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Nb材の製造方法 - 特開2008−24955 | j-tokkyo
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【発明の名称】 Nb材の製造方法
【発明者】 【氏名】坂口 一哉

【氏名】勝見 昌高

【氏名】岩佐 繁

【要約】 【課題】従来に比較して大単重なNb材を製造でき、酸化物層も残存し難いNb材の製造方法を提供すること。

【構成】NbまたはNb合金、好ましくは冷間鍛造などの冷間塑性加工を経たNbまたはNb合金を、500〜900℃の温度範囲で温間塑性加工、好ましくは、温間圧延し、温間塑性加工時にNbまたはNb合金の表面に生じた酸化物層を除去する。酸化物層の除去は、研磨、研削、ブラスト処理、および、酸洗から選択される少なくとも1つを好適に用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NbまたはNb合金を、500〜900℃の温度範囲で温間塑性加工する工程と、
前記温間塑性加工時にNbまたはNb合金の表面に生じた酸化物層を除去する工程とを少なくとも有することを特徴とするNb材の製造方法。
【請求項2】
冷間塑性加工を経たNbまたはNb合金を温間塑性加工することを特徴とする請求項1に記載のNb材の製造方法。
【請求項3】
前記温間塑性加工は、温間圧延であることを特徴とする請求項1または2に記載のNb材の製造方法。
【請求項4】
前記酸化物層の除去は、研磨、研削、ブラスト処理、および、酸洗から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のNb材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、Nb材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、デジタル家電、移動端末用途などに、液晶表示装置が多く使用されている。この液晶表示装置は、一般に、複数の冷陰極蛍光ランプを備えたバックライトを備えており、この冷陰極蛍光ランプの電極材料には、通常、Nb材が用いられている。そのため、近年の液晶表示装置などの需要拡大に伴い、Nb材の需要が増加してきている。
【0003】
ところで、Nbは、200℃以上の大気中で容易に酸化し、酸化物層が発生する。この酸化物層は、非常に硬いため、例えば、Nbを熱間圧延すると割れが発生しやすくなる。また、製造後のNb材に厚い酸化物層が残存することも懸念される。そのため、従来、Nb材の製造は、冷間圧延などの冷間加工によるのが通常であった。
【0004】
例えば、特許文献1には、純Nbインゴットを、冷間鍛造し、表面の割れなどを研削除去し、焼鈍した後に冷間圧延し、焼鈍する純Nb板の製造方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平3−247745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のNb材の製造方法は、以下の点で問題があった。
【0007】
すなわち、Nbは、材料異方性が大きい。そのため、例えば、帯状のNb材を冷間圧延により製造しようとする場合には、その材料異方性に起因して、曲がり、反りなどが発生しやすく、大単重のNb材が製造しにくいといった問題があった。そのため、従来では、小単重の短板圧延をするほかなかった。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比較して大単重なNb材を製造でき、酸化物層も残存し難いNb材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るNb材の製造方法は、NbまたはNb合金を、500〜900℃の温度範囲で温間塑性加工する工程と、上記温間塑性加工時にNbまたはNb合金の表面に生じた酸化物層を除去する工程とを少なくとも有することを要旨とする。
【0010】
ここで、上記温間塑性加工は、冷間塑性加工を経たNbまたはNb合金を好適に用いることができる。また、上記温間塑性加工は、温間圧延を好適に用いることができる。
【0011】
また、上記酸化物層の除去は、研磨、研削、ブラスト処理、および、酸洗から選択される少なくとも1つであると良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るNb材の製造方法は、NbまたはNb合金を、温間圧延などの温間塑性加工しているので、Nbの材料異方性が軽減され、Nb材の曲がり、反りなどを軽減することができる。そのため、例えば、帯鋼粗圧延ラインなどを使用するなどして、従来よりも大単重のNb材を安定して製造しやすい。
【0013】
また、温間塑性加工温度を特定の範囲内としているので、NbまたはNb合金の表面に発生する酸化物層の厚さを、後工程において除去が比較的容易な程度の厚さにまで抑制することができる。そして、後工程において酸化物層を除去するので、得られるNb材に酸化物層が残存し難い。
【0014】
上記酸化物層の除去が、研磨、研削、ブラスト処理、および、酸洗から選択される少なくとも1つであれば、温間塑性加工時に生じた酸化物層を比較的簡易に除去しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施形態に係るNb材の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について説明する。
【0016】
本製造方法は、少なくとも、以下の温間塑性加工工程と、酸化物層除去工程とを有している。
【0017】
(温間塑性加工工程)
本製造方法において、温間塑性加工工程は、NbまたはNb合金を、500℃〜900℃の温度範囲で温間塑性加工する工程である。
【0018】
本製造方法では、Nb材の原料として純Nb、Nb合金(以下、まとめて「純Nb等」ということがある。)の何れであっても用いることができる。
【0019】
純Nbの純度としては、好ましくは、99.0%以上、より好ましくは、99.9%以上であると良い。
【0020】
また、Nb合金とは、Nbを主成分とし、他の副成分元素を1種または2種以上含む合金のことである。具体的には、例えば、Nb−Ni合金、Nb−Zr合金などを例示することができる。
【0021】
本製造方法では、これらのうち、好ましくは、純Nbを好適に用いることができる。本製造方法により得られたNb材を、例えば、液晶表示装置が有するバックライトの冷陰極放電管の電極材料に用いた場合に、長寿命の電極を得られやすいなどの利点があるからである。
【0022】
この工程における上記純Nb等としては、具体的には、例えば、電子ビーム溶解法、真空誘導溶解法、真空アーク溶解法などにより、純Nb等を溶解し、鋳造によりインゴットを製造した後、冷間鍛造、冷間圧延などの冷間塑性加工を行い、板状、線状などの適当な形状にしたものを用いることができる。また、上記冷間塑性加工を行った後に、さらにこの加工物に対して切断による分割などを行っても良い。
【0023】
より具体的には、例えば、帯状のNb材を製造する場合、上記インゴットを冷間鍛造し、板厚を、好ましくは、30〜200mm、より好ましくは、30〜150mm程度にしておくと良い。
【0024】
そして、本製造方法では、上記純Nb等を、500℃〜900℃の温間温度範囲で温間塑性加工する。
【0025】
ここで、本製造方法にいう「温間塑性加工」とは、加熱炉などの何らかの加熱装置を用いて純Nb等に熱が加わっており、かつ、その加熱温度が純Nb等の再結晶温度以下の温度範囲で行われる塑性加工を指す。
【0026】
温間塑性加工時の温度が500℃を下回ると、純Nb等が有する材料異方性を抑制し難く、得られるNb材の曲がり、反りなどを抑制することができるなくなる。
【0027】
一方、温間塑性加工時の温度が900℃を上回ると、純Nb等に生じる酸化物層の厚さが厚くなり過ぎ、後の酸化物層除去工程において、硬い酸化物層を除去し難くなる。また、除去時の歩留まりなども低下しやすくなる。
【0028】
温間塑性加工時の温度としては、その好ましい下限値として、具体的には、例えば、550℃、575℃、600℃などを例示することができる。これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、850℃、800℃、775℃、750℃などを例示することができる。
【0029】
上記温度範囲内であれば、得られるNb材の曲がり、反りなどを抑制する効果が大きく、かつ、酸化物層の厚さも後に除去しやすい程度の厚さに制御しやすく、両者のバランスに優れるからである。
【0030】
温間塑性加工時に純Nb等に生じる酸化物層の厚みは、後述する酸化物除去工程にて除去しやすいように、以下の範囲内にあると良い。
【0031】
すなわち、上記酸化物層の厚みとしては、その好ましい上限値として、具体的には、例えば、1.3mm未満、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下などを例示することができる。なお、酸化物層は少ない程良いから、上記酸化物層の下限の厚みは、特に限定されるものではない。
【0032】
上記温間塑性加工としては、具体的には、例えば、温間圧延、温間鍛造などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
【0033】
なお、本製造方法は、連続生産に好適に用いることができるものであり、上記温間塑性加工工程は、大気中など、酸素を含む雰囲気中で行われる。
【0034】
(酸化物層除去工程)
本製造方法において、酸化物層除去工程は、上記温間塑性加工時に純Nb等の表面に生じた酸化物層を除去する工程である。
【0035】
上記酸化物層の除去方法としては、具体的には、例えば、グラインダー、研磨剤などによる研磨、研削、ショットブラスト、サンドブラストなどのブラスト処理、酸洗などを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。
【0036】
この際、この工程では、温間塑性加工時に生じた酸化物層の全てを除去するのが好ましい。しかしながら、本製造方法において得られるNb材の用途、製造性などを考慮して、除去の程度を変えることも可能である。すなわち、Nb材の用途によって問題が生じない範囲、除去時の歩留まりなどを考慮して、生じた酸化物層の厚みを当初の厚みよりもある程度減少させる程度の除去に留めても良い。
【0037】
本製造方法は、上記温間塑性加工工程と、酸化物層除去工程とを少なくとも有しているが、他にも、例えば、上記酸化物層除去工程の後に、仕上げ冷間圧延、冷間鍛造などの仕上げ冷間塑性加工工程を有していても良い。また、さらに、上記酸化物層除去工程と仕上げ冷間塑性加工工程との間に、中間冷間圧延、冷間鍛造などの中間冷間塑性加工工程を有していても良い。また、上記仕上げ冷間塑性加工工程および/または中間冷間塑性加工工程の後に、冷間塑性加工により生じた歪みを取るため、真空中またはArなどの不活性ガス雰囲気中で、焼鈍処理を行っても良い。
【0038】
なお、上記焼鈍処理は、具体的には、例えば、好ましくは、600〜1100℃、より好ましくは、700〜1000℃の温度で、3〜7時間程度行うと良い。
【0039】
以上説明した本製造方法により得られるNb材の用途は、特に限定されるものではない。Nb材の用途としては、具体的には、例えば、液晶表示装置のバックライトなどに用いられる、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:ColdCathode Fluorescent Lamp)や外部電極蛍光ランプ(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)などの放電管の電極材料、気相法のターゲット材料、耐食材(化学プラント用容器、配管、ノズル、保護管など)、耐熱材(真空装置用部品など)などを例示することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
【0041】
(Nb板材の製造)
電子ビーム溶解法により、純Nb(純度99.9%)を溶解し、鋳造により500kgのインゴットを作製した。
【0042】
次いで、このインゴットを常温まで冷却した後、大気雰囲気中にて冷間鍛造し、厚み30mmの板材とした。
【0043】
次いで、得られた板材を、1本当たりの重量が200kgとなるように切断した。
【0044】
次いで、切り出した各板材を、400℃〜1000℃の温間温度(50℃刻みで13水準)の範囲内において、大気雰囲気中にて温間圧延することにより、厚み5mmの板材とした。
【0045】
なお、温間圧延した板材の枚数は、各温間温度水準毎に10枚づつとした。
【0046】
次いで、各温間温度水準毎に、温間圧延した板材の表面を、グラインダー研磨、研削、ショットブラスト、酸洗を各2枚ずつ行い、酸化物層を除去した。
【0047】
以上により、各温間温度水準毎にNb板材を作製した。
【0048】
(評価)
次に、以下の評価方法により、各温間温度水準毎に、Nb板材の製造方法を相対評価した。
【0049】
すなわち、第1に、温間圧延により生じた酸化物層の厚みを測定した。ここでは、各温間温度水準毎に、温間圧延して得られた板材を断面出しし、最表面から深さ方向(厚み方向)の硬さを測定した。そして、最表面から硬さが安定する深さまでの距離を求め、これを酸化物層の厚みとした。
【0050】
第2に、各温間温度水準毎に得られた各Nb板材につき、曲がり、反りを測定した。ここでは、各Nb板材中において、最も大きい横曲がりの値が1m当たり30mm以下、かつ、最も大きい反りの値が1m当たり150mm以下である場合を良品と判断し、それ以外を不良品として判断した。
【0051】
以下の表1に評価結果を示す。なお、相対的にみて、酸化物層の厚みが薄く、かつ、不良品枚数も少なくバランスが良い場合を、極めて良好な製法であるとして表では「A」と表記している。また、酸化物層の厚みが薄く、かつ、不良品枚数が少ない場合を、良好な製法であるとして表では「B」と表記している。これらに対して、酸化物層の厚みが厚くなり過ぎており、酸化物層を除去し難い場合、または、不良品枚数が多い場合を、良好な製法とはいえないとして表では「C」と表記している。
【0052】
【表1】


【0053】
表1から以下のことが分かる。すなわち、温間圧延温度を400℃、450℃とした場合、温度が他に比較して低いので、酸化物層の厚みが薄く、後工程において、酸化物層を除去しやすかった。
【0054】
しかしながら、極端な曲がり、反りが発生し、不良品の発生が多かった。つまり、このような低温度による温間圧延では、極端な曲がり、反りを軽減する効果が得られないことが分かる。これにより、低温度による温間圧延を行う製造方法では、大単重のNb材を安定して製造することができないことが確認された。
【0055】
また、温間圧延温度を950℃、1000℃とした場合、Nbの材料異方性を抑制することができ、極端な曲がり、反りの発生を抑制することはできた。
【0056】
しかしながら、このような高温度による温間圧延では、酸化物層の厚さが厚くなり過ぎ、硬い酸化物層を、後工程で除去し難い状況が発生した。とりわけ、簡易な酸化物層の除去方法であるベルト研磨による酸化物層の除去が困難であった。
【0057】
これらに対し、本願で規定される温間温度範囲内で温間圧延した場合には、Nbの材料異方性が軽減され、極端な曲がり、反りを軽減することができた。さらに、温間圧延時に生じた酸化物層の厚さも、後工程において除去が比較的容易な厚さに抑えることができた。
【0058】
これらの結果から、本発明に係るNb材の製造方法によれば、従来に比較して大単重なNb材を製造することができ、酸化物層も残存させ難いことが確認できた。したがって、本発明に係るNb材の製造方法によれば、例えば、帯状Nb材の大ロットコイルなどを安定して供給できるようになるなど、その利用価値は大きい。
【0059】
以上、本発明に係るNb材の製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登


【公開番号】 特開2008−24955(P2008−24955A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195036(P2006−195036)