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【発明の名称】 Ni基単結晶超合金とその製造法並びにこれを用いたタービン耐熱部品
【発明者】 【氏名】小林 敏治

【氏名】大畠 宏文

【氏名】小泉 裕

【氏名】横川 忠晴

【氏名】原田 広史

【氏名】坂本 正雄

【要約】 【課題】本発明は、ジェットエンジンやガスタービンのタービンブレードやタービンベーンなどの高温部材及びそれに使用するTMF特性に優れたNi基単結晶超合金とその製造法を提供するものである。

【構成】Ni基単結晶超合金はγ(ガンマ)相とγ’(ガンマプライム)相の2相からなるが、ときにβ(ベータ)相や他に含む多相の場合もある。これらの熱処理は、クリープ強度などの機械的特性を増すために溶体化(固溶化)処理によってγ相単相域からγ’相初析点の出来る限り高温でγ相単相に近づけて、鋳造時に析出したγ’相を再固溶させてγ相単相に近づけることや鋳造時に偏析した元素を拡散させて均質な組成にすることを目的とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共晶γ’相が5%〜10%の範囲、未固溶のγ’相が15%〜40%の範囲となり、両相合わせて20%〜50%を析出させてあることを特徴とするNi基単結晶超合金。
【請求項2】
請求項1に記載のNi基単結晶超合金において、準整合組織を有さしめてあることを特徴とするNi基単結晶超合金
【請求項3】
請求項2に記載のNi基単結晶超合金の製法であって、γ’相が完全固溶する最高温度より-50〜-250℃で溶体化処理を行うことを特徴とするNi基単結晶超合金。
【請求項4】
冷却用空間を内部に有するタービンブレード又はタービンベーンなどのタービン高温部品であって、その基材が請求項1又は2のNi基単結晶超合金よりなることを特徴とするタービン高温部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、Ni基単結晶超合金に関し、その高温熱疲労の改善に関するものであり、さらに、その製法とそれを用いたタービン高温部品に関する。
【背景技術】
【0002】
Ni基超合金はジェットエンジンなどのタービンブレードやタービンベーンとして基材に使用される際、初期のジェットエンジンではさほど燃焼ガス温度が高くなかったためタービンブレードやタービンベーンは無冷却で使用されていた。しかし、近年のジェットエンジン等に代表されるガスタービン機関は出力および効率向上のため、タービン入口ガス温度がより高温化されている。特に高温部のタービンブレードやタービンベーンは高温強度保持のため中空翼の構造をしており翼内部を強制的に空気冷却して基材の温度上昇を防いでいる。この場合タービンブレードやタービンベーンの翼表面温度は900℃をこえており、一方、翼内部は600℃程度となっている。こうした表面と内部の温度差がTMFを発生させる。
従来のNi基超合金で耐熱疲労特性を目的にした(特許文献1)あるいは(特許文献2)があるものの、これらは成分特許あるいはガスタービン発電システムである。
近年のジェットエンジンやガスタービンの進歩に伴い燃焼ガス温度が高温化されるなか、さらに優れた熱疲労特性をもつNi基超合金の出現が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特許2841970
【特許文献2】特許3214330
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この出願の発明は以上のとおりの背景を踏まえてなされたものであって、ジェットエンジンやガスタービンのタービンブレードやタービンベーンなどの高温部材及びそれに使用するTMF特性に優れたNi基単結晶超合金とその製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
Ni基単結晶超合金はγ(ガンマ)相とγ’(ガンマプライム)相の2相からなるが、ときにβ(ベータ)相や他に含む多相の場合もある。これらの熱処理は、クリープ強度などの機械的特性を増すために溶体化(固溶化)処理によってγ相単相域からγ’相初析点の出来る限り高温でγ相単相に近づけて、鋳造時に析出したγ’相を再固溶させてγ相単相に近づけることや鋳造時に偏析した元素を拡散させて均質な組成にすることを目的とする。
【0006】
通常、この溶体化処理後に更に熱処理を加える。その熱処理は1から2回の工程を経る。まず、その1回目の処理を第1段時効熱処理と呼ぶことにする。溶体化によってγ相単相に近づけた組織からγ’相析出物を再析出させることが第1段時効熱処理の目的となる。この第1段時効熱処理の温度によってγ’相析出物の形状が決定づけられる。
第2回目の処理を第2段時効熱処理と呼ぶことにする。ここでは第1段時効熱処理によって未析出のγ’相を析出させることを目的に第1段時効熱処理より低い温度で行う。
この発明は、上記の課題を解決するものとして、
【0007】
第1の発明のNi基単結晶超合金は、共晶γ’相が5%〜10%の範囲、未固溶のγ’相が15%〜40%の範囲となり、両相合わせて20%〜50%を析出させた組織でTMF特性を向上させたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明のNi基単結晶超合金は、第一の発明において、準整合組織を有さしめてあることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は前記第2発明の製造方法であって、γ’相が完全固溶する最高温度より-50〜-250℃で溶体化処理を行い準整合組織にすることを特徴とする。
第4の発明は、冷却用空間を内部に有するタービンブレード又はタービンベーンなどのタービン高温部品であって、その基材が請求項1又は2のNi基単結晶超合金よりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおりのこの出願の熱疲労特性に優れたNi基単結晶超合金の製造法は従来公知の製造方法ではクリープ強度が低下すると言われてきた領域であり、TMF特性が良くなることは認識されていなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
【実施例】
【0012】
TMF試験は高周波方式により試験片を加熱した。試験条件は温度範囲:400℃と900℃の範囲、ひずみ範囲:±0.64%、周波数66min/サイクル、波形:三角波+台形波、位相:逆位相で実施した。これらの試験条件はガスタービンの運用条件を模擬しており、タービン翼表面温度が定常時900℃、停止時400℃と仮定して実施した。なお、温度900℃、ひずみ:−0.64で1時間の保持を行った。また、昇降温速度:166.7℃/minである。表-1に熱処理条件と組織の関係を示す。
【0013】
【表−1】


【0014】
【表−2】



Ni基単結晶超合金TMS-82+、CMSX-4およびPWA1480の合金について整合組織を得る熱処理、例えばTMS-82+の場合1320°C -5hの溶体化熱処理後1100°C -4h & 870°C-20hの2段階の時効処理を施した。一方、意図的に準整合組織を粗大化させてTMF特性を向上させる本発明の準整合組織を得る方法は1240°C -5hの溶体化熱処理後1100°C -4h & 870°C-20hの2段階の時効処理を施した。表-2に整合組織と準整合組織の各割合とTMF(破断回数)を示す。比較例の整合組織と本発明の準整合組織の例としてTMS-82+の組織写真を図-1および図-2に示す。
以上のとおり本発明による製造法で意図的に準整合の組織にしてTMF特性を向上させることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】比較例の整合組織の例(TMS-82+)
【図2】本発明の準整合組織の例(TMS-82+)
【出願人】 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−69379(P2008−69379A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−246634(P2006−246634)