トップ :: C 化学 冶金 :: C12 生化学;ビ−ル;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学

【発明の名称】 光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 利雄

【氏名】西川 孝治

【氏名】中川 篤

【要約】 【課題】高光学的純度の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法を提供する。

【構成】2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種の微生物、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第2工程により、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製造する。該光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを閉環し、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種の微生物、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第2工程とを含む、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製造方法。
【請求項2】
微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのS体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シュードモナス属に属する微生物がシュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株(国際寄託番号:FERM BP−994)である請求項2に記載の方法
【請求項4】
微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのR体である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アルカリゲネス属に属する微生物がアルカリゲネス(Alcaligenes)sp.DS−K−S38株(国際寄託番号:FERM BP−3101)である請求項4に記載の方法
【請求項6】
請求項1記載の方法により得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを閉環し、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを合成、回収する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物から、微生物を利用した立体選択的な分解反応により光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを得る方法、さらに光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールから閉環反応により光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造する方法に関する。
【0002】
本発明により得られる光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノール及び光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンは、医薬品・農薬・生理活性物質などの光学活性化合物の製造において極めて重要、且つ有用な化合物である。
【背景技術】
【0003】
これらのことから光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノール及び光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを効率的に製造できる方法が望まれている。
【0004】
光学活性ジクロルヒドリン類の製法としては、シュードモナス属またはアルカリゲネス属に属する微生物を、2,3−ジクロロ−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させ、残存するR体またはS体の2,3−ジクロロ−1−プロパノールを分取する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)が、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製法はまったく知られていない。
【0005】
光学活性エピクロルヒドリン類の製法としては、光学活性な2,3−ジクロロ−1−プロパノールの閉環反応により光学活性エピクロルヒドリンを製造する方法(特許文献3)が挙げられるが、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンの製法はまったく知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−132196
【特許文献2】特開平3−180197
【特許文献3】特開平6−211822
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安価で且つ技術的に簡便な方法により、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物から高光学純度の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
(1)特定微生物が、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールに対して、立体選択的な分解能を有しており、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する。
(2)得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールからアルカリ存在下による閉環反応により、容易に光学純度を落とすことなく光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造できる。
【0009】
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法を提供する。
【0010】
項1.2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種の微生物、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第2工程とを含む、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製造方法。
【0011】
項2.微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのS体である項1に記載の方法。
【0012】
項3. シュードモナス属に属する微生物がシュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株(国際寄託番号:FERM BP−994)である項2に記載の方法
【0013】
項4.微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのR体である項1に記載の方法。
【0014】
項5.アルカリゲネス属に属する微生物がアルカリゲネス(Alcaligenes)sp.DS−K−S38株(国際寄託番号:FERM BP−3101)である項4に記載の方法
【0015】
項6.項1記載の方法により得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを閉環し、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを合成、回収する方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば微生物を使用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物より、高光学的純度の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを安価で、且つ工業的に簡便な方法によって製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法は、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物(CAS No.42151−64−4)に作用して立体選択的な分解反応により2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体の残存させうる能力を有する微生物(以下、「本発明の微生物」ということもある)、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第二工程及び、得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの閉環反応によって光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを得る工程を含む方法である。
【0018】
原料化合物
2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物は特に限定されないが、例えば、メタリルクロライド(3−クロロ−2−メチル−1−プロペン)と塩素ガス水溶液を反応させた後、蒸留や各種クロマトグラフィーを行うことにより得ることができる。
【0019】
本発明の微生物
本発明に使用する微生物は、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用し、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる能力を有する限り、特に限定されない。
【0020】
S体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる能力を有する微生物としてはシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。中でも、シュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株(国際寄託番号:FERM BP−994)が好ましい。S体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる微生物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
R体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる能力を有する微生物としてはアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物が挙げられる。中でも、アルカリゲネス(Alcaligenes)sp.DS−K−S38株(国際寄託番号:FERM BP−3101)が好ましい。R体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる微生物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
本発明の微生物は光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる能力を有する限り、野生株、変異株、遺伝子組換え株、又は細胞融合株などのいずれであってもよい。
【0023】
第1の工程
第1の工程においては、微生物又はその処理物を使用する。「微生物の処理物」には、菌体破砕物、菌体から抽出された酵素などが含まれる。微生物およびその処理物は固定化したものであってもよい。
【0024】
本発明において「作用させ」とは微生物又はその処理物と、基質である2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物とを一つの反応系内に共存させることにより、酵素と基質とを接触させることをいう。ここでいう酵素は、菌体内外又は微生物処理物中に存在する2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に対して立体選択的な分解能を有する酵素である。
【0025】
具体的には、本発明の微生物を用いる場合は、この微生物を培養して得られた培養液に2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物を加え反応させればよい。
【0026】
前記反応に使用する微生物を培養するための培地組成としては、通常この微生物が生育する培地であれば、特に制限されない。例えば、炭素源としてグルコース、ガラクトース、シュークロース等の炭水化物、1,2−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール等のアルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸などの有機酸またはその塩、あるいはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物、尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩等の無機塩、さらに必要に応じてビタミン類を加えてもよい。
【0027】
本発明に係る微生物の培養は常法によればよく、例えばpHを6〜9、好ましくは6.5〜7.5、培養温度は20〜40℃、好ましくは25〜37℃の範囲で好気的に10〜96時間行うことが好ましい。
【0028】
微生物は増殖期にあるもの、および休止期(定常期)にあるもののいずれを用いてもよい。立体選択的分解活性が高いものが好ましい。
【0029】
立体選択的な分解反応は、培養液から分離した菌体を適当な溶液、例えば緩衝液に懸濁した懸濁液に2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物を加えることにより行なってもよい。
【0030】
また、微生物を固定化したもの、微生物処理物、又は微生物処理物を固定化したものを用いる場合も、これらを緩衝液のような溶液中に懸濁又は溶解させたものに2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物を加えることにより反応を行なってもよい
【0031】
反応液中の2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物の濃度は0.1−20%(v/v)程度が好ましく、0.5−10%(v/v)程度がより好ましい。
【0032】
2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物は、反応開始時に一括して加えてもよいし、分割して添加してもよい。
【0033】
反応は通常撹拌あるいは振とうしながら行えばよい。反応時間は2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物の濃度、微生物又はその処理物の量などにより異なるが、1−120時間程度で終了させるのが好ましい。好ましくは、ガスクロマトグラフィーなどの分析により、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの光学純度を測定して終点を決定するのがよい。
【0034】
反応が進行するに伴い、反応液のpHが徐々に低下あるいは上昇する場合は、適当なアルカリ源または酸源を添加することにより反応液中のpH を至適範囲内にコントロールする必要がある。例えば、アルカリ源としては炭酸カルシウム懸濁液、炭酸ナトリウム溶液、炭酸カリウム、炭酸アンモニウなどの炭酸アルカリ塩水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ塩水溶液、アンモニア水溶液など、酸源として塩酸、燐酸など通常、酸またはアルカリを中和させることができるものを用いてpHを至適範囲内に制御するのがよい。
【0035】
第2の工程
この様にして得られた反応液中に残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールは一般的な方法で回収および精製できる。例えば、反応液から菌体を遠心分離等で除いた後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸エチル等の溶媒で抽出する。次いで抽出液を無水硫酸マグネシウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去し光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのシロップを得ることができる。さらに精製するために、抽出、蒸留、各種クロマトグラフィーなどを行ってもよい。
【0036】
本発明の微生物またはその処理物によって得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールから光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを得るには、例えば、アルカリ条件下で閉環反応を行なうなど、光学純度が98%e.e.以下に低下しない方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0037】
この様にして得られた光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンは、抽出、蒸留、各種クロマトグラフィーなどにより、さらに精製しても良い。
【実施例1】
【0038】
シュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株による反応
ペプトン10g/L、酵母エキス10g/L、グリセリン10g/Lからなる組成の培地3L(pH7.0)を、5L容のジャーファメンターに入れ、121℃で15分間、加圧蒸気滅菌した。次いで、あらかじめ同培地で生育させたシュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株を100ml加え、30℃、500rpmで24時間培養を行った。得られた培養液から遠心操作により、菌体を回収した。菌体を3Lの20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁した。懸濁液にラセミ体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを0.5%(v/v)とCaCOを1.0%とを加え、30℃、500rpmで24時間反応させた。反応液中に残存する2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールをガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製のカラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で分析した結果、残存率は29.8%であった。反応終了後、反応液を取り出し、遠心操作により菌体を除去し、上清液を得た。この上清液をエバポレーターで濃縮し、エーテルにより抽出した。続いて無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下でエーテルを除去し、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのシロップを得た。
【0039】
本物質の光学純度は、以下の方法により測定した。
得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの光学異性体を水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルエピクロルヒドリンの光学異性体に変換した。ラセミ体2−メチルエピクロルヒドリン及び本反応により得た2−メチルエピクロルヒドリンを2%(v/v)となるようにヘキサンに溶解し、アステック社製のキャピラリーカラムG−TA(0.25mm(ID)x30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。その結果、98%e.e.以上であった。
分析条件
カラム温度:45℃
検出器温度:200℃
キャリアーガス:窒素
検出器:FID
スプリット比:100/1
【0040】
R体及びS体の同定
R体及びS体の同定は、本反応で得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを、水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルエピクロルヒドリンに変換した後、加水分解し3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを含む水溶液を得た。得られた3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール水溶液をエバポレーターで濃縮し、エーテルにより抽出した。続いて無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下でエーテルを除去し、3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールのシロップを得た。得られた3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルグリシドールに変換した。これを、アステック社製のキャピラリーカラムA−PH[(0.25mm(ID)x30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。
分析条件
カラム温度:45℃
検出器温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:FID
スプリット比,130/1
【0041】
分析結果
2-メチルグリシドール R体
以上の結果から、本反応で得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールは光学純度が98%e.e.以上のS体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールであった。
【実施例2】
【0042】
菌株をアルカリゲネス(Alcaligense)sp.DS−K−S38株に変更した以外は実施例1と同様にして行った。得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの残存率は25.6%であった。また、得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールは光学純度98%e.e.以上のR体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールであった。
【出願人】 【識別番号】000108993
【氏名又は名称】ダイソー株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−5732(P2008−5732A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177728(P2006−177728)