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【発明の名称】 ホールセル−生体内変換からの反応溶液の後処理
【発明者】 【氏名】ハラルト グレーガー

【氏名】クラウディア ロルマン

【氏名】ヘルゲ ヴェルナー

【氏名】フランソワーズ−クリスティーヌ シャムロー

【氏名】ディットマー オルツェヴスキ

【要約】 【課題】本発明の技術的課題は、迅速、簡単、安価、効果的で、かつ割安な溶媒又は添加剤をベースとし、かつ装置の少ない出費を必要とする方法であって、ホールセル生体内変換から生じる反応溶液の後処理のための方法を提供することである。

【構成】前記課題は、ホールセル触媒、水性成分及び有機成分を含有する反応溶液を後処理するにあたり、前記有機成分が濃縮すべき生成物を含有する後処理方法において、次の工程:
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールセル触媒、水性成分及び有機成分を含有する反応溶液を後処理するにあたり、前記有機成分が濃縮すべき生成物を含有する後処理方法において、次の工程:
a)pH値を4より低く調整する工程;
b)濾過助剤の存在下で、有利には反応溶液中の濾過助剤の存在下で、反応溶液を濾過する工程;
c)選択的に、有機成分中に含有される生成物を更に濃縮及び/又は精製する工程
を特徴とする後処理方法。
【請求項2】
次の工程:
b1)有機溶媒又は有機溶媒の混合物を用いて、濾過の際に得られた濾滓を洗浄する工程;
b2)選択的に、工程b1)で得られた濾過物又は新規に添加された有機溶媒又は有機溶媒の混合物を用いて、工程a)で得られた濾過物の水性成分を抽出する工程;及び
b3)前記有機成分からの有機溶媒を除去する工程
を更に特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記有機成分は、90%(m/m)より多く光学活性アルコールからなることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
この後処理すべき反応溶液は、ホールセル触媒、水性成分及び濃縮すべき生成物を含有する有機成分からなるエマルションであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ホールセル触媒は、前記反応溶液中で75g/Lまでの、有利には50g/Lまでの、特に有利には30g/Lまでの、特にとりわけ有利には25g/Lまでの割合であり、その際gは前記バイオマスの湿分質量に対するものであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
セルロール、シリカゲル、珪藻土、パーライト、活性炭、木炭、木粉、合成樹脂ベースの濾過助剤及びこれらの混合物のグループから選択される濾過助剤が使用されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
濾過助剤として、珪藻土、クリストバライト及び濾過珪砂並びにこれらの成分からの混合物、特に有利にはCelite Hyflo Supercelが使用されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記反応溶液が、pH3未満、有利にはpH2〜3、特に有利にはpH2.5〜3のpH値に調整されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記濾滓の洗浄及び/又は前記水性成分の抽出のための有機溶媒として、MTBE(tert−ブチルメチルエーテル)及び/又はETBE(tert−ブチルエチルエーテル)及び/又は酢酸エチルエステルが使用されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記有機成分が、この反応溶液の全体の容積に対して、50g/Lよりも高い、有利には100g/Lよりも高い割合であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールセル触媒(Ganzzellkatakysator、whole cell catalyst)、水性成分及び有機成分を含有する反応溶液の後処理をするにあたり、前記有機成分が濃縮すべき(anreichern)生成物を含有する後処理(Aufarbeitung)のための方法に関する。特に、本発明は、ホールセル生体内変換(Ganzzellbiotransformation)から生じる反応溶液であって、ホールセル触媒、水性成分及び、全体の容積に対して>50g/Lの割合でもって有機成分を含有する反応溶液の後処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホールセル触媒(特に、ホールセル生体触媒とも呼ばれる)を用いた生体内変換は、ファインケミカルズの合成のための極めて魅力的な製造方法であることが明らかである(概略としては、例えばS. Buchholz, H. Groeger, 「Ganzellbiokatalyse」: Angewandte Mikrobiologie, 第8章, Springer-Verlag, Berlin, 2006, 161頁〜を参照されたい)。単離された、特に精製された酵素と比べて、組み換えホールセル触媒はしばしばコストがより魅力的なタイプの触媒であり、というのもこのホールセル触媒を得る際の後処理工程及び精製工程(Aufarbeitungs- und Reinigungsschritte)は、発酵の際に得られるバイオマス(Biomass)の直接的な使用により行われないからである(これは単離された酵素の使用とは対照的である)。加えて、酸化還元反応の際のホールセル触媒の適用は、高価なコファクターの外部からの量の添加なしにこの反応の実施を可能にし(参照、WO2005121350)、これに対して単離された酵素を用いた反応ではコファクター添加が必要である。
【0003】
現在ではホールセル触媒を含有する生体内変換−反応溶液の後処理のために、多様な方法が公知である。この際の共通の問題は、抽出過程の際のエマルションの発生にあり、これは非常に長時間の、経済的に許容できない後処理時間、特に抽出時間及び/又は濾過時間、例えば数時間の後処理時間を、実験室規模においてですら伴い、又はその上更にこのような混合物の、特に安定なエマルションの形成のために分離不能性までも伴う。このための典型的な例として、G. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Chem. Ing. Techn. 2004, 76, 1739-1742による開示が挙げられ、それによれば高い細胞密度−ホールセル生体内変換の抽出による後処理での中心的な複雑性は、この有機溶媒と接触した安定なゲル及びかゆ状物(Schleime)の形成である。ここから相応して生じる結果は、この生成物の後続した蒸留による精製の必要性及び、下流の処理(Downstream-Processing)の際の強力な収率損失であり、これは、この方法の減少した全体の経済性及び高い生産コストを伴う。
【0004】
更に、Yazbeck et al. (D. R. Yazbeck, C. A. Martinez, S. Hu, J. Tao, Tetrahedron: Asymmetry 2004, 15, 2757-2763)は、生体内変換溶液の下流方法(Downstream-Verfahren)に対する2004年からの概要において、エマルションの発生のためのしばしば複雑化した生成物単離を詳細に指摘している。この際、これらの問題を回避するための様々なユーザーフレンドリーな技術は提供可能になっておらず、かつ、このような系において下流の処理を改善するためのより良好な手段に関する上昇する需要が存在することが留意される。
【0005】
相応して、一般的には、前述の制限の回避を導く後処理方法に関する高い興味が存在する。この際、以下に挙げた方法が今日までに開発されることができた:
2−フェニルエタノールのホールセル触媒により触媒作用された合成の際の−<10g/Lの低い基質濃度又は生成物濃度ですら生じる−エマルションの形成を回避するためにSerp et al.は、有機溶媒(セバシン酸ジブチル)が包含されている合成樹脂固定化物を抽出のために使用した(D. Serp, U. von Stockar, I. W. Marison, Biotechnol. Bioeng. 2003, 82, 103-110)。この生成物2−フェニルエタノールはこの際、in situで前記合成樹脂固定化物中への取り込みを介してこの反応媒体から除去される。但し、固定化物中に包含された有機溶媒の使用下でのこの方法は、極めて煩雑であってかつ費用がかかる。加えて、前記溶液中でのこの利用される生成物濃度は低い(<10g/L)。
【0006】
有機相、水相及びホールセル触媒からなるエマルションの更なる後処理法においては、複数の直列に接続した液体サイクロンが使用される(L.-Q. Yu, T. A. Meyer, B. R. Folsom, EP 900 113, 1999)。この際、ある液体サイクロンからこの次の液体サイクロンへの溢流の移行が常に起こり、これにより、有機相及び生体触媒から水相が分離されることができる。但し、この方法は装置の高い出費を必要とし、相応して高価である。
【0007】
近頃Bertau et al.により、解乳化剤としての適した酵素の使用による有機溶媒と接触した安定なゲル及びかゆ状物の回避手段が示された(G. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Chem. Ing. Techn. 2004, 76, 1739-1742及びG. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Biotechnol. Bioeng. 2004, 87, 525-536)。この際このゲル形成の問題は、ホールセル触媒に由来する前記生物乳化剤により抑えられることができ、前記乳化剤はこの微生物によりこの媒体中に提供される。但し、更なる追加の酵素成分の必要性が欠点であり、特に前記成分が煩雑な手法でのみ入手可能である場合に欠点である。更なる問題は、添加されたプロテアーゼにより引き起こされる副次反応の発生である(G. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Chem. Ing. Techn. 2004, 76, 1739-1742)。この際、例えばエステル基、又はアミド基もが有利には開裂される。
【0008】
又は、実施された生体内変換後の濾過助剤の使用についてはHanson et al. により報告されている(R. L. Hanson, S. Goldberg, A. Goswami, T. P. Tully, R. N. Patel, Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1073-1080)。この方法によればホールセル触媒を用いた有機ケトン基質と還元が、中性pH値(pH7)で、かつ約20g/L反応容積の基質量で、使用されるこの有機基質に対して10倍量にある、価格上要求の高い濾過助剤Amberlite XAD-16の使用下で行われる。このAmberlite XAD-16の使用が適することが示される一方で、エチル酢酸エチルエステル又はMTBEを用いたこのような濾過助剤の非存在下での直接的な抽出は実行可能でないことが示されていて、かつエマルションの問題を生じる。Hanson et al.による方法の際の欠点はしかしながら制限であり、例えば、約20g/Lのみの有機ケトン基質に関する低い割合ですら、多量の使用量に加えて価格上要求の高い、有機成分に対して10倍との濾過助剤としてのAmberlite XAD-16である。
【特許文献1】WO2005121350
【特許文献2】EP 900 113
【非特許文献1】S. Buchholz, H. Groeger, 「Ganzellbiokatalyse」: Angewandte Mikrobiologie, 第8章, Springer-Verlag, Berlin, 2006, 161頁〜
【非特許文献2】G. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Chem. Ing. Techn. 2004, 76, 1739-1742
【非特許文献3】D. R. Yazbeck, C. A. Martinez, S. Hu, J. Tao, Tetrahedron: Asymmetry 2004, 15, 2757-2763
【非特許文献4】D. Serp, U. von Stockar, I. W. Marison, Biotechnol. Bioeng. 2003, 82, 103-110
【非特許文献5】G. Joerg, K. Leppchen, T. Daussmann, M. Bertau, Biotechnol. Bioeng. 2004, 87, 525-536
【非特許文献6】R. L. Hanson, S. Goldberg, A. Goswami, T. P. Tully, R. N. Patel, Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1073-1080
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の技術的課題は従って、迅速、簡単、安価、効果的で、かつ割安な溶媒又は添加剤をベースとし、かつ装置の少ない出費を必要とする方法であって、ホールセル生体内変換から生じる反応溶液の後処理のための方法を提供することである。特に前記課題は、ホールセル触媒、水性成分及び全体の容積に関して>50g/Lの割合を有する有機成分を含有する反応溶液の後処理方法を提供すること、並びに公知技術の前述の欠点を回避することである。特に、前記方法は、ホールセル触媒を用いた酸化還元反応から生じる反応溶液であって、有機成分が>90%(m/m)までエナンチオマー濃縮したアルコールからなる反応溶液の後処理に適することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題は、ホールセル触媒、水性成分及び有機成分を含有する反応溶液を後処理するにあたり、前記有機成分が濃縮すべき生成物を含有する後処理のための方法において、次の工程:
a)pH値を4より低く調整する工程;
b)濾過助剤の存在下で、有利には反応溶液中の濾過助剤の存在下で、反応溶液を濾過する工程;
c)選択的に、有機成分中に含有される生成物を更に濃縮及び/又は精製する工程
を有する後処理方法により解決される。
【0011】
意外にも、この反応溶液のpH値の4未満への減少化により、この濾過を更に濾過助剤の存在下で実施する場合にこの反応溶液の濾過速度は非常に大きく上昇されることが確認された。これはとりわけ意外でもあり、というのもこのpH値の減少化のみ(例4=比較例)でも、pH値の減少化なしの濾過助剤の存在下での濾過(例2、3=比較例)も、満足のいく様式で、ホールセル触媒作用させた反応の際に生じるエマルションから出発した生成物分離/生成物後処理が成功しないからである。前記濾過助剤はこの際、有利には反応溶液中に存在する。従って有利には、前記濾過助剤はこの濾過の前に既に反応混合物へと添加され(pH4未満のpH値への調整前又は後に)、例えばこれは、本発明による実施例6に示されている。又は、この反応混合物のこのpH値の4未満のpHへの調整後に、この反応混合物の濾過が濾過助剤で負荷したフィルターを介して行われてもよい(例えば、実施例5参照のこと)。
【0012】
本発明は従って、迅速、簡単、安価、効果的で、かつ割安な溶媒又は添加剤をベースとするホールセル生体内変換から生じる反応溶液の後処理方法であって、装置に関して少額の出費のみを必要とする後処理方法を提供する。特に本発明による方法は、ホールセル触媒、水性成分及び、全体の容積に対して>50g/Lの割合を有する有機成分を含有する反応溶液の後処理であって、とりわけ、ホールセル触媒を用いた酸化還元反応から生じる反応溶液の後処理であって、前記反応溶液ではこの有機成分が90%(m/m)より多くエナンチオマー濃縮したアルコールからなる後処理に適する。
【0013】
有利な方法は更に、次の工程:
b1)有機溶媒又は有機溶媒の混合物を用いて、前記濾過の際に得られた濾滓を洗浄する工程;
b2)選択的に、工程b1)で得られた濾過物又は新規に添加された有機溶媒又は有機溶媒の混合物を用いて、工程a)で得られた濾過物の水性成分を抽出する工程;及び
b3)前記有機成分から有機溶媒を除去する工程
を有する。
【0014】
分離すべき反応溶液中での有機成分として、ここでは反応の所望の終生成物であって、場合により、相応する出発生成物及び/又は場合により生じる副生成物と混合した終生成物が理解され、その際この終生成物は例えば光学活性アルコールであり、前記アルコールはホールセル触媒により触媒作用される反応後に相応するケトンから得られる。通常は、この反応後に有機成分中でこの所望の終生成物は、出発生成物との混合物として、例えば95%:5%(m/m)、97%:3%(m/m)又はそれより高い比にある混合物として存在する。
【0015】
更に、有機成分が90%(m/m)より多く、特に有利には95%(m/m)より多く光学活性アルコールからなる場合に方法が有利である。
【0016】
特に、本発明による方法は、ホールセル触媒、水性成分及び濃縮すべき生成物を含有する有機成分からなるエマルションである、濃縮すべき反応溶液の生成物分離の際の公知技術の問題を克服する。
【0017】
更に、ホールセル触媒が前記反応溶液中で、75g/Lまでの、有利には50g/Lまでの、特に有利には30g/Lまでの、特にとりわけ有利には25g/Lまでの割合であることが有利であり、その際gはこのバイオマスの湿分質量に対するものである。この際、前記反応溶液中でのホールセル触媒の割合は、少なくとも10g/L、特に少なくとも20g/L(gはこのバイオマスの湿分質量に対する)がとりわけ有利である。
【0018】
濾過助剤として、全ての公知の濾過助剤が使用されてよい。更なる有利な方法において、前記濾過助剤は、セルロース、シリカゲル、珪藻土、パーライト、クリストバライト、濾過珪砂(Filterquarzkies)、活性炭、木炭(Holzhohle)、木粉、合成樹脂ベースの濾過助剤及びこれらの混合物のグループから選択される。特に、珪藻土、クリストバライト及び濾過珪砂並びにこれらの成分からの混合物の濾過助剤としての使用が有利である。特にとりわけ有利には、製品名としてCelite Hyflo Supercel(セライトハイフロスーパーセル)との商品名を有する濾過助剤が使用される。
【0019】
本発明による方法の有利な一実施態様において、前記反応溶液は、pH3未満、有利にはpH2〜3、特に有利にはpH2.5〜3のpH値に調整される。
【0020】
本方法の更なる態様において、前記濾滓の洗浄及び/又は前記水性成分の抽出のための有機溶媒として、MTBE(tert−ブチルメチルエーテル)及び/又はETBE(tert−ブチルエチルエーテル)及び/又は酢酸エチルエステルが使用される。
【0021】
有利な一方法において、前記有機成分の割合は、この反応溶液の全体の容積に対して、50g/Lよりも高く、有利には100g/Lよりも高い。
【0022】
本発明を、次の実施例に基づいて説明するが、これは本発明の保護範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0023】
実験実施例の要約となる説明
公知技術の問題を解決するために以下の試験を実施した。
【0024】
比較例は、次の試験を表すものである:生体内変換の実施後−Hanson et al. (Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1073-1080) による方法に準拠して−、濾過助剤を使用した。この際、Hanson et al.で使用されるAmberlite XAD-16の代わりに、価格的に魅力のある濾過助剤Celite Hyflo Supercel(=商品名)を使用した。但し、この方法は、50g/Lよりも高い有機成分の割合を有する生体内変換(例2=比較例)への適用の際には適さないことが示された。この際、中性のpH値(pH6.5〜7.0)での生体内変換の実施後に、安定なエマルションが形成され、前記エマルションは実行可能な様式では濾過助剤(このフィルターに対するCelite層の形にある)の使用により後処理されることが可能でなく、かつ6.5時間の濾過時間を有する極めてゆっくりとした濾過を導き、この際、更に後続の相分離は抽出過程の際に同様に、5時間よりも長く極めてゆっくりと経過した。達成された単離収率は更に、低い時には20.1%であった。
【0025】
pH値6.5〜7を有する反応溶液中に濾過助剤Celite Hyflo Supercelが導入され、かつこの混合物を引き続き濾過した場合には、同様に満足のいくものでない、7時間もの長い濾過時間が観察された(例3=比較例)。この際同様に、この達成された単離収率は満足のいくものではなく、55.4%であった。
【0026】
更に、濾過助剤自体の使用なしでpH4に減少させた場合の相応する試験は、意味のある濾過をもたらさず、この結果この場合には前記濾過は中断させる必要があった(例4=比較例)。
【0027】
これとは対照的に、本発明による方法に相応する後処理の実施の際に、短い時間と高い単離収率とが組み合わせて達成された(例5及び6)。実施された生体内変換後にこのpH値をまずpH2.4に調整し、この生じる反応混合物を約0.5cmのCelite層(Celite Hyflo Supercel)でもって負荷されたフィルターを介して濾過し、かつ引き続き有機溶媒で後洗浄し、そしてこの水相を更に抽出により後処理した場合に例えば、79.2%の単離収率が得られる(例5)。この方法の際には、更に、5分間よりも短い濾過時間が達成される。
【0028】
生体内変換後にこのpH値をpH2.6に調整し、この反応混合物をCelite Hyflo Supercelと混合し、かつ引き続き濾過し、並びにこの濾滓を有機溶媒で後洗浄し、そしてこの水相を抽出により後処理した場合に同様に高い単離収率(78.4%)が得られる(例6)。加えて、この例6においても、5分間よりも短い濾過時間が達成される。
【0029】
実験実施例:
例1(後処理試験のための反応混合物の製造のための一般的な試験規定;基質濃度500mM):
Titrino反応容器(製造者:Metrohm)中で、リン酸緩衝液(0.1M、pH7.0に調整)50mLに室温で、WO2005121350に記載されたホールセル触媒E.Coli DSM14459 (pNO5c,pNO8c)((R)−アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)及び好熱好酸性腐食古細菌(Thermoplasma acidophilum)からのグルコースデヒドロゲナーゼを含有)を、バイオマス濃度約50g/L(例2及び3)又は約25g/L(例4〜6)に相当して、D−グルコース(使用されたp−クロロアセトフェノンの量に対して1.05〜6当量)及びp−クロロアセトフェノン3.87g(使用されたリン酸緩衝液の容積に対して基質濃度0.5Mに相当)を添加した。この反応混合物を22時間室温で撹拌し、その際このpHを苛性ソーダ液(2M NaOH)の添加により一定にpH範囲pH6.5〜7.0に維持した。規則的な間隔で試験体を取り出し、この変換をHPLCを用いて算出した。22時間の反応時間後に、生成物(R)−(4−クロロフェニル)エタン−1−オールへの変換率は99%より高かった。この反応混合物を引き続き、後処理試験のために使用した。
【0030】
例2:(比較例):
例1において記載された方法(2倍のバッチ容積)により製造された反応溶液(エマルション)を、40〜200μmの孔サイズを有し、約0.5cmの厚さのCelite層(Celite Hyflo Supercel)で負荷したSchottガラスフィルターを介して真空の適用下で濾過した。この際、6.5時間の濾過時間が必要であった。この−非常に濁った−濾過物を、3×50mL MTBEを用いて抽出し、この際、5時間にわたる極めてゆっくりとした分離を引き起こす混合相が生じた。硫酸マグネシウムによるこの一緒にした有機相の乾燥、濾過及びこの有機溶媒の真空(50℃、水ジェット真空)中での引き続く除去後に、20.1%の単離収率を有する所望の生成物を得た。
【0031】
例3(比較例):
例1に記載された方法により製造された反応溶液(エマルション)をMTBE100mL及びCelite1.5g(Celite Hyflo Supercel)を混合した。5分間の撹拌後、引き続き真空の適用下で濾過した。この際、7時間の濾過時間が必要であった。引き続きこの濾滓をMTBE50mLで後洗浄した。この−非常に濁った−濾過物に前記洗浄溶液を添加し、この生じる混合物をMTBE2×50mLを用いて抽出した。硫酸マグネシウムによるこの一緒にした有機相の乾燥、濾過及びこの有機溶媒の真空(50℃、水ジェット真空)中での引き続く除去後に、55.4%の単離収率を有する所望の生成物を得た。
【0032】
例4:(比較例):
例1に記載された方法(0.6倍のバッチ容積)により製造された反応溶液(エマルション)を、pH4.0のpH値の調整まで濃塩酸と混合し、この際このバイオマスは凝結した。引き続き真空の適用下で濾過し、この際ゲル形成のために、さほど言及するほどでない濾過を行い、相応してこの濾過を中断した。
【0033】
例5(本発明による実施例):
例1に記載された方法(0.6倍のバッチ容積)により製造された反応溶液(エマルション)を、pH2.4のpH値の調整まで濃塩酸と混合し、この際このバイオマスは凝結した。引き続き約0.5cmのCelite層(Celite Hyflo Supercel)で負荷したフィルターを介して真空の適用下で濾過し、この際、5分間よりも少ない極めて迅速な濾過が観察された。引き続きこの濾滓をMTBE30mLで後洗浄し、更なる45mLでもってこの濁った濾過物に添加した。この際、良好な相分離が行われた。MTBE75mLの更なる抽出後、この一緒にした有機相を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、かつ引き続き真空中で有機溶媒を除去し(50℃、水ジェット真空)、この際所望の生成物を単離収率79.2%で得た。
【0034】
例6(本発明による実施例):
例1に記載された方法により製造された反応溶液(エマルション)を、pH2.6のpH値の調整まで濃塩酸と混合し、この際このバイオマスは凝結し、そしてここにCelite(Celite Hyflo Supercel)2gを添加した。引き続き真空の適用下で濾過し、この際5分間よりも少ない良好な濾過が観察された。引き続きMTBE2×80mLでこの濾滓を後洗浄し、この(水性の、第一の)濾過物をこの両方の有機性洗浄相(2×80mL)で洗浄し、この際そのつど良好な相分離が観察された。この一緒にした有機相を硫酸マグネシウムにより乾燥させ、濾過し、かつ引き続き真空中で有機溶媒を除去し(50℃、水ジェット真空)、この際この所望の生成物を78.4%の単離収率で得た。この形成された生成物のエナンチオマー過剰は、99.8%eeよりも高かった。
【出願人】 【識別番号】501073862
【氏名又は名称】デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【出願日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄

【識別番号】100094798
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 利臣

【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也

【識別番号】100110593
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 博司

【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト

【識別番号】230100044
【弁護士】
【氏名又は名称】ラインハルト・アインゼル


【公開番号】 特開2008−136(P2008−136A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−164177(P2007−164177)