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ガリウムの精製方法 - 特開2008−88481 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ガリウムの精製方法
【発明者】 【氏名】千葉 善幸

【氏名】山本 一富

【要約】 【課題】高純度のガリウムが低コスト且つ高収率で得られるガリウムの精製方法を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含むガリウムから不純物を除去して高純度のガリウムとするガリウムの精製方法において、
ガリウム融液にカルシウムを添加し、ガリウムとカルシウムとの混合融液を作製する第一の工程と、該混合融液に水分を接触させ、前記不純物を含んだ浮遊物質を混合融液の表面に析出させる第二の工程と、前記混合融液の表面に析出した浮遊物質を除去する第三の工程と、を有することを特徴とするガリウムの精製方法。
【請求項2】
前記第二の工程において、混合融液の温度をガリウムの融点以上300℃以下に制御することを特徴とする請求項1記載のガリウムの精製方法。
【請求項3】
前記第二の工程において、混合融液に相対湿度100%未満の水蒸気を含む気体を接触させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のガリウムの精製方法。
【請求項4】
相対湿度100%未満の水蒸気を含む気体中で混合融液を攪拌することを特徴とする請求項3記載のガリウムの精製方法。
【請求項5】
前記第一の工程においてガリウム融液に添加するカルシウムは、表面にガリウムが被覆されたカルシウム粒であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガリウムの精製方法。
【請求項6】
前記第三の工程において、ガリウムとカルシウムとの混合融液をガリウムの融点以上水の沸点以下の水中に滞留させて、ガリウム融液と浮遊物質とを分離させた後、冷却してガリウム融液を凝固させ、水中から凝固したガリウムを回収することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガリウムの精製方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガリウムの精製方法であって、特に、半導体スクラップ材などからリサイクルされるガリウムから偏析係数の大きな金などの不純物を効率的に分離する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガリウムは、ボーキサイトからアルミナを製造する際のバイヤー液、閃亜鉛鉱の亜鉛蒸留のレトルト残渣もしくは亜鉛焙焼鉱の硫酸浸出残渣から回収される酸化ガリウムを苛性ソーダ水溶液に溶解した後、電解採取することによって生産され、このようにして生産されたガリウムは98〜99%の低純度ガリウムである。この低純度ガリウムは、その後、真空加熱精製、酸洗浄、再結晶の工程を任意に組み合わせた精製により99.9999%以上に高純度化され、砒化ガリウム、燐化ガリウムまたは窒化ガリウムなどの化合物半導体バルク結晶や液相エピタキシャル成長や分子線エピタキシャル成長の原料として使用されている。
【0003】
前記のようにガリウムは、アルミナや亜鉛の副生産物としてしか生産されない貴重な金属資源であり、現在流通しているガリウムの60〜70%は半導体スクラップ材などからリサイクルされたガリウムである。
半導体スクラップ材には、砒化ガリウムあるいは燐化ガリウムの単結晶端面カット部分、破損ウエハー、切断屑、ラッピング屑、気相エピタキシャル成長工程での排出残渣、液相エピタキシャル成長工程での使用済ガリウム、さらに回路形成後のウエハーの破損物などがある。
【0004】
これら半導体スクラップ材からリサイクルされるガリウムには、不純物としてアルミニウム、金、銅、鉄、ゲルマニウム、インジウム、ニッケル、ケイ素などが含まれており、電解精製、真空加熱精製、酸洗浄、さらには再結晶の各精製工程を単独あるいは複数組み合わせて高純度化され、再び化合物半導体バルク結晶や液相エピタキシャル成長や分子線エピタキシャル成長などの原料として使用される。
【0005】
電解精製は、酸化ガリウムもしくは水酸化ガリウムを苛性ソーダ水溶液に溶解させた液を電解液とし、電気化学的に陽極でイオン化したガリウムを陰極へ還元析出させる際に、陽極でイオン化し難い不純物や陰極で還元できないイオン化傾向の大きな不純物を分離する方法である。電解精製は、電解液の付着や巻き込みがあり、さらに電解条件の精密制御が難しいため、大きな純度向上を期待することはできず、得られるガリウムの純度は99.99%が上限とされている。
【0006】
真空加熱精製は、蒸気圧差を利用してガリウムよりも蒸気圧の高い不純物を揮発除去させる方法である。しかし、高温まで加熱するため容器から不純物が混入しやすく、ガリウムとの蒸気圧差の小さい不純物の場合にはガリウムの揮発による損失が無視できなくなる。さらに、不純物が金属間化合物を形成している場合には、不純物濃度を数ppmよりも低い値にすることは難しい。
【0007】
酸洗浄は、溶融状態のガリウムを塩酸、硝酸あるいはこれらの混酸に接触させることによりイオン化傾向の大きな不純物を酸に溶出させ、純度を高くする方法である。希釈した酸とガリウムとを撹拌するなどをして不純物の溶出を促進させるが、強力な撹拌を続けると、酸溶液は黒色の懸濁液となる。懸濁液中の黒色物質は、ガリウム微粒子とその表面に生成したガリウム酸化物被膜もしくはガリウム水酸化物被膜とからなっており、ガリウム酸化物被膜もしくはガリウム水酸化物被膜には不純物が濃縮されている。純度の高いガリウムを得るためには、このガリウム微粒子を完全に分離する必要がある。また、収率向上のためには分離したガリウム微粒子の回収効率を上げなければならず、生産性を上げる上で欠点となっている。
【0008】
再結晶は、ガリウム融液から結晶を晶出させる際に偏析係数の差を利用して融液中に不純物を濃縮し、固化部分の純度を高くする方法である。再結晶の手法には、主として一方向凝固、ゾーンメルティング、単結晶成長がある。再結晶は、最終の精製工程として電解精製、真空加熱精製、酸洗浄で分離され難い不純物の低減に使われることが一般的である。ところが、偏折係数の大きな金などの不純物は再結晶でも精製効率が極めて低く、やむを得ず再結晶を繰り返し行うことで分離を行っている。
【0009】
金を分離するための新規な精製方法として、特許文献1には、金を含有するガリウムへマグネシウムまたはアルミニウムを添加することで金とマグネシウムの合金または金とアルミニウムの合金を生成させた後、温純水中に投入し撹拌することで金を分離する方法が開示されている。また、特許文献2には、金を含有するガリウムヘマグネシウムを添加することで金とマグネシウムの金属間化合物を生成させ、ガリウム融液を冷却後、ガリウム融液の表面に析出してくる金とマグネシウムの金属間化合物を分離する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−231929号公報
【特許文献2】特開2003−231930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
半導体スクラップ材からリサイクルされるガリウムに含まれる不純物の中で、金は分離が最も難しい元素である。電解精製では、金は標準電極電位が高く陽極でイオン化しないためアノード残渣として電解液中に残るが、コロイドを形成して陰極の精製ガリウムに再溶解するため、高い精製効率は得られない。真空加熱精製は、金の方がガリウムより蒸気圧が低いため適用が困難である。酸洗浄ではガリウムよりも金のイオン化傾向が小さいため酸性溶液中に不純物が溶け出さず、分離は困難である。さらに再結晶では、金の偏析係数が大きいため、再結晶を繰り返し行なわなければならず、精製コストの上昇を招く。
【0011】
また、特許文献1および特許文献2に記載の方法では、金属間化合物が生成するためにガリウムの収率が低く、さらに金属間化合物を温純水へ投入する際に発熱反応による純水の突沸が生じるという安全面での課題があるため、低コストでガリウムの収率の高い新たな精製方法が望まれている。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高純度のガリウムが低コスト且つ高収率で得られるガリウムの精製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係るガリウムの精製方法は、不純物を含むガリウムから不純物を除去して高純度のガリウムとするガリウムの精製方法において、ガリウム融液にカルシウムを添加し、ガリウムとカルシウムとの混合融液を作製する第一の工程と、該混合融液に水分を接触させ、前記不純物を含んだ浮遊物質を混合融液の表面に析出させる第二の工程と、前記混合融液の表面に析出した浮遊物質を除去する第三の工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
第一の工程では、ガリウムを融点(29.7℃)以上に加熱することでガリウム融液を調製し、カルシウムを添加する。ガリウムとカルシウムとの均一な混合融液を作製することで、混合融液中で金とカルシウムとが高い確率で接触できる状態が作られる。
第二の工程では、ガリウムとカルシウムとの混合融液に水分を接触させる。カルシウムの標準電極電位は−2.87Vでガリウムより2.31V低いため、カルシウムとガリウムと水の接点では局部電池が形成され、カルシウムは酸化によってカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物となる。
【0014】
カルシウムの酸化反応の際に、ガリウム融液中の金などの不純物はカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物に吸着、担持される。これらカルシウム水酸化物(比重2.3)やカルシウム酸化物(比重3.3)はガリウムと濡れ性が悪く、比重がガリウム(比重5.9)より小さいことから、ガリウム融液の表面に浮遊物質として析出する。第三の工程では、この浮遊物質をろ過分離、吸引またはすくい取ることで、ガリウムから金などの不純物を分離し除去することが可能となる。
【0015】
第二の工程において、ガリウムとカルシウムとの混合融液は、29.7℃以上300℃以下の温度に制御することが好ましい。金などの不純物は、ナノメートルサイズの微粒子としてカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物に吸着、担持されている。ナノメートルサイズの微粒子になると融点が急激に低下するとされており、例えばナノメートルサイズの金微粒子の融点は250℃程度と報告されている。混合融液の温度が29.7℃未満であるとガリウムは凝固し、水分との接触面積が制限されてしまう。一方、300℃より高温ではナノメートルサイズの金微粒子の融点を超えるため、金は再びガリウム中に溶解し精製効率が低下する。
【0016】
さらに、ガリウムとカルシウムとの混合融液に水分を接触させる際には、水を接触させるよりも水蒸気を含む気体を接触させる方が好ましい。水、相対湿度100%の水蒸気を含む気体または飽和水蒸気を接触させても不純物の分離効果はあるが、カルシウムの急速な酸化反応に伴う発熱でガリウムの一部も酸化されるため、カルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物が金などの不純物の微粒子を吸着、担持することが阻害されるだけでなく、ガリウム融液の表面に析出する浮遊物質の質量が著しく増加する。相対湿度100%未満の気体と接触させることでカルシウムの酸化反応は適度な速度に抑制され、カルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物が金微粒子を確実に吸着、担持しつつ浮遊物質を少量に抑えることが可能である。
【0017】
さらに、混合融液に相対湿度100%未満の水蒸気を含む気体を接触させる際には、相対湿度100%未満の水蒸気を含む気体中で混合融液を攪拌することが好ましい。このような混合融液と気体との接触方法は、他の方法(特に気体の吹き込み)と比較して混合融液と気体との接触状態が静的であり安定しているので、カルシウム酸化物がガリウム融液中に分散することがなく精製効率が低下しない。また、精製速度を有効に向上させることが可能となる。
【0018】
カルシウムは、非常に酸化されやすく大気中で安定に保管することは難しい。さらに、カルシウム表面が完全に酸化膜で覆われると、ガリウム融液に溶解し難くなる。ガリウムで表面を被覆したカルシウムを用いると、カルシウムの酸化が防止できるため大気中での保管や取り扱いが容易になる。さらに、その形状がカルシウム粒であれば取り扱いが便利であり、ガリウム中では流動性が向上するため、ガリウムとの混合融液を短時間で調製することが可能となる。
【0019】
なお、浮遊物質が析出した混合融液をガリウムの融点以上水の沸点以下の水中に滞留させると、金などの不純物を担持したカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物と精製されたガリウム融液とに分離させることが可能である。浮遊物質にはガリウムの一部が付着しているため、29.7℃未満の水ではガリウムが凝固し、浮遊物質の分離が抑制されてしまう。一方、水の沸点より高温では、オートクレープ等の特別な設備が必要となるため、精製コストを低減するための障害となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法を使用すれば、偏析係数の大きな金などの不純物をガリウムから効率的に分離でき、高純度のガリウムを低コスト且つ高収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の代表的な実施の形態を説明する。
半導体スクラップ材からリサイクルされたガリウムを融点(29.7℃)以上に加熱し、ガリウム融液とする。ガリウム融液は、テフロン(登録商標)や石英などガリウムと反応しない材質の容器に入れ、そのガリウム融液にカルシウムを添加する。カルシウムの添加量はガリウム中の不純物濃度に依存するので特別な制限は設けないが、一般的にはガリウムの質量に対し500ppm〜1%を添加することが望ましい。
【0022】
カルシウム粒を使用する場合は、カルシウムの粒径が小さいほどガリウムとの混合融液の調製時間が短縮され好都合であるが、酸化され易い欠点もあるため1〜8mmが適している。
カルシウム粒は表面をガリウムで被覆することにより酸化を防止することが可能となり、ガリウム融液への溶解速度も早くなる。カルシウムをガリウムで被覆する方法は、融点(29.7℃)以上に加熱したガリウム融液に表面酸化が進行していないカルシウムを浸漬するだけで良いが、作製方法はこの方法に限定されるものではない。
【0023】
ガリウムとカルシウムとの混合融液を作製するには、ガリウム融液を加熱すると良く、これによりカルシウムの拡散速度が速まるため短時間で均一な混合融液とすることができる。しかし、カルシウムの融点である839℃以上に加熱すると、カルシウムは急激な酸化を起こす可能性があり危険を伴うため、839℃未満の任意の温度を選択するのが良い。攪拌装置を用いてガリウム融液を攪拌することも有効であるが、水が介在する状態で攪拌を行うと均一な混合融液が作製される前にカルシウムが選択的に酸化してしまうので好ましくない。
【0024】
次に、ガリウムとカルシウムとの混合融液に水分を接触させるが、水分の接触手段には水蒸気の吹き付け、水蒸気の吹き込み、水の滴下、水蒸気を含んだ気体の吹き込みまたは水蒸気を含んだ気体中での放置もしくは攪拌などを利用できる。これら手段の中で、相対湿度100%未満の水蒸気を含む気体中でガリウムとカルシウムとの混合融液を攪拌する方法が最適である。気体としては、アルゴン、窒素または空気が適している。
【0025】
攪拌は、精製速度の向上に有効である。攪拌手段としては、一般的には撹拌用のテフロン(登録商標)製インペラーを混合融液に挿入し加熱装置の外部に設置した電動モーターによって0〜200rpmで回転させる方法を用いるが、この方法に限定されるものではなく、気体の吹き込みによる撹拌などでも良い。撹拌条件はガリウム融液の量、添加容器の形状によって適宜決定されるが、撹拌によってガリウム飛沫が発生するような激しいものであってはならない。撹拌が強い場合には、金などの不純物を吸着、担持したカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物がガリウム融液中に分散し、金などの不純物がガリウムに再溶解して精製効率の低下を招く。さらに、ガリウムの酸化が促進されることによってスポンジ状のガリウムが形成され、精製ガリウムの収率低下を引き起こす。
【0026】
なお、気体の吹き込みによる撹拌では、ガリウムとカルシウムとの混合融液が高温に加熱されている場合や温度変化がある場合には気体の吹き込み流量を安定化させることが難しいので、60℃以下の温度で長時間、例えば1〜14時間撹拌することが好ましい。
ガリウムとカルシウムとの混合融液を水分と接触させる際には、混合融液の温度はガリウムの融点以上300℃以下に加熱保持することが最適である。
ガリウムとカルシウムとの混合融液を水分と接触させた後、60℃程度に保持する。この時点で金などの不純物はカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物に吸着、担持されて、ガリウム融液の表面に浮遊物質として析出する。この浮遊物質を、ろ過分離、吸引またはすくい取ることで、精製されたガリウムから除去する。
【0027】
次に、ガリウムが付着している浮遊物質を、ガリウムの融点以上水の沸点以下の加熱水中に滞留させる。水としては純水が好ましく、純水の温度は90℃〜98℃が好ましく、浮遊物質からのガリウムの分離が完了するまでこの温度に保持する。分離が完了すると、浮遊物質は、ガリウムと、金などの不純物を吸着、担持したカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物の懸濁水とに分かれるので、これら全体を静置後、ガリウムの凝固点以下に降温してガリウムを凍結させる。その後、ガリウムが融解しないように注意しながら30℃付近まで昇温し、凝固したままのガリウムのみを回収する。この工程を実施することで浮遊物質からもガリウムが回収でき、精製されたガリウムの収率をさらに向上させることができる。
【0028】
一方、金などの不純物を吸着、担持したカルシウム水酸化物またはカルシウム酸化物の懸濁水は、王水以外の酸を添加することで溶解させることができる。この際、金は溶解せず金属として残存するので、ろ過等により回収できる。ガリウム中の不純物として砒素があると砒化水素の発生の可能性も考えられるので、ここで使用する酸は酸化性の酸である硝酸などが好ましい。
【実施例】
【0029】
〔実施例1〕
ガリウム(金濃度0.26wtppm、ゲルマニウム濃度0.38wtppm)を60℃に加熱し、ガリウム融液とする。
石英容器にガリウム融液3000gを入れた後、カルシウム(粒径5〜8mm)1.5gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、石英容器を150℃に昇温後24時間保持した。
加熱後徐冷し、ガリウム融液が60℃になった後、浮遊物質をテフロン(登録商標)製匙ですくい取ることで除去し、精製ガリウム2940gを得た。浮遊物質の質量は60gであった。また、精製ガリウム中の不純物濃度は、金が0.01wtppm、ゲルマニウムが0.05wtppmであった。
【0030】
次に、浮遊物質を95〜98℃に保持した純水300ml中に投入し1時間保持した後、0℃に冷却し、凝固したガリウムを回収した。浮遊物質から回収したガリウムは57gであった。精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の不純物濃度は、金が0.05wtppm、ゲルマニウムが0.05wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.9%となり、金除去率81%、ゲルマニウム除去率97%と高い精製効率が得られた。
【0031】
〔実施例2〕
石英容器にガリウム融液3000gを入れた後、カルシウム(粒径5〜8mm)1.5gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、石英容器を29.7℃に制御し24時間保持したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。
精製ガリウムは2950g、浮遊物質は50gであり、精製ガリウム中の不純物濃度は、金が0.05wtppm、ゲルマニウムが0.06wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは48gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の不純物濃度は、金が0.07wtppm、ゲルマニウムが0.06wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.9%となり、金除去率73%、ゲルマニウム除去率84%と高い精製効率が得られた。
【0032】
〔実施例3〕
石英容器にガリウム融液3000gを入れた後、カルシウム(粒径5〜8mm)1.5gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、石英容器を200℃に制御し24時間保持したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。
精製ガリウムは2930g、浮遊物質は72gであり、精製ガリウム中の不純物濃度は、金が0.01wtppm、ゲルマニウムが0.04wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは65gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の不純物濃度は、金が0.04wtppm、ゲルマニウムが0.04wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.8%となり、金除去率85%、ゲルマニウム除去率89%と高い精製効率が得られた。
【0033】
〔実施例4〕
石英容器にガリウム融液3000gを入れた後、カルシウム(粒径5〜8mm)1.5gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、石英容器を300℃に制御し24時間保持したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。
精製ガリウムは2910g、浮遊物質は92gであり、精製ガリウム中の不純物濃度は、金が0.01wtppm、ゲルマニウムが0.04wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは82gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の不純物濃度は、金が0.04wtppm、ゲルマニウムが0.04wtppmであった。
以上の操作でガリウムの収率は99.7%となり、金除去率85%、ゲルマニウム除去率89%と高い精製効率が得られた。
【0034】
〔実施例5〕
石英容器にガリウム融液3000gを入れた後、カルシウム(粒径5〜8mm)1.5gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、石英容器を350℃に制御し24時間保持したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。
精製ガリウムは2900g、浮遊物質は103gであり、精製ガリウム中の不純物濃度は、金が0.05wtppm、ゲルマニウムが0.10wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは85gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の不純物濃度は、金が0.10wtppm、ゲルマニウムが0.10wtppmであった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.5%となり、金除去率62%、ゲルマニウム除去率74%が得られ、実施例1〜4に比べて精製ガリウムの収率、金除去率およびゲルマニウム除去率は低下した。
【0035】
〔実施例6〕
ガリウム(金濃度44wtppm)を60℃に加熱し、ガリウム融液とする。
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、カルシウム(粒径1〜5mm)10gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温した後120時間保持した。
加熱終了後徐冷し、ガリウム融液が60℃になった後、浮遊物質をテフロン(登録商標)製匙ですくい取ることで除去し、精製ガリウム700gを得た。浮遊物質の質量は310gであった。また、精製ガリウム中の金濃度は0.21wtppmであった。
【0036】
次に、浮遊物質を95℃〜98℃に保持した純水300ml中に投入し1時間保持した後、0℃に冷却し、凝固したガリウムを回収した。浮遊物質から回収したガリウムは300gであった。精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は3.9wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は100%となり、金除去率91%と高い精製効率が得られた。
【0037】
〔実施例7〕
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、カルシウム(粒径1〜5mm)10gを添加し、温度25℃、相対湿度30%の空気中で、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温した後120時間保持したこと以外は、実施例6と同様の操作を行った。
精製ガリウムは705g、浮遊物質は305gであり、精製ガリウム中の金濃度は0.40wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは295gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は4.2wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は100%となり、金除去率90%と高い精製効率が得られた。
【0038】
〔実施例8〕
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、カルシウム(粒径1〜5mm)10gを添加し、温度25℃、相対湿度100%の空気中で、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温した後120時間保持したこと以外は、実施例6と同様の操作を行った。
精製ガリウムは695g、浮遊物質は315gであり、精製ガリウム中の金濃度は0.40wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは290gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は8.2wtppmとなった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は98.5%となり、金除去率は82%が得られ、実施例6〜7と比べて精製ガリウムの収率および金除去率は低下した。
【0039】
〔実施例9〕
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、カルシウム(粒径1〜5mm)10gを添加した。そして、水をガリウム融液上に1ml/minの滴下速度で滴下しながら、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温した後120時間保持した。これ以外は実施例6と同様の操作を行った。
精製ガリウムは691g、浮遊物質は324gであり、精製ガリウム中の金濃度は0.40wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは280gで、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は9.3wtppmであった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は97.1%となり、金除去率は79%が得られ、実施例8と比べて精製ガリウムの収率および金除去率は低下した。
【0040】
〔実施例10〕
磁性乳鉢の中にカルシウム(粒径5〜8mm)8.9gとガリウム融液500gとを入れ、乳棒でカルシウム表面をすり潰すように混合することで、カルシウムの表面をガリウムで被覆した。
このガリウムで表面を被覆したカルシウムを、温度25℃、相対湿度100%の空気中に放置した。酸化による質量増加率は5時間保持後で0.16%、10時間保持後で0.33%であった。これは同様の条件でカルシウムを空気中に放置した時の酸化による質量増加率の5%の値であり、カルシウムの酸化が抑制されていることが確認された。
【0041】
次に、ガリウム(金濃度44wtppm)を60℃に加熱し、ガリウム融液とする。
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、ガリウムで表面を被覆したカルシウム15gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温後24時間保持した。
加熱後徐冷し、ガリウム融液が60℃になった後、浮遊物質をテフロン(登録商標)製匙ですくい取ることで除去し、精製ガリウム701gを得た。浮遊物質の質量は308gであった。また、精製ガリウム中の金濃度は0.22wtppmであった。
【0042】
次に、除去した浮遊物質を95〜98℃に保持した純水300ml中に投入し1時間保持した後、0℃に冷却し、凝固したガリウムを回収した。浮遊物質から回収したガリウムは299gであった。精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は4.0wtppmであった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は100%で、金除去率は91%が得られ、実施例6と比べて、短時間の処理で同等の精製効率が得られた。
【0043】
〔実施例11〕
除去した浮遊物質を29.7℃に保持した純水300ml中に投入し1時間保持した後、0℃に冷却し、凝固したガリウムを回収したこと以外は、実施例10と同様の操作を行った。浮遊物質から回収したガリウムは290gであった。精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は4.1wtppmであった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.1%、金除去率は91%が得られ、実施例10と比べてガリウムの収率が低下した。
【0044】
〔実施例12〕
テフロン(登録商標)容器にガリウム融液1000gを入れた後、ガリウムで表面を被覆したカルシウム15gを添加し、温度25℃、相対湿度60%の空気中で、テフロン(登録商標)容器を100℃に昇温後、撹拌用のテフロン(登録商標)製インペラーをガリウム融液に挿入し、加熱装置の外部に設置した電動モーターによって200rpmで回転させながら24時間保持したこと以外は、実施例10と同様の操作を行った。
【0045】
精製ガリウムは695gで、浮遊物質の質量は314gであった。また、精製ガリウム中の金濃度は0.21wtppmであった。浮遊物質から回収したガリウムは296gであり、精製ガリウムに浮遊物質から回収したガリウムを混合すると、ガリウム中の金濃度は3.8wtppmであった。
以上の操作で精製ガリウムの収率は99.1%、金除去率は91%が得られ、実施例11と同等の精製効率が得られた。
【出願人】 【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也

【識別番号】100075579
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 嘉昭

【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 秀▲てつ▼


【公開番号】 特開2008−88481(P2008−88481A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−268705(P2006−268705)