トップ :: C 化学 冶金 :: C12 生化学;ビ−ル;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学

【発明の名称】 細胞培養装置
【発明者】 【氏名】世川 幹雄

【要約】 【課題】可搬性が良好になると共に、培養容器及び給液容器への液回路の接続作業が容易な細胞培養装置を提供する。

【構成】細胞培養装置1は、培養容器13、14と給液容器21〜26とを接続する給液回路3を備えている。この給液回路3は、複数の送液用チューブからなる第1分岐通路32、第2分岐通路33を、2枚のシート状部材35によって一体化して形成されている。また、シート状部材35の所定位置にはポンプ手段としての給液ポンプ36用の開口部35Aと、バルブ手段としてのピンチバルブPV11、PV12用の開口部35B,35Cを形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地や薬液を収容した複数の給液容器と、細胞を培養するための複数の培養容器と、これらを接続する送液用のチューブを備え、上記培養容器に対し上記チューブを介して送液するようにした細胞培養装置において、
上記チューブを介して送液するポンプ手段と、上記チューブを外部から閉塞させるバルブ手段を備えるとともに、上記チューブは、上記複数の給液容器に接続できるよう分岐された第1分岐通路と、上記複数の培養容器に接続できるよう分岐された第2分岐通路とを備えており、これら分岐通路が所定位置に位置するように上記チューブをシート状部材に配置させて固定し、該シート状部材には、固定されたチューブが上記ポンプ手段および上記バルブ手段と対応する位置に、これらポンプ手段およびバルブ手段を挿入可能な開口部が形成されていることを特徴とする細胞培養装置。
【請求項2】
上記培養容器は一次培養容器と二次培養容器からなり、上記チューブは、一端側に上記第1分岐通路を接続し、他端側に第2分岐通路を接続した主液通路を備えるとともに、該主液通路を上記ポンプ手段に対応させて配置し、さらに、上記第2分岐通路と上記主液通路のポンプ手段の上流側とを接続する戻し通路を備え、該戻し通路を使用して一次培養容器から二次培養容器へ送液することを特徴とする請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
該細胞培養装置は、上記給液容器から上記培養容器へ送液するための給液回路と、上記培養容器から排液するための排液回路と、上記給液回路と上記排液回路とを接続する循環回路を備え.該循環回路に気体供給装置を接続して、上記循環回路、上記給液回路、上記培養容器および上記排液回路を介して気体を循環させて、上記培養容器に気体を供給するようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の細胞培養装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は再生医療等で実施される細胞培養のための操作を自動化した細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞を培養するための培地の交換などの手作業を省略できるようにした細胞培養装置が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来の細胞培養装置は、細胞を培養させる培養容器と、少なくとも培地と薬剤をそれぞれ収容した複数の給液容器と、上記培養容器と上記給液容器とを接続して該給液容器から培養容器に対して培地および薬剤を流入可能とする液回路とを備えて、給液容器から培養容器への送液を自働制御するようにしている。
【特許文献1】特開2001−275659号公報
【特許文献2】特開2004−89095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の細胞培養装置における液回路は複数のチューブを備えており、これら複数のチューブの一端を培養容器と接続し、他端を給液容器と接続するようにしている。
これら培養容器、給液容器、チューブは、実施する培養毎に新しいものを使用するため、そのつど細胞培養装置に決められた液回路を形成するよう接続する必要があり、作業が煩雑であり、接続ミスが生じる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、培地や薬液を収容した複数の給液容器と、細胞を培養するための複数の培養容器と、これらを接続する送液用のチューブを備え、上記培養容器に対し上記チューブを介して送液するようにした細胞培養装置において、
上記チューブを介して送液するポンプ手段と、上記チューブを外部から閉塞させるバルブ手段を備えるとともに、上記チューブは、上記複数の給液容器に接続できるよう分岐された第1分岐通路と、上記複数の培養容器に接続できるよう分岐された第2分岐通路とを備えており、これら分岐通路が所定位置に位置するように上記チューブをシート状部材に配置させて固定し、該シート状部材には、固定されたチューブが上記ポンプ手段および上記バルブ手段と対応する位置に、これらポンプ手段およびバルブ手段を挿入可能な開口部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
このような構成によれば、上記チューブはシート状部材に固定されて液回路は全体としてシート状となるので、可搬性が良好になるとともに、培養容器および給液容器への液回路の接続作業も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は細胞を継代培養する細胞培養装置であり、その本体1Aの上面を示している。
この細胞培養装置1は、細胞を培養する培養部2と、給液回路3を介して上記培養部2へ培地やその他の液体を供給する給液部4と、上記培養部2で使用した液体を排液回路5を介して回収する排液部6と、滅菌ガス供給装置7および気体供給装置8と接続させた循環回路11と、ポンプ手段として給液部4に備えた給液ポンプ36、排液部6に備えた排液ポンプ46、および、バルブ手段として所定位置に配置した多数のピンチバルブPVの作動を制御する制御装置12とを備えており、これらがそれぞれ本体1A上面の同一平面上に配置されている。
【0007】
培養部2には、1個の一次培養容器13と、この一次培養容器13と同じ容器を2個並列に並べた二次培養容器14a、14bとが備えられ、これら一次培養容器13と二次培養容器14a、14bを載置させそれらを約37℃に加温および保温するプレートヒータからなる加温体15が設けられている。
一次培養容器13はほぼ直方体に形成され、その長手方向の一端側を供給口13Aとしてあり、他端側を排出口13Bとしている。また、これと同様に各二次培養容器14a、14bも長手方向の一端側を供給口14Aとしてあり、他端側を排出口14Bとしている。
そして、上記各培養容器13、14は並列に配置され、各供給口13A、14Aに給液回路3を接続し、各排出口13B、14Bに排液回路5を接続している。
【0008】
給液部4には、給液容器として、接着系細胞を収容した第1容器21と、加湿用の純水を収容した第2容器22と、細胞の剥離剤としてトリプシンを収容した第3容器23と、培地を収容した第4容器24と、血清を収容した第5容器25と、さらに培養容器の洗浄に用いるPBS(燐酸緩衝生理食塩水)を収容した第6容器26とが備えられている。
これら各給液容器21〜26には、それぞれ送液用のシリコーンチューブからなる給排部21A〜26Aを設けてあり、各給排部21A〜26Aを介して給液回路3と接続するようになっている。なお、各給液容器21〜26の容量は各々の必要量に応じて設定されている。
さらに、各給液容器21〜26は、図2に示すように偏平に形成されており、各給排部21A〜26Aを平行に揃えた状態で、各給液容器21〜26を2枚の薄い矩形状のシリコーン製のシート状部材27a、27bで挟み込み、これらシート状部材27a、27b同士を接着して固定し、一枚の偏平なシート状体27を構成している。これにより、各給液容器21〜26は、給排部21A〜26Aの先端をシート状体27の一辺から突出させた状態で一体化されている。
【0009】
各給液容器21〜26を一体化させたシート状体27は、細胞培養装置1の本体1Aの側部寄りの所定位置に設けられたペルチェ素子による冷却体28上に載置されるようになっており、この冷却体28によって各給液容器21〜26の内容物が常に約4℃に保冷されるようになっている。
そして、上記冷却体28の隣接位置にシート状体27から突出した各給排部21A〜26Aに対応させてピンチバルブPV1〜PV6が設けられており、それらピンチバルブPV1〜PV6が備えるピンチャーPVA、PVBの間に、給排部21A〜26Aを位置させるようになっている。
各ピンチバルブPV1〜PV6は、制御装置12によって各々が独立して作動を制御されるようになっており、制御装置12がピンチャーPVA、PVBを開放させた状態では給排部21A〜26Aは流通可能となり、他方、閉鎖させた状態では給排部21A〜26Aは外部から閉塞されて、内部の流通が阻止されるようになっている。なお、本実施例において、全てのピンチバルブPVの動作、構成は共通している。
【0010】
給液回路3はシリコーンチューブを連結させて構成されており、その中心として給液ポンプ36に装着される主液通路31を備え、この主液通路31には上流側となる一端側で分岐させる第1分岐通路32と、下流側となる他端側で分岐させる第2分岐通路33とが接続されている。
第1分岐通路32は、各給液容器21〜26の給排部21A〜26Aに対応させて6本に分岐させた分岐接続部32A〜32Fを備えており、他方、第2分岐通路33は、一次培養容器13の供給口13Aと2つの二次培養容器14a、14bの各供給口14Aに対応させて3本に分岐させた分岐接続部33A〜33Cを備えている。
第1分岐通路32の分岐接続部32A〜32Fは、32Aから順番に給液容器21〜26の各給排部21A〜26Aと着脱可能に接続されるようになっており、第2分岐通路33の分岐接続部33A〜33Cは、分岐接続部33Aを一次培養容器13の供給口13Aに固着させ、33Bを二次培養容器14Aの供給口14Aに、33Cを二次培養容器14bの供給口14Aにそれぞれ固着して接続させている。また、第1分岐通路32には分岐接続部32Aと直交するように分岐接続部32Gを設けてあり、該分岐接続部32Gと滅菌ガス供給装置7および気体供給装置8とが接続された循環回路11の下流側端部11Aと着脱可能に接続するようになっており、この分峡接続部32Gに対応させてピンチバルブPV7が設けられている。
【0011】
培養部2と給液部4の間には、一次培養容器13および二次培養容器14a、14bに接続された分岐接続部33A〜33Cの各位置に対応させてピンチバルブPV8〜PV10を設けており、制御装置12の指令によりこれらを開閉作動させることで、分岐接続部33A〜33Cの内部の流通を開放、遮断するようになっている。
また、給液部4には給液回路3の主液通路31に対応させて給液ポンプ36が設けられており、主液通路31のチューブを湾曲させて該給液ポンプ36のガイド部36Aに装着し、ローター36Bを回転(図1の場合は時計回転)させることで、主液通路31を構成するチューブが外部から扱かれて該チューブを介して給液容器21〜26側から培養容器13、14a、14bの方向へ送液できるようになっている。よって、制御装置12の指令によってピンチバルブPV1〜PV6のいずれかと、ピンチバルブPV8〜PV10のいずれかを開放させた状態で、給液ポンプ36を作動させることで、給液容器21〜26の必要な液体を培養容器13、14a、14bのいずれかに供給することができるようになっている。
給液回路3にはさらに、第2分岐通路33の分岐接続部33Aと主液通路31の給液ポンプ36の上流側とを直接的に接続する戻し通路34を備えている。また、該戻し通路34に対応させてピンチバルブPV11が設けられるとともに、分岐接続部33Aと分岐接続部33Bの間で第2分岐通路33を閉塞可能なピンチバルブPV12が設けられている。該戻し通路34は一次培養容器13から二次培養容器14a、14bへ送液を行う場合に使用し、ピンチバルブPV8、PV9、PV11を開放し、PV10、PV12を閉鎖した状態で給液ポンプ36を回転させることで、戻し通路34を流通させて一次培養容器13から二次培養容器14aへの送液が可能となり、この状態からPV9を閉鎖させてPV10を開放することで一次培養容器13から二次培養容器14bへの送液が可能となる。
【0012】
この様な給液回路3もまた、図2に示すように、複数のシリコーンチューブを連結させて、第1分岐通路32、主液通路31、第2分岐通路33、戻し通路34を構成し、これを2枚の薄い矩形状のシリコーン製のシート状部材35a、35bで上下から挟み込み、これらシート状部材35a、35b同士を接着して、必要な配置に位置決めした状態にてチューブを固定し、1枚の偏平なシート状体35を構成して一体化させている。この様なシー卜状体35においては、その一辺には第1分岐通路32の分岐接続部32A〜32Fが、給液容器21〜26の各給排部21A〜26Aと着脱可能となるように開口され、これと対向する辺からは分岐接続部33A〜33Cが突出されて、培養容器13、14の供給口13A、14Aと固着されている。また、分岐接続部32A〜32Fが配置された上記一辺と、分岐接続部32A側で交差する辺には分岐接続部32Gが突出されている。
また、該シート状体35においては、給液ポンプ36の位置に対応する部分を矩形状にくり抜き、該給液ポンプ36を挿入可能な開口部35Aとしてあり、シート状体35を細胞培養装置1の本体1A上に載置させた際に、給液ポンプ36が開口部35A内に位置するようになっている。開口部35Aには主液通路31を構成するチューブが給液ポンプ36の装着に必要な長さだけ引き出されて露出されている。さらに、ピンチバルブPV11、PV12の位置に対応する部分も矩形状にくり抜いて、これらピンチバルブPV11、PV12を挿入可能な開口部35B、35Cとしてあり、シート状体35を細胞培養装置1の本体1A上に載置させた際に、開口部35BにはピンチバルブPV11が位置し、開口部35CにはピンチバルブPV12が位置するようになっている。開口部35Bには戻り通路34のチューブが露出され、開口部35Cには分岐接続部33Aと分岐接続部33Bの間となる第2分岐通路33のチューブが露出されている。
【0013】
排液部6を構成する排液回路5も、上記給液回路3と同様にシリコーンチューブを連結させて構成されており、その中心として排液ポンプ46に装着される主排液通路43と、この主排液通路43を上流側で分岐させる排液分岐通路44とを備えている。排液分岐通路44は3本の分岐接続部44A〜44Cに分岐させてあり、分岐接続部44Aを一次培養容器13の排液口13Bに固着させ、44Bを二次培養容器14aの排液ロ14Bに、44Cを二次培養容器14bの排液口14Bにそれぞれ固着させて接続している。また、排液分岐通路44には分岐接続部44Aと直交するように分岐接続部44Dを設けてあり、該分岐接続部44Dと滅菌ガス供給装置7および気体供給装置8と接続された循環回路11の上流側端部11Bと着脱可能に接続するようになっている。
【0014】
培養部2と排液部6の間には、一次培養容器13および二次培養容器14a、14bに接続された分岐接続部44A〜44Cの各位置に対応させてピンチバルブPV13〜PV15を設けており、制御装置12の指令によりこれらを開閉作動させることで、分岐接続部44A〜44Cの内部の流通を開放、遮断するようになっている。また、分岐接続部44Dの位置に対応させてピンチバルブPV16を設けている。
排液部6には排液回路5の主排液通路43に対応させて排液ポンプ46が設けられており、主排液通路43のチューブを湾曲させて該排液ポンプ46のガイド部46Aに装着し、ローター46Bを回転(図1の場合は時計回転)させることで、主排液通路43を構成するチューブが外部から扱かれて、該チューブを介して両培養容器13、14a、14b側から、主排液通路43の下流側端部43Bに接続した排液容器6Aの方向へ送液できるようになっている。さらに、排液部6には排液ポンプ46の手前に位置させてピンチバルブPV17を設けており、該ピンチバルブPV17により主排液通路43を排液ポンプ46の上流側で開閉するようになっている。
これにより、制御装置12の指令によってピンチバルブPV13〜PV15のいずれかと、ピンチバルブPV17を開放させた状態で、排液ポンプ46を作動させることで、培養容器13、14a、14bのいずれかから排液容器6Aに排液できるようになっている。
【0015】
この様な排液回路5についても給液回路3と同様に、複数のシリコーンチューブを連結させて、排液分岐通路44、主排液通路43を構成し、これを2枚の薄い矩形状のシリコーン製のシー卜状部材45a、45bで上下から挟み込み、これらシート状部材45a、45b同士を接着して、必要な配置に位置決めした状態にてチューブを固定し、1枚の扁平なシート状体45を構成して一体化させている。この様なシート状体45においては、その一辺には排液分岐通路44の分岐接続部44A〜44Cが突出されて培養容器13、14a、14bの排液口13B、14Bと固着され、これと対向する辺には主排液通路43の下流側端部43Bが突出されている。さらに、分岐接続部44A〜44Cが突出された一辺と交差する分岐接続部44A側の辺には、分岐接続部44Dが突出されている。
【0016】
また、該シート状体45においては、排液ポンプ46の位置およびこの上流側に隣接するピンチバルブPV17の位置に対応する部分を、両者を網羅するように矩形を合わせて多角形状にくり抜き、これら排液ポンプ46、ピンチバルブPV17を挿入可能な開口部45Aとしてあり、シート状体45を細胞培養装置1の本体1A上に載置させた際に、排液ポンプ46およびピンチバルブPV17が開口部45A内に位置するようになっている。開口部45Aには主排液通路43を構成するチューブが、ピンチバルブPV17のピンチャーPVA、PVBの間に位置され、さらに排液ポンプ46の装着に必要な長さだけ引き出されて露出されている。
【0017】
循環回路11は、細胞培養装置1の本体上1Aに設けられた滅菌ガス供給装置7および気体供給装置8と接続されて、細胞培養装置1に設けられて、その上流側端部11Bは排液回路5と接続され、下流側端部11Aは給液回路3と接続されるようになっている。
循環回路11は上流側端部11Bの下流で第1通路41と第2通路42に分岐され、第1通路41は滅菌ガス供給装置7と接続され、第2通路42は気体供給装置8に接続されている。また.第1通路41と第2通路42は、滅菌ガス供給装置7および気体供給装置8の下流側で合流されて下流側端部11Aに至っている。
滅菌ガス供給装置7の上流側には、第1通路41に対応させてピンチバルブPV18が、下流側にはピンチバルブPV19がそれぞれ設けられ、気体供給装置8の上流側には、第2通路42に対応させてピンチバルブPV20が、下流側にはピンチバルブPV21がそれぞれ設けられている。
滅菌ガス供給装直7は過酸化水素蒸気等の滅菌ガスを発生させ、循環回路11から給液回路3を介して培養容器13、14a、14bへ供給し、排液回路5から回収するようになっている。また、気体供給装置8は第2容器22の純水を供給されて蒸気を発生させ、これをボンベ等から供給された二酸化炭素とともに循環回路11から給液回路3を介して培養容器13、14a、14bへ供給し、排液回路5から回収してこれを循環させるようになっている。このような気体供給装置8では、その内部で回路内の圧力を検出して蒸気供給を制御するとともに、二酸化炭素濃度を検出して二酸化炭素の供給を制御することで、培養容器13、14a、14b内を湿度100%に維持するとともに二酸化炭素濃度を所定濃度に保つようにしている。
【0018】
以上のように構成した細胞培養装置1によって細胞を培養する場合の作業手順と作動を説明する。
上記細胞培養装置1による細胞の培養作業の開始前の状態では、各給液容器21〜26、給液回路3、一次培養容器13,二次培養容器14a、14bおよび排液回路5は、細胞培養装置1の本体1Aに取付けられておらず、各給液容器21〜26はシート状体27として一体化された状態で、予め滅菌されて包装されている。また、シート状体35として一体化された給液回路3、および、シート状体45として一体化された排液回路5は、それぞれ培養容器13、14a、14bに接続された状態にて予め滅菌されて、シート状体35,45をそれぞれ培養容器13,14に重ねるように折り畳んだ状態で包装されている。
先ず、作業者はクリーンベンチ等の無菌空間内で、第1給液容器21〜第6給液容器26にそれぞれ収容すべき液体を各給排部21A〜26Aを介して注入し、各給排部21A〜26Aを図示しないピンチコックで挟んで密封する。
また、培養容器13、14a、14bを培養部2の加温体15上に載置するとともに、シート状体35からなる給液回路3を給液部4の所定位置に装着し、シート状体45からなる排液回路5を排液部6の所定位置に装着する。
【0019】
給液回路3の装着にあたっては、第2分岐通路33の各分岐接続部33A〜33Cをそれぞれに対応する開放状態のピンチバルブPV8〜PV10のピンチャーPVA、PVB間に位置させる。また、シート状体35の開口部35Bに露出する戻し通路34のチューブをピンチバルブPV11のピンチャーPVA、PVB間に位置させるとともに、開口部35Cに露出する第2分岐通路33のチューブをピンチバルブPV12のピンチャーPVA、PVB間に位置させる。
さらに開口部35Aに露出する主液通路31のチューブを、湾曲させてポンプ36のガイド部36Aに装着させる。また、第1分岐通路32の分岐接続部32Gを循環回路11の下流側端部11Aに接続するとともに、ピンチバルブPV7のピンチャーPVA、PVBの間に位置させる。
一方、排液回路5の装着にあたっては、排液分岐通路44の各分岐接続部44A〜44Cをそれぞれに対応する開放状態のピンチバルブPV13〜PV15のピンチャーPVA、PVB間に位置させ、さらに、開口部45Aに露出する主排液通路43のチューブをピンチバルブPV17のピンチャーPVA,PVB間に位置させるとともに、湾曲させて排液ポンプ46のガイド部46Aに装着させる。
また、主排液通路43の下流側端部43Bを排液容器6Aに接続するとともに、分岐接続部44Dを循環回路11の上流側端部11Bに接続するとともに、ピンチバルブPV16のピンチャーPVA、PVB間に位置させる。
【0020】
また、シート状体27からなる各容器21〜26については、給液部4の冷却体28上に載置させ、かつすでに装着されている給液回路3の各分岐接続部32A〜32Fと対向する各給排部21A〜26Aを各々接続するとともに、ピンチコックで挟んだ位置よりも先で各ピンチバルブPV1〜PV6のピンチャーPVA、PVB間に位置させてから、制御装置12を介した手動操作によりピンチバルブPV1〜PV6を一斉に閉塞状態とし、その後で各給排部21A〜26Aからピンチコックを取り外す。
【0021】
以上のようにして、各給液容器21〜26、給液回路3、培養容器13、14a、14b、排液回路5の細胞培養装置1本体1Aへの装着が完了したら、培養作業を開始する前に、今回接続したチューブの接続箇所および気体供給装置8の滅菌を行う。
すなわち、制御装置12は、ピンチバルブPV1〜PV6は閉鎖したまま、ピンチバルブPV19、PV7、PV12、PV8、PV13、PV16、PV18を開放させ、他のピンチバルブPVは閉鎖した状態にて、滅菌ガス供給装置7および給液ポンプ36を作動させる。これにより、滅菌ガスが給液回路3から一次培養容器13を通過し、排液回路5を経て循環回路11へ流通する。これにより、今回の接続箇所に滅菌ガスが行き渡り滅菌される。制御装置12は所定時間の間、滅菌ガスを循環させると、滅菌ガスに替えて無菌エアを循環させてエアレーションにより滅菌ガス成分を除去する。
接続箇所の滅菌が終了したら、ピンチバルブPV7、PV12、PV8、PV13、PV16を閉じてPV21、PV20を開き、気体供給装置8を対象に滅菌とエアレーションを行う。
【0022】
このようにして、滅菌操作が終了すると、制御装置12はピンチバルブPV2、PV12、PV8、PV13、PV16、PV20を開放させ、他のピンチバルブPVは閉鎖させた状態で給液ポンプ36を作動させて、第2容器22内の純水を気体供給装置8に内蔵したバッファタンクに送液する。
気体供給装置8に純水が供給されたら、一次培養のための細胞の播種を行う。すなわち、制御装置12はピンチバルブPV2を閉じてピンチバルブPV1を開き、また、ピンチバルブPV16、PV20を閉じてPV17を開いて給液ポンプ36および排液ポンプ46を作動させる。これにより、第1容器21内の細胞が一次培養容器13に供給される。これに引き続き、ピンチバルブPV1を閉じてピンチバルブPV5を開いて、一次培養容器13に所定量の血清を供給し、さらにピンチバルブPV5を閉じてピンチバルブPV4を開いて所定量の培地を供給する。なお、一次培養容器13への供給の間、排液ポンプ46を作動させることで、容器やチューブ内に収容されている気体を、ベントフィルタを介して外気に開放されている排液容器6Aに送気している。
【0023】
このように、細胞、血清、培地が一次培養容器13に供給されたら、制御装置12は、ピンチバルブPV21、PV7、PV12、PV8、PV13、PV16、PV20を開放させ、その他のピンチバルブPVは閉鎖させ、給液ポンプ36は作動させた状態として、循環回路11の第2通路42、給液回路3、一次培養容器13、排液回路5から再び第2通路42という循環経路を形成し、気体供給装置8から蒸気と二酸化炭素を供給して循環させるようになっている。このようにして一次培養容器13内で所定時間にわたって一次培養が行われ、この培養中においては、加温体15によって一次培養容器13は37℃に保温されており、また、上記循環経路は閉回路として形成されているため、気体供給装置8で蒸気を発生させることで、一次培養容器13内の湿度をほぼ100%に保つことができる。また、二酸化炭素を循環させながら、気体供給装置8で濃度を測定し消費分を補うため、一次培養容器13内を必要な二酸化炭素濃度に保つことができる。また、気体供給装置8で圧力を測定し、圧が高まり過ぎた場合には、ピンチバルブPV17を開放し、排液ポンプ46を作動させて圧を大気圧に下げるようにする。
【0024】
一次培養容器13で培養を開始してから所定時間が経過したら、制御装置12は排液部6のピンチバルブPV13、PV17を開放するとともに、ピンチバルブPV16、PV20は閉じて排液ポンプ46を所定時間作動させ、一次培養容器13の培地を排液容器6へ排出させる。なお、この際には細胞は一次培養容器13の底部に接着しており流出することはない。
この後、制御装置12は、給液ポンプ36は作動させたまま、ピンチバルブPV21、PV7は閉鎖してピンチバルブPV5を開放し、一次培養容器13に給液容器25から血清を所定量供給するとともに、引き続いてピンチバルブPV5を閉じてPV4を開き、給液容器24から培地を所定量供給する。これにより、培地交換作業が完了し、再び気体供給装置8から蒸気と二酸化炭素を供給させる循環経路を形成して、一次培養が継続される。
【0025】
必要な回数の培地交換を行いながら、培養開始から所定時間が経過して培養が充分に進行したら、一次培養容器13から二次培養容器14a、14bへ細胞を移す継代作業に入る。すなわち、制御装置12は気体供給装置8からの供給状態のまま、ピンチバルブPV13、PV17を開放するとともにピンチバルブPV16、PV20を閉鎖し、排液ポンプ46を所定時間作動させて、一次培養容器13から培地を排液容器6Aへ排出し、さらに、ピンチバルブPV6を開放し、給液ポンプ36は作動させてピンチバルブPV21、PV7を閉鎖し、給液容器26からPBSを一次培養容器13に供給する。供給後、再びピンチバルブPV21、PV7を開いてPV6を閉じ、一次培養容器13からPBSを排液させて容器内を洗い流す。
その後、ピンチバルブPV21、PV17を閉鎖し、PV3を開放させて、給液容器23から一次培養容器13にトリプシンを供給し、細胞を一次培養容器13の底部から剥離させる。なお、この際に、容器に振動を与えたり、傾斜させる機構を備えても良い。
この後、制御装置12はピンチバルブPV3を閉鎖するとともにPV4を開放させて、給液ポンプ36は作動させた状態にて、一次培養容器13に培地を所定量供給してから、ピンチバルブPV8,PV11、PV9を開き、PV12を閉鎖状態として、戻し通路34を使用して一次培養容器13から二次培養容器14aへ細胞を送り、さらに所定時間経過後、ピンチバルブPV9を閉じてPV10を開き、二次培養容器14bへ細胞を送る。なお、この間、ピンチバルブPV17は閉鎖状態として排液ポンプ46を停止させ、ピンチバルブPV13とPV14を開放して二次培養容器14aから一次培養容器13へ、また、PV13とPV15を開放して二次培養容器14bから一次培養容器13へ気体が流通できるようにしている。
【0026】
これらに引き続き、ピンチバルブPV5、PV9を開いて給液ポンプ36を作動させた状態で、PV13、PV15は閉じてPV14、PV17を開き排液ポンプ46を作動させて二次培養容器14aに血清を供給してトリプシンの作用を失活させ、その後、ピンチバルブPV5を閉じてPV4を開き、培地を供給する。これに引き続き、ピンチバルブPV9、PV14を閉鎖状態とし、PV10、PV15を開放状態として、二次培養容器14bを対象に血清と培地の供給を行う。これにより、継代作業が完了し、二次培養容器14a、14bにおいて二次培養が始まる。
その後は、一次培養の場合と同様にして、両二次培養容器14a、14b毎に培地交換作業を行いながら、所定時間にわたって培養を行い、充分な培養が確認されたら培養作業を終了する。
なお、この二次培養の際には、二次培養容器14a、14bに対して、それぞれ所定時間ずつ交互に蒸気と二酸化炭素を循環させて供給しており、二次培養容器14aの場合はピンチバルブPV21、PV7、PV9、PV14、PV16、PV20を開放状態とし、他のピンチバルブPVは閉鎖状態として循環経路を形成し、二次培養容器14bへ切り替える場合は、PV9、PV14を閉じてPV10、PV15を開くようにする。いずれの場合も給液ポンプ36は作動状態としている。
【0027】
上述した本実施例によれば、制御装置12によって各ピンチバルブPV、給液ポンプ36、排液ポンプ46を作動させることにより、自動的に細胞培養を実施することができる。また給液回路3、排液回路5は、全体としてシート状となっており、各液回路を構成するチューブは位置決めされているので、可搬性が良好となり、また、接続作業も容易で、接続ミスを防止することができる。
【0028】
なお、上記実施例においては、給液回路3、培養容器13、14および排液回路5を予め接続して一体化しているが、各々を分割し、または、給液容器21〜26を一体化したシート状体27を加えて一体化するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す細胞培養装置1の平面図。
【図2】シート状体27、シート状体35を示す斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1…細胞培養装置 3…給液回路
13…一次培養容器 14…二次培養容器
21…第1容器(給液容器) 22…第2容器(給液容器)
23…第3容器(給液容器) 24…第4容器(給液容器)
25…第5容器(給液容器) 26…第6容器(給液容器)
31…主液通路 32…第1分岐通路
33…第2分岐通路 34…戻し通路
35…シート状体 35a、35b…シート状部材
35A…開口部 35B…開口部
35C…開口部 36…給液ポンプ(ポンプ手段)
PV1〜21…ピンチバルブ(バルブ手段)
【出願人】 【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎


【公開番号】 特開2008−54603(P2008−54603A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236817(P2006−236817)