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【発明の名称】 無細胞タンパク質合成方法
【発明者】 【氏名】遠藤 弥重太

【氏名】澤崎 達也

【氏名】小笠原 富夫

【要約】 【課題】無細胞タンパク質合成手段において、簡便かつ大量合成を可能とするタンパク質合成方法及び該方法を用いた無細胞タンパク質合成装置を提供するものである。

【構成】供給液の供給手段の検討及び重層法を用いた合成反応の繰り返しタンパク質合成法の検討をおこなった。その結果、重層法及び供給バッチ法を繰り返し行う無細胞タンパク質合成方法を見出し、本発明を完成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程を含む、繰り返し法による無細胞タンパク質合成方法;
1)反応液である反応相に供給相から供給液を供給して合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理するか又は供給液の供給を停止する工程
3)濃縮処理する工程
4)供給相から供給液を反応相に供給させて合成反応を再開させる工程
【請求項2】
界面を介する上下2層からなり、上層を供給相、下層を反応相とする合成方法であって、以下の工程を含む、繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成方法;
1)反応液である反応相に供給相となる供給液を重層させて合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理する工程
3)濃縮処理する工程
4)供給相となる供給液を反応相に重層させて合成反応を再開させる工程
【請求項3】
以下の工程を含む繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成法;
1)反応液である反応相に供給液を連続又は不連続に供給して合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給液の供給を停止する工程
3)濃縮処理する工程
4)反応相に供給液を連続又は不連続に供給して合成反応を再開させる工程
【請求項4】
供給液の供給添加速度(供給液量/秒)で合成反応の制御が行われる請求項3に記載の合成方法。
【請求項5】
反応開始時の反応相と同量の供給液を、10分〜10時間で反応相に連続又は不連続で供給する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
2)−4)の工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1−5のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項7】
反応相の反応液が、転写反応後の未精製mRNAを含む転写溶液及びコムギ種子胚芽由来抽出液を含む請求項1−6のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項8】
転写反応後の未精製mRNAを含む転写溶液又は精製mRNAを、用時、供給相に補充添加する請求項1−7のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項9】
濃縮処理により、反応相の副産物を除去する請求項1−8のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項10】
濃縮処理により、転写溶液由来のマグネシウムイオン及び/又はヌクレオチド類を除去する請求項1−8のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項11】
コムギ種子胚芽由来抽出液が、混入するコムギ胚乳成分および低分子タンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ種子胚芽抽出液である請求項1−10のいずれか1に記載の合成方法。
【請求項12】
コムギ種子胚芽由来抽出液から、以下のいずれか1から選ばれるATPを介する糖のリン酸化系の制御が行われている請求項11に記載の合成方法;
1)単糖類の除去、
2)リン酸化糖の除去、
3)多糖類から単糖類の生成の制御、
4)単糖類からリン酸化糖の生成の制御。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1に記載の合成方法に用いられる試薬のすくなくとも1を含む合成キット。
【請求項14】
請求項2、6−12のいずれか1に記載の繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成方法を実施するための装置であって、以下の制御手段を少なくとも備える無細胞タンパク質合成用装置;
(1)反応相に供給相を重層する手段
(2)混合処理する手段
(3)濃縮する手段
【請求項15】
請求項3−12のいずれか1に記載の繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成方法を実施するための装置であって、以下の制御手段を少なくとも備える無細胞タンパク質合成用装置;
(1)反応相に供給液を連続又は不連続に供給する手段
(2)濃縮する手段
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は無細胞タンパク質合成システムを利用したタンパク質の繰り返し合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノム計画の完了を間近に控えて、研究課題の中心は遺伝子構造解析から遺伝子機能解析へ急速に展開している。細胞内におけるタンパク質は、単独で機能しているのではない。それは、多種多様なタンパク質因子、核酸、低分子生理活性物質及び細胞膜成分等と協調して相互作用することによって機能が発現し、そして、それらの相互作用の総和として生物学的機能が営まれているものと考えられている。
ポストゲノム計画の中心課題の一つは、多種多様なタンパク質因子の複合体の構造と機能の関係を解析することである。ここから得られる成果は、構造生物学や生化学を含む基礎生物学などの研究、医学分野における遺伝子翻訳産物と病因との関係解明、そして医薬の開発における広い分野において極めて重要な知見を提供するものと期待されている。
タンパク質合成反応を生体外で行う方法として、細胞抽出液に翻訳鋳型、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、及びその他の有効因子を加えて試験管内でタンパク質を合成する、いわゆる無細胞タンパク質合成法等の研究が盛んに行われてきている(特許文献1〜5)。
この無細胞タンパク質合成系に用いるタンパク質合成用の細胞抽出液または生体組織抽出液は、大腸菌、コムギ胚芽、または家兎網状赤血球等を原料として調製される。無細胞タンパク質合成系は、"ペプチド合成速度"と"翻訳反応の正確性"の2点において、生細胞に匹敵する性能を保持している。そして、この系は複雑な化学反応工程や煩雑な細胞培養工程を必要としない。この利点を有するため、この系はその実用的なシステムの開発がなされてきた。しかしながら、一般的に、生物体の細胞から抽出した細胞抽出液は、そのタンパク質合成能が極めて不安定なためにタンパク質合成効率が低かった。さらに、保存中の細胞抽出液の品質低下も著しかった。そのため、無細胞タンパク質合成系によって得られる合成物の量は、放射性同位体標識等によって検出可能な程度の少量であった。その結果、この系は実用的なタンパク質の生産手段としては利用できなかった。
【0003】
本発明者等は先に、従来の無細胞タンパク質合成系の欠点を解決する方法として、以下を提供した。
(1)無細胞タンパク質合成用細胞抽出物製剤および無細胞タンパク質合成方法(特許文献6)、(2)汎用性および高効率機能を備えた鋳型分子並びにこれを利用する無細胞タンパク質合成方法(特許文献7)、(3)拡散連続バッチ法(重層法と呼ぶことがある)(特許文献8)。
また、タンパク質合成の効率を上げるための、無細胞タンパク質合成を連続して行う装置が報告されている。従来の連続式無細胞タンパク質合成装置としては、限外ろ過膜法、透析膜法、及び樹脂に翻訳鋳型を固定化したカラムクロマト法等(非特許文献1)を利用したものがある。特に、限外ろ過膜法と透析膜法は取り扱いが簡便なため汎用されている。しかしこれらの膜を用いる連続法には、以下のような解決すべき課題が残されている、(1)使用する膜の材質強度が低いこと;(2)目詰まりによる膜機能の低下がおこること;(3)操作が複雑であるために熟練した技術を要すること。
【0004】
発明者らは先に新規な無細胞タンパク質合成反応方法として、拡散連続バッチ式無細胞タンパク質合成法(重層法)及び繰り返しバッチ法を発明している。従来の合成効率を凌駕するこれらの方法を用いても、タンパク質合成量に限界があった。そこで、より単純な操作で多数の遺伝子からのタンパク質生産を高効率で行うことを可能にするハイスループットタンパク質合成方法の確立に向けた要素技術の開発が必要とされてきた。
【非特許文献1】Spirin,A.,et al.,(1993)Methods in Enzymology,217,123−142
【特許文献1】特開平6−98790
【特許文献2】特開平6−225783
【特許文献3】特開平7−194
【特許文献4】特開平9−291
【特許文献5】特開平7−147992
【特許文献6】WO00/68412号号公報
【特許文献7】WO01/27260号公報
【特許文献8】WO02/24939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、無細胞タンパク質合成手段において、簡便かつ大量合成を可能とするタンパク質合成方法及び該方法を用いた無細胞タンパク質合成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、自動化の重要ファクターとして、供給液の供給手段の検討及び重層法を用いた合成反応の繰り返しタンパク質合成法の検討をおこなった。その結果、重層法及び供給バッチ法を繰り返し行う無細胞タンパク質合成方法を見出し、本発明を完成した。
【0007】
つまり、本発明は以下からなる;
1.少なくとも以下の工程を含む、繰り返し法による無細胞タンパク質合成方法;
1)反応液である反応相に供給相から供給液を供給して合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理するか又は供給液の供給を停止する工程
3)濃縮処理する工程
4)供給相から供給液を反応相に供給させて合成反応を再開させる工程
2.界面を介する上下2層からなり、上層を供給相、下層を反応相とする合成方法であって、以下の工程を含む、繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成方法;
1)反応液である反応相に供給相となる供給液を重層させて合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理する工程
3)濃縮処理する工程
4)供給相となる供給液を反応相に重層させて合成反応を再開させる工程
3.以下の工程を含む繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成法;
1)反応液である反応相に供給液を連続又は不連続に供給して合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給液の供給を停止する工程
3)濃縮処理する工程
4)反応相に供給液を連続又は不連続に供給して合成反応を再開させる工程
4.供給液の供給添加速度(供給液量/秒)で合成反応の制御が行われる前項3に記載の合成方法。
5.反応開始時の反応相と同量の供給液を、10分〜10時間で反応相に連続又は不連続で供給する前項4に記載の方法。
6.2)−4)の工程を複数回繰り返すことを特徴とする前項1−5のいずれか1に記載の合成方法。
7.反応相の反応液が、転写反応後の未精製mRNAを含む転写溶液及びコムギ種子胚芽由来抽出液を含む前項1−6のいずれか1に記載の合成方法。
8.転写反応後の未精製mRNAを含む転写溶液又は精製mRNAを、用時、供給相に補充添加する前項1−7のいずれか1に記載の合成方法。
9.濃縮処理により、反応相の副産物を除去する前項1−8のいずれか1に記載の合成方法。
10.濃縮処理により、転写溶液由来のマグネシウムイオン及び/又はヌクレオチド類を除去する前項1−8のいずれか1に記載の合成方法。
11.コムギ種子胚芽由来抽出液が、混入するコムギ胚乳成分および低分子タンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ種子胚芽抽出液である前項1−10のいずれか1に記載の合成方法。
12.コムギ種子胚芽由来抽出液から、以下のいずれか1から選ばれるATPを介する糖のリン酸化系の制御が行われている前項11に記載の合成方法;
1)単糖類の除去、
2)リン酸化糖の除去、
3)多糖類から単糖類の生成の制御、
4)単糖類からリン酸化糖の生成の制御。
13.前項1〜12のいずれか1に記載の合成方法に用いられる試薬のすくなくとも1を含む合成キット。
14.前項2、6−12のいずれか1に記載の繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成方法を実施するための装置であって、以下の制御手段を少なくとも備える無細胞タンパク質合成用装置;
(1)反応相に供給相を重層する手段
(2)混合処理する手段
(3)濃縮する手段
15.前項3−12のいずれか1に記載の繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成方法を実施するための装置であって、以下の制御手段を少なくとも備える無細胞タンパク質合成用装置;
(1)反応相に供給液を連続又は不連続に供給する手段
(2)濃縮する手段
【発明の効果】
【0008】
本発明の無細胞タンパク質合成手段は、従来にない簡便性と大量合成の無細胞タンパク質合成手段を達成し、自動化タンパク質合成法における最重要課題の一をクリアーした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、mRNAを原料にする無細胞タンパク質合成系において、少なくとも以下の工程を含む、繰り返し法による無細胞タンパク質合成方法である。
1)反応液である反応相に供給相から供給液を供給して合成反応に導く工程
2)合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理するか又は供給液の供給を停止する工程
3)濃縮処理する工程
4)供給相から供給液を反応相に供給させて合成反応を再開させる工程
つまり本発明は、連続又は不連続に供給液を供給することによって、反応速度の高い合成反応初期相の特性を最大限に利用することを特徴とする合成法である。その手段は、合成速度の略低下前後又は合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給液を繰り返し供給することである。この方法はバッチ法でも、重層法でも適用可能である。
【0010】
繰り返し供給バッチ法では、反応液である反応相に供給液を連続又は不連続に供給して合成反応に導き、合成速度の略低下前後、合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給液の供給を停止する。続いて、反応溶液(反応相)の濃縮処理を行う。濃縮された反応溶液(反応相)は、供給液の連続又は不連続の供給により、反応溶液(反応相)の希釈処理を行う。この希釈処理で、mRNAを原料とする合成に必要とされる基質、エネルギー源、イオン類、緩衝液及び鋳型物質などの成分が補充される。この処理で、反応溶液(反応相)は元の反応至適濃度にもどされ、タンパク質合成が再活性化される。
そして、この希釈及び濃縮処理は、不連続に繰り返しおこなうことで、大量のタンパク質の合成を可能とする。
【0011】
また本発明は、mRNAを原料にする無細胞タンパク質合成系において重層法の反応速度の高い合成反応初期相の特性を最大限に利用することを特徴とする合成法(以後、繰り返し重層法と呼ぶことがある)である。
その手段は、合成速度の略低下前後又は合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相の混合処理を行う。続いて、濃縮処理を行う。濃縮後、続いて供給相の重層が施される。
この重層処理で、mRNAを原料とする合成に必要とされる基質、エネルギー源、イオン類、緩衝液などの成分が補充され、タンパク質合成が再活性化される。
そして、この混合、濃縮、重層処理は、不連続に繰り返しおこなうことで、大量のタンパク質を合成可能とする。
【0012】
なお、合成反応の効率を上げるために、上記反応溶液又は上記供給相と反応相の混合溶液に、必要に応じて希釈操作を加えることができる。希釈操作は、濃縮処理の前後を問わず行うことができる。
【0013】
さらに、本発明は上記2つの合成法の特性を最大に利用した合成法を自動可能化することを特徴とした無細胞タンパク質合成装置である。
【0014】
(1)転写鋳型の作製工程
本明細書において「転写鋳型」とは、インビトロ転写反応の鋳型分子として使用し得るDNAをいい、適当なプロモーター配列の下流に目的蛋白質をコードする塩基配列を少なくとも有する。適当なプロモーター配列とは、転写反応において使用されるRNAポリメラーゼが認識し得るプロモーター配列をいい、例えば、SP6プロモーター、T7プロモーター等が挙げられる。目的蛋白質をコードするDNAはいかなるものであってもよい。
転写鋳型は、プロモーター配列と目的蛋白質をコードする塩基配列との間に翻訳効率を制御する活性を有する塩基配列を有することが好ましく、例えば、タバコモザイクウイルス由来のΩ配列などのRNAウイルス由来の5'非翻訳領域、及び/又はコザック配列等を用いることができる。さらに、転写鋳型は、目的蛋白質をコードする塩基配列の下流に転写ターミネーション領域等を含む3'非翻訳領域を含むことが好ましい。3'非翻訳領域としては、終止コドンより下流の約1.0〜約3.0キロベース程度が好ましく用いられる。これらの3'非翻訳領域は必ずしも目的蛋白質をコードする遺伝子本来のそれである必要はない。
本発明の方法の好ましい実施態様の一つとして、目的タンパク質をコードする転写鋳型をPCR法によって増幅・合成したDNA鋳型を精製することなくそのまま転写鋳型とすることである。
尚、非特異的増幅により生じる短鎖DNA(結果として目的産物の収量低下及び低分子翻訳産物ノイズを生じる)の生成を防ぐために、国際公開第WO02/18586号に記載のプロモーター分断型プライマーを用いることもできる。
上記のようにして得られる転写鋳型DNAはクロロホルム抽出やアルコール沈殿により精製した後に転写反応に供してもよいが、本発明のタンパク質合成方法では、PCR反応後の反応液をそのまま転写鋳型溶液として使用することが可能である。転写鋳型の作製において、鋳型DNAをプラスミドに導入しないので、一旦プラスミドを大量調製して、これを制限酵素処理して転写鋳型を得る方法と比較して、工程を格段に省略でき、少ない工程数で短時間での転写鋳型の大量合成が可能となる。すなわち、目的タンパク質をコードするDNAを組み込んだプラスミドを調製する工程を必要としないので、プラスミド精製のための超遠心に要する時間を短縮することができる。また、プラスミドから転写鋳型を切り出すための制限酵素処理、及び制限酵素等を除去するためのフェノール処理、クロロホルム処理、転写鋳型の精製のためのアルコール沈殿、転写鋳型であるDNAの沈殿を溶解する工程を省略することができるので、フェノール/クロロホルムの残存による転写反応の阻害や、多工程の精製操作による転写鋳型のロスがない。また、反応に要するステップ数を少なくすることができるので使用するチップ数なども少なくて済むというさらなる利点を有する。
【0015】
(2)転写反応工程
転写鋳型を、転写鋳型中のプロモーターに適合するRNAポリメラーゼやRNA合成用の基質(4種類のリボヌクレオシド三リン酸)等の転写反応に必要な成分を含む溶液(転写反応溶液ともいう)と混合し、これを約20〜約60℃、好ましくは約30〜約42℃で、約30分〜約16時間、より好ましくは約2〜5時間インキュベートして転写反応をおこなう。
また、好ましい実施態様の一つとして、自体公知の方法を用いて調製された目的蛋白質をコードする転写鋳型DNA又は(1)に記載のPCR法によって増幅・合成したDNA鋳型を精製することなくそのまま転写鋳型として調製された目的蛋白質をコードする転写鋳型DNAから、インビトロ転写反応により翻訳鋳型であるmRNAを生成させるものである。転写反応は、反応系(例えば、96穴タイタープレートなどの市販の容器)に提供された転写鋳型を含む溶液(未精製mRNAを含む転写溶液)、好ましくはPCR反応液と、転写鋳型中のプロモーターに適合するRNAポリメラーゼ(例えば、SP6 RNAポリメラーゼなど)やRNA合成用の基質(4種類のリボヌクレオシド3リン酸)等の転写反応に必要な成分を含む溶液(「転写反応用溶液」ともいう)とを混合した後、約20℃〜約60℃、好ましくは約30℃〜約42℃で約30分間〜約16時間、好ましくは約2時間〜約5時間該混合液をインキュベートすることにより行われる。
なお、本発明の実施例で使用した翻訳鋳型となるmRNAは、GFP遺伝子DNA(Chiu, W. –L.,et al., Curr. Biol. 6, 325-330 (1996))が挿入されたpEU-GFPベクター(Sawasaki, T. et al.,PNAS, 99 (23), 14652-7(2002))を基に、Ω配列部分をWO03/056009号公報に記載の配列番号136の塩基配列に置き換えた環状プラスミドDNAを鋳型として、SP6 RNApolymerase(Promega社製)を用いて転写を行った。
【0016】
以下の翻訳反応工程に供するため、未精製mRNAを含む転写溶液又は精製mRNAを蛋白質合成用細胞抽出液に直接添加する。ここで用いられる蛋白質合成用細胞抽出液としては、翻訳鋳型を翻訳して該鋳型にコードされる蛋白質を生成させ得るものであれば如何なるものであってもよいが、具体的には、大腸菌、植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球等の細胞抽出液等が用いられる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌抽出液の場合、Pratt, J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, 179-209, B. D. & Higgins, S. J., eds), IRL Press, Oxford (1984)に記載の方法等に準じて調製することもできる。
市販の蛋白質合成用細胞抽出液としては、大腸菌由来では、E.coli S30 extract system(Promega社製)やRTS 500 Rapid Translation System(Roche社製)に添付のもの等が挙げられ、ウサギ網状赤血球由来ではRabbit Reticulocyte Lysate Sytem(Promega社製)に添付のもの等、更にコムギ胚芽由来ではPROTEIOSTM(TOYOBO社製)に添付のもの等が挙げられる。このうち、植物種子の胚芽抽出液の系を用いることが好ましく、植物種子としては、コムギ、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科の植物、及びホウレンソウ等の種子が好ましく、特にコムギ種子胚芽抽出液を用いたものが好適である。さらに胚芽の胚乳成分および低分子の蛋白質合成阻害剤物質が実質的に除去されたコムギ種子胚芽抽出液抽出液がより好適である。これらは従来のコムギ種子胚芽抽出液と比較して、抽出液中の蛋白質合成阻害に関与する成分及び物質が低減されているからである。
【0017】
本発明の最良の細胞抽出液は、コムギ胚芽由来の抽出液であり、さらに混入する胚乳成分や胚芽組織細胞中のタンパク質合成阻害をもたらすグルコースなどの代謝物質が実質的に除去された抽出液であるので、これを例にとって原料の調製方法を以下説明する。
【0018】
通常、胚芽の部分は非常に小さいので胚芽を効率的に取得するためには胚芽以外の部分をできるだけ除去しておくことが好ましい。通常、まずコムギ種子に機械的な力を加えることにより、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物を得、該混合物から、胚乳破砕物、種皮破砕物等を取り除いて粗胚芽画分(胚芽を主成分とし、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物)を得る。種子に加える力は、種子から胚芽を分離することができる程度の強さであればよい。具体的には、公知の粉砕装置を用いて、種子を粉砕することにより、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物を得る。
種子の粉砕は、通常公知の粉砕装置を用いて行うことができるが、被粉砕物に対して衝撃力を加えるタイプの粉砕装置、例えばピンミル、ハンマーミルを用いることが好ましい。粉砕の程度は、使用する種子胚芽の大きさに応じて適宜選択すればよいが、例えばコムギの場合は、通常、最大長さ4mm以下、好ましくは最大長さ2mm以下の大きさに粉砕する。また、粉砕は乾式で行うのが好ましい。
次いで、得られた種子粉砕物から、通常公知の分級装置、例えば、篩を用いて粗胚芽画分を取得する。例えば、コムギの場合、通常、メッシュサイズ0.5mm〜2.0mm、好ましくは0.7mm〜1.4mmの粗胚芽画分を取得する。さらに、必要に応じて、得られた粗胚芽画分に含まれる種皮、胚乳、ゴミ等を風力、静電気力を利用して除去してもよい。
また、胚芽と種皮、胚乳の比重の違いを利用する方法、例えば重液選別により、粗胚芽画分を得ることもできる。より多くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得るために、上記の方法を複数組み合わせてもよい。さらに、得られた粗胚芽画分から、例えば目視や色彩選別機等を用いて胚芽を選別する。
【0019】
このようにして得られた胚芽画分は、胚乳成分が付着している場合があるため、通常胚芽純化のために更に洗浄処理することが好ましい。洗浄処理としては、通常10℃以下、好ましくは4℃以下に冷却した水または水溶液もしくは界面活性剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させ、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄することが好ましい。また、通常10℃以下、好ましくは4℃以下で、界面活性剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させて、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄することがより好ましい。界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、非イオン性界面活性剤であるかぎりは、広く利用ができる。具体的には、例えば、好適なものとして、ポリオキシエチレン誘導体であるブリッジ(Brij)、トリトン(Triton)、ノニデット(Nonidet)P40、ツイーン(Tween)等が例示される。なかでも、ノニデット(Nonidet)P40が最適である。これらの非イオン性界面活性剤は、胚乳成分の除去に十分且つ胚芽成分のタンパク質合成活性に悪影響を及ぼさない濃度で使用され得るが、例えば0.5%の濃度で使用することができる。水または水溶液による洗浄処理及び界面活性剤による洗浄処理は、どちらか一方でもよいし、両方実施してもよい。また、これらの洗浄処理は、超音波処理との組み合わせで実施してもよい。
【0020】
本発明においては、上記のように種子粉砕物から選別し、洗浄して得られた発芽能を有する胚芽を好ましくは抽出溶媒の存在下に細分化した後、得られた胚芽抽出液を分離し、更に精製することにより無細胞タンパク質合成用抽出液を得る。
【0021】
抽出溶媒としては、緩衝液、カリウムイオン、マグネシウムイオンおよび/またはチオール基の酸化防止剤を含む水溶液を用いることができる。また、必要に応じて、カルシウムイオン、L型アミノ酸等をさらに添加してもよい。例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸(HEPES)−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、L型アミノ酸および/またはジチオスレイトールを含む溶液や、Pattersonらの方法を一部改変した溶液(HEPES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、L型アミノ酸および/またはジチオスレイトールを含む溶液)を抽出溶媒として使用することができる。抽出溶媒中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細胞タンパク質合成用の細胞抽出液の製造に用いられるものを採用すればよい。
必要量の抽出溶媒を胚芽に加え、抽出溶媒の存在下に胚芽を細分化する。抽出溶媒の量は、洗浄前の胚芽1gに対して、通常0.1ミリリットル以上、好ましくは0.5ミリリットル以上、より好ましくは1ミリリットル以上である。抽出溶媒量の上限は特に限定されないが、通常、洗浄前の胚芽1gに対して、10ミリリットル以下、好ましくは5ミリリットル以下である。また、細分化しようとする胚芽は従来のように凍結させたものを用いてもよいが、凍結させていないものを用いるのがより好ましい。
【0022】
細分化の方法としては、摩砕、圧砕等、従来公知の粉砕方法を採用することができるが、本発明者が開発した衝撃または切断により胚芽を細分化する方法(特願2002−023139)が好ましい。ここで、「衝撃または切断により細分化する」とは、植物胚芽の細胞核、ミトコンドリア、葉緑体等の細胞小器官(オルガネラ)、細胞膜や細胞壁等の破壊を、従来の摩砕または圧砕と比べて最小限に止めうる条件で植物胚芽を破壊することを意味する。
細分化する際に用いることのできる装置や方法は、上記条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ワーリングブレンダーのような高速回転する刃状物を有する装置を用いることが好ましい。刃状物の回転数は、通常1000rpm以上、好ましくは5000rpm以上であり、また、通常30000rpm以下、好ましくは25000rpm以下である。刃状物の回転時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以上である。回転時間の上限は特に限定されないが、通常10分以下、好ましくは5分以下である。細分化する際の温度は、好ましくは10℃以下で操作が可能な範囲内、特に好ましくは4℃程度が適当である。
このような衝撃または切断による胚芽の細分化では、胚芽の細胞核や細胞壁は全て破壊されず、少なくともその一部は破壊されることなく残る。即ち、胚芽の細胞核等の細胞小器官、細胞膜や細胞壁が必要以上に破壊されることがないため、それらに含まれるDNAや脂質等の不純物の混入が少なく、細胞質に局在するタンパク質合成に必要なRNAやリボソーム等を高純度で効率的に胚芽から抽出することができる。
このような衝撃または切断による細分化においては、細分化した後に抽出溶媒を添加することもできるが、抽出溶媒の存在下に行うことがより好ましい。
このような方法によれば、従来の胚芽を粉砕する工程と、粉砕された胚芽に抽出溶媒を加えて胚芽抽出液を得る工程とを同時に一つの工程として行うことができるため効率的にコムギ胚芽抽出液を得ることができる。上記の方法を、以下「ブレンダー法」と称することがある。
【0023】
次いで、胚芽抽出液について2〜4万G、好ましくは2.5〜3.5万G、さらに好ましくは3万Gの遠心分離を行い、遠心上清を取得する。この際、沈殿助剤として無機担体をいれておくことは沈殿物と上清との分離のためにより好ましい。この沈殿物中には、グリコシダーゼなどの酵素とカルシウムの複合体が含まれている。グリコシダーゼをあらかじめ除いておくことは、澱粉からグルコースの生成を最小限に抑えることに役立つ。好適な無機担体としては、ベントナイト、活性炭素、シリカゲル、海砂等が例示される。この無機担体の導入により、沈殿物が上清へ混入することをほぼ完全に防ぐことが出来る。沈殿助剤を遠心時に加えない場合は、沈殿物の上部に不溶性スラリーが存在し、これが混入したS-30画分から調製した抽出液のタンパク質合成活性は低くなる。そこで、遠心後の遠心管からのS-30画分の回収に当たっては混入を避けるために細心の注意が必要となる。
コムギ胚芽抽出液は、ゲルろ過等によりさらに精製することができる。ゲルろ過は、例えば予め適当な溶液で平衡化しておいたゲルろ過装置を用いて行うことができる。ゲルろ過溶液中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細胞タンパク合成用の細胞胚芽抽出液の製造に用いられるもの(例えば、HEPES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、ジチオスレイトールまたはL型アミノ酸を含む溶媒)を採用すればよい。
このようにして得られた胚芽細胞抽出物は、RNase活性及びホスファターゼ活性が極めて低減されたものである。
【0024】
ゲルろ過後の胚芽抽出物含有液には、微生物あるいは糸状菌(カビ)などの胞子が混入していることがあるためこれら微生物などを排除しておくことが好ましい。特に長期(1日以上)の無細胞タンパク質合成反応中に微生物の繁殖が見られることがあるので、これを阻止することは重要である。微生物の排除手段は特に限定されないが、ろ過滅菌フィルターを用いるのが好ましい。フィルターのポアサイズとしては、混入の可能性のある微生物が除去可能なものであれば特に制限はないが、通常0.1〜1マイクロメーター、好ましくは0.2〜0.5マイクロメーターが適当である。ちなみに、枯草菌の胞子のサイズは0.5μmx1μmであることから、0.20マイクロメーターのフィルター(例えばSartorius製のMinisartTM等)を用いるのが胞子の除去にも有効である。ろ過に際して、まずポアサイズの大きめのフィルターでろ過し、次に混入の可能性のある微生物が除去可能であるポアサイズのフィルターを用いてろ過するのが好ましい。
【0025】
このようにして得られた細胞抽出液は、原料であるコムギ自身が含有または保持するタンパク質合成機能を抑制する物質(各種RNA、翻訳タンパク質因子やリボソーム等に作用してその機能を抑制する物質。例えば各種リボヌクレアーゼ、各種プロテアーゼ、トリチン、チオニン等)が、ほぼ完全に取り除かれている。すなわち、これらの阻害物質が局在する胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されている。胚乳の除去の程度は、コムギ胚芽抽出液中に夾雑するトリチンの活性、すなわちリボソームを脱アデニン化する活性をモニターすることにより評価できる。リボソームが実質的に脱アデニン化されていなければ、胚芽抽出液中に夾雑する胚乳由来成分がない、すなわち胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されていると判断される。リボソームが実質的に脱アデニン化されていない程度とは、リボソームの脱アデニン化率が7%未満、好ましくは1%以下になっていることをいう。
【0026】
このような胚芽抽出液を原料にして、さらに「胚芽組織細胞内因性の解糖系などの代謝経路や翻訳反応制御機構の排除」のために糖、リン酸化糖、糖のリン酸化酵素、糖分解酵素等を低減した無細胞タンパク質合成用の細胞抽出液調製のための処理を行うこともできる。処理工程の概要は以下である。得られた細胞抽出液、あるいはこの抽出液について、ゲルろ過による溶液の交換あるいは必要成分の添加などにより翻訳反応液としたものを、分子量10kDaカットで分子量分画し、低分子画分を排除する。あるいは、分子量10kDa以上の物質を分子量分画し、回収することも可能である。この分画処理は複数回行い、特に分子量10kDa以下の物質を実質的に除去することが好ましい。複数回の具体的回数としては、1〜10回、好ましくは2〜9回、さらに好ましくは3〜8回、最も好ましいくは4〜7回である。このように調製された細胞抽出液は、実質的に糖、リン酸化糖が1mM以下まで低減されていた(260nmにおける吸光度200 OD/mlの抽出液中のグルコース濃度として)。かくして得られたグルコース濃度が低減された抽出液は、従来にない高い無細胞タンパク質合成能を保有する。
【0027】
(3)翻訳反応工程
上記のようにして得られる転写溶液を直接添加した蛋白質合成用細胞抽出液に、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、ATP再生系、核酸分解酵素阻害剤、tRNA、還元剤、ポリエチレングリコール、3',5'−cAMP、葉酸塩、抗菌剤等の、翻訳反応に必要もしくは好適な成分を含有する溶液(「翻訳反応用溶液」ともいう)を添加して、翻訳反応に適した温度で適当な時間インキュベートすることにより翻訳反応を行うことができる。基質となるアミノ酸は、通常、蛋白質を構成する20種類の天然アミノ酸であるが、目的に応じてそのアナログや異性体を用いることもできる。また、エネルギー源としては、ATP及び/又はGTPが挙げられる。各種イオンとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。緩衝液としては、Hepes−KOH、Tris−酢酸等が用いられる。またATP再生系としては、ホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼの組み合わせ、またはクレアチンリン酸(クレアチンホスフェート)とクレアチンキナーゼの組み合わせ等が挙げられる。核酸分解酵素阻害剤としては、リボヌクレアーゼインヒビターや、ヌクレアーゼインヒビター等が挙げられる。このうち、リボヌクレアーゼインヒビターの具体例としては、ヒト胎盤由来のRNase inhibitor(TOYOBO社製等)等が用いられる。tRNAは、Moniter, R., et al., Biochim. Biophys. Acta., 43, 1 (1960)等に記載の方法により取得することができ、あるいは市販のものを用いることもできる。還元剤としては、ジチオスレイトール等が挙げられる。抗菌剤としては、アジ化ナトリウム、アンピシリン等が挙げられる。これらの添加量は、無細胞蛋白質合成において通常使用され得る範囲で適宜選択することができる。具体的には、以下の通りである。
【0028】
本発明の繰り返し重層法においては、以下の処理、手段又はこれらの組合せを含むシステムが遂行される。
【0029】
(合成反応に導く処理)
必須の手段の1は、反応相に供給相を重層させてタンパク質合成反応系に導くことである。合成反応は、通常、約10分〜20時間、より好ましくは20分〜10時間行う。この時間は、各系に応じて変更可能であり、実験的繰り返しにより最適時間は調製可能である。本発明の、不連続繰り返し合成法にあっては、特にこのワンクールの処理時間は比較的短持間であることが好ましい。
本発明の好ましい実施態様として、転写溶液を直接添加した蛋白質合成用細胞抽出液上に、翻訳反応用溶液を界面を乱さないように重層することにより蛋白質合成を行う。具体的には、例えば、必要に応じて適当時間プレインキュベートした蛋白質合成用細胞抽出液を翻訳鋳型の沈殿に添加してこれを溶解し、反応相とする。この反応相の上層に翻訳反応用溶液(供給相)を、界面を乱さないように重層して反応を行う。両相の界面は必ずしも重層によって水平面状に形成させる必要はなく、両相を含む混合液を遠心分離することによって、水平面を形成することも可能である。両相の円形界面の直径が7mmの場合、反応相と供給相の容量比は1:4〜1:8が適当であるが、1:5が好適である。両相からなる界面面積は大きいほど拡散による物質交換率が高く、蛋白質合成効率が上昇する。従って、両相の容量比は、両相の界面面積によって変化する。翻訳反応は、例えばコムギ胚芽抽出液を用いた系においては、静置条件下、約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で行うことができる。また、大腸菌抽出液を用いる場合、反応温度は約30℃〜約37℃が適当である。
【0030】
(供給相と反応相の混合処理)
必須の手段の2は、上記反応時間として、合成速度の略低下前後又は合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給相と反応相を混合処理する工程である。合成速度の略低下前後とは、経時的にタンパク質の時間当たり合成量が、最大量から減少傾向がみえるタイミングを意味し、一般には点ではなく線として理解される。また、合成反応の略停止前後とは、合成量が実質的に検出できない程度に落ちたレベルをいうが、この場合も一般には点ではなく線として理解される。それらの途上とは、合成速度が低下をしはじめ、合成反応が停止するまでの間をいう。なお、より好ましい合成効率を得るためには、合成速度の略低下前後に反応系に対して混合処理をおこなうことである。この時間としては、最適には10分〜10時間である。
混合処理は、反応溶液中に、攪拌子を入れることによって、反応溶液中を攪拌することによって反応相と混合相の混合処理をすることができる。
【0031】
(濃縮処理)
必須の手段の3は、上記混合処理した後に濃縮処理することである。また、必要に応じて、希釈操作を濃縮処理の前後を問わず行うことができる。反応系に対する濃縮は以下のように行われる。
濃縮は、反応液を反応系外に除去する際に、反応液中の通過不能な物質(例えば、合成タンパク質、リボソーム、転写溶液由来のマグネシウムイオン及び/又はヌクレオチド類等)が反応系内に濃縮されうる、自体公知のあらゆる濃縮手段を利用可能である。好適には、限外ろ過膜を使ったろ過処理、遠心分離機による処理、ゲルろ過処理、吸引ポンプ、液相もしくは気相に圧力差を発生させる方法等が例示される。この処理にあっては、膜の通過口径を調節することで、遠心分離操作、或は分子篩によって、反応産物、反応副産物を分離・除去する。膜の分子量カットサイズ、遠心速度、ゲルろ過条件は、自体公知の処理目的産物の物性によって最適調製可能である。本発明においては、好適には10,000〜100,000 Daの分子量カットの膜が好適に利用される。
この濃縮処理で、反応溶液は、元の容量の1/5〜2/3容量にまで濃縮され、その結果、各合成因子の合成至適濃度が大きくずれることとなる。この濃縮によって、反応系は著しくその合成能力は低下された状態となる。この状態をもって、本発明は不連続と呼ぶ。
希釈操作は、反応系に約1〜20倍、好ましくは約2〜10倍容量の水溶液を添加して行う。水溶液には、基質、反応溶液を所望により含有させる。特に好適には、基質、エネルギー源等を含む溶液が用いられる。
【0032】
(供給相を反応相に重層させて合成反応の再活性化)
必須の手段の4は、供給相を反応相に重層させて合成反応の再活性化することであり、濃縮処理、供給相の重層を行う。ここで濃縮とは、希釈によって増量された反応系の液量を、元の液量に戻すことを意味する。濃縮手段は、特に限定されるものではなく、自体公知のあらゆる濃縮手段を利用可能である。また、供給相を反応相に重層させる方法は、(合成反応に導く処理)に記載通りである。
【0033】
かくして、反応系の至適濃度に復活した反応系は、再び温度を反応至適温度に調製され、反応系が再活性化される。至適温度は、15〜25℃である。
なお、反応産物及び/又は反応副産物の分離・回収・除去等のためには、処理対象物との親和性に基づく処理も好適に実施可能である。親和性に基づくとは、親和性物質を固定化しておき、これと目的物質を接触させて結合させ、その後目的物質を溶離・回収する方法が例示される。親和性物質とは、例えば回収物質がタンパク質であれば、タンパク質に対する抗体、受容体に対するリガンド、転写因子に対する核酸等が例示される。なお、目的産物を適当なタグ・マーカーで修飾し(例えば、ストレプトアビジン、ヒスチジンタグ、GST、マルトース結合タンパク質等)、この修飾物質と特異的に結合しうる物質(例えば、ビオチン、2価金属イオン、グルタチオン、マルトース等)を使って精製することも可能である。
本発明の繰り返し重層法では、混合、濃縮、重層の処理を不連続に複数回繰り返すことが可能であり、この繰り返しによって、無細胞合成系の再生を複数回達成する(図1A参照)。この再生により、タンパク質の大量合成が達成されるのである。
【0034】
以上により、本発明の繰り返し重層法では、従来の重層法の簡便かつ高効率の利点、繰り返しバッチ法の大量合成できる利点とを組み合わせた新規な無細胞タンパク質合成方法である。
【0035】
本発明の繰り返し供給バッチ法においては、以下の処理、手段又はこれらの組合せを含むシステムが遂行される。
【0036】
(合成反応に導く処理)
必須の手段の1は、翻訳反応用溶液を、転写溶液を直接添加した蛋白質合成用細胞抽出液に添加して混合すればよい。添加方法としては、ペリスタポンプなどを用いて供給量と供給時期を調節できる。あるいは翻訳反応用溶液に含まれる成分を予め蛋白質合成用細胞抽出液と混合した場合には、翻訳反応用溶液の添加を省略することもできる。転写溶液を直接添加した蛋白質合成用細胞抽出液と翻訳反応用溶液とを混合して得られる「翻訳反応液」としては、例えば蛋白質合成用細胞抽出液としてコムギ胚芽抽出液を用いた場合、10〜50mM HEPES−KOH(pH7.8)、55〜120mM 酢酸カリウム、1〜5mM 酢酸マグネシウム、0.1〜0.6mM スペルミジン、各0.025〜1mM L−アミノ酸、20〜70μM、好ましくは30〜50μMのDTT、1〜1.5mM ATP、0.2〜0.5mM GTP、10〜20mM クレアチンリン酸、0.5〜1.0unitsΜ/μl リボヌクレアーゼインヒビター、0.01〜10μM 蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ、及び24〜75% コムギ胚芽抽出液を含むもの等が用いられる。このような翻訳反応液を用いた場合、プレインキュベーションは約10〜約40℃で約5〜約10分間、本反応(翻訳反応)におけるインキュベーションは同じく約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で行う。
【0037】
(供給液の供給を停止する処理)
必須の手段の2は、上記反応時間として、合成速度の略低下前後又は合成反応の略停止前後、又はそれらの途上に、供給液の供給を停止する工程である。停止工程は、供給方法によって異なるが、例えばペリスタポンプを用いてに停止時期を調節できる。
【0038】
(濃縮処理)
必須の手段の3は、上記供給液の停止後、反応相を濃縮することである。また、必要に応じて、希釈操作を濃縮処理の前後を問わず行うことができる。反応相に対する濃縮は以下のように行われる。
濃縮は、反応液を反応系外に除去する際に、反応液中の通過不能な物質(例えば、合成タンパク質、リボソーム、転写溶液由来のマグネシウムイオン及び/又はヌクレオチド類等)が反応系内に濃縮されうる、自体公知のあらゆる濃縮手段を利用可能である。好適には、限外ろ過膜を使ったろ過処理、遠心分離機による処理、ゲルろ過処理、吸引ポンプ、液相もしくは気相に圧力差を発生させる方法等が例示される。この処理にあっては、膜の通過口径を調節することで、遠心分離操作、或は分子篩によって、反応産物、反応副産物を分離・除去する。膜の分子量カットサイズ、遠心速度、ゲルろ過条件は、自体公知の処理目的産物の物性によって最適調製可能である。本発明においては、好適には10,000〜100,000 Daの分子量カットの膜が好適に利用される。
この濃縮処理で、反応溶液は、元の容量の1/5〜2/3容量にまで濃縮され、その結果、各合成因子の合成至適濃度が大きくずれることとなる。この濃縮によって、反応系は著しくその合成能力は低下された状態となる。この状態をもって、本発明は不連続と呼ぶ。
希釈操作は、反応系に約1〜20倍、好ましくは約2〜10倍容量の水溶液を添加して行う。水溶液には、基質、反応溶液を所望により含有させる。特に好適には、基質、エネルギー源等を含む溶液が用いられる。
【0039】
(供給液を反応相に供給して合成反応の再活性化)
必須の手段の4は、合成反応の再活性化である。前段階で濃縮処理された後に、供給液の反応相への供給が施される。
【0040】
かくして、供給液の供給により、反応系の至適濃度に復活した反応系は、再び温度を反応至適温度に調製され、反応系が再活性化される。至適温度は、15〜25℃である。
なお、反応産物及び/又は反応副産物の分離・回収・除去等のためには、処理対象物との親和性に基づく処理も好適に実施可能である。親和性に基づくとは、親和性物質を固定化しておき、これと目的物質を接触させて結合させ、その後目的物質を溶離・回収する方法が例示される。親和性物質とは、例えば回収物質がタンパク質であれば、タンパク質に対する抗体、受容体に対するリガンド、転写因子に対する核酸等が例示される。なお、目的産物を適当なタグ・マーカーで修飾し(例えば、ストレプトアビジン、ヒスチジンタグ、GST、マルトース結合タンパク質等)、この修飾物質と特異的に結合しうる物質(例えば、ビオチン、2価金属イオン、グルタチオン、マルトース等)を使って精製することも可能である。
本発明の繰り返し供給バッチ法では、供給液の停止、濃縮、供給液の供給の処理を不連続に複数回繰り返すことが可能であり、この繰り返しによって、無細胞合成系の再生を複数回達成する(図1B参照)。この再生により、タンパク質の大量合成が達成されるのである。
【0041】
また、本発明の繰り返し供給バッチ法では、供給相からの送液により、反応槽のサイズや形態には制約がなく、さらに、タンパク質合成速度の重要な律速パラメーターである両液の混合速度を自由に制御、至適化することが可能となり、効率の高い大規模なタンパク質製造が可能となる。さらに、mRNAを追加した供給相とすることにより、合成反応の効率をさらに高めることができる。具体的な供給液の添加速度は、反応開始時の液量と同量を5分から15時間の間、好ましくは10分から10時間の間に連続又は不連続に供給できる範囲の流速がよい。
【0042】
以上により、本発明の繰り返し供給バッチ法では、Spirinらの開発した半透膜を使い連続的に基質、エネルギー源の補給と代謝産物の廃棄をおこなう、いわゆる連続法とはその原理を異にし、その合成の効果は、数十から数千倍に達するもので質において大きな差異をもつ。
なお、本原理を用いるタンパク質合成手段において、使用するろ過膜の分画分子量サイズを選択することによって、副生成物の排除と同時に合成タンパク質を選択的に反応系から分画単離することを可能となる。
【0043】
本発明では、重層、混合、希釈及び濃縮の処理を、一連の工程として制御手段と組み合わせて自動無細胞タンパク質合成装置(繰り返し重層法、繰り返し供給バッチ法)として遂行可能である。この制御のためには、駆動源(モータ、空圧・油圧機器、その他の動作制御可能なアクチュエータ等)及びコンピュータ制御による制御回路、シーケンス制御回路等により、動作のオン・オフ、動作の程度、動作スピード、動作間隔が調節される。また、信号転送用ドライバー、動作確認用センサー、動作制御用スイッチ、タイマー等は適宜所望により装備可能である。
【0044】
本発明の無細胞タンパク質合成装置は上記説明のように、希釈と濃縮を不連続に複数回繰り返すことによって、無細胞合成系の再生を達成するものであるが、より具体的にその効果を説明すると以下となる。
【0045】
本発明の繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成装置は、タンパク質合成を、混合、濃縮、重層を不連続に繰り返し行う合成法の一連の反応操作を自動で行わせる方法を提供する。また、本発明の繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成装置は、タンパク質合成を、濃縮、希釈(連続又は不連続による供給液の供給)を不連続に繰り返し行う合成法の一連の反応操作を自動で行わせる方法を提供する。
【0046】
ここで「操作を自動で行わせる」とは、一連の工程中に、実験者が反応系(反応容器)に直接的に手動の操作を加えないことを意味する。従って、各工程を実行させるに際し、用いられる本発明の自動合成装置に設けられた所定の操作ボタンやスイッチなどの操作を実験者が手動で行うことは、本発明における「自動」の要件を損なうものではない。
本発明においては、合成した転写鋳型から該鋳型にコードされるタンパク質を生成するまでの反応操作を自動で行わせる装置は、以下の(1)〜(5)の手段を少なくとも有することをその特徴とするものである。
以下、各工程について具体的な実施態様を挙げて詳述するが、本発明の方法は、希釈と濃縮を不連続に複数回繰り返すことの特徴を有する限り、それらに制限されるものではない。
【0047】
(1)転写鋳型の作製工程
本発明の自動合成装置において、本工程は必ずしも自動で行う必要はなく、手動により得られた転写鋳型を以下の自動化工程に用いることもできるが、本工程を含めて、転写鋳型の作製から該鋳型にコードされる蛋白質の生成までの一連の工程を自動で行わせることがより好ましい。
かかる一連の操作を自動もしくは半自動(工程の一部に実験者が反応系に直接的に手動の操作を加える態様をいうものとする)で実施するための装置は知られており、これを本発明の自動合成装置に組み込むことにより、転写鋳型の作製から目的蛋白質の生成までを自動で行わせることが可能である。しかし、ハイスループット解析のためのハイスループット合成システムの提供という本発明の目的と、装置の単純化、所要時間の短縮化等を考慮すれば、以下のポリメラーゼ・チェイン反応(PCR)法により転写鋳型を作製する方法を利用することがより好ましい。
【0048】
(2)転写反応工程
転写鋳型溶液、転写反応用溶液の反応容器への分注、混合等の操作は後述の自動合成装置の分注手段(例えば、ピペッター(反応容器として市販の96穴タイタープレートを用いる場合には、ウェル間隔に適合した8連もしくは12連の分注チップを有するものが好ましく用いられる)など)を用いて行うことができる。また転写反応のためのインキュベーションは、後述の合成装置の温度制御手段により一定温度に制御しながら行うことができる。
【0049】
(3)翻訳反応工程
未精製mRNAを含む転写溶液、供給溶液、反応溶液の反応容器への分注等の操作は後述の自動合成装置の分注手段(例えば、ピペッター(反応容器として市販の96穴タイタープレートを用いる場合には、ウェル間隔に適合した8連もしくは12連の分注チップを有するものが好ましく用いられる)など)を用いて行うことができる。また、反応相と供給相の混合は後述の合成装置の混合する手段、濃縮は後述の合成装置の濃縮ろ過手段、また翻訳のためのインキュベーションは、後述の合成装置の温度制御手段により一定温度に制御しながら行うことができる。
【0050】
上述した本発明の繰り返し重層法による無細胞タンパク質合成装置は、タンパク質合成を、混合、濃縮、重層を不連続に繰り返し行うために、以下の(a)-(f)の手段を少なくとも有することを特徴とする。また、本発明の繰り返し供給バッチ法による無細胞タンパク質合成装置は、タンパク質合成を、濃縮、希釈(連続又は不連続の供給液の供給)を不連続に繰り返し行うために、以下の(b)-(f)の手段を少なくとも有することを特徴とする。
(a)供給相と反応相を混合する手段;
(b)反応容器内の温度を可変制御する手段;
(c)反応容器にサンプルまたは試薬を分注する手段;
(d)反応容器を搬送する手段;
(e)濃縮ろ過手段;
及び
(f)上記(a)〜(e)又は(b)〜(e)の手段を上述してきた本発明の方法に沿って動作させるように制御する制御手段。
以下、各構成について具体的に詳述する。
【0051】
(a)供給相と反応相を混合する手段
供給相と反応相を混合する手段とは、供給相と反応相を攪拌することにより、両相に含まれる物質を均一化することを意味する。よって、両相の均一化を達成できるような手段であればいかなるものでもよい。具体的には、反応容器中に攪拌子を導入すれば、容易に両相の混合が達成される。
【0052】
(b)反応容器内の温度を可変制御する手段
反応容器内の温度を可変制御する手段とは、転写反応、翻訳反応のインキュベーション及び翻訳反応の停止、または本発明の自動合成装置を用いてPCR法による転写鋳型の作製工程を自動で実施する場合には該PCR法の増幅反応などにおいて、反応容器内の液温を適当な温度条件に調整するための手段である。可変制御する温度範囲は、特に制限はないが、転写鋳型の作製を含む無細胞蛋白質合成の一連の反応操作において通常必要とされる温度範囲(例えば、約4℃〜約100℃、好ましくは約26℃〜約99℃)内で反応容器内の液温を可変制御し得る手段であれば、これを実現し得る手段としては特に制限されるものではない。たとえば、従来公知のタカラPCRサーマルサイクラーMP(タカラバイオ株式会社製)、Gene Amp PCR System 9700(Applied Biosystems Inc.,製)などが挙げられる。具体的には、ピペッティングなどを行う場所であって反応容器を載置するための作業ステージとは別に、装置内に反応容器を載置するステージを複数設け、ステージ上の空間全体の温度を可変制御し、結果的に反応容器内の温度を可変制御するように実現される。
【0053】
(c)反応容器にサンプルまたは試薬を分注する手段
反応容器にサンプルまたは試薬を分注する手段とは、反応容器内で転写反応、翻訳反応、PCRなどの一連の無細胞蛋白質合成反応を行わしめるために、反応容器にサンプルまたは試薬を分注する手段である。ここで「サンプル」は転写鋳型、翻訳鋳型、PCR用鋳型プラスミド(又は該プラスミドを有する宿主(例、大腸菌))等を指し、「試薬」は、転写反応用溶液、翻訳反応用溶液、翻訳反応溶液、希釈溶液、アルコール、塩溶液、PCR反応用溶液、供給液、反応液などを指す。かかる分注手段としては、工程に応じてサンプル、試薬の分量を調整して分注し得るものであれば、従来公知の適宜の自動で分注し得るピペットアーム(分注機)などを特に制限なく使用して実現することができる。また、ピペットアームは、使用済みチップを合成機のチップ廃棄口に廃棄する機能及び吸引したろ液等を廃液口に吐出する機能を備えることができる。
また、当該分注手段は、上記機能に加えて2種以上の溶液の均一化や沈殿溶解のための混合機能(例、ピペッティング、撹拌など)を備えていることがより好ましい。
さらに、ピペットアームにより、反応容器の各セル中に基質溶液又は希釈溶液を添加することにより、反応液の希釈処理が実行可能となる。
【0054】
(d)反応容器を搬送する手段
反応容器を搬送する手段とは、反応容器を、各ステージ、遠心機、昇降台、恒温槽に移動させる手段である。かかる反応容器を搬送する手段は、反応容器を目的の場所に搬送可能であれば、特に制限されることなく従来公知の適宜の手段にて実現することができる。たとえば、従来の合成装置に使用されているロボットアームを用いて実現できる。
【0055】
(e)濃縮ろ過手段
濃縮ろ過手段とは、繰り返し翻訳反応時の反応液を濃縮ろ過する手段である。かかる手段は、繰り返し翻訳反応時の反応液の濃縮を可能とするものであれば、特に制限されることなく、従来公知の適宜の手段にて実現することができる。たとえば、従来公知の遠心分離機、その他、アミコンウルトラ濃縮膜(milipore社製)、ビバフロー(sartorius社製)など、ろ過や凍結乾燥に従来から使用されている適宜の装置を用いて、該手段を実現できる。
【0056】
(f)制御手段
制御手段には、上記(a)〜(e)又は(b)〜(e)の手段が動作するために各手段に用いられる駆動源(モータ、空圧・油圧機器、その他の動作制御可能なアクチュエータなど)の動作の入切、動作の程度及び状態などを制御する制御装置が含まれる。その制御の構成は、上記(a)〜(e)の手段の動作を、合成した転写鋳型から該鋳型にコードされるタンパク質を生成するまでの反応操作を自動で行わせる目的が達成できるものである。
前記制御装置は、例えば、制御プログラムを有するコンピュータを含んだ制御回路、シーケンス制御回路など、上記各手段の動作の制御に必要な制御機器を組み合わせて構成してもよく、目的に沿った順番で上記各手段が動作するよう、各手段に対して信号や必要に応じて電力、空圧、油圧等を供給し得る制御構成とする。また、上記各手段の駆動源に直接駆動信号を送るために必要なドライバー、上記各手段の駆動源の動作状態を検出するために必要な各種センサー、スイッチなどは適宜加えてよい。
なお本発明の合成装置に適用できる反応容器には特に制限はなく、無細胞蛋白質合成反応に使用されてきた従来公知の種々の反応容器を使用することが可能であり、例えば6穴プレート、24穴プレート、96穴プレート、384穴プレート、96穴PCR用プレート、96穴タイタープレート、8連チューブやチューブ(1.5mL、15mL、50mLなど)等が挙げられるが、例えば翻訳反応系としてバッチ法や重層法を用いる場合、96穴プレート、384穴プレートなどの小さな反応系で翻訳反応を行うことができ、また、本発明の合成装置によれば転写反応も小さな反応系で行うことができるので、転写反応・翻訳鋳型の精製、翻訳反応、所望によりさらに転写反応に供する転写鋳型作製のためのPCRを含む一連の無細胞蛋白質合成法の反応操作を、複数の反応系で複数種の蛋白質について同時に行うことができ、短時間に多数の蛋白質を合成することができる。
【0057】
さらに、本発明の無細胞タンパク質合成法に用いられる試薬の少なくとも1を含む合成キットは、本発明の無細胞タンパク質合成を簡便に提供できるので有用である。
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0059】
コムギ胚芽抽出液の調製
(1)コムギ胚芽の調製
北海道産チホクコムギ種子または愛媛産チクゴイズミ種子を1分間に100gの割合でミル(Fritsch社製:Rotor Speed Mill pulverisette14型)に添加し、回転数8,000rpmで種子を温和に粉砕した。篩いで発芽能を有する胚芽を含む画分(メッシュサイズ0.7〜1.00mm)を回収した後、四塩化炭素とシクロヘキサンの混合液(容量比=四塩化炭素:シクロヘキサン=2.4:1)を用いた浮選によって、発芽能を有する胚芽を含む浮上画分を回収し、室温乾燥によって有機溶媒を除去した後、室温送風によって混在する種皮等の不純物を除去して粗胚芽画分を得た。
次に、ベルト式色彩選別機BLM−300K(製造元:株式会社安西製作所、発売元:株式会社安西総業)を用いて、次の通り、色彩の違いを利用して粗胚芽画分から胚芽を選別した。この色彩選別機は、粗胚芽画分に光を照射する手段、粗胚芽画分からの反射光及び/又は透過光を検出する手段、検出値と基準値とを比較する手段、基準値より外れたもの又は基準値内のものを選別除去する手段を有する装置である。
色彩選別機のベージュ色のベルト上に粗胚芽画分を1000乃至5000粒/cm2となるように供給し、ベルト上の粗胚芽画分に蛍光灯で光を照射して反射光を検出した。ベルトの搬送速度は、50m/分とした。受光センサーとして、モノクロのCCDラインセンサー(2048画素)を用いた。
まず、胚芽より色の黒い成分(種皮等)を除去するために、胚芽の輝度と種皮の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。次いで、胚乳を選別するために、胚芽の輝度と胚乳の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。吸引は、搬送ベルト上方約1cm位置に設置した吸引ノズル30個(長さ1cm当たり吸引ノズル1個並べたもの)を用いて行った。
この方法を繰り返すことにより胚芽の純度(任意のサンプル1g当たりに含まれる胚芽の重量割合)が98%以上になるまで胚芽を選別した。
得られたコムギ胚芽画分を4℃の蒸留水に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄した。次いで、ノニデットP40(Nonidet:ナカライ・テクトニクス社製)の0.5容量%溶液に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄してコムギ胚芽を得た。回収した胚芽湿重量に対して2倍容量の抽出溶媒(80mM HEPES−KOH、pH7.8、200mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、8mMジチオスレイトール、4mM塩化カルシウム、各0.6mM20種類のL型アミノ酸、さらに2.5mM ATP)を加え、ワーリングブレンダーを用い、5,000〜20,000rpmで30秒間ずつ3回の胚芽の限定破砕を行った。
【0060】
(2)沈殿助剤を用いたS-30画分の調製
上記得られたホモゲネート(破砕物)に、20%重量の海砂あるいは膨潤させたセファデックスG25粒子を加え、混合した。海砂は、ホモゲネート添加前にあらかじめ以下の処理を行った:水洗→5容の0.1規定のNaOH又はKOH洗浄→水洗→0.1規定のHCl洗浄→水洗→100〜120℃の加熱によりRNase失活処理後、乾燥処理。
海砂を混合したホモゲネートを3万xg、30分で2回遠心、続いて12分間1回の遠心で、半透明な遠心上清を得た(S-30画分)。海砂あるいはセファデックス粒子を遠心前に加えない場合は、沈殿物の上部に不溶性スラリーが存在し、これが混入したS-30画分から調製した抽出液のタンパク質合成活性は低くなった。得られたS-30画分を、溶出溶液(40mM HEPES-KOH、pH7.8、200mM酢酸カリウム、10mM 酢酸マグネシウム、4mM DTT)で平衡化したセファデックスG25にかけ、ゲルろ過し、分子量1000ダルトン以下の低分子物質を排除した胚芽抽出液を調製した。
【0061】
(3)転写反応工程
転写反応は、37度で2.5時間インキュベートした。なお、転写反応液は以下の通りである。
1.PCR法によって増幅・合成したDNA鋳型を転写鋳型とした方法
転写反応液組成:75 μl の5x転写バッファー(400 mM HEPES, pH 7.6; 80 mM Magnesium acetate; 10 mM Spermidine; 50 mM DTT)、37.5 μl の25 mM 4NTPs、3.75 μl のRNAsin (80 Units)、25μlのPCR産物(GFP転写鋳型: pEU-E01-GFP(SP6 promoter-E01-GFP)を鋳型とし、プライマーは5'側と3'側の2本で、one-step PCR(30 cycles)により転写鋳型を構築した)、7.5 μl のSP6 polymerase (80 units)に水851.25μlを加え、総量1 mlとした。
2.プラスミドに導入して転写鋳型とした方法
転写反応液組成:300 μl の5x転写バッファー(400 mM HEPES, pH 7.6; 80 mM Magnesium acetate; 10 mM Spermidine; 50 mM DTT)、150 μl の25 mM 4NTPs、15 μl のRNAsin (1200 Units)、44 μlのpEU(GFP遺伝子クローンを含み、150 μg)、30 μl のSP6 polymerase (2400 units)に水461 μlを加え、総量1 mlとした。
なお、未精製mRNAを含む転写溶液は、転写反応後において操作を行わなかった。一方、精製mRNAを含む転写溶液は、転写反応後において、エタノール沈殿によりmRNAを沈殿し、上清を除去し、乾燥した。
【実施例2】
【0062】
繰り返し重層法及び繰り返し供給バッチ法によるタンパク質合成
1−1.プラスミドに導入して転写鋳型とした未精製mRNAを用いた繰り返し重層法によるタンパク質合成
6穴タイタープレート(TPP社製、スイス)を反応容器として用いた。先ず、220μgのcreatine kinaseを含む5.5mlの供給溶液(アミノ酸、ATP、GTP、 creatine-phosphate、イオン類、HEPES bufferを含む液)を入れ、0.5mlの反応溶液(230 μlの260A260nmの胚芽抽出液)、 250 μlの上記未精製mRNAを含む転写溶液、10 μg/μlのcreatine kinaseを2 μl(20μg)と18 μlの供給溶液を混合したもの)を注意深く静かにタイタープレートの底に加えた。反応は、26度、トウタルで10時間の静置で行った。合成反応5時間後に、ピペッティングにより供給相と反応相を混合した。混合後に分子量10000カットオフのAmicon Ultra濃縮膜(Millipore社製)を用いて、開始反応相の液量である0.5mlにまで濃縮を行った。濃縮後に、供給液5.5ml(creatine kinaseは含まない)を重層して、タンパク質合成を再開させて、さらに5時間合成した。
1−2.プラスミドに導入して転写鋳型とした未精製mRNAを用いた繰り返し濃縮供給バッチ法によるタンパク質合成
1−1と同じ容量の試験管(FALCON社製、USA:攪拌のために小型回転子を置いた)に、0.5mlの反応液を入れ、微速で小型回転子により攪拌しながら、ペリスタポンプを用いて5.5mlの供給液を1時間当たり1.2mlの速度(1.2ml/時)で反応液に連続的に供給した(供給総量5.5ml)。合成反応5時間後に、反応相への供給を停止した。停止後に分子量10000カットオフのAmicon Ultra濃縮膜(Millipore社製)を用いて、開始反応相の液量である0.5mlにまで濃縮を行った。濃縮後に、供給液5.5ml(creatine kinaseは含まない)を連続供給(1.2ml/時)して、タンパク質合成を再開させて、5時間合成した(図2:レーン5)。なお、反応液中のmRNAを50%とし、供給液に残りの50%のmRNAを含有させてタンパク質合成も行った(図2:レーン6)。
【0063】
2.タンパク質合成量測定
タンパク合成量は、以下のように14C標識ロイシンの酸不溶性画分への放射能の取り込みを測定することによって行った:反応液5マイクロリッターを3MMワットマン濾紙にスポットし、10%氷冷TCA(トリクロロ酢酸)に1時間浸した後、5%のTCA液中で10分間煮沸した。このフィルターを取り出しエタノール・エーテル(50:50容)でTCAと水分を除去し、乾燥後、液体シンチレーションカウンター(トルエンシンチレーター)で、熱TCA不溶画分へ取り込まれた放射能を計測した。
【0064】
図2は、繰り返し重層法、繰り返し供給バッチ法による高効率無細胞タンパク質合成結果を示すものである。両合成法とも、2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン2)によって1回反応合成(レーン1)に比べて合成量が増加していることが、GFP染色強度の増大から分かる(図に示した*印は胚芽由来の内因性タンパク質バンドで、これを内部標準として矢印の合成GFPバンドの染色強度の比較すればより確かな判定を得る)。精製したGFPを同様なゲル電気泳動によって分離、染色し、この染色強度を標準として、2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン2)で得た合成産物量をバンド染色強度からデンシトメーターを用いて測定したところ、1ml(合成開始時の下層の反応液)当たりの産物量は、繰り返し重層法では1.1mg、繰り返し供給バッチ法では1.2mgとなった。以上により、繰り返し重層法、繰り返し供給バッチ法は、従来の重層法及び繰り返しバッチ法として比較して有効である。
無細胞タンパク質合成反応における合成反応持続の律速因子として、翻訳鋳型であるmRNAの安定性を挙げることができる。RNA分子は、一般的にリボヌクレアーゼに対して感受性が高く、mRNAにおいても極微量の同酵素によって消化され、その翻訳鋳型活性を消失すると考えられる。これにより、mRNAの分解に伴う合成反応の低下現象は、合成反応が長時間になるほど強く影響される。よって、mRNAを供給液に含有させ、タンパク質合成量に与える効果を繰り返し供給バッチ法により検討した(図2:レーン5、6:mRNA量は同じ)。図2中の結果により、mRNAを供給液に含有してない2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン4の小矢印)よりも、mRNAを供給液に含有している2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン6の大矢印)のGFP合成量が高いことがバンドのCBB染色強度から分かる。1回合成反応(レーン1、3)においては、タンパク質合成量に有意な差は認められなかった。デンシトメーターによるバンド染色強度の測定から、mRNAを供給液に含有している2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン6の大矢印)が、mRNAを供給液に含有してない2回目の合成反応(繰り返し回数1回:レーン4の小矢印)に比べて1.3倍のタンパク質合成量を得た(すなわち、1ml(合成開始時の下層の反応液)当たりの産物量は1.5mgとなる)。
以上により、繰り返し重層法及び繰り返し供給バッチ法において、mRNAを含有させた供給液を用いることによって、基質及びエネルギー源分子の供給と副生成物の希釈に加えた、mRNAの供給をはかることによって、反応液中で分解され濃度低下したmRNAを補充することによって、タンパク質合成量の効率化を実現することができる。
【実施例3】
【0065】
PCR法によって増幅・合成したDNA鋳型とプラスミドを用いた転写鋳型によるタンパク質合成効率の比較
1.転写鋳型
実施例1の転写反応工程に記載の2つの方法(PCR法によって増幅・合成したDNA鋳型を転写鋳型とした方法又はプラスミドに導入して転写鋳型とした方法)により転写鋳型を作製した。なお、両方ともに、転写反応後の転写溶液中mRNAの精製を行わなかった。
2.繰り返し重層法
実施例2と同様な方法により繰り返し重層法を行った。なお、繰り返し回数は3回である(合成反応は4回となる)。
【0066】
図3が示すように、反応回数4回までGFP合成が持続することが、ポリアクリルアミド未変性ゲル電気泳動上のCBB染色GFPバンド(図3中:矢印)の染色強度の増大から確認できた(図3中:レーン5、9)。合成反応開始前には、GFPバンドが存在しない(図3中:1レーン)。また、PCRからの転写物を用いたタンパク質合成方法は、図3中のPCRとプラスミド泳動ゲル上のGFP染色強度の比較から、プラスミドを転写鋳型として得た転写溶液を用いるタンパク質合成方法と同等以上のGFP合成効率を示すことがわかった。反応回数4回目までの繰り返し重層法によって得られたGFP合成量は、電気泳動ゲル上の染色バンド強度を標準GFPバンドとの比較から、合成反応開始時の反応液1ml当たり、約1.8mgであった(泳動に用いた各レーンの試料容量は、反応開始時の反応溶液の0.167μl相当である。従って、標準GFP0.3μgと同様の染色強度を示すバンドのGFP量は、0.3/0.167μl=1.78mg/mlとなる)。
以上により、繰り返し重層法では、PCRからの転写物を用いて合成したmRNAを転写溶液から精製することなくタンパク質を高効率で合成することが可能であることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る上記無細胞タンパク質合成方法は、半透膜を利用した限外ろ過膜法や透析膜法、さらに樹脂に翻訳鋳型を固定化したカラムクロマト法等の複雑な手法を用いることなく、従来からの無細胞タンパク質合成系に合成反応の効率化技術をそれぞれ導入することによって、いずれの手段によっても、組織・細胞抽出物を利用する無細胞系におけるタンパク質の合成を高効率で行うことが可能であることを示した。
上記本発明に係る無細胞タンパク質合成方法は、従来行われていた膜を用いる連続式無細胞タンパク質合成法に見られる膜の材質強度の低さ、目詰まりによる膜機能の低下、および操作の煩雑性等の欠点を持たず、そのため従来法と比較して格段に高い効率でタンパク質合成を行うことができる。従って、上記本発明に係る技術は今後のゲノムプロジェクト完了と共にもたらされる膨大な数の遺伝子についての機能解析や構造解析の基盤となる遺伝子産物(タンパク質)生産の自動化に向けた基本要素技術となろう。特に、多検体用全自動無細胞タンパク質合成ロボット開発等、無細胞タンパク質合成システムの自動化に向けた要素技術として不可欠であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、繰り返し重層法(A)、繰り返し供給バッチ法(B)の原理を示したものである。
【図2】図2は、繰り返し重層法、繰り返し供給バッチ法による高効率無細胞タンパク質合成結果を示すものである。
【図3】図3は、PCR法によって増幅・合成したDNA鋳型とプラスミドを用いた転写鋳型によるタンパク質合成効率を比較したものである。
【出願人】 【識別番号】503094117
【氏名又は名称】株式会社セルフリーサイエンス
【出願日】 平成16年11月12日(2004.11.12)
【代理人】 【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆

【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子


【公開番号】 特開2008−29204(P2008−29204A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2004−329798(P2004−329798)