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【発明の名称】 鉄鋼副生物の還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法
【発明者】 【氏名】轟 秀和

【氏名】志賀 夏樹

【氏名】石井 照彰

【氏名】勝間田 晃稔

【氏名】菅野 正登

【氏名】牧野 浩

【要約】 【課題】ブリケットから発生する粉体を低減させ、なおかつ水分等の揮発性物質を充分に除去することにより、吹上げを防止しつつ、高い有価金属回収率を確保し得る還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法を提供する。

【構成】サブマージドアーク式電気炉を用いて還元し、有価金属を回収するのに用いる還元リサイクル用原料において、化学成分を、FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類:合計で27質量%以上、Al:0.3〜3.5質量%、MgO:2〜7質量%、CaO及びSiO:合計で35質量%以下、F:1〜6質量%、S:0.1〜2質量%、ZnO:2質量%以下にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマージドアーク式電気炉を用いて還元し、有価金属を回収するのに用いる還元リサイクル用原料であって、
化学成分が、FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類:合計で27質量%以上、Al:0.3〜3.5質量%、MgO:2〜7質量%、CaO及びSiO:合計で35質量%以下、F:1〜6質量%、S:0.1〜2質量%、ZnO:2質量%以下であることを特徴とする還元リサイクル用原料。
【請求項2】
前記還元リサイクル用原料は、製鉄所で発生する製鋼ダスト、酸洗スラッジ、及び、スケール材からなる鉄鋼副生物であることを特徴とする請求項1に記載の還元リサイクル用原料。
【請求項3】
前記鉄鋼副生物は、製鋼ダスト:10〜50重量%、酸洗スラッジ:5〜30重量%、及び、スケール材:30重量%以上からなることを特徴とする請求項2に記載の還元リサイクル用原料。
【請求項4】
前記鉄鋼副生物は、さらに、SiC、フェロニッケルスラグ、及び、仕上げスラグのうち少なくとも1種類を合計で10重量%以下混合したものであることを特徴とする請求項2または3に記載の還元リサイクル用原料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の還元リサイクル用原料に、水分、油脂分及び炭材を混合する工程と、
上記還元リサイクル用原料を製団機によりブリケットに製団する工程と、
上記ブリケットを焙焼ボックスに入れて焙焼し、水分を揮発除去する工程と、
炭材並びに石灰石及び/又は珪砂をさらに混合する工程と、
上記混合物を電気炉に装入して加熱し、有価金属を還元し、メタル分とスラグ分に分離する工程とを備えることを特徴とする焙焼還元方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼副生物から有価金属を回収するための還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法に係り、特に、鉄、ニッケル、クロム、マンガンなどの有価金属を含む製鋼ダスト、酸洗スラッジ、焼鈍時のスケールなどの鉄鋼副生物を効率良く還元して、有価金属を回収するためのリサイクル用原料及びその焙焼還元方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄所で発生する製鋼ダスト、酸洗スラッジ、焼鈍時のスケールなどの鉄鋼副生物は、鉄、ニッケル、クロム、マンガンなどの有価金属を含有しており、従来から多くの回収方法が提案されてきた。具体的には、これらの副生物を石炭やコークスなどの炭素源と混合してブリケット状に成型し、図1(a)に示すように、電気精練炉1内にブリケット2を装入し、このブリケット2を電極3により加熱溶融し、スラグ分4と還元メタル分5とに分離して有価金属を回収する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
しかしながら、上記の方法においては、電気精練炉1内へのブリケット2の装入の際に、一部のブリケットが衝撃によって崩壊し、粉体が発生することがある。このような粉体が多くなると、図1(b)に示すように、この粉体のためにブリケット2の層に空孔6が発生し、棚つり7が形成されてしまう。そして、図1(c)に示すように、この棚つり7が崩落すると、ブリケット内の水分等の揮発性物質が一気に加熱されて爆発が生じ、いわゆる、吹上げが発生するという問題がある。
【0004】
また、有価金属を効果的に回収するために、副生物を炭素源と混合してブリケット状に成型し、焙焼した後、サブマージドアーク電気炉で加熱して還元する方法において、アルミニウム残灰を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では、電気炉での反応が激しすぎるため、炉のコントロールが困難であり、爆発等の危険が伴う場合もあった。
【0005】
さらに、従来の技術においては、ブリケットを加熱溶融して得られたスラグの溶融性や流動性が適正でなく、有価金属の回収率が低下してしまうという問題も抱えていた。
【0006】
【特許文献1】特開平8−260014号公報
【特許文献2】特開2003−247026号公報
【特許文献3】特開平10−330822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明は、ブリケットから発生する粉体を低減させ、なおかつ水分等の揮発性物質を充分に除去することにより、吹上げを防止しつつ、高い有価金属回収率を確保し得る還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記課題を解決するために、還元リサイクル用原料である鉄鋼副生物の化学成分について鋭意検討を重ねた結果、サブマージドアーク電気炉にてスラグとなる成分を特定の範囲、具体的には、Alを0.3〜3.5質量%、MgOを2〜7質量%、CaO及びSiOを合計で35質量%以下、Fを1〜6質量%の範囲に制御することによって、粉体発生が低減されるとともに、高い有価金属回収率が得られることを見い出した。
【0009】
したがって、本発明の還元リサイクル用原料は、サブマージドアーク式電気炉を用いて還元し、有価金属を回収するのに用いる還元リサイクル用原料であって、化学成分が、FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類:合計で27質量%以上、Al:0.3〜3.5質量%、MgO:2〜7質量%、CaO及びSiO:合計で35質量%以下、F:1〜6質量%、S:0.1〜2質量%、ZnO:2質量%以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スラグの溶融性及び流動性を適正な領域に制御することでき、高い有価金属回収率が得られ、従来、産廃として廃棄されていた製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材などから、安定してFe、Ni、Cr、Mnなどの有価金属を確保できるため、これらの原料の一部を補填できることとなり、製造原価低減、さらには、地球環境保全にも貢献することができた。
【0011】
このような効果は、以下の原理によるものと推測された。スラグ、メタルともに適正な流動性を保有していないと、原料がコークベッドを通過する際に、うまく通過せず、その結果、有価金属回収率が低下することとなる。特に、スラグの融点と流動性が、適正範囲にないとスラグの落下が遅れたり、あるいは、速すぎてしてしまう。その結果、炉内での反応が制御できなくなるために、有価金属回収率が低下してしまう。また、場合によっては、吹上げ現象も引き起こされる。同時に、原料中のZnOが2質量%を超えて高いと、吹上げが顕著に発生する。これはZnOがCで還元されると、亜鉛のガスが発生し、これが原料内の気圧を上昇させて突沸現象を起こすためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の還元リサイクル用原料は、製団機によりブリケットに製団し、これを焙焼して水分を揮発除去した後、サブマージドアーク電気炉により加熱し、有価金属を還元し、その後、メタル分とスラグ分とを分離して、有価金属を回収する方法に好適に用いられるものであって、化学成分が、FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類:合計で27質量%以上、Al:0.3〜3.5質量%、MgO:2〜7質量%、CaO及びSiO:合計で35質量%以下、F:1〜6質量%、S:0.1〜2質量%、ZnO:2質量%以下であることが必須である。以下、本発明の還元リサイクル用原料の化学成分、材料組成及び焙焼還元方法について説明する。
【0013】
なお、本発明にて記述されている各構成成分はS、F以外は酸化物として表記されているが、実際は水酸化物、フッ化物、硫化物、硫酸化物など複雑であるため、簡便のために酸化物表記としている。また、本発明おける有価金属とは、特に限定されるものではないが、少なくとも鉄、ニッケル、クロム、マンガンが含まれる。
【0014】
1.化学成分
上述したように、本発明は原料中の各成分バランスを適正なものとし、電気炉にて得られるスラグを、操業に適した特性とすることが重要である。下記に、各成分の限定理由を説明する。
【0015】
(1)FeO、MnO、NiO及びCr
本発明において、これらは還元されて有価金属となるため、必要不可欠な成分である。FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類の含有率が合計で27質量%未満では、製錬にかかるコストに見合わないため、FeO、MnO、NiO、Crのうちの少なくとも1種類の含有率を合計27質量%以上と定めた。コストを考慮して、好ましくは29質量%以上である。
【0016】
また、上限は特に限定はしないが、85質量%以下程度に抑えることが望ましい。その理由は、次のとおりである。すなわち、85質量%を超えると、スラグ量が著しく少なくなってしまう。スラグをある程度確保せねば、電気炉操業時に温度コントロールが困難になったり、スラグと溶鋼間で起こる脱硫反応が不充分になってしまい、溶鋼中のS濃度が0.2質量%を超えて高くなるためである。得られた鋼塊は、ステンレス鋼の製鋼工程で原料としてリサイクルされるものであるから、S濃度が高すぎると脱硫負荷が高くなり、コスト高を引き起こしてしまう。このような理由から、電気炉における脱硫反応に必要なスラグ量を確保するために、上限は85質量%以下程度に抑えることが望ましい。
【0017】
(2)Al
Alはスラグの融点を適正値に制御するのに必要な元素である。Alの含有率が0.3質量%未満又は3.5質量%超では、融点が高くなり、流動性が悪化し、その結果有価金属回収率を低下させる。そのため、Alの含有率を0.3〜3.5質量%とした。Alは製鋼ダストに含まれる成分であり、製鋼ダストの配合率を10〜50重量%とすることで、この範囲に制御できる。
【0018】
(3)MgO
MgOはスラグの融点を適正値に制御するのに必要な元素である。MgOの含有率が2質量%未満又は7質量%超では、融点が高くなり、流動性が悪化し、その結果有価金属回収率を低下させる。そのため、MgOの含有率を2〜7質量%とした。MgOは製鋼ダストに含まれる成分であり、製鋼ダストの配合率を10〜50重量%とすることで、この範囲に制御できる。また、必要に応じて仕上げスラグ、フェロニッケルスラグで添加してもよい。
【0019】
(4)CaO及びSiO
CaO及びSiOはスラグの主成分であり、流動性や融点を調整するために必要である。これらの成分は、電気炉に投入する前に、石灰石および/または珪砂で調節することが可能である。しかしながら、もとの原料における含有率が35質量%を超えて高いと、石灰石および/または珪砂を添加せずとも、スラグ量が増加し、逆にメタル量が少なくなり、コスト高となってしまう。そのため、CaO及びSiOの含有率を35質量%以下とした。好ましくは、CaOとSiOの含有率が合計で7.5〜35質量%である。7.5質量%は含有した方が望ましいのは、石灰石、珪砂の副原料費を抑えるためである。より好ましくは、CaOの含有率が3〜15質量%であり、SiOの含有率が4.5〜20質量%の範囲である。CaOは主に酸洗スラッジに含まれる成分であり、酸洗スラッジの配合比率を5〜30重量%にすると上記の成分範囲を得ることができる。SiOは主に製鋼ダストに含有されており、製鋼ダストの配合比率を10〜50重量%とすることで、この範囲に制御できる。また、必要に応じて、フェロニッケルスラグを添加して調整してもよい。
【0020】
(5)F
Fはスラグの流動性を適正範囲に制御するために必要な成分である。Fの含有率が1質量%未満では、流動性が悪く、その結果、有価金属回収率を低下させる。逆に6質量%を超えて高いと、流動性が良すぎる他にも、HF、SiFなどの腐食性ガスを発生させ、設備を腐食、損傷させる。そのため、Fの含有率を1〜6質量%と規定した。Fは酸洗スラッジに含まれる成分であり、酸洗スラッジの配合比率を5〜30重量%にすると、上記の成分範囲を得ることができる。
【0021】
(6)S
Sは電気炉において、溶鋼の表面張力を低下させて、流動性を確保するために必要な成分である。流動性が十分でないと、コークベッドをうまく通過しない。電気炉において、Sの一部は脱硫されてスラグ中に分配される。そのような脱硫反応を経て、最終的に、溶鋼中に0.01〜0.2質量%の範囲に制御することが好ましい。S濃度が高すぎると脱硫負荷が高くなり、コスト高を引き起こしてしまう。そのため、脱硫反応も考慮して、電気炉の溶鋼中でこの範囲を確保するために、還元リサイクル原料中では、Sの含有率を0.1〜2質量%に制御する必要があり、そのように定めた。Sは酸洗スラッジに含まれる成分であり、酸洗スラッジの配合比率を5〜30重量%にすると、上記の成分範囲を得ることができる。
【0022】
(7)ZnO
ZnOがCで還元されると、亜鉛のガスが発生し、これが原料内の気圧を上昇せしめ突沸現象を起こすため、抑制せねばならない成分である。ZnOの含有率が2質量%を超えて高いと、その傾向が強く現れるようになり、電気炉内で吹上げ現象を引き起こす。そのため、ZnOの含有率を2質量%以下と規定した。ZnOは製鋼ダストに含有する成分であり、製鋼ダストの配合率を50重量%以下に制限することで、この範囲に抑制できる。
【0023】
2.材料組成
本発明の還元用リサイクル原料は、製鉄所で発生する製鋼ダスト、酸洗スラッジ、及び、スケール材からなる鉄鋼副生物であり、上記の化学成分範囲は、製鋼ダスト、酸洗スラッジ及びスケール材を、各構成成分を詳細に考慮して適切な比率で配合することにより実現できる。その適正配合量について、その数値規定理由を説明する。
【0024】
(1)製鋼ダスト
製鋼ダストはステンレス鋼の精錬工程で発生するものであり、SiO、Al、MgO濃度を上記の化学成分範囲に制御するために、配合率を10〜50重量%に規定した。また、ZnOを2質量%以下に抑えるために、製鋼ダストの配合率を50重量%以下に制限する必要がある。
【0025】
(2)酸洗スラッジ
酸洗スラッジは焼鈍酸洗ラインで生じるものであり、CaO、F、S濃度を上記の化学成分範囲に制御するために、配合率を5〜30重量%に規定した。
【0026】
(3)スケール材
スケール材は熱延、連続鋳造などで生成するものであり、スケール材には、FeO、MnO、NiO、Crといった有価金属を含む。スケール材の配合率が30重量%未満では、FeO、MnO、NiO、Crの少なくとも1種類の含有率を合計で27質量%以上確保できない。そのため、スケール材の配合率を30重量%以上と定めた。なお、この4成分の合計値の好ましい上限範囲85質量%以下を満足するには、特に限定しないが、スケール材の配合率は60質量%以下に抑えることが望ましい。当然、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材を、上記の通り配合することにより、有価金属となるFeO、MnO、NiO、Crの少なくとも1種類の含有率を合計で27質量%以上確保することも可能であるし、好ましい上限範囲85質量%以下に抑えることも可能である。
【0027】
(4)他の材料組成
本発明における鉄鋼副生物は、電気炉におけるスラグ組成を制御するために、上記材料組成に加えて、SiC、フェロニッケルスラグ、及び、仕上げスラグのうち少なくとも1種類を合計で10重量%以下混合したものであってもよい。具体的には、SiCはスラグ中のSiO源として、また、燃焼時の熱源として混合できる。フェロニッケルスラグは、主として MgO、SiOから構成されるものであり、MgOあるいはSiO源として混合できる。さらに、仕上げスラグは、ステンレス鋼、特殊鋼のAODやVODの精錬で発生するスラグであり、CaO、SiO、MgOを主体とするものであるため、CaO、SiO源として混合できる。
【0028】
3.焙焼還元方法
次に、本発明の還元用リサイクル原料の焙焼還元方法について説明する。
本発明の還元用リサイクル原料の焙焼還元方法は、上記化学成分を有する還元用リサイクル原料に、水分、油脂分及び炭材を混合する工程と、上記還元リサイクル用原料を製団機によりブリケットに製団する工程と、上記ブリケットを焙焼ボックスに入れて焙焼し、水分を揮発除去する工程と、炭材並びに石灰石及び/又は珪砂をさらに混合する工程と、上記混合物を電気炉に装入して加熱し、有価金属を還元し、メタル分とスラグ分に分離する工程とを備えることを特徴としている。
【0029】
本発明における炭材は、還元反応に必要な分と、焙焼工程での熱源として、10〜20質量%、すなわち、配合した原料1tに対して100〜200kgの重量で配合することが好ましい。また、ブリケットの製団工程においては、例えば双ロール式の製団機を用いてブリケットが成型される。さらに、ブリケットの焙焼工程においては、焙焼ボックス上部をダクトで密閉し、排風機を用いて吸引しながら、下部をバーナーで着火し、いわゆる焙焼処理を行い、水分を揮発させるとともに、各ブリケット内部の原料粒子を焼結させる。
【0030】
有価金属の回収工程においては、焙焼されたブリケットをサブマージドアーク電気炉に装入して加熱することで、メタル分とスラグ分に分離させ、Fe、Ni、Cr、Mnなどの有価金属を回収する。また、電気炉への装入時、スラグ量と塩基度(CaO/SiO)調整の目的で、石灰石及び/又は珪砂を、また、炭材を追加する必要がある。特に、スラグ側については、上記の化学成分を持つ還元リサイクル原料を用いることで、十分なスラグ量を確保できて、なおかつ、溶融性および流動性が好ましい領域に制御できる。最も望ましいスラグ組成は、特に限定はしないが、CaO、SiO、Al、MgOを80質量%以上含み、CaO/SiOの比率が0.8〜1.4、好ましくは1.0〜1.2、Alの含有率が0.6〜7質量%の範囲である。
【実施例】
【0031】
次に、本発明の実施例を用いて、本発明の効果を説明する。
表1に示した材料組成となるように、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材、SiC、フェロニッケルスラグ、及び、仕上げスラグを表2に示した比率で配合し、炭材、水分及び油脂分を混合し、これを双ロール式の製団機を用いてブリケット(サイズ:49×48×29mm)に成型した。なお、炭材は、還元反応に必要な分と、焙焼工程での熱源として、配合した原料1tに対して100〜200kgの重量で配合した。
【0032】
次に、上記のようにして成型したブリケットを焙焼ボックスに装入し、その後、焙焼ボックス上部をダクトで密閉し、排風機を用いて吸引しながら、下部をバーナーで20〜30分間加熱して着火し、焙焼処理を120〜180分間行った。これにより、水分を揮発させるとともに、各ブリケット内部の原料粒子を焼結させた。
【0033】
その後、スラグ量と塩基度(CaO/SiO)調整のために、表3に示した配合で石灰石及び/又は珪砂を、上記のブリケットに混合し、これらをサブマージドアーク電気炉に装入した。そして、これを加熱して、還元したメタル分とスラグ分に分離し、Fe、Ni、Cr、Mnの有価金属を回収した。回収されたメタルはおよそ5〜6tであり、残部がスラグであった。なお、電気炉のサイズは13tであり、電力原単位はおよそ1800kWh/メタルtであった。
【0034】
【表1】


【0035】
【表2】


【0036】
【表3】


【0037】
なお、還元リサイクル用原料、スラグ、及び還元メタルの化学成分は、蛍光X線分析装置を用いて、定量分析した値である。また、有価金属回収率は、原料におけるFe、Ni、Cr及びMnの重量に対する還元メタルにおけるFe、Ni、Cr及びMnの重量の百分率である。これらの結果は表4に示した。
【0038】
【表4】


【0039】
表4から明らかなように、実施例1〜5の還元リサイクル用原料では、化学成分が本発明の範囲内であるため、適正な溶融性、流動性を有するスラグ、メタルが得られ、有価金属回収率も90%を超えて高かった。また、電気炉操業中の吹上げ現象も、問題となるほど大きいものは発生せず、生産に影響を与えることはなかった。
【0040】
これに対し、比較例1の還元リサイクル用原料では、原料中のAl及びMgOの含有率が低く、S及びFの含有率が高いことから、適正なスラグの流動性を得られず、有価金属回収率も85.1%と低くなった。また、メタル中のS濃度も高く、流動性が良過ぎたばかりか、ステンレス鋼の製造にリサイクルした際にも、脱硫負荷が高くなってしまった。
【0041】
一方、比較例2の還元リサイクル用原料では、原料中のAl、MgO及びZnOの含有率が高く、S及びFの含有率が低く、さらに、電気炉に装入する時に、石灰石を添加してスラグ塩基度を調整しなかったので、塩基度が0.20と著しく低く、流動性も著しく悪かった。そのため、有価金属回収率も65.3%と低くなった。また、原料中のZnOの含有率が高いことから、比較的大規模な吹上げ現象を起こした。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】吹上げを模式的に説明した図である。
【符号の説明】
【0043】
1…サブマージドアーク電気炉、2…還元リサイクル用原料ブリケット、3…電極、
4…スラグ分、5…還元メタル分、6…空孔、7…棚つり。
【出願人】 【識別番号】000232793
【氏名又は名称】日本冶金工業株式会社
【識別番号】592116110
【氏名又は名称】ナスエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【代理人】 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生


【公開番号】 特開2008−31548(P2008−31548A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−40973(P2007−40973)