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アルミニウム合金シートの熱処理方法 - 特開2008−106370 | j-tokkyo
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【発明の名称】 アルミニウム合金シートの熱処理方法
【発明者】 【氏名】アロック・クマール・グプタ

【氏名】マイケル・ジェイ・ウィーラー

【氏名】マイケル・ジャクソン・バル

【氏名】ピエール・アッシュ・マロア

【要約】 【課題】従来の塗装と焼き付けサイクルを受ける際良好な塗料焼付け応答性を有する溶体化熱処理されたアルミニウム合金シート材料を提供すること。

【解決手段】冷間又は熱間圧延によるアルミニウム合金シートを溶体化熱処理後焼き入れ、そして実質的時効硬化が行われる前に、100から300℃(好ましくは130から270℃)の範囲のピーク温度で材料を加熱することを含む1回以上の後熱処理を合金シート材料に施し、材料をピーク温度に1分以下の期間保持し、合金をピーク温度から85℃以下に冷却する溶体化熱処理されたアルミニウム合金シート材料の生産方法。この方法で処理されたシート材料は、自動車のパネルに使用することができ、例えば、パネルの塗装や焼き付けに対してT4焼戻しからT8X焼戻しにおける降伏強さが増大するというような良好な「塗装焼き付け応答性」を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間又は冷間圧延されたAl−Mg−Si又はAl−Mg−Si−Cuの合金シート材料に、焼入れと成形と塗装及び塗装焼き付けとに引き続いて、溶体化熱処理を施すことを含み、自動車用パネルとしての使用に適した塗装がされ、成形され、溶体化熱処理されたアルミニウム合金シート材料の製造方法において、
実質的な時効硬化が焼入れ後で成形前に生じる前に、合金シート材料はその材料を100から300℃のピーク温度に加熱すること、そのピーク温度に材料を約1分未満の期間保持すること及びその合金シート材料をピーク温度から85℃以下の温度に冷却することを含む少なくとも1回の後熱処理を受け、
当該後熱処理において又は1回より多い時の最後の当該後熱処理において、当該合金シート材料を4℃/秒以上の速度で55から85℃の範囲の温度に冷却させ、さらに2℃/時間未満の速度で当該合金シート材料を周囲温度に冷却させる、ことを特徴とする溶体化熱処理アルミニウム合金シート材料の製造方法。
【請求項2】
当該材料が、当該少なくとも1回の後熱処理において130−270℃の範囲内のピーク温度に加熱されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
当該材料が当該少なくとも1回の後熱処理において10℃/分以上の速度で、当該ピーク温度に加熱されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
当該材料が、当該少なくとも1回の後熱処理において5から10℃/秒の速度で、当該ピーク温度に加熱されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
当該材料が、当該少なくとも1回の後熱処理において又は1回より多い時の最後の当該後熱処理において、上記ピーク温度から、25℃/秒以上の速度で55から85℃の範囲の温度に冷却されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
当該材料が、そのピーク温度で5秒以下の期間保持されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
当該材料が、そのピーク温度で1秒以下の期間保持されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項8】
当該材料が、焼入れに続いて且つ当該少なくとも1回の後熱処理の前において、60℃以下の温度を有することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項9】
当該少なくとも1回の後熱処理が、当該焼入れ段階の12時間以内に実施されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
当該少なくとも1回の後熱処理が、当該焼入れ段階の1時間以内に実施されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
単一の後加熱段階が、当該溶体化熱処理から12時間以内に実施され190から300℃の範囲内のピーク温度を含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項12】
2回から4回の後加熱処理段階が実施されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項13】
3回の後加熱段階が実施されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項14】
当該溶体化熱処理に引き続いて、且つ前述の少なくとも1回の後加熱段階の前に、当該材料が2%以内に引き伸ばされることを特徴とする請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の塗装焼き付け応答性を改良したアルミニウム合金シート材料の熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金シートは、車体の構成及び仕切りシート材料として、今日より広範囲に使用されており、自動車製造業者らが車体重量を減らすことで燃費が改良されることに努力している。
【0003】
伝統的に、アルミ土ウム合金は、インゴットとして直接冷硬鋳造され、又は厚いストリップ材料の形に連続鋳造され、ついで、予備的厚さに無間圧延される。
【0004】
別の作業で、ストリップは最終的な厚さに冷間圧延され、コイル状に巻き取られる。コイルは、形成したパネルを塗料の硬化の過程で強化させるために溶体化熱処理が施されなければならない。
【0005】
溶体化熱処理は、熱闘及び冷間圧延中に、母体金属から析出した可溶性合金成分全てが固溶体に溶解させるために金属を適正な高い温度(例えば480-580℃)に加熱すること、及び過飽和固溶体をつくるために周囲温度に急冷することを含む(例として、"Metallurgy for the Non-Metallurgist", published In 1987 by the American Society for Metals, pp 12-5, 12-6、参照)。そして、金属は、微細な析出物を自然形成するまでの時間、室温の状態(又は、時には、効果を促進するためにより高い温度で)に保つことにより析出硬化される。さらにその上に、金属は、車体パネルその他同種類のものを製作するために自動車製造業者に供給される前に、クリーニング、予備処理及び前下塗りをする作業に供される。
【0006】
合金シートは、製造業者に渡されるとき、楽々と且つ過度のはね返りなしに要求された形に切断又は成形するため、割合簡単に加工できることが大いに望ましい。しかしながら、シートは、これが一度成形され、通常の塗装・焼き付け処置がなされると、薄いシートが採用できて且つ良好な凹み抵抗を具備するほど相対的に硬いこともまた望まれる。合金シートが製造業者に渡されるときの状態は、T4焼戻しと呼ぱれ、塗装/焼き付けサイクル(2%引き伸ばしと、177℃の30分で焼き付けで模擬される)後の合金シートの最終状態はT8X焼戻しとして呼ぱれている。従って、目的はT4焼戻しでは相対的に低い降伏強さを持ち、T8X焼戻しでは相対的に高い降伏強さを持つ合金シートを生産することである。
【0007】
従来の時効硬化処置に先行する従来の溶体化熱処理の欠点は、いわゆる「塗装焼き付け応答性」(塗装と焼き付けによって望ましいT4焼戻しから望ましいT8焼戻しに降伏強さを変えること)が十分でないことである。
【0008】
ある先行技術の溶体化熱処理工程の別の欠点は、金属をコイルの形で処理されることを要求し、結果として(大量の金属を一度に扱わなければならないから)バッチ作業においては、加熱処理状態が制御しにくく、保持時間が長びき正確で一定な温度管理をするのが難しくなり、高い加熱速度と冷却速度を遂行することができなくなることである。
【0009】
従って、塗装焼き付け応答性(T4からT8Xへ強さの増大)を高めることができ、好ましくは連続的に、シートが処理されてコイルにされコイル処理ラインにつながるときに動いているシートの部分の上で、実行できるアルミニウム合金材料の改良された処理方法の要求がある。
【0010】
日本特許公開JP5−44000は、三菱アルミニウム株式会社が出願人であり1993年2月23日に発行されたもので、長期間の自然時効硬化後にT4降伏強さが低くされる(より良い形成能力のため)というアルミニウムシートの逆処理方法を開示している。溶体化熱処理、焼き入れと自然時効硬化に続いてアルミニウムシートは200-260℃に加熱されて、3−80秒の間ピーク金属温度に保たれる。
【0011】
日本特許公開JP5−279822は、住友軽金属工業株式会社が出願人であり、1993年10月28日に発行されたもので、塗装焼き付け応答性を改良するためにアルミニウム合金の加熱処理方法を間示している。溶体化熱処理と焼入れに続き、アルミニウム合金シートは1日以内に1時間以下の間15−120℃に加熱され、さらに1分以下の間200−30℃に加熱される。
【0012】
日本特許公開JP2−209457は、株式会社神戸製鋼所が出願人であり、1990年8月20日に発行されたもので、アルミニウムシート材料の塗装焼き付け応答性を改良するために、従来の連続焼なまし溶体化熱処理ラインの変更を開示している。再加熱装置は、溶体化熱処理及び焼入れに続き、直ぐにアルミニウムシートを再加熱するために、ラインの最終部分に加えられる。
しかしこれらの引例技術は望ましい程度には改良されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来の塗装と焼き付けサイクルを受ける際良好な塗料焼付け応答性を有する溶体化熱処理されたアルミニウム合金シート材料を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、材料の好ましいT4又はT8X焼戻しに対する有害な影響なしに、溶体化熱処理に続いて連続的床面上におけるアルミニウムシートに実施可能な金属安定化熱処理法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、材料の塗料焼付け応答性が有する、アルミニウム合金シート材料の溶体化処理直後の自然時効硬化の有害な影響を低減することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、T4焼戻しにおける低降伏強度とT8X焼戻しにおける商い降伏強度を有するアルミニウム合金シート材料を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、溶体化熱処理されたアルミニウム合金シート材料の製造方法が提供され、この方法は、熱間と冷間で圧延されたアルミニウム合金シート材料に、焼入れに先立って、溶体化熱処理を受けさせること、及び、実質的な自然時効硬化が生じる前にそのアルミニウム合金シート材料に、100から300℃の範囲(好ましくは、130−270℃の範囲)のピーク温度で材料の加熱と、そのピーク温度で1分より短い時間の保持と、そのピーク温度から85℃以下の温度へのその合金シート材料の冷却と、を含む少なくとも1回の後熱処理を受けさせ、その後熱処理において又は1回より多い時の最後のその後熱処理において、その合金シート材料を4℃/秒以上の速度で55から85℃の範囲の温度に冷却させ、さらに2℃/時間未満の速度でその合金シート材料を周囲温度に冷却させることからなる。
【0018】
本発明は、どんな析出硬化型アルミニウム合金にも、例えば、Al−Mg−Si又はA1−Mg−Si−Cu合金に、実施することができる。
【0019】
後熱処理(あるいは、1回以上される時の最初の熱処理)は、好ましくは、その最後のT8X焼戻しでの材料の降伏強度の低下を避けるために、溶体化熱処理を終えた焼入れ段階の12時間以内に始められる。より好ましいのは、後熱処理は、焼入れ段階の1時間以内に実施され、連続プロセスでは、その時間遅れは、通常はおよそ数秒に低下する。
【0020】
その結果の熱処理された材料は、組立作業、例えば、長さの切断及び/又は自動車打出し品への成形に入る前に、自然時効(即ち、室温で48時間以上保持すること)をする必要を(もし希望なら)除去するに充分に強度がある。この材料は、T4焼戻しで(1週間の自然時効後)強度が10%まで低くてもよく、T8X焼戻しでは、同じ合金から製造した従来法により製造されたシート材料に比して、50%まで強い。さらに、この方法は、望むならば、従来の乾燥、予備処理硬化とプライマー硬化の作業と合体され、これらの作業は、洗浄、予備処理、及び前下塗り作業の1部を成している。その代わりに、本発明の方法は、非塗装のシートに適用することもできる。どの場合も、本発明の熱処理は、その材料の従来の溶体化熱処理と組み合わされ、非塗装の材料も、洗浄され予備処理され前塗装された材料にも、1つの連続操業で利用さる。
【0021】
本願では、上記の開示から明らかであろうが、T4焼戻しとT8X焼戻しの語が使用される。さらに明確にするために、これらの語は、以下に幾らか詳細に記述されている。
【0022】
「T4」と呼ばれる焼戻しは、よく知られている(例えば、「アルミニウムの規格とデータ(Aluminum Standards and Data, (1984), page 11, Aluminum Association発行)」を参照)。この発明に使用されるアルミニウム合金は、溶体化熱処理の実施の後で引張強度特性が変化し続けるが、T4焼戻しは、その様な変化が相当程度生じた後であって且つ従来の塗装と焼き付けの実施によって変化がもたらされる前でのシートの引張強度特性であるとする。
【0023】
T8X焼戻しは、よくは知られていないが、ここでは、自動車パネルにより典型的に経験される加エプラス塗料硬化処理を示す177℃で30分処理をする前の引張による2%の加工したT4焼戻し材料であるとする。
【0024】
ここで使用される「塗料焼付け応答性(paint bake response)」の語は、材料が実際の塗装と焼付けの過程でT4焼戻しからT8X焼戻しに変化する時にその材料の引張強度特性の変化を意味するものとする。良好な塗料焼付け応答性は、この処理の過程で引張降伏強度の増加を最大にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
既に述べたように、本発明の方法は、標準的な溶体化熱処理と焼入れの後直ちに又は短時間後に少なくとも1回の後熱処理(即ち、低温再加熱段階)を導入する。
【0026】
本発明の望ましい効果を得るために、シート材料の温度は、溶体化熱処理を終えて焼入れ段階の後でのシート材料の温度は、最も好ましくは、約60℃以下とすべきである。シート材料は、そこで、金属が100から300℃の(好ましくは、130から270℃でその後冷却される)範囲の温度に加熱されるような1つ又は一連の後熱処理を受ける。この(または各)熱処理で、金属はピーク温度に直接に加熱されて、そのピーク温度に非常に短い居留時間保持され、次いで、ある最終温度に直接冷却される(このような処理は、温度「スパイキング(spiking)」と呼ばれている、というのは、そのような処理では温度対時間のグラフの形状が、一般的な三角形状に先の尖った、あるいは僅かに鈍い、「釘」(spike)を表すからである)。最高温度における居留時間は、好ましくは、1分以下であり、さらに好ましくは5秒以下であり、最も好ましいのは1秒以下である。この処理は、塗装焼き付応答性を最大にしながら、T4焼戻しでの金属の良好な靭性を維持する効果を有する。
【0027】
この(または各)後熱処理で、シート材料は、好ましくは、10℃/分以上の速度で(好ましくは5から10℃/秒の範囲内の速度で)定まった範囲内にあるピーク温度に直接加熱され、次いで、ピーク温度から55ないし85℃の範囲の温度に、4℃/秒以上(好ましくは25℃/秒以上)の速度で直接冷却される。
【0028】
本発明か良好な塗料焼付け応答性を維持するのになぜ有効であるかの理由は、明確には判らないが、以下の機構を含むことが理論づけられる。溶体化熱処理の過程では、無間及び冷間圧延中に形成される第2相の粒子が、平衡溶解温度(480から580℃)を越えた温度で再溶解され、この後の焼入れ段階で材料の急速な冷却が、溶質の再析出を抑制する。この段階で、材料は溶質原子と空孔とて過飽和状態にある。過飽和固溶体は、高度に不安定であり、もし従来の自然時効が実施されれば、それは分解されて、ゾーンとクラスターを形成して、材料の強度を増加させるがT8X焼戻しの強度を充分に低下させる。本発明の低温後熱処理(複数)の使用は、母材マトリックスからの硬化粒子の析出を促進して且つT8X焼戻しで合金の強度を改善するような安定なクラスターとゾーンを生成さると信じられる。実際に得られる改善の程度は、使用される合金組成とピーク温度(複数)に依存する。
【0029】
ある場合には、後熱処理(複数)に続く自然時効は、T8X焼戻しに強度の幾らかの低下をもたらすことが見出されている。このことは、上述の後熱処理に続く予備時効段階を実施することにより低減ないし除去できる。この予備時効は、好ましくは、その(又は最後の)後熱処理に続いて55から85℃の範囲の温度から、1時間に2℃より低い速度で、材料を冷却することにより行われる。このような場合には、従って、4℃/秒以上(より好ましくは、25℃/秒以上)の定速で55から85℃の範囲の温度に金属を冷却し、その後に、2℃/時間未満の速度でその金属を周囲に冷却することを含む。
【0030】
単一の後熱処理の使用は、望ましい結果を達成するのに充分であるが、この時は、定めた範囲の上側内のピーク温度で、即ち、190から300℃の範囲の温度で、金属を加熱することが好ましい。
【0031】
もっと好ましいのは、1つ以上の、例えば、2つないし4つの、低温後熱処理が使用される。最も好都合なのは、3つの低温後熱処理が、下塗りコイル製品の組立の過程で、従来実施されている洗浄/乾燥、予備処理/硬化、及び前下塗り/硬化の作業に組入れられる。これらの作業は、塗装と硬化に先立って金属を連続的に洗浄し予備処理をすることを含む。本発明において、これらの知られた段階で使用される従来の温度及び、加熱と冷却の速度を使用する代わりに、上述の温度と速度が代用される。これは、本発明に使用される温度と速度がこれらの知られた段階に適合するので、洗浄/乾燥、予備処理/硬化及び前下塗り/硬化に及ぼす有害な影響なしになされ得る。
【0032】
この必須の低温後熱処理は、冷間圧延材料を、要求される安定化再加熱段階又は複数段階を提供する上記の表面予備処理と結合して連続焼鈍溶体化加熱ライン(Contenuous Anneal Solution Heat(CASH)Line)(連続焼鈍ライン(CAL)として知られている)に通過させることにより、実施される。こうして、この作業は、好ましい実施例において、次の段階から成っている。
(1)固溶体熱処理/急速冷却
(2)レベリング
(3)洗浄/乾燥
(4)予備処理/硬化
(5)前下塗り/硬化
(6)コイル冷却
【0033】
上記(3)−(5)の何れか1つ以上の段階が、本発明による安定化熱処理と結合されてよい。
そのような一連の段階を示す典型的な温度プロフィルが、一例として添付図面の図1に示されている。この図の左側から最初の温度ピークは、溶体化熱処理(SHT)と室温(約60℃未満の温度)への急速冷却とを示している。そして、金属シートは、通常のレベリング作業により、数秒をかけて2%以下の、通常は約0.2%の、付加的な伸びを受ける。これは、波打ちを除去するために特別に配置されたロールでストリップを引っ張ることにより実施される。
【0034】
本発明による3回の後熱処理が、金属をピーク温度(105℃、130℃、240℃)で1秒以内で加熱する過程を連続して実施される。図1に示す最終段階で、シートは、約85℃の温度から2℃/時間未満の速度で制御されて冷却により実施される制御予備時効段階を受ける。商業的操業では、この段階は、事実上、連続処理の一部分にはならず、ストリップが巻き取られた後のライン外で、起きるであろう。
【0035】
図1中に使用された注釈から判るように、安定化熱処理は、従来の洗浄/乾燥、予備処理/硬化及び前下塗りの段階に組み入れられている。最終の熱処理は、最終の予備時効段階として表されている。
【0036】
本発明は、以下の実施例でより詳細に解説されるが、これらの例は、本発明の範囲を制限するものと意図するものではない。
【0037】
実施例1
表1に示す合金がこの例に使用された。これらの合金は、厚さ0.1cm(0.039インチ)を有するシートの形態であった。
【0038】
表1
使用された各種の合金の公称組成(wt%で)
【表1】


* 実験のために作製された合金
【0039】
これらの合金は、最初に溶体化熱処理されて自然時効された条件にあり、合金から引張試験片が準備された。試験片は、560℃で30秒間の再溶体化熱処理されて後急速冷却された。溶体化熱処理材料の引張特性が、自然時効の1週間後にT4焼戻しとT8X焼戻しで測定された。比較のために、溶体化熱処理と急冷後に直ちに、諸性質が測定された。
【0040】
本発明による低温熱処理の効果を調べるために、再溶体化熟処理された試験片が、コンベヤベルト炉中で100と270℃の問の温度スパイクに直ちに曝され、100℃以下に急冷された。図2は、この処理で典型的に使用された(a)から(g)の加熱プロフィルを示す。これらのプロフィルは、320℃に設定されたコンベヤベルト炉中でシートを加熱することによって得られた。
【0041】
(a)から(g)のプロフィルは、ベルト速度を次のように変化させて得られた(メータ/分(フィート/分)で表した)。即ち、(a)6.8(22.3)、(b)6.25(20.5)、(c)5.33(17.5)、(d)(4.42(14.5)、(e)3.5(11.5)、(f)2.6(8.5)、及び(g)1.68(5.5)である。熱スパイクの暴露間の遅れは、最小にした。いろいろな加熱処理の後の材料の安定性を比較するために、一週間の自然時効の有るものと無いものとの両方で、T4焼戻しとT8X焼戻しの引張試験を行った。いくつかの試験片は、周囲温度への冷却に先立って炉中で55から85℃の温度で8時間の付加的な予備時効処理が行われた。これは、実験室で試験片を使用して、55−85℃の温度でストリップを冷却し、そのコイルを2℃/時間未満の速度で冷却させる実際的状況を模擬することであった。
【0042】
引張試験は、ロボット操作型インストロン(INSTRON(登録商標))試験機を使用して、各種の焼戻した二重試験片でなされた。全伸び(EL%)は土5%だけ変化するかもしれないが、強度値は土1%の範囲の精度であることが判っている。
【0043】
溶体化熱処理され自然時効された材料
材料の引張特性は、そのままのものと、一週間の自然時効(T4)した材料と、T8X(2%引張して後、30分177℃)のものについて、表2に掲げた。
【0044】
表2
溶体化処理をした材料と1サイクル暴露した材料の引張特性
【表2】



上記の表で、PMTはピーク金属温度、YSは降伏強度、KSIはキロポンド/平方インチ、%ELは伸びパーセントを意味する
【0045】
全ての場合で、制御試験片の性質(表2を参照)は、従来の組立時の材料の典型である。そのままのAA6111材料は、625.7kg/sqcm(8.9ksi)のYSを示し、これは、T8X焼戻しで(2980.7kg/sqcm(42.4ksi)に約375%だけ増加した。1週間の自然時効の後、T4とT8X焼戻しでのYS値は、それぞれ1427.1と2102.0kg/sqcm(20.3と29.9ksi)であった。1週間の自然時効は、降伏強度を、T4焼戻しで130%だけ増加させ、T8X応答性を25%だけ低下させたことに注意すべきである。
【0046】
AA6016材料は、そのままのものとT8X焼戻しとで、それぞれ降伏強度が787.4と1975.4kg/sqcm(11.2と28.1ksi)であった。
【0047】
1週間の自然時効の後で、AA6111のように、T4焼戻し状態にある降伏強度は、1195.1kg/sqem(17ksi)に増加し、T8Xの値が1834.8kg/sqcm(26.1ksi)に増加した。しかしながら、自然時効による強度の損失の程度は、AA6111材料のそれと比較してこの場合は非常に少ないことに注意すべきである。
【0048】
他の合金の引張特性もまたAA6016とAA6111の材料によって示されたのと同じ傾向を示す。
【0049】
溶体化熱処理した材料の性質に及ぼす熱暴露の影響
1サイクル
上の表2も、コンベアベルト炉内で130℃又は240℃の温度スパイク(PMT)に曝した後のAA6016、AA6009、及びKSEの材料で実施された引張試験の結果を掲げている。期待したように、そのままの条件とT8X焼戻しとの降伏強度は、130℃又は240℃での熱スパイクの曝露により増加する。全ての場合に、240℃で熱スパイクされたAA6111を除いて、1週間の自然時効がされた材料は、制御材料と比較して、T4で10%低く、T8Xで僅かに良い。
【0050】
2サイクル
新しく溶体化熱処理した材料に及ぼす2サイクル曝露の影響が、AA6111とAA6016の材料について、調査した。以下の表3は、異なる時効条件でのこれらの材料に実施された引張試験の結果をまとめている。
【0051】
表3
溶体化熱処理と2サイクル安定化をした材料の引張特性に及ぼす1週間保持の効果
【表3】


【0052】
振り返って、1サイクル曝露の場合のように、この処理は、AA6111強度を部分的にも安定化させ、T8X焼戻しでのその最終値は、制御材料よりも一般に良く、1サイクル曝露材料には等しいか又は良い。スパイク温度の選択は、AA6111についてT8X応答性に関して非常に重要であることは、注意すべきである。一般的には、より高い温度を選択することが、熱スパイクの数よりも重要であるように思える。
【0053】
AA6016材料は、AA6111と比較すると僅かに異なった挙動をとる。この合金は、熱スパイクの温度に依存するが、T4とT8Xとでは強度の違った組合せを与える。例えば、材料が130と240℃とでそれぞれスパイクされたとき、T4状態の降伏強度はそのままの状態の強度に近いが、制御材料よりもT8Xの状態で約7%高い。1週間の自然時効の後で降伏強度は、T4焼戻しで増加するが、T8X焼戻しでは僅かに211kg/sqcm(約3ksi)低下する。
【0054】
3サイクル
以下の表4は、溶体化熱処理直後に3回スパイクされた引張試験の結果をまとめている。一般に、追加のサイクルの使用は、有意義のある程度には、材料の機械的性質を変化させない(表3と表4のデータと比較)。
【0055】
表4
溶体化熱処理と3サイクル安定化をした材料の引張特性に及ぼす1週間保持の効果
【表4】


【0056】
3サイクルと予備時効
55から85℃の範囲の温度で8時間以上の予備時効と組み合わせた熱スパイクの使用が、下の表5に示すように、T4特性とT8X特性との優れた組合せを材料に提供した。
【0057】
表5
3サイクル安定化をした(130/130/240℃)材料AA6010とAA6111の降伏強さに及ぼす予備時効の効果
【表5】


【0058】
これらの結果は、溶体化熱処理後100から240℃の範囲の温度における1つ以上の熱サイクルの使用が、熱処理可能なアルミニウム合金のT8X焼戻し特性を改良することを示している。この処理の正確な影響は、合金の種類、最高の温度(スパイク温度)の選択、及び予備時効の条件に依存している。
この例で試験された特定の合金の場合には、次のような結果が得られた。
【0059】
AA6016
(a) 1回の低温スパイク(130−240℃)は、改善されたT8X応答性を付与する。ただし、自然時効による強度の低下があり、強度は、約2179.3kg/sqcm(31ksi)で安定している。
(b) 材料が55から85℃の範囲で、1時間以上の予備時効の前に240℃でスパイクされると、T8X強度は、2460.5kg/sqcm(35ksi)に増加して、自然時効に対する安定性が改善される。
(c) 組み合わせ処理は、伸びの低下を生じないで、得られた代表的な伸び値は、25から30%である。
【0060】
AA6111
(a) 240℃でのスパイクが最良の効果のために望ましいが、自然時効による351.5kg/sqcm(5ksi9の強度の低下がある。それでも、自然時効によって低下した後のT8X強度は、制御材料より高い。
(b) 55から85℃の範囲で8時間の予備時効は、自然時効によって生じる強度低下を軽減する。この場合のT8X強度は、大きく改費布れた3163.5kg/sqcm(45ksiに近い)。
【0061】
実施例2
以下の表6は、AA6111とAA6016材料の平均的な引張特性を示すが、種々の熱スパイクと予備時効の温度を受けている。
【0062】
表6
新たに溶体化熱処理をしたAA6016の引張特性に及ぼす3段階安定化処理の影響
【表6】


*AA6111では冷水及びAA6016では強制空冷
【0063】
この表もまた、同様に従来法で製造された比較のデータを含んでいる。期待されたように、両方の材料は、室温で1週間のT8X焼戻しでの降伏強度の相当の改良を示すことが判る。これら材料の85℃で5時間の予備時効は、さらにT8Xでの降伏強度を改良する。
【0064】
商業的溶体化熱処理(SHT)操業においては、溶体化熱処理材はレベリング操作を受ける。この操作は、同様に複合的ラインを改良するのに大いに望ましい。そのような操作の効果を調べるため、AA6111とAA6016の合金が、SHT直後に異なる量の引き延ばしを受けた。下の表7は、引張試験の結果をまとめている。
【0065】
データは、1%未満の引き延ばしは、T4とT8Xでの降伏強度に何の効果もないことを示している。しかし、1%以上では、T4での強度が増加し、成形性が逆の影響を受けている。
【0066】
このデータは、T8X焼戻しでの強度改善に必要な熱スパイクが、乾燥後と予備処理後と前下塗り後と全操作の末期である高温度コイル巻取り後に、使用される乾燥と焼き付けの各段階を通じて達成されることが判った。
【0067】
表7
溶体化熱処理したAA6111とAA6016合金の引張特性に及ぼす(安定化処理前の)引き延ばし%の効果
【表7】


【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の再加熱安定化段階を合体する連続的熱処理と焼鈍(CASH)ラインのシミュレーションを示す温反対時間のグラフを表した複式的な図であり、そして、
【図2】実施例で記載したように得られる温度対時間プロフィルを示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【出願日】 平成19年12月28日(2007.12.28)
【代理人】 【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦

【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生

【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣


【公開番号】 特開2008−106370(P2008−106370A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2007−338800(P2007−338800)