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【発明の名称】 ニッケル基超合金におけるセルラガンマプライムの形成防止方法
【発明者】 【氏名】リアデ アール.クレメンス

【要約】 【課題】ニッケル基超合金鋳造品にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法を提供すること。

【解決手段】ニッケル基超合金にセルラガンマプライムを形成するのを防ぐ方法は、ニッケル基超合金を所望の製品に鋳造するステップと、鋳造品を2000°Fを超える温度と15,000psiを超える圧力とで熱間静水圧圧縮成形を行い、鋳造品の内部口を閉じるステップと、鋳造品にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル基超合金にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法であって、
ニッケル基超合金を所望の製品に鋳造するステップと、
前記鋳造品をチャンバに入れるステップと、
前記チャンバ内に置かれている間に、前記鋳造品を、2000゜F(約1111℃)を越える温度と15,000psi(約1.03×105KPa)を超える最大圧力とで熱間静水圧圧縮成形して、前記鋳造品の内部細孔を閉じるステップと、
前記鋳造品に前記セルラガンマプライムが形成されるのを防ぐステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記セルラガンマプライムの形成を防ぐステップは、一定時間、前記温度を維持しながら前記最大圧力を低下させることにより、前記熱間静水圧圧縮成形ステップを終了させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度を維持するステップが、1時間より短いが10分より長い時間、前記温度を維持することを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧力を低下させるステップが、前記熱間静水圧圧縮成形ステップで印加する最大圧力を下回る圧力から周囲圧力までのレベルに前記圧力を低下させることを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力を低下させるステップが、3,000〜5,000psi(約2.07×104〜3.45×104KPa)の範囲の圧力に、前記圧力を低下させることを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガンマプライムの形成を防ぐステップが、前記一定時間の経過後、前記鋳造品をチャンバから取り出せる温度まで、前記温度を低下させることをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記鋳造ステップは、前記ニッケル基超合金を鋳造してタービンエンジン構成要素を製造することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記鋳造ステップは、クロム12〜13重量%、コバルト8.0〜10重量%、モリブデン2.0〜3.0重量%、タングステン3.0〜5.0重量%、チタン3.0〜5.0重量%、タンタル4.0〜5.0重量%、アルミニウム3.0〜4.0重量%、ホウ素0.01〜0.02重量%、ジルコニウム0.03〜0.12重量%、ハフニウム0.4〜0.6重量%、炭素0.1〜0.15重量%、および残量を占めるニッケルから成る組成を有する前記ニッケル基超合金を鋳造することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱間静水圧圧縮成形ステップは、前記鋳造品が2165〜2215゜F(約1203〜1231℃)の範囲の温度に曝されることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル基超合金鋳造物にセルラ(cellular)ガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル基超合金鋳造物におけるセルラガンマプライムの析出は、明らかに望ましくない。
【0003】
ガンマプライムのセルラ形態は、図1で丸印を付けて示すが、あまり知られていない。幾つかのニッケル基超合金鋳造物では、熱間静水圧圧縮成形(HIP)後にセルラガンマプライムが形成される。形成された後、ガンマプライム析出物は、高温高応力下で好ましい性能を示すものとしてよく知られる重要な立方形のガンマプライムと比べて、分解しにくい。ほんの僅かなレベルでもセルラガンマプライムを含む材料のクリープ破壊試験では、寿命が大きく減少する。図2は、このような寿命の減少を示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、ニッケル基超合金鋳造物にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って本発明は、ニッケル基超合金鋳造物にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法を提供するものである。
【0006】
本発明によれば、ニッケル基超合金にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ方法は、ニッケル基超合金を所望の製品に鋳造するステップと、前記鋳造品を2000゜Fを越える温度と15,000psiを超える圧力で熱間静水圧圧縮成形して、鋳造品の内部細孔を閉じるステップと、鋳造品にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐステップと含む。
【0007】
ニッケル基超合金鋳造物にセルラガンマプライムが形成されるのを防ぐ本発明の方法の別の詳細ならびにそれに伴う別の課題および利点を以下の詳細な説明に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、タービンエンジン構成要素のような部品が、ニッケル基超合金から製造される。例えば、部品は、クロム12〜13重量%、コバルト8.0〜10重量%、モリブデン2.0〜3.0重量%、タングステン3.0〜5.0重量%、チタン3.0〜5.0重量%、タンタル4.0〜5.0重量%、アルミニウム3.0〜4.0重量%、ホウ素0.01〜0.02重量%、ジルコニウム0.03〜0.12重量%、ハフニウム0.4〜0.6重量%、炭素0.1〜0.15重量%および残量を占めるニッケルから成る組成を示す、ニッケル基超合金から製造されてよい。部品は、本技術分野で知られる任意の好適な鋳造技術を用いて製造されてよい。
【0009】
鋳造品を製造した後、鋳造品をチャンバつまり容器内に入れ、そこで熱間静水圧圧縮成形ステップを実施し、鋳造品の内部細孔を閉じる。本発明では単一の鋳造品について議論しているが、複数の鋳造品をチャンバつまり容器内に入れ、同時に熱間静水圧圧縮成形ステップを実施してよい。熱間静水圧圧縮成形ステップの間、チャンバ内は本技術分野で知られる任意の好適な雰囲気であってよく、例えばアルゴンガス雰囲気であってよい。
【0010】
熱間静水圧圧縮成形ステップは、一般的に、通常2000゜Fを超える高温と通常15,000psiを超える高圧で開始される。熱間静水圧圧縮成形ステップでの一般的な最高温度は、2165〜2215゜Fの範囲である。一定時間、通常は数時間、の後、熱間静水圧圧縮成形ステップは、1つまたは複数の鋳造品をチャンバつまり容器から取り出すのが可能となる周囲条件または安全条件に到達するまで温度と圧力をほぼ同時に低下させることで終了する。望ましくないセルラガンマプライム部が形成されるのは、この熱間静水圧圧縮成形ステップの終了の際である。
【0011】
本発明によれば、熱間静水圧圧縮成形ステップの終了方法を変化させることで、ニッケル基超合金鋳造品にセルラガンマプライム部が形成されるのを防ぐことができる。これは、更にある付加的な時間、例えば1時間未満の間、高温を保ったまま圧力だけを低下させることにより実現される。このステップを実施するには、少なくとも10分の付加的な時間が必要である。この付加的な高温期間を開始するのに十分な低圧レベルとは、熱間静水圧圧縮成形ステップの最大圧力をかなり下回る圧力から周囲圧力までの範囲であってよい。低い範囲の好ましい値は、3,000〜5,000psiである。短い減圧期間が終了したら直ちに、熱間静水圧圧縮成形ステップでの高温を、チャンバつまり容器から1つまたは複数の鋳造品を取り出すのに安全な温度まで低下させてよい。
【0012】
熱間静水圧圧縮成形ステップの終了方法を修正する目的は、ガンマプライム析出前に、変形回復および残留応力除去を行うことである。
【0013】
1つまたは複数の鋳造品をチャンバつまり容器から取り出した後、1つまたは複数の鋳造品に必要なら付加的な熱処理を施したり、付加的な仕上げ処理を行ってもよい。
【0014】
セルラガンマプライム部が無くなることにより、ニッケル基超合金から成る鋳造品の応力破断寿命が改善されるであろう。更に、微細構造もより均一になるであろう。加えて、セルラガンマプライム部が無くなることにより、製造時の割れに関する問題も排除される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ニッケル基超合金のセルラガンマプライム部を示す顕微鏡写真。
【図2】セルラガンマプライムの量の関数として相対温度1800゜Fにおける特性を示す図。
【出願人】 【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【出願日】 平成19年10月11日(2007.10.11)
【代理人】 【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛

【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔


【公開番号】 特開2008−101273(P2008−101273A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2007−265041(P2007−265041)