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【発明の名称】 耐熱性アルミニウム合金押し出し材料およびその熱処理方法
【発明者】 【氏名】中村 武義

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分組成が、Si0.1〜0.3質量%、Fe0.8〜1.5質量%、Cu2.0〜3.0質量%、 Mg1.5〜2.5質量%、Ni0.8〜1.5質量%およびTi0.01〜0.2質量%並びに残部であるAlおよび不可避的不純物からなる耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、
前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、その中心部の溶融開始温度よりも5〜15℃低い温度である第1溶体化処理温度およびその端部の溶融開始温度よりも5〜10℃低い温度である第2溶体化処理温度の2つの温度で溶体化処理を行い、水冷処理をした後、時効処理を行うことを特徴とする耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、
前記溶体化処理が、前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、前記第1溶体化処理温度で2時間保持後、前記第2溶体化処理温度で1時間保持するものであることを特徴とする耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、
前記溶体化処理において、前記第1溶体化処理温度を523℃とし、さらに前記第2溶体化処理温度を530℃とし、
前記時効処理において、前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、190℃で保持すること
を特徴とする耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法。
【請求項4】
成分組成が、Si0.1〜0.3質量%、Fe0.8〜1.5質量%、Cu2.0〜3.0質量%、 Mg1.5〜2.5質量%、Ni0.8〜1.5質量%およびTi0.01〜0.2質量%並びに残部であるAlおよび不可避的不純物からなる耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料であって、請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項に記載の熱処理方法を施したことを特徴とする耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の内燃エンジンの部品等に用いられる高温強度および高温疲労強度に優れた高耐熱性アルミニウム合金押し出し材料の熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃エンジンの効率を高め、燃費を向上させるには、高速で運動するピストン等の機関部品を軽量化して、その慣性質量を減少させることが有効である。一方、内燃エンジンにおいてピストン等の部品は高温で運動するため、高温での耐久性が必要である。そこで、自動車等の内燃エンジン用のピストン等部品には、Cu、Mg、Ni、Fe等を成分組成に含む比較的耐熱性の高いアルミニウム合金である2618合金等が使用されている。2618合金は、通常は規格温度である520℃で溶体化処理を行い、水冷した後、170〜190℃の温度で時効させるT6熱処理を施す。このT6熱処理により固溶強化および析出強化させることにより、耐熱強度を向上させている。
【0003】
特許文献1および特許文献2では、2618合金のCu、MgおよびSi量を改良した成分組成のアルミニウム合金を、525℃で2時間の溶体化処理を行い、水冷した後、175℃で24時間時効させたアルミニウム合金が開示されている。これらのアルミニウム合金は特に150℃での強度向上を図るものである。
【特許文献1】特許第3323192号公報
【特許文献2】特許第3354972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2618合金や2618合金を改良した前記アルミニウム合金は、確かに、比較的耐熱強度が高い。これらのアルミニウム合金の耐熱強度は、T6熱処理の析出強化によるものである。T6処理によりアルミニウム合金の析出強化を図るには、溶体化処理において合金元素を基材のAl固溶体相に完全に固溶させ、アルミニウム合金を均質な固溶体相とする必要がある。
【0005】
しかしながら、2618合金や前記した2618合金を改良した前記アルミニウム合金は、T6処理中の溶体化処理により、均質化されているはずであるが、従来のT6処理で必ずしも完全に合金元素が固溶された状態になっているわけではない。熱処理方法によっては、さらにこれらのアルミニウム合金の析出強化の効果を高め、耐熱強度を向上させ、これらアルミニウム合金からなる部品の高温耐久性を高めることができる可能性がある。
【0006】
本発明は、前記したように従来よりも2618合金等のアルミニウム合金の耐熱強度を向上させる課題を解決するものである。2618合金等のアルミニウム合金の熱処理方法において、より均一な固溶体を形成することにより、アルミニウム合金材料全体にわたり均一に析出強化を生じさせて、前記課題の解決を図るものである。また、2618合金等のアルミニウム合金の耐熱強度、特に高温での疲労強度を従来よりも向上させ、アルミニウム合金部品の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、成分組成が、Si0.1〜0.3質量%、Fe0.8〜1.5質量%、Cu2.0〜3.0質量%、 Mg1.5〜2.5質量%、Ni0.8〜1.5質量%およびTi0.01〜0.2質量%並びに残部であるAlおよび不可避的不純物からなる耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、その中心部の溶融開始温度よりも5〜15℃低い温度である第1溶体化処理温度(以下「Tcn」という)およびその端部の溶融開始温度よりも5〜10℃低い温度である第2溶体化処理温度(以下「Ten」という)の2つの温度で溶体化処理を行い、水冷処理をした後、時効処理を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、Tcnにおいては比較的低い温度で固溶される合金元素が拡散されて固溶され、Tenにおいては、従来は完全に固溶させることができなかった合金元素をAl基材中に固溶させることが可能になる。その結果、所定の成分組成のアルミニウム合金の押し出し材料において、従来の溶体化処理により形成される固溶体よりも均一な固溶体が形成される。その結果、水冷に続く時効処理において、前記アルミニウム合金の押し出し材料内において、転位の運動を妨げて析出強化を促進する析出物が合金材料全体により均一に析出するため、合金材料全体にわたり均一に析出強化されるとともに、合金材料全体として従来よりも大きな析出強化効果が得られる。したがって、耐熱強度、特に高温でのアルミニウム合金の押し出し材料の疲労強度の向上が図られる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、前記溶体化処理が、前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、前記Tcnで2時間保持後、前記Tenで1時間保持するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法であって、前記溶体化処理において、前記Tcnを523℃とし、さらに前記Tenを530℃とし、前記時効処理において、前記耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料を、190℃で保持することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、成分組成が、Si0.1〜0.3質量%、Fe0.8〜1.5質量%、Cu2.0〜3.0質量%、 Mg1.5〜2.5質量%、Ni0.8〜1.5質量%およびTi0.01〜0.2質量%並びに残部であるAlおよび不可避的不純物からなる耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料であって、請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項に記載の熱処理方法を施したことを特徴とする。
【0012】
請求項2乃至請求項4に記載の発明によれば、効果的に所定の成分組成のアルミニウム合金の押し出し材料全体にわたり均一な析出強化を生じさせることが可能である。その結果、高温でのこのアルミニウム合金押し出し材料の疲労強度の向上が図られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の成分組成のアルミニウム合金の押し出し材料の耐熱強度を高めることができる。その結果、アルミニウム合金の押し出し材料の自動車の内燃エンジンの部品等の高温耐久性が必要な用途への応用を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本実施形態の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料(以下「実施形態の押し出し材料」という)の熱処理方法は、表1の成分組成範囲にあるアルミニウム合金に適用されるものである。
【0015】
【表1】


【0016】
本実施形態の耐熱性アルミニウム合金の押し出し材料の熱処理方法(以下「実施形態の熱処理方法」という)は、表1の成分組成に該当する成分組成を有する合金を鋳造した鋳塊を押し出し加工した材料を用いる。この押し出し材料は、棒材、角材等の形状である。実施形態の押し出し材料の形状は特に制限のあるものではない。
【0017】
実施形態の熱処理方法では、前記押し出し材料を複数用意し、それぞれの押し出し材料について最先に押し出された部分の最先端部分の中心部および端部の材料を切り出し、示差熱分析により中心部および端部の材料それぞれの液相が発生し始める温度を測定する。ここで、液相が発生し始める温度とは、材料を加熱していったときに最初に液相が分離する温度である。実施形態の押し出し材料の場合、室温では単相の固溶体からなる材料であるから、液相が発生し始める温度は固溶体単相領域と固溶体と液相の複相領域の境界の温度に相当する。
【0018】
複数の前記押し出し材料の前記中心部について、液相が発生し始める温度を測定し、測定された前記中心部の液相が発生し始める温度の最低温度を、前記中心部の溶融開始温度Tcとする。また、複数の前記押し出し材料の前記端部について、液相が発生し始める温度を測定し、測定された前記中心部の液相が発生し始める温度の最低温度を、前記端部の溶融開始温度Teとする。
【0019】
前記押し出し材料の最先端部分の中心部および端部の溶融開始温度である、溶融開始温度TcおよびTeを基準として、実施形態の熱処理方法において、溶体化処理を行う温度を決定する。ここで実施形態の押し出し材料ではTeの方がTcよりも高い。
溶融開始温度Tcよりも5〜15℃低い温度をTcn、溶融開始温度Teよりも5〜10℃低い温度をTenとする。実施形態の熱処理方法では、TcnおよびTenを用いた2段階の溶体化処理を行う。そのため、実際に溶体化処理を行う炉の温度分布を考慮し、溶体化処理において実施形態の押し出し材料の溶融がおきないようにするため、溶融開始温度TcおよびTeよりも低い温度であるTcnおよびTenを溶体化処理温度としている。
【0020】
図1は、実施形態の熱処理方法の処理工程を示す図である。
実施形態の熱処理方法は、いわゆるT6処理と同じように、溶体化処理、水冷処理および時効処理からなる。これらの各熱処理工程のうち、水冷処理および時効処理は2618合金の通常のT6処理と同様のものである。時効処理は、人工時効処理であり自然時効は含まない。実施形態の熱処理方法の溶体化処理は、Tcnで所定時間保持した後、Tenでさらに所定時間保持するものである。Tenでの溶体化処理は、従来の2618合金の溶体化処理よりも高い温度での溶体化処理である。この溶体化処理では、Tcnの保持時間は2時間でTenの保持時間は1時間であることが好ましい。また、時効処理の温度は、190℃であることが好ましい。
【0021】
本実施形態では、所定組成のアルミニウム合金の押し出し材料用いて、中心部および端部の溶融開始温度TcおよびTeを決定している。しかし、所定の成分組成のアルミニウム合金の押し出し材料が十分に均一でばらつきが小さい材料である場合には、単一の所定組成のアルミニウム合金押し出し材料を用いて溶融開始温度TcおよびTeを決定することができる。
【0022】
本実施形態の熱処理方法の溶体化処理においては、Tcnでの保持を先に行い、Tenでの保持をその後に行う。前記したように、実施形態の押し出し材料においては、溶融開始温度Tcよりも溶融開始温度Teの方が高い。そこで、Tenの方がTcnよりも高くなるようにTenおよびTcnを選択する。ここで、Tenはできるだけ所定の成分組成において固溶限に近い温度が望ましい。Tenにおいて、従来は完全に固溶させることができなかった合金元素をAl基材の固溶体相に固溶させるためである。
【0023】
実施形態の熱処理方法を表1に示す成分組成の実施形態の押し出し材料に適用すれば、従来の2618合金に比べて、材料全体にわたり均一に析出強化を生じさせることができるとともに、材料全体として析出強化の効果を高めることができる。その結果、実施形態の押し出し材料を従来の2618合金よりも、耐熱強度、特に耐熱疲労強度を向上させることができる。
【実施例】
【0024】
実施形態の熱処理方法を施した所定の成分組成の実施形態の押し出し材料について、室温から350℃までの温度範囲での引張試験および200℃での引張圧縮疲労試験を実施した。その結果について説明する。
まず、実施例1で用いた所定成分組成の実施形態の押し出し材料の作製方法について説明する。
実施例1の押し出し材料の成分組成は、表2に示すものである。
【0025】
【表2】


【0026】
表2に示す押し出し材料の成分組成は、表1の成分組成の範囲内のものであり、2618合金に該当するものである。この成分組成のアルミニウム合金を連続鋳造し、アルミニウム合金の鋳塊を3個作製した。この3個の鋳塊に450℃にて16時間保持する均質化処理を行なった後、押し出し加工を実施し、長さ5mの押し出し棒を17本作製した。押し出し加工における、押し出し比は17であった。
【0027】
このようにして作製された各押し出し棒の最先に押し出された部分のうち押し出し加工が不安定な部分を除いた後の最先端部分の中心部および端部の材料を切り出し、示差熱分析により中心部および端部それぞれの液相が発生し始める温度を測定した。測定した17本の押し出し棒の中心部の液相が発生し始める温度のうち、最低温度は533℃であった。また測定した17本の押し出し棒の端部の液相が発生し始める温度のうち、最低温度は535℃であった。これらの中心部および端部の液相が発生し始める温度の最低温度を、それぞれ実施例1の押し出し材料の溶融開始温度Tc(533℃)およびTe(535℃)とした。溶融開始温度Tcから10℃低い温度である523℃をTcnとした。溶融開始温度Teより5℃低い温度である530℃をTenとした。溶体化処理においてTcnおよびTenで、実施例1の押し出し材料を保持した場合に液相が発生することはない。Tenでの溶体化処理は、従来の2618合金のT6処理の規格温度よりも高い温度での溶体化処理となる。
【0028】
前記した押し出し棒に図2乃至図4に示す所定の熱処理を施して、実施例1、比較例1aおよび比較例1bの押し出し棒を作製した。
図2は、実施例1の押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図であり、Tcn(523℃)で2時間保持し、さらにTen(530℃)で1時間保持する溶体化処理がなされ、水冷処理がなされた後に、190℃で18時間保持する時効処理がなされる。実施形態の熱処理方法に該当するものである。図3は、比較例1aの押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図であり、2618合金のT6処理に該当するものである。図2に示す熱処理方法との違いは、溶体化処理が520℃のみで行われる点である。図4は、比較例1bの押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図である。図2に示す熱処理方法との違いは、溶体化処理がTen(530℃)でのみ2時間保持される熱処理である点である。これら3種類の熱処理方法において、水冷処理および時効処理は、共通である。時効処理は、いずれも190℃で18時間保持する処理である。
【0029】
以上のようにして作製された実施例1、比較例1aおよび比較例1bの各押し出し棒について、室温から350℃の範囲の引張試験および200℃で応力振幅のレベルごとに引張圧縮疲労試験を実施した。引張試験は、押し出し棒から切り出した、中心部が3mm各の板形状の試験片を用いて行った。引張圧縮疲労試験は、押し出し棒から切り出した、中心部が直径3mmの棒形状の試験片を用いて行った。
図5は、実施例および比較例の各押し出し材料に室温から350℃の範囲で行った引張試験の結果を示す図である。図5(a)は破断強度の結果を示す図である。図5(b)は破断伸びを示す図である。また、図5(c)は降伏応力(σ0.2耐力)を示す図である。
【0030】
図5(a)乃至(c)から次のことがわかる。
実施例1およびTen(530℃)で2時間保持する溶体化処理がなされた比較例1bの押し出し棒は、通常のT6処理を施した比較例1aの押し出し棒に比べ、200℃までの温度では、降伏応力および破断強度が高い。一方破断伸びは、実施例1に比べ比較例1bは低い。したがって、実施例1は、比較例1aおよび比較例1bに比べて、高温での破断強度および破断伸びが優れる。
【0031】
図6は、実施例および比較例の各押し出し材料に200℃で応力振幅のレベルごとに引張圧縮疲労試験を実施した結果を示す図であり、縦軸は試験中の応力振幅を、横軸は破断までの引張・圧縮の応力負荷サイクルの繰り返し数を示す。この疲労試験において、試験片に印加される圧縮応力の引張応力に対する比は−1にした。
図6からわかるように、応力振幅が200MPa以下においては、実施例1は比較例1aおよび比較例1bのいずれよりも破断までの応力負荷サイクルの繰り返し数が多い。したがって、実施例1は比較例1aおよび比較例1bに比べて、高温での疲労強度が優れる。
【0032】
以上説明した実施例1、比較例1aおよび比較例1bと同様の鋳造・押し出し工程により作製された押し出し工程より、アルミニウム合金の成分組成および熱処理方法を変えた押し出し材料である実施例2および3、比較例2a、2b、3a、3b、4乃至6を作製し、200℃での疲労試験等を実施して評価した。これらの押し出し材料の成分組成および熱処理方法を表3に示す。実施例2と比較例2a、2bの成分組成は同一である。実施例3と比較例3a、3bの成分組成は同一である。比較例4および5は、CuとMgの含有量が表1に示す成分組成からはずれている。比較例6は、Mgの含有量が表1に示す成分組成からはずれている。実施例1および2の成分組成は、2618合金の成分組成の範囲内である(比較例1a、1b、2aおよび2bも同様である)。表3には比較のために、既に説明した実施例1、比較例1aおよび比較例1bのデータも示す。
【0033】
【表3】


【0034】
試験を実施した表3に示す試験片において、実施例1乃至3と比較例4乃至6については、実施形態の熱処理方法である図2に示す熱処理方法がなされた。比較例1a乃至3aについては、図3に示す熱処理方法である、2618合金のT6処理がなされた。また、比較例1b乃至3bについては、530℃のみで溶体化処理を行う図4に示す熱処理方法がなされた。表3に示す試験片について、200℃での疲労試験および20℃での引張試験を実施した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】


【0036】
表4から次のことがわかる。実施例1乃至3のいずれの試験片も、いずれの比較例よりも200℃における疲労強度が高い。また、実施例1乃至3の試験片の20℃における破断強度および破断伸びは、比較例に比べて低くなっているものではない。
以上から、実施形態の押し出し材料は、従来の2618合金等に比べて、200℃までの高温での耐熱強度、特に疲労強度が向上している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態の熱処理方法の処理工程を示す図である。
【図2】実施例1の押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図である。
【図3】比較例1aの押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図である。
【図4】比較例1bの押し出し棒に施した熱処理方法の処理工程を示す図である。
【図5】実施例および比較例の各押し出し材料に室温から350℃の範囲で行った引張試験の結果を示す図であり、図5(a)は破断強度の結果を示す図であり、図5(b)は破断伸びを示す図であり、また、図5(c)は降伏応力(σ0.2耐力)を示す図である。
【図6】実施例および比較例の各押し出し材料に200℃で応力振幅のレベルごとに引張圧縮疲労試験を実施した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
Tc、Te 溶融開始温度
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年10月20日(2006.10.20)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造

【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫


【公開番号】 特開2008−101264(P2008−101264A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−286652(P2006−286652)