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【発明の名称】 培養スケジュール管理装置及び培養スケジュール管理プログラム
【発明者】 【氏名】加藤 竜司

【氏名】各務 秀明

【氏名】上田 実

【氏名】蛯沢 克己

【要約】 【課題】本発明は、高い安全性をもってコンタミネーションを防止することができ、かつ、作業スペース当りの培養細胞数が多い培養スケジュールを自動的に作成する培養スケジュール管理装置を提供することを目的とする。

【構成】本発明の培養スケジュールを管理装置は、培養開始時と標準スケジュールから各工程の実施予定時期を設定する手段と、実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程から最先の工程を選択する手段と、選択された工程の実施予定時期に空き作業スペースがあるか否かを判定する手段と、空き作業スペースがある場合にその時期及び作業スペースをその工程の実施時期及び実施作業スペースと決定する手段と、空き作業スペースが無い場合に工程の重要度から工程を実施する必要があるか否かを判定する手段と、工程を実施する必要がない場合に、工程を実施しないと決定する手段を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の作業スペースを用いて、生命体から採取された細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養するスケジュールを管理する装置であって、
細胞を培養する各工程の標準スケジュールを記憶している第1記憶手段と、
各工程の実施の必要性を示す重要度を記憶している第2記憶手段と、
各作業スペースの使用予定を示す作業スペース使用スケジュールを記憶している第3記憶手段と、
新たに培養を開始する細胞の培養開始時を入力する入力手段と、
入力された培養開始時とその細胞の標準スケジュールから、その細胞を培養する各工程の実施予定時期を設定する手段と、
細胞を培養する複数の工程のうち実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程の中から最先に実施される工程を1つ選択する手段と、
選択された工程の実施予定時期にその工程を実施するために使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第1判定手段と、
第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第1決定手段と、
第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースが無いと判定された場合に、選択された工程の重要度に基づいてその工程を実施する必要があるか否かを判定する第2判定手段と、
第2判定手段によって選択された工程を実施する必要がないと判定された場合に、選択された工程を実施しないことを決定する第2決定手段を有しており、
第2判定手段によって選択された工程を実施する必要があると判定されない限り、前記選択手段、第1判定手段及び第1決定手段若しくは前記選択手段、第1判定手段、第2判定手段及び第2決定手段を作動させることで、細胞を培養する各工程の実施の有無若しくは実施時期及び実施作業スペースを決定することを特徴とする培養スケジュール管理装置。
【請求項2】
決定された各工程の実施時期及び実施作業スペースに基づいて作業スペース使用スケジュールを更新することを特徴とする請求項1に記載の培養スケジュール管理装置。
【請求項3】
必ず実施する必要がある工程の変更許容範囲を記憶している第4記憶手段と、
第2判定手段によって選択された工程を実施する必要があると判定された場合に、その工程の変更許容範囲の期間にその工程を実施するのに使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第3判定手段と、
第3判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第3決定手段をさらに有していることを特徴とする請求項1または2に記載の培養スケジュール管理装置。
【請求項4】
選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定されることによって、選択された工程とその前工程との間の期間が所定時間以上に長くなる場合に、選択された工程と前工程との間の期間に実施予定時期が設定された新たな工程を追加する工程追加手段をさらに有していることを特徴とする請求項3に記載の培養スケジュール管理装置。
【請求項5】
選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定された場合に、その決定された実施時期とその細胞の標準スケジュールから、選択された工程以降の各工程の実施予定時期を再設定する手段をさらに有していることを特徴とする請求項3に記載の培養スケジュール管理装置。
【請求項6】
細胞を培養する各工程の標準スケジュールを記憶している第1記憶手段と、各工程の実施の必要性を示す重要度を記憶している第2記憶手段と、各作業スペースの使用予定を示す作業スペース使用スケジュールを記憶している第3記憶手段と、新たに培養を開始する細胞の培養開始時を入力する入力手段とに接続されたコンピュータに、1つまたは複数の作業スペースを用いて、生命体から採取された細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養するスケジュールを管理させるプログラムであって、
入力された培養開始時とその細胞の標準スケジュールから、その細胞を培養する各工程の実施予定時期を設定するステップと、
細胞を培養する複数の工程のうち実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程の中から最先に実施される工程を1つ選択する選択ステップと、
選択された工程の実施予定時期にその工程を実施するために使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第1判定ステップと、
第1判定ステップで使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第1決定ステップと、
第1判定ステップで使用可能な空き作業スペースが無いと判定された場合に、選択された工程の重要度に基づいてその工程を実施する必要があるか否かを判定する第2判定ステップと、
第2判定ステップで選択された工程を実施する必要がないと判定された場合に、選択された工程を実施しないことを決定する第2決定ステップをコンピュータに実行させるものであり、
第2判定ステップで選択された工程を実施する必要があると判定されない限り、コンピュータに、前記選択ステップ、第1判定ステップ及び第1決定ステップ若しくは前記選択ステップ、第1判定ステップ、第2判定ステップ及び第2決定ステップを実行させて、細胞を培養する各工程の実施の有無若しくは実施時期及び実施作業スペースを決定させることを特徴とする培養スケジュール管理プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の作業スペースを用いて、生命体から採取した細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養するスケジュールを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生命体から採取した細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養する技術が知られている。このような技術は、例えば、人間の治療や、生命体の研究等に用いられる。
細胞を培養する場合は、まず、生命体から細胞を採取し、採取した細胞を所定の状態(温度状態、湿度状態等)に維持された培養室内で保管する。それとともに、定期的に細胞を培養室から取り出し、所定の作業スペース(クリーンベンチ、細胞調整室、培養器、安全キャビネット、検査室等)を使用してその細胞に所定の工程(酵素処理等)を実施し、細胞を培養する。なお、採取した生命体、種類、培養する目的等が異なる細胞は、それぞれ区別して取り扱われる。以下では、区別された細胞を検体という。細胞の培養時には、検体毎に細胞を管理する。
複数の検体を培養する場合、各工程を何時、どの作業スペースを使用して実施するかといった培養スケジュールを検体毎に作成しなければならない。細胞に工程を実施するための作業スペースでは、コンタミネーション(細胞の取り違えや汚染等)を防止するために、同時に同一の作業スペースで2以上の検体に工程(処理)を実施してはいけないという安全性基準が定められている。したがって、各検体の培養スケジュール(すなわち、各工程の実施日時及び実施作業スペース)は、他の検体の各工程の実施日時及び実施作業スペースと重ならないように作成しなければならない。
上述した理由から、従来は、作業スペース管理者によって作業スペースの空き状況が管理され、この空き状況を見ながら各作業者が各検体の培養スケジュールを手作業で作成していた。
【0003】
なお、特許文献1には、同一の設備を共用する生産ラインで生産される製品の生産スケジュールを作成する装置が開示されている。ただし、特許文献1の技術は、細胞を培養するスケジュールを作成する技術に関するものではなく、また、製品を生産する際には上述したような安全性基準も必要とされない。したがって、細胞を培養するスケジュールを作成する場合に、特許文献1の技術をそのまま適用することはできない。
【0004】
【特許文献1】特開平7−234897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来は、作業スペースの空き状況を見ながら各作業者が各検体の培養スケジュールを手作業で作成していた。しかしながら、細胞を培養するには、細胞に対して多くの工程を実施する必要がある。このため、作業スペースの空き状況を確認しながら各工程の実施日時と実施作業スペースを決定するには大変な労力を必要とした。
また、細胞を効率的に培養するためには、1つの作業スペースでなるべく多くの工程を実施する必要がある。しかしながら、上述したように、各検体はコンタミネーションを防止するために他の検体と実施日時及び実施作業スペースが重ならないように工程を実施する必要がある。したがって、1つの作業スペース当りの培養検体数を多くしようとしても、作業スペースが空いている時間(作業スペースを使用していない時間)が無く、各検体の培養スケジュールを作成することができない。その結果、1つの作業スペース当りの培養検体数には限界があった。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、高い安全性をもってコンタミネーションを防止することができ、かつ、作業スペース当りの培養する細胞の数(検体数)を多くすることができる細胞培養スケジュールを自動的に作成することができる培養スケジュール管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、多くの細胞を培養してきた経験から、細胞を培養する各工程にも、必ず行わなければならない工程(重要度の高い工程)から必要に応じて省略できる工程(重要度の低い工程)まであることに気付き、この特性を利用することで、1つの作業スペースで多くの細胞を培養することを可能とした。すなわち、重要度が低い工程を実施する時期に作業スペースが空いていない場合は、その重要度が低い工程を省略(実施しないと決定)することで、従来ではスケジューリングが無理なケースについても培養スケジュールの作成を可能とした。
本発明の培養スケジュール管理装置は、細胞を培養する各工程の標準スケジュールを記憶している第1記憶手段と、各工程の実施の必要性を示す重要度を記憶している第2記憶手段と、各作業スペースの使用予定を示す作業スペース使用スケジュールを記憶している第3記憶手段と、新たに培養を開始する細胞の培養開始時を入力する入力手段と、入力された培養開始時とその細胞の標準スケジュールから、その細胞を培養する各工程の実施予定時期を設定する手段と、細胞を培養する複数の工程のうち実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程の中から最先に実施される工程を1つ選択する選択手段と、選択された工程の実施予定時期にその工程を実施するために使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第1判定手段と、第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第1決定手段と、第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースが無いと判定された場合に、選択された工程の重要度に基づいてその工程を実施する必要があるか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段によって選択された工程を実施する必要がないと判定された場合に、選択された工程を実施しないことを決定する第2決定手段を有している。そして、第2判定手段によって選択された工程を実施する必要があると判定されない限り、前記選択手段、第1判定手段及び第1決定手段若しくは前記選択手段、第1判定手段、第2判定手段及び第2決定手段を作動させることで、細胞を培養する各工程の実施の有無若しくは実施時期及び実施作業スペースを決定することを特徴とする。
この培養スケジュール管理装置では、選択された工程の実施予定時期に使用可能な空き作業スペースが無い場合には、第2判定手段が選択された工程の重要度に基づいて選択された工程を実施する必要があるか否かを判定する。そして、選択された工程を実施する必要が無い場合には、第2決定手段が選択された工程を実施しないことを決定する。したがって、重要度が低い工程の実施予定時期に空き作業スペースが無い場合には、その工程を実施しない培養スケジュールが作成される。したがって、他の細胞(検体)と実施時期及び実施作業スペースが重複せず、かつ、培養開始時に培養を開始できる培養スケジュールを作成することができる。
【0008】
上述した培養スケジュール管理装置は、決定された各工程の実施時期及び実施作業スペースに基づいて作業スペース使用スケジュールを更新することが好ましい。
このような構成によれば、培養スケジュール作成後にその培養スケジュールが作業スペース使用スケジュールに反映されるので、次回に新たな細胞の培養スケジュールを作成する時に好適にその培養スケジュールを作成することができる。
【0009】
なお、細胞を培養する工程のうち必ず実施しなければならない工程であっても、その工程を実施する時期については変更してもよい場合がある。したがって、上述した培養スケジュール管理装置は、必ず実施する必要がある工程の変更許容範囲を記憶している第4記憶手段と、第2判定手段によって選択された工程を実施する必要があると判定された場合に、その工程の変更許容範囲の期間にその工程を実施するのに使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第3判定手段と、第3判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第3決定手段をさらに有していることが好ましい。
このような構成によれば、必ず実施する必要がある工程の実施予定時期に使用可能な空き作業スペースが無い場合には、第3判定手段が選択された工程の変更許容範囲の期間に使用可能な空き作業スペースがあるか否かを判定する。そして、変更許容範囲の期間に使用可能な空き作業スペースがある場合には、第3決定手段によってその使用可能な時期及び作業スペースが選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定される。したがって、必ず実施する必要がある工程の実施予定時期に使用可能な空き作業スペースが無い場合にも、培養開始時に培養を開始し、好適に細胞を培養できる培養スケジュールを作成することができる。
【0010】
上述した培養スケジュール管理装置は、選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定されることによって、選択された工程とその前工程との間の期間が所定時間以上に長くなる場合に、選択された工程と前工程との間の期間に実施予定時期が設定された新たな工程を追加する工程追加手段をさらに有していることが好ましい。
このような構成によれば、選択された工程の実施時期とその前工程の実施時期との間の期間が所定時間以上に長くなる場合には、その期間に実施予定時期が設定された新たな工程が追加される。したがって、工程と工程の間の期間が所定時間以上とならない培養スケジュールを作成することができる。
【0011】
上述した培養スケジュール管理装置は、選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定された場合に、その決定された実施時期とその細胞の標準スケジュールから、選択された工程以降の各工程の実施予定時期を再設定する手段をさらに有していることが好ましい。
このような構成によれば、第3決定手段によって実施時期及び実施作業スペースが決定された工程以降の工程の実施時期をより好適に決定することができる。
【0012】
また、本発明は、空き作業スペースがあまり無い状況においても、培養開始時に培養を開始し、好適に細胞を培養できる培養スケジュールを作成することができる培養スケジュール管理プログラムを提供する。
この培養スケジュール管理プログラムは、細胞を培養する各工程の標準スケジュールを記憶している第1記憶手段と、各工程の実施の必要性を示す重要度を記憶している第2記憶手段と、各作業スペースの使用予定を示す作業スペース使用スケジュールを記憶している第3記憶手段と、新たに培養を開始する細胞の培養開始時を入力する入力手段とに接続されたコンピュータに、1つまたは複数の作業スペースを用いて、生命体から採取された細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養するスケジュールを管理させる。すなわち、このプログラムは、入力された培養開始時とその細胞の標準スケジュールから、その細胞を培養する各工程の実施予定時期を設定するステップと、細胞を培養する複数の工程のうち実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程の中から最先に実施される工程を1つ選択する選択ステップと、選択された工程の実施予定時期にその工程を実施するために使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する第1判定ステップと、第1判定ステップで使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する第1決定ステップと、第1判定ステップで使用可能な空き作業スペースが無いと判定された場合に、選択された工程の重要度に基づいてその工程を実施する必要があるか否かを判定する第2判定ステップと、第2判定ステップで選択された工程を実施する必要がないと判定された場合に、選択された工程を実施しないことを決定する第2決定ステップをコンピュータに実行させるものである。そして、第2判定ステップで選択された工程を実施する必要があると判定されない限り、演算装置に、前記選択ステップ、第1判定ステップ及び第1決定ステップ若しくは前記選択ステップ、第1判定ステップ、第2判定ステップ及び第2決定ステップを実行させて、細胞を培養する各工程の実施の有無若しくは実施時期及び実施作業スペースを決定させることを特徴とする。
この培養スケジュール管理プログラムによっても、空き作業スペースがあまり無い状況において、他の細胞(検体)と実施時期及び実施作業スペースが重複せず、かつ、培養開始時に培養を開始できる培養スケジュールを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1)培養スケジュール管理装置は、1つまたは複数の作業スペースを用いて、人間から採取された細胞に複数の工程を実施してその細胞を培養するスケジュールを管理する。
(形態2)培養スケジュール管理装置は、第1記憶手段と、第2記憶手段と、第3記憶手段と、第4記憶手段と、入力手段と、設定手段と、選択手段と、第1判定手段と、第1決定手段と、第2判定手段と、第2決定手段と、第3判定手段と、第3決定手段と、工程追加手段と、再設定手段を有している。
(形態3)第1記憶手段は、細胞を培養する各工程の標準スケジュールを記憶している。
(形態4)第2記憶手段は、各工程の実施の必要性を示す重要度を記憶している。
(形態5)第3記憶手段は、各作業スペースの使用予定を示す作業スペース使用スケジュールを記憶している。
(形態6)第4記憶手段は、重要度が高い工程の実施時期の変更許容範囲を記憶している。
(形態7)入力手段は、新たに培養を開始する細胞の培養開始時を入力する。
(形態8)設定手段は、入力された培養開始時とその細胞の標準スケジュールから、その細胞を培養する各工程の実施予定時期を設定する。
(形態9)選択手段は、細胞を培養する複数の工程のうち実施時期及び実施作業スペースが決定されていない工程の中から最先に実施される工程を1つ選択する。
(形態10)第1判定手段は、選択された工程の実施予定時期にその工程を実施するために使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する。
(形態11)第1決定手段は、第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する。
(形態12)第2判定手段は、第1判定手段によって使用可能な空き作業スペースが無いと判定された場合に、選択された工程の重要度に基づいてその工程を実施する必要があるか否かを判定する。
(形態13)第2決定手段は、第2判定手段によって選択された工程を実施する必要がないと判定された場合に、選択された工程を実施しないことを決定する。
(形態14)第3判定手段は、第2判定手段によって選択された工程を実施する必要があると判定された場合に、その工程の変更許容範囲の期間にその工程を実施するのに使用可能な空き作業スペースがあるか否かを作業スペース使用スケジュールに示される作業スペース空き状況から判定する。
(形態15)第3決定手段は、第3判定手段によって使用可能な空き作業スペースがあると判定された場合に、その使用可能な時期及び作業スペースを選択された工程の実施時期及び実施作業スペースとして決定する。
(形態16)工程追加手段は、選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定されることによって、選択された工程とその前工程との間の期間が所定時間以上に長くなる場合に、選択された工程と前工程との間の期間に実施予定時期が設定された新たな工程を追加する。
(形態17)再設定手段は、選択された工程の実施時期及び実施作業スペースが第3決定手段によって決定された場合に、その決定された実施時期とその細胞の標準スケジュールから、選択された工程以降の各工程の実施予定時期を再設定する。
(形態18)培養スケジュール管理装置は、第3判定手段によって使用可能な空き作業スペースが無いと判定されない限り、前記選択手段、第1判定手段及び第1決定手段若しくは前記選択手段、第1判定手段、第2判定手段及び第2決定手段若しくは前記選択手段、第1判定手段、第2判定手段、第3判定手段、第3決定手段、工程追加手段及び再設定手段を作動させることで、細胞を培養する各工程の実施の有無若しくは実施時期及び実施作業スペースを決定する。
(形態19)培養スケジュール管理装置は、決定された各工程の実施時期及び実施作業スペースに基づいて作業スペース使用スケジュールを更新する。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の培養スケジュール管理装置10を示している。培養スケジュール管理装置10は、病院等に設置されており、患者から採取した細胞を培養するスケジュールを管理する。培養スケジュール管理装置10について説明する前に、細胞を培養する工程について説明する。
【0015】
病院では、患者の体から細胞を採取し、採取した細胞を培養し、培養した細胞を用いて患者を治療するという治療が行われる。医師により患者の体から細胞が採取されると、採取された細胞は細胞処理センター(以下ではCPC(Cell Processing Center)という)に運ばれる。CPCでは、細胞が容器に移され、その容器内の細胞に対して細胞を識別するためのID番号が付与される。以下では、1つのID番号が付与された細胞を1ロットの細胞という。病院では多数の患者から細胞が採取されるので、CPCでは各患者の細胞をそれぞれ異なるロットとして管理することとなる。また、同一の患者から採取した細胞を目的に応じて複数のロットに分ける場合もある。したがって、CPCでは多数のロットの細胞を管理する。ID番号を付与された細胞は、CPC内の培養室内に容器ごと移され、そこで保管される。培養室内で保管されている細胞は、定期的に培養室から取り出され、各種の工程を実施される。これによって、細胞は培養される。細胞に実施する各工程は、クリーンベンチ(無菌状態で作業を行うための作業場所)で実施される。本実施例のCPC内には2つのクリーンベンチX、Yが設置されており、各工程はいずれかのクリーンベンチで実施される。
【0016】
培養スケジュール管理装置10は、細胞の培養スケジュールをロット毎に管理する。すなわち、各ロットの細胞に対して実施する各工程を、何時、どのクリーンベンチを使用して実施するかという培養スケジュールを管理する。また、培養スケジュール管理装置10は、新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールを作成する。図1に示すように、培養スケジュール管理装置10は、サーバ20と、サーバ20と通信回線40によって接続された複数の通信端末42〜48によって構成されている。
【0017】
サーバ20は、演算装置22と、記憶装置24と、入力装置26と、表示装置28を備えている。記憶装置24は、工程実施条件データ30と、クリーンベンチスケジュールデータ32と、培養スケジュールデータ34と、培養スケジュール作成プログラム36を記憶している。
【0018】
図2に示すように、工程実施条件データ30は、細胞を培養する工程毎に、その標準実施日、標準処理時間、重要度、実施可能時間、変更許容範囲を記述している。工程実施条件データ30の工程は、細胞を培養するための標準的な一連の工程を示している。標準実施日は、細胞を好適に培養することができる各工程の標準的な実施日(細胞の培養を開始した開始日からの経過日数)を示している。例えば、前処理工程の標準実施日は培養を開始する初日であり、最終調整工程の標準実施日は培養を開始してから20日目である。標準処理時間は、その工程を実施するのに要する時間を示している。標準処理時間は、通常にその工程を実施した場合に、最大限必要な時間に設定されている。例えば、前処理工程の標準処理時間は2時間であり、通常に実施する場合、2時間以内に前処理工程を終了することができることを示している。なお、図2の工程、標準実施日及び標準処理時間は、各工程の標準的な実施時期を示す標準スケジュールである。重要度は、その工程を実施しなかった場合の細胞に対する影響の大きさに基づいて決定されている。重要度2は、その工程を必ず実施する必要があることを示しており、重要度1は、その工程を必ずしも実施する必要が無いことを示している。実施可能時間は各工程を実施することができる時間を示している。実施可能時間は、各工程の重要度に応じて決定されている。重要度2の工程は、平日の9:00〜17:00に実施することができ、重要度1の工程は、平日及び休日の9:00〜19:00に実施することができることを示している。変更許容範囲は、重要度2の工程の実施日の変更許容範囲であり、その工程をどれだけ遅らせて実施してもよいかを示している。
【0019】
クリーンベンチスケジュールデータ32は、図3に示すように、クリーンベンチX及びYの使用予定を示すデータである。すなわち、クリーンベンチスケジュールデータ32は、各時間帯においてクリーンベンチX及びYを何れのロットの細胞に対し何れの工程を実施するために使用するかを示している。例えば、2006/7/3の9:00〜10:00には、クリーンベンチXはロットAの細胞に対して前処理工程を実施するために使用され、クリーンベンチYはロットEの細胞に対して回収・継代工程を実施するために使用されることを示している。
【0020】
培養スケジュールデータ34は、図4に示すように、各ロットの細胞の各工程の実施時期及びその工程を実施するために使用するクリーンベンチを示したデータである。例えば、ロットAの細胞の前処理工程は、2006/7/3の9:00〜11:00にクリーンベンチXを使用して実施することを示している。
【0021】
培養スケジュール作成プログラム36は、演算装置22により読み出され、実行される。これによって、演算装置22に新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールを作成する処理を実行させる。
【0022】
入力装置26は、キーボード、マウス等によって構成されており、演算装置22と接続されている。入力装置26を操作することによって演算装置22に信号が入力される。
【0023】
表示装置28は、演算装置22と接続されており、演算装置22から入力される信号に応じて画像を表示する。
【0024】
演算装置22は、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。演算装置22は、記憶装置24、入力装置26、表示装置28と接続されている。演算装置22には、入力装置26から各種の信号が入力される。また、演算装置22は、通信回線40に接続されている。演算装置22は、通信回線40を介して各通信端末42〜48から送信された各種のデータを受信する。演算装置22は、入力装置26から入力された信号または通信回線40から受信したデータに応じて演算を実行する。演算装置22による演算結果は、表示装置28に表示される。また、演算装置22は、培養スケジュール作成プログラム36を実行することによって、新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールを作成する。演算装置22は、培養スケジュール作成プログラム36を実行することによって、請求項に記載した設定手段、選択手段、第1判定手段と、第1決定手段、第2判定手段、第2決定手段、第3判定手段、第3決定手段、工程追加手段及び再設定手段として機能する。
【0025】
通信端末42は、CPC内に設置されている。通信端末42は通信回線40を介してサーバ20と接続されている。通信端末42は、演算装置42aと、入力装置42bと、表示装置42cを備えている。
入力装置42bは、キーボード、マウス等によって構成されており、演算装置42aと接続されている。入力装置42bを操作することによって演算装置42aに信号が入力される。
表示装置42cは、演算装置42aと接続されており、演算装置42aから入力される信号に応じて画像を表示する。
演算装置42aは、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。演算装置42aは、通信回線40を介してサーバ20と接続されている。また、演算装置42aは、入力装置42b及び表示装置42cと接続されている。演算装置42aは入力装置42bから入力される信号に応じて演算を実行し、表示装置42cに演算結果を表示させる。
例えば、通信端末42の入力装置42bを操作して所定の信号を演算装置42aに入力することで、演算装置42aに通信回線40を介してサーバ20が記憶している工程実施条件データ30、クリーンベンチスケジュールデータ32、培養スケジュールデータ34等を読出させ、表示装置42cに演算装置42aに読出させたデータを表示させることができる。したがってCPC内の作業者は、通信端末42によって各ロットの培養スケジュール等を確認することができる。
【0026】
通信端末44は、細胞の培養工程の品質を管理する品質管理部門の室内に設置されている。通信端末44は、通信回線40を介してサーバ20と接続されている。通信端末44は、通信端末42と同様に構成されており、演算装置44aと、入力装置44bと、表示装置44cを備えている。
【0027】
通信端末46は、CPCで実施する各工程に関する文書を管理する文書管理部門の室内に設置されている。通信端末46は、通信回線40を介してサーバ20と接続されている。通信端末46は、通信端末42と同様に構成されており、演算装置46aと、入力装置46bと、表示装置46cを備えている。
【0028】
通信端末48は、患者から細胞を採取する医師の医局に設置されている。通信端末48は、通信回線40を介してサーバ20と接続されている。通信端末48は、通信端末42と同様に構成されており、演算装置48aと、入力装置48bと、表示装置48cを備えている。また、通信端末48では、入力装置48bを操作することによって、培養スケジュール作成プログラム36の実行を指示する信号をサーバ20に送信することができる。
【0029】
次に、培養スケジュール管理装置10によって新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールを作成する処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。患者との打合せにより患者の体から細胞を採取する手術の日付を決定する時に、医師は、通信端末48の入力装置48bを操作することによって、演算装置48aからサーバ20に培養スケジュール作成プログラム36の実行を指示する信号を送信する。サーバ20の演算装置22は、送信された信号を受信すると、記憶装置24から培養スケジュール作成プログラム36を読み出し、これを実行する。これによって、新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールの作成が開始される。
【0030】
演算装置22は、培養スケジュール作成プログラム36を実行すると、通信端末48に所定のデータを送信し、通信端末48の表示装置48cに新たに培養を開始する細胞の培養開始日を入力することを求めるメッセージを表示させる。医師が入力装置48bを操作して培養開始日を入力すると、演算装置48aは入力された培養開始日を示すデータをサーバ20に送信する。サーバ20の演算装置22は、送信された培養開始日を示すデータを受信すると(ステップS2)、記憶装置24から工程実施条件データ30を読み出す。そして、工程実施条件データ30が示す各工程の標準実施日(図2参照)と、受信した培養開始日を示すデータとに基づいて、各工程の実施予定日を設定した実施予定日データ38を作成する(ステップS4)。このとき、演算装置22は、ステップS2で受信したデータが示す培養開始日に培養を開始し、工程実施条件データ30が示す標準実施日にしたがって各工程を実施するように実施予定日データ38を算出する。例えば、医師が培養開始日として2006/7/3を入力すると、演算装置22は図6に示すように各工程の実施予定日を設定した実施予定日データ38を算出する。
【0031】
ステップS6では、演算装置22は、実施日時(後述するステップS10及びS22で決定される)が決定されていない工程または実施しないこと(後述するステップS14で決定される)を決定されていない工程のうち最先に実施される工程を選択する。例えば、最初のステップS6では、いずれの工程の実施日時も決定されていないので、最初の工程である前処理工程が選択される。また、前処理工程の実施日時を決定した後のステップS6では、初代培養工程が選択される。
【0032】
工程を選択すると、演算装置22は、記憶装置24からクリーンベンチスケジュールデータ32を読み出す。そして、クリーンベンチスケジュールデータ32が示すクリーンベンチの空き状況(図3参照)と、工程実施条件データ30が示す標準処理時間及び実施可能時間(図2参照)に基づいて、実施予定日データ38が示す選択した工程の実施予定日にその工程を実施できる空きクリーンベンチがあるか否かを判定する(ステップS8)。
例えば、図6に示すように実施予定日が設定された前処理工程を演算装置22が選択しており、クリーンベンチの空き状況が図3に示すような状況である場合を考える。このとき、前処理工程の実施可能時間は、平日の9:00〜17:00である。したがって、図3から前処理工程の実施予定日である2006/7/3にクリーンベンチXが空いている時間は、13:00〜17:00である。また、クリーンベンチYが空いている時間は無い。一方、前処理工程の標準処理時間は、2時間である。したがって、13:00〜17:00の時間帯にクリーンベンチXで前処理工程を実施することができる(すなわち、クリーンベンチXが2時間以上空いている)ので、演算装置22は前処理工程を実施できる空きクリーンベンチがあると判定する。
【0033】
演算装置22は、選択した工程を実施できる空きクリーンベンチがあると判定すると、その実施予定日の実施可能な時間帯を、選択した工程の実施日時に決定し、その実施可能なクリーンベンチを、選択した工程を実施するクリーンベンチに決定する(ステップS10)。このとき、演算装置22は、選択した工程を実施できる時間帯のうち最も早い時間帯を、選択した工程の実施日時に決定する。
例えば、上述した前処理工程の場合、実施日時は2006/7/3の13:00〜15:00に決定され、実施するクリーンベンチはクリーンベンチXに決定される。
ステップS10で選択した工程の実施日時及び実施するクリーンベンチを決定すると、演算装置22は後述するステップS28を実行する。
【0034】
演算装置22は、選択した工程を実施できる空きクリーンベンチが無いと判定すると(ステップS8でNO)、その選択した工程の重要度が1であるか否かを判定する(ステップS12)。選択した工程の重要度が1であるときは、演算装置22は、選択した工程を実施しないことを決定する(ステップS14)。
例えば、演算装置22は、ステップS6で図6のAに示す細胞観察工程(実施予定日が2006/7/5となっている細胞観察工程)を選択すると、ステップS8の判定を実行する。図3に示すように、2006/7/5にクリーンベンチX及びYが空いていないと、演算装置22はステップS8で細胞観察工程Aを実施可能な空きクリーンベンチが無いと判定する。また、演算装置22は、細胞観察工程Aの重要度が1であるので、ステップS12でYESと判定する。すると、演算装置22はステップS14で細胞観察工程Aを実施しないことを決定する。
選択した工程を実施しないことを決定すると、演算装置22は後述するステップS28を実行する。
【0035】
演算装置22は、重要度が1でない(すなわち、重要度が2である)と判定すると(ステップS12でNO)、工程実施条件データ30が示す選択した工程の変更許容範囲(図2参照)とその工程の実施予定日から、その工程の変更可能期間を算出する(ステップS16)。このとき、変更可能期間は、選択した工程の実施予定日の次の日から起算して算出される。
例えば、図6のBに示す回収・継代工程(実施予定日が2006/7/9となっている細胞観察工程)が選択されている場合、2006/7/9は日曜日であり、回収・継代工程の実施可能時間は平日の9:00〜17:00であるので、演算装置22は、ステップS8でNOと判定する。また、回収・継代工程の重要度は2であるので、演算装置22はステップS12でNOと判定する。すると、演算装置22は、回収・継代工程の変更許容範囲(図2に示すように、回収・継代工程の変更許容範囲は3日である)と回収・継代工程Bの実施予定日である2006/7/9から、回収・継代工程Bの変更可能期間として2006/7/10〜2006/7/12の期間を算出する。
【0036】
演算装置22は、選択した工程の変更可能期間を算出すると、クリーンベンチの空き状況と、標準処理時間と、実施可能時間に基づいて、算出した変更可能期間に選択した工程を実施できる空きクリーンベンチがあるか否かを判定する(ステップS18)。算出した変更可能期間に選択した工程を実施できる空きクリーンベンチが無いと判定すると、演算装置22は、ステップS2で受信した培養開始日に細胞の培養を開始できないことを示すデータを通信端末48に送信する(ステップS20)。すると、通信端末48の演算装置48aがそのデータを受信し、表示装置48cにその旨を示すメッセージを表示させる。これによって、医師に入力された培養開始日に細胞の培養を開始できないことが通知される。またこの場合、演算装置22は、記憶装置24が記憶しているクリーンベンチスケジュールデータ32、培養スケジュールデータ34等の何れのデータも変更することなく処理を終了する。
例えば、上述した回収・継代工程Bが選択した工程の場合、2006/7/10〜2006/7/12の期間において、回収・継代工程の標準処理時間である3時間以上クリーンベンチX及びYが空いていないときには、演算装置22はステップS18でNOと判定する。すると、演算装置22は、ステップS20を実行し、処理を終了する。このとき、演算装置22は、回収・継代工程B以前の工程に対して決定した実施日時及び実施するクリーンベンチのデータを消去し、記憶装置24が記憶している何れのデータも変更しない。
【0037】
演算装置22は、変更可能期間に選択した工程を実施できる空きクリーンベンチがあると判定すると(ステップS18でYES)、その実施可能な日時を選択した工程の実施日時に決定し、その実施可能なクリーンベンチを選択した工程を実施するクリーンベンチに決定する(ステップS22)。このとき、演算装置22は、選択した工程を実施できる日時のうち最も早い日時を、選択した工程の実施日時に決定する。演算装置22は、実施日時及び実施するクリーンベンチを決定すると、選択した工程以降の工程の実施予定日をステップS22で決定された選択した工程の実施日に対応させて変更する(ステップS24)。すなわち、ステップS22で決定された選択した工程の実施日は、ステップS4で設定された実施予定日よりも遅い日に決定されている。演算装置22は、選択した工程の実施日の実施予定日に対する遅れの分だけ、選択した工程以降の工程の実施予定日を遅らせる。次に、演算装置22は、その実施予定日データ38の選択した工程とその前工程との間の日に、新たに細胞観察工程を追加する(ステップS26)。
例えば、上述した回収・継代工程Bが選択した工程である場合に、2006/7/11の13:00〜17:00の時間帯にクリーンベンチXが空いていると、回収・継代工程Bの標準処理時間である3時間以上クリーンベンチXが空いているので、演算装置22はステップS18でYESと判定する。すると、演算装置22は、ステップS22で回収・継代工程Bの実施日時を2006/7/11の13:00〜16:00に決定する。また、演算装置22は、回収・継代工程を実施するクリーンベンチをクリーンベンチXに決定する。すると、演算装置22は、ステップS24で、実施予定日データ38の回収・継代工程B以降の工程の実施予定日を、回収・継代工程Bの実施日(すなわち、2006/7/11)に対応させて変更する。すると、図6に示す実施予定日データ38が図7に示すように変更される。次に、演算装置22は、図7のCに示す細胞観察工程と回収・継代工程Bとの間の日(すなわち、2006/7/9と2006/7/10)に、新たに細胞観察工程D、Eを追加する。これによって、図8に示すように実施予定日データ38が変更される。
【0038】
ステップS28では、演算装置22は、実施予定日データ38に示されている工程のうち、実施日時(または実施しないこと)を決定していない工程があるか否かを判定する。実施日時を決定していない工程がある場合は、演算装置22はステップS6で新たな工程を選択する。したがって、演算装置22は、実施日時を決定していない工程が無くなるまでステップS6〜ステップS28を繰り返し実行し、すべての工程の実施日時を決定する(または、受信した培養開始日に細胞の培養を開始できないことを示すデータを通信端末48に送信する)。これによって、各工程の実施日時及び実施するクリーンベンチを示す培養スケジュールが作成される。
なお、上述したように、ステップS4では、演算装置22は、実施日時が決定されていない工程のうち最先に実施される工程を選択する。したがって、ステップS26で細胞観察工程が追加された場合は、追加された細胞観察工程のうち最先に実施される工程が選択される。また、追加されたすべての細胞観察工程の実施日時を決定したときは、ステップS6ではステップS22で実施日時が決定された工程の次の工程が選択される。
例えば、図8に示す実施予定日データ38では、回収・継代工程Bの実施日時が決定された後のステップS6では、細胞観察工程Dが選択される。細胞観察工程Dの実施日時(または実施しないこと)が決定されると、細胞観察工程Eが選択される。細胞観察工程Eの実施日時が決定されると、回収・継代工程Bは既に実施日時が決定されているので、Fに示す細胞観察工程が選択される。このようにして、実施予定日データ38が示す全ての工程の実施日時及び実施するクリーンベンチが決定され、図9に示すように培養スケジュールが作成される。なお、追加された細胞観察工程D,Eは重要度1の工程であるので、仮に細胞観察工程D,Eを実施するクリーンベンチが空いていなければ、その細胞観察工程は実施されない。したがって、細胞観察工程D,Eを追加しても、既に決定された回収・継代工程Bに影響が出ることはない。
【0039】
演算装置22は、全ての工程の実施日時及び実施するクリーンベンチを決定すると、決定した各工程の実施日時及び実施するクリーンベンチに基づいて、培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32を更新する(ステップS30)。これによって、新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールが培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32に反映される。また、演算装置22は、更新した培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32を通信端末48に送信し(ステップS32)、作成した培養スケジュールを通信端末48に表示させる。これによって、医師に、新たに培養を開始する細胞の培養スケジュールが通知される。演算装置22は、通信端末48に更新した培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32を送信すると、処理を終了する。
【0040】
以上のようにして決定された各工程の実施日時は、サーバ20及び各通信端末42〜48を操作することによって、マニュアルで変更することもできる。例えば、サーバ20によってマニュアル変更する場合は、入力装置26を操作して演算装置22に記憶装置24から培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32を読み出させる。すると、表示装置28に培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32が表示される。次に、入力装置26によって実施日時を変更したい工程を選択し、その工程を実施したい日時を指定する。すると、演算装置22が指定された日時に選択された工程を実施できる空きクリーンベンチがあるか否かを判定する。このとき、演算装置22は、クリーンベンチスケジュールデータ32が示すクリーンベンチの空き状況及び工程実施条件データ30に基づいて、指定された日時にその工程を実施できる空きクリーンベンチがあるか否かを判定する。指定された日時に空きクリーンベンチがある場合には、演算装置22は、選択された工程の実施日時を指定された日時に変更する。すなわち、演算装置22は、培養スケジュールデータ34及びクリーンベンチスケジュールデータ32の選択された工程の実施日時を変更する。また、指定された日時に選択された工程を実施できる空きクリーンベンチがない場合には、演算装置22は、その変更を拒否し、表示装置28に変更を拒否することを示すメッセージを表示させる。これによって、適切でない変更が行われることが防止される。
【0041】
以上に説明したように、本実施例の培養スケジュール管理装置10では、演算装置22が、選択した工程の実施予定日に使用可能な空きクリーンベンチが無い場合には、選択した工程の重要度に基づいて選択した工程を実施する必要があるか否かを判定する。そして、選択した工程を実施する必要が無い場合には、選択された工程を実施しないことを決定する。したがって、重要度が1の工程(すなわち細胞観察工程)の実施予定日に空きクリーンベンチが無い場合には、その工程を実施しない培養スケジュールが作成される。したがって、空きクリーンベンチがあまり無い状況においても、他の細胞(検体)と実施時期及び実施するクリーンベンチが重複せず、かつ、培養開始時に培養を開始できる培養スケジュールを作成することができる。
【0042】
また、培養スケジュール管理装置10では、演算装置22が、新たに培養を開始する細胞について決定した各工程の実施時期及び実施するクリーンベンチに基づいてクリーンベンチスケジュールデータ32及び培養スケジュールデータ34を更新する。したがって、次回に新たな細胞の培養スケジュールを作成する時に、既に作成されている細胞の培養スケジュールを考慮して、好適にその培養スケジュールを作成することができる。
【0043】
また、培養スケジュール管理装置10では、演算装置22は、重要度が2の工程の実施予定日に空きクリーンベンチが無い場合には、その実施予定日と選択した工程の変更許容範囲から、変更可能期間を算出する。そして、その変更可能期間に選択した工程を実施できる空きクリーンベンチが有る場合には、その実施可能な時期を選択した工程の実施時期に決定し、その実施可能なクリーンベンチをその工程を実施するクリーンベンチに決定する。したがって、重要度が2の工程の実施予定日に空きクリーンベンチが無い場合にも、他の細胞(検体)と実施時期及び実施するクリーンベンチが重複せず、かつ、培養開始時に培養を開始できる培養スケジュールを作成することができる。
【0044】
また、培養スケジュール管理装置10では、演算装置22は、ステップS22で選択した工程の実施時期を実施予定日と異なる日に決定すると、ステップS26で選択した工程の実施日とその前工程の実施日との間の日を実施予定日とする細胞観察工程を実施予定日データ38に追加する。したがって、その追加した細胞観察工程を実施予定日に実施可能であれば、選択した工程とその前工程との間の日に細胞観察工程を実施する培養スケジュールが作成される。
【0045】
また、培養スケジュール管理装置10では、演算装置22は、ステップS22で選択した工程の実施時期を実施予定日と異なる日に決定すると、ステップS24で選択した工程以降の各工程の実施予定日を再設定する。したがって、その選択した工程以降の工程の実施時期がより好適に決定される。
【0046】
なお、上述した培養スケジュール管理装置10では、細胞を培養する工程はクリーンベンチX、Yのいずれかで実施されるため、クリーンベンチX、Yの使用スケジュールに基づいて細胞の培養スケジュールを作成した(すなわち、培養スケジュール管理装置10は、クリーンベンチX,Yの使用スケジュールを作成、管理していたともいえる。)。しかしながら、本発明はこのような形態に限られず、本発明の技術は、細胞を培養する各工程を実施する際に、一の検体(一の細胞)によって占有される作業スペース(すなわち、各工程の作業時に一の検体によって占有されるよう設定された空間)の使用スケジュールを作成、管理する場合に適用することができる。例えば、細胞を培養する工程を他の作業スペース(例えば、細胞調整室、培養器、安全キャビネット、検査室等)を用いて実施する場合には、それらの作業スペースの使用スケジュールを作成し、その使用スケジュールに基づいて細胞の培養スケジュールを作成することができる。また、各工程で使用する作業スペースが異なる場合(例えば、細胞観察工程は検査室を使用し、他の工程はクリーンベンチを使用する場合等)は、それらの作業スペース毎に使用スケジュールを作成し、それらの使用スケジュールに基づいて細胞の培養スケジュールを作成してもよい。
【0047】
また、上述した培養スケジュール管理装置10は、CPCで培養する細胞の培養スケジュールを作成したが、研究室レベル等の比較的小さい規模で細胞を培養する場合にも、細胞の培養スケジュールを作成することができる。
【0048】
また、上述した培養スケジュール管理装置10では、細胞観察工程を実施予定日に実施できない場合には、演算装置22がその細胞観察工程を実施しないことを決定したが、本発明はこのような実施形態に限られない。例えば、細胞観察工程を2日以上連続して実施できない場合には、演算装置22が入力された培養開始日に培養を開始できないことを示すデータを出力してもよい。
【0049】
また、上述した培養スケジュール管理装置10では、演算装置22は、選択した重要度2の工程を変更可能期間に実施できない場合には、入力された培養開始日に培養を開始できないことを示すデータを出力したが、本発明はこのような実施形態に限られない。例えば、演算装置22が、重要度2の工程を変更可能期間に実施できない場合には、他のロットの細胞に実施する工程の実施日時を変更し、その変更によって空いた時期及びクリーンベンチをその工程の実施時期及び実施するクリーンベンチに決定しても良い。
すなわち、重要度2の工程を変更可能期間に実施できない場合、演算装置22はクリーンベンチX又はYにおいてその変更可能期間に重要度1の工程を実施する時間帯がないかをクリーンベンチスケジュールデータ32から判断する。変更可能期間にクリーンベンチX又はYで重要度1の工程を実施する時間帯があった場合、次に、その時間帯で重要度2の工程を実施できるか否かを判断する。重要度2の工程を実施できる場合は、他のロットの細胞に対する重要度1の工程については実施しないことを決定すると共に、その時間帯に重要度2の工程を実施するように決定する。さらには、重要度2の工程を変更可能期間に実施できない場合、その変更可能期間に重要度2の工程を実施する時間帯がないかを検索し、その検索した重要度2の工程が変更可能か否かを判断する。そして、既に決まっている重要度2の工程が変更できる場合には、既に決まっている重要度2の工程の実施時期を変更し、その空いたところに今回の重要度2の工程を実施することを決定する。例えば、既に決まっている重要度2の工程の変更期間が長く、かつ、今回決定しようとしている重要度2の工程の変更期間が短い場合であって、既に決まっている重要度2の工程がその変更期間内に実施できるときは、既に決まっている重要度2の工程の実施時期を変更し、その空いた時期に今回決定しようとしている重要度2の工程を実施することを決定する。
なお、他のロットの細胞のスケジュール変更を伴う場合は、そのスケジュール変更は前日までに行わなければならないようプログラムすることが好ましい(すなわち、当日のスケジュール変更を禁止するようにプログラムすることが好ましい)。これによって、作業者の作業ミスを防止することができる。また、次の日の作業については、次の日の作業前に各作業者が作業予定を確認することで作業ミスを無くすことができる。
【0050】
また、上述した実施例では、細胞を培養する工程の重要度を重要度1と重要度2に区分したが、重要度の区分はこのような例に限られない。各工程の重要度は、その工程の重要度に応じて複数段階に区分してもよい。例えば、重要度1を省略可能な工程とし、重要度2を省略はできないが実施時期が変更可能な工程とし、重要度3を実施時期が変更できない工程とすることもできる。例えば、患者からの細胞を採取する日(前処理工程)や患者への施術を実施する日(最終調整工程)については実施時期が変更できない工程(すなわち、重要度3の工程)とすることができる。このように重要度を3段階に設定することで、重要度3の工程について勝手に変更されてしまうことを防止することができる。この場合に、重要度3の工程について実施時期を変更したいときは、医師や工程管理者等の権限のあるものだけが変更できるようにすることが好ましい。
【0051】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】培養スケジュール管理装置10のブロック図。
【図2】工程実施条件データ30を示した図。
【図3】クリーンベンチスケジュールデータ32を示した図。
【図4】培養スケジュールデータ34を示した図。
【図5】培養スケジュール作成時の演算装置22の処理を示したフローチャート。
【図6】ステップS4で算出された実施予定日データ38の1例を示した図。
【図7】ステップS24で実施予定日を変更された実施予定日データ38を示した図。
【図8】ステップS26で細胞観察工程を新たに追加された実施予定日データ38を示した図。
【図9】培養スケジュール管理装置10で作成される培養スケジュールの1例を示した図。
【符号の説明】
【0053】
10:スケジュール管理装置
20:サーバ
22:演算装置
24:記憶装置
26:入力装置
28:表示装置
30:工程実施条件データ
32:クリーンベンチスケジュールデータ
34:培養スケジュールデータ
36:スケジュール作成プログラム
38:実施予定日データ
40:通信回線
42:通信端末
42a:演算装置
42b:入力装置
42c:表示装置
44:通信端末
44a:演算装置
44b:入力装置
44c:表示装置
46:通信端末
46a:演算装置
46b:入力装置
46c:表示装置
48:通信端末
48a:演算装置
48b:入力装置
48c:表示装置
【出願人】 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−48639(P2008−48639A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−226332(P2006−226332)