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カロテノイドの精製方法 - 特開2008−17736 | j-tokkyo
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【発明の名称】 カロテノイドの精製方法
【発明者】 【氏名】井出 輝彦

【氏名】田中 亨

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物に対し、有機溶媒を用いて抽出した後、前記有機溶媒とは相溶性のない有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、カロテノイド類の精製方法。
【請求項2】
カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物を、極性有機溶媒を用いて抽出した後、脂溶性有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、請求項1記載のカロテノイド類の精製方法。
【請求項3】
脂溶性有機溶媒により再抽出する際に、脂溶性有機溶媒と食塩水溶液とで分配抽出する、請求項2記載のカロテノイド類の精製方法。
【請求項4】
カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物を、脂溶性有機溶媒を用いて抽出した後、極性有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、請求項1記載のカロテノイド類の精製方法。
【請求項5】
カロテノイド類がアスタキサンチンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
カロテノイド生産微生物がパラコッカス属細菌であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カロテノイド類を含有する動植物もしくは微生物の破砕により得られるカロテノイド含有物、または、有機溶媒を介して得られるカロテノイド含有物から、原料特有の臭気と侠雑物を除去し、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品業界において着色、抗酸化物質等の目的で広く利用することができる、高純度のカロテノイド類の精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、アドニキサンチン、β−カロテン等のカロテノイド類は天然物由来の色素として食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に添加され利用されている。あるいは、抗酸化機能が注目され抗酸化物質としても広く利用されている。
【0003】
カロテノイド類は、植物、動物、微生物に広く分布し、天然において数百種類存在すると報告されている(例えば、非特許文献1参照)。植物からはゼアキサンチンやβ−カロテン、藻類からはアスタキサンチン等のカロテノイドの存在が報告され、抽出、精製され利用されている。
【0004】
しかしながら、植物や藻類からカロテノイド類を抽出、製造する場合、破砕等の煩雑な工程を経て行われ、さらに、破砕によりカロテノイド類と分離し難い細胞成分の混入の問題があり、高純度なカロテノイド類を製造することを困難としていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−140695号公報
【特許文献2】特開2004−41147号公報
【非特許文献1】Eric A. Johnson and William A.Schroeder, Microbial carotenoids, Adbances in Biochemical Engineering, Vol53, p119−178, 1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カロテノイド類の簡便な抽出、精製方法を提供することを目的とする。また、本発明は精製カロテノイド類、特に、純度の高いアスタキサンチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、カロテノイド類を生産する細菌であるパラコッカス属に属する細菌において、細胞を破砕することなく有機溶媒を介して抽出、精製する方法である。すなわち、本発明は以下に関するものである。
【0008】
本発明は、カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物に対し、有機溶媒を用いて抽出した後、前記有機溶媒とは相溶性のない有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、カロテノイド類の精製方法である。
【0009】
また本発明は、カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物を、極性有機溶媒を用いて抽出した後、脂溶性有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、上記記載のカロテノイド類の精製方法である。
【0010】
また本発明は、脂溶性有機溶媒により再抽出する際に、脂溶性有機溶媒と食塩水溶液とで分配抽出する、上記記載のカロテノイド類の精製方法である。
【0011】
また本発明は、カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物を、脂溶性有機溶媒を用いて抽出した後、極性有機溶媒により再抽出し、当該再抽出物をクロマトグラフィーにより精製する、上記記載のカロテノイド類の精製方法である。
【0012】
また本発明は、カロテノイド類がアスタキサンチンである上記記載のカロテノイド類の精製方法である。
【0013】
また本発明は、カロテノイド生産微生物がパラコッカス(Paracoccus)属細菌である上記記載のカロテノイド類の精製方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明において、カロテノイド生産微生物はカロテノイド類を生産する微生物であればよく、カロテノイドを生産する微生物としてはChlorobium属細菌、Synechococcus属細菌、Myxococcus属細菌、Stigmatella属細菌、Sorangium属細菌、Chondromyces属細菌、Bradyrhizobium属細菌、Pseudomonas属細菌、Xanthomonas属細菌、Spirochaeta属細菌、Flavobacterium属細菌、Flexibacter属細菌、Cytophaga属細菌、Saprospira属細菌、Deinococcus属細菌、Streptomyces属細菌、Nocardia属細菌、Corynebacterium属細菌、Brevibacterium属細菌、Mycobacterium属細菌、Micrococcus属細菌、Bacillus属細菌、Staphyrococcus属細菌、Sarcina属細菌、Enterocccus属細菌、Halobacterium属細菌を例示することができる。
【0016】
本発明の対象となるカロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物としては、パラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌を例示することができる。パラコッカスに属する細菌はカロテノイド類を高含量に蓄積することが知られるからである。さらに、本発明においてはパラコッカス属に属する細菌であるTSN18E7株を例示することができる(特開2005−58216号公報)。
【0017】
本発明において、好適にはカロテノイド類を高含量で細胞内に蓄積する微生物である。含量はカロテノイド類を生産する微生物を、凍結乾燥法、スプレー乾燥法等の周知の方法により乾燥し、乾燥菌体重量を測定し、乾燥菌体中に含まれるカロテノイド類から算出することができる。乾燥菌体中に含まれるカロテノイド類含量は1重量%以上が好ましい。カロテノイド類含量が1重量%以下の低い含量の場合は、前処理として公知の方法、例えば、超臨界流体抽出法、限外ろ過膜濃縮法、その他の一般的な方法でカロテノイド類含量を1重量%以上に濃縮されたものが抽出・精製対象物として採用することができる。
【0018】
本発明の方法で使用された微生物は、従来方法として知られている栄養培地中で培養することができる。なお、本発明に用いる培地としては、微生物が増殖しカロテノイドを生産しうるものであればいずれを使用してもよく、炭素源には廃糖蜜、グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、デンプン、乳糖、グリセロール、酢酸などが、窒素源にはコーンスティープリカー、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、大豆粕等の天然成分や酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩等やグルタミン酸、アスバラギン酸、グリシン等のアミノ酸類が、無機塩にはリン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸1カリウム、リン酸2カリウム等のリン酸塩や塩化ナトリウムなどが、金属イオンには塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、塩化カルシウム2水和物、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化銅、硫酸マンガン、塩化マンガンなどが、ビタミン類として酵母エキスやビオチン、ニコチン酸、チアミン、リボフラビン、イノシトール、ビリドキシン等が使用できる。
【0019】
培養工程で使用される菌株は、公知方法に従って、画線培養プレート(ストリークプレート)から醗酵容器に移すことができる。好適な方法は、寒天平板培地、斜面寒天培地およびフラスコ培養液を用いた方法である。
【0020】
本発明のアスタキサンチン等のカロテノイドを製造せしめる条件での新規微生物の培養の条件については、いずれの一般方法を用いて実施してもよい。本方法の好適な実施態様としては、培養は培養液中で行うことが好ましい。この液内培養に関しては通常に液内培養で用いられる条件を使用してもよい。好適には、培養温度を10〜35℃に、培地のpHを6〜9の範囲に設定し、20〜200時間醗酵させるのが好ましい。培養温度については培養初期、中期、後期に区別してそれぞれの段階で温度を変えてもよい。本発明の栄養培地を使用した好適な条件は、培養温度が20〜27℃、pHが約7.0、培養時間が50〜150時間である。
【0021】
本発明において、培養終了後のカロテノイド類生産微生物の集菌は、発酵槽中の培養液のろ過、デカンテーション、遠心分離操作等による濃縮方法を例示することができるが、これらに限定されない。濃縮菌体は、そのまま用いても良いが、菌体を膨潤させた方が好ましい。菌体を膨潤させるためには濃縮菌体に水およびDMFを添加する方法を例示することができる。
【0022】
本発明において、上記のカロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物に対し、極性有機溶媒又は脂溶性有機溶媒を用いて、細胞を破砕することなく抽出する。
【0023】
本発明において用いられる極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロフォルム、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド等が挙げられる。好適にはアセトンを例示することができるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明において用いられる脂溶性有機溶媒としては、前記有機溶媒とは相溶性のない有機溶媒であり、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。好適には酢酸エチルを例示することができるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明は、カロテノイド類を含有するカロテノイド生産微生物に対し、有機溶媒を用いて抽出した後、前記有機溶媒とは相溶性のない有機溶媒により再抽出するものであり、極性有機溶媒を用いて抽出した後、脂溶性有機溶媒により再抽出してもよいし、脂溶性有機溶媒を用いて抽出した後、極性有機溶媒により再抽出してもよく、これらの内、極性有機溶媒を用いて抽出した後、極性溶媒抽出液に対し、脂溶性有機溶媒により再抽出ことが好ましい。これらの再抽出により、微生物由来の極性成分を大幅に除くことができるからである。また、これらの抽出、再抽出処理は、処理対象となるカロテノイド色素含有物により適宜選択される。
【0026】
さらに、脂溶性有機溶媒により再抽出する際に、脂溶性有機溶媒と食塩等の塩を含む水溶液との分配抽出を施すことが好ましい。不純物に含まれる酸やアルカリを効率よく除去することができるからである。
【0027】
本発明において、さらに、カロテノイド類を高純度に精製するには、カロテノイド類を含む調製物をクロマトグラフィーに供することにより、精密に夾雑成分から分離する方法を例示することができる。クロマトグラフィーとしてはカロテノイド類と夾雑成分の物性の違いを区別、利用できるものであれば良く、好適には液体クロマトグラフィーであり、液体クロマトグラフィーの分画原理として親和性、イオン交換、疎水性相互作用、分子篩、分配等を例示することができる。好ましくは分配クロマトグラフィーであり、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィーを例示することができる。
【0028】
さらには、移動層式クロマトグラフィーを利用することにより、固定層式クロマトグラフィーに比べて工業レベルにおける大量分離、精製が容易となる。
【0029】
以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカロテノイド類の精製方法により、食品または飼料として有用なアスタキサンチンをはじめとするカロテノイド類を工業規模において高純度に製造することが可能となる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)カロテノイド生産微生物の培養
カロテノイド類を生産する微生物であるパラコッカス属細菌TSN18E7株を、特開2005−58216号公報に開示されている方法に従って培養した。すなわち、表1に示した組成の培地300mlを500ml容バッフル付三角フラスコに入れ、121℃、20分間で滅菌後、TSN18E7株を植菌し、25℃で1日間、毎分100回転の振とう速度にて培養を行った。次いで、表2に示した組成の培地100mlを500ml容のバッフル付三角フラスコに入れ、121℃、20分間で滅菌し、上記培養液5mlを植菌後、25℃で約18時間、毎分100回転の振とう速度にて培養を行った。
【0033】
さらに、表3に示す組成の培地約2.3Lを5Lの発酵槽に入れ、121℃、20分間で滅菌後、得られた上記培養液125mlを添加し、約144時間培養した。発酵槽における培養条件は、温度が22℃、pH7.0〜7.2、溶存酸素は飽和濃度の2%の濃度となるように攪拌により制御、通気は空気をフィルターを介して1VVMにて供給することによって行った。pHの制御はアルカリとして15%アンモニア水、酸として2Nの塩酸を使用した。また、グルコースは50%濃度を使用して15%アンモニア水を発酵槽に供給する送液ポンプと連動することにより供給した。培養終了後、連続遠心機(Carl Padberg社製、CEPA7630型)に培養液を毎分100ml送液することにより培養液から菌体を分離した。
【0034】
【表1】


【0035】
【表2】


【0036】
【表3】


(実施例2)カロテノイド生産微生物の調製
実施例1の操作から得られた菌体を凍結乾燥し、カロテノイド類を抽出するカロテノイド含有菌体を調製した。凍結乾燥は東京理化器械社製のFD81機により行った。実施例1のカロテノイド生産微生物の培養を5回繰り返し、乾燥菌体約110g得た。乾燥菌体の一部からHPLC法(特開2005−58216号公報参照)によりカロテノイド量を定量したところ、乾燥菌体には1.8重量%のカロテノイド類が含有されていた。
【0037】
(実施例3)カロテノイド類粗抽出物の調製
カロテノイド含有菌体100gに対してアセトン2Lを加え30分間攪拌抽出を行い、抽出液を濾紙濾過により菌体と分離した。さらに、残った菌体残渣に再びアセトン1Lを加え30分間攪拌抽出後、抽出液を濾紙濾過する工程を2回繰り返した。得られたアセトン抽出液のHPLC分析パターンを図1に示す。得られたアセトン抽出液4Lを合わせて100ml程度まで減圧濃縮後、酢酸エチルと食塩水溶液にて分配抽出した。酢酸エチル層を分取して無水硫酸ナトリウムにて脱水した後、溶媒を減圧留去してカロテノイド類粗抽出物830mgを得た。
【0038】
(実施例4)アスタキサンチンの精製
実施例3の操作で得られた粗抽出物をなるべく少量のクロロフォルムに溶解し、展開溶媒にヘキサン:アセトン=4:1または3:1の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。クロマトグラフィーにより分離された各フラクションの成分組成を薄層クロマトグラフィー(MERCK社製、シリカゲル60)により確認した。このフラクションの内アスタキサンチンが高純度に含まれるフラクションを集めて溶媒を減圧留去、乾燥し、精製アスタキサンチン粉末490mgを得た。得られた精製アスタキサンチン粉末をアセトン、クロロフォルム混合溶媒に溶解しHPLCにて成分組成を確認した結果、純度98%以上であった。このときのHPLC分析パターンを図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】アセトン抽出液におけるアスタキサンチン純度を示すHPLCチャートであり、図中、X軸(横軸)は保持時間(単位は分)を示し、Y軸(縦軸)HPLCピーク強度(単位は任意強度)を示す。
【0040】
【図2】精製アスタキサンチンの純度を示すHPLCチャートであり、図中、X軸(横軸)は保持時間(単位は分)を示し、Y軸(縦軸)HPLCピーク強度(単位は任意強度)を示す。
【符号の説明】
【0041】
1:アスタキサンチンのピーク
【出願人】 【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−17736(P2008−17736A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190494(P2006−190494)