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【発明の名称】 ナタデココシートの製造方法
【発明者】 【氏名】瀬川 幸秀

【氏名】野口 誠

【氏名】有福 一郎

【要約】 【課題】微生物汚染を防止し、省スペース化と製造工程の短縮を目的とした、新規なナタデココの製造方法の提供を目的とする。

【構成】種培養工程を撹拌培養とすることにより、種培養工程の微生物汚染を防止し、作業スペースを節約する。種培地中に生じるセルロース塊は、1)種培地の濾過、2)セルラーゼを含む種培地を用いて種培養を行う、3)種培養終了後、種培地にセルラーゼを添加する、のいずれかの手段によって除去する。種培地中のセルロース塊を除去することにより、本培養培地にセルロース塊が混入することを防ぎ、ナタデココシート表面を滑らかにすることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程後の種培地を濾過することにより、長径軸150μm以上のセルロース塊を除去する濾過工程と、
前記濾過工程後の種培地の一部を本培養培地に接種して静置培養する濾過後本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。
【請求項2】
前記種培養工程おいて、酢酸菌濃度を5×107個/mL以上とする請求項1に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項3】
前記種培養工程の時間が24時間以上96時間以下である請求項1又は2に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項4】
セルロース産生能を有する酢酸菌を、セルラーゼを添加した培地を用い撹拌培養によって種培養するセルラーゼ添加種培養工程と、
前記セルラーゼ添加種培養工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。
【請求項5】
前記セルラーゼ添加種培養工程におけるセルラーゼ濃度が200u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲である請求項4に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項6】
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程終了後、セルラーゼを種培地に添加し、セルロース塊を分解するセルロース分解工程と、
前記セルロース分解工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。
【請求項7】
前記セルロース分解工程におけるセルラーゼ濃度が300u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲である請求項6に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項8】
前記セルラーゼ添加種培養工程及び前記種培養工程おいて、酢酸菌濃度をそれぞれ108個/mL以上及び5×107個/mL以上とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項9】
前記セルラーゼ添加種培養工程又は前記種培養工程の時間が24時間以上96時間以下である請求項4乃至8のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項10】
前記本培養工程において、本培養培地に接種する種培地の液量及び/又はセルラーゼ濃度によって本培養工程終了時のシートの硬さを調整する請求項4乃至9のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
【請求項11】
前記本培養工程前に、種培地からセルラーゼを除去するセルラーゼ除去工程をさらに有する請求項4乃至9のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌培養による種培養と、静置培養による本培養とを組み合わせた新規なナタデココシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物が産生するセルロース繊維(以下「バイオセルロース」という)は、Acetobacter属、Gluconacetobacter属、Agrobacterium属、Rhizobium属等の細菌が生産するセルロースであり、D-グルコースがβ-1,4結合によって直鎖状に連なった構造の繊維状高分子である。バイオセルロースは、植物セルロースと比較すると1/100〜1/1000程度の極めて微細な繊維による網目構造を有するため、高弾性、高保水性及び乳化安定化作用を有している。
【0003】
酢酸菌のようなセルロース産生微生物は、細胞が厚いセルロース薄膜中で絡み合うことが多く、1つの接種原から他の接種原に移すことが一般的には困難であることが知られている。
【0004】
そこで、バイオセルロースの製造方法として、グルコースを炭素原としてグルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を破壊した酢酸菌を使用することが、特許文献1に開示されている。
【0005】
また、酢酸菌を用いた酢酸発酵において、培地にセルラーゼを添加することが、特許文献2に開示されている。
【0006】
また、バイオセルロースの大量生産において、セルロース産生微生物の培養時にセルラーゼを用いて生産量を増大させる方法が、特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2003−339392号公報
【特許文献2】特開平8−291103号公報
【特許文献3】特開昭63−74490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、ナタデココは、バイオセルロースを利用した代表的な食品であり、ココナッツの果肉を粉砕及び濾過してココナッツミルクとし、これに水、砂糖を加え、さらにAcetobactor属、Gluconacetobacter属等の酢酸菌を接種して発酵させることにより製造される。
【0008】
現在、ナタデココの一般的な製造方法では、酢酸菌の種培養は、トレー内での静置培養(平面培養)によって行われているが、酢酸菌は好気性菌であることから、液面付近で菌の増殖が起こる。このため、酢酸菌を大量培養するためには、種培養時に培地表面積(すなわち、トレー面積)を比例的に増大させる必要があり、生産効率が悪くなる。
【0009】
また、トレー内での静置培養は、完全密閉下の培養ではないため、培地表面積が増大するほど微生物汚染の確率も高くなってしまう。種培養で微生物汚染が発生すると、汚染された種培地を接種したすべての本培地に微生物汚染するため、種培養における微生物汚染の防止は、ナタデココの製造方法において重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来のナタデココの製造方法における本培養工程の概略を、図6を参照しながら説明する。まず、トレー内に本培養培地を注入し、酢酸菌の種菌を接種する(図6(a))。静置培養を継続すると、3日目位に培養液の液面にセルロース膜(菌膜)が形成される(図6(b))。その後、液面付近ではセルロースが継続して産生されるため、セルロース膜は次第に厚みを増し、10日目位には約15〜20mmの厚みになる(図6(c))。培地成分が変化するために、酢酸菌の生育はその段階で停止する。
【0011】
本発明者等は、ナタデココの製造において、酢酸菌の種培養を撹拌培養で行うことを試み、種培養後の種培地の一部を本培養培地に移し、その後は図6と同様、トレー内で静置培養した。ところが、本培養終了時にできあがったナタデココシートは、図6(c)で「凹凸発生箇所」と表示した位置(すなわち、ナタデココシートの下面)に著しい凹凸を生じ、市販製品用に加工することができない状態となった。
【0012】
そこで、本発明者等は、種培養を撹拌培養とした場合に、ナタデココシート表面に大きな凹凸が発生する原因について検討した。その結果、種培養を撹拌培養とすると、培養液中に酢酸菌が産生したセルロースの塊が発生し、このセルロース塊が本培養培地に混入することが原因であることを解明した。
【0013】
さらに、種培養後の培地から、一定の大きさのセルロース塊を除去した上で本培養培地に接種すれば、静置培養のみによって製造されるナタデココシートと同様に、表面を平滑にすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
具体的に、本願第一発明は、
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程後の種培地を濾過することにより、長径軸150μm以上のセルロース塊を除去する濾過工程と、
前記濾過工程後の種培地の一部を本培養培地に接種して静置培養する濾過後本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項1)。
【0015】
濾過によって除去するセルロース塊の長径軸は、150μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、63μm以上であることがよりさらに好ましい。
【0016】
また、本願第二発明は、
セルロース産生能を有する酢酸菌を、セルラーゼを添加した培地を用い撹拌培養によって種培養するセルラーゼ添加種培養工程と、
前記セルラーゼ添加種培養工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項4)。
【0017】
前記セルラーゼ添加種培養工程におけるセルラーゼ濃度は、200u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲であることが好ましい(請求項5)。
【0018】
培地にセルラーゼを200u/mL以上の濃度範囲で添加して種培養することによって、種培地中のセルロース塊形成を防止することが可能である。一方、セルラーゼ濃度を高くすれば製造コストが上昇するため2000u/mL以下にすることが好ましく、実用的には600u/mL以下にすることが好ましい。
【0019】
また、本願第三発明は、
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程終了後、セルラーゼを種培地に添加し、セルロース塊を除去するセルロース分解工程と、
前記セルロース分解工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項6)。
【0020】
前記セルロース分解工程におけるセルラーゼ濃度は、300u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲であることが好ましい(請求項7)。
【0021】
種培養が終了した段階で、種培地にセルラーゼを添加することによっても、種培地中のセルロース塊を分解し、除去することが可能である。例えば、30℃、2時間程度でセルロースを十分に分解するためには、培地中のセルラーゼ濃度を最低300u/mLにする必要がある。
【0022】
一方、セルラーゼ濃度を高くすればより短時間でセルロース塊を分解することが可能となるが、製造コストが上昇する。このため、前記セルロース分解工程におけるセルラーゼ濃度は、2000u/mL以下にすることが好ましく、実用的には600u/mL以下にすることが好ましい。
【0023】
なお、本願第二発明及び第三発明では、それぞれ培地に最低200u/mL及び300u/mLの濃度でセルラーゼを添加するが、このセルラーゼ濃度は特許文献3に開示されるバイオセルロースの製造方法における至適濃度とされている約0.000375u/mL〜約0.015u/mLと比較して、1万倍以上の差異がある。
【0024】
種培養工程及びセルラーゼ添加種培養工程においては、酢酸菌濃度をそれぞれ5×107個/mL以上及び108個/mL以上とすることが好ましい(請求項2,8)。種培養を静置培養によって行う通常のナタデココ製造方法では、酢酸菌濃度を107個/mL以上とすることは困難であるが、種培養を撹拌培養によって行う本願発明では、セルラーゼを種培地に添加する場合には108個/mL以上、セルラーゼを種培地に添加しない場合には5×107個/mL以上とすることが可能だからである。
【0025】
種培養工程及びセルラーゼ添加種培養工程の時間は、24時間以上96時間以下であることが好ましい(請求項3,9)。24時間未満では酢酸菌濃度を、それぞれ5×107個/mL及び108個/mL以上とすることが困難であり、一方、96時間を超えると酢酸菌濃度が飽和状態となるためである。なお、種培養工程及びセルラーゼ添加種培養工程の時間は、36時間以上84時間以下であることがより好ましく、48時間以上72時間以下であることがさらにより好ましい。
【0026】
本培養工程においては、本培養培地に接種する種培地の液量及び/又はセルラーゼ濃度によって本培養工程終了時のシートの硬さを調整することが可能である(請求項10)。例えば、種培地のセルラーゼ濃度を高くし、本培養培地に接種する種培地量も多くすれば、本培養培地中のセルラーゼ濃度が最も高くなるため、本培養終了時のナタデココシートを最も柔らかくすることができる。
【0027】
逆に、種培地のセルラーゼ濃度を低くし、本培養培地に接種する種培地量も少なくすれば、本培養培地中のセルラーゼ濃度が最も低くなるため、本培養終了時のナタデココシートを通常のナタデココシート(種培養も静置培養で行う通常の製造方法によって製造されたナタデココシート)と同様の硬さにすることができる。
【0028】
本培養工程前に、種培地からセルラーゼを除去するセルラーゼ除去工程をさらに有してもよい(請求項11)。セルラーゼ添加種培養工程又はセルロース分解工程において、種培地にセルラーゼを多量に添加した場合、そのままセルラーゼを高濃度に含む種培地の一部を本培養工程に接種すると、ナタデココシートが柔らかくなりすぎる。このため、種培地を遠心分離し、沈殿した菌体を、セルラーゼを含まない種培地によって回収する等の手段を用いて、本培養培地へと接種する種培地からセルラーゼを除去するセルラーゼ除去工程を任意に有してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明のナタデココシートの製造方法は、酢酸菌の種培養終了時の菌体濃度が、通常の静置培養法と比較して約100倍にすることも可能であるため、本培養培地に接種する種菌培地の接種量を、本願第一発明では約1/10、本願第二発明及び本願第三発明では約1/100に減少することができる。また、静置培養法では4〜5日である種培養を、2〜3日に短縮することもできる。
【0030】
また、静置培養では種培地1000L当たり約20m2の培養表面積が必要とされるが、本発明のナタデココシートの製造方法では容量1,000Lの培養タンク1基で足りる。そして、種培養中の微生物汚染の危険性も低い。
【0031】
さらに、本願第二発明及び第三発明のナタデココシートの製造方法では、ナタデココシートの硬さを任意に調整することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらに限定されない。
【0033】
まず、本発明のナタデココシートの製造方法の概略フローチャートを、図1に示す。
(本願第一発明)
図1(a)に示す第一発明では、ステップS1として、種培養を撹拌培養によって行う(種培養工程)。この種培地は、基本的にはセルラーゼを含まないが、種培地中のセルロース塊を分解するには不十分な低濃度でセルラーゼを含む場合も、第一発明に包含される。
【0034】
次に、ステップS2として、種培養工程後の種培地を、ステンレス製篩、濾紙等を用いて濾過し、セルロース塊を除去する(濾過工程)。このとき、除去するセルロース塊の長径軸は、150μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、63μm以上であることがさらにより好ましい。
【0035】
次に、ステップS3として、濾過処理した種培地の一部を本培養培地に接種し、静置培養する(濾過後本培養工程)。本培養培地に接種する種培地量は、酢酸菌濃度が108個/mL程度であれば、本培養培地の体積の1/2000〜1/100程度が適当であり、これは後述する本願第二発明及び本願第三発明についても同様である。
【0036】
なお、ステップS3における酢酸菌初濃度は、103個以上106個/mL以下であることが好ましく、104個以上105個/mL以下であることがさらに好ましい。これは、後述するステップS12及びステップS23についても同様である。
【0037】
(本願第二発明)
図1(b)に示す第二発明では、ステップS10として、200u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲でセルラーゼを含む培地を用いて、種培養を撹拌培養によって行う(セルラーゼ添加種培養工程)。
【0038】
次に、ステップS12として、ステップS10終了後、種培地の一部を本培養培地に接種し、静置培養する(本培養工程)。
【0039】
なお、ステップS12終了時に通常のナタデココシートと同等の硬さが必要な場合、ステップS11として、本培養培地に接種する種培地からセルラーゼを除去する工程を有してもよい(セルラーゼ除去工程)。セルラーゼを除去する手段としては、遠心分離、膜濾過等を採用することができる。
【0040】
(本願第三発明)
図1(c)に示す第三発明では、第一発明と同様、ステップS20として、種培養を撹拌培養によって行う(種培養工程)。この種培地も、セルラーゼを含まない。
【0041】
次に、ステップS21として、ステップS20終了後の種培地に、300u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲でセルラーゼを添加し、種培地中に存在するセルロース塊を分解する(セルロース分解工程)。このように、セルラーゼを種培養終了後に添加しても、種培地にはじめからセルラーゼを添加する場合と同様、セルロース塊を分解及び除去することが可能であるが、ステップS10と比較してセルラーゼ濃度を高くしないと、セルロース分解に長時間を要する場合がある。
【0042】
次に、ステップS23として、ステップS21終了後の種培地の一部を、本培養培地に接種し、静置培養する(本培養工程)。
【0043】
なお、種培地にセルラーゼを添加した場合であり、しかもステップS23終了時に通常のナタデココシートと同等の硬さが必要な場合、ステップS22として、ステップS11と同様、本培養培地に接種する種培地からセルラーゼを除去する工程を有してもよい(セルラーゼ除去工程)。セルラーゼを除去する手段は、ステップS11と同じである。ステップS22のセルラーゼ濃度は、ステップS11のセルラーゼ濃度よりも高く設定されるため、本願第三発明ではステップS23の前にステップS22を行うことが好ましい。
【0044】
<培養条件の検討>
次に、本発明のナタデココシートの製造方法における、好ましい培養条件等について説明する。なお、本発明のナタデココシートの製造方法においては、使用する酢酸菌は、バクテリアセルロースを産生することができるものであれば、特に限定されない。例えば、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)等のAcetobacter属、グルコンアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)等のGluconacetobacter属の菌種を使用することができる。
【0045】
1)種培地pH
まず、撹拌培養による種培養について、種培地の初発pHの至適範囲について検討した。BSH(Blastocidin S Hydrochloride)培地(酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、グルコース3%、クエン酸0.115%、リン酸二水素ナトリウム0.27%、マンニトール0.5%、エタノール0.5%)のpHを4.00〜5.02に調整し、セルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、300u/mLの濃度となるように調整した試験培地(No.1〜No.4)を準備した。試験培地は、それぞれ100mL三角フラスコに50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)を接種した後、30.5℃で撹拌培養を行った。
【0046】
撹拌培養は、振とう器(Bw-100、yamato製)を用いて、振幅125mpaという条件で行った。そして、1日おきに培地pHと、培地中のグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を計測した。その結果を、表1に示す。なお、菌数の単位は個/mLであり、塗抹平板培養法を用いて計測した。
【0047】
【表1】



【0048】
各試験培地のpHは、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数が増加するにつれて経時的に低下した。初発pHが4.5未満である試験培地No.1及びNo.2では、3日間の種培養終了時に菌数が108個/mLに到達しなかったが、初発pHが4.5以上である試験培地No.3及びNo.4では、菌数が安定して108個/mLに到達した。
【0049】
同様の実験を、セルラーゼを添加しないBSH培地及び後述する表3に示す培地についても行った。その結果、初発pH4.5未満では3日間の種培養終了時に菌数が5×107個/mLに到達せず、pH4.5以上の場合にのみ3日間の種培養終了時の菌数が5×107個/mLに到達した。このため、グルコンアセトバクター・キシリナスの種培養を撹拌培養によって行う場合、培地の組成にかかわらず、初発pHを4.5以上に調整しておくことが好ましいと判明した。
【0050】
一方、種培地のpHが6を超えるとセルラーゼ酵素の活性が半減するため、セルラーゼ酵素を種培地に添加する場合には、種培地の初発pHを5.5以下に調整することが好ましい。ただし、3日間の種培養終了時に菌数が106個/mL程度でもよい場合には、種培地のpHは3〜7の範囲に調整すれば足りる。
【0051】
同じ種培地(pH4.5)を用いて、種培養を培養トレー内で3日間静置培養した場合、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数は、5×106個/mL程度にまでしか増加しなかった。このように、種培養を撹拌培養とすることで、種培養終了時のグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を、静置培養と比較して約100倍増加させることができた。
【0052】
なお、いずれの培地を使用する場合でも、種培養時の温度は、20℃〜40℃であることが好ましく、25℃〜35℃であることがより好ましい。
【0053】
2)濾過により除去すべきセルロース塊の最大長
次に、本願第一発明において、種培養後の培地中に形成されたセルロース塊について、どの程度の大きさ(長径軸)の塊を濾過工程で除去すればよいか検討した。
【0054】
pH5.0付近に調整したBSH培地にグルコンアセトバクター・キシリナスを接種し、100mL三角フラスコ3本に50mLずつ採取した後、上述した条件で30.5℃で2日撹拌培養した。撹拌培養終了後、全ての三角フラスコ内の種培地を集め、平均孔経5μm〜500μmのステンレス製篩等を用いて濾過し、セルロース塊を除去した(濾過工程)。
【0055】
表2に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、本培養培地を調製した(pH4.0に調整)。この本培養培地に対して、濾過後の種培地を10容量%添加し、培養トレーとして使用した 市販ポリプロピレン製トレー(187mm×260mm×85mm)に種培地添加後の本培養培地を1200mL注入した。そして、温度30℃、湿度70〜80%という条件で10日間静置培養した(濾過後本培養工程)。
【0056】
【表2】


【0057】
まず、平均孔径5μmの濾紙を用いて種培地を濾過したところ、セルロース塊をほぼ完全に除去することができたが、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数が1/10000以下に減少した。一方、平均孔径250μm以上のステンレス製篩では、比較的大きなセルロース塊が本培養培地に混入するため、静置培養終了後のナタデココシート表面に肉眼ではっきり確認できる凹凸が生じた。
【0058】
様々な平均孔径(5μm、20μm、32μm、40μm、63μm 、100μm、150μm、250μm及び500μm)の濾紙及びステンレス製篩を用いて実験した結果、種培地中の菌数減少を抑制するためには、種培地の濾過には平均孔径32μm以上の篩を使用することが好ましいと判明した。一方、静置培養後のナタデココシート表面に凹凸を生じさせないためには、平均孔径150μm以下の篩を使用することが好ましく、平均孔径100μm以下の篩を使用することがより好ましく、平均孔径63μm以下の篩を使用することがさらに好ましいと判明した。
【0059】
3)セルラーゼ添加培養工程におけるセルラーゼ濃度
次に、本願第二発明において、種培養中に形成されるセルロース塊を分解するために、どの程度の濃度でセルラーゼを種培地に添加すればよいか検討した。
【0060】
まず、表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地にセルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、12u/mL〜600u/mLの濃度となるように調整した。そして、セルラーゼ添加後の各種培地を、それぞれ100mL三角フラスコに50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(セルラーゼ添加後種培養工程)。撹拌培養条件は、上述した通りである。
【0061】
【表3】


【0062】
種培養中は、1日おきに培地中のグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を計測した。また、種培養終了時には、種培地を採取し、光学顕微鏡(倍率400倍)を用いてセルロース塊が存在しているか確認した。その結果を、表4に示す。
【0063】
【表4】


【0064】
種培地中のセルラーゼ濃度が120u/mL以下の場合、種培養終了時の培地中にセルロース塊が存在していた。しかし、セルラーゼ濃度が300u/mL以上の場合には、種培養終了時の培地中にセルロース塊は存在していなかった。セルラーゼ濃度を200u/mLとした場合にもセルロース塊は存在しなかったことから、セルラーゼ添加後種培養工程においては、培地中のセルラーゼ濃度が200u/mL以上であることが好ましいと判明した。
【0065】
また、種培地中にセルラーゼを添加しても、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数増加には影響が認められなかった。ただし、種培地中のセルラーゼ濃度を高濃度に設定すると、本培養培地へ移行するセルラーゼ濃度が高くなるため、種培地からセルラーゼを除去する工程(セルラーゼ除去工程)を行うことが好ましい。
【0066】
種培地中から過剰なセルラーゼを除去する手段としては、例えば、種培養工程終了後、遠心分離機によってグルコンアセトバクター・キシリナスを沈殿させ、上清を捨て、セルラーゼを含まない種培地で沈渣を溶解させることを挙げることができる。
【0067】
さらに、セルラーゼを300u/mLとなるように添加した表3に示す種培地と、セルラーゼを添加しない種培地とにグルコンアセトバクター・キシリナスを接種し、同じ条件で撹拌培養し、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を経時的に測定した。また、セルラーゼを300u/mLとなるように添加した表3に示す種培地と、セルラーゼを添加しない種培地とにグルコンアセトバクター・キシリナスを接種し、同じ条件で静置培養し、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を経時的に測定した。静置培養は、種培地1200mLを上述した市販ポリプロピレン製トレーに注入し、30.5℃で10日間培養することによって行った。測定結果を、表5に示す。
【0068】
【表5】


【0069】
その結果、撹拌培養は、静置培養と比較すると、同じ培養時間におけるグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数が多いだけでなく、セルラーゼ添加による菌数増加効果が大きいことが判明した。
【0070】
4)セルロース分解養工程におけるセルラーゼ濃度
次に、本願第三発明において、種培養中に形成されたセルロース塊を分解するために、どの程度の濃度でセルラーゼを種培地に添加すればよいか検討した。
【0071】
まず、表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を100mL三角フラスコに50mL採取し、アセトバクター・キシリナムを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(種培養工程)。撹拌培養条件は、上述した通りである。
【0072】
種培養終了時にグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数を測定したところ、5.2×107個/mLであった。この種培地に12u/mL〜600u/mLの濃度となるようにセルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、その後2時間、種培養工程と同じ条件で撹拌した(セルロース分解工程)。
【0073】
2時間後に種培地を採取し、光学顕微鏡(倍率400倍)を用いてセルロース塊が存在しているか確認した。その結果を、表6に示す。
【0074】
【表6】


【0075】
種培地中のセルラーゼ濃度が120u/mL以下の場合、種培養終了時の培地中にセルロース塊が存在していた。しかし、セルラーゼ濃度が300u/mL以上の場合には、種培養終了時の培地中にセルロース塊は存在していなかった。このように、セルロース分解工程においては、2時間の反応時間の場合、培地中のセルラーゼ濃度を300u/mL以上とすることが好ましいと判明した。
【0076】
また、セルラーゼ添加後(300u/mL)のグルコンアセトバクター・キシリナスの菌数は、5.2×107個/mLであったため、種培地中のセルロース塊を分解しても、菌数には変化がないことが確認された。
【0077】
より短い時間でセルロース塊を分解するためには、セルロース分解工程のセルラーゼ濃度を300u/mL以上に調整すればよい。ただし、種培地中のセルラーゼ濃度を高濃度に設定すると、本願第二発明と同様、本培養培地へ移行するセルラーゼ濃度が高くなるため、種培地からセルラーゼを除去する工程(セルラーゼ除去工程)を行うことが好ましい。
【0078】
5)本培養培地に混入するセルラーゼの影響
次に、本願第二発明又は第三発明において、種培地中からセルラーゼを除去しない場合には、本培養培地にセルラーゼが混入し、本培養中にバイオセルロースが分解されることになる。そこで、本培養中のセルラーゼ濃度が、ナタデココシートの突き刺し強度及び厚みにどのように影響するか検討した。
【0079】
表2に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、本培養培地を調製した(pH3.0に調整)。この本培養培地に対して、上記3)のセルラーゼ添加後種培養工程後の種培地を1容量%添加し、培養トレーとして使用した市販ポリプロピレン製トレー(187mm×260mm×85mm)に種培地添加後の本培養培地を1200mL注入した。そして、温度30℃、湿度70〜80%という条件で10日間静置培養した。
【0080】
できあがったナタデココシートについて、ゲージを用いて厚みを測定した後、それぞれ15mm角に切断し、デジタルフォースゲージ(MARUBISHI製AD4935-50N)を用いて突き刺し強度を測定した。20個突き刺した場合の測定値の平均値及びシート厚みの測定値を、表7に示す。
【0081】
本培養を上述した通りに行い、ナタデココシートを製造した。突き刺し強度の数値は、値が大きいほどナタデココが硬いことを表している。なお、表中の相対値とは、ナタデココシートとして一般的な硬さである突き刺し強度450gを100とした場合の突き刺し強度の相対値を意味している。
【0082】
【表7】



【0083】
本培養中のセルラーゼ濃度が高くなるほど、突き刺し強度が低下し、柔らかくなる傾向が認められた。また、シートの厚みも増加する傾向が認められた。通常のナタデココシートの硬さ測定値の平均値は、450g〜500g程度であることから、本願第二発明では、種培地中のセルラーゼ濃度及び/又は本培養培地に接種する種培地量を調整し、本培養培地に混入するセルラーゼ濃度を調整することにより、ナタデココシートの硬さ及び厚みを調整することが可能である。このことは、本願第三発明についても同様である。
【0084】
本発明のより具体的な実施例について、以下に説明する。
[実施例1/本願第一発明]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を100mL三角フラスコ3本に50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で撹拌培養を行った(初濃度:1.9×104個/mL)。なお、撹拌培養は、上述したように、振とう器(Bw-100、yamato製)を用いて、振幅125mpaという条件で3日間行った(種培養終了時濃度:3.3×108個/mL)。
【0085】
種培養終了後、種培地を平均孔経40μmのステンレス製篩を用いて濾過した(濾過後濃度:1.2×107個/mL)。
【0086】
表2に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、本培養培地を調製した(pH3.0に調整)。この本培養培地に対して、濾過後の種培地を10容量%添加し、培養トレーとして使用した市販ポリプロピレン製トレー(187mm×260mm×85mm)に種培地添加後の本培養培地を1200mL注入した。そして、温度30℃、湿度70〜80%という条件で10日間静置培養した。
【0087】
本実施例のナタデココシート(厚み18mm)の上面写真(シート上面は、培養トレーの底面側に相対する面である)及び側面写真を、それぞれ図2(a)及び図2(b)に示す。本実施例のナタデココシートは、両方の表面が滑らかであり、本実施例と同じ種培地、本培養培地及び酢酸菌を用いて、通常のナタデココシートと同程度であった。
【0088】
また、本実施例のナタデココシートを15mm角に切断し、上述した方法により突き刺し強度を測定した。20個突き刺した場合の測定値の平均値は505gであった。このように、本実施例のナタデココシートの硬さは、通常のナタデココシートと同程度であることが確認された。
【0089】
[実施例2/本願第二発明]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地にセルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、300u/mLの濃度となるように調整した。セルラーゼ添加後の種培地を、100mL三角フラスコに50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:約4.3×103個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:2.5×108個/mL)。
【0090】
種培養終了時の培地を顕微鏡観察(倍率400倍)した結果、セルロース塊は認められず、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌体のみが存在していた(図3(a)を参照)。
【0091】
なお、後述する比較例では、セルラーゼを添加しないこと及び種培地を遠心分離しないこと以外、本実施例と同じ条件で種培養した。種培養終了時の比較例の培地を顕微鏡観察(倍率400倍)した結果、セルロース塊の存在が認められた(図3(b)を参照;矢印で示した塊がセルロース塊である)。
【0092】
次に、遠心分離機(Kubota製2010型)を用いて、種培地を3000rpmで20分間遠心した。上清を捨て、同量のセルラーゼを含まない種培養培地を加えた。このように、種培地を置換することによって、セルラーゼを除去した。
【0093】
実施例1と同じ本培養培地を調製し(pH3.0に調整)、この本培養培地に対して、セルラーゼ除去後の種培地を1容量%添加し、培養トレーとして使用した市販ポリプロピレン製トレー(187mm×260mm×85mm)に種培地添加後の本培養培地を1200mL注入した。そして、実施例1と同様、温度30℃、湿度70〜80%という条件で10日間静置培養した。
【0094】
本実施例のナタデココシート(厚み18mm)の上面写真(シート上面は、培養トレーの底面側に相対する面である)及び側面写真を、それぞれ図4(a)及び図4(b)に示す。本実施例のナタデココシートは、通常のナタデココシートと同程度に両方の表面(上面及び下面)が滑らかであった。
【0095】
本実施例のナタデココシートを15mm角に切断し、実施例1の場合と同様、デジタルフォースゲージを用いて突き刺し強度を測定した。20個突き刺した場合の測定値の平均値は512gであり、本実施例のナタデココシートの硬さは、通常のナタデココシートと同程度であることが確認された。
[実施例3/本願第三発明]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を、100mL三角フラスコに50mL採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:8.3×103個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:7.4×107個/mL)。
【0096】
種培養終了時の培地に、セルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、300u/mLの濃度となるように調整した。そして、セルラーゼ添加後、種培養工程と同じ条件で2時間撹拌した。
【0097】
セルラーゼ添加前の種培地中には、セルロース塊が存在していたが、2時間後に種培地を顕微鏡観察(倍率400倍)した結果、セルロース塊は認められず、グルコンアセトバクター・キシリナスの菌体のみが存在していた(図示せず)。
【0098】
次に、実施例2と同様にして、種培地中からセルラーゼを除去した。
【0099】
実施例1と同じ本培養培地を調製し(pH3.0に調整)、以後、実施例2と同様に30℃で10日間静置培養した。
【0100】
本実施例のナタデココシート(厚み17mm)も、実施例2のナタデココシートと同様、両方の表面(上面及び下面)が滑らかであった(図示せず)。
【0101】
[比較例]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を100mL三角フラスコ3本に50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:1.1×104個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:2.9×108個/mL)。
【0102】
表2に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、本培養培地を調製した(pH3.0に調整)。この本培養培地に対して、種培地を10容量%添加し、以後、実施例1と同様に30℃で10日間静置培養した。
【0103】
比較例のナタデココシート(厚み17mm)の上面写真及び側面写真を、それぞれ図5(a)及び図5(b)に示す。比較例のナタデココシートは、実施例1〜実施例3のナタデココシートとは大きく異なり、培養トレー底面に相対する面(図5(a)に示す上面)の全面に、著しい凹凸が発生した。
【0104】
図5(b)に示すようにして、表面に生じた凹凸の大きさを、ノギスを用いて測定したところ、最大10mmであった。なお、実施例1〜実施例3、及び通常のナタデココシートでは、ノギスを用いて測定できるような凹凸が存在しなかった。
【0105】
なお、CNC画像測定システム(Nikon製VM-250型)を用いてナタデココシートの表面を解析した結果、実施例1〜実施例3の場合、表面の凹凸の最大値は2mmであったが、比較例の場合は12mmであった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のナタデココシートの製造方法は、食品製造業及び食品加工業等の分野において、製造期間が短く、硬さや厚みも調整しうるナタデココシートの製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明のナタデココシートの製造方法の概略フローチャートであり、(a)は本願第一発明、(b)は本願第二発明、(c)は本願第三発明のフローチャートである。
【図2】実施例1のナタデココシートの写真であり、(a)は上面、(b)は側面をそれぞれ撮影した写真である。
【図3】種培養終了時の培地の顕微鏡写真であり、(a)は実施例2、(b)は比較例の写真である。
【図4】実施例2のナタデココシートの写真であり、(a)は上面、(b)は側面をそれぞれ撮影した写真である。
【図5】比較例のナタデココシートの写真であり、(a)は上面、(b)は側面をそれぞれ撮影した写真である。
【図6】従来のナタデココシート製造方法における本培養工程の概略を説明する図であり、(a)は開始時、(b)は培養中、(c)は培養終了時の状態をそれぞれ示す。
【出願人】 【識別番号】591183625
【氏名又は名称】フジッコ株式会社
【識別番号】506234675
【氏名又は名称】フジッコフーズ株式会社
【識別番号】307016180
【氏名又は名称】地方独立行政法人鳥取県産業技術センター
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏

【識別番号】100106242
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 安航


【公開番号】 特開2008−11818(P2008−11818A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188411(P2006−188411)