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【発明の名称】 アルドン酸の製造方法
【発明者】 【氏名】大江 健一

【氏名】木村 隆

【氏名】中野 博文

【氏名】村上 洋

【氏名】木曽 太郎

【氏名】桐生 高明

【要約】 【課題】酢酸菌アセトバクター・オリエンタリスを用いてアルドン酸を製造する方法を提供する。上記方法により製造したアルドン酸やラクトビオン酸は、医薬品、食品や飼料として安全に用いることができる。

【解決手段】ヘミアセタール水酸基を有する糖に、アセトバクター・オリエンタリス(例えば、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)、アセトバクター・オリエンタリスNBRC16606など)の菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化し基質としたヘミアセタール水酸基を有する糖に対応するアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘミアセタール水酸基を有する糖に、アセトバクター・オリエンタリスの菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化しアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法。
【請求項2】
アセトバクター・オリエンタリスを、ヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、該培養液からアルドン酸を分離することを特徴とするアルドン酸の製造方法。
【請求項3】
アセトバクター・オリエンタリスが、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)である請求項1又は2記載のアルドン酸の製造方法。
【請求項4】
ヘミアセタール水酸基を有する糖からアルドン酸を生産する能力を有するアセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸菌であるアセトバクター・オリエンタリスを用いたアルドン酸の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルドン酸のひとつであるラクトビオン酸は米国では既にFDAの認可を受け、凝固剤としてプリンのプレミックスに添加されたり、保湿剤として化粧品に利用されている。機能面では、ラクトビオン酸はビフィズス菌選択増殖活性を持ち(例えば、特許文献1参照)、ミネラル吸収促進効果があること(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、本発明者らはラクトビオン酸に卵殻強化効果があることを見出し既に特許出願を行った(特願2004−030898号)。このような特性を有するため、ラクトビオン酸を容易にかつ安全性の担保された方法で製造することが特に望まれていた。
【0003】
アルドン酸を得るための具体的な方法としては、ヘミアセタール水酸基を有する糖を臭素ナトリウムとともに電気を印加することによって酸化する方法が知られている。また、微生物変換・発酵法により得る方法としては、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物を、ヘミアセタール水酸基を有する糖に作用し酸化することによって得る方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、アルドン酸の化学合成品は国内の法規制上、食品や飼料用途に使用することができない。また、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物は安全性が十分に担保された菌株とはいえず、これらの微生物を用いて生産したアルドン酸を食品や飼料用途に用いることには問題があった。
【0004】
そこで、本発明者らはヘミアセタール水酸基を有する糖に酢酸菌を接触させるアルドン酸の製造方法を発明し既に特許出願した(特願2005−212745)。酢酸菌は、アセトバクター属、グルコノバクター属に属する微生物を言う。古くから、アセトバクター属はエタノールを酸化して酢酸にし、酢酸の醸造に使われてきた(例えば、非特許文献1参照)。またグルコノバクター属はブドウ糖を酸化してグルコン酸や2および5−ケトグルコン酸(例えば、非特許文献2参照)にする。また、グルコノバクター属に属するグルコン酸菌はD−ソルビトールからL-ソルボースの製造に用いられている(例えば、非特許文献3参照)。この様に、酢酸菌は古くから食品の発酵などに用いる安全性の高い菌であるため、酢酸菌を用いて、より安全性が高いアルドン酸を製造することができる。
【特許文献1】特許第3559063号公報
【特許文献2】特許第3501237号公報
【特許文献3】特開2001−245657号公報
【非特許文献1】栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.189-192(2001)
【非特許文献2】栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.163-164(2001)
【非特許文献3】栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.257-258(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これまでの酢酸菌を用いたアルドン酸の製造方法では、酢酸菌の持つ酵素活性が小さく、ヘミアセタール水酸基を有する糖からアルドン酸への変換率が低く、また発酵および生産に要する時間が長時間必要になるという問題点があった。
【0006】
本発明はアセトバクター・オリエンタリスを用いて効率よくアルドン酸を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を達成するために、酢酸菌について網羅的に検討した結果、アセトバクター・オリエンタリスが特に効率的にヘミアセタール水酸基を有する糖からアルドン酸を製造することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明の第一は、ヘミアセタール水酸基を有する糖に、アセトバクター・オリエンタリスの菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化しアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、アセトバクター・オリエンタリスが、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)である前記のアルドン酸の製造方法である。
【0009】
本発明の第二は、アセトバクター・オリエンタリスを、ヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、該培養液からアルドン酸を分離することを特徴とするアルドン酸の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、アセトバクター・オリエンタリスが、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)である前記のアルドン酸の製造方法である。
【0010】
本発明の第三は、ヘミアセタール水酸基を有する糖からアルドン酸を生産する能力を有するアセトバクター・オリエンタリスKYG−22(FERM AP−21150)を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、古くから食品製造に使用され安全性の担保された微生物によりアルドン酸を効率よく製造することができ、しかもヘミアセタール水酸基を有する糖の種類に制限されずに対応するアルドン酸を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において用いられるヘミアセタール水酸基を有する糖とは、その還元末端がアルデヒドである糖をいう。そのようなものの具体例としては、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース等の単糖、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、ラクトース等のオリゴ糖があげられる。この中でも好ましくは、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース及びラクトースであり、特に好ましくはラクトースである。
【0014】
本発明においてアルドン酸とは、単糖であるアルドースのヘミアセタール水酸基が酸化されたもののほか、還元末端にアルドース構造を有する二糖以上の糖のヘミアセタール水酸基が酸化されたものも含み、さらにこれらの塩の形態も含むものをいう。また、アルドン酸のうちラクトビオン酸とは、遊離のラクトビオン酸のみならず、ラクトビオン酸塩またはラクトビオノラクトンを含むものである。
【0015】
本発明に用いるアセトバクター・オリエンタリスは、例えば、アセトバクター・オリエンタリスKYG22(FERM AP−21150)を用いることができる。アセトバクター・オリエンタリスKYG−22は、本発明者らが、乳製品中から新規に単離した菌体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM−AP−21150(受領日:平成19年1月9日)で寄託申請書が受領されている。
【0016】
アセトバクター・オリエンタリスKYG22(FERM AP−21150)の菌学的特性は、下記に示すとおりである。
(形態的特性)
培養温度:30℃
形状:短桿菌
大きさ:0.8×1.0−1.2μm
運動性の有無:あり
胞子の形成:なし
(培養的性質)
色調:淡黄色
コロニー形態:円形
隆起状態:半球状
周縁:全縁
表面:スムーズ
透明度:不透明
粘稠度:バター様
(生理学的性質)
グラム染色:−
カタラーゼ:+
オキシダーゼ:−
O/F試験:+
インドール産生:−
クエン酸の利用:−
アルギニンジヒドロラーゼ:−
ウレアーゼ:−
ゼラチン加水分解:−
βガラクトシダーゼ:−
リジンデカルボキシラーゼ:−
オルニチンデカルボシキラーゼ:−
硫化水素の産生:−
トリプトファンデアミナーゼ:−
硝酸塩還元:−
GYC培地上で水溶性褐色色素産生:−
乳酸塩の分解:+
(酸産生)
グルコース:+
D-マンニトール:−
イノシトール:−
D-ソルビトール:−
L-ラムノース:−
サッカロース:−
D-メリビオース:−
D-アミグダリン:−
L-アラビノース:−
エタノール:+
(資化性)
エタノール:+
グリセロール:+
D-マンニトール:+
酢酸ナトリウム:+
乳酸ナトリウム:+
D-ソルビトール:+
また、このように自然界から分離した酢酸菌アセトバクター・オリエンタリスを用いることもできるが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の様に、いずれの人の要求に対しても分譲できるような公的な寄託機関によって保存されてい菌株を使用することもできる。それらには、例えば、アセトバクター・オリエンタリスNBRC16606が挙げられる。
【0017】
本発明の第一の製造方法は、ヘミアセタール水酸基を有する糖に、アセトバクター・オリエンタリスの菌体を接触させ、菌体中または細胞膜上の酵素によってヘミアセタール水酸基を有する糖を酸化しアルドン酸を生成する方法である。本発明で用いられるアセトバクター・オリエンタリスの菌体としては、酢酸菌の生菌体そのまま、あるいは菌体処理物又はそれらを担体に固定化したものがあげられる。
【0018】
先ずアセトバクター・オリエンタリスの菌体を得るには、培養を行なう必要がある。培地としては、通常の微生物と同様に培養することができる。微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラルなどの成分を適宜配合したものが用いられる。炭素源としては、グルコース、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などのオリゴ糖類、デンプン等の多糖類、糖アルコール、グリセロールなどが挙げられ、一般的な炭水化物としては、トウモロコシ澱粉、モルトなどがあり、さらには、オリーブ油、コーン油、などの植物油も炭素源にふくめられる。また、CSL(コーンスティーブリカー)や、大豆フレークを用いてもよい。その他、アルコール、有機酸、アルカンの様な炭素化合物でもよい。
【0019】
窒素源としては、無機、有機どちらの窒素も利用できるが、無機態の窒素はアンモニア塩、硝酸体などを用いる。有機窒素はアミノ酸、たんぱく質または尿素の形で与えられる。天然の有機窒素複合体としては、CSL、大豆や、大豆フレーク、ピーナッツミール、綿花ミール、ディスティラーズソルブル(Distillers’solubles)、カゼイン水解物、屠殺場廃棄物、魚粉、酵母エキスなどを使用する。
【0020】
ビタミンとしては、天然の炭素源、窒素源を用いることで微生物の生育にとって必要なビタミン類は十分に補給できるが、パントテン酸カルシウムや、ビオチン、ビタミンB1などを必要に応じて添加する。
【0021】
ミネラルとしては、マグネシウム、カリウム、カルシウムが必要であるが、さらに、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛なども微量ながら必要である。
【0022】
その他の成分としては、pHのコントロールのために、培養液中に炭酸カルシウムを添加したり、緩衝作用を持たせるために、リン酸塩などを加えてもよい。また、培養系のpHを制御するために、アンモニアや、苛性ソーダ、塩酸、硫酸などを添加してよい。
【0023】
培養は、使用する菌株の最適培養条件で行うことが好ましいが、概略温度としては、20〜35℃が好適であり、pHとしては、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸カルシウムなどによりpH4〜8に維持することが好ましい。
【0024】
培養方法としては静置培養、振とう培養、深部通気撹拌培養があげられる。大量培養の場合、回分法、逐次添加培養法、連続培養法を用いた深部通気撹拌培養が好ましい。このような条件で培養を行うと、培養から15〜168時間で十分な量の微生物が得られる。
【0025】
上記のようにして得られたアセトバクター・オリエンタリスの生菌体をそのまま用いる場合は、回収、洗浄した菌体をそのまま用いることができる。
【0026】
アセトバクター・オリエンタリスの菌体処理物として用いる場合は、アセトン、第四アンモニウム化合物、硫酸ラウリルソーダ、Tweenまたは、微生物の細胞壁の特異的な結合を分解する酵素などで処理した菌体、凍結した菌体を減圧下で水分を昇華することで得られる凍結乾燥菌体、ホモジナイザーやガラスビーズを用い、物理的に破砕した菌体破砕物や菌体膜画分、さらには菌体破砕物の上清である無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液などを用いることができる。
【0027】
酢酸菌の菌体あるいは処理物を担体に固定化するには、セルロース担体、セラミック担体、ガラスビーズ担体のような物質に吸着させる方法や、格子構造を持つゲル状物質、たとえば寒天、アルギン酸カルシウム、カラギーナンや、公知のポリマーに包括する方法などが挙げられる。これらの方法は糖酸化活性を有する微生物菌体や菌体処理物を繰り返し使用することを可能にする。
【0028】
本発明の第一の製造方法においては、基質となるヘミアセタール水酸基を有する糖を反応溶媒に溶解し、上記したように調製した酢酸菌の培養液、菌体、菌体処理物、又は菌体や菌体処理物を担体に固定化したものを加えて必要により反応温度、反応液のpHを制御しながら反応させる。反応溶媒としては、イオン交換水、緩衝液などの水性溶媒が使用できる。反応液の基質濃度は特に制限はないが、基質となる前記糖の溶解度、生産性などを考慮すると10〜50質量%で実施するのが好ましい。
【0029】
反応時間に特に制限はないが、通常6〜24時間、好ましくは6〜12時間で反応が終了する条件を選択することが好ましい。反応pHは、用いる微生物の酵素の至適pHに依存するが、一般的にはpH4〜8の範囲で、特に5〜7が好ましい。また、反応温度は微生物酵素が失活しない条件であればよく、20〜60℃が好ましいが、25〜45℃がより好ましい。
【0030】
反応方法としては静置、振とう、深部通気撹拌があげられるが、好気的に反応させることがアルドン酸の収量を上げる上で好都合である。このような条件で培養を行うと、6〜24時間で十分な量の生産物が得られる。
【0031】
以上のようにして得られた反応液から、目的とするアルドン酸を単離精製するには、抽出、カラム分離などの一般的な分離方法を用いることができる。例えば、エタノールを反応液に添加して、目的産物を沈殿し回収する方法、活性炭や、多孔性有機樹脂粒子を用いた吸着クロマトグラフィーや、ゲルろ過、イオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて単離することができる。
【0032】
また、本発明の第二の製造方法は、アセトバクター・オリエンタリスを、ヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、培養液からアルドン酸を分離するものである。培養に用いられる培地成分としては、培地中にヘミアセタール水酸基を有する糖を含有させる以外は、本発明の第一の製造方法で用いる上記の培地成分が同様に用いられる。ヘミアセタール水酸基を有する糖の含有量としては、0.1〜500g/L、好ましくは、0.5〜200g/L、さらに好ましくは、0.5〜150g/Lである。
【0033】
また、培養条件としては、培養期間が通常1〜10日間であることを除いて、前記した培養条件と同様に行うことができる。
【0034】
培養液中に蓄積したアルドン酸は、前述した方法と同様に分離、精製することができる。
【0035】
本発明の製造方法により製造されたアルドン酸、なかでもラクトビオン酸は、整腸作用、脂質代謝改善作用、ミネラル吸収促進作用、卵殻強化作用を示し、医薬品、飲食品や、飼料として有用である。上記アルドン酸、なかでもラクトビオン酸を医薬品として用いる場合は、当該分野で常套的に用いられている賦形剤、潤沢剤、希釈剤、pH調節剤、防腐剤、甘味剤、芳香剤、乳化分散剤などを用いて錠剤、粉剤、水和剤、乳剤として経口的にまたは非経口的に投与することができる。また、上記アルドン酸、なかでもラクトビオン酸を飲食品や、飼料として用いる場合、そのままで、または他の飲食品や飼料に添加もしくは混合して使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、実施例中、%は、質量%を表す。
【0037】
実施例において、反応液中あるいは培養液中のラクトビオン酸の定量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い以下の条件により行なった。
HPLC分析条件
カラムAsahipak NH2P−50(昭和電工社製)
溶離液 アセトニトリル:40mMクエン酸−NaH2PO4緩衝液(pH5.0)=60:40(体積比)
条件 温度:40℃
流速:0.8mL/mL
検出器:示差屈折計
【0038】
実施例1、比較例〔菌体を接触させてのラクトビオン酸の生産〕
〔菌体の調製〕
試験管(18 mm×200 mm)に、ラクトース0.5%、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に表1に示した各種酢酸菌(アセトバクター・オリエンタリスに属さない菌株)(独立行政法人製品評価技術基盤機構から入手)(比較例)およびアセトバクター・オリエンタリスKYG−22(実施例1)の一白金耳を植菌し、30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。その後、培養液を遠心し菌体を回収した。
〔ラクトビオン酸の生産〕
上記の方法で得られた菌体を2%ラクトース1mLに再懸濁し、40度で6時間振とうし、反応液中のラクトビオン酸を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】


表1に示されたように、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22はもっとも高いラクトビオン酸濃度が確認された。
【0040】
実施例2〔各種アルドン酸の生産〕
実施例1と同様にして、アセトバクター・オリエンタリスKYG−22の菌体を調製し、ヘミアセタール水酸基を有する糖12種(D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、ラクトース)の2%水溶液1mLに再懸濁し、40度で6時間振とうした。反応液中に含まれる各種アルドン酸の定量結果を表2に示した。
【0041】
【表2】


【0042】
実施例3〔ラクトースを含む培地によるラクトビオン酸の生産〕
〔前培養〕
試験管(18 mm×200 mm)に、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に一白金耳のアセトバクター・オリエンタリスKYG−22またはグルコノバクター・セリナス NBRC3267を植菌し、30℃で1晩振とう培養(220rpm)した。次に上記組成培地を1L分注し121℃で20分間殺菌した3L三角フラスコに上記試験管培養液を植菌し30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。
〔本培養〕
ジャーファーメンターによる培養を行った。グルコース1.5%、ラクトース15%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%、炭酸カルシウム7.5%を含む培地(pH7.0)を20L調製し121℃で20分間殺菌した。これに上記前培養液1Lを植菌し、30℃で深部撹拌培養(300回転、1vvm)をした。培養液中に蓄積したラクトビオン酸濃度を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】アセトバクター・オリエンタリスKYG−22およびグルコノバクター・セリナスNBRC3267によるラクトビオン酸の生成を経時的に測定した結果を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【識別番号】591030499
【氏名又は名称】大阪市
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−173065(P2008−173065A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−10274(P2007−10274)