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【発明の名称】 回転円盤固体培養装置
【発明者】 【氏名】原田 年康

【氏名】田中 栄

【氏名】大松 佳也

【氏名】藤原 善也

【氏名】藤原 章夫

【要約】 【課題】回転円盤固体培養装置の使用に際して、手入機又は排出機の昇降や培養床の回転をより細かく制御する。

【構成】昇降機構1の支持部13,14を螺合した回転ネジ軸11,12を回転してこの手入機10を昇降させる固体培養装置3において、回転ネジ軸11,12に付設した回転量検出部27,28と、回転量検出部27,28が検出した回転量と支持部13,14の昇降量又は現在高さとを対応づけることにより、前記回転量を変数として手入機10の昇降を比例制御する昇降制御部25とからなる制御系や、各支持部13,14を螺合した各回転ネジ軸11,12に付設した回転量検出部27,28と、回転量検出部27,28が検出した各回転量の差を手入機10の傾斜状態とみなし、この傾斜状態を異常として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部25とからなる制御系を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手入機又は排出機の支持部を螺合した回転ネジ軸を回転して該手入機又は排出機を昇降させる固体培養装置において、回転ネジ軸又は該回転ネジ軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路に付設した回転量検出部と、該回転量検出部が検出した回転量と支持部の昇降量又は現在高さとを対応づけることにより、前記回転量を変数として手入機又は排出機の昇降を比例制御する昇降制御部とからなる制御系を構成したことを特徴とする回転円盤固体培養装置。
【請求項2】
手入機又は排出機の支持部を螺合した回転ネジ軸を回転して該手入機又は排出機を昇降させる固体培養装置において、手入機又は排出機に付設した傾斜検出部と、該傾斜検出部が検出した手入機又は排出機の傾斜状態を異常として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部とからなる制御系を構成したことを特徴とする回転円盤固体培養装置。
【請求項3】
手入機又は排出機の支持部を螺合した回転ネジ軸を回転して該手入機又は排出機を昇降させる固体培養装置において、培養床内周側及び外周側それぞれの支持部を螺合した各回転ネジ軸又は各回転ネジ軸それぞれの回転と比例関係にある個別の回転駆動源若しくは回転伝達経路に付設した回転量検出部と、該回転量検出部が検出した各回転量の差を手入機又は排出機の傾斜状態とみなし、該傾斜状態を異常として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部とからなる制御系を構成したことを特徴とする回転円盤固体培養装置。
【請求項4】
培養床の円周方向に設けたラックに噛合する回転駆動軸を回転して前記培養床を回転させる回転円盤固体培養装置において、回転駆動軸、該回転駆動軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路又は培養床に付設した回転量検出部と、該回転量検出部が検出した回転量と培養床の回転量又は現在角度とを対応づけることにより、回転量検出部が検出した回転量を変数として培養床の回転を比例制御する回転制御部とからなる制御系を構成したことを特徴とする回転円盤固体培養装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、手入機又は排出機の昇降や培養床の回転を細かく制御することにより、幅広い条件下での手入れや排出を図り、培養原料の種類又は量を問わずに最適な固体培養を実現する回転円盤固体培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転円盤固体培養装置は、回転する培養床上に昇降する手入機又は排出機を配している。手入機は手入時に培養床へ向けて下降する以外、排出機は盛込時の培養原料の均しや培養原料を排出する際に培養床に降りる以外は、両者とも上方へ退避する。通常手入機又は排出機は、培養床へ向けて垂下した回転ネジ軸に支持部を螺合させ、回転ネジ軸が回転すると軸方向に変位する支持部に従って昇降する。従来の手入機又は排出機は、回転ネジ軸の回転方向により上昇又は下降を切り換え、垂直方向に配列したリミットスイッチに支持部が接触することで手入機又は排出機の現在高さを検出していた。直近のリミットスイッチ間での昇降は、作業者の視認による目分量で制御可能であるが、通常はリミットスイッチの間隔を昇降間隔とした大まかな制御方法に依っていたのである。
【0003】
培養床は、例えば裏面円周方向に配列したピンからなるラックに回転駆動軸を噛合させ、この回転駆動軸を回転させることで回転させる。このように回転する培養床は円形であり、始点や終点の区別は、回転開始時における手入機又は排出機との位置関係で決まるために予め特定しておく意味がない。また、手入れや培養原料の排出においては、培養床の1回転毎に手入れ機又は排出機を昇降させるので、現在の回転量も特に必要がないことから、従来の培養床には回転量を検出する構造を有していなかった。手入機又は排出機との位置関係で決まる培養床の1回転は、培養床の回転速度から算出した周期によって定めていたのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
培養床から培養原料を排出する場合、培養床を回転させながら培養原料の堆積層に排出機を没入させ、この排出機の没入深さを厚さとする薄層毎に排出する。このとき、例えば培養原料の堆積層厚がどのリミットスイッチの位置とも一致していなかったり、堆積した培養原料から一定割合だけ排出したい場合、リミットスイッチの間隔に従った排出機の下降では対応できず、作業者の目分量に頼らざるを得ず、希望する培養原料の排出が望めなかった。これに対し、リミットスイッチの個数を増やしたり、各リミットスイッチの間隔を狭めるなどの対応策も考えられるが、リミットスイッチの個数又は間隔には限界があり、良好な培養原料の排出を図る排出機の下降の制御からは程遠い。
【0005】
手入機についても、上記排出機と同様の問題が存在する。むしろ排出機に比べて、手入機では、培養原料の種類、堆積層厚に加えて培養工程の進み具合によっても没入深さを加減しなければならない場合が少なくなく、リミットスイッチを多数配するなどの対応では、細かな手入機の下降制御が困難だったのである。また、手入機又は排出機いずれについても、培養床外周側及び内周側それぞれに配される2本の回転ネジ軸に対して螺合した各支持部の高さが異なる状態、すなわち手入機又は排出機の傾斜状態が、手入機又は排出機や回転ネジ軸の破損を招くという非常に重要な問題を抱えていたが、従来の固体培養装置では何ら検出手段を持っていなかった。
【0006】
培養床の回転には、既述のように絶対的な回転量は必要としないものの、下降させた手入機又は排出機に対する位置関係を特定するために、回転開始時からの回転量又は前記手入機又は排出機の位置を基点とする回転量が必要となる。例えば、培養原料の排出に際する排出機との連携において、排出機の段階的な下降と培養床の1回転とが一致しないと、排出しきれない培養原料が培養床上に残ったり、排出機が不要に深く堆積層に没入し、破損する虞も出てくる。この問題は、排出機の昇降の制御にも関連する問題である。
【0007】
以上の問題を整理すると、(1)手入機又は排出機の昇降が制御間隔の大きな断続的な制御であり、(2)手入機又は排出機の傾斜状態を検出できずに破損といった重大な事故を招く虞が少なからず存在すると共に、(3)培養床の回転を手入機又は排出機の昇降に連動させる制御がなされていないため、培養原料の種類、処理量又は培養工程の進行具合に合わせた昇降又は回転制御ができなかった、ということになる。そこで、回転円盤固体培養装置において、培養原料の種類や量、作業の種類を問わず、常に適正な装置の運用が図れるように、手入機又は排出機の昇降や培養床の回転をより細かく制御する手段を設けることとして検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、第一に、手入機又は排出機の支持部を螺合した回転ネジ軸を回転してこの手入機又は排出機を昇降させる固体培養装置において、回転ネジ軸又はこの回転ネジ軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路に付設した回転量検出部と、この回転量検出部が検出した回転量と支持部の昇降量又は現在高さとを対応づけることにより、前記回転量を変数として手入機又は排出機の昇降を比例制御する昇降制御部とからなる制御系を構成した回転円盤固体培養装置である。以下、回転ネジ軸又はこの回転ネジ軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路を指す場合は回転ネジ軸等、手入機と排出機とを指す場合は手入機等と総称する。
【0009】
本発明は、回転ネジ軸等の回転量と手入機等の昇降量との間に存在する比例関係を利用し、回転量検出部により検出した回転ネジ軸等の回転量に基づいて、昇降制御部により手入機等の昇降量又は現在高さを制御する。手入機等の昇降量は入力である回転ネジ軸等の回転量に対して一義的な出力として定まり、手入機等の現在高さはこの手入機等の上昇又は下降開始高さ(通常上昇端)を基準点として前記昇降量を加えれば求められる。回転ネジ軸等の回転量をR、手入機等の昇降量をHとすれば、R=KH(K:比例係数)となる。この比例係数Kは、実測した回転量ΔRと昇降量ΔHとを対応づけて求めることもできるが、回転ネジ軸等のピッチや減速比がわかれば計算により定めることもできる。
【0010】
回転量検出部にはロータリーエンコーダが適当である。ロータリーエンコーダは、例えば、円周方向に断続的な歯を有するギア状円盤を回転ネジ軸等に取り付け、前記歯近傍に配した近接スイッチ又は光電スイッチにより回転ネジ軸等の回転に従って回転するギア状円板の歯又は歯底の通過を検出し、スイッチのON/OFF回数を回転ネジ軸等の回転量として検出する構成となる。近接スイッチは磁気センサを用いるため、ギア状円盤が汚れても精度が落ちず、光電スイッチは光センサを用いるため、ギア状円盤のピッチを小さくしてより細かく回転量を検出できる。両者は、それぞれの適性に応じて適宜選択して使用するとよい。
【0011】
ロータリーエンコーダで検出できる回転ネジ軸等の回転量は、例えばギア状円盤の歯の間隔で近接スイッチ又は光電スイッチのON/OFF信号をサンプリングしたディジタル値であり、断続的な検出量にほかならない。しかし、従来に比べ、回転ネジ軸等の一部に付設したロータリーエンコーダで回転ネジ軸全長にわたる手入機等の現在高さを検出でき、しかも手入機等は回転ネジ軸が1回転する間にこの回転ネジ軸の1ピッチ分しか昇降できないことからリミットスイッチを多数配設するよりも手入機等の昇降量をより細かく制御できる利点がある。むしろ、ディジタル値であるためにデータ処理に適しているために昇降制御部としてコンピュータやPC(プログラマブルコントローラ)を用いることができ、迅速かつ的確に手入機等の昇降を加減できる利点がある。
【0012】
また、手入機等の傾斜による危険を回避するため、手入機又は排出機に付設した傾斜検出部と、この傾斜検出部が検出した手入機又は排出機の傾斜状態を異常として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部とからなる制御系を構成する。傾斜検出部には、手入機等の傾斜を直接検知する手段と、間接的に検出する手段とがある。前者には、(1)手入機等と支持部との直交関係を歪みゲージで監視し、手入機等の傾斜を前記直交関係のずれとして検知する、(2)手入機等の姿勢に連動して傾斜する溝等に鋼球や水銀を載せ、手入機等の傾斜を前記鋼球や水銀の位置変位として捉える、等がある。また、後者には、(3)内周側及び外周側それぞれの支持部に培養床からの高さを測る距離センサ(光センサ、超音波センサ等)を同位置に取り付け、各支持部の高さの差を手入機等の傾斜として検知する、等を挙げることができる。上記昇降制御系を利用した場合は後者の例となり、培養床内周側及び外周側それぞれの支持部を螺合した各回転ネジ軸等に付設した回転量検出部と、回転量検出部が検出した各回転量の差を手入機等の傾斜状態とみなし、この傾斜状態を異常として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部とからなる制御系として構成できる。
【0013】
手入機の水平は、培養床内周側及び外周側に位置する回転ネジ軸における各支持部の高さが等しいことを意味し、各支持部の高さは回転ネジ軸の回転量で制御されていることから、回転量を比較し、差が検出されれば手入機が傾斜していることを発見できる。ロータリーエンコーダを用いた場合は、手入機等の各支持部の高さを各支持部に対応する回転ネジ軸等の回転量からコンピュータ等で計算処理して比較することができ、しかも各支持部の現在高さを一致させるように、一方の回転ネジ軸の回転量を他方の回転ネジ軸の回転量に対する過不足を補うように回転させれば、傾斜を是正することもできる。
【0014】
第二は、培養床の円周方向に設けたラックに噛合する回転駆動軸を回転して前記培養床を回転させる回転円盤固体培養装置において、回転駆動軸、回転駆動軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路又は培養床に付設した回転量検出部と、この回転量検出部が検出した回転量と培養床の回転量又は現在角度とを対応づけることにより、回転量検出部が検出した回転量を変数として培養床の回転を比例制御する回転制御部とからなる制御系を構成した回転円盤固体培養装置である。以下、回転駆動軸、回転駆動軸の回転と比例関係にある回転駆動源若しくは回転伝達経路を指す場合は回転駆動軸等と総称する。
【0015】
本装置は、回転量検出部により培養床の回転量を検出し、回転制御部により培養床の回転量又は現在角度を制御するものである。上述の昇降制御同様に、回転量検出部にロータリーエンコーダが、回転制御部にコンピュータ又はPCが利用できるほか、この回転制御の場合には、回転量検出部として培養床のラックの歯数を計数する近接センサやリミットスイッチも利用可能である。上記手入機等の昇降制御と異なる点は、制御目標である培養床の回転量を直接又は間接に検出する点と、培養床は360度を単位とした回転数を積算する点にある。例えば、培養原料を排出する際には培養床の現在角度よりも排出機の位置に対する回転数が重要であり、培養床の回転量を検出するロータリーエンコーダの検出量を積算し、積算した回転量が一定量に達した時点を培養床の1回転と判断して、この回転数が目標となる回転数に至れば改めて排出機を昇降させることになる。なお、培養原料の手入に際し、手入の進み具合で手入機の昇降を制御する場合を想定すれば、回転する培養床の現在角度も重要な制御対象となる。
【0016】
回転駆動軸等の回転量と培養床の回転量は比例関係にあるから、回転駆動軸等の回転量を変数として加減することで、培養床の回転量又は現在角度を制御できる。現在角度は、培養床の回転開始角度に前記回転量を加えれば求められる。回転駆動軸等の回転量をR、培養床の回転量をCとすれば、R=KC(K:比例係数)となる。この比例係数は、変位量ΔC,ΔRをそれぞれ実測して求めることもできるが、回転駆動軸等のピッチや減速比から計算により定めることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、(1)制御間隔の小さな見かけ上連続的な制御で手入機又は排出機を昇降させることができ、かつ(2)同様にほぼ連続的に培養床の回転を制御できるようになり、手入機又は排出機の昇降と培養床の回転とを連動させて、より柔軟な手入作業や排出作業を可能にした。例えば、培養原料の種類、処理量又は培養工程の進行具合に合わせて、任意の高さに降ろした手入機により堆積した培養原料の任意の堆積層部位を手入れしたり、排出機の高さを加減して任意の量だけ培養原料の排出ができたり、前記手入機又は排出機の昇降を培養床の回転と正確に同調させて、目的量の培養原料に対してのみ、過不足のない手入又は排出が実現できる。特に、排出機の昇降と培養床の回転との正確な連携が図れるようになり、培養原料の残量の違いによる排出の良否がなくなり、また過度な下降による排出機と培養床の干渉といった装置の故障を招く問題が解決される。
【0018】
手入機等の昇降制御についていえば、手入機を架設した支持部の平衡を保って破損といった事態を回避できるようになる。すなわち安全性が確保できるようになり、培養装置としての信頼性を高めることができるようになる。このようにして、手入又は排出作業の最適化を実現し、良好な培養又は排出を可能にする上、装置としての信頼性を高め、更に自動化を促進する本発明は、回転円盤固体培養装置における費用対効果を向上させるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明を適用した回転円盤固体培養装置3の部分破断斜視図、図2は回転量検出部|out27(手入機10の昇降制御においては、培養床外周側を表す変数又は記号には|out、培養床内周側を表す変数又は記号には|inを付記し、共通の変数又は記号には付記なし又は独立した変数又は記号を用いる)を付設した昇降機構1及び手入機10の側面図、図3は同昇降機構1における外回転ネジ軸11の上端付近を表した部分斜視図で、図4は手入機10の昇降制御を実現する制御系のブロック図である。図4に示す制御系では、外回転ネジ軸11(内回転ネジ軸12)の回転量と外支持部13(内支持部14)の高さとを対応させ、手入機10が最上端に位置するときを基準状態(支持部の高さは最高位置、回転ネジ軸の回転量は0)として、手入機10の昇降を外支持部13(内支持部14)の昇降として比例制御する。
【0020】
図1に見られるように、培養装置3は、円筒形上の培養室6を上下に分割するように円形の培養床2を納め、この培養床2を中心円筒7及び周縁下方からの支持ローラ(図示せず)で回転自在に支持している。培養原料8は、培養床2の周縁に沿って設けられる側板9と前記中心円筒7との間に積載する。側板9は、培養室6の壁面に固定して下縁を培養床2の上面に摺接させるか、培養床2の上面に直接下縁を固定している。昇降機構1は、培養原料8に向けて培養床2の半径方向に延びる手入機10を昇降させるものであり、培養床2の内外周に対応して垂下した外回転ネジ軸11及び内回転ネジ軸12に対して外支持部13及び内支持部14を螺合し、両支持部13,14に前記手入機10を架設している。手入機10の駆動力は外回転ネジ軸11及び内回転ネジ軸12の回転力とは別に供給される。外支持部13と内支持部14とはフレキシブルシャフト15を介して連結しており、通常1体の回転駆動源(モータ等、図示せず)の回転を両者に分割して伝達する。
【0021】
回転量検出部|out27は近接センサ16を用いたロータリーエンコーダからなり、図2及び図3に見られるように、フレキシブルシャフト15と交差する外回転ネジ軸11上端の減速機構5直下に配している。ロータリーエンコーダは、円周方向に断続的な開口17を有するギア状円盤18を外回転ネジ軸11に取り付け、L字ブラケット19で懸架した近接スイッチ16が前記開口17の列に対面するように配した構成で、近接スイッチ16が回転するギア状円盤18における開口17,17間の架橋部20の通過を感知してスイッチ信号を出力し、このスイッチ信号の出力回数を外回転ネジ軸11の回転量として検出する。本例のギア状円盤18の架橋部20は16個であるため、外回転ネジ軸11の回転を1/16ピッチで制御できる。仮に、外回転ネジ軸11の1ピッチに対して外支持部13が8mm昇降するとすれば、手入機10の昇降量の制御幅は8/16mm=0.5mmとなる。なお、培養床内周側の内回転ネジ軸12に設けた回転量検出部|in28も同様のロータリーエンコーダからなる。
【0022】
上記回転量検出部|out27は、回転駆動源24又は前記回転駆動源24から外回転ネジ軸11(又は内回転ネジ軸12)に回転力を伝達する回転伝達経路(例えばフレキシブルシャフト15)に配しても構わない。また、手入機10の昇降量の制御幅は、ギア状円盤18の架橋部20の数によるほか、外回転ネジ軸11(又は内回転ネジ軸12)のピッチ幅や前記回転伝達経路のギア比を変更することで加減できる。回転量検出部の付設部位や、手入機の昇降の制御幅は、培養装置の構造や各部の配置関係、そして必要な制御精度に合わせて決定するとよい。
【0023】
本例の昇降制御を外支持部13の昇降について説明する。以下、Ho|outは外支持部13の昇降開始時高さ(基準状態から昇降を開始する場合は最高位置)、Ro|outは外回転ネジ軸11の回転開始時回転量(基準状態から昇降を開始する場合は0)、Hsは外支持部13の目標高さ、Rsは前記Hsに対応する外回転ネジ軸11の目標回転量、Hr|outは外支持部13の昇降開始後高さ、Rr|outは外回転ネジ軸11の回転開始後回転量、ΔH|outは外支持部13の昇降開始後現在までの昇降変化量、ΔR|outは外回転ネジ軸11の回転開始後現在までの回転変化量とする。
【0024】
本例における制御系は、図4に見られるように、設定したHsからRsを算出する目標回転量変換部21、ΔR|outを検出する回転量検出部|out27、Ro|outとΔR|outとからRr|outを算出する回転量積算部|out29、そしてRsとRr|av.(Rr|outとRr|inとの平均値、Rr|out又はRr|inのいずれかでも構わない)とを比較して回転駆動源(モータ等)24の駆動又は停止を制御する回転量比較部23とから構成される(図4中太破線内)。目標回転量変換部21、回転量積算部|out29(及び回転量積算部|in30)と回転量比較部23とは、PC25で一体として昇降制御部を構成し、回転量検出部|out27(及び回転量検出部|in28)はロータリーエンコーダである。
【0025】
まず、作業者が目標回転量変換部21にHs(実際の入力値としては手入機10の目標高さ)を入力する。目標回転量変換部21は、予め求めておいた対応関係(変換テーブルや関数)に基づいてRs(=K(Hs−Ho|out)+Ro|out)を算出する。回転量比較部23はRsとRr|av.とを比較し、|Rs−Rr|av.|>0の場合には、可変値(手入機10の昇降に応じて変化するRr|av.又は|Rs−Rr|av.|に比例した値)又は一定値(手入機10の昇降とは無関係のRsや|Rs−Ro|out|に比例した値又は|Rs−Rr|av.|>0である場合に出力すると定めた値)の作動信号ΔVを回転駆動源24に出力する。回転駆動源24が電動モータならばΔVは電動モータの駆動電圧となり、外回転ネジ軸11の回転速度、そして手入機10の昇降速度を決定する。|Rs−Rr|av.|=0ならばΔVは出力されないので、ΔVの出力は回転駆動源24のスイッチも兼ねることになる。
【0026】
回転量積算部|out29において回転量検出部|out27で検出したΔR|outをRo|outに加算してRr|outを求め、更に後述する傾斜量判定部31で得られたRr|av.とRsとを回転量比較部23において比較する。ΔVの出力は|Rs−Rr|av.|=0になるまで続けられ、外支持部13がHsに達するとΔV=0なり、回転駆動源24が停止する。このように、手入機の現在高さを直接計測するのではなく、手入機の外支持部(又は内支持部)を螺合した回転ネジ軸又はその回転伝達経路の回転量を計測、制御することにより、簡単かつ緻密な手入機の昇降制御を実現するのが、本発明の特徴である。また、目標回転量変換部21から回転量比較部23へのRsの受け渡たしや、回転量積算部|out29における処理はいずれもPC25内で処理でき、本発明は、PC25(又はコンピュータ)とロータリーエンコーダ等の回転量検出部|out27(又は回転量検出部|in28)とだけで構築できることがわかる。このように、本発明は安価かつ簡易な制御系を構築できる利点がある。
【0027】
手入機10が傾斜すれば、培養床2や手入機10(特に回転ネジ軸と支持部との螺合部位)の破損回避のために手入機10の昇降を停止させねばならない。傾斜の検出には、例えば、図2中仮想線(二点鎖線)に見られるように、鋼球の位置変位を手入機10の傾斜として検知する傾斜検出部26を外支持部13(又は内支持部14)に付設すれば、手入機10の昇降制御の態様を問わずに、従来機種においても手入機10の傾斜を直接検知することができる。しかし、本例は上記制御系を利用し、外支持部13及び内支持部14それぞれのHr|outとHr|inとに差がある状態を手入機10が傾斜している状態と判断し、前記Hr|out,Hr|inの差を各支持部13,14が螺合する各回転ネジ軸11,12の現在回転量Rr|out,Rr|inの差として検知して、前記差が許容値Dを超えた場合に手入機10の昇降を停止させるものとした。
【0028】
回転量検出部|out27,回転量検出部|in28からのΔR|out,ΔR|inを、回転量積算部|out29,回転量積算部|in30においてRo|out,Ro|inそれぞれに加算してRr|out,Rr|inを求めて、傾斜量判定部31において|Rr|out−Rr|in|とDとを比較する。|Rr|out−Rr|in|>Dならば、手入機10の傾斜が危険であると判断し、手入機10の昇降、必要によっては培養装置3全体(図1参照)を停止させる。また、|Rr|out−Rr|in|≦Dならば、(1)Rr|out,Rr|inの平均回転量Rr|av.を回転量比較部23に戻して目標回転量Rsとを比較する、又は(2)基準とするRr|out又はRr|inの一方を回転量比較部23に戻して目標回転量Rsとを比較する。なお、以上例示した手入機の昇降制御は、作業の違いによる制御態様の差異を除いて排出機にも同様に適用できる。
【0029】
次に、本発明を培養床に適用した例を説明する。図5は回転量検出部4を付設した培養床2の駆動装置36の側面図で、図6は培養床2の回転制御を実現する制御系のブロック図である。図1及び図5に見られるように、駆動装置36を培養室6の壁面に固定し、回転する駆動ギア37を培養床2の周縁に取り付けたラック38に噛合させて回転力を培養床2へと伝達する。同軸である回転駆動軸39と駆動ギア37とは回転量が等しくなるが、培養床2の回転量は駆動ギア37とラック38とのギア比に従って減縮される。例えば、ギア比が10:1ならば、培養床2の1回転は回転駆動軸39の10回転にあたる。本例では、この回転駆動軸39に6個の突出歯を有するギア状円盤18を付設し、突出歯の通過を検知する近接センサ16を前記ギア状円盤18近傍に配している。これにより、前記ギア比に従えば、π/30(=2π/(10×6))を制御単位として培養床2を制御できることになる。
【0030】
図6に従い、培養床2の回転制御について説明する。以下、Coは培養床2の回転開始時回転量、Roは回転駆動軸39の回転開始時回転量、Csは培養床2の目標回転量、Rsは前記Csに対応する回転駆動軸39の目標回転量、Crは培養床2の回転開始後回転量、Rrは回転駆動軸39の回転開始後回転量、ΔCは培養床2の回転開始後現在までの回転変化量、ΔRは回転駆動軸39の回転開始後現在までの回転変化量とする。なお、培養床の回転数は回転開始後から計数できればよいので、通常、Co及びRoは共に0と考えてもよい。
【0031】
本例の制御系は、図6に見られるように、CsをRsに変換する目標回転量変換部21、回転駆動軸39のΔRを検出する回転量検出部4、RoとΔRとからRrを算出する回転量積算部22、そして入力したRsとRrとを比較して回転駆動源(モータ等)24の駆動又は停止を制御する回転量比較部23とから構成される(図6中太破線内)。目標回転量変換部21、回転量積算部22及び回転量比較部23はPC25で一体の回転制御部として構成され、回転量検出部4はロータリーエンコーダである。まず、作業者が目標回転量変換部21にCs(実際の入力値としては培養床の回転数が便利である)を入力し、Rsを算出する。上述の手入機10の昇降制御(図4参照)と同様に、回転量比較部23は、|Rs−Rr|>0の場合に、可変値又は一定値である作動信号ΔVを回転駆動源24に向けて出力する。回転駆動源24が電動モータの場合、ΔVは電動モータの駆動電圧で、回転駆動源24のスイッチ信号であり、培養床2の回転速度を決定する。
【0032】
回転駆動軸39のΔRは、駆動ギア37とラック38とのギア比に応じて、培養床2をΔCだけ回転させる。検出されたΔRから回転量積算部22がRrを算出し、回転量比較部23においてRsとRrとを比較する。培養床の回転制御では、特に培養床2の回転数が重要となることから、前記回転量比較部23においては、更に回転開始後から現在までの培養床の回転数を算出するとよい。例えば、駆動ギア37とラック38とのギア比が1:10である培養装置3(図1参照)では、Rrが20π(=2π×10)となれば培養床2が1回転することになる。このように、本発明は回転駆動軸39の回転量を微小な制御単位で監視しながら、間接的に培養床2のCrを把握するのである。
【0033】
実際には、上述した手入機等の昇降制御と培養床の回転制御とを連携させて用いることが望ましい。例えば、手入機を指定した高さにまで降ろして培養床上の培養原料に没入させた状態で培養床を1回転させて手入作業をする場合、手入機を下ろす作業は昇降制御、培養床の回転は回転制御によることになる。しかも、段階的に手入機を下降させ、再び上昇、退避させるとき、手入機の各高さにおいてそれぞれ培養床を規定回転数だけ回転させることを思い浮かべれば、昇降制御の完了を回転制御のスイッチとし、また回転制御の完了を昇降制御のスイッチとして、両者を連携させた自動化を図ることができる。このように、本発明の手入機等の昇降制御又は培養床の回転制御は、従来に比べて見かけ上連続的(厳密には断続的であるが、その間隔が非常に小さいから)で緻密な手入機の昇降や培養床の回転を実現すると共に、培養装置における自動化を促進し、良好な培養とコスト低減を可能にするのである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した回転円盤固体培養装置の部分破断斜視図である。
【図2】回転量検出部を付設した手入機の側面図である。
【図3】同手入機における回転ネジ軸の上端付近を表した部分斜視図である。
【図4】手入機の昇降制御を実現する制御系のブロック図である。
【図5】回転量検出部を付設した培養床の駆動装置の側面図である。
【図6】培養床の回転制御を実現する制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1 昇降機構
2 培養床
3 回転円盤固体培養装置
4 回転量検出部
5 減速機構
6 培養室
7 中心円筒
8 培養原料
9 側板
10 手入機
11 外回転ネジ軸
12 内回転ネジ軸
13 外支持部
14 内支持部
15 フレキシブルシャフト
16 近接センサ
17 開口
18 ギア状円盤
19 L字ブラケット
20 架橋部
21 目標回転量変換部
22 回転量積算部
23 回転量比較部
24 回転駆動源
25 PC(プログラマブルコントローラ)
26 傾斜検出部
27 回転量検出部|out
28 回転量検出部|in
29 回転量積算部|out
30 回転量積算部|in
31 傾斜量判定部
36 駆動装置
37 駆動ギア
38 ラック
39 回転駆動軸
【出願人】 【識別番号】000223931
【氏名又は名称】株式会社フジワラテクノアート
【出願日】 平成19年10月19日(2007.10.19)
【代理人】 【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎

【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫

【識別番号】100113181
【弁理士】
【氏名又は名称】中務 茂樹


【公開番号】 特開2008−29357(P2008−29357A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−272783(P2007−272783)