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【発明の名称】 加熱及び冷却のための機器
【発明者】 【氏名】エマド サロフィム

【氏名】ゴラン サバティク

【要約】 【課題】核酸の迅速な増幅を都合よく可能にする、機器及び方法を提供する。

【構成】実質的に平らな温度センサー素子4、実質的に平らで硬い熱伝導基板5、実質的に平らな抵抗ヒーター、実質的に平らな絶縁層、及び冷却素子9を含んで成る、制御された方法において対象を加熱及び冷却するための機器1であり、機器の中の装置を加熱及び冷却することを含んで成り、核酸を含む液体の混合物を、機器中の装置中に供給し、温度サイクルにかけることを含んで成る、核酸の増幅のための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の順序で
−実質的に平らな温度センサー素子、
−実質的に平らで硬い熱伝導基板、
−実質的に平らな抵抗ヒーター、
−実質的に平らな絶縁層、及び
−冷却素子
を含んで成る、制御された方法において対象を加熱及び冷却するための機器。
【請求項2】
センサー素子が抵抗素子及びカバー層を含んでなり、当該カバー層は、周囲との直接的な接触から当該抵抗素子を保護し、1μm〜25μmの厚さを有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
カバー層が、対象の表面形状を反映する対象接触表面を有し、当該対象のセンサー接触表面に向いている、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
センサー素子が、0.01μm〜10μm、好ましくは0.8μm〜1.2μmの厚さである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
熱伝導基板が、0.1mm〜10mmの厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
熱伝導基板が、電気絶縁材料から作られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
ヒーターが、10μm〜30μmの厚さを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
熱制御機器を更に含んで成る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
−請求項1〜8のいずれか一項に記載の機器の中の装置を加熱すること
を含んで成る、装置中で温度プロファイルを実施するための方法。
【請求項10】
装置を冷却することを更に含んで成る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
冷却が、機器を流体の流れにかけることによりなされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体が、液体又は気体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
温度プロファイルが、繰り返される温度サイクルを含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の機器及び試料を含む装置を含んでなる、試料中の核酸を測定するための系。
【請求項15】
a)核酸を含む液体の混合物を、請求項1〜8のいずれか一項に記載の機器の中の装置中に供給すること、及び
b)当該装置中の当該試料を、温度サイクルにかけること
を含んで成る、核酸の増幅のための方法。
【請求項16】
−混合物を含むための1つ以上のチャンバーを含む装置、及び
−請求項1〜8のいずれか一項に記載の機器
を含む、混合物を加熱するための系。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、制御された方法において対象を加熱及び冷却するための機器、温度プロファイルを実施するための方法、核酸を増幅するための方法、液体を加熱するための系及び核酸を測定するための系である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ヘルスケアの分野において特に有用であり、そこでは、その中に含まれる成分に関する試料の信頼できる分析が必要とされる。加熱が必要とされる化学反応は、例えば分子診断から良く知られており、そこでは、核酸は、二本鎖のハイブリッドの融解温度を超えて熱を加えることにより、そのハイブリッドから変性、すなわち一本鎖となることが知られている。
【0003】
そのような変性段階を含む反応サイクルを用いる方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この技術は、特定の配列の核酸の量を、ごく少量から検出可能な量まで増大させる手段を提供することにより、核酸処理、特に核酸の分析の分野に革命をもたらした。PCRは、欧州特許第0201184号及び欧州特許第0200362号に記載されている。
【0004】
引き伸ばした金属ブロックを加熱及び冷却することにより、チューブの中の試料について、制御された方法において温度サイクルを実施するための機器は、欧州特許第0236069号に開示されている。
【0005】
組成物を加熱するための方法も知られている。例えば、米国特許出願公開第2002/0061588号においては、ナノ粒子に核酸を付着させ、このナノ粒子にエネルギーを加えることにより、核酸を加熱する方法が記載されている。加熱により、モジュレータの表面の核酸ハイブリッドは変性し、ストランドの1つは、周囲の液体中に解離し得る。しかし、この方法は、加熱及び増幅に関して非常に非効率的である。
【0006】
PCR混合物の加熱は、現在は主に、能動的な加熱及び冷却を伴うペルチェ素子を用いて実施される。能動的な加熱及び受動的な冷却を伴う系と比較して、それらは複雑な電子技術を必要とする。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0129555においては、パルスレーザーを用いて、色素を含む混合物を加熱する方法が記載されている。
【0008】
米国特許第6633785号には、抵抗加熱又は誘導加熱のいずれかを用いて、マイクロチューブを加熱する方法が記載されている。
【0009】
米国特許第6602473号には、シリコンから作られた微細加工反応チャンバーが開示されている。この装置は、入口と出口を有し、機器内に挿入した場合に、PCR反応を実施するのに用いることができる。この系は、感受性が高く迅速な制御を可能にしない。
【0010】
国際公開第98/39487号には、チャンバーを有する装置を保持するための器具が開示され、当該器具は、装置が当該器具内に挿入された場合に、平らな装置の反対側の壁に配置された加熱又は冷却プレートを含んで成る。
【0011】
先行技術の機器により提供される温度変化は、比較的遅かった。従って、より速い核酸の増幅を提供する必要があった。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の対象は、以下の順序で
−実質的に平らな温度センサー素子、
−実質的に平らで硬い熱伝導基板、
−実質的に平らな抵抗ヒーター、
−実質的に平らな絶縁層、及び
−冷却素子
を含んで成る、制御された方法において対象を加熱及び冷却するための機器である。
【0013】
本発明の第二の対象は、
−本発明の機器の中の装置を加熱及び冷却すること
を含んで成る、装置中での温度プロファイルを実施するための方法である。
【0014】
本発明の第三の対象は、本発明の機器及び試料を含む装置を含んで成る、試料中の核酸を測定するための系である。
【0015】
本発明の第四の対象は、
a)核酸を含む液体の混合物を、本発明の機器の中の装置中に供給すること、及び
c)当該装置中の当該試料を、温度サイクルにかけること
を含んで成る、核酸の増幅のための方法。
【0016】
本発明の第五の対象は、
−混合物を含むための1つ以上のチャンバーを含む装置、及び
−本発明の機器
を含む、混合物を加熱するための系である。
【0017】
発明の詳細な説明
核酸の増幅のための方法は、知られている。それらは、標的核酸内の塩基配列を複製することのできる酵素の活性のためのテンプレートとしての機能を果たす標的核酸の初期の存在に基づく、大量の核酸を生み出すことを意図している。レプリコン自体は、配列、好ましくは既に第一の複製の対象であった塩基配列の複製のための標的として用いられる。従って、同一の配列を有する大量の核酸が生み出される。これは、標的核酸の非常に感受性の高い検出を可能にする。
【0018】
核酸の増幅のための特に十分に確立された方法は、欧州特許第200362号に開示されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法である。この方法においては、反応混合物を、温度プロファイルの繰り返されるサイクルにかけ、温度はアニーリングプライマーが標的核酸にもたらされるように適合し、テンプレートとして当該標的核酸を用いてアニーリングしたプライマーを伸張し、そしてテンプレートから伸長産物を分離する。
【0019】
第一の段階において、核酸を含む液体を調製する。当該液体は、増幅された核酸を含む任意の液体であることができる。更に、この液体は、核酸の増幅に必要な試薬を含む。それらの試薬は、各増幅方法に関して十分に知られており、好ましくは、プライマーを伸長するための薬剤、好ましくはテンプレート依存性DNA−又はRNA−ポリメラーゼ及び伸長のためのプライマーに結合する構成要素、例えばヌクレオチドを含む。更に、当該混合物は、用いる酵素の伸長反応のための条件を確立するのに有用な試薬、例えば緩衝液及び補助因子、例えば塩を含むだろう。
【0020】
更なる段階において、二本鎖核酸の変性、一本鎖へのプライマーのアニーリング、及びアニーリングしたプライマーの伸長を可能にするように、温度を調節する。伸長反応は、ポリメラーゼが活性である温度で実施する。好ましくは、熱安定性でサーモアクティブ(thermoactive)なポリメラーゼを用いる。形成した二本鎖は、上記の変性により分離する。
【0021】
この工程は、本発明の機器を用いて実施することができる。これのために、核酸を含む試料は、挿入された装置のチャンバー中に含まれ、或いは冷却及び加熱される対象として本発明の機器中に挿入される。以下において、より一般的な用語の対象は、好ましく典型的な用語の装置により置き換えられる。
【0022】
本発明の機器の第一の要素は、少なくとも1つの実質的に平らな温度センサー素子である。本明細書中で実質的に平らとは、センサーが、その平均的な周囲より1mmを超えて盛り上がらない、より好ましくはその平均的な周囲より0.1mmを超えて盛り上がらない表面を含むことを意味する。これは、当該装置の表面の、センサー素子及び隣接する層への優れた温度接触の利点を有する。それは、それが置かれた場所の温度を測定するように設計される。そのような素子は、当業者に十分知られており、好ましくは抵抗素子である。特に有用なセンサーは、0.01μm〜10μm、好ましくは0.8μm〜1.2μmの厚さである。典型的な、商業的に入手可能なセンサー素子は、1μmの厚さであり、Heraeus Sensor Technology(Kleinostheim,Germany)、JUMO GmbH&Co.KG(Fluda,Germany)又はInnovative Sensor Technology IST AG(Wattwil,Switzerland)のような会社から入手可能である。この素子は、センサー素子を、制御ユニットへと導く電線に永続的又は可逆的に接続するためのコネクターを有する。センサー素子は、既知の方法により製造することができる。それは独立に製造し、その後、既知の手段、例えば接着により他の要素と密接に固定することができる。好ましくは、センサー素子は、その材料の層を付随層へとスパッタリングすることにより製造する。薄層を適用するこのような方法も知られている。センサー素子のための好ましい材料は、ニッケル及び白金である。好ましくは、それは、白金又は白金の他の貴金属との混合物から作られる。
【0023】
好ましくは、温度センサー素子は、カバー層により、機械的及び化学的破壊から保護する。このカバー層は、好ましくはガラスから作られ、好ましくは1μm〜25μmの厚さである。それは、好ましくは、当業界で周知の厚膜蒸着により作られる。更に、好ましくは、この層は、低い電気伝導率及び高い熱伝導率を有する。
【0024】
好ましくは、温度センサー素子は、試料中の温度と十分に関連するように設計される。これは、素子の形を、それが試料を含む装置の形に良く似るように設計することにより達成することができる。保護カバーを含むセンサー素子の接触表面と装置の接触表面は、密接に接触している。機器及び装置の規定の配置により、試料中の温度は、センサー素子中で測定された温度から、高い確実性で推定することができる。
【0025】
温度測定の結果は、機器における加熱及び冷却工程を制御するのに用いられる。
【0026】
本発明の機器の第二の必須要素は、実質的に平らで硬い熱伝導基板である。好ましくは、この基板は、2×103〜5×106W/m2Kの熱伝導率を有する材料から構成される。更に、当該基板は、それが好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.25〜2mmの厚さを有するので、平らである。基板は、堅い、すなわち実質的な機械的変形に対して安定である特徴を有する。更に、好ましくは、熱伝導基板は、0.1Ω-1-1未満の電気伝導率を有する電気絶縁材料から作られる。更に、好ましくは、この基板は、低い熱時定数(密度×熱容量/熱伝導率)、好ましくは105s/m2未満の熱時定数を有する。適切な材料は、アルミナ、銅、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サファイア、銅、銀、金、モリブデン及び黄銅から成る群から選択される。低い電気伝導率を有する材料、例えば電気絶縁材料、例えば10-9Ω-1-1未満の電気伝導率を有する材料がより好ましい。従って、特に有用な材料は、セラミック材料、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素及びサファイアである。
【0027】
この基板は、既知の方法で製造することもできる。好ましくは、基板は、セラミックの焼結により製造される。基板は、基板の形に似た形態、好ましくは再利用可能な形態で調製することができ、或いは焼結工程の後に適切な大きさの要素へと切断することができる。
【0028】
本発明の機器の第三の必須要素は、ヒーターである。ヒーターは、好ましくは実質的に平らであり、より好ましくは抵抗ヒーターである。そのようなヒーターは、一般的に当業界で知られている。好ましくは、ヒーターは、例えば酸化ルテニウム、銀、金、白金、銅、パラジウム及び他の金属から成る群から選択される高い電気抵抗を有する物質の層である。最も好ましい物質は、酸化ルテニウムである。この層は、好ましくは10μm〜30μm、より好ましくは15μm〜20μmの厚さである。ヒーターは、好ましくは、15〜40W/cm2の加熱強度を有する。
【0029】
加熱層は、好ましくは、特定の形態の物質のペーストをコーティング又はスクリーン印刷し、当該混合物を、その特定の物質が焼結するのに十分な温度まで加熱することにより調製する。好ましくは、物質はそれにより、それが焼結される層に接着する。
【0030】
好ましくは、ヒーター素子は、カバー層により、機械的及び化学的破壊から保護する。このカバー層は、好ましくはガラス又はガラスセラミックから作られ、好ましくは1μm〜25μmの厚さである。それは、好ましくは、当業界で周知の厚膜蒸着により作られる。更に、好ましくは、この層は、低い電気伝導率及び高い熱伝導率を有する。
【0031】
第四の必須要素は、冷却素子からヒーターを分ける実質的に平らな絶縁層である。この絶縁層の機能は、ヒーターから冷却素子及びその逆の適切な熱移動を提供することである。一方において、この熱移動は、装置を冷却素子から分ける層を通して、装置、そして試料を十分に冷却するために十分高くなければならず、他方において、低温から高温への遷移段階(熱勾配)において、ヒーターにより試料の速い加熱を妨げるために十分低くなければならない。絶縁層の厚さは、高い加熱勾配及び低い冷却勾配、又はその逆を達成するために適合し得る。従って、温度伝導率は、0.5W/(m×K)〜2W/(m×K)、より好ましくは0.8W/(m×K)〜1.2W/(m×K)であるべきである。これらの値は、明らかに、ヒーターの出力密度、絶縁層の厚さ及び冷却素子の冷却容量に依存する。これらのパラメーターの好ましい値は、40W/cm2のヒーター出力密度、200μmの絶縁層の厚さである。
【0032】
絶縁層のための物質は、好ましくは、エポキシド又はガラス又はガラスセラミックから成る群から選択される。特定の物質、例えばエポキシ中のアルミナ微粒子の混合物がより好ましい。接着剤又はエポキシ樹脂中の酸化アルミニウムの混合物が最も好ましい。好ましくは、特定の物質は、層中に均質に分配される。
【0033】
この層は、一般的に知られた方法において、近接した層にさらに適用することができる。好ましくは、この物質はペーストとしてコーティングし、その後150〜180℃で1.5〜2時間焼結して固める。このようなエポキシドをベースとした層の耐性は、最大で450℃である。
【0034】
特定の側面において、絶縁層は、1つ以上の層から成ることもできる。特定の実施態様において、絶縁層は3つの層から成り、第一及び第三の層は上記の絶縁層であり、中間層は、熱伝導物質、例えば金属、セラミック、結晶又はポリマー(例えば、アルミニウム、銅、鋼鉄、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、ダイアモンド、ポリイミド)から作られた中間層である。2つのこのような薄い絶縁層が、技術的により容易に適用することができ、単純化した製造方法によりもたらされる改善された製造ばらつきを示し得るので、このような実施態様は有利である。更に、中間層は、好ましくは、それらの層内の温度の均質な分配を確実にする熱伝導物質から作られ、また、単純化された製造方法によりもたらされる改善された製造ばらつきを示す。
【0035】
本発明の機器の第五の必須要素は、冷却素子である。冷却素子は、他の層、具体的には絶縁層からの熱を効率的に導き出す目的を有する。従って、冷却素子は、好ましくは、大きな表面積を有するブロックの形態の金属、例えばアルミニウムから作られ、熱エネルギーの周囲への流れを促進する。表面は、フィンを金属のブロックに備えることにより大きくすることができ(受動的冷却)、ファンにより冷却素子の周りの対流を任意に増大させる(能動的冷却)。フィンの代わりに、液体(例えば、水)冷却を用いることができ、或いは反対側にフィンを有する、組み込まれた(金属ブロック中)ヒートパイプを用いることができる。
【0036】
好ましい実施態様において、ヒーターは、絶縁層に面する側面をカバー層により保護される。このカバー層は、セラミック、ガラスセラミック及びポリマーから成る群から選択される物質から作られる;好ましくは、それはガラスセラミックから作られる。
【0037】
本発明の機器及び/又は方法で用いる装置は、その方法の条件下で、試料を含んで成る混合物を保持するための容器である。従って、装置は、混合物に供給される熱の量及び種類に対して耐熱性であり、且つ混合物中に含まれる試薬に対して耐性であり、且つ混合物が容器から漏れないようにきつくあるべきである。
【0038】
図1において、組立形態の典型的な機器(1)の必須要素及びいくつかの好ましい追加の特徴を示す。装置(2)は、試料を含む。それは、センサー(3)の保護カバー層の熱移動表面(10)に近接して位置する。センサー素子(4)は、基板(5)を装置から分ける。近接した要素は、ヒーター(6)である。ヒーターは、熱絶縁層(8)及び冷却素子(9)に対して、ヒーターカバー層により保護される。
【0039】
本発明の機器の使用は、好ましくは、温度の効率的な制御を含み、温度プロファイル、好ましくは例えばPCRにおける温度サイクルに有用な繰り返される温度サイクルを確実に実施する。好ましくは、温度及び熱制御は、以下の段階を含む
−センサー素子を用いて、装置内の試料の温度を測定すること、
−測定温度と、試料中で到達されることが意図された温度とを比較すること、及び
−ヒーター素子により試料に熱を加えて、試料の温度が必要とされる温度より低い場合には、温度を上昇させ、或いは、試料の温度が必要とされる温度と同じ場合には、試料中の温度を維持すること。
【0040】
従って、非常に好ましい様式においては、本発明は、液体の温度に依存して、コンピュータープログラムにより、加熱工程を制御及び調節することを含んで成る。ヒーターの制御に用いられるユニットは、熱制御機器と呼ばれる。
【0041】
平らなセンサー素子により、温度の測定は、非常に迅速で、大きな電子機器を必要としない。測定温度と、必要とされる温度との比較に必要とされるアルゴリズムも、非常に単純である。当業界で知られている単純なPID(比例、積分、微分)制御アルゴリズムで十分である。
【0042】
熱は、任意に既知の方法において、例えば電流を抵抗ヒーターに継続的に適用することにより、或いは電流パルス、例えばパルス幅変調により、又は交流電流を用いて熱を導入することにより、ヒーターを通して適用することができる。温度の特定の増大を達成するために必要とされる電流のパルスの長さ又は量の詳細については、単純な実験において、典型的な試料中の温度を決定し、所定の冷却容量での電流の量及び/又はパルスの長さを変えることにより決定することができる。
【0043】
好ましくは、これは、機器中に含まれる制御ユニットを用いること、センサーから温度測定値を受け取ること、及び必要とされる温度に達するまで、加熱しない、或いは継続的に又は間隔をおいて加熱することをヒーターに指示することにより実施される。より詳細には、液体中の温度は、試料を含む装置に接触した温度センサーによる測定を用いて、相互作用の物理的状態を知ることにより決定することができる。時間とともに液体中の所望の温度プロファイルを制御するために、最も小さな時間間隔で、所望の温度と測定温度をも考慮しながら、PID制御アルゴリズムは必要とされる加熱/冷却力を決め、所望の時点で適切な温度を達成するだろう。試料を含む装置と接触した温度センサーは、既知の方法で、すなわち、装置と接触したセンサーの観点から、全ての接触表面にわたる設計された側面温度強度分配に比例して、温度を測定するだろう。装置に接触したセンサーにおいて、予想されたよりも低い温度が測定された場合には、機器と装置との間の機械的接触は不十分であると考えられる。測定温度と予想温度が相互に関連する場合、機械的接触は、作業条件内であると考えられる。別の実施態様において、第二のセンサー素子は、試料中の温度を決定し、機器と装置との間の接触を評価するのに用いることができる。この場合、測定温度分解能は、たった一つのセンサーを用いる実施態様と比較して2倍になり、試料中の不適切な温度を得る危険性を顕著に低下させる。
【0044】
好ましくは、当該加熱は、接触加熱により実施する。接触加熱は、熱い媒体が加熱されるべき物質に接触する加熱であり、エネルギーは、それらの間の接触表面を通って、加熱媒体から当該物質へと流れることができる。好ましくは、本発明のヒーターは、抵抗ヒーターである。抵抗加熱は、小さな直径の電線の電流の抵抗が熱によるエネルギーの損失をもたらす効果を利用する。好ましいデザインは、抵抗加熱のための規定の抵抗を有する加熱コイルである。このコイルは、電線により形成されることができ、或いは、それは別の方法、例えばプリント基板又はセラミック若しくはポリイミドのような基板上の任意の種類の物質の伝導体として設計することができる。1つの他の選択肢は、コイルが、適切な基板上の薄膜又は厚膜技術により形成されるというものである。コイルは、コイルのデザインに依存して、装置がコイルの内側に存在する方法において、容器の下、上又は側面、或いは装置の周りに位置することができる。
【0045】
本発明の別の実施態様は、
−本発明の機器中で対象を加熱及び冷却すること
を含んで成る、対象の温度プロファイルを実施するための方法である。
【0046】
温度プロファイルは、試料中で達せられる一連の温度である。好ましくは、当該プロファイルの全ての温度は、室温を超え、より好ましくは37〜98℃、最も好ましくは40〜96℃である。このプロファイルは、温度が時間とともに上昇する上昇プロファイルであるか、或いは、温度が時間とともに低下する下降プロファイルであることができる。最も好ましいのは、最高及び最低温度を有する、すなわち上昇及び降下温度を有するプロファイルである。本発明の最も好ましい実施態様において、温度プロファイルは、PCRに必要とされる繰り返される温度サイクルを含む。それらの温度サイクルは、二本鎖核酸の一本鎖への変性を可能にする最高温度、及び一本鎖核酸の二本鎖へのアニーリングを可能にする最低温度を含むだろう。
【0047】
好ましくは、本発明の方法は、更に、上記の冷却素子タイプにより装置を冷却することを含んで成る。好ましくは、冷却は、当該機器、より好ましくは当該冷却素子を、流体、好ましくはフィン構造又は組み込まれたヒートパイプのための気体(例えば、空気)の流れにかけることによりなされる。
【0048】
本発明の別の実施態様は、本発明の機器、及び試料を含むか又は試料を受けるために設計された装置を含んで成る、試料中の核酸を測定するための系である。この系は、本発明の方法において用いることができる。従って、都合良くは、系は、測定を実施するための試薬及び消耗品を含んでなり、任意に装置及び/又は試料を扱うためのロボットの包含により自動化することもできる。この系において、装置は挿入され、電流の適切な適用及び機器の要素に対する冷却容量を確実にし、最終的に動作位置に含まれる装置を加熱及び冷却する。
【0049】
本発明の別の実施態様は、本発明の機器の中の装置中に核酸を含む液体の混合物を供給すること、及び当該装置中の試料を温度サイクルにかけることを含んで成る、核酸を増幅するための方法である。
【0050】
本発明の別の実施態様は、本発明の混合物を含むための1つ以上のチャンバーを含む装置及び機器を含む、混合物を加熱するための系である。
【実施例】
【0051】
実施例1
本発明の機器の製造
第一段階において、白金から作られ、Heraeusから入手可能な薄膜温度センサーは、CeramTec AG(Plochingen、Germany)から入手可能なセラミックウエハーにコーティングする。本明細書中で用いる場合、それは酸化アルミニウムから作られ、635μmの厚さを有する。センサー素子は、ガラスセラミックから作られ、20μmの厚さを有するカバー層により保護される。この段階は、当業界で知られたコーティング機械により実施する。第二の製造段階において、厚膜ヒーターは、ウエハーの反対側において製造する。このために、酸化ルテニウムの膜(20μmの厚さ)を、ウエハーの反対側にコーティングする。厚膜層も、ガラスセラミックから作られ、20μmの厚さを有するカバー層により保護される。いったん、基板が少なくとも薄膜層でコーティングされたら、それは更なる段階において処理することができる。これは、絶縁層の厚さを規定し、従って、熱力学的挙動を規定する。当業界で知られたスクリーン印刷技術により、絶縁層は、Epoxy Technology Inc.(Billerica、MA、USA)から入手可能なエポキシ接着剤の溶液により、ヒーターの保護層に、規定の形状で堆積させ、100μmの厚さを生じさせる。流体冷却のための、入口及び出口を有する貫流チャネルを含んで成る、銅から作られた冷却ブロックを、接着特性(熱接着)により、粘性のマルチ化合物絶縁層と接触させる。180℃の温度での熱接着段階により、冷却ブロックは、規定の厚さの絶縁層と共に、ヒーター層側に接着するだろう。
【0052】
実施例2
本発明の機器を用いたPCRの実施
実施例1に記載したサーマルサイクラーを用いて、リアルタイムPCR検出のための、商業的に入手可能なLightCycler ParvoB19 Kit(Cat No 3246809、Roche Diagnostics GmbH,Germany)を利用して、キット中で提供される製造業者の指示に従って、テンプレートとしてLightCycler Parvo B19 Standardを用いて、いくつかのPCRを実施する。図2に示す温度プロファイルは、PCR曲線を生み出すように設定した。温度勾配は、PCR効率が優れている方法において選択し、一方で、サーマルサイクラーは、更に速い勾配、例えば20℃/sを扱うことができる。
【0053】
2つの実験に関する結果の図(記載した温度センサーを利用し、LightCycler ParvoB19 Kit(Roche Diagnostics GmbH,Germany)に記載した蛍光基質を励起及び測定することのできる、ブレッドボードリアルタイム蛍光測光器を用いて、記載したサーマルサイクラーを有するブレッドボード上で測定した)を、図3に示す。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の機器の典型的な組立品の略図である。
【図2】図2は、PCR曲線を生み出すための、機器に設定された温度プロファイルを示す。
【図3】図3は、本発明の機器を用いて実施した2つの実験の結果を図で示す。
【符号の説明】
【0055】
1 機器
2 試料を含む装置
3 センサーの保護カバー層
4 温度センサー構造/素子
5 熱伝導基板
6 ヒーター
7 ヒーターカバー層
8 熱絶縁層
9 冷却素子
10 熱移動表面
【出願人】 【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【出願日】 平成19年7月11日(2007.7.11)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100145436
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 慎太郎


【公開番号】 特開2008−35859(P2008−35859A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2007−181916(P2007−181916)