合金を生成する。
【0053】
溶融塩浴2中で生成した金属チタンおよび合金成分金属は、インゴット4の頂部に形成された溶融金属プール5に合体するため溶融金属プール5の溶融領域が上昇する。
【0054】
そこでインゴット4の下端部に係合した図示しない引抜き装置を作動させて、溶融合金の生成速度に見合う速度で、前記インゴット4を下方に連続的引抜くことが好ましい。前記した操作を行うことにより、溶融金属プール5のレベルを一定に保持しつつ、連続的に合金インゴットを製造することができる。
【0055】
溶製された合金インゴットは適当な長さのところで切断し製品インゴットにすることができる。残りのインゴットの切断面には、新たに引抜き装置を係合させることにより、別のインゴットを溶製することができる。
【0056】
以上述べた本実施態様あるいは本発明に従った溶融塩電解方法を用いることにより、チタン−アルミ合金等の合金インゴットを効率よく製造することができるという効果を奏するものである。
【実施例】
【0057】
[実施例1]
図1の装置構成を用いて次の条件で溶融塩電解によるチタン―アルミ合金を製造した。
1)装置構成
電解容器(側壁):円筒形状水冷銅壁(外径:180mm)
陽極1:グラファイト(外径:60mm)
陰極2:純チタンインゴット(外径:110mm、JIS1種相当品)
2)通電量
陽極〜陰極間:10〜20KA
3)溶融塩浴
組成:CaF:CaO=5:2(重量比)
浴温度:1700〜2000℃
4)酸化チタン(母相金属材料)
純度:99%
粒度:0.1mm〜1.0mm
投入量:溶融塩浴重量の10%
5)酸化アルミニウム(成分金属材料)
純度:99%
粒度:0.005mm〜1mm
6)酸化チタンと酸化アルミニウムの配合比
組成:TiO:Al=1:2〜1:4(重量比)
7)結果
前記条件で溶融塩電解を2回実施しそれぞれの試験においてチタン−アルミ合金イン ゴットを生成した。生成したチタンインゴットを分析したところ、表1に示すような組成のチタン−アルミ合金が生成されていることが確認された。また電流効率も37%〜50%にあり、従来の技術に比べて高効率であることも確認された。
【0058】
[比較例1]
図1の装置構成を用い、TiOとAlの配合比は変更しないで、CaF:CaO:Alの配合比を5:2:3から6:2:2(重量比)に変更した以外は実施例1と同じ条件下で溶融塩電解を行い、合金インゴットを製造した。製造されたチタンインゴットを分析したところ、酸素や炭素の含有量が高く純チタンインゴットの品質特性を満足することができなかった。また、電流効率も30%未満であり満足の行く結果ではなかった。
【0059】
【表1】



【産業上の利用可能性】
【0060】
チタンのような融点が高くしかも活性の高い金属を母相金属とする合金インゴットを効率よく製造することができ、そのような合金製造の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の溶融塩電解による合金製造装置の模式断面図である。
【符号の説明】
【0062】
F 溶融塩電解装置
1 電解容器
2 溶融塩浴
3 陽極
4 陰極(インゴット)
5 溶融金属プール
6 蓋
7 原料供給ノズル
8 不活性ガス供給ノズル
9 排気用ノズル
10 空間部

【出願人】 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
【出願日】 平成19年2月8日(2007.2.8)
【代理人】 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生


【公開番号】 特開2008−195969(P2008−195969A)
【公開日】 平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願番号】 特願2007−28997(P2007−28997)