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【発明の名称】 電解精製された金属板の洗浄装置
【発明者】 【氏名】高津 明郎

【氏名】山口 洋平

【要約】 【課題】銅、ニッケルなどの電解精製における洗浄工程において、カソードの吊手と金属板との接合部の内側に形成されるポケット状部位に残存する電解液を効率的に除去する。

【解決手段】電解精製した金属板(1)の搬送過程で、洗浄位置に配置した多数の洗浄ノズル(3、9)から金属板(1)に向けて洗浄液を噴霧することにより、金属板(1)の洗浄を行う洗浄装置において、吊手(5)に対応する該洗浄ノズル(9)を該吊手(5)の内側に向けて該吊手(5)の通過する空間に近接して配置するとともに、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式として取り付け、可動式の洗浄ノズル(9)から噴霧される洗浄液を該吊手(5)の側方から該吊手(5)の内側へ直接到達させ、かつ該洗浄ノズル(9)と移動中のビーム(13)との接触によって該洗浄ノズル(9)の該吊手(5)に対する相対位置を変え、該洗浄ノズル(9)を自動的に退避位置に移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着面となる金属製薄板(1b)と、該金属製薄板(1b)を支持する金属製のビーム(13)と、該金属製薄板(1b)と同種の金属製で該金属製薄板(1b)と金属製のビーム(13)とをつなぐ吊手(5)とから構成されるカソード(1a)を用いて、該カソード(1a)の金属製薄板(1b)の電着面に目的金属を電着させることにより金属板(1)を電解精製し、電解精製した金属板(1)の搬送過程で、洗浄位置に配置した多数の洗浄ノズル(3、9)に主配管(7)から洗浄液を供給して、金属板(1)に向けて洗浄液を噴霧することにより、金属板(1)の洗浄を行う洗浄装置において、
吊手(5)に対応する該洗浄ノズル(9)を該吊手(5)の内側に向けて該吊手(5)の通過する空間に近接して配置するとともに、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式として取り付け、
可動式の洗浄ノズル(9)から噴霧される洗浄液を該吊手(5)の側方から該吊手(5)の内側へ直接到達させ、かつ該洗浄ノズル(9)と移動中のビーム(13)との接触によって、該洗浄ノズル(9)の該吊手(5)に対する相対位置を変え、該洗浄ノズル(9)を自動的に退避位置に移動させることを特徴とする電解精製された金属板の洗浄装置。
【請求項2】
可動式の洗浄ノズル(9)を支持する可動配管(10)と主配管(7)との連結部において、可動配管(10)を主配管(7)に対して可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の電解精製された金属板の洗浄装置。
【請求項3】
可動式の洗浄ノズル(9)を支持する可動配管(10)と主配管(7)との連結部以外の他の部分において、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の電解精製された金属板の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は電解精製された金属板の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に銅、ニッケルなどの電解精製においては、それぞれ精製目的の金属製アノード及びカソードとをクレーンによって電解槽中に交互に吊るし、該カソードに目的金属を電着させることにより製品を得ている。
【0003】
電解精製によって製造された金属板は、クレーンによって電解槽から引き上げられ、洗浄装置に搬送され、表面に残存する電解液を回収するために、及び製品の汚染を防ぐために、酸あるいは水などの洗浄液により洗浄されている。
【0004】
洗浄後の金属板は結束工程に送られ、所定枚数にまとめられ、出荷、あるいは保管されるが、例えば特許文献1(実公昭53−8011号公報)に公開されているとおり、洗浄工程と結束工程は一連の工程として連続して行われる場合が多い。この際、操業効率を向上させるため、また、後工程の結束工程において結束しやすくするために、電解精製後の金属板を重なり方向に整列させて洗浄工程の洗浄装置に装入するのが一般的である。
【0005】
図1は、従来の金属板の洗浄装置の概要図であり、図1(a)は従来の金属板の洗浄装置を側面から見た図、図1(b)は従来の金属板の洗浄装置を正面から見た図である。金属板1は、複数のカソード1aを電解槽中に平行な状態で吊るし、カソード1aの金属製薄板1bの電着面に電解精製により目的金属を電着させて製造する。なお、カソード1aは、電着面となる金属製薄板1bと、金属製薄板1bを支持する金属製のビーム13と、金属製薄板1bと同種の金属製で金属製薄板1bと金属製のビーム13とをつなぐ吊手5とから構成される。製造された金属板1は、クレーンによって、カソード1aとともに電解槽から引き上げられ、洗浄装置に搬送される。
【0006】
電解精製後の金属板1は、重なり方向に整列した状態で、カソード1aとともに搬送方向2に搬送され、洗浄装置による洗浄工程、図示しない乾燥工程、図示しない結束工程へ順に移動する。洗浄工程で洗浄装置の洗浄位置に装入された金属板1は、その搬送過程で、洗浄装置内に配置された多数の洗浄ノズル3及び洗浄液配管4により洗浄液を噴霧され、洗浄される。次に、金属板1は、カソード1aとともに図示しない乾燥工程において乾燥処理された後、搬送方向2に進み、図示しない結束工程において所定枚数にまとめられ結束される。
【0007】
ところが、従来の金属板の洗浄装置の問題点として、吊手5の近傍における洗浄不足による不具合の発生が知られている。この洗浄不足が発生すると、洗浄不足により残存した電解液成分が乾燥時に結晶として金属板1に付着し、製品である金属板1を汚染することになり、金属板1の品位、外観上の品質不具合につながる。このため、洗浄不足の不具合を解消することは洗浄工程において重要である。
【0008】
図2は、カソード1aの吊手5付近の拡大図である。図2に示すように、吊手5と金属板1との接合部の内側には、ポケット状部位6が形成される。カソード1aを電解槽中に吊るした際にポケット状部位6に入り込んだ電解液は、電解精製した金属板1を電解槽から引き上げた後も、この部位に留まって流れ落ちずに残存する。この部位に残存した電解液は、従来の金属板の洗浄装置では効率的に取り除くことが困難であるため、上記の洗浄不足が発生していた。
【0009】
ポケット状部位6に残存した電解液を効率的に取り除くためには、図1に示す洗浄ノズル3及び洗浄液配管4を、吊手5のポケット状部位6の内側に向けて吊手5に近接して配置すればよい。しかし、そうすると、金属板1の移動空間内に洗浄ノズル3及び洗浄液配管4を設置しなければならず、洗浄ノズル3が金属板1の移動を妨げる結果となるため、従来の洗浄装置では、洗浄ノズル3を吊手5に近接して配置することができなかった。このため、従来の洗浄装置では、洗浄ノズル3から噴霧される洗浄液を吊手5の側方からポケット状部位6の内側まで直接到達させることができず、ポケット状部位6を十分に洗浄することができなかった。
【0010】
一方、例えば、特許文献2(特開平11−92986号公報)には、電気銅表面を充分に洗浄するための電気銅洗浄装置が開示されている。この装置では、洗浄工程前に重ねて整列させていた電気銅を、洗浄工程において、通常の搬送方向(重なり方向)に対して横向きに1枚ずつ抜き出して移動させ、一枚ずつ洗浄装置に装入して洗浄し、結束工程に搬送する際に改めて重ねて整列させる方法を採用している。しかし、その方法では、金属板が重なり方向に整列した状態で洗浄する従来の方法に比べ、大きなスペースを必要とし、コスト的に不利になるだけでなく、洗浄装置内に配置された洗浄ノズル及び洗浄液配管は固定されて電気銅の移動を妨げないような配置となっているため、特許文献2の技術を応用して、前記の不具合を解決しょうとしても、図2に示すポケット状部位6の開口部側からポケット状部位6の内側へ洗浄液を噴霧することができず、上記の問題点の根本的な解決策とはならない。
【特許文献1】実公昭53−8011号公報
【特許文献2】特開平11−92986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような吊手の近傍における洗浄不足による不具合の発生を解決するためになされたものであり、銅、ニッケルなどの電解精製における洗浄工程において、カソードの吊手と金属板との接合部の内側に形成されるポケット状部位に残存する電解液を効率的に除去できる洗浄装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題の下に、本発明者らは、洗浄ノズルを吊手のポケット状部位の内側に向けて吊手に近接して配置することにより、上記吊手のポケット状部位に残存する電解液を効率的に除去できることを見出した。一方、洗浄ノズルを吊手のポケット状部位に近接して配置すると、洗浄ノズルの支持部分や配管系は、金属板の搬送に際して、ビームの移動経路の障害となる。そこで、本発明者らは、洗浄ノズルを吊手のポケット状部位の内側に向けて吊手に近接して配置するとともに、従来固定式であった洗浄ノズルを可動式とすることにより、ビームの移動経路の障害とならないような対策を施して、本発明を完成した。
【0013】
具体的には、請求項1の発明は、電着面となる金属製薄板(1b)と、該金属製薄板(1b)を支持する金属製のビーム(13)と、金属製薄板(1b)と同種の金属製で該金属製薄板(1b)と金属製のビーム(13)とをつなぐ吊手(5)とから構成されるカソード(1a)を用いて、該カソード(1a)の金属製薄板(1b)の電着面に目的金属を電着させることにより金属板(1)を電解精製し、電解精製した金属板(1)の搬送過程で、洗浄位置に配置した多数の洗浄ノズル(9)に主配管(7)から洗浄液を供給して、金属板(1)に向けて洗浄液を噴霧することにより、金属板(1)の洗浄を行う洗浄装置において、吊手(5)に対応する該洗浄ノズル(9)を該吊手(5)の内側に向けて該吊手(5)の通過する空間に近接して配置するとともに、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式として取り付け、洗浄ノズル(9)から噴霧される洗浄液を該吊手(5)の側方から該吊手(5)の内側へ直接到達させ、かつ洗浄ノズル(9)と移動中のビーム(13)との接触によって、該洗浄ノズル(9)の該吊手(5)に対する相対位置を変え、洗浄ノズル(9)を自動的に退避位置に移動させている。
【0014】
請求項2の発明は、該洗浄ノズル(9)を支持する可動配管(10)と主配管(7)との連結部において、可動配管(10)を主配管(7)に対して可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付けている。
【0015】
請求項3の発明は、可動配管(10)と主配管(7)との連結部以外の他の部分において、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付けている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によると、金属板(1)の洗浄を行う洗浄装置において、吊手(5)に対応する該洗浄ノズル(9)を該吊手(5)の内側に向けて該吊手(5)の通過する空間に近接して配置することにより、洗浄ノズル(9)から噴霧される洗浄液を該吊手(5)の側方から該吊手(5)の内側へ直接到達させるから、吊手(5)と金属板(1)との接合部の内側に形成されるポケット状部位(6)に残存する電解液を効率的に除去し、金属板(1)の品質を向上させることができ、その工業的価値は極めて大きい。また、該洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動式として取り付け、可動式の洗浄ノズル(9)と移動中のビーム(13)との接触によって該洗浄ノズル(9)の該吊手(5)に対する相対位置を変え、該洗浄ノズル(9)を自動的に退避位置に移動させるから、該洗浄ノズル(9)を吊手(5)のポケット状部位(6)に近接させて配置しても、金属板(1)の搬送の妨げとなることがない。さらに、ビーム(13)の移動を利用したから、可動式の洗浄ノズル(9)の退避位置への移動のために、別途駆動源を必要とせず、簡単な機構で洗浄ノズル(9)を可動式として構成できる。
【0017】
請求項2の発明によると、可動式の洗浄ノズル(9)を支持する可動配管(10)を可動配管(10)と主配管(7)との連結部において可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付け、ジョイント(8)に連結機能と可動機能を併せ持たせることにより、省スペース化を図ることができ、スペースの存在により設計の自由度が高まる。
【0018】
請求項3の発明によると、可動式の洗浄ノズル(9)を主配管(7)に対して可動配管(10)と主配管(7)の連結部以外の他の部分において可動式のジョイント(8)により回動可能に取り付けているので、主配管(7)と可動配管(10)の連結部と、ジョイント(8)の可動部とを分散することにより、機械の構造を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の電解精製された金属板の洗浄装置は、図1の従来の洗浄装置と同様に、電解精製した金属板1の搬送過程で、洗浄位置に配置した多数の洗浄ノズル3に主配管7から洗浄液を供給して、金属板1に向けて洗浄液を噴霧することにより、金属板1の洗浄を行う。カソード1aも、従来例のものと同様であり、電着面となる金属製薄板1bと、金属製薄板1bを支持する金属製のビーム13と、金属製薄板1bと同種の金属製で該金属製薄板1bと金属製のビーム13とをつなぐ吊手5とから構成される。
【0020】
そして、本発明の電解精製された金属板の洗浄装置は、多数の洗浄ノズル3の他に、特徴的な構成として、吊手5の内側部分、つまりポケット状部位6に残存する電解液を確実に除去するために、左右の吊手5に対向して、可動式の洗浄ノズル9を備えている。
【0021】
図3は、本発明の金属板の洗浄装置において、可動式の洗浄ノズル9の部分を示しており、図3(a)は金属板1の搬送方向2に対して側面から見た図であり、図3(b)は金属板1の搬送方向2に対して正面から見た図である。
【0022】
可動式の洗浄ノズル9は、吊手5の内側のポケット状部位6に向けて吊手5の通過する空間に近接して配置され、主配管7に対して連結部で可動式として取り付けられる(請求項1)。
【0023】
具体的には、可動式の洗浄ノズル9は、これを支持する可動配管10と、主配管7の分岐部7aとの連結部において可動式のジョイント8により回動可能に取り付けられる(請求項2)。この取付け状態で、可動式の洗浄ノズル9の噴霧口は、吊手5の側方、つまりポケット状部位6の開口部側に向けられている。
【0024】
なお、洗浄ノズル9は、図3のように、可動配管10と、主配管の分岐部7aとの連結部において可動式のジョイント8により回動可能に取り付けられるが、可動式のジョイント8は、可動配管10と主配管7(主配管7は分岐部7aを含む。)の連結部以外の他の部分、例えば分岐部7aの途中に設けてもよく、また分岐部7aと主配管7との分岐部分に設けることもできる(請求項3)。
【0025】
このような構成によって、可動式の洗浄ノズル9及び可動配管10は、可動式のジョイント8を回転中心として、図3(a)に示した回動範囲11でスイングする機能を有している。ここで、ジョイント8の回転軸は、ビーム13の長手方向と平行である。なお、洗浄ノズル9は、図3(b)に示すように、洗浄ノズル9の前を金属板1が通過する際に、吊手5のポケット状部位6に到達する範囲(洗浄液噴霧範囲12)に洗浄液を噴霧するように位置調整してあり、洗浄液の噴射圧もそれに適合するように調整してある。
【0026】
本発明においても、図1の従来の金属板の洗浄装置と同様に、電解精製後の金属板1は重なり方向に整列した状態で、搬送方向2に移動して、本発明の洗浄装置内に装入され、その搬送過程で、洗浄装置内に配置された図示しない多数の固定式の洗浄ノズル3および本発明の要部としての可動式の洗浄ノズル9によって洗浄液を噴霧され、洗浄される。洗浄ノズル9は、主配管7から洗浄液の供給をうける。このようにして、洗浄ノズル9から噴霧される洗浄液は、吊手5の側方から吊手5のポケット状部位6の内側へ直接到達し、ポケット状部位6に残存する電解液を効率的に除去できるようになる。
【0027】
図4は、可動式の洗浄ノズルの動作を説明する概念図である。図4において、(a)〜(h)はそれぞれ、金属板1が搬送方向2に向かって順次移動する際の、洗浄ノズル9、可動配管10及び洗浄液の噴霧範囲12と、金属板1、吊手5及びビーム13との相対的な位置関係の変化を(a)→(h)の順に示している。
【0028】
ビーム13と吊手5により吊るされた金属板1は、図4(a)のように、搬送方向2へ移動し、洗浄液噴霧範囲12に入る。なお、この状態で、洗浄ノズル9及び可動配管10は、自然に懸垂された状態となっている。この状態からさらに、金属板1が搬送方向2へ移動すると、図4(b)のように可動配管10にビーム13が接触する。この状態で、洗浄ノズル9は吊手5のポケット状部位6の開口部に最も近接し、洗浄ノズル9から噴出された洗浄液は、ポケット状部位6の開口部のほぼ正面から直接ポケット状部位6の内部へ到達し、ポケット状部位6内部に残存する電解液を外へ押し流す。
【0029】
図4(c)〜(g)は、金属板1の搬送につれて、ビーム13が洗浄ノズル9及び可動配管10を押し上げて、支えながら移動する過程を示している。このように、ビーム13は、金属板1の搬送につれて、洗浄ノズル9及び可動配管10を押し上げて、洗浄ノズル9の吊手5に対する相対位置を変え、洗浄ノズル9を自動的に退避位置に移動させる。このため、洗浄ノズル9を吊手5のポケット状部位6に近接させて配置しても、金属板1の搬送の妨げとなることがない。
【0030】
図4(g)のように、ビーム13が洗浄ノズル9の下を通過すると、洗浄ノズル9はビーム13の支えを失って、可動配管10とともにスイングして自然に懸垂された状態に戻る。図4(h)は、金属板1が通過した後、洗浄ノズル9が図示しない次の金属板1に対して図4(a)と同様な状態になっていることを示している。
【0031】
以上の通り、本発明の洗浄装置によれば、従来通り重なり方向に整列している金属板1の状況を変えることなく、吊手5のポケット状部位6に残存する電解液を効率よく洗浄することができる。
【0032】
なお、可動配管10の形状を装置の側面、つまりビーム13の長手方向から見て、例えばL字状とし、搬送方向2の逆方向に洗浄ノズル9を後退させておけば、ビーム13が可動配管10に当たる前に、洗浄ノズル9の噴霧口は、吊手5のポケット状部位6に正しく向き合う。このようにすると、噴射洗浄ノズル9の洗浄液噴霧範囲12が吊手5のポケット状部位6の中心に指向するため、ポケット状部位6に対する洗浄液噴霧時間をより多くできるので、有利である。
【0033】
また、本実施例では、可動配管10が可動部材としての機能も兼ねているが、可動配管10に代えて剛体のアームを用い、主配管7と洗浄ノズル9との接続はフレキシブルホース等を用いてもよい。
【実施例1】
【0034】
本発明の有効性を検証する目的で、本発明の洗浄装置を用いて金属板の可動式洗浄ノズル設備を製作した。図5は、可動式洗浄ノズル設備の実施例の概要図を示している。図5(a)は、可動式洗浄ノズル設備および整列されて洗浄工程に装入された複数の金属板1の平面図、図5(b)は可動式洗浄ノズル設備を金属板1の搬送方向2に対して側方から見た側面図、図5(c)は可動式洗浄ノズル設備を金属板1の搬送方向2からみた正面図である。洗浄液は、注入口14から主配管7、可動配管10を通じて洗浄ノズル9に供給される。
【0035】
図5に示すように、金属板1枚を洗浄処理するに当たり、1つの吊手5に対してそのポケット状部位6の左右から交互に合計6回にわたり洗浄液が噴霧されるよう洗浄ノズル9を配置した。
【0036】
今回製作した可動式洗浄ノズル設備を用いて、50枚の電気銅板を洗浄し、吊手5のポケット状部位6内部の洗浄状態を目視で観察した結果、50枚中46枚に電解液を成分とする結晶は観察されなかった。残る4枚については僅かに電解液の結晶の付着が観察された。
【0037】
比較のため、図1に示すような従来の洗浄装置において、金属板1枚の洗浄処理をするに当たり、1つの吊手5に対して吊手上部から左右交互に合計6回にわたり洗浄液が噴霧されるようにして、本発明の実施例と同様に50枚の電気銅板を洗浄し、吊手5のポケット状部位6内部の洗浄状態を目視で観察した。その結果、50枚中5枚に電解液を成分とする結晶は観察されなかった。残る45枚については当該部位内部に電解液の結晶の付着が観察された。
【0038】
【表1】


【0039】
表1に、本発明の洗浄装置を用いて洗浄した場合と、従来技術の洗浄装置を用いて洗浄した場合において、洗浄した後の結晶の付着状態を目視観察した結果を示す。表1から、本発明の洗浄装置についての有効性が確認できた。
【0040】
なお、本実施例では、1つの吊手5に対してそのポケット状部位6の左右から交互に洗浄液が噴霧されるように洗浄ノズル9を配置しているが、左右いずれか一方からのみ洗浄液が噴霧されるように洗浄ノズル9を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、銅の電気精製を対象として開発されたが、同様の形式で行う他金属の洗浄についても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来の金属板の洗浄装置の概要図である。
【図2】吊手付近の拡大図である。
【図3】本発明の金属板の洗浄装置の洗浄ノズル付近を示す図である。
【図4】可動式の洗浄ノズルの動作を説明する概念図である。
【図5】可動式洗浄ノズル設備の実施例の概要図である。
【符号の説明】
【0043】
1 金属板
1a カソード
1b 金属製薄板
2 搬送方向
3 洗浄ノズル
4 洗浄液配管
5 吊手
6 ポケット状部位
7 主配管
7a 主配管の分岐部
8 可動式のジョイント
9 洗浄ノズル
10 可動配管
11 回動範囲
12 洗浄液噴霧範囲
13 ビーム
14 洗浄液の注入口
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成19年1月9日(2007.1.9)
【代理人】 【識別番号】100083770
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 國男


【公開番号】 特開2008−169409(P2008−169409A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−1535(P2007−1535)