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【発明の名称】 細菌検出装置及び方法
【発明者】 【氏名】井下 潤一

【要約】 【課題】蛍光画像から精度良く細菌の種類が球菌であるか桿菌であるかを判定する。

【構成】複数検体の蛍光反応の画像から各画素の輝度情報を取得する輝度情報取得手段1と、輝度情報から蛍光領域の中心を中心輝点とする中心輝点算出手段2と、中心輝点を中心とした円周上の複数の測定点の輝度値を測定する測定点検出手段3と、複数の測定点の輝度値から第一のばらつき度を演算する第一のばらつき度算出手段4と、第一のばらつき度が第一の閾値よりも小さければ検体が球菌と判定する球菌判定手段5と、第一のばらつき度が第一の閾値以上の場合に、複数の測定点において中心輝点を中心として点対称となる測定点同士との輝度値の差から第二のばらつき度を演算する第二のばらつき度算出手段6と、第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ検体が桿菌と判定し、第二のばらつき度が第二の閾値以上であればノイズと判定する桿菌判定手段7からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体の蛍光反応による光を受光し、光情報として出力する光学手段と、
前記光情報を画像として撮像する撮像手段と、
前記撮影した画像から各画素の輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、
前記輝度情報から蛍光領域の中心を中心輝点として判定する中心輝点算出手段と、
前記中心輝点を中心とした円周上に存在する複数の測定点の輝度値を測定する測定点検出手段と、
前記複数の測定点の輝度値を用いて第一のばらつき度を演算する第一のばらつき度算出手段と、
前記第一のばらつき度が第一の閾値よりも小さければ前記検体が球菌と判定する球菌判定手段と、
前記第一のばらつき度が前記第一の閾値以上の場合に、前記複数の測定点において前記中心輝点を中心として点対称となる測定点同士との輝度値の差を用いて第二のばらつき度を演算する第二のばらつき度算出手段と、
前記第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ前記検体が桿菌と判定し、前記第二のばらつき度が前記第二の閾値以上であればノイズと判定する桿菌判定手段、
からなることを特徴とする細菌検出装置。
【請求項2】
前記測定点検出手段は、前記中心輝点を中心として点対称となる位置に存在する前記円周上の点を一組の測定点とし、複数組の測定点の輝度値を測定することを特徴とする請求項1記載の細菌検出方法。
【請求項3】
前記中心輝点算出手段は、判定対象となる画素の輝度値が周囲の画素の輝度値より高い場合、前記判定対象になる画素を中心輝点とすることを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項4】
前記中心輝点算出手段は、判定対象となる画素の輝度値が第三の閾値より輝度値が高く、かつ隣接する画素の輝度値より高い場合、前記判定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項5】
前記中心輝点算出手段は、輝度値が第四の閾値より大きい画素が連続する領域を求め、前記領域の重心位置を中心輝点とすることを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項6】
前記中心輝点算出手段は、輝度値が第四の閾値より大きい画素の領域を求め、領域の面積を演算し、面積が所定の範囲内にあるものについて、その中心位置を中心輝点とすることを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項7】
前記測定点検出手段は、中心輝点を中心とした円の半径の大きさを検体の大きさに基づいて決定した所定の値とすることを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項8】
前記測定点検出手段は、中心輝点を中心とした円の半径の大きさは、円周上に存在する複数の測定点の輝度値が全て第五の閾値より大きい値であるように半径を広げていき最大となる半径を決定することを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項9】
前記第一のばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第一のばらつき度を演算することを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項10】
前記第ニのばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第二のばらつき度を演算することを特徴とする請求項1記載の細菌検出装置。
【請求項11】
検体の蛍光反応を撮影した画像から輝度情報を取得する輝度情報取得工程と、
前記輝度情報から蛍光領域の中心を中心輝点として判定する中心輝点算出工程と、
前記中心輝点を中心とした円周上にある複数の測定点の輝度値を測定する測定点検出工程と、
前記複数の測定点の輝度値を用いて第一のばらつき度を演算する第一のばらつき度算出工程と、
前記第一のばらつき度が第一の閾値よりも小さければ前記検体が球菌と判定する球菌判定工程と、
前記第一のばらつき度が前記第一の閾値以上であれば、前記複数の測定点において前記中心輝点を中心として点対称となる測定点同士の輝度値の差を用いて第二のばらつき度を演算する第二のばらつき度算出工程と、
前記第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ前記検体が桿菌と判定し、前記第二のばらつき度が前記第二の閾値以上であればノイズと判定する桿菌判定工程、
からなることを特徴とする細菌検出方法。
【請求項12】
前記測定点検出工程において、前記中心輝点を中心として点対称となる位置に存在する前記円周上の点を一組の測定点とし、複数組の測定点の輝度値を測定することを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項13】
前記中心輝点算出工程において、判定対象となる画素の輝度値が周囲の画素の輝度値より高い場合、前記測定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項14】
前記中心輝点算出工程において、判定対象となる画素の輝度値が第三の閾値より輝度値が高く、かつ隣接する画素の輝度値より高い場合、前記測定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項15】
前記中心輝点算出工程において、輝度値が第四の閾値より大きい画素が連続する領域を求めて、前記領域の重心位置を中心輝点とすることを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項16】
前記中心輝点算出工程において、輝度値が前記第四の閾値より大きい画素の領域を求めて、領域の面積を演算し、面積が所定の範囲内にあるものについて、その中心位置を中心輝点とすることを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項17】
前記測定点検出工程において、中心輝点を中心とした円の半径の大きさを検体の大きさに基づいて決定した所定の値とすることを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項18】
前記測定点検出工程において、中心輝点を中心とした円の半径の大きさは、円周上に存在する複数の測定点の輝度値が全て第五の閾値より大きい値であるように半径を広げていき最大となる半径を決定することを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項19】
前記第一のばらつき度算出工程において、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第一のばらつき度を演算することを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【請求項20】
前記第ニのばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第二のばらつき度を演算することを特徴とする請求項11記載の細菌検出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌の蛍光観察において、その細菌が桿菌であるか球菌であるか自動的に判定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細菌を分類する方法としては寒天培養法が最も一般的な方法である。これは試料を寒天培地に塗り、所定時間培養して形成したコロニーを、染色又は無染色にて、顕微鏡を用いて観察者が分類する検査方法である。しかしこの寒天培養法は、基本的に手作業で行うため処理が煩わしく、また培養するため細菌の種類を判定までに時間がかかる。
【0003】
そこで最近では、フローサイトメータ等の粒子測定装置を用いて細菌を自動的に測定する方法が試みられ、この発明に関連する技術としては、次のような方法が知られている。
【0004】
細菌中に含まれる粒子の大きさや光の反射率など特徴情報の内二つの項目を基に、分布グラフを作成し、グラフ中の点の分布状況から細菌の種類が桿菌であるか球菌であるかを判定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、培養せずに観察する蛍光観察法がある。これは細菌だけが蛍光するように検体を調整し、その蛍光を落斜蛍光顕微鏡などの光学手段を用いて観察者が観察する検査方法である。また、光学手段で観察者が観察する代わりに、カメラなど撮影手段を用いて自動で観察するものとして次のような方法が公知である。
【0006】
検出する細菌(抗酸菌)の蛍光する特徴から、撮影した画像を輝度値でニ値化し、ニ値化後の画像にできる各領域(抗酸菌やノイズ)の面積の大きさと縦横比の形状から判定する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−305173号公報
【特許文献2】特開2004−333151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、例えばノイズや球菌において光の反射率が桿菌と同じような特徴である場合などに、精度良く判定することが出来ない。また、球菌と桿菌が理想的な特徴があると仮定しても、細菌が重なる場合は二つ以上の特徴が出るため、分布の判定を行う際に必ずしも精度良く判定することが出来ない。
【0008】
また、特許文献2の構成では、例えば細菌(抗酸菌)とノイズが重なる場合に、ノイズと判定されてしまう為、精度良く判定することが出来ない。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、細菌の蛍光する特徴から細菌の種類が桿菌であるか球菌であるかを精度良く判定する細菌検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の細菌検出装置は、複数の検体の蛍光反応による光を受光し、光情報として出力する光学手段と、前記光情報を画像として撮像する撮像手段と、前記撮影した画像から各画素の輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、前記輝度情報から蛍光領域の中心を中心輝点として判定する中心輝点算出手段と、前記中心輝点を中心とした円周上に存在する複数の測定点の輝度値を測定する測定点検出手段と、前記複数の測定点の輝度値を用いて第一のばらつき度を演算する第一のばらつき度算出手段と、前記第一のばらつき度が第一の閾値よりも小さければ前記検体が球菌と判定する球菌判定手段と、前記第一のばらつき度が前記第一の閾値以上の場合に、前記複数の測定点において前記中心輝点を中心として点対称となる測定点同士との輝度値の差を用いて第二のばらつき度を演算する第二のばらつき度算出手段と、前記第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ前記検体が桿菌と判定し、前記第二のばらつき度が前記第二の閾値以上であればノイズと判定する桿菌判定手段からなることを特徴とするものである。
【0011】
さらに細菌検出装置において、前記測定点検出手段は、前記中心輝点を中心として点対称となる位置に存在する前記円周上の点を一組の測定点とし、複数組の測定点の輝度値を測定することを特徴とするものである。
【0012】
さらに細菌検出装置において、前記中心輝点算出手段は、判定対象となる画素の輝度値が周囲の画素の輝度値より高い場合、前記判定対象になる画素を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0013】
さらに細菌検出装置において、前記中心輝点算出手段は、判定対象となる画素の輝度値が第三の閾値より輝度値が高く、かつ隣接する画素の輝度値より高い場合、前記判定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0014】
さらに細菌検出装置において、前記中心輝点算出手段は、輝度値が第四の閾値より大きい画素が連続する領域を求め、前記領域の重心位置を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0015】
さらに細菌検出装置において、前記中心輝点算出手段は、輝度値が第四の閾値より大きい画素の領域を求め、領域の面積を演算し、面積が所定の範囲内にあるものについて、その中心位置を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0016】
さらに細菌検出装置において、前記測定点検出手段は、中心輝点を中心とした円の半径の大きさを検体の大きさに基づいて決定した所定の値とすることを特徴とするものである。
【0017】
さらに細菌検出装置において、前記測定点検出手段は、中心輝点を中心とした円の半径の大きさは、円周上に存在する複数の測定点の輝度値が全て第五の閾値より大きい値であるように半径を広げていき最大となる半径を決定することを特徴とするものである。
【0018】
さらに細菌検出装置において、前記第一のばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第一のばらつき度を演算することを特徴とするものである。
【0019】
さらに細菌検出装置において、前記第ニのばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第二のばらつき度を演算することを特徴とするものである。
【0020】
さらに本発明の細菌検出方法において、検体の蛍光反応を撮影した画像から輝度情報を取得する輝度情報取得工程と、前記輝度情報から蛍光領域の中心を中心輝点として判定する中心輝点算出工程と、前記中心輝点を中心とした円周上にある複数の測定点の輝度値を測定する測定点検出工程と、前記複数の測定点の輝度値を用いて第一のばらつき度を演算する第一のばらつき度算出工程と、前記第一のばらつき度が第一の閾値よりも小さければ前記検体が球菌と判定する球菌判定工程と、前記第一のばらつき度が前記第一の閾値以上であれば、前記複数の測定点において前記中心輝点を中心として点対称となる測定点同士の輝度値の差を用いて第二のばらつき度を演算する第二のばらつき度算出工程と、前記第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ前記検体が桿菌と判定し、前記第二のばらつき度が前記第二の閾値以上であればノイズと判定する桿菌判定工程、からなることを特徴とするものである。
【0021】
さらに細菌検出方法において、前記測定点検出工程において、前記中心輝点を中心として点対称となる位置に存在する前記円周上の点を一組の測定点とし、複数組の測定点の輝度値を測定することを特徴とするものである。
【0022】
さらに細菌検出方法において、前記中心輝点算出工程において、判定対象となる画素の輝度値が周囲の画素の輝度値より高い場合、前記測定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0023】
さらに細菌検出方法において、前記中心輝点算出工程において、判定対象となる画素の輝度値が第三の閾値より輝度値が高く、かつ隣接する画素の輝度値より高い場合、前記測定対象となる画素を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0024】
さらに細菌検出方法において、前記中心輝点算出工程において、輝度値が第四の閾値より大きい画素が連続する領域を求めて、前記領域の重心位置を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0025】
さらに細菌検出方法において、前記中心輝点算出工程において、輝度値が前記第四の閾値より大きい画素の領域を求めて、領域の面積を演算し、面積が所定の範囲内にあるものについて、その中心位置を中心輝点とすることを特徴とするものである。
【0026】
さらに細菌検出方法において、前記測定点検出工程において、中心輝点を中心とした円の半径の大きさを検体の大きさに基づいて決定した所定の値とすることを特徴とするものである。
【0027】
さらに細菌検出方法において、前記測定点検出工程において、中心輝点を中心とした円の半径の大きさは、円周上に存在する複数の測定点の輝度値が全て第五の閾値より大きい値であるように半径を広げていき最大となる半径を決定することを特徴とするものである。
【0028】
さらに細菌検出方法において、前記第一のばらつき度算出工程において、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第一のばらつき度を演算することを特徴とするものである。
【0029】
さらに細菌検出方法において、前記第ニのばらつき度算出手段は、前記測定点の近傍に別の中心輝点がある場合に、前記別の中心輝点を中心とする蛍光領域による影響度合いを考慮して前記第二のばらつき度を演算することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の細菌検出装置及び方法によれば、中心輝点を中心とする円周上にある測定点の輝度値の傾向を調査することで、精度良く球菌と桿菌とノイズを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の細菌検出装置及び方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1(a)は、本発明の第1の実施例における細菌検出装置のブロック図を示す。図1(a)において、プレート11は検査する対象物である。光学手段12はプレート11を蛍光観察し、受光した光を撮像手段13へ出力する。撮像手段13は蛍光観察している領域を撮影して画像を生成し、画像処理手段14へ送信する。画像処理手段14は撮影した画像から球菌と桿菌とノイズを判定し、その検出結果を表示手段15へ送信する。表示手段15は検出結果を表示するものである。画像メモリ16は画像データを格納するメモリである。メモリ17は球菌と桿菌とノイズを判定した結果を格納するメモリである。
【0033】
上記のように構成された細菌検出装置は、プレート11に塗られた検体を光学手段12で蛍光観察し、蛍光している様子を撮像手段13にて撮影する。撮影された画像を画像処理手段14へ送信し、球菌と桿菌とノイズを判定する。そしてその結果を表示手段15にて表示する。
【0034】
図1(b)は、画像処理手段14の詳細を示すブロック図である。図1(b)において、輝度情報取得手段1は撮像手段13が撮影した画像から各画素の輝度情報を抽出し、結果を中心輝点算出手段2へ出力する。中心輝点算出手段2は輝度情報から発光領域の中心を中心輝点として判定し、結果を測定点検出手段3へ出力する。測定点検出手段3は中心輝点を中心とした円周上にある測定点の輝度値を測定し、結果を第一のばらつき度算出手段4へ出力する。第一のばらつき度算出手段4は測定点の輝度値を基に第一のばらつき度を演算し、結果を球菌判定手段5へ出力する。球菌判定手段5は第一のばらつき度が前記第一の閾値よりも小さければ球菌であると判定し、球菌と判定した場合に結果をメモリ17へ格納する。球菌で無いと判定した場合は結果を第二のばらつき度算出手段6へ出力する。第二のばらつき度算出手段6は測定点において対称となる点との輝度値の差を基に第二のばらつき度を演算し、結果を桿菌判定手段7へ出力する。桿菌判定手段7は第二のばらつき度が第二の閾値より小さければ桿菌であると判定し、第二のばらつき度が第二の閾値以上であればノイズであると判定し、結果をメモリ17へ格納する。
【0035】
次にプレート11について詳細に説明する。プレート11は、スライドガラスを用いており、細菌が蛍光するように調整された検体が塗られている。また、必要であれば熱処理などの処理を施す。検体としては例えば人の痰や便などである。なお、プレート11として、シャーレなどの任意のプレート11を採用してもよい。
【0036】
次に光学手段12について図2を用いて詳細に説明する。光学手段12は、蛍光顕微鏡を用いて蛍光観察を行う。図2は蛍光観察において光学手段12の処理の一例を示す説明図である。まず、プレート11に紫外線を含む光22を照射するために光源21として水銀ランプなどを使用する。光源21からの光22は、励起フィルタ23を通る。励起フィルタ23は細菌が蛍光するのに必要な波長の光(以下、励起光24)を透過し、不要な光を遮光する。次に、ダイクロイックミラー29にて励起光24を対物レンズ25に導き、対物レンズ25を経由してプレート11に照射される。ダイクロイックミラー29は光源21に対して45度の角度で設置され、特定の波長のみ反射する。照射された励起光24で検体が蛍光27し、その蛍光27は対物レンズ25を経由して、吸収フィルタ28を通り、撮像手段13へ蛍光27を導く。吸収フィルタ28は蛍光27を透過し、反射した励起光24や外光などの蛍光27以外の光26を遮光する。なお、光学手段12として蛍光観察が可能なマイクロメータなど任意の光学手段12を採用してもよい。
【0037】
次に撮像手段13について詳細に説明する。撮像手段13は、モノクロCCDカメラを用いており、光学手段12である蛍光顕微鏡にCマウントで接合している。なお、撮像手段13として、カラーCCDカメラなど任意の撮像手段13を採用してもよい。光学手段12により導かれた検体からの蛍光27を、CCDカメラで撮影し、撮影した画像を画像処理手段14へ出力する。
【0038】
次に画像処理手段14について図3から図6を用いて詳細に説明する。図3(a)は蛍光する球菌における輝度値を示す図であり、図3(b)は蛍光する桿菌における輝度値を示す図である。図3(a)のように球菌は中心が明るく、中心から離れるにつれて徐々に暗くなる。図3(b)のように桿菌は中心から棒状に明るく、棒状の明るい部分から離れるにつれて徐々に暗くなる。以上のような特徴を利用して球菌と桿菌を判定する。
【0039】
次に、画像処理手段14の動作の一例について図5を参照して説明する。図5は、画像処理手段14で行う細菌検出方法における各ステップを示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS1において、画像メモリ16のクリアやメモリ17内にあるカウントをゼロにセットするなどの初期設定を行う。
【0041】
次に、ステップS2は輝度情報取得工程であり、輝度情報取得手段1が撮像手段13から画像データを取り込んで画像データ内の各画素の輝度を測定し、画像データの輝度情報を画像メモリ16に記憶させる。なお、この画像データは、画素の輝度が0〜255で表される256階調のデータであるが、これに限定されるものではない。
【0042】
図4(a)は球菌における中心輝点41と中心輝点41を中心とした円周42、図4(b)は桿菌における中心輝点41と、中心輝点41を中心とした円周42をそれぞれ取得したときのイメージを示す図である。
【0043】
ステップS3は中心輝点算出工程であり、中心輝度算出手段2が画像メモリ16に記憶した画像データの輝度情報から蛍光27の発光する中心である中心輝点41を検出する。検出方法として、以下の処理を画像の全画素について行う。注目している画素(以下、注目画素と称す)が、周囲にある1つ以上の画素に対して、輝度値が高い場合に中心輝点41とする。なお、周囲とは1つの細菌が蛍光する領域の範囲内にあり、例えば、注目画素に対して上下左右の4隣接の画素とする。
【0044】
ステップS4において、中心輝点41が見つかるとステップS5において最初の中心輝点41について注目する。中心輝点41が見つからない場合はステップS16において結果を表示手段15へ出力し、処理を終了する。
【0045】
その後、ステップS6は測定点検出工程であり、測定点検出手段3が中心輝点41を中心に円周42上の測定点43aの輝度値を取得する。測定点43は一定の間隔で、中心輝点41に対して対称となる点43bが存在するような偶数個の点である。なお、撮影する画像において蛍光する細菌の大きさが既知であれば、中心輝点41を中心とする円の半径の大きさを細菌の大きさの範囲内に予め定めておく。
【0046】
ここで、球菌と桿菌とノイズの検出方法の概念について図6を用いて説明しておく。図6は縦軸に測定点43の輝度値の第一のばらつき度61、横軸に各測定点43aにおいて対称となる点43bとの輝度値の差の絶対値の第二のばらつき度62とする2次元グラフで、後述する第一のばらつき度61と第二のばらつき度62における球菌と桿菌とノイズの傾向を示す図である。両方のばらつき度が小さいものが球菌、両方のばらつき度が大きいものがノイズ、第一のばらつき度61が大きく第二のばらつき度62が小さいものが桿菌である。
【0047】
次に、ステップS7は第一のばらつき度算出工程であり、第一のばらつき度算出手段4が第一のばらつき度61を各測定点43の輝度値の分散や、標準偏差などを求めることで算出する。第一のばらつき度を取得する方法の一例として、数1を用いて分散を求める。ここで測定点43の数をn、測定点43の輝度値をXk(k=1、2、・・・n)、各測定点43の輝度値の平均値をXa、分散をσの二乗とする。
【0048】
【数1】


数式1において各測定点43の輝度値の平均値Xaを予め定めておき、平均値Xaと各測定点43の輝度値Xkとの差の二乗を合計し、それを測定点の数nで割ったものを第一のばらつき度として算出する。
【0049】
次に、ステップS8は球菌判定工程であり、球菌判定手段5が第一のばらつき度61と第一の閾値63を比較し、球菌であるか否かを判定する。この時、球菌と桿菌を判定するために最適な第一の閾値63を予め定めておく。最適な値はシステムの構成や撮影条件などにより異なるため、観察者は複数サンプルの画像を基に評価を行い、第一の閾値63を予め定めておく。例えば、複数サンプルにおいて球菌であると判定した第一のばらつき度61の平均値と、桿菌であると判定した第一のばらつき度61の平均値を算出し、その中央値を第一の閾値63とする。第一のばらつき度61が第一の閾値63より小さければ、ステップS9において画像処理手段14の内にある球菌のカウント値を1加算する。第一のばらつき度61が第一の閾値63より大きければ、ステップS10の第二のばらつき度算出工程において、第二のばらつき度算出手段6が各測定点43aにおいて対称となる点43bとの輝度値の差の絶対値から第二のばらつき度62を算出する。第二のばらつき度62は算出した絶対値において合計、分散や、標準偏差などを求めることで算出する。
【0050】
次に、ステップS11は桿菌判定工程であり、桿菌判定手段7が第二のばらつき度62と第二の閾値64を比較し、桿菌であるか否かを判定する。この時、桿菌とノイズを判定するために最適な第ニの閾値64を予め定めておく。最適な値はシステムの構成や撮影条件などにより異なるため、観察者は複数サンプルの画像を基に評価を行い、第ニの閾値64を予め定めておく。例えば、複数サンプルにおいて桿菌であると判定した第二のばらつき度62の平均値と、ノイズであると判定した第二のばらつき度62の平均値を算出し、その中央値を第ニの閾値64とする。第二のばらつき度62が第二の閾値64より小さければ、ステップS12においてメモリ17にある桿菌のカウント値を1加算する。第二のばらつき度62が第二の閾値64以上であれば、ステップS13においてメモリ17にあるノイズのカウント値を1加算する。ノイズのカウント値が必要でない場合はステップS13を省略してもよい。
【0051】
ステップS9、ステップS12、ステップS13の処理後に、ステップS13において、次の蛍光27の発光する中心である中心輝点41を検出する。中心輝点41があれば、ステップS15においてその中心輝点41に注目し、ステップS6に戻り、ステップS7〜S14を繰り返す。一方、中心輝点41が無ければ、画像処理手段14はステップS16において結果を表示手段15へ出力し、処理を終了する。
【0052】
次に表示手段15について詳細に説明する。表示手段15としては、例えばCRTモニタを用いる。表示手段15は画像処理手段14から出力された検出結果を表示する。なお、表示手段15として、タッチパネルなど任意の表示手段15を採用してもよい。
【0053】
また、本実施例1のステップS2における輝度情報取得工程において、背景領域の輝度値より大きく、中心輝点41の輝度値より小さい範囲内で中心輝点41が必ず含まれるように最適な第三の閾値を予め定めておく。最適な値はシステムの構成や撮影条件などにより異なるため、観察者は複数サンプルの画像を基に評価を行い、第三の閾値を予め定めておく。例えば、複数サンプルの中心輝点41の輝度値の最低値を算出し第三の閾値とする。走査において第三の閾値以上の輝度値の画素がある場合、注目画素が周囲にある1つ以上の画素に対して、輝度値が高い場合に中心輝点41とする。なお、周囲とは1つの細菌が蛍光する領域の範囲内にあり、例えば、注目画素に対して上下左右の4隣接の画素とする。このように閾値を設けることで誤差が小さくなり、精度良く中心輝点41を算出することができ、中心候補領域の中心を中心輝点41とすることがより好ましい。
【0054】
また、本実施例1のステップS2における輝度情報取得工程において、背景領域の輝度値より大きく、中心輝点41の輝度値より小さい範囲内で中心付近が少なくとも含まれるように最適な第四の閾値を予め定めておく。最適な値はシステムの構成や撮影条件などにより異なるため、観察者は複数サンプルの画像を基に評価を行い、第四の閾値を予め定めておく。例えば、複数サンプルの背景領域と中心輝点41の輝度値の平均値をそれぞれ算出し、その中央値を第四の閾値とする。輝度値が第四の閾値以上の連結する領域(以下、中心候補領域と称す)を求め、その中心候補領域の重心を中心輝点41とする。画像の撮影する条件において必ずしも蛍光する細菌において蛍光27の中心位置が、周囲より輝度値の高い点と一致しない。このように中心候補領域の重心を中心輝点41とすることで誤差が小さくなり、精度良く中心輝点41を算出することができ、中心候補領域の中心を中心輝点41とすることがより好ましい。
【0055】
また、本実施例1のステップS2における輝度情報取得工程において、中心候補領域を求め、その領域の面積が所定の範囲内にあるものについて、その中心候補領域の重心を中心輝点41とする。面積が蛍光する細菌より大きい場合などを中心候補から除外することにより、精度良く中心輝点41を算出することができる。
【0056】
また、本実施例1のステップS6における円周42上の測定点43の輝度値を算出する工程において、徐々に大きさを変えながら円の半径を決定してもよい。測定点43を取得する方法の一例として、座標における角度と距離の関係より数式2を用いて測定点43の座標を求める。ここで中心輝点41の座標を(Xn,Yn)、求める測定点43の座標を(Xs,Ys)、X軸の正の方向からの角度をθ、求める円の半径をrとする。
【0057】
【数2】


数式2において測定する角度θを予め定めておき、円の半径rを徐々に大きさを変えて入力し、各測定点43の座標(Xs,Ys)における輝度値を算出する。また、座標を計算し小数点を含む座標で表された場合、小数点以下を四捨五入し整数で表される座標で表し、その座標の輝度値を測定点43の輝度値とする。または、小数点を含む座標の輝度値を、周囲の整数で表される座標の輝度値から補間する。背景領域の輝度値より大きく、中心輝点41の隣接する画素の輝度の最低値以下の範囲内で最適な第五の閾値を予め定めておく。最適な値はシステムの構成や撮影条件などにより異なるため、観察者は複数サンプルの画像を基に評価を行い、第五の閾値を予め定めておく。例えば、複数サンプルの背景領域と中心輝点41の隣接する画素の輝度の最低値の平均値をそれぞれ算出し、その中央値を第五の閾値とする。例えば測定点43の輝度値が第五の閾値以下の値が存在する場合に、第五の閾値以下の値が存在する手前で測定した半径の大きさを半径とする。このように大きさを変えながら円の半径を決定することにより、検出する蛍光27の大きさに縛られることがなくなり、様々な大きさの蛍光する細菌の円の半径を求めることができる。
【0058】
また、本実施例1の本実施例1のステップS6における円周42上の測定点43の輝度値を算出する工程では、円の半径に対する測定点43を予め定めておき、徐々に大きさを変えながら円の半径を決定する。円の半径の大きさを決定する一例として、背景領域の所定値を予め定めておき、測定点43の輝度値が第五の閾値以下の値が存在する場合に、所定値以下の値が存在する手前で測定した半径の大きさを半径とする。円の半径に対する測定点43を予め定めることにより、検出する蛍光27の大きさに縛られることがなくなり、様々な大きさの蛍光する細菌の円の半径を求めることができ、円の半径毎に測定点43を計測する必要が無い為、処理も高速化できるので、徐々に大きさを変えながら円の半径を決定し、円の半径に対する測定点43を予め定めることがより好ましい。
【0059】
また、本実施例1のステップS7における測定点43の輝度値の第一のばらつき度61を算出する工程において、測定点43の近くに中心輝点41bの輝度値による影響度を考慮してもよい。図4は注目している中心輝点41aと中心輝点41aを中心とする円周42上にある測定点43cと測定点43cの近くに所定の範囲内にある中心輝点41bと測定点43cの近くの中心輝点41bを中心にその測定点43cと対称となる点を示す図である。図4を用いて説明すると、測定点43cの近くに中心輝点41bがある場合に、その測定点43cの輝度値を第一のばらつき度61の計算をする際に含まないようにする。または測定点43cの近くの中心輝点41bを中心にその測定点43cと対称となる点71の輝度値を測定点43cの輝度値から引く。このように影響度を考慮することによりステップS6における測定点43の輝度値の第一のばらつき度61がより正確となり、重なり合う細菌やノイズについて球菌か否か判定することができる。
【0060】
また、本実施例1のステップS10の、各測定点43aとその対称となる点43bとの輝度値の差の絶対値の第二のばらつき度62を算出する工程において、測定点43の近くに中心輝点41の輝度値による影響度を考慮してもよい。図4を用いて説明すると、測定点43cの近くに中心輝点41bがある場合に、その測定点43cの輝度値を第二のばらつき度62の計算をする際に含まないようにする。または、測定点43cの近くの中心輝点41bを中心にその測定点43cと対称となる点71の輝度値を測定点43cの輝度値から引く。このように影響度を考慮することにより、ステップS11における測定点43aと対称となる点43bとの輝度値の差の絶対値の第二のばらつき度62がより正確となり、重なり合う細菌やノイズについて桿菌か否か判定することができる。
【0061】
また、本実施例1では、撮像手段13としてモノクロCCDで撮影しているが、RGBなどカラーで撮影可能な撮像手段13を用いて撮影した画像では、色情報を考慮する。例えば蛍光する細菌に特定の色情報が無いなどの特徴がある場合、中心輝点41や測定点43を算出する際に、その特定の色情報が無いという条件を算出条件に含める。このように色情報を考慮することにより1つの中心輝点41における球菌と桿菌とノイズを精度良く判定することができるので、全体の球菌と桿菌とノイズを精度良く判定することもできる。
【0062】
以上のように、本実施例1において観察対象の蛍光から中心輝点を特定し、中心輝点を中心とする円周上の測定点の輝度値のばらつきを分析することにより、球菌と桿菌の蛍光の特徴を分析するようにしたため、容易に球菌と桿菌とノイズを判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかる細菌検出装置及び方法は、蛍光物体の発光する特徴から形状を判定する機能を有し、発光物検出装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1の実施の形態による細菌検出装置の図であり、(a)は全体のブロック図、(b)は画像処理手段のブロック図
【図2】本発明の実施例1の光学手段12における蛍光観察の説明図
【図3】蛍光する細菌の特徴を示す図であり、(a)は球菌の説明図、(b)は桿菌の説明図
【図4】本発明の実施例1の所定の処理内容を示す図であり、(a)は球菌についての説明図、(b)は桿菌についての説明図
【図5】本発明の実施例1における細菌検出方法のフローチャート
【図6】本発明の実施例1の所定の処理内容における細菌検出方法の説明図
【図7】本発明の実施例1の所定の処理内容における細菌検出方法の説明図
【符号の説明】
【0065】
1 輝度情報取得手段
2 中心輝点算出手段
3 測定点検出手段
4 第一のばらつき度算出手段
5 球菌判定手段
6 第二のばらつき度算出手段
7 桿菌判定手段
11 プレート
12 光学手段
13 撮像手段
14 画像処理手段
15 表示手段
16 画像メモリ
17 メモリ
21 光源
22 光源21からの光
23 励起フィルタ
24 励起光
25 対物レンズ
26 蛍光以外の光
27 蛍光
28 吸収フィルタ
29 ダイクロイックミラー
41 中心輝点
42 円周
43 測定点
61 第一のばらつき度
62 第二のばらつき度
63 第一の閾値
64 第二の閾値
71 測定点43cの近くの中心輝点41bを中心にその測定点43cと対称となる点
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−29271(P2008−29271A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−207530(P2006−207530)