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有機酸の製造方法 - 特開2008−35732 | j-tokkyo
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【発明の名称】 有機酸の製造方法
【発明者】 【氏名】長森 英二

【氏名】嶋村 隆

【氏名】高橋 治雄

【氏名】大竹 久夫

【氏名】大政 健史

【要約】 【課題】抽出溶媒に対する細胞毒性回避のための種々の工程を回避できる有機酸の製造方法を提供する。

【構成】有機酸生産酵母による有機酸発酵液に有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、前記キャリアは、1種又は2種以上のトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸の製造方法であって、
有機酸生産酵母による有機酸発酵液に有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、
前記キャリアは、1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のジアルキルアミン及びトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有する、
製造方法。
【請求項2】
前記構成アルキル基組成において、n−デシル基の構成比率が40%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
n−デシル基の構成比率が80%以上である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記キャリアは、トリアルキルアミンを主成分とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記キャリアは、トリ−n−デシルアミンを主成分とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記抽出溶媒は、前記1種又は2種以上のトリアルキルアミンを20vol%以上含有している、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記抽出溶媒には、アルコール類及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上を前記希釈剤として含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記アルコール類は、イソフィトール及びオレイルアルコールを含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記希釈剤は、イソフィトールを含有する、請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記抽出溶媒は、前記キャリアとしてn−デシル基の構成比率が80%以上である1種又は2種以上のトリアルキルアミンを用い、前記希釈剤としてイソフィトール及び/又はオレイルアルコールを用いる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記抽出工程は、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の有機酸発酵液に前記抽出溶媒を接触させて抽出する工程である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記抽出工程は、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の発酵液と前記抽出溶媒とをおおよそ二相系を維持して抽出する工程である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の発酵液では、前記有機酸生産酵母が代謝可能な炭素源を連続的に加えて前記有機酸生産酵母を培養する、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記有機酸生産酵母による有機酸発酵液のpHは5.0以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記有機酸は、乳酸である、請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
前記有機酸生産酵母は、遺伝子工学的に有機酸生産酵素系が導入された遺伝子組換え酵母である、請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記遺伝子組換え酵母の宿主は、サッカロマイセス・セレビシエから選択される、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
有機酸の抽出方法であって、
有機酸生産酵母による有機酸発酵液に、有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、
前記キャリアは、1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のジアルキルアミン及びトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有する、
抽出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有機酸生産微生物による有機酸発酵液から有機酸を抽出する有機酸の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、微生物の発酵液から有機酸を効率的に回収するために、溶媒抽出を用いることが検討されてきた。溶媒抽出はエネルギーを使わず選択的に目的成分を分離でき、また装置が簡易でスケールアップに適するため、環境負荷低減の観点からも注目されている。加えて、有機酸を発酵するのに伴って溶媒抽出により有機酸を分離回収することが出来れば、多くの有機酸発酵中に生じる生産物阻害を回避することも可能である。特に生産物阻害が問題となる乳酸菌による乳酸発酵について溶媒抽出発酵の検討が多くなされてきた。
【0003】
例えば、直鎖C8〜10アルキル三級アミンを含むAlamine336を使って乳酸の抽出発酵を行うことが検討された(非特許文献1)。この文献によれば、Alamine336の乳酸菌に対する毒性は致命的であることから、乳酸菌に毒性がないことが知られるオレイルアルコール(溶媒)でAlamine336(キャリア)を希釈し毒性を弱めたが、培地の10分の1量の30vol%Alamine336含有オレイルアルコールと攪拌しながら培養させたとき、乳酸菌は全く増殖せず、15vol%Alamine336含有オレイルアルコールを用いた場合でなんとか増殖できる程度であることが開示されている。さらに、この文献によれば、以上のことから、乳酸菌をκ−カラギーナンに固定化した上、発酵槽から発酵液を一定間隔で一部取り出し、この分取した発酵液から15vol%Alamine含有オレイルアルコールで乳酸を抽出し、乳酸抽出後の発酵液を発酵槽に返送するという抽出発酵方法を採ったことが開示されている。
【0004】
また、乳酸菌へのAlamine336の細胞毒性を回避するために、菌体分離装置を使って菌体を含まない発酵液のみを取り出し、Alamine336を用いて溶媒抽出する方法が検討された(非特許文献2)。この文献によれば、溶媒抽出操作後の発酵液には致死量のAlamine336が分配しており、そのままでは発酵槽に返送できないため、発酵液中のAlamine336を他の溶剤を用いて分配させ取り除く第2の抽出工程を設け、その後、発酵液を発酵槽に返送している。
【0005】
また、抽出溶媒の候補についても種々の検討がなされている(非特許文献3)。
【非特許文献1】V. M. Yabannavarら, Bioreactor system with solvent extraction for organic acid production, Ann. N.Y. Acad. Sci., 506, 523-535
【非特許文献2】H.Hondaら, Effective lactic acid production by two-stage extractive fermentation Journal of fermentation and bioengineering, 79, 589-593, 1995
【非特許文献3】A. DemirciらBioseparation7, 297-308, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの抽出手法はいずれも工業レベルでの使用には耐え得るものではなかった。すなわち、これらの抽出発酵では、いずれも、細胞毒性を回避するために発酵液の一部を取り出した上で抽出溶媒と接触させるという手法を取っているために発酵中における分取操作を必要としていた。第一の方法では、Alamine336の細胞毒性を回避するために抽出溶媒として15vol%Alamine336含有オレイルアルコールを用いているが、その抽出効率は低く、工業的に乳酸を高効率で生産しようとする場合には、使用できるものではなかった。また、第二の方法では、Alamine336の細胞毒性を排除するために発酵液の分取に際して菌体を取り除き、さらに、溶媒抽出後の発酵液からAlamine336を除く第二の抽出工程を設けるなど極めて複雑な操作を必要としていた。
【0007】
さらに、乳酸を効率的に抽出する溶媒はいくつか見つかっているが、工業レベルの使用に耐えるものではなかった
【0008】
これらの様々な理由により、有機酸の抽出発酵による有機酸の製造方法は未だ工業化されていないし、有機酸発酵液から効率的に有機酸を抽出する有機酸の製造方法も見出されていない。
【0009】
そこで、本発明では、細胞毒性回避のための種々の工程を回避して有機酸発酵液から溶媒により有機酸を抽出して有機酸を製造することを一つの目的とする。また、本発明は、溶媒抽出発酵により有機酸を製造することを他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のように、現在までのところ、乳酸菌による乳酸発酵での抽出発酵や菌体存在下での抽出を実用可能とする有効な解決策が見出されていなかった。一方、酵母についてはこうした抽出発酵の必要性がほとんどなく、このため抽出発酵についてほとんど検討されていないとともに、酵母については、有機酸を抽出可能な溶媒に対する耐性の有無や程度も全く知られていなかった。こうした背景のなか、本発明者らは、有機酸生産酵母に着目し、乳酸などの有機酸の抽出効率及び微生物へ毒性を改善する必要性を検討した結果、有機酸生産酵母が意外にも特定のアルキル基を主たるアルキル基とするジアルキルアミンやトリアルキルアミンをキャリアとして含む有機酸抽出溶媒に対して優れた耐性を有していることを見出し、さらにこの溶媒耐性が合理的な抽出発酵を実現可能な程度であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
【0011】
本発明によれば、有機酸の製造方法であって、有機酸生産酵母による有機酸発酵液に有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、前記キャリアは、1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のジアルキルアミン及びトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有する、製造方法が提供される。
【0012】
この製造方法においては、前記構成アルキル基組成において、n−デシル基の構成比率が40%以上であることが好ましく、n−デシル基の構成比率が80%以上であることがより好ましい。また、この製造方法においては、前記キャリアは、トリアルキルアミンを主成分とすることが好ましく、トリ−n−デシルアミンを主成分とすることも好ましい。
【0013】
この製造方法においては、前記抽出溶媒は、前記1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンを20vol%以上含有していることが好ましい。また、前記抽出溶媒には、アルコール類及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上を前記希釈剤として含有することができ、前記アルコール類は、イソフィトール及びオレイルアルコールを含むことが好ましい。すなわち、イソフィトール及びオレイルアルコールから1種又は2種以上を選択することが好ましい。前記希釈剤としては、イソフィトールであることがより好ましい。さらに、前記抽出溶媒は、前記キャリアとしてn−デシル基の構成比率が80%以上である1種又は2種以上のトリアルキルアミンを用い、前記希釈剤としてイソフィトール及び/又はオレイルアルコールを用いることが好ましい。
【0014】
この製造方法においては、前記抽出工程は、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の有機酸発酵液に前記抽出溶媒に接触させて抽出する工程とすることが好ましく、より好ましくは、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の発酵液と前記抽出溶媒とをおおよそ二相系を維持して抽出する。さらに、この態様においては、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵中の発酵液では、前記有機酸生産酵母が代謝可能な炭素源を連続的に加えて前記有機酸生産酵母を培養することが好ましい。
【0015】
この製造方法においては、前記有機酸生産酵母による有機酸発酵液のpHは5.0以下であることが好ましい。また、前記有機酸は、乳酸であることが好ましく、前記有機酸生産酵母は、遺伝子工学的に有機酸生産酵素系が導入された遺伝子組換え酵母であることが好ましい。さらに、前記遺伝子組換え酵母の宿主は、サッカロマイセス・セレビシエから選択されることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、有機酸の抽出方法であって、有機酸生産酵母による有機酸発酵液に、有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、前記キャリアは、1種又は2種以上のトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有する、抽出方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、有機酸の製造方法であって、有機酸生産酵母による有機酸発酵液に有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する抽出工程を備え、前記キャリアは、1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンを含み、該1種又は2種以上のジアルキルアミン及びトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有する、製造方法に関する。
【0018】
本発明の製造方法によれば、有機酸発酵液と接触される抽出溶媒の有機酸生産酵母に対する毒性が抑制されているため、こうした毒性回避のための種々の工程を回避できる。したがって有機酸生産酵母を含有する有機酸発酵液に接触させて有機酸を抽出しても、抽出後の発酵液に残存する有機酸生産酵母を再利用できる。また、有機酸生産酵母を含有する有機酸発酵液に接触させて発酵液から有機酸を抽出しつつ発酵する溶媒抽出発酵が可能となる。さらにまた、本発明で用いる抽出溶媒は、有機酸生産酵母に対する毒性が効果的に低減されているため、有機酸生産酵母を長期に安定して有機酸抽出発酵を行うことができる。以上のことから、本発明によれば、有機酸による生産物阻害を回避して有機酸の効率的な発酵生産が可能となり、有機酸による培地pHの低下を回避するための中和操作を省略又は抑制できる。
【0019】
なお、本発明の製造方法によれば、微生物の固定化や、溶媒で有機酸を抽出するための間欠的又は連続的な発酵液の分取工程や有機酸抽出後の発酵液からのキャリアの回収工程などの煩雑で余分な工程を要しないため、エネルギーコストや装置コストなど各種の環境及び価格負荷を低減できる。さらに、高濃度又は光学的な観点などから高純度な有機酸が発酵可能な場合に精製のための加熱をすることなく有機酸を抽出できるため、発酵で得られた濃度や純度の低下を抑制することができる。
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
(有機酸)
本発明において「有機酸」とは、酸性を示す有機化合物であるが、有機酸が備える酸性基としては好ましくはカルボン酸基である。また、「有機酸」には、遊離の酸の他、有機酸塩を含む。このような有機酸として、具体的には、乳酸、酪酸、酢酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、アジピン酸などを挙げることができ、好ましくは、乳酸である。乳酸には、L−乳酸、D−乳酸、及びDL−乳酸があるが、これらのいずれをも含む。
【0021】
(有機酸発酵用微生物)
本発明の発酵用微生物である有機酸生産酵母は、有機酸生産が活性化された酵母であればよい。自然界からのスクリーニング、人工突然変異及び遺伝子工学的改変などのいずれの手法によって得られた酵母であってもよい。好ましくは、遺伝子工学的に改変された酵母である。有機酸の生産が促進されるよう遺伝子工学的に改変された酵母としては、好ましくは、酵母染色体上において有機酸合成酵素が導入された組換え酵母であることが好ましい。
【0022】
こうした組換え酵母の宿主酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Saccharomycespombe)などのサッカロマイセス属酵母、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などのピキア属酵母、クルイベロマイセス属酵母、キャンディダ属酵母などの酵母が挙げられる。酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエなどのサッカロマイセス属酵母が好ましい。例えば、サッカロマイセス・セレビシエIFO2260株を例示できる。
【0023】
遺伝子組換え酵母においては適当なプロモーターの制御下に有機酸合成酵素をコードするコード領域を発現可能に保持している。高効率で有機酸を生産するには、例えば、ピルビン酸脱炭酸酵素1(PDC1)遺伝子プロモーター、ADH1遺伝子プロモーター、高浸透圧応答7遺伝子(HOR7遺伝子)プロモーター、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素2遺伝子(TDH2遺伝子)プロモーター、熱ショックタンパク質30遺伝子(HSP30遺伝子)プロモーター、ヘキソース輸送タンパク質7遺伝子(HXT7遺伝子)プロモーター、チオレドキシンペルオキシダーゼ1遺伝子(AHP1遺伝子)プロモーター、膜タンパク質1関連遺伝子(MRH1遺伝子)プロモーター、グリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素3(TDH3)遺伝子プロモーター、グリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素1遺伝子(TDH1遺伝子)プロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ1遺伝子(TPI1遺伝子)プロモーター及び細胞壁関連タンパク質12遺伝子(CCW12遺伝子)及びリボゾーマルプロテインS31遺伝子(RSP31遺伝子)プロモーターなどが挙げられる。なお、これらはいずれも酵母における内在性プロモーターであり、本発明の形質転換酵母において好ましく用いられる。こうしたプロモーター群から選択されるプロモーターとしては、少なくともPDC1遺伝子プロモーターを含むことが好ましい。PDC1プロモーターの制御下で有機酸を合成する酵素を発現させることにより、高効率で有機酸を発酵することが期待でき、こうした酵母が本発明の微生物として有効だからである。
【0024】
有機酸合成酵素としては、乳酸生産の場合には、L−乳酸脱水素酵素、D−乳酸脱水素酵素等の酵素、ピルビン酸生産の場合にはピルビン酸キナーゼ等、酢酸生産の場合にはピルビン酸オキシダーゼ等、コハク酸生産の場合にはスクシニルCoAシンテターゼ等、リンゴ酸の場合にはフマル酸ヒドラターゼ等、クエン酸生産の場合にはクエン酸シンテターゼ等を例示できる。
【0025】
例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)としては、生物の種類に応じてあるいは生体内においても各種同族体が存在する。本発明において使用する乳酸脱水素酵素としては、天然由来のLDHの他、化学合成的あるいは遺伝子工学的に人工的に合成されたLDHも包含している。LDHとしては、好ましくは、乳酸菌などの原核生物もしくはカビなどの真核微生物由来であり、より好ましくは、植物、動物、昆虫などの高等真核生物由来であり、さらに好ましくは、ウシを始めとする哺乳類を含む高等真核生物由来である。L−LDHとしては、ウシ由来のLDH(L−LDH)が例示できる。さらに、本発明におけるLDHは、これらのLDHのホモログも包含している。LDHホモログは、天然由来のLDHのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸でありかつLDH活性を有しているタンパク質、および、天然由来のLDHとアミノ配列の相同性が少なくとも70%、好ましくは80%以上を有しかつLDH活性を有しているタンパク質を含んでいる。また、D−LDHとしては、大腸菌、タコ及び乳酸菌由来のものなどが挙げられる。好ましくは乳酸菌由来のD−LDHである。なお、有機酸合成酵素をコードするコード領域は、酵母において複数コピー導入されていることが好ましい。
【0026】
こうした組換え酵母は、通常の遺伝子組換え酵母の作製法に基づいて取得することができる。すなわち、宿主の酵母に、トランスフォーメーション法など従来公知の酵母への遺伝子導入法から選択される適切な手段により、外来遺伝子を導入することができる。外来遺伝子導入のためのDNA構築物は、例えば、適当なプロモーターとコードDNAと転写調節領域等を含むDNA構築物とすることができる。こうしたDNA構築物としては、特に限定しないで、DNAそのもの、プラスミド(DNA)、ウイルス(DNA)バクテリオファージ(DNA)、レトロトランスポゾン(DNA)、人工染色体(YAC)などから、外来遺伝子の導入形態(染色体外あるいは染色体内)に応じて選択される。DNA構築物には、ターミネーター他、必要に応じてエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)を連結することができる。選択マーカーとしては、特に限定しないで、薬剤抵抗性遺伝子、栄養要求性遺伝子などを始めとする公知の各種選択マーカー遺伝子を利用できる。なお、PDC1遺伝子のプロモーターなど特定のプロモーターの制御下に相同組換えにより有機酸合成酵素のコード領域を導入することも当業者であれば適宜行うことができる。
【0027】
このような有機酸生産酵母としては、例えば、特開2003−93060、特開2003−259878、特開2003−334092、特開2004−187643、特開2005−139270に記載の乳酸生産酵母等を好ましく用いることができる。
【0028】
(有機酸の製造方法)
本発明の有機酸の製造方法は、有機酸生産酵母による有機酸発酵液を、有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒で抽出する抽出工程を備えている。
【0029】
有機酸生産酵母による有機酸発酵液は、有機酸生産酵母が、発酵によって有機酸を生成した有機酸発酵液である。有機酸発酵液は、発酵終了後において菌体等を除去した発酵上清であってもよいし、菌体等を含んだままのものであってもよい。有機酸発酵液は、有機酸生産酵母が炭素源から有機酸を発酵している最中の有機酸生産微生物の培養液であってもよい。なお、有機酸発酵液には有機酸生産酵母を培養可能な培地が含まれているが、こうした培地としては、一般に酵母に用いられる培地を利用できる。こうした培地は、当業者においては周知であり、当業者であれば適宜選択して用いることができる。
【0030】
本製造方法に用いる抽出溶媒は、有機酸のキャリアと該キャリアの希釈剤とを含有して前記発酵液中の前記有機酸を抽出可能であるとともに前記発酵液と二相分離可能な抽出溶媒であることが好ましい。有機酸発酵液と二相分離可能である溶媒を選択することで、有機酸発酵液と抽出溶媒とを撹拌等によって所望の混合状態を形成して有機酸を抽出できるとともに、抽出溶媒を有機酸発酵液と容易に分離することができる。また、有機酸発酵液との二相分離状態をおおよそ維持して発酵させることにより、発酵用微生物への細胞毒性を抑制して微生物の増殖活性を維持しつつ、同時に効率的な有機酸抽出が可能となる。
【0031】
抽出溶媒に含まれるキャリアは、有機酸を抽出溶媒側に分配させるためのものであり、アルキルアミンを含んでいる。アルキルアミンとしては、ジアルキルアミン及びトリアルキルアミンから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。キャリアとして、他のモノアルキルアミンを含んでいてもよいが、好ましくはジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンをアルキルアミンをキャリアの主成分とする。なお、キャリアの主成分とするとは、キャリア全量に対して50モル%以上であることを意味している。より好ましくはトリアルキルアミンを主成分とし、さらに好ましくはトリアルキルアミンを80モル%以上、一層好ましくはトリアルキルアミンを90モル%以上で含有する。
【0032】
キャリアとして用いる1種又は2種以上のジアルキルアミン及び/又はトリアルキルアミンは、n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有していることがより好ましい。n−デシル基を主たるアルキル基とする構成アルキル基組成を有することで、有機酸生産酵母への毒性を低下させ当該酵母の増殖活性に悪影響を抑制して有機酸発酵させることができる。なお、構成アルキル基組成において主たるアルキル基であることは、最も構成比率の高いアルキル基であることを意味している。好ましくは、構成アルキル基組成において、n−デシル基の構成比率が40%以上である。40%以上であると、従来用いられてきているAlamine336と対比して確実に有機酸生産酵母への毒性を低減できる。より好ましくは、n−デシル基の構成比率が50%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、一層好ましくは90%以上である。
【0033】
こうしたキャリアとしては、好ましくは、トリ−n−デシルアミンを主成分とする。ここで主成分とするとは、キャリア中のうち50モル%以上のトリ−n−デシルアミンを含有することを意味している。より好ましくは、60モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、一層好ましくは90モル%以上である。なお、トリ−n−デシルアミン以外にキャリアとして用いることができるアルキルアミンとしては、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシル−モノ−n−オクチルアミン、ジ−n−オクチル−モノ−n−デシルアミン、トリ−n−C8〜C10アルキルアミン(例えば、Alamine336(商品名、コグニス社製))、トリラウリルアミン(例えば、Alamine304(商品名)、コグニス社製))が挙げられる。また、トリアルキルアミン以外のアミンとしては、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−デシルアミン、Amberlite LA-1(各アルキル連鎖に12個の炭素原子を有するジアルキルアミンの混合物)等の第二級アミンも挙げられる。さらに、アミン以外のキャリアとしては、トリブチルホスフェート及びトリ−n−オクチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。例えば、Alamine336は、トリ−n−オクチルアミン、ジ−n−オクチル−モノ−n−デシル−アミンなどのトリ-n-C8〜C10アミンを含むことができるほか、ジ−n−デシル−モノ−n−ドデシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等を含有することができる。
【0034】
キャリアの希釈剤としては、アルコール類及び炭化水素類を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。こうした希釈剤としては、溶媒抽出発酵よる抽出又は有機酸生産酵母を含んだ状態での抽出を考慮すると、有機酸生産酵母が耐性のある有機溶媒であることが好ましく、例えば、C8〜C20程度の長鎖アルキルアルコールが挙げられ、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの第1級アルコールが挙げられる。好ましくはオレイルアルコールを用いる。また、第3級アルコールも好ましく用いることができる。また、第3級アルコールとしては、テルピネオール、イソフィトール、ゲラニルリナロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ネロリドール、ヒドロキシシトロネラールジエチルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、4−ツヤノール、3−メチル−3−ペンタノール、オシメノール、スクラレオール、p−メンタン−8−オール、ピリジフロロール、3−メチル−3−オクタノール、エチルリナロール及びアンブリノール等が挙げられる。なかでも、イソフィトールを好ましく用いることができる。

【0035】
また、炭化水素類としては、ヘプタン、ヘキサン、ケロシン、イソオクタン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、パラフィンオイルなどが挙げられる。
【0036】
抽出溶媒には、キャリアを20vol%以上含有することが好ましい。この範囲のキャリア濃度を有していると、良好な抽出効率を得ることができ、高効率な有機酸発酵にも対応できる。より好ましくは25vol%以上である。また、上限は、好ましくは75vol%以下である。75vol%以下であると、有機酸生産酵母への毒性を効果的に低減しつつ有機酸を抽出できるからである。より好ましくは、50vol%以下である。もっとも好ましくは25vol%以上50vol%以下である。
【0037】
以上のことから、好ましい抽出溶媒としては、例えば、キャリアとしてn−デシル基の構成比率が40%以上(好ましくは80%以上)である1種又は2種以上のトリアルキルアミンを用い、希釈剤としてイソフィトール及び/又はオレイルアルコールを含有する抽出溶媒が挙げられ、より好ましくは、このキャリアを25vol%以上75vol%以下含有し、さらに好ましくは、50vol%以下含有する。もっとも好ましくは25vol%以上50vol%以下である。
【0038】
抽出工程は、有機酸生産酵母による有機酸発酵液にこうした抽出溶媒を接触させて有機酸を抽出する工程であれば特に限定されない。したがって、発酵終了後の菌体を含まない有機酸発酵液(培養上清)と抽出溶媒とを接触させて有機酸を抽出してもよいし、菌体を含む有機酸発酵液と抽出溶媒とを接触させて有機酸を抽出してもよい。
【0039】
さらに、有機酸生産酵母による有機酸発酵中の発酵液と抽出溶媒とを接触させて有機酸を抽出してもよい。すなわち、いわゆる溶媒抽出発酵の形態を採ることもできる。こうした発酵工程においては、有機酸発酵液と抽出溶媒との混合液(二相系)の攪拌混合程度によっておおよそ二相分離状態を維持して培養することもできるし、懸濁状態で培養することもできる。細胞毒性をできるだけ低減する観点からは、おおよそ二相分離状態を維持して発酵(培養)することが好ましい。こうした培養状態は、下相に培地、上相に抽出溶媒を有する二相液体を静置培養するか、緩やかに旋回培養、攪拌培養又は回転培養することにより得ることができる。なお、こうした二相分離状態を維持した培養工程に対して、培地と抽出溶媒とを振とうなどにより強く攪拌して二相分離しない状態とする培養工程を組み合わせることもできる。
【0040】
なお、本発明の製造方法においては、抽出溶媒を培養液(発酵液)に添加する時期は特に限定されない。例えば、有機酸発酵工程の全体を通じて抽出溶媒を添加して抽出培養することもできるし、有機酸発酵工程の一部においてのみ抽出溶媒を添加して二相系を構成して抽出培養を実施することができる。後者の例としては、有機酸発酵工程の途中までは、抽出溶媒を添加せずに培養し、その後抽出溶媒を添加して有機酸生産酵母を培養する、有機酸発酵工程を実施することもできる。
【0041】
酵母の有機酸発酵、特に溶媒抽出発酵においては、有機酸生産酵母が代謝可能な炭素源を連続的に加えて培養する工程とすることが好ましい。こうすることで、培地中で炭素源を枯渇させることなく有機酸発酵を継続させることができる。この場合、生産物である有機酸による阻害がないため、効率的に有機酸を連続的に発酵させることができる。なお、制限基質である炭素源のほか、各種の栄養成分も適宜添加することができる。
【0042】
培養工程の、培地のpHは5.0以下であることが好ましい。pHが5.0以下であると、上記キャリアによる有機酸の抽出溶媒側への分配効率が確保されるからである。好ましくは、pHは、乳酸のpKaである4.8以下であり、より好ましくは4.5以下である。
【0043】
本発明の製造方法の培養工程における各種の培養条件は適宜設定することができる。例えば、温度は、25℃〜35℃程度とすることができる。培養時間は、おおよそ24〜72時間程度とすることができる。なお、培養中は、必要に応じてアンピシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することができる。
【0045】
(実施例1)
(乳酸発酵液から乳酸を抽出する抽出溶媒の検討)
本実施例では、乳酸生産酵母を用いて乳酸発酵した発酵液から乳酸を抽出する場合の抽出溶媒の検討を行った。乳酸発酵液は、染色体上のPDC1プロモーター下に乳酸脱水素酵素遺伝子を導入した乳酸生産酵母(特開2004−187643中に記載されている遺伝子組換え酵母T165株(TDO−1/LDH6copy))をサトウキビ由来ケインジュースを用いて非中和で乳酸発酵し、乳酸を1.5%含んだ培養液を調製した。また、抽出溶媒としては、具体的には、キャリアとしてはトリ−n−デシルアミンを用い、希釈剤としてオレイルアルコールのほか、イソフィトールとを用い、各種濃度(0、25、50、75、100vol%)でキャリアを含む抽出溶媒を調製した。なお、参考例としてキャリアとしてAlamine336を用い、実施例と同一のアルコールを用いて抽出溶媒を調製した。
【0046】
こうして得られた各種乳酸濃度の培養液2mlに対して抽出溶媒1mlをバイアル瓶に加え、30℃で20分、斜めにした状態で100rpm回転攪拌したのち、静置し水相中の乳酸濃度を酵素法で、溶媒相の乳酸濃度をHPLCで測定した。抽出度は下記の式に従い計算した。
【数1】


[HL]o;溶媒中の乳酸濃度
[HL]init;水相中に仕込んだ乳酸濃度
[HL]AT;溶媒抽出操作後に測定した水相中の乳酸濃度
VA;水相の容積
Vo;溶媒相の容積
【0047】
結果を図1に示す。抽出溶媒におけるTDA濃度を横軸に、抽出度を縦軸に示す。図1に示すように、効率的に抽出が行えるのは好ましくは25vol%以上75vol%以下であった。また、キャリアとしてTDAを用いた場合であってもAlamine336と同程度の抽出率が得られることがわかった。
【0048】
(実施例2)
キャリアとしてTDAのほか、乳酸抽出溶媒として知られるAlamine336をそれぞれ40vol%含む抽出溶媒(オレイルアルコール、イソフィトール)で希釈)を培地に重層し、二相系の状態で菌体増殖を観察した。参考例としてAlamine336を40vol%含有するオレイルアルコールを用いた。なお、培養条件を以下に示す。
<前培養条件>
使用酵母:乳酸生産酵母(特開2004−187643中に記載されている遺伝子組換え酵母T165株(TDO−1/LDH6copy))
前培養容器;三角フラスコ(100mLバッフル付)
前培養;グリセロールストック500μlをYPD培地10ml(イーストエキス100mg、バクトペプトン200mg、グルコース200mgを10mlに含む)に植菌して好気培養(旋回培養100rpm)。
前培養時間;1日
<本培養条件>
培養器;三角フラスコ(100mLバッフル付)
本培養培地;10ml糖蜜培地(調整糖蜜※1.2g、尿素28mg、リン酸二水素1カリウム4mgを10mlに含む)
※調整糖蜜の作り方(糖蜜10:温水4.15:1N硫酸2の比で混ぜて作製する。)溶媒;1ml添加(10%添加)
植菌量;前培養液を遠心分離(3000rpm、5分)して菌体回収し、スタート時OD660が0.2スタートになるように培地で希釈して植菌した。
培養温度;30℃
回転数;100rpm
菌体濃度測定;菌体を遠心分離(3000rpm、5分)し、除去した上清(溶媒と培地)と同量のリン酸バッファーで希釈してOD660を測定。培養サンプルは12フラスコ分を用意し、OD測定ごとに3フラスコを使用した。
【0049】
結果を図2に示す。図2に示すように、TDA含有イソフィトール及びTDA含有オレイルアルコールと培地とを接触させて60時間継続して培養したとき、溶媒と何ら接触させないで培養した培地と同程度の菌体増殖を示した。また、Alamine336含有オレイルアルコールを接触させて培養したときに比較して2〜3倍程度の菌体増殖を示した。
【0050】
以上の結果から、TDAは、Alamine336と比較したとき有機酸生産酵母に対してより毒性の低いキャリアであって、しかも、有機酸生産酵母の菌体増殖に悪影響を及ぼすことがないことがわかった。したがって、有機酸抽出発酵時にTDAを含む抽出溶媒を用いることで長時間にわたり安定して有機酸生産酵母を用いて発酵させることができることがわかった。さらに、イソフィトールがオレイルアルコールと同様に菌体に対する毒性が低いことがわかった。
【0051】
また、実施例1によれば、有機酸発酵液から有機酸を抽出するときにおいても、TDAを含む抽出溶媒を用いることで効果的に有機酸を抽出できることが明らかとなっている。したがって、キャリアとしてTDAを含み希釈剤としてオレイルアルコールやイソフィトールを含む抽出溶媒によれば、菌体の増殖に悪影響を及ぼすことなく有機酸発酵をさせて有機酸を抽出する溶媒抽出発酵を効率的に実施できるといえる。
【0052】
なお、本実施例で用いた乳酸生産酵母は、以下に示す特開2004−187643の記載に基づいて構築することができる。
【0053】
1.乳酸脱水素酵素をコードするDNA(LDHKCB配列)の全合成 ウシ由来のLDHのコドン用法を改変して得たLDHをコードするDNA配列とその開始コドンの上流側および終止コドンの下流側を含むDNA配列(1052bp)(以下、LDHKCB配列と称す。)を配列番号1に示す。
【0054】
この方法の原理は、100MER程度のオリゴヌクレオチドプライマーを3’末端に10〜12mer程度のオーバーラップを持つように作製し、お互いのオリゴヌクレオチドプライマーのオーバーラップ領域を利用して、欠損部分を伸張させ、さらに両末端のプライマーを用いてPCRを行うことによって増幅するというものである。この操作を順次繰り返し、目的とする長鎖DNAを合成する。PCR増幅装置には、GeneAmp PCR system9700(PE、AppliedBiosystems)を使用した。なお、これらのプライマー配列は当業者であれば適宜設定できるほか、特開2004−18643にその例が挙げられている。
【0055】
具体的には、最初に連結させたい2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを混合し、KOD−plus−DNApolymerase(東洋紡)存在下で、96℃、2分、68℃2分、54℃2分、72℃30分の反応条件でDNA伸張反応を行った。次に、本試料の1/10量を鋳型にして、両末端のプライマー存在下で、96℃2分後、96℃30秒→55℃30秒→72℃90秒の反応を25サイクル行い、その後4℃とするPCR反応をおこなった。反応におけるバッファ、dNTPmixなどは、DNApolymeraseに附属のものを使用した。
【0056】
合成したLDHKCB配列について、塩基配列を確認した後、EcoRIにて制限酵素処理し、同様にEcoRIにて酵素処理したpCR2.1TOPO Vector(Invitirogen)に常法により連結した。このベクターをpBTOPO−LDHKCBベクターと称した。
【0057】
2.酵母染色体導入用ベクターの構築(2コピー導入)
先に全合成したLDHKCB配列を用いて、酵母染色体導入型ベクターを構築した。このベクターを、pBTRP−PDC1−LDHKCBと称する。このプラスミドマップを図3に示す。
(1)pBTrp−PDC1−LDHKCB構築のためのPDC1P断片の単離
PDC1P断片は、サッカロマイセス・セレビシエYPH株(Stratagene社)のゲノムDNAを鋳型として使用したPCR増幅法によって単離を行った。
(2)サッカロマイセス・セレビシエYPH株のゲノムDNAは、ゲノム調製キットであるFast DNA Kit(Bio 101社)を用い、詳細は、附属のプロトコールに従い、調製した。DNA濃度は分光光度計Ultro spec 3000(Amersham Pharmacia Biotech社)にて測定した。
(3)PCR反応には、増幅酵素として、増幅断片の正確性が高いとされるPyrobest DNA Polymerase(宝酒造)を使用した。上記手法にて調製したサッカロマイセス・セレビシエYPH株のゲノムDNA50ng/サンプル、プライマーDNA50pmol/サンプル、及びPyrobestDNApolymerase 0.2ユニット/サンプルを合計で50μlの反応系に調製した。反応溶液を、PCR増幅装置 Gene Amp PCR system 9700(PE Applled Biosystem社)によってDNA増幅を行った。PCR増幅装置の反応条件は、96℃2分の後、96℃30秒→55℃30秒→72℃90秒の反応を25サイクル行い、その後4℃とした。PDClプライマーの増幅断片を1%TBEアガロースゲル電気泳動にて遺伝子増幅断片の確認を行った。なお反応に使用するプライマーDNAは、当業者であれば適宜設定できるが、特開2004−187643に例示されているものも用いることができる。
【0058】
(4)プロモーター及び目的遺伝子を含む組換えベクターの構築
本組換えベクター構築のために新たに構築した染色体導入型ベクターをpBTrp−PDC1−LDHKCBと名付けた。以下に本ベクター構築例の詳細を記す。なお本実施例の概要を図3〜6に示す。但し、ベクター構築の手順はこれに限定されるものではない。ベクターの構築にあたって、必要な遺伝子断片であるPDCl遺伝子のプロモーター断片(PDCIP)971bpと、PDCl遺伝子下流領域断片(PDC1D)518bpは、上述のように、サッカロマイセス・セレビシエYPH株のゲノムDNAを鋳型として使用したPCR増幅法によって単離を行った。PCR増幅の手順は上記の通りであるが、PDCl遺伝子下流領域断片の増幅に使用するプライマーDNAは、当業者であれば適宜設定でき、特開2004−187643に例示されているものも用いることができる。
【0059】
上記反応にて取得したPDC1P及びPDC1D各遺伝子増幅断片をそれぞれ、エタノール沈殿処理によって精製した後、PDC1P増幅断片を制限酵素BamHI/EcoRI及びPDC1D増幅断片を制限酵素XhoI/ApaIにて制限酵素反応処理を行った。なお、以下に用いた酵素類はすべて宝酒造社製のものを用いた。また、エタノール沈殿処理、制限酵素処理の一連操作の詳細なマニュアルはMolecular Cloning A Laboratory Manual second editlon (Maniatis et al.,Cold Spring Harbor Laboratory press.1989)に従った。
【0060】
ベクターの構築における一連の反応操作は、一般的なDNAサブクローニング法に準じて行った。すなわち、制限酵素BamHI/EcoRI(宝酒造社)及び脱リン酸化酵素Alkaline Phosphatase(BAP、宝酒造社)を施したpBluescriptII SK+ベクター(東洋紡社)に、上記PCR法にて増幅し制限酵素処理を施したPDC1P断片をT4 DNA Ligase反応によって連結させた(図4上段)。T4 DNA Ligase反応には、LigaFast Rapid DNA Ligation System(プロメガ社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従った。
【0061】
次にLigation反応を行った溶液を用いて、コンピテント細胞への形質転換を行った。コンピテント細胞は大腸菌JM109株(東洋紡社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従って行った。得られた培養液は抗生物質アンピシリン100μg/mlを含有したLBプレートにまいて一晩培養した。生育したコロニーにつき、インサート断片のプライマーDNAを用いたコロニーPCR法による確認、及びミニプレップによるプラスミドDNA調製溶液に対する制限酵素処理による確認を行い、目的とするベクターpBPDC1Pベクターを単離した(図4中段)。
【0062】
ついで、図3の中段に示すように、株式会社豊田中央研究所によって構築されたpBTOPO−LDHKCBベクターを制限酵素EcoRI処理及び末端修飾酵素T4 DNA polymerase処理することで得られるLDHKCB遺伝子断片を、同じく制限酵素EcoRI処理、末端修飾酵素T4 DNA polymerase処理を行ったpBPDC1Pベクター中に、上述と同様の操作でサブクローニングを行い、pBPDC1P−LDHKCBベクターを作製した(図3下段)。
【0063】
一方、図5に示すように、トヨタ自動車(株)によって構築されたpYLDlベクターを制限酵素EcoRI/AatII処理及び末端修飾酵素T4 DNA polymerase処理することで得られるLDH遺伝子(ビフィドバクテリウム・ロンガム由来)断片を、同じく制限酵素EcoRI処理、末端修飾酵素T4 DNA polymerase処理を行ったpBPDC1Pベクター中に、上述と同様の操作でサブクローニングを行い、pBPDC1P−LDH1ベクターを作製した(図5)。なお、上記のpYLDlベクターは大腸菌に導入され(名称: 「E.coll pYLD1」)、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1)に、受託番号FERM BP−7423としてブダベスト条約に基づき国際寄託されている(原寄託日:平成11(1999)年10月26日)。
【0064】
続いて、図6に示すように、このベクターをXhoI/ApaI処理し、同様に制限酵素処理を施した増幅PDC1D断片を連結させてpBPDC1P−LDHベクターを作製した(図6上段)。最後にpBPDC1P−LDHIIベクターをEcoRV処理したものに、pRS404ベクター(Stratagene社)をAatII/SspI処理、T4 DNApolymerase処理して得られたTrpマーカー断片を連結させて、pBTrp−PDCl−LDHベクターを構築した。
【0065】
次に、図7に示すように、pBPDC1P−LDHKCBベクターをApaI/EcoRIにて制限酵素処理し、一方、pBTrp−PDC1−LDHベクターを、制限酵素ApaIおよびStuIで処理したTrpマーカーを含む断片に処理し、増幅させた断片を連結させて、最終コンストラクトである染色体導入型pBTrp−PDC1−LDHKCBベクターを構築した。
【0066】
構築した染色体導入型pBTrp−PDC1−LDHKCBベクターの確認の為に塩基配列決定を行った。塩基配列解析装置としてABI PRISM 310Genetic
Analyzer(PE Applied Blosystems社)を使用し、試料の調製法、及び機器の使用方法等の詳細は本装置付属のマニュアルに従った。試料となるベクターDNAはアルカリ抽出法により調製したものを用い、これをGFX DNA Purification kit(Amershan Pharmacia Blotech社)にてカラム精製した後、分光光度計Ultro spec 3000(Amershan Pharmacia Blotech社)にてDNA濃度を測定したものを用いた。
【0067】
3.酵母染色体導入用ベクターの構築
次に、フレオマイシン耐性遺伝子をマーカーとして、LDH遺伝子4コピー導入用の染色体導入型ベクターを構築した。本ベクターをpBBLE−LDHKCBと称し、そのプラスミドベクターを図8に示す。構築の一連の手順を示すが、構築の順番はこれに限定されるものではない。
【0068】
本ベクターの構築手順としては、まず、制限酵素BamHI/PstI処理を施したpBluescript II SK+ベクター(東洋紡社)中に、先に構築したpBTRP−PDC1−LDHKCBベクターに同様の制限酵素処理して得られるLDHKCB断片を連結して、pBLDHKCBベクターを作製した。次に、本ベクターに、PCR増幅して得たSLX4断片、PDC5下流断片(PDC5D)を順次連結していき、pBLDHKCB−PSを作製した。なお、SLX4断片、PDC5D断片のPCR増幅に使用するプライマーDNAは、当業者であれば適宜設定できるが、特開2004−187643に例示されているものも用いることができる。DNA増幅酵素としては、KOD plus DNA Polymerase(東洋紡社)を用い、PCR装置Gene Amp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)にて、96℃ 2分の処理後、96℃ 30秒→53℃ 30秒→72℃ 90秒の反応を25サイクル行い、4℃で保冷することにより増幅断片を得た。
【0069】
選抜マーカーとして使用するフレオマイシン耐性BLEマーカー遺伝子は、次のように構築した。遺伝子データベース(GenebankおよびSGD; Saccharomyces Genome Database)を利用して、フレオマイシン耐性遺伝子、CYC1プロモーター遺伝子、CYC1ターミネーター遺伝子の配列データを入手し、本データをもとに、末端に制限酵素サイトを付加する形でプライマーを設計した。なお反応に使用したプライマーDNAは、当業者であれば適宜設定できるが、特開2004−187643に例示されているものも用いることができる。
【0070】
フレオマイシン耐性遺伝子は、大腸菌XL1−Blue MRF' Kan株(STRATAGENE社)のゲノムDNAを鋳型に、またCYC1プロモーター遺伝子、CYC1ターミネーター遺伝子は、ワイン酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型にして設計したプライマーを用いてPCR反応を行い、遺伝子断片を得た。
【0071】
PCRに鋳型として用いる大腸菌のゲノムDNAは、LB培地にて一晩振盪培養を行った後、集菌、洗浄したものを98℃ 10分間の加熱処理を加えて得た上清を、エタノール沈殿処理を行い、滅菌水50μlに溶解することにより調製した。また、酵母のゲノムDNAは、ワイン酵母OC2株を2ml YPD培地で一晩振盪培養を行った後、集菌し50mM Tris−HCl 500μlおよびガラスビース(425−600microns Acid Washed, SIGMA社)を加え、4℃で15分間ボルテックスを行った後、本溶液の上清にエタノール沈殿を行い、滅菌水50μlに溶解することにより調製した。
【0072】
調製した各ゲノムDNA 5μlを鋳型として、50μlの反応系でPCRを行った。DNA増幅酵素としてKOD plus DNA Polymerase(東洋紡社)を用い、PCR増幅装置GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)にて、96℃ 2分の処理後、96℃ 30秒→55℃ 30秒→72℃ 90秒の反応を25サイクル行い、 4℃で保冷した。増幅が確認された各遺伝子断片は、それぞれについて制限酵素反応を行い、末端に制限酵素サイトができるよう処理した。
【0073】
上記の方法で作製した各断片を連結したpBBLECYCを構築した。構築における一連の設計手順を以下に示す。すなわち、例えば制限酵素BamHI/EcoRI処理を施したCYC1P断片および、例えば制限酵素HindIII/SalI処理を施したCYC1T断片を、同じ制限酵素で処理したpBluescript II SK+ベクター(東洋紡社)中に順次連結し、pBCYCPTベクターを作製した。次に本ベクターに例えば制限酵素EcoRI/HindIII処理したものに、同じ制限酵素サイトをもつフレオマイシン耐性遺伝子断片を連結させて、pBBLECYCベクターを作製した。最後に、pBBLECYCから例えば制限酵素SpeI/ApaI処理によってマーカー遺伝子を切り出し、これを平滑末端化した後、例えばEcoRV処理したpBLDHKCB−PSベクターに連結し、最終目的とする染色体導入型ベクター pBBLE−LDHKCBベクターを構築した。
【0074】
ベクター構築における詳細な操作方法はMolecular Cloning A Laboratory Manual second edition (Maniatis et al., Cold Spring Harbor Laboratory press. 1989)に従った。制限酵素および修飾酵素は、宝酒造のものを使用した。T4 DNA LigaseによるLigation反応には、Liga Fast Rapid DAN Ligation System(プロメガ社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従った。またプラスミドベクターの形質転換には大腸菌JM109株コンピテントセル(東洋紡社)を用いた。
【0075】
4.酵母染色体導入用ベクターの構築
次に、G418耐性遺伝子をマーカーとして、LDH遺伝子6コピー導入用の染色体導入型ベクターを構築した。本ベクターをpBG418G−LDHKCBと称し、そのプラスミドベクターを図9に示す。構築の一連の手順を以下に示すが、構築の順番はこれに限定されるものではない。
【0076】
本ベクターの構築手順としては、まず、制限酵素BamHI/PstI処理を施したpBluescript II SK+ベクター(東洋紡社)中に、既に構築したpBTRP−PDC1−LDHKCBベクターに同様の制限酵素処理をして得られるLDHKCB断片を連結して、pBLDHKCBベクターを作製した。次に、本ベクターに、PCR増幅して得たPDC6断片、CTT1断片を順次連結していき、pBLDHKCB−PDC−CTTを作製した。なお、PDC6断片、CTT1断片のPCR増幅用いるプライマーは当業者であれば適宜設定できるが、例えば特開2004−187643に記載のプライマーを用いることができる。DNA増幅酵素としては、KODplus DNA Polymerase(東洋紡社)を用い、PCR装置Gene Amp PCR system
9700(PE Applied Biosystems社)にて、96℃ 2分の処理後、96℃ 30秒→53℃ 30秒→72℃ 90秒の反応を25サイクル行い、4℃で保冷することにより増幅断片を得た。
【0077】
なお、選抜マーカーとして使用するG418耐性マーカー遺伝子は、遺伝子データベース(GenebankおよびSGD; Saccharomyces Genome Database)を利用して、G418耐性遺伝子、GAPプロモーター遺伝子、CYC1ターミネーター遺伝子の配列データを入手し、本データをもとに、末端に制限酵素サイトを付加する形でプライマーを設計した。各プライマーの配列は当業者であれば適宜設定することができるが、特開2004−18643にその例が挙げられている。
【0078】
G418耐性遺伝子は、大腸菌XL1−Blue MRF’Kan株(STRATAGENE社)のゲノムDNAを鋳型に、またGAPプロモーター遺伝子、CYC1ターミネーター遺伝子は、ワイン酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型にして、上記プライマーを用いてPCR反応を行い、遺伝子断片を得た。
【0079】
各断片を連結してpBG418Gを構築した。構築における一連の設計手順の一例を示す。すなわち、例えば制限酵素BamHI/EcoRI処理を施したGAPP断片および、例えば制限酵素HindIII/SalI処理を施したCYC1T断片を、同じ制限酵素で処理したpBluescript II SK+ベクター(東洋紡社)中に順次連結し、pBCYCPTベクターを作製した。次に本ベクターに、例えば制限酵素EcoRI/AflII処理したものに、同じ制限酵素サイトをもつG418耐性遺伝子断片を連結させて、pBG418Gベクターを作製した。
【0080】
次に、PBG418Gから例えば制限酵素BamHI/SacII処理によってマーカー遺伝子を切り出し、これを平滑末端化した後、HincII処理したpBLDHKCB−PDC−CTTベクターに連結し、最終目的とする染色体導入型ベクター pBG418G−LDHKCBベクターを構築した。
【0081】
ベクター構築における詳細な操作方法はMolecular Cloning ~A Laboratory Manual second edition (Maniatiset al., Cold Spring Harbor Laboratory press. 1989) に従った。制限酵素および修飾酵素は、宝酒造のものを使用した。T4 DNA LigaseによるLigation反応には、Liga Fast Rapid DAN Ligation System(プロメガ社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従った。またプラスミドベクターの形質転換には大腸菌JM109株コンピテントセル(東洋紡社)を用いた。
【0082】
5.酵母への形質転換
酵母への遺伝子導入法は、Itoらの手法(Ito,H., Y.Fukuda, K.Murataand A.Kimura, Transformation of intact yeast cells treated with alkali cations. J.Bacteriol. Vol.153, p163-168, 1983)に従った。すなわち、作製したベクターを順次導入した。酵母を10ml YPD培地にて30℃で対数増殖期まで培養を行い、集菌およびTEバッファーによる洗浄を行った。
【0083】
次に、0.5ml TEバッファーと0.5mlの0.2M酢酸リチウムを加え、30℃にて1時間の振盪培養を行った後に、ベクターを添加した。本酵母懸濁液を30℃で30分間振盪培養後、150μlの70%ポリエチレングリコール4000(和光純薬工業)を加え、よく攪拌した。さらに30℃にて1時間振盪培養した後、42℃にて5分間ヒートショックを与え、菌体を洗浄した。本試料を500μlのYPD培養液にて30℃、20時間振盪培養後、これを集菌および洗浄し、500μlの滅菌水に溶解した。G418濃度200μg/ml含有のYPD培地に50μl塗沫し、30℃ 静置培養にて選抜を行った。
【0084】
得られたコロニーを新たなG418選抜培地に画線培養し、安定性が確認できた選抜株について、遺伝子導入の有無をPCR解析によって確認した。
【配列表フリ−テキスト】
【0085】
配列番号1:ウシLDHの改変DNA
配列番号2〜7:プライマー
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】各種濃度のキャリアを含む抽出溶媒を用いた乳酸発酵液からの抽出度を示す図。
【図2】各種のキャリアを含む抽出溶媒を用いた抽出発酵における酵母の増殖を示す図。
【図3】pBTrp−PDC1−LDHKCBのプラスミドマップである。
【図4】図3に示すベクターの構築例の一部を示す図である。
【図5】pBTrp−PDC1−LDHの構築例の一部を示す図である。
【図6】pBTrp−PDC1−LDHの構築例の一部を示す図である。
【図7】pBTrp−PDC1−LDHの構築例の一部を示す図である。
【図8】pBBLE−LDHKCBのプラスミドマップである。
【図9】pBG418G−LDHKCBのプラスミドマップである。
【出願人】 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【出願日】 平成18年8月2日(2006.8.2)
【代理人】 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−35732(P2008−35732A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211463(P2006−211463)