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【発明の名称】 軌道部材の製造方法、動弁装置の製造方法および軌道部材
【発明者】 【氏名】前田 喜久男

【氏名】中島 碩一

【氏名】毛利 信之

【要約】 【課題】製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域の硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ塑性変形する領域の硬度を安定して制御可能な軌道部材の製造方法を提供する。

【構成】軌道部材の製造方法は、炭素量およびクロム量を抑制した鋼製部材を準備する鋼製部材準備工程と、熱処理工程と、仕上げ加工工程とを備えている。熱処理工程は、鋼製部材が加熱されて浸炭窒化される浸炭窒化工程と、鋼製部材が、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に冷却されて当該温度域に60分間以上180分間以下の時間保持される温度保持工程と、鋼製部材において、軌道部材の転走面となるべき領域を含む高硬度領域以外の領域である低硬度領域が焼入硬化されることなく、高硬度領域が高周波焼入される高周波焼入工程とを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5質量%以上0.7質量%以下の炭素と、0.15質量%以上0.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上0.9質量%以下のマンガンとを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなり、クロム含有量が0.3質量%以下に抑制された鋼からなり、軌道部材の概略形状に成形された部材である鋼製部材が準備される鋼製部材準備工程と、
前記鋼製部材が熱処理される熱処理工程と、
前記熱処理工程において熱処理された前記鋼製部材が、仕上げ加工される仕上げ加工工程とを備え、
前記熱処理工程は、
前記鋼製部材が、A点以上の温度である浸炭窒化温度に加熱されて浸炭窒化される浸炭窒化工程と、
前記浸炭窒化工程において浸炭窒化された前記鋼製部材が、前記浸炭窒化温度から、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に冷却されて前記温度域に60分間以上180分間以下の時間保持される温度保持工程と、
前記温度保持工程よりも後で、前記鋼製部材において、前記軌道部材の転走面となるべき領域を含む高硬度領域以外の領域である低硬度領域が焼入硬化されることなく、前記高硬度領域が高周波焼入される高周波焼入工程とを含む、軌道部材の製造方法。
【請求項2】
カムフォロアと、前記カムフォロアを保持する保持部材とを有し、エンジンの給気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を動作させる動弁装置の製造方法であって、
前記カムフォロアを製造するカムフォロア製造工程と、
前記保持部材を製造する保持部材製造工程と、
前記カムフォロアを、前記保持部材に取り付ける取り付け工程とを備え、
前記カムフォロア製造工程においては、前記カムフォロアを構成する軌道部材が、請求項1に記載の軌道部材の製造方法により製造され、
前記取り付け工程においては、前記低硬度領域が塑性加工されることにより、前記軌道部材が前記保持部材に対して固定されて、前記カムフォロアが前記保持部材に取り付けられる、動弁装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の軌道部材の製造方法により製造された、軌道部材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は軌道部材の製造方法、動弁装置の製造方法および軌道部材に関し、より特定的には、その一部が塑性変形することにより隣接する部材に対して固定される軌道部材とその製造方法、および当該軌道部材を有するカムフォロアを備えた動弁装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、転がり軸受は、外輪、内輪などの軌道部材と、当該軌道部材に接触して配置される玉、ころなどの転動体とを備えている。そして、転がり軸受は、軌道部材である内輪および外輪の少なくともいずれか一方が、当該軌道部材に隣接する他の部材に対して固定されて使用される。ここで、軌道部材の固定は、当該軌道部材を隣接する他の部材に対して嵌め込むことにより行なわれるほか、たとえばかしめ加工のように当該軌道部材の一部の領域を塑性変形させることにより行なわれる場合もある。
【0003】
このような塑性変形を利用した軌道部材の固定は、嵌め込みによる固定に比べて、固定のための新たな部材を必要としないため、低コスト化およびコンパクト化が可能であることなどの利点を有している。
【0004】
塑性変形を利用した軌道部材の固定を行なうためには、軌道部材における硬度分布に十分留意する必要がある。すなわち、塑性変形を利用した固定を行なう場合、軌道部材において塑性変形される領域は、塑性変形時の割れの発生を抑制する観点から、比較的低硬度、たとえば300HV以下の硬度を有する必要がある。一方、転がり軸受が使用される産業機械、輸送機械等の近年の高性能化に伴って、転がり軸受には、長寿命化が求められている。そのため、軌道部材において、転動体と接触する表面である転走面には、高硬度、たとえは653HV(58HRC)以上の硬度が要求されるとともに、転動疲労に対する高い抵抗性が要求される。
【0005】
塑性変形を利用した軌道部材の固定は、上述のような利点を有していることから、近年広く採用されている。たとえば、転がり軸受の一種である総ころタイプ(保持器を有さないタイプ)のラジアルころ軸受が、エンジンの給排気弁を動作させる動弁装置のローラ付きカムフォロアとして採用される場合がある。このローラ付きカムフォロアの取り付けにおいても、当該カムフォロアを構成する軌道部材の一部の領域を塑性変形させて保持部材に対して固定することにより、カムフォロアを保持部材に取り付けることができる。そのため、ローラ付きカムフォロアとして使用可能な転がり軸受に関しては、長寿命化等に関する多くの検討がなされると同時に(たとえば特許文献1〜9参照)、寿命向上と塑性変形を利用した固定とを両立することに関する提案がなされている(たとえば特許文献10〜12参照)。
【特許文献1】特開2000−38907号公報
【特許文献2】特開平10−47334号公報
【特許文献3】特開平10−103339号公報
【特許文献4】特開平10−110720号公報
【特許文献5】特開2000−38906号公報
【特許文献6】特開2000−205284号公報
【特許文献7】特開2002−31212号公報
【特許文献8】実開昭63−185917号公報
【特許文献9】特開2002−194438号公報
【特許文献10】特開平5−321616号公報
【特許文献11】特開昭62−7908号公報
【特許文献12】特開2005−299914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、一部の領域が塑性変形することにより、他の部材に対して固定される軌道部材においては、転走面を含む領域が十分な硬度を有していると同時に、塑性変形する領域が割れ等を発生することなく塑性変形可能な硬度を有していることが要求される。しかしながら、上述の特許文献10〜12に記載されているように、単に塑性変形する領域が焼入硬化されていないのみでは、塑性変形する領域の硬度が十分に制御されない。そのため、軌道部材の形状や同時に熱処理される数量などによって塑性変形する領域の硬度がばらつき、当該領域の硬度を安定して好ましい範囲とすることができない。その結果、実際の量産工程において、塑性変形を利用した固定が困難となる場合がある。一方、特許文献12に記載されているように、軌道部材全体を焼入硬化した後、高温焼戻を実施すれば、塑性変形する領域の硬度を十分に制御することができる。しかし、この場合、熱処理の工程数が増加し、軌道部材の製造コストが上昇するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域の硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ塑性変形する領域の硬度を安定して制御可能な軌道部材の製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、製造コストの上昇を抑制しつつ、軌道部材が転動疲労に対する十分な抵抗性を有していることにより十分な耐久性を有しているとともに、塑性変形を利用したカムフォロアの取り付けが容易な動弁装置の製造方法を提供することである。また、本発明のさらに他の目的は、製造コストの上昇が抑制されつつ、転走面を含む領域の硬度が十分に高いと同時に、転動疲労に対する高い抵抗性を有することにより、十分な転動疲労寿命が確保され、かつ塑性変形する領域の硬度が安定して制御された軌道部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従った軌道部材の製造方法は、0.5質量%以上0.7質量%以下の炭素と、0.15質量%以上0.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上0.9質量%以下のマンガンとを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなり、クロム含有量が0.3質量%以下に抑制された鋼からなり、軌道部材の概略形状に成形された部材である鋼製部材が準備される鋼製部材準備工程と、鋼製部材が熱処理される熱処理工程と、熱処理工程において熱処理された鋼製部材が、仕上げ加工される仕上げ加工工程とを備えている。熱処理工程は、浸炭窒化工程と、温度保持工程と、高周波焼入工程とを含んでいる。浸炭窒化工程では、鋼製部材が、A点以上の温度である浸炭窒化温度に加熱されて浸炭窒化される。温度保持工程では、浸炭窒化工程において浸炭窒化された鋼製部材が、浸炭窒化温度から、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に冷却されて、当該温度域に60分間以上180分間以下の時間保持される。高周波焼入工程では、温度保持工程よりも後で、鋼製部材において、軌道部材の転走面となるべき領域を含む高硬度領域以外の領域である低硬度領域が焼入硬化されることなく、高硬度領域が高周波焼入される。
【0009】
一般に、転がり軸受の軌道部材を構成する鋼としては、高炭素クロム軸受鋼であるJIS SUJ2が広く用いられている。SUJ2は、炭素含有量およびクロム含有量が高いため、焼入が容易で、かつ焼入後の硬度が高いため、転動疲労に対する抵抗性に比較的優れている。しかし、近年の転がり軸受の使用環境の過酷化を考慮すると、単に素材としてSUJ2を使用するだけでは、転動疲労に対する抵抗性は必ずしも十分とはいえない。
【0010】
これに対し、SUJ2製の軌道部材を浸炭窒化して、さらに転動疲労に対する抵抗性を向上させる対策が有効であるとも考えられる。しかし、クロム含有量が高く、比較的高価な鋼種であるSUJ2に、さらに浸炭窒化処理を実施すると、軌道部材およびこれを備えた転がり軸受の製造コストが上昇する。これは、近年の転がり軸受に対する低コスト化の要求に反するものとなる。
【0011】
本発明者は、軌道部材を構成する鋼の組成について詳細に検討するとともに、表面処理との組み合わせにより、製造コストの上昇を抑制しつつ、転動疲労に対する抵抗性を向上させることが可能な軌道部材の製造方法について鋭意検討した。その結果、以下のような知見を得た。すなわち、通常、転がり軸受を構成する軌道部材の転走面は、熱処理後の仕上げ加工工程において、表層部の0.1〜0.2mmの領域が研削等により除去されて形成される。したがって、仕上げ加工工程において除去される領域よりも深い領域の転動疲労に対する抵抗性を熱処理工程において向上させることが、軌道部材および転がり軸受の長寿命化に有効である。
【0012】
ここで、軌道部材を構成する鋼の炭素量およびクロム量を所定値以下に低減することにより、浸炭窒化処理において、軌道部材への窒素の侵入が容易となることが、本発明者の検討により明らかとなった。つまり、軌道部材を構成する鋼の炭素量およびクロム量を所定値以下に低減することにより、浸炭窒化処理の処理時間を延長することなく、十分な窒素濃度と厚みとを有する窒素富化層を形成することが可能となる。その結果、仕上げ加工工程における研削加工や超仕上げ加工を考慮しても、軌道部材の転走面の転動疲労に対する抵抗性を向上させつつ、製造コストを抑制することができる。さらに、比較的高価な合金元素であるクロムの含有量を低減することにより、素材のコストを抑制することも可能となる。
【0013】
つまり、本発明の軌道部材の製造方法においては、上述の組成を有する鋼から構成される鋼製部材が鋼製部材準備工程において準備され、浸炭窒化工程において当該鋼製部材が浸炭窒化されることにより、浸炭窒化処理の処理時間を延長することなく、十分な窒素濃度と厚みとを有する窒素富化層を形成することが可能になるとともに、素材のコストを低減することができる。なお、鋼の成分範囲を上述の範囲に限定した理由の詳細については、後述する。そして、転走面となるべき高硬度領域が高周波焼入されることにより、転走面の転動疲労に対する抵抗性を向上させることができる。
【0014】
ここで、表層部とは、軌道部材において、表面からの距離が0.2mm以下である領域をいう。また、窒素富化層とは、軌道部材の表層部に形成された軌道部材の芯部に比べて窒素含有量が高い層であって、例えば浸炭窒化、窒化、浸窒などの処理によって形成することができる。
【0015】
一方、浸炭窒化された鋼製部材が直ちに焼入硬化されない場合、鋼製部材は連続的に冷却されるのが一般的である。しかし、その場合、同じ熱処理設備を使用した場合でも、鋼製部材の形状、大きさ、同時に処理される鋼製部材の量などに依存して、鋼製部材の冷却速度は変化する。また、鋼製部材の形状によっては、鋼製部材の部位によって冷却速度が異なる場合もある。
【0016】
点以上の温度に加熱された鋼製部材が焼入硬化されずに冷却される場合、鋼製部材を構成する鋼の組織は、基本的にはパーライト変態する。このとき、パーライト組織(α鉄であるフェライト相と鉄の炭化物とからなる鋼組織)を構成する鉄の炭化物(セメンタイト;FeC;以下、炭化物という)を粗大化、凝集化させることにより、鋼製部材の硬度を抑制する、たとえば300HV以下の硬度とすることができる。ここで、炭化物を粗大化、凝集化させるためには、鋼製部材が冷却される際の冷却速度(単位時間あたりの温度低下)を小さくすることが有効である。
【0017】
しかし、上述のように、鋼製部材の形状等に起因した冷却速度の変化や、鋼製部材内の部位による冷却速度の相違を考慮すると、鋼製部材の形状等によって必要な冷却条件が変化するため、軌道部材において塑性変形する領域の硬度を安定して制御することは容易ではない。また、冷却速度を無制限に小さくすれば、塑性変形する領域の硬度を安定して抑制することができるが、熱処理に要する時間が長くなるため生産効率が低下し、製造コストが上昇するという問題がある。
【0018】
これに対し、本発明者は浸炭窒化後、高周波焼入れされない領域(低硬度領域)の硬度を、鋼製部材の形状、大きさ、同時に処理される鋼製部材の量などによらず安定させるための熱処理履歴に関して詳細に検討した。その結果、以下の知見を得た。
【0019】
すなわち、浸炭窒化された鋼製部材をA点未満の温度に冷却する際、A点よりも100℃低い温度よりも低い温度域に鋼製部材が短時間で冷却されると、炭化物の粗大化、凝集化が不十分となり、鋼製部材の形状等によっては割れを発生させること無く塑性変形させることが困難となる場合がある。また、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に保持される時間が60分間未満では、鋼のパーライト変態が完了せず、その後の冷却速度によっては微細な炭化物や層状の炭化物が鋼中に析出して硬度が上昇し、割れを発生させること無く塑性変形させることが困難となる。一方、当該温度域においては、180分間以内には鋼のパーライト変態はほぼ完了し、その後の冷却速度によらず割れを発生させること無く塑性変形させることが可能となる。そのため、180分間を超えて当該温度域に保持する利点は小さく、むしろ軌道部材の生産効率を低下させる結果となる。
【0020】
したがって、浸炭窒化工程で浸炭窒化された鋼製部材が、温度保持工程において浸炭窒化温度から、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に冷却されて当該温度域に60分間以上180分間以下の時間保持されることにより、鋼製部材が適切な温度域に必要かつ十分な時間保持され、鋼製部材を構成する鋼が恒温変態、あるいは冷却速度が非常に小さい状態でパーライト変態し、当該変態がほぼ完了するとともに炭化物が粗大化、凝集化する。その結果、鋼製部材は、安定して、割れを発生させることなく塑性変形させることが可能な硬度を有する。そして、その後の高周波焼入工程において、上述のように浸炭窒化された軌道部材の転走面となる領域を含む領域である高硬度領域を高周波焼入して部分的に硬化することにより、焼入硬化されない領域の塑性加工の容易性と軌道部材の転走面における転動疲労に対する抵抗性とを両立することができる。
【0021】
以上より、本発明の軌道部材の製造方法によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域の硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ塑性変形する領域の硬度を安定して制御することができる。
【0022】
次に、鋼製部材準備工程において準備される鋼製部材を構成する鋼の成分範囲を上述の範囲に限定した理由の詳細について説明する。
【0023】
炭素:0.5質量%以上0.7質量%以下
炭素含有量が多くなると、軌道部材を構成する鋼において、粗大な炭化物(セメンタイト;FeC)が形成される。この粗大な炭化物は、浸炭窒化処理が実施される時点においても、鋼の素地に固溶せず、軌道部材への窒素の侵入を阻害する。炭素量が0.7質量%を超えると上述の影響が大きくなる。
【0024】
一方、炭素量は、鋼の焼入後の硬度に大きな影響を及ぼす。炭素含有量が低い場合、軌道部材として機能させるためには、軌道部材の表層部、特に転走面近傍において炭素濃度を0.8質量%以上に上昇させることが好ましい。炭素量が0.5質量%未満では、炭素濃度を上昇させるために要する時間が長くなり、製造コストの上昇を招来する。そのため、炭素量は、0.5質量%以上0.7質量%以下である。
【0025】
珪素:0.15質量%以上0.3質量%以下
軌道部材の使用環境においては、使用中に温度が上昇し、軌道部材の硬度が低下するという問題が生じる場合がある。軌道部材を構成する鋼が珪素を含有することにより、これを防止する効果(焼戻軟化抵抗)が向上する。軌道部材を構成する鋼の珪素含有量が0.15質量%未満の場合、軌道部材の焼戻軟化抵抗が不十分となる場合がある。また、珪素は鋼の製造工程において、鋼の特性に対して有害な酸素の含有量を低下させるために添加される元素であり、0.15質量%未満に低減することは製造コスト上昇の原因となる可能性がある。一方、軌道部材を構成する鋼の珪素含有量が0.3質量%を超える場合、素材の硬度が上昇し、冷間加工性が低下する。以上の理由により、珪素量は0.15質量%以上0.3質量%以下である。
【0026】
マンガン:0.6質量%以上0.9質量%以下
マンガンは、軌道部材を構成する鋼に含有されることにより、軌道部材の焼入の容易性を向上させる効果を有している。また、マンガンは、軌道部材を構成する鋼に不可避に含有される硫黄と化合して硫化マンガンを形成し、ミクロ組織における硫黄の結晶粒界への偏析を抑制して、軌道部材の特性の低下を回避する効果を有している。マンガンの含有量が0.6質量%未満の場合、上述の効果を十分に果たすことができない。一方、軌道部材を構成する鋼のマンガン含有量が0.9質量%を超える場合、素材の硬度が上昇し、冷間加工性が低下するため、加工コストが上昇する。そのため、マンガン量は0.6質量%以上0.9質量%以下である。
【0027】
クロム:0.3質量%以下
クロムは、浸炭窒化が実施される際、鋼の素地への炭化物の固溶を阻害する。そして、浸炭窒化時に残存する炭化物は、軌道部材の内部への窒素の侵入を阻害する。クロム量が0.3質量%を超えると、上記の影響が大きくなるため、クロム量は0.3質量%以下である。なお、浸炭窒化における窒素の侵入を容易にし、より短時間で十分な窒素富化層を形成可能とするためには、クロム量は0.2質量%以下であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の鋼製部材準備工程において準備される鋼製部材を構成する鋼は、JIS G4051に規定される機械構造用炭素鋼のうち上述の組成の条件を満たすもの、あるいは他の規格に規定される炭素鋼であることが好ましい。具体的には、JIS S50C、S53C、S55C、S58C、およびSAE1050、1055、1060、1065、1070が上述の組成の条件を満たす。規格鋼を採用することにより、素材の入手が容易になり、かつ素材のコストを低減することができる。
【0029】
本発明に従った動弁装置の製造方法は、カムフォロアと、カムフォロアを保持する保持部材とを有し、エンジンの給気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を動作させる動弁装置の製造方法である。この動弁装置の製造方法は、カムフォロアを製造するカムフォロア製造工程と、保持部材を準備する保持部材製造工程と、カムフォロアを、保持部材に取り付ける取り付け工程とを備えている。そして、カムフォロア製造工程においては、カムフォロアを構成する軌道部材が、上述の軌道部材の製造方法により製造される。また、取り付け工程においては、低硬度領域が塑性加工されることにより、軌道部材が保持部材に対して固定されて、カムフォロアが保持部材に取り付けられる。
【0030】
本発明の動弁装置の製造方法によれば、カムフォロアを構成する軌道部材が、上述の軌道部材の製造方法により製造されるため、当該軌道部材の製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域の硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ塑性変形する領域の硬度を安定して制御することができる。そして、硬度が安定して制御された軌道部材の低硬度領域が塑性加工されることにより、軌道部材が保持部材に対して固定され、カムフォロアが保持部材に取り付けられる。そのため、製造コストの上昇を抑制しつつ、軌道部材が転動疲労に対する十分な抵抗性を有していることにより十分な耐久性を有しているとともに、塑性変形を利用したカムフォロアの取り付けが容易な動弁装置の製造方法を提供することができる。
【0031】
本発明に従った軌道部材は、上述の軌道部材の製造方法により製造されている。本発明の軌道部材によれば、上述の本発明の軌道部材の製造方法により製造されていることにより、製造コストの上昇が抑制されつつ、転走面を含む領域の硬度が十分に高いと同時に転動疲労に対する高い抵抗性を有することにより、十分な転動疲労寿命が確保され、かつ塑性変形する領域の硬度が安定して制御された軌道部材を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明の軌道部材の製造方法によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域の硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ塑性変形する領域の硬度を安定して制御可能な軌道部材の製造方法を提供することができる。また、本発明の動弁装置の製造方法によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、軌道部材が転動疲労に対する十分な抵抗性を有していることにより十分な耐久性を有しているとともに、塑性変形を利用したカムフォロアの取り付けが容易な動弁装置の製造方法を提供することができる。また、本発明の軌道部材によれば、製造コストの上昇が抑制されつつ、転走面を含む領域の硬度が十分に高いと同時に転動疲労に対する高い抵抗性を有することにより、十分な転動疲労寿命が確保され、かつ塑性変形する領域の硬度が安定して制御された軌道部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。また、図2は、図1の線分II−IIに沿う概略断面図である。また、図3は、図2のカムフォロア付近を拡大して示した概略部分断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置について説明する。
【0035】
図1および図2を参照して、動弁装置10は、総ころタイプのラジアルころ軸受であるカムフォロア1と、カムフォロア1を一方の端部2Bにおいて保持する保持部材としてのロッカーアーム2と、カムフォロア1の外輪としてのローラ11の外周面に、外周面5Bにおいて接触するように配置されたカム5と、ロッカーアーム2の他方の端部2Cに形成された貫通穴2Dに挿入され、ロックナット8によりロッカーアーム2に固定されたアジャストねじ9と、アジャストねじ9の一方の端部に、一方の端部において連結されたエンジンの給気または排気用の弁であるバルブ6とを備えている。
【0036】
カムフォロア1は、外輪としての円環状のローラ11と、ローラ11を貫通する中空円筒状の軸12と、ローラ11および軸12の間に配置される複数のころ13を含んでいる。ロッカーアーム2は、中央部において軸受メタル4などを介してロッカーアーム軸3に保持されており、ロッカーアーム軸3を支点として回動自在となっている。バルブ6は、ばね7の弾性力により矢印7Aの向きに付勢されている。そのため、カムフォロア1はアジャストねじ9、ロッカーアーム2を介してばね7の弾性力により、常にカム5の外周面5Bに押し付けられている。カム5は、カムフォロア1の内輪である軸12の軸方向に垂直な断面において、卵形の断面形状を有している。そして、カム5はカムシャフト5Aと一体に形成されており、カムシャフト5Aを軸として回転可能に構成されている。
【0037】
図2を参照して、ロッカーアーム2の一方の端部2B側は、1対の側壁21が形成された二股状の形状を有している。1対の側壁21のそれぞれには同軸の円柱状の貫通穴21Aが形成されている。そして、1対の側壁21の両方の貫通穴21Aを貫通するようにカムフォロア1の軸12が嵌め込まれている。軸12の外周面には軸転走面12Aが形成されており、軸転走面12Aに外周面であるころ転走面13Aにおいて接触するように、複数のころ13が配置されている。さらに、ローラ11は、1対の側壁21の間に配置され、かつローラ11の内周面には、軸転走面12Aに対向するようにローラ転走面11Aが形成されている。そして、ころ13は、ころ転走面13Aにおいて、ローラ転走面11Aと接触するように配置されている。これにより、ローラ11は軸12に対して回転自在に保持されている。
【0038】
さらに、図3を参照して、貫通穴21Aのそれぞれの外壁側開口付近には、軸12の軸方向に垂直な断面における直径が徐々に大きくなるテーパー部21Bが形成されている。そして、軸12の両端部は、300HV以下の硬度を有する低硬度領域12Cとなっており、塑性加工であるかしめ加工されることによりテーパー部21Bに沿うように変形されている。これにより、軌道部材としての軸12は、保持部材としてのロッカーアーム2に対して固定されている。一方、軸12の軸転走面12Aを含む環状の領域は、高周波焼入され、653HV以上の硬度を有する高硬度領域12Bとなっている。
【0039】
なお、図1〜図3においては、軽量化のため中空状の軸12が採用された場合を示しているが、強度および剛性などを重視して中実の軸12を採用してもよい。
【0040】
次に、実施の形態1における動弁装置10の動作について説明する。図1を参照して、カム5がカムシャフト5Aとともにカムシャフト5Aを軸として回転すると、カムシャフト5Aからカム5とカムフォロア1との接触部までの距離が周期的に変化する。そのため、ロッカーアーム2はロッカーアーム軸3を支点として揺動する。その結果、アジャストねじ9を介してバルブ6が往復運動する。これにより、エンジンの吸気弁または排気弁が開閉する。
【0041】
次に、実施の形態1における軌道部材としてのカムフォロア1の軸12および動弁装置10の製造方法について説明する。図4は、実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法の概略を示す図である。
【0042】
図4を参照して、実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法においては、まず0.5質量%以上0.7質量%以下の炭素と、0.15質量%以上0.35質量%以下の珪素と、0.6質量%以上0.9質量%以下のマンガンとを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなり、クロム含有量が0.3質量%以下に抑制された鋼からなり、軌道部材としての軸12の概略形状に成形された部材である鋼製部材が準備される鋼製部材準備工程が実施される。具体的には、たとえば上述の成分組成を有する鋼、たとえばJIS規格 S53Cからなる鋼材が鍛造、切削等により加工されて、鋼製部材が作製される。
【0043】
次に、鋼製部材準備工程において準備された鋼製部材が熱処理される熱処理工程が実施される。熱処理工程は、浸炭窒化工程と、温度保持工程と、高周波焼入工程と、焼戻工程とを含んでいる。この熱処理工程の詳細については、後述する。
【0044】
そして、熱処理工程において熱処理された鋼製部材が、仕上げ加工される仕上げ加工工程が実施される。具体的には、熱処理が完了した鋼製部材に対して研削加工、超仕上げ加工などの仕上げ加工が施されることにより、カムフォロア1の軸12が完成する。
【0045】
次に、実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法に含まれる熱処理工程の詳細について説明する。図5は、実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法に含まれる熱処理工程を示す図である。図5において、横方向は時間を示しており右に行くほど時間が経過していることを示している。また、図5において、縦方向は温度を示しており上に行くほど温度が高いことを示している。
【0046】
図5を参照して、熱処理工程においては、まず、鋼製部材が、A点以上の温度である浸炭窒化温度に加熱されて浸炭窒化される浸炭窒化工程が実施される。具体的には、鋼製部材準備工程において準備された鋼製部材は、A点以上の温度である800℃以上1000℃以下の温度、たとえば850℃に加熱され、60分間以上300分間以下の時間、たとえば150分間保持される。このとき、RXガスにアンモニア(NH)を添加した雰囲気において加熱されることにより、鋼製部材の表層部の炭素濃度および窒素濃度が所望の濃度に調整される。
【0047】
ここで、上述のように炭素およびクロムの含有量がそれぞれ0.7質量%以下および0.3質量%以下に抑制された鋼から構成される鋼製部材が鋼製部材準備工程において準備され、浸炭窒化工程において当該鋼製部材が浸炭窒化されることにより、浸炭窒化処理の処理時間を延長することなく、十分な窒素濃度と厚みとを有する窒素富化層を形成することが可能になるとともに、素材のコストを低減することができる。
【0048】
次に、浸炭窒化工程において浸炭窒化された鋼製部材が、浸炭窒化温度から、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度域に冷却されて当該温度域に60分間以上180分間以下の時間保持される温度保持工程が実施される。
【0049】
このとき、鋼製部材を構成する鋼は、A変態点未満の温度に冷却されることによりパーライト変態を開始する。パーライト変態は、時間が経過すれば、温度を下げなくても進行する。そのため上述のように60分間以上180分間以下の時間、上記温度域で保持されることにより、鋼製部材を構成する鋼の変態は、恒温変態の状態あるいは冷却速度が非常に小さい状態が確保されつつ、ほぼ完了する。その結果、当該鋼中の炭化物が十分に粗大化、凝集化して硬度が抑制される。
【0050】
また、パーライト変態が進行する期間において、鋼製部材の温度が上記温度範囲に保持されるため、鋼製部材の形状、大きさ、同時に処理される鋼製部材の量などに関わらず、一定の状態に炭化物を粗大化、凝集化させることができる。さらに、鋼製部材の部位によって冷却速度が大きく異なることもないため、部位によらず、一定の状態に炭化物を粗大化、凝集化させることができる。その結果、軸12における低硬度領域12Cの硬度を安定して制御することが可能となり、割れを発生させることなく塑性加工することが可能な低硬度領域12Cを有する軸12を安定して製造することができる。また、浸炭窒化を実施した後、焼入を実施し、さらに高温焼戻を実施する従来の工程に比べて、熱処理工程を簡略化できるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0051】
ここで、温度保持工程において、鋼製部材が保持されるべき温度は、炭化物の粗大化、凝集化を十分に進行させる観点から、具体的には、650℃以上700℃以下とされることが好ましい。さらに、温度保持工程において、鋼製部材が上述の温度域に保持される時間は、生産効率の向上とパーライト変態の十分な進行および冷却速度のばらつき抑制とを両立させる観点から、60分間以上120分間以下とされることが好ましい。
【0052】
次に、図5を参照して、温度保持工程が実施された鋼製部材は、取り扱いが容易な温度、たとえば室温まで冷却される。このとき、前述のように温度保持工程において、鋼製部材を構成する鋼のパーライト変態はほぼ完了しているため、冷却速度は鋼製部材の硬度にほとんど影響を与えない。したがって、生産効率を向上させるため、油冷、水冷などを実施して、鋼製部材を急冷することができる。
【0053】
次に、鋼製部材において、軌道部材としての軸12の軸転走面12Aとなるべき領域を含む高硬度領域12B以外の領域である低硬度領域12C(両端部)が焼入硬化されることなく、高硬度領域12Bが高周波焼入される高周波焼入工程が実施される。具体的には、図3を参照して、高硬度領域12Bの表面が誘導コイルに対向するように鋼製部材が高周波焼入装置にセットされ、当該誘導コイルに高周波電流が流されることにより高硬度領域12BがA点以上の温度である800℃以上1000℃以下の温度、たとえば900℃に誘導加熱される。その後、A点以上の温度域からM点未満の温度まで、たとえば油冷または水冷されることにより急冷される。これにより、低硬度領域12Cが焼入硬化されることなく、高硬度領域12Bが焼入硬化される。ここで、高硬度領域12Bを含む鋼製部材の表層部は浸炭窒化工程において浸炭窒化されている。そのため、高周波焼入工程において高硬度領域12Bが高周波焼入れされることにより、軸転走面12Aは転動疲労に対する抵抗性の高い領域となり、軸12に優れた転動疲労寿命特性を付与することができる。
【0054】
また、軸転走面12A直下の表層部は、浸炭窒化された後、高周波焼入れされることにより、10体積%以上50体積%以下、あるいはより好ましい範囲である15体積%以上35体積%以下の残留オーステナイト量を含むとともに、オーステナイト結晶粒度が11番以上(旧オーステナイト結晶粒の粒度番号;JIS G 0551)の鋼組織とされる。そのため、軸12の転動疲労寿命特性は、一層向上する。
【0055】
ここで、高周波焼入工程における上記誘導加熱は、被処理物である軸12の内部に発生するうず電流によるジュール熱とヒステリシス損失による仕事量に相当する熱の発生により実現されるため、誘導コイルに流される高周波電流の周波数、電源の出力、加熱時間などを制御することにより、軸12のうち所望部分のみを局所的に加熱することができる。そのため、比較的容易に、低硬度領域12Cを焼入硬化することなく、高硬度領域12Bを焼入硬化することができる。
【0056】
次に、図5を参照して、焼戻工程が実施される。具体的には、高周波焼入工程が実施された鋼製部材が、A点未満の温度である150℃以上350℃以下の温度、たとえば180℃に加熱され、30分間以上240分間以下の時間、たとえば120分間保持されて、その後室温の空気中で冷却される(空冷)。以上の手順により、実施の形態1における軌道部材の製造工程に含まれる熱処理工程は完了する。
【0057】
上記実施の形態1における軌道部材としての軸12の製造方法によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、浸炭窒化された軸転走面12Aを含む高硬度領域12Bの硬度を十分に高くするとともに、転動疲労に対する高い抵抗性を付与して十分な転動疲労寿命を確保し、かつ軸12の両端部である低硬度領域12Cの硬度を安定して制御して抑制することができる。その結果、軸12の両端部(低硬度領域12C)を、割れの発生を回避しながら塑性変形可能とし、塑性変形による固定が容易な軸12を製造することができる。
【0058】
そして、上記実施の形態1における軌道部材の製造方法により製造された本発明の実施の形態1における軌道部材としての軸12は、製造コストの上昇が抑制されつつ、転走面を含む領域の硬度が十分に高いと同時に転動疲労に対する高い抵抗性を有している。その結果、軸12は、十分な転動疲労寿命が確保され、かつ塑性変形する領域の硬度が安定して制御された軌道部材となっている。
【0059】
ここで、A点とは鋼を加熱した場合に、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態を開始する温度に相当する点をいう。また、M点とはオーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。
【0060】
次に、実施の形態1における動弁装置10の製造方法について説明する。図6は、実施の形態1における動弁装置10の製造方法の概略を示す図である。
【0061】
図1および図6を参照して、実施の形態1における動弁装置10の製造方法は、カムフォロア1と、カムフォロア1を保持する保持部材としてのロッカーアーム2とを有し、エンジン(図示しない)の給気弁または排気弁であるバルブ6を動作させる動弁装置の製造方法である。当該動弁装置10の製造方法は、カムフォロア1を製造するカムフォロア製造工程と、保持部材としてのロッカーアーム2を製造する保持部材製造工程と、カムフォロア1を、保持部材としてのロッカーアーム2に取り付ける取り付け工程と、カムフォロアが取り付けられたロッカーアーム2と、別途準備されたカム5、バルブ6、ばね7などとを組み合わせて動弁装置10を組立てる組立て工程とを備えている。
【0062】
ここで、カムフォロア製造工程においては、カムフォロア1を構成する軌道部材としての軸12が、上述の実施の形態1における軌道部材の製造方法により製造される。
【0063】
また、取り付け工程においては、図3を参照して、軸12の両端部である低硬度領域12Cが塑性加工されることにより、軸12がロッカーアーム2に対して固定されて、カムフォロア1がロッカーアーム2に取り付けられる。より詳細に説明すると、ローラ11とローラ11のローラ転走面11Aに接触するように配置された複数のころ13がロッカーアーム2の一方の端部2B側に形成された1対の側壁21の間に挿入される。その後、1対の側壁21のそれぞれに形成された貫通穴21Aを同時に貫通し、かつ軸転走面12Aが複数のころ13に接触するように、軸12が挿入される。そして、軸12の両端部である低硬度領域12Cが塑性加工であるかしめ加工されることにより、軸12がロッカーアーム2に対して固定され、カムフォロア1がロッカーアーム2に取り付けられる。
【0064】
実施の形態1における動弁装置10の製造方法においては、軸12が、上述の実施の形態1における軌道部材の製造方法により製造され、当該軸12がかしめ加工されることにより軸12がロッカーアーム2に対して固定され、カムフォロア1がロッカーアーム2に取り付けられる。そのため、実施の形態1における動弁装置10の製造方法によれは、製造コストの上昇を抑制しつつ、軌道部材としての軸12が転動疲労に対する十分な抵抗性を有していることにより十分な耐久性を有しているとともに、塑性変形を利用したカムフォロアの取り付けを容易に実施することができる動弁装置10の製造方法を提供することができる。
【0065】
(実施の形態2)
図7は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。図7を参照して、実施の形態2における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置およびその製造方法について説明する。
【0066】
図7を参照して、実施の形態2における動弁装置10は、上述の実施の形態1における動弁装置10と基本的には同様の構成を有している。しかし、実施の形態2における動弁装置10は、ロッカーアーム2の回動の支点がロッカーアーム2の一方の端部2Bとなる点において、実施の形態1の動弁装置10とは異なっている。
【0067】
すなわち、実施の形態2における動弁装置10においては、ロッカーアーム2の一方の端部2B側に図示しないピボットが当接するピボット当接部22が形成されている。そして、ロッカーアーム2は、ピボット当接部22を支点として回動自在に保持されている。
【0068】
カム5がカムシャフト5Aとともにカムシャフト5Aを軸として回転すると、カムシャフト5Aからカム5とカムフォロア1との接触部までの距離が周期的に変化する。そのため、ロッカーアーム2はピボット当接部22を支点として揺動する。その結果、バルブ6が往復運動して、エンジンの吸気弁または排気弁が開閉する。
【0069】
なお、実施の形態2における軌道部材としての軸12および動弁装置10は、上述のように実施の形態1における軸12および動弁装置10と基本的には同様の構成を有しており、同様の製造方法により製造することができる。
【0070】
(実施の形態3)
図8は、本発明の一実施の形態である実施の形態3における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。また、図9は、図8のカムフォロア周辺を拡大して示した概略図である。図8および図9を参照して、実施の形態3における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置およびその製造方法について説明する。
【0071】
図8および図9を参照して、実施の形態3における動弁装置10は、上述の実施の形態1における動弁装置10と基本的には同様の構成を有している。しかし、実施の形態3における動弁装置10は、ロッカーアーム2に直接カムフォロア1が取り付けられるのではなく、ロッカーアーム2とカムフォロア1との間にプッシュロッド90が介在し、カムフォロア1がプッシュロッド90に取り付けられている点において、実施の形態1の動弁装置10とは異なっている。
【0072】
すなわち、ロッカーアーム2の一方の端部2Bには、ロックナット82によりロッカーアーム2に対して固定されたアジャストねじ80および連結部材81を介して、棒状の形状を有するプッシュロッド90が連結されている。保持部材としてのプッシュロッド90において、ロッカーアーム2と連結されている側とは反対側の端部には、カムフォロア1が取り付けられている。そして、カム5は、外周面5Bにおいてカムフォロア1のローラ11の外周面と接触するように配置されている。
【0073】
カム5がカムシャフト5Aとともにカムシャフト5Aを軸として回転すると、カムシャフト5Aからカム5とカムフォロア1との接触部までの距離が周期的に変化する。そのため、ロッカーアーム2はプッシュロッド90により一方の端部2Bが押されることにより、ロッカーアーム軸3を支点として揺動する。その結果、バルブ6が往復運動して、エンジンの吸気弁または排気弁が開閉する。
【0074】
なお、実施の形態3における軌道部材としての軸12および動弁装置10は、上述のように実施の形態1における軸12および動弁装置10と基本的には同様の構成を有しており、同様の製造方法により製造することができる。
【実施例1】
【0075】
以下、本発明の実施例1について説明する。本発明の軌道部材の窒素濃度分布を、一般的な軸受用鋼であるSUJ2を素材とし、浸炭窒化が実施された軌道部材の窒素濃度分布と比較する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0076】
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。本発明の実施例の軌道部材を構成する鋼としてJIS S53C、比較例の軌道部材を構成する鋼としてJIS SUJ2を採用した。そして、上記鋼材を軌道部材である6303型番(JIS B1513)の軸受内輪の概略形状を有する鋼製部材に加工した。
【0077】
その後、上記鋼製部材を、RXガスにアンモニアガスを添加した雰囲気中で850℃に150分間保持することにより、浸炭窒化した。そして、当該鋼製部材を表面に対して垂直な断面で切断し、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)により、表面から内部に向けて、当該表面に垂直な方向における窒素濃度および炭素濃度の分布を測定した。
【0078】
図10は、浸炭窒化された鋼製部材における表面からの深さと窒素濃度との関係を示す図である。また、図11は、浸炭窒化された鋼製部材における表面からの深さと炭素濃度との関係を示す図である。図10および図11において、横軸は表面からの深さであり、縦軸はそれぞれ窒素濃度および炭素濃度である。また、図10および図11において、S53C製の鋼製部材の測定結果は実線で、SUJ2製の鋼製部材の測定結果は破線で示されている。図10および図11を参照して、浸炭窒化された鋼製部材の窒素濃度分布について説明する。
【0079】
図10を参照して、本発明の実施例であるS53C製の鋼製部材および比較例であるSUJ2製の鋼製部材における窒素濃度は、表面から内部に向かうに従って低下している。そして、最表層部においては、比較例であるSUJ2製鋼製部材の窒素濃度が、実施例であるS53C製鋼製部材の窒素濃度を上回っている。しかし、SUJ2製鋼製部材の窒素濃度は、内輪の内部では急激に低下し、表面からの深さが0.15mmを超える領域においては、S53C製鋼製部材の窒素濃度がSUJ2製鋼製部材の窒素濃度を上回っている。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0080】
図11を参照して、実施例であるS53C製鋼製部材の炭素濃度は、内部に向けてほぼ直線的に低下していくのに対し、比較例であるSUJ2製鋼製部材の炭素濃度は最表層部に最も大きなピークを有しており、内部に向けても多くのピークを有している。これは、過共析鋼であるSUJ2のミクロ組織中には炭化物(セメンタイト;FeC)が存在していることと、SUJ2は多量のクロム(Cr)を含有しているため、浸炭窒化処理により表層部にCr炭窒化物が析出していることとに起因している。そして、これらの炭化物および炭窒化物が浸炭窒化処理における窒素の内部への侵入を阻害し、上述のような窒素濃度の急激な低下の原因となったものと考えられる。
【0081】
ここで、通常、転がり軸受を構成する軌道部材の転走面は、熱処理後の仕上げ加工工程において、表層部の0.1〜0.2mmの領域が研削により除去される。したがって、転動疲労に対する抵抗性が要求される転走面およびその近傍では、本発明の実施例であるS53C製の軌道部材の窒素濃度が、比較例であるSUJ2製の軌道部材の窒素濃度よりも高くなっていることとなる。たとえば、熱処理後の仕上げ加工工程において、表層部の0.2mmの領域が研削により除去された場合でも、S53C製の軌道部材では、転走面からの深さ0.05mm以内の領域における窒素濃度を0.14質量%以上とすることが可能である。また、SUJ2製の軌道部材の転走面における窒素濃度を上昇させるためには、浸炭窒化時間を長くする対策が考えられるが、その場合、製造コストが上昇するという問題がある。
【0082】
以上より、S53Cを素材として浸炭窒化を実施した本発明の軌道部材は、SUJ2を素材として浸炭窒化を実施した比較例の軌道部材に比べて、製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面近傍の窒素濃度を上昇させることが可能であることが分かる。そして、これにより、本発明の軌道部材によれば、転走面の転動疲労に対する抵抗性を向上させることが可能であると考えられる。
【実施例2】
【0083】
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明の軌道部材の製造方法により製造した軌道部材の特性を評価する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0084】
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。本発明の実施例として、素材として機械構造用炭素鋼であるJIS S53Cを採用し、図4および図5に基づいて説明した実施の形態1における軌道部材としての軸12の製造方法と同様の製造方法により、外径14.6mm、長さ17.3mmの中実円筒状の試験片(カムフォロアの軸)を作製した。熱処理工程においては、図5を参照して、A点以上の温度である850℃に加熱して浸炭窒化した後(浸炭窒化工程)、A点よりも100℃低い温度以上A点未満の温度である650℃まで冷却し、120分間650℃に保持した(温度保持工程)。その後、油中に浸漬することにより冷却(油冷)した。さらに、転走面となるべき領域を含む領域を焼入硬化する高周波焼入を実施した後(高周波焼入工程)、180℃に加熱して120分間保持することにより焼戻を行ない(焼戻工程)、熱処理工程を終了した(実施例A)。
【0085】
一方、本発明の範囲外の比較例として、上記試験片と同様の工程において、熱処理工程の浸炭窒化工程および温度保持工程を省略し、高周波焼入工程および焼戻工程のみを行なった試験片も作製した(比較例A)。
【0086】
次に、特性評価の方法について説明する。上記試験片の外周面の硬度、転走面における残留オーステナイト量およびオーステナイト結晶粒度番号を調査した。図12は、試験片の硬度の測定位置を示す図である。図12を参照して、試験片としてのカムフォロアの軸30の外周面の硬度は、外周面の端部から長手方向にそれぞれ8.65mm、5.0mm、2.0mmおよび1.0mm離れた位置である測定位置A、B、CおよびDを、ビッカース硬度計により測定した。ここで、測定位置AおよびBは高硬度領域32の表面である転走面31に含まれる位置、測定位置CおよびDは転走面31以外の領域に含まれる位置である。
【0087】
転走面31における残留オーステナイト量は、X線回折計(XRD)を用いて、当該部位のマルテンサイトα(211)面とオーステナイトγ(220)面との回折強度とを測定することにより、算出した。また、オーステナイト結晶粒度番号は、JIS G 0551に記載された旧オーステナイト結晶粒の粒度番号の測定方法により測定した。
【0088】
【表1】


【0089】
表1に、特性評価の結果を示す。表1を参照して、本発明の実施例の製造方法により作製された実施例Aは、転走面31に含まれる測定位置AおよびBにおける硬度が775HVとなっており、十分な転動疲労寿命が期待できる硬度となっている。また、転走面31以外の領域である測定位置CおよびDにおける硬度は、210〜215HVとなっており、かしめ加工などの塑性加工を、割れを発生させることなく実施できる硬度範囲である300HV以下となっている。
【0090】
一方、本発明の範囲外である従来の製造方法により作製された比較例Aは、転走面31に含まれる測定位置AおよびBにおける硬度が700〜705HVとなっている。実施例Aに比べて硬度が低くなっているのは、比較例Aの試験片が浸炭窒化されていないことに起因していると考えられる。また、転走面31以外の領域である測定位置CおよびDにおける硬度は、180〜185HVとなっている。
【0091】
また、実施例Aは、転走面31における残留オーステナイト量が30.5体積%となっている。これは、転動疲労寿命、特に硬質の異物が潤滑剤に混入する異物混入環境等における転動疲労寿命の向上と、寸法安定性とを両立するために好ましい範囲である10体積%以上50体積%以下、特に好ましい範囲である15体積%以上35体積%以下に含まれる。
【0092】
一方、比較例Aは、転走面31における残留オーステナイト量が5.5体積%となっている。実施例Aに比べて残留オーステナイト量が少なくなっているのは、比較例Aの試験片が浸炭窒化されていないことに起因していると考えられる。その結果、比較例Aの残留オーステナイト量は、転動疲労寿命、特に異物混入環境等における転動疲労寿命の向上と、寸法安定性とを両立するために好ましい範囲である10体積%以上50体積%以下の範囲外となっている。
【0093】
また、実施例Aは、転走面31におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号が11となっており、転動疲労寿命、靭性等を向上させるために好ましい範囲である11以上となっている。
【0094】
一方、比較例Aは、転走面31におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号が9となっている。実施例Aに比べて粒度番号が小さく(旧オーステナイト結晶粒が大きく)なっているのは、比較例Aの試験片が浸炭窒化されていないため、高周波焼入の際にオーステナイト結晶粒の生成サイトとなる炭化物の数密度が実施例Aに比べて少なくなっていたことに起因していると考えられる。
【0095】
以上より、本発明の軌道部材の製造方法により作製された軌道部材は、従来の軌道部材に比べて転走面の硬度およびオーステナイト結晶粒度番号が大きく、残留オーステナイト量が好ましい範囲となっているとともに、塑性加工が容易な領域が形成されている。そのため、本発明の軌道部材の製造方法により作製された軌道部材は、転走面の転動疲労寿命が優れているとともに、かしめ加工などの塑性加工を利用した軌道部材の固定が容易となっていることが確認された。
【実施例3】
【0096】
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明の軌道部材の製造方法により製造した軌道部材の転動疲労寿命を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0097】
上述の実施例2において作製された図12に示す試験片であるカムフォロアの軸を内輪として、外輪回転型転動疲労寿命試験を実施した。なお、比較例Aと同様の熱処理工程により作製したJIS SUJ2製のカムフォロアの軸を比較例Bとして、試験対象に追加した。図13は、実施例3の試験に用いられた転動疲労寿命試験機の主要部を示す概略図である。図13を参照して、実施例3の転動疲労寿命試験の試験方法について説明する。
【0098】
図13を参照して、転動疲労寿命試験機40は、図示しない動力源に接続された回転軸41と、中心を含む領域を回転軸41が貫通し、回転軸41と一体に回転可能に構成された円盤状の駆動ローラ42と、回転軸41を軸周りに回転自在に支持する1対の軸受45とを備えている。
【0099】
そして、駆動ローラの外周面42Aに対して外周面において接触するように円環状の外輪43が配置され、外輪43の内周面に対して外周面において接触するように複数のころ44が配置される。さらに、図12および図13を参照して、外輪43を貫通し、転走面31においてころ44に接触するように、試験片としてのカムフォロアの軸30が固定されて配置される。
【0100】
図示しない動力源により回転軸41が軸周りに回転すると、回転軸41と一体に駆動ローラ42が回転する。そして、駆動ローラ42により駆動されて、外輪43が回転する。その結果、固定されたカムフォロアの軸30の転走面31をころ44が転走する。ここで、カムフォロアの軸30に負荷される荷重は2200N、外輪43の回転速度は7000回転/分、潤滑油はエンジンオイル(SAE粘度規格:10W−30)、油温は100℃の条件の下で、試験を実施した。この条件によれば、試験中に表面損傷または内部起点剥離のいずれかが発生する。したがって、本試験により、表面損傷および内部起点剥離の両方の寿命を確認することができる。そして、カムフォロアの軸30に剥離が発生するまでの時間(転動疲労寿命)を調査した。さらに、実験の結果得られた転動疲労寿命を統計的に解析し、10%の試験片が剥離するまでの時間(L10寿命)を算出した。表2に試験結果を示す。
【0101】
【表2】


【0102】
表2においては、比較例AのL10寿命を1とした場合の、各試験片の寿命比が示されている。表2を参照して、本発明の実施例である実施例Aのカムフォロアの軸は、従来のカムフォロアの軸である比較例Aに対して5倍程度の転動疲労寿命を有している。これは、実施例Aにおいては、浸炭窒化処理が実施されることにより、前述のように、オーステナイト結晶粒度が小さく、かつ残留オーステナイト量が好ましい範囲とされていることに起因していると考えられる。また、実施例Aは、軸受鋼であるSUJ2製のカムフォロアの軸に対しても1.5倍近い転動疲労寿命を有している。
【0103】
以上の実施例1〜3の結果より、本発明の軌道部材の製造方法によれば、熱処理工程の工程数や時間を増加させないことにより製造コストの上昇を抑制しつつ、浸炭窒化および高周波焼入により転走面を含む領域を硬度が十分に高く、かつ転動疲労に対する抵抗の大きい材質にするとともに、転走面以外の領域の硬度を安定して制御して抑制し、当該領域の塑性変形を利用した軌道部材の固定が容易な軌道部材を製造することができることが確認された。
【0104】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の軌道部材および軌道部材の製造方法は、その一部が塑性変形することにより隣接する部材に対して固定される軌道部材およびその製造方法に、特に有利に適用され得る。また、本発明の動弁装置の製造方法は、その一部が塑性変形することにより隣接する部材に対して固定される軌道部材を有するカムフォロアを備えた動弁装置の製造方法に、特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施の形態1における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1の線分II−IIに沿う概略断面図である。
【図3】図2のカムフォロア付近を拡大して示した概略部分断面図である。
【図4】実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法の概略を示す図である。
【図5】実施の形態1におけるカムフォロアの軸の製造方法に含まれる熱処理工程を示す図である。
【図6】実施の形態1における動弁装置10の製造方法の概略を示す図である。
【図7】実施の形態2における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。
【図8】実施の形態3における軌道部材を含むカムフォロアを備えた動弁装置の構成を示す概略図である。
【図9】図8のカムフォロア周辺を拡大して示した概略図である。
【図10】浸炭窒化された鋼製部材における表面からの深さと窒素濃度との関係を示す図である。
【図11】浸炭窒化された鋼製部材における表面からの深さと炭素濃度との関係を示す図である。
【図12】試験片の硬度の測定位置を示す図である。
【図13】実施例3の試験に用いられた転動疲労寿命試験機の主要部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0107】
1 カムフォロア、2 ロッカーアーム、2B 一方の端部、2C 他方の端部、2D 貫通穴、3 ロッカーアーム軸、4 軸受メタル、5 カム、5A カムシャフト、5B 外周面、6 バルブ、7 ばね、8 ロックナット、9 アジャストねじ、10 動弁装置、11 ローラ、11A ローラ転走面、12 軸、12A 軸転走面、12B 高硬度領域、12C 低硬度領域、13 ころ、13A ころ転走面、21 側壁、21A 貫通穴、21B テーパー部、22 ピボット当接部、30 カムフォロアの軸、31 転走面、32 高硬度領域、40 転動疲労寿命試験機、41 回転軸、42 駆動ローラ、42A 外周面、43 外輪、44 ころ、45 軸受、80 アジャストねじ、81 連結部材、82 ロックナット、90 プッシュロッド。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−19482(P2008−19482A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193000(P2006−193000)